後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
複数のコアと、前記複数のコアに対して周方向の所定位置に配置された磁性体とを有するマルチコアファイバを送り出すこと、磁力によって複数の前記マルチコアファイバのそれぞれの前記磁性体を引きつけること、及び前記複数のマルチコアファイバを連結して光ファイバテープ心線を形成することを行う光ファイバテープ心線の製造方法が明らかとなる。このような光ファイバテープ心線の製造方法によれば、簡易な方法で複数のマルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせることができる。
前記磁性体は、前記光ファイバテープ心線を識別するための識別マークを構成することが望ましい。これにより、磁性体が、マルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせる機能と、識別マークの機能とを兼ねることができる。
前記マルチコアファイバは、被覆層を有し、前記磁性体は、前記被覆層よりも内側に配置されることが望ましい。これにより、磁性体が被覆層に保護されることとなるため、磁性体を剥がれ落ちにくくすることができる。
周方向に隣接する2つの前記コアの間に前記磁性体が配置されることが望ましい。これにより、磁性体の層の厚みの影響による伝送損失(マイクロベンド損失)を抑制することができる。
前記複数のマルチコアファイバにそれぞれ配置される複数の前記磁性体は、前記光ファイバテープ心線のテープ面の一方の側に位置することが望ましい。これにより、磁性体を視認しやすくなる。
前記複数のマルチコアファイバの外部に配置された磁力付与装置によって、前記磁性体を引きつけることが望ましい。これにより、簡易な方法で複数のマルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせることができる。
前記磁性体は磁石であることが望ましい。これにより、簡易な方法で複数のマルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせることができる。
前記複数のマルチコアファイバの外部に配置された強磁性体によって、前記磁石である前記磁性体を引きつけることが望ましい。これにより、簡易な方法で複数のマルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせることができる。
前記複数のマルチコアファイバの内のあるマルチコアファイバの前記磁性体を、他のマルチコアファイバの前記磁性体によって引きつけることが望ましい。これにより、さらに簡易な方法で複数のマルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせることができる。
複数のコアを有するマルチコアファイバとなるように線引きすること、及び前記マルチコアファイバを線引きする際に、前記複数のコアに対して周方向の所定位置に磁性体を配置することを行うマルチコアファイバの製造方法が明らかとなる。このようなマルチコアファイバの製造方法によれば、光ファイバテープ心線を形成する際に、簡易な方法で複数のマルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせることができる。
複数のコアと、前記複数のコアに対して周方向の所定位置に配置された磁性体とを有するマルチコアファイバを送り出す送り出し部と、磁力によって複数の前記マルチコアファイバのそれぞれの前記磁性体を引きつけると共に、前記複数のマルチコアファイバを連結して光ファイバテープ心線を形成するテープ化部とを有する光ファイバテープ心線の製造装置が明らかとなる。このような光ファイバテープ心線の製造装置によれば、簡易な方法で複数のマルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせることができる。
複数のコアを備えるマルチコアファイバを複数有する光ファイバテープ心線であって、前記マルチコアファイバは、前記複数のコアに対して周方向の所定位置に配置された磁性体を備え、前記磁性体が前記光ファイバテープ心線のテープ面の一方の側に配置されるように前記複数のマルチコアファイバが連結されていることを特徴とする光ファイバテープ心線が明らかとなる。このような光ファイバテープ心線によれば、光ファイバテープ心線を構成するマルチコアファイバ同士を接続する場合や、マルチコアファイバと光素子とを接続する場合に、接続作業が容易となる。
複数のコアと、前記複数のコアに対して周方向の所定位置に配置された磁性体とを有するマルチコアファイバが明らかとなる。このようなマルチコアファイバによれば、光ファイバテープ心線を形成する際に、簡易な方法で複数のマルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせることができる。
複数のコアを備えるマルチコアファイバを複数有する光ファイバテープ心線の固定方法であって、前記マルチコアファイバは、前記複数のコアに対して周方向の所定位置に配置された磁性体を備え、前記磁性体が前記光ファイバテープ心線のテープ面の一方の側に配置されるように前記複数のマルチコアファイバが連結された光ファイバテープ心線を準備すること、前記複数のマルチコアファイバを一括して固定することを行う光ファイバテープ心線の固定方法が明らかとなる。このような光ファイバテープ心線の固定方法によれば、マルチコアファイバを固定する作業が容易である。
===第1実施形態===
<光ファイバテープ心線>
図1Aは、第1実施形態の光ファイバテープ心線1の斜視図である。図1Bは、第1実施形態の光ファイバテープ心線1の断面図(図1AのA-A断面図)である。図2Aは、第1実施形態のマルチコアファイバ2の拡大断面図である。なお、図2Aでは、図1A及び図1Bに示す第1実施形態の光ファイバテープ心線1からテープ化材7を除去し、単心分離した後のマルチコアファイバ2を図示している。
以下では、図に示す方向に従って説明を行うことがある。すなわち、図1Aに示すように、光ファイバテープ心線1の長手方向のことを単に「長手方向」と呼ぶ。ここで、長手方向とは、光ファイバテープ心線1を構成する光ファイバ(マルチコアファイバ2)の中心軸に沿った方向である。なお、複数のマルチコアファイバ2を長手方向が略平行になるように平面上に並べて配置した状態(図1Aに示す状態)でのマルチコアファイバ2に平行な方向を「長手方向」と呼ぶこともある。また、図1Aに示す状態での複数のマルチコアファイバ2の並ぶ方向を「テープ幅方向(幅方向に相当)」と呼ぶ。さらに、図1Aに示す状態での光ファイバテープ心線1のテープ面に垂直な方向を「テープ厚方向」と呼ぶ(すなわち、テープ厚方向は、テープ面の法線方向に相当する)。ここで、テープ面とは、図1Bに示すように、光ファイバテープ心線1の表面のうち、「長手方向」及び「テープ幅方向」に平行な面である。
また、図2Aに示すように、マルチコアファイバ2を長手方向に垂直な断面で見た状態で、マルチコアファイバ2の外周面(被覆層5の外周面)に沿う方向を「周方向」と呼ぶ。さらに、図2Aに示すように、マルチコアファイバ2を長手方向に垂直な断面で見た状態で、長手方向に垂直な断面に平行な方向であって、かつマルチコアファイバ2の中心軸10を通る方向を「径方向」と呼ぶ。径方向において、中心軸10から離れる側を「外」と呼び、中心軸10に向かう側を「内」と呼ぶ。
本実施形態の光ファイバテープ心線1は、いわゆる一括被覆型の光ファイバテープ心線である。一括被覆型の光ファイバテープ心線1は、複数の光ファイバ(ここでは、マルチコアファイバ2)を並列させてテープ化材で一括被覆した光ファイバテープ心線である。光ファイバテープ心線1は、複数(ここでは、4心)のマルチコアファイバ2と、テープ化材7とを有する。図1Aに示すように、本実施形態の光ファイバテープ心線1では、4心のマルチコアファイバ2が、長手方向が略平行になるように平面上に並べて配置されている。また、このように並べて配置された4心のマルチコアファイバ2が、テープ化材7によって一括被覆されている。複数のマルチコアファイバ2を一括被覆することにより、複数のマルチコアファイバ2の取り扱いが容易になる。例えば、複数のマルチコアファイバ2を一括被覆することにより、光ファイバテープ心線1ごとに一括で融着接続ができるため、接続作業時間の大幅な短縮が可能となる。
なお、一括被覆型の光ファイバテープ心線1は、図1Aに示す構成に限られるものではない。例えば、テープ化材7によって一括被覆されるマルチコアファイバ2の心数は4心に限られず、複数であれば4心以外の心数であっても良い。また、光ファイバテープ心線1は、一括被覆型の光ファイバテープ心線でなくても良い。例えば、後述する第2実施形態の光ファイバテープ心線1のように、いわゆる間欠連結型(間欠固定型)の光ファイバテープ心線であっても良い。
マルチコアファイバ2は、本実施形態の光ファイバテープ心線1を構成する光ファイバである。本実施形態のマルチコアファイバ2は、1つの共通のクラッドの中に複数のコアを有する光ファイバである。マルチコアファイバ2は、コア3と、クラッド4と、被覆層5と、磁性体6とを有する。なお、以下の説明では、1つの共通のクラッド4の中に複数のコア3が配置された構成を、「光ファイバ裸線」と呼ぶ。
コア3は、マルチコアファイバ2において光が伝播する部材である。コア3の屈折率は、クラッド4の屈折率よりも高く形成されている。本実施形態のマルチコアファイバ2では、複数(ここでは、4個)のコア3(図2Aのコア3A~コア3D)が配置されている。ここで、シングルコアの光ファイバの場合、一般的には光ファイバの中心軸上にコアが1つ配置されている。これに対し、図2Aに示すように、本実施形態のマルチコアファイバ2では、中心軸10以外の部分に複数のコア3(コア3A~コア3D)が配置されている。また、図2Aに示すように、本実施形態のマルチコアファイバ2では、複数のコア3は、マルチコアファイバ2の中心軸10を基準とした同一の円周(図2A中の一点鎖線)上に配置され、周方向のコア3同士の間隔が均等になっている。すなわち、マルチコアファイバ2を長手方向に垂直な断面で見たときに、複数のコア3が均等に配置されている。このように複数のコア3を均等に配置することにより、複数のコア3の光学的性質を均質にすることができる。
なお、複数のコア3は、図2Aに示すコア配置に限られるものではない。例えば、図2Aに示す4個のコア3の他に、中心軸10上にもコア3が配置されても良い。また、コア3の個数は4個に限られず、複数であれば4個以外であっても良い。さらに、マルチコアファイバ2を長手方向に垂直な断面で見たときに、複数のコア3が均等に配置されていなくても良い。
図2Bは、複数のコア3のコア配置の方向性に関する説明図である。図2Bの左側では、周方向における、ある回転位置でのマルチコアファイバ2を示している。図2Bの右側では、周方向における、別の回転位置でのマルチコアファイバ2を示している。本実施形態のマルチコアファイバ2は複数のコア3を有しているので、中心軸10以外の部分に少なくとも1個以上のコア3が位置することになる。図2Bの左側に示すマルチコアファイバ2と、図2Bの右側に示すマルチコアファイバ2とで周方向の回転位置が互いに異なっているため、図2Bの左側に示すマルチコアファイバ2と、図2Bの右側に示すマルチコアファイバ2とで複数のコア3のコア配置(複数のコア3の周方向の回転位置)が互いに異なっている。具体的には、図2Bの右側に示すマルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置は、図2Bの左側に示すマルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置と比べて、時計回りに角度Aだけ回転した状態である。このように、複数のコア3を有するマルチコアファイバ2の場合、マルチコアファイバ2を長手方向に垂直な断面で見たときに、複数のコア3のコア配置に方向性がある。
クラッド4は、マルチコアファイバ2において複数のコア3を隙間なく覆う部材である。クラッド4の屈折率は、コア3の屈折率よりも低く形成されている。クラッド4は、単一の屈折率でも良いし、屈折率の異なる複数の層から構成されていても良い。
被覆層5は、マルチコアファイバ2において光ファイバ裸線の外周を覆う部材である。なお、被覆層5として、例えば紫外線硬化型の樹脂を用いることが可能である。図2Aに示すように、被覆層5は、プライマリ層5Aと、セカンダリ層5Bと、着色層5Cとを有する。プライマリ層5Aは、光ファイバ裸線の上に被覆される被覆層である。セカンダリ層5Bは、プライマリ層5Aの上に被覆される被覆層である。着色層5Cは、セカンダリ層5Bの上に被覆され、他のマルチコアファイバ2と識別するための識別色によって着色されている。但し、被覆層5は、これらの構成に限定されず、例えば、着色層5Cを有していなくても良い。
磁性体6は、磁力によって引きつけられる部材である。本実施形態では、磁性体6は、いわゆる強磁性体である。具体的には、本実施形態の磁性体6は鉄粉で形成されている。但し、磁性体6は、強磁性体に限られない。例えば、後述する第3実施形態(図9A及び図9Bを参照)のように、磁性体6は、磁石(永久磁石)であっても良い。また、磁性体6の外径は、1μm以下が好ましい。これにより、磁性体6の層の厚みの影響による伝送損失(マイクロベンド損失)を抑制することができる。
ところで、図2Aに示すマルチコアファイバ2の断面は、4個のコア3(コア3A~コア3D)の、ある状態でのコア配置(周方向の回転位置)を示している。具体的には、図2Aで中心軸10から見たときのコア3A~コア3Dが、時計周りに45度、135度、225度、315度の方向に位置している。このようなコア配置を有するマルチコアファイバ2において、磁性体6は、中心軸10から見たときに0度の方向に配置されている。すなわち、本実施形態のマルチコアファイバ2では、磁性体6は、複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置されている。逆に言うと、本実施形態のマルチコアファイバ2では、磁性体6の周方向の位置を基準として見たとき、複数のコア3は周方向の所定の回転位置に配置されている。すなわち、中心軸10から見た磁性体6の回転位置を0度(基準)としたとき、コア3A~コア3Dが、時計周りに45度、135度、225度、315度の所定の回転位置に配置されている。但し、複数のコア3と磁性体6との位置関係は、図2Aに示す関係に限られるものではない。
また、図2Aに示すマルチコアファイバ2の断面で見たとき、磁性体6は、セカンダリ層5Bと着色層5Cとの間に形成されている。但し、磁性体6は、セカンダリ層5Bの一部として形成されていても良い。さらに、図2Aに示すマルチコアファイバ2の断面で見たとき、磁性体6は、周方向に隣接する2つのコア(ここでは、コア3A及びコア3D)の間に配置されている。言い換えると、図2Aに示すマルチコアファイバ2の断面で見たとき、中心軸10と磁性体6の周方向の両端とを結ぶ線(図2A中の破線)の上にコア3が配置されていない。これにより、磁性体6の層の厚みの影響による伝送損失(マイクロベンド損失)を抑制することができる。なお、本実施形態では全てのコア3が中心軸10から等距離に配置されているが、仮にコア3と中心軸10との距離が異なるものがある場合には、磁性体6は、複数のコア3のうち最も外側に配置されたコア3のうちの周方向に隣接する2つのコア3の間に配置されていることが望ましい。但し、磁性体6は、このような2つのコア3(複数のコア3のうち最も外側に配置され、かつ周方向に隣接する2つのコア3)の間に配置されなくても良い。
図1Aに示すように、磁性体6は、マルチコアファイバ2の長手方向の一部分に形成されている。但し、磁性体6の長手方向における配置についてはこれに限られず、例えば、磁性体6がマルチコアファイバ2の長手方向の全てにわたって形成されていても良い。なお、図1Aでは、長手方向の一部分に形成された磁性体6が長手方向に2つ配置されている。但し、磁性体6の数や長さは、これに限られるものではない。
本実施形態では、磁力によって引きつけられる磁性体6がマルチコアファイバ2の内部に配置されているため、磁性体6を磁力により引きつけることで、マルチコアファイバ2自体を周方向に回転させることができる。例えば、一方の側からマルチコアファイバ2に磁力を付与することで、当該一方の側に磁性体6を引きつけ、複数のマルチコアファイバ2の周方向の回転位置を合わせることができる。すなわち、複数のマルチコアファイバ2の、それぞれのコア3のコア配置を合わせることができる。なお、複数のマルチコアファイバ2のそれぞれのコア3のコア配置を合わせることについて、詳細は後述する。
本実施形態のマルチコアファイバ2では、磁性体6は、被覆層5よりも内側(下層)に配置されている。これにより、磁性体6が被覆層5に保護されることとなるため、磁性体6を剥がれ落ちにくくすることができる。但し、磁性体6の位置はこれに限られず、被覆層5の外周面に配置されても良い。また、仮に被覆層5が複数の層で構成される場合には、磁性体6が被覆層5に埋設されても良い(被覆層5を構成する層の間に磁性体6が配置されても良い)。
本実施形態のマルチコアファイバ2では、磁性体6は、識別マークとして設けられている(磁性体6は、識別マークとしての機能を有する)。言い換えると、本実施形態のマルチコアファイバ2では、識別マークが磁性体6により構成されている。ここでは、識別マークは、ある光ファイバテープ心線と、他の光ファイバテープ心線とを識別するための、例えばテープ番号を示している。磁性体6によって識別マークを構成するために、磁性体6は、所定のパターンに従って形成されている。例えば、磁性体6は、マルチコアファイバ2の長手方向に3~30mm程度の大きさ(幅)を有する。そして、複数個(図1Aでは2個)の磁性体6が一組として配置され、その磁性体6の個数により光ファイバテープ心線1が識別される。これにより、磁性体6の配置によって、ある光ファイバテープ心線と、他の光ファイバテープ心線とを識別することができる。なお、2個の磁性体6のそれぞれの長手方向の幅は、図1Aのように同じ長さに揃えなくても良く、異なる幅の磁性体6を組み合わせても良い。また、磁性体6は、識別マークとしての機能を有していなくても良い。この場合、識別マークが磁性体6とは別にマルチコアファイバ2に設けられても良い。
なお、磁性体6が識別マークとして設けられている場合、図1Aに示すように、光ファイバテープ心線1の各マルチコアファイバ2の磁性体6が、幅方向に並んで配置されていることが望ましい。言い換えると、本実施形態の光ファイバテープ心線1では、各マルチコアファイバ2の磁性体6の長手方向の位置が共通していることが望ましい。これにより、幅方向に並ぶ複数の磁性体6によって識別マークが構成されるため、磁性体6で構成された識別マークを視認しやすくなる。但し、各マルチコアファイバ2の磁性体6の長手方向の位置が異なっていても良い。
また、図1Bに示すように、本実施形態の光ファイバテープ心線1では、各マルチコアファイバ2の磁性体6は、一方のテープ面の側に揃って配置されている。これは、後述するように、磁力で磁性体6を引きつけつつ、テープ化しているためである。また、各マルチコアファイバ2の磁性体6が一方のテープ面の側に揃って配置されていることにより、識別マークとしての磁性体6を視認しやすくなる。
テープ化材7は、複数の光ファイバ(ここでは、マルチコアファイバ2)を並列させて一括被覆する部材である。テープ化材7は、例えば紫外線硬化樹脂で形成されている。また、テープ化材7は、透明な材料で形成されている。これにより、識別マークとしての磁性体6を視認可能となる。但し、磁性体6を視認する必要が無い場合(例えば磁性体6が識別マークとして設けられていない場合)、テープ化材7は、不透明な材料で形成されていても良い。
図1Bに示すように、本実施形態の光ファイバテープ心線1では、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置が揃っている。光ファイバテープ心線1を構成する各マルチコアファイバ2において、磁性体6の周方向の位置を基準として見たとき、各マルチコアファイバ2の複数のコア3は周方向の所定の回転位置に配置されている。すなわち、光ファイバテープ心線1を構成する各マルチコアファイバ2において、中心軸10から見た磁性体6の回転位置を0度(基準)としたとき、コア3A~コア3Dが、時計周りに45度、135度、225度、315度の所定の回転位置に配置されている。
<光ファイバテープ心線の製造方法(製造装置)>
図3は、第1実施形態の光ファイバ製造装置60の説明図である。図中には、本実施形態の光ファイバテープ心線1を構成するマルチコアファイバ2を製造するための紡糸工程(線引き工程)が示されている。また、図中の磁性体塗布装置64の右側には、マルチコアファイバ2の長手方向(送り方向)に垂直な断面で見たときの磁性体6の塗布の様子が示されている。なお、図中の紡糸工程(線引き工程)は、図4Aに示すファイバ用ボビン67に巻き取られているマルチコアファイバ2の製造工程である。なお、以下の説明では、マルチコアファイバ2の送り方向に従って「上流」及び「下流」の用語を使用している。
光ファイバ製造装置60は、マルチコアファイバ2を製造する装置である。光ファイバ製造装置60で製造されたマルチコアファイバ2は、本実施形態の光ファイバテープ心線1の製造に用いられることになる(図4A参照)。本実施形態の光ファイバ製造装置60は、マルチコアファイバ2を製造する際に磁性体6を配置する。すなわち、本実施形態では、紡糸工程(線引き工程)においてマルチコアファイバ2に磁性体6が配置される。
光ファイバ製造装置60は、プリフォーム61と、加熱炉62と、外径モニタ63と、磁性体塗布装置64と、コーティング装置65と、被覆層硬化装置66と、ファイバ用ボビン67とを有する。プリフォーム61は、マルチコアファイバ2の母材である。加熱炉62は、プリフォーム61を溶融紡糸させるためにプリフォーム61を加熱する炉であり、例えば電気炉である。外径モニタ63は、所定の外径を持つマルチコアファイバ2を形成するために、溶融紡糸されたプリフォーム61の外径を監視するモニタである。
コーティング装置65は、マルチコアファイバ2に被覆層5(プライマリ層5A、セカンダリ層5B、着色層5C)をコーティングする装置である。コーティング装置65は、プライマリ層塗布装置65Aと、セカンダリ層塗布装置65Bと、着色層塗布装置65Cとを有する。これにより、図3に示すように、プライマリ層5Aと、セカンダリ層5Bと、着色層5Cとがそれぞれに分けて塗布される。但し、コーティング装置65は、プライマリ層塗布装置65Aと、セカンダリ層塗布装置65Bと、着色層塗布装置65Cとを一体的に構成することで、被覆層5を構成する3層(プライマリ層5A、セカンダリ層5B、着色層5C)を同時に塗布しても良い。また、プライマリ層塗布装置65Aと、セカンダリ層塗布装置65Bとを一体的に構成することで、3層のうち2層(プライマリ層5Aとセカンダリ層5B)を先に塗布し、着色層塗布装置65Cによる着色層5Cの塗布を別に分けても良い。なお、加熱炉62とコーティング装置65との間でマルチコアファイバ2が冷却されることになる。
被覆層硬化装置66は、コーティング装置65でコーティングした被覆層5(プライマリ層5A、セカンダリ層5B、着色層5C)を硬化させるための装置であり、例えば紫外線照射装置である。図3に示すように、被覆層硬化装置66は、被覆層5を構成する3層(プライマリ層5A、セカンダリ層5B、着色層5C)を一括で硬化させるように配置されている。但し、コーティング装置65の構成(プライマリ層塗布装置65A、セカンダリ層塗布装置65B、着色層塗布装置65C)に合わせて、個別に硬化させるように配置しても良い。なお、被覆層硬化装置66は、被覆層5の硬化度を調整するために、複数段に分けても良い。また、被覆層5が紫外線硬化樹脂であれば、被覆層硬化装置66は、活性な発光波長を有するLEDを使用しても良いし、ランプを使用しても良い。また、被覆層硬化装置66は、LEDとランプとを組み合わせても良い。さらに、被覆層硬化装置66は、紫外線以外の活性線(例えば、電子線やガンマ線)であれば、その発生源が用いられる。被覆層5が熱可塑性樹脂であれば、被覆層硬化装置66として冷却装置を設置しても良い。
ファイバ用ボビン67は、コーティングされた被覆層5が硬化したマルチコアファイバ2が巻き取られるボビンである。本実施形態では、ファイバ用ボビン67には、複数のコア3に対して周方向の所定位置に磁性体6が形成されたマルチコアファイバ2が巻き取られることになる。
磁性体塗布装置64は、マルチコアファイバ2に磁性体6を塗布する装置である。図3の右側に示した拡大断面図のように、磁性体塗布装置64は、磁性体6を吐出する吐出口を有する。磁性体塗布装置64の吐出口は、マルチコアファイバ2の複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置されている。これにより、磁性体塗布装置64は、マルチコアファイバ2の複数のコア3に対して周方向の所定位置に磁性体6を形成することができる。前述したように、磁性体6をマルチコアファイバ2の長手方向の一部分に形成する場合、磁性体塗布装置64は、磁性体塗布装置64の吐出口からの磁性体6の吐出及び非吐出を制御することになる。なお、磁性体塗布装置64は、セカンダリ層塗布装置65Bと着色層塗布装置65Cとの間に設けられている。但し、磁性体6を含有する樹脂と、セカンダリ層5Bの樹脂とを同時に塗布しても良い。これにより、磁性体6を被覆層5の内側に配置することができる。言い換えれば、磁性体6の外側にも被覆層5(ここでは、着色層5C)を配置することができる。
ところで、本実施形態では、少なくとも加熱炉62でプリフォーム61が加熱されてから磁性体塗布装置64によりマルチコアファイバ2へ磁性体6が塗布されるまでの間に、例えば偏波モード分散(PMD)の抑制を目的とするマルチコアファイバ2へのスピンの付与が行われていない。すなわち、この間にマルチコアファイバ2は周方向に回転していないことになる。したがって、磁性体6の吐出口を複数のコア3に対して周方向の所定位置となるように配置するだけで、磁性体6を複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置することができる。
図4Aは、第1実施形態のテープ心線製造装置80の説明図である。図4Bは、テープ化部82の説明図である。図4Aに示すテープ心線製造装置80では、紡糸工程(線引き工程)において製造された複数本(ここでは、4本)のマルチコアファイバ2を一括被覆して、一括被覆型の光ファイバテープ心線1を形成する工程(テープ化工程)を示している。
テープ心線製造装置80は、複数本のマルチコアファイバ2をテープ化材7で被覆して、一括被覆型の光ファイバテープ心線1を形成する装置である。テープ心線製造装置80は、送り出し部81と、テープ化部82と、テープ心線用ボビン90とを有する。
送り出し部81は、複数のマルチコアファイバ2を送り出す装置である。本実施形態の送り出し部81は、複数のファイバ用ボビン67と、コントローラ83と、マーク検出装置84とを有する。ファイバ用ボビン67は、前述の光ファイバ製造装置60にてマルチコアファイバ2が巻き取られたボビンである。本実施形態では、それぞれのファイバ用ボビン67からマルチコアファイバ2が送り出される。但し、送り出し部81が複数の光ファイバ製造装置60を備え、紡糸工程(線引き工程)にて製造されたマルチコアファイバ2をファイバ用ボビン67に巻き取らずに直接送り出しても良い。コントローラ83は、マーク検出装置84にて検出したマルチコアファイバ2の識別マークの位置に基づいて、それぞれのマルチコアファイバ2の送り出し速度を制御する装置である。ここでは、コントローラ83は、それぞれのファイバ用ボビン67の回転速度を制御することによって、それぞれのマルチコアファイバ2の送り出し速度を制御する。マーク検出装置84は、マルチコアファイバ2に設けられた識別マークの位置を検出する装置である。磁性体6を識別マークとして使用する場合には、マーク検出装置84は、マルチコアファイバ2に設けられた磁性体6の長手方向の位置を検出する。本実施形態では、コントローラ83は、それぞれのマルチコアファイバ2の識別マーク(ここでは磁性体6)の長手方向の位置が揃うように、マーク検出装置84にて検出したマルチコアファイバ2の識別マークの位置に基づいて、それぞれのマルチコアファイバ2の送り出し速度を制御する。
テープ化部82は、複数のマルチコアファイバ2を一括被覆する装置である。本実施形態のテープ化部82は、磁力付与装置85と、テープ化装置86とを有する。磁力付与装置85は、磁力によって複数のマルチコアファイバ2のそれぞれの磁性体6を引きつける装置である。磁力付与装置85は、例えばネオジウム磁石である。但し、磁力付与装置85は、磁力を付与できるものであればネオジウム磁石に限られない。図4Bに示すように、本実施形態のテープ心線製造装置80では、磁力付与装置85は、複数のマルチコアファイバ2の送り方向(マルチコアファイバ2の長手方向)と、複数のマルチコアファイバ2が並ぶ方向(テープ化後におけるテープ幅方向と同一方向)とに垂直な方向における、一方の側に配置されている。なお、複数のマルチコアファイバ2のそれぞれの磁性体6が磁石(永久磁石)である場合、磁力付与装置85は磁石でなくても良く、例えば鉄などの強磁性体であっても良い。
図5A及び図5Bは、磁力付与前後の複数のマルチコアファイバ2の様子の説明図である。
図5Aは、磁力付与装置85により磁力が付与される前の複数のマルチコアファイバ2の様子を示している。図4Bにおいて、磁力付与装置85よりも上流側(右側)における複数のマルチコアファイバ2の様子を示している。
磁力付与装置85よりも上流側に配置されている送り出し部81において各マルチコアファイバ2が送り出される際、各マルチコアファイバ2が周方向に回転するおそれがある。すなわち、送り出し部81において各マルチコアファイバ2が送り出される際、複数のコア3のコア配置が、マルチコアファイバ2毎に周方向に異なってしまう可能性がある。これは、例えばファイバ用ボビン67から各マルチコアファイバ2が送り出される際や、各マルチコアファイバ2がマーク検出装置84を通過する際に、マルチコアファイバ2の周方向に捻じれてしまうことがあるからである。各マルチコアファイバ2にそれぞれ捻じれてしまうことにより、図5Aに示すように、複数のコア3のコア配置が、マルチコアファイバ2毎に周方向に異なることがある。この複数のコア3のコア配置のままテープ化されると、マルチコアファイバ2同士を接続する際や、マルチコアファイバ2と光素子とを接続する際に、複数のコア3のコア配置を周方向の回転位置を合わせなければならず、接続作業が煩雑となってしまう。そこで、本実施形態のテープ心線製造装置80では、磁力付与装置85によりテープ化の直前(テープ化部82のすぐ上流側)で各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を合わせている。
図5Bは、磁力付与装置85により磁力が付与された後の複数のマルチコアファイバ2の様子を示している。
磁力付与装置85は、磁力によって複数のマルチコアファイバ2のそれぞれの磁性体6を所定方向(磁力付与装置85側)に引きつける。各マルチコアファイバ2の磁性体6は、複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置されている。このため、各マルチコアファイバ2の磁性体6が同じ方向(磁力付与装置85側)に引きつけられることによって、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を揃えることができる。本実施形態では、磁力付与装置85によって磁力を付与するだけで各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を揃えることができる。このため、各マルチコアファイバ2を周方向に回転させる装置を別に設ける必要がない。すなわち、本実施形態のテープ心線製造装置80は、簡易な装置で複数のコア3のコア配置を揃えることが可能である。
ところで、磁力付与装置85では、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を完全に揃える必要はない。すなわち、複数のコア3のコア配置が周方向に全く揃っていない状態から、ある程度揃うだけでも効果がある。複数のコア3のコア配置がある程度揃っていれば、例えば光ファイバテープ心線1を構成する各マルチコアファイバ2同士を一括して融着接続するような際、融着機に各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を揃えてセットする作業が容易になるからである。言い換えると、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を完全に揃えるために各マルチコアファイバ2を周方向に回転させる量(調整角度)が少なくて済むからである。なお、融着機側に磁力付与装置85が設けられていれば、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を揃えることができるため、融着作業がさらに容易になる。同様に、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置がある程度揃っていれば、例えばフェルールにマルチコアファイバ2を一括固定するようなときに、フェルールに各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を揃えてセットする作業が容易になるからである。言い換えると、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を完全に揃えるために各マルチコアファイバ2を周方向に回転させる量(調整角度)が少なくて済むからである。つまり、マルチコアファイバ2の磁性体6が磁力付与装置85に近づくようにマルチコアファイバ2が周方向に回転した分だけ、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を完全に揃えるために各マルチコアファイバ2を周方向に回転させる量(調整角度)が少なくて済む。
テープ化装置86は、複数のマルチコアファイバ2に一括してテープ化材7を塗布し、硬化する。テープ化装置86は、テープ化材塗布装置87と、テープ化材硬化装置88とを有する。
テープ化材塗布装置87は、テープ化材7を塗布する装置である。テープ化材7は、前述したように例えば紫外線硬化樹脂であり、テープ化材7が硬化することによって複数のマルチコアファイバ2が一括被覆される。テープ化材塗布装置87は、並列させた複数のマルチコアファイバ2にテープ化材7を塗布する。テープ化材塗布装置87は、液状のテープ化材7を充填させたコーティングダイスに各マルチコアファイバ2を入線部89から挿通させることによって、長手方向にわたって、複数のマルチコアファイバ2を一括してテープ化材7を塗布する。テープ化材硬化装置88は、紫外線硬化樹脂で構成されたテープ化材7に紫外線を照射する装置である。テープ化材硬化装置88によりテープ化材7を硬化させることで、光ファイバテープ心線1が製造される。
<光ファイバテープ心線の固定方法>
本実施形態のような、磁性体6が複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置され、さらに磁性体6がテープ面の一方の側に位置する各マルチコアファイバ2で構成された光ファイバテープ心線1を用いることにより、光ファイバテープ心線1のテープ化材を除去し、各マルチコアファイバ2を一括して固定する際に特に有利となる。すなわち、前述したように、複数のコア3のコア配置がある程度揃っていれば、光ファイバテープ心線1を構成する各マルチコアファイバ2同士を一括して融着接続するような際、融着機に各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を揃えてセット(固定)する作業が容易になる。また、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置がある程度揃っていれば、フェルールに各マルチコアファイバ2を一括固定するような際、フェルールに各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を揃えてセット(固定)する作業が容易になる。
<比較例の光ファイバテープ心線>
図8Aは、第1比較例の光ファイバテープ心線1の断面図である。図8Aでも、本実施形態の光ファイバテープ心線1との相違点を明確にするために、4心の光ファイバテープ心線1が示されている。
第1比較例の光ファイバテープ心線1では、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置(周方向の回転位置)が、マルチコアファイバ2毎に異なっている。このため、マルチコアファイバ2同士を接続する場合や、マルチコアファイバ2と光素子とを接続する場合には、マルチコアファイバ2のコア配置(言い換えると、マルチコアファイバ2の周方向の回転位置)を所定方向に合わせる作業が不便になる。なお、第1比較例の各マルチコアファイバ2には磁性体6が設けられていないため、第1比較例の各マルチコアファイバ2は、磁力の付与によって周方向の回転位置を合わせることができない。
図8Bは、第2比較例の光ファイバテープ心線1の断面図である。図8Bでも、本実施形態の光ファイバテープ心線1との相違点を明確にするために、4心の光ファイバテープ心線1が示されている。
第2比較例の光ファイバテープ心線1では、各マルチコアファイバ2に磁性体6が設けられているものの、磁性体6は、複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置されていない。すなわち、複数のコア3に対して、磁性体6の周方向の位置がマルチコアファイバ2毎に異なってしまっている。したがって、一方の側からマルチコアファイバ2に磁力を付与してテープ化をしても、複数のマルチコアファイバ2の周方向の回転位置を合わせることができない。このため、図8Bに示すように、テープ化の際に、複数のコア3のコア配置(周方向の回転位置)は、マルチコアファイバ2毎に異なってしまう。
これら第1比較例及び第2比較例と比べて、本実施形態の光ファイバテープ心線1では、図1Bに示すように、磁性体6は、複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置されている。このため、マルチコアファイバ2同士を接続する場合や、マルチコアファイバ2と光素子とを接続する場合には、マルチコアファイバ2のコア配置(言い換えると、マルチコアファイバ2の周方向の回転位置)を所定方向に合わせる作業が容易になる。また、第2比較例と比べて、本実施形態の各マルチコアファイバ2の磁性体6は、複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置されているため、各マルチコアファイバ2の磁性体6が同じ方向(磁力付与装置85側)に引きつけられることによって、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を揃えることが可能である。
===第2実施形態===
図6Aは、第2実施形態の光ファイバテープ心線1の斜視図である。図6Bは、第2実施形態の光ファイバテープ心線1の断面図(図6AのA-A断面図)である。図6Cは、第2実施形態の光ファイバテープ心線1の断面図(図6AのB-B断面図)である。図7Aは、第2実施形態の光ファイバテープ心線1の拡大断面図である。
前述の第1実施形態の光ファイバテープ心線1は、一括被覆型の光ファイバテープ心線であった。しかし、光ファイバテープ心線1は、一括被覆型の光ファイバテープ心線でなくても良い。例えば、光ファイバテープ心線1は、いわゆる間欠連結型(間欠固定型)の光ファイバテープ心線であっても良い。間欠連結型の光ファイバテープ心線1は、複数のマルチコアファイバ2を並列させて間欠的に連結した光ファイバテープ心線である。図6A~図6Cに示すように、第2実施形態の光ファイバテープ心線1では、隣接する2心のマルチコアファイバ2は、連結部8によって連結されている。隣接する2心のマルチコアファイバ2を連結する複数の連結部8は、長手方向に間欠的に配置されている。また、光ファイバテープ心線1の複数の連結部8は、長手方向及びテープ幅方向に2次元的に間欠的に配置されている。連結部8は、接着剤となる紫外線硬化樹脂を塗布した後に紫外線を照射して固化することによって形成されている。なお、連結部8を熱可塑性樹脂で構成することも可能である。図6A~図6Cに示すように、第2実施形態の光ファイバテープ心線1では、隣接する2心のマルチコアファイバ2間の連結部8以外の領域は、非連結部9(分離部)になっている。非連結部9では、隣接する2心のマルチコアファイバ2同士は拘束されていない。連結部8のテープ幅方向には非連結部9が配置されている。これにより、光ファイバテープ心線1を丸めて筒状(束状)にしたり、折りたたんだりすることが可能になり、多数のマルチコアファイバ2を高密度に収容することが可能になる。なお、図6B及び図6Cに示すように、間欠連結型の光ファイバテープ心線1の場合のテープ面は、長手方向に沿った各マルチコアファイバ2の上縁同士(又は下縁同士)をテープ幅方向に繋いで構成される面である。
図7Aに示すように、第2実施形態の間欠連結型(間欠固定型)光ファイバテープ心線1においても、磁性体6が複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置されている。また、磁性体6がテープ面の一方の側に位置している。このように各マルチコアファイバ2で複数のコア3のコア配置が揃っていると、マルチコアファイバ2同士を接続する場合や、マルチコアファイバ2と光素子とを接続する場合に、接続作業が容易となる。第2実施形態の間欠連結型(間欠固定型)光ファイバテープ心線1においても、マルチコアファイバ2の紡糸工程(線引き工程)、すなわちマルチコアファイバ2の製造方法は、前述の第1実施形態の場合と同様である。
図7Bは、第2実施形態の変形例の光ファイバテープ心線1の拡大断面図である。図7Bに示すように、第2実施形態の変形例の光ファイバテープ心線1では、隣接する2心のマルチコアファイバ2間の連結部8がマルチコアファイバ2の全周(被覆層5の全周)を覆っていても良い。このような場合でも、磁性体6が複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置されており、磁性体6がテープ面の一方の側に位置しているのは、図7Aの場合と同様である。このように各マルチコアファイバ2で複数のコア3のコア配置が揃っていると、マルチコアファイバ2同士を接続する場合や、マルチコアファイバ2と光素子とを接続する場合に、接続作業が容易となる。
===第3実施形態===
図9Aは、周方向の回転位置を合わせる前の、第3実施形態に係る複数のマルチコアファイバ2の様子の説明図である。図9Bは、周方向の回転位置を合わせた後の、第3実施形態に係る複数のマルチコアファイバ2の様子の説明図である。前述の実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)において、マルチコアファイバ2の磁性体6は、例えば鉄粉などで形成される強磁性体であった。しかし、本実施形態の光ファイバテープ心線1では、各マルチコアファイバ2の磁性体6として、磁石(永久磁石)が使用されている。
図9Aに示すように、本実施形態の各マルチコアファイバ2では、複数(ここでは、2個)の磁性体6が配置されている。さらに、4個のコア3に対して、これら2個の磁性体6は、互いに対向する位置に配置されている。磁性体6は、中心軸10から見たときに90度及び270度の方向に配置されている。すなわち、本実施形態のマルチコアファイバ2でも、前述の実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)と同様に、磁性体6は、複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置されている。
本実施形態では、磁力によって引きつけられる磁性体6(磁石)がマルチコアファイバ2の内部に配置されているため、磁性体6(磁石)を磁力により引きつけることで、マルチコアファイバ2自体を周方向に回転させることができる。本実施形態では、このとき、隣接するマルチコアファイバ2の磁性体6(磁石)によって引きつけられる。すなわち、互いに隣接するマルチコアファイバ2の磁性体6同士が引き合うことで、図9Bに示すように、それぞれのコア3のコア配置を合わせることができる。
前述の実施形態(第1実施形態)のテープ心線製造装置80では、磁力によって複数のマルチコアファイバ2のそれぞれの磁性体6を引きつける装置である磁力付与装置85を有していた。しかし、本実施形態のテープ心線製造装置80では、互いに隣接するマルチコアファイバ2の磁性体6同士が引き合うことができるので、磁力付与装置85を設ける必要がない。すなわち、本実施形態のテープ心線製造装置80は、さらに簡易な装置で複数のコア3のコア配置を揃えることが可能である。
===その他===
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。