JP7312461B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶ポリマーフィルムと銅箔とが積層された積層体の製造方法に関する。
フレキシブル配線基板の多くは、絶縁性ポリマーフィルムと銅箔とが積層された積層体で構成されている。積層体の銅箔をエッチングすることによって、回路パターンが形成される。
近年、通信速度の高速化のために、デバイスの高周波化が進んでおり、絶縁性ポリマーフィルムとして、誘電損失および誘電正接の小さい、液晶ポリマーフィルムが採用され始めている。
液晶ポリマーフィルムと銅箔とが積層された積層体の製造方法として、例えば、特許文献1には、液晶ポリマーフィルムと銅箔とを重ね合わせて、液晶ポリマーフィルムの融点以上の温度で、熱圧着して積層体を形成する方法が開示されている。
また、特許文献2には、寸法安定性を向上させるために、液晶ポリマーフィルムと銅箔とを、260℃で熱圧着して積層体を形成した後、この積層体を、液晶ポリマーフィルムの融点以上の温度で熱処理する方法が開示されている。
特開2010-221694号公報 特開2000-343610号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された方法で形成された積層体では、銅箔を液晶ポリマーフィルムから引き剥がす際の引き剥がし強度を示すピール強度が十分に得られず、また、バラツキも大きいという問題がある。
本願発明者は、十分なピール強度が得られないという問題が、液晶ポリマーフィルムに固有の問題であることを見出した。
すなわち、溶融法や溶液法などで製膜された液晶ポリマーフィルムは、面に平行な方向(面方向)に分子配向しているため、液晶ポリマーフィルムは、厚み方向の分子間凝集エネルギーが小さい。そのため、銅箔を液晶ポリマーフィルムから引き剥がす際、銅箔は、液晶ポリマーフィルムとの界面から引き剥がされるのではなく、液晶ポリマーフィルムが厚み方向に破壊されることによって、液晶ポリマーフィルムから引き剥がされる。
つまり、液晶ポリマーフィルム以外のポリマーフィルムでは、ピール強度は、一般に、銅箔と液晶ポリマーフィルムとの界面の密着力によって律則されるが、液晶ポリマーフィルムでは、液晶ポリマーフィルムの厚み方向における弱い分子間凝集エネルギーによって律則される。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その主な目的は、液晶ポリマーフィルムと銅箔とが積層された積層体において、バラツキが少なく、十分なピール強度を有する積層体の製造方法を提供することになる。
本発明に係る積層体の製造方法は、液晶ポリマーフィルムと銅箔とが積層された積層体の製造方法であって、液晶ポリマーフィルムの表面をプラズマ処理して、液晶ポリマーフィルムの表面に、親水基である官能基を付与する工程と、液晶ポリマーフィルムのプラズマ処理した面を銅箔に対向させて、晶ポリマーフィルムと銅箔とを、官能基の運動が活性化する第1の温度で熱圧着して、積層体を形成する工程と、積層体を、第1の温度より高く、液晶ポリマーフィルムの分子配向がランダムになる第2の温度で熱処理する工程と、積層体を、液晶ポリマーフィルムの再配向が促進しない温度まで急冷する工程と、を含む。
本発明によれば、液晶ポリマーフィルムと銅箔とが積層された積層体において、バラツキが少なく、十分なピール強度を有する積層体の製造方法を提供することができる。
(A)~(E)は、本発明の一実施形態における積層体の製造方法を模式的に示した図である。 ロールツーロール方式により、積層体を形成する方法を示した図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
図1(A)~(E)は、本発明の一実施形態における積層体の製造方法を模式的に示した図である。本実施形態における積層体は、液晶ポリマーフィルムと銅箔とが積層された構造をなす。ここで、液晶ポリマーフィルムは、溶融状態で液晶になるサーモトロピック型液晶ポリマーからなり、積層前では、面方向に分子配向している。
図1(A)に示すように、液晶ポリマーフィルム10の表面10aをプラズマ処理する。プラズマ処理に用いるガスは、例えば、アルゴン、窒素、空気、水蒸気、二酸化炭素の何れか、または、これらのうち2種以上を混合したガスを用いることができる。プラズマ処理は、例えば、大気圧プラズマ処理を用いて行うことができる。
プラズマ処理された液晶ポリマーフィルム10の表面には、親水基である官能基が付与される。液晶ポリマーフィルム10の表面に付与される官能基は、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基の何れかが含まれる。
プラズマ処理に用いるガスに、アルゴンまたは窒素を用いると、プラズマが安定し易くなる。また、プラズマ処理に用いるガスに、水蒸気や二酸化炭素を混合すると、液晶ポリマーフィルム10の表面に、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基の官能基が導入し易くなる。
大気圧プラズマの生成は、バリア放電、アーク放電、マイクロ波放電等を用いて行うことができるが、バリア放電は、広幅の領域にプラズマ照射できるため、ロールツーロール方式のプロセスに適用し易い。
液晶ポリマーフィルム10へのプラズマ照射方法としては、バリア放電電極間隙に液晶ポリマーフィルム10を挿入するダイレクト方式や、バリア放電で生成したプラズマやラジカルを気流により液晶ポリマーフィルム10に照射するリモート方式等を用いることができる。
プラズマの投入電力は、液晶ポリマーフィルム10の面積当たりで、1W・min/cm以上が好ましい。プラズマの投入電力を、10W・min/cm以上にすると、液晶ポリマーフィルム10の表面の分子構造にダメージが残り、ピール強度の低下を招くので好ましくない。
次に、図1(B)に示すように、液晶ポリマーフィルム10のプラズマ処理した面10aを銅箔11に対向させて、図1(C)に示すように、液晶ポリマーフィルム10と銅箔11とを熱圧着して、積層体12を形成する。ここで、熱圧着の温度(第1の温度)は、液晶ポリマーフィルム10の表面に付与された官能基の運動が活性化する温度に設定される。
この温度で、液晶ポリマーフィルム10と銅箔11とを熱圧着したとき、液晶ポリマーフィルム10の表面に導入された水酸基等の官能基(親水基)は、銅箔11の表面と脱水縮合される。その結果、液晶ポリマーフィルム10と銅箔11との密着力が得られる。この時、銅箔11の最表面に、シランカップリング剤の疎水基や、有機系の防錆剤が露出している場合は、銅箔11の最表面にプラズマ処理等を施すことによって、これらを除去する、もしくは、水酸基などの親水基を付与することが好ましい。
例えば、液晶ポリマーフィルム10の表面の炭素原子に、水酸基(C-OH)が導入された場合、OH-Cu(銅)が脱水素縮合して、C-O-Cuになっている。銅箔11の表面に水酸基が付与されている場合は、OH同士が水素結合した後、最終的に脱水縮合してC-O-Cuになっている。また、銅箔11の表面に薄い酸化膜(CuO)が形成されている場合も、OHとOが水素結合した後、C-OH-O-Cuが脱水素縮合して、最終的にC-O-O-Cuになっている。
熱圧着の温度(第1の温度)は、液晶ポリマーフィルム10の表面に付与された官能基の運動が活性化する温度であればよい。具体的には、熱圧着の温度(第1の温度)は、液晶ポリマーフィルム10のβ緩和温度以上、α緩和温度以下に設定することが好ましい。なお、β緩和温度とα緩和温度、はいずれも液晶ポリマーフィルム10の製膜時の幅方向と長手方向とでは異なる値となるのが一般的であるが、ここでは、それらのうち低い方の温度を代表値とする。
ここで、β緩和温度は、鎖状分子内の小さなセグメントあるいは側鎖の回転運動に起因するものと定義され、α緩和温度は、主鎖セグメントのミクロブラウン運動に起因するものと定義される。液晶ポリマーフィルム10のβ緩和温度は、大凡、100℃~120℃で、α緩和温度は、大凡、230℃~250℃である。α緩和温度、β緩和温度は、それぞれ、動的粘弾性測定(DMA)を用いて測定することができる。
熱圧着の温度(第1の温度)が、β緩和温度より低いと、液晶ポリマーフィルム10と銅箔11との密着力が十分に得られず、好ましくない。また、熱圧着の温度(第1の温度)が、α緩和温度より高いと、液晶ポリマーフィルム10の硬さ(ヤング率)が急に減少するため、熱圧着時に圧力の制御が困難となり、液晶ポリマーフィルム10の厚みが変化したり、銅箔11からはみ出したりするので好ましくない。
熱圧着の圧力は、熱圧着の温度に対して適宜設定されるが、0.5MPa~100MPaの範囲が好ましく、5MPa~50MPaの範囲がより好ましい。
銅箔11は、例えば、電解銅箔、圧延銅箔等を用いることできる。銅箔11の表面に、凹凸を形成したものを用いると、液晶ポリマーフィルム10と銅箔11との密着力をより高めることができる。表面粗さ(Rz)が1.5μm以下ものを用いると、10GHz程度の高周波でも伝送損失を抑制することができる。
銅箔11に、ニッケル、クロム、コバルト、マンガン、チタン等からなる銅拡散バリア層(兼密着層)を形成することによって、液晶ポリマーフィルム10の分子構造を維持したまま、銅拡散バリア層を構成する金属元素が配位結合することにより、密着力をより高めることができる。また、金属元素が、銅バリア拡散層として機能することにより、銅元素が、液晶ポリマーフィルム10を触媒作用(銅害)により分解劣化させて、銅箔11との密着力が低下する現象を抑制することができる。
次に、図1(D)に示すように、積層体12を、液晶ポリマーフィルム10の分子配向がランダムになる温度(第2の温度)で熱処理する。ここで、第2の温度は、熱圧着の温度(第1の温度)よりも高く、液晶ポリマーフィルム10の融点付近の温度が設定される。具体的には、第2の温度は、液晶ポリマーフィルム10の融点よりも20℃低い温度以上で、液晶ポリマーフィルムの融点よりも20℃高い温度以下が好ましい。
第2の温度が、液晶ポリマーフィルム10の融点よりも20℃低い温度に満たないと、液晶ポリマーフィルム10の分子配向が十分にランダムにならず、好ましくない。また、第2の温度が、液晶ポリマーフィルム10の融点よりも20℃高い温度を超えると、液晶ポリマーフィルム10や銅箔10が酸化劣化するため、好ましくない。
積層体12の加熱方法は、例えば、ヒーター伝熱、ランプ加熱、赤外線加熱、誘導加熱等を用いることができる。ヒーター伝熱を用いる場合、図1(D)に示すように、ヒーター部材13を銅箔11に接触させるのが好ましい。
積層体12の熱処理時に、積層体12を加圧する必要はないが、5MPa以上の圧力を印加すると、液晶ポリマーフィルム10が、面方向に分子配向が強くなるため好ましくない。
次に、図1(E)に示すように、積層体12を熱処理した後、積層体12を、液晶ポリマーフィルム10の再配向が促進しない温度まで急冷する。具体的には、積層体12を、80℃以下に急冷することが好ましい。積層体12の冷却は、例えば、図1(E)に示すように、冷却部材14を銅箔11に接触させるのが好ましい。
本実施形態によれば、プラズマ処理を施した液晶ポリマーフィルム10を、銅箔11と熱圧着させて積層体12を形成した後、積層体12を熱処理することにより、液晶ポリマーフィルム10の分子配向をランダム化させることができる。これにより、液晶ポリマーフィルムの厚み方向における分子間凝集エネルギーを大きくすることができる。その結果、銅箔11を液晶ポリマーフィルム10から引き剥がす際、銅箔11が、液晶ポリマーフィルム10が厚み方向に破壊されて、液晶ポリマーフィルム10から引き剥がされる際に、大きな分子間凝集エネルギーが消費される結果、高いピール強度を得ることができる。
すわなち、液晶ポリマーフィルム10と銅箔11とのピール強度は、面方向に配向した液晶ポリマーフィルム10の厚み方向における弱い分子間凝集エネルギーによって律則されることはなく、銅箔と液晶ポリマーフィルムとの界面の密着力が最大限発揮される。これにより、ピール強度を、十分な大きさにすることができるとともに、ピール強度のバラツキを抑制することができる。
なお、積層体12を熱処理した後、積層体12が室温まで冷却に時間を要すると、液晶ポリマーフィルム10の結晶化度が過度に高くなることにより脆弱になったり、再配向が促進してピール強度が低下したりするおそれがある。そのため、再配向の促進を抑制するために、積層体12を熱処理した後、積層体12を、液晶ポリマーフィルム10の結晶化や再配向が促進しない温度、具体的には80℃以下に急冷することが好ましい。
本実施形態では、液晶ポリマーフィルム10の分子配向をランダム化する前に、プラズマ処理した液晶ポリマーフィルム10と、銅箔11とを熱圧着して積層体12を形成しているため、その後の積層体12の熱処理では、積層体12に対して、過度な圧力を加える必要がない。そのため、液晶ポリマーフィルム10に過度な圧力が加わらないため、液晶ポリマーフィルム10の分子配向のランダム化が妨げられることはない。
また、本実施形態では、プラズマ処理した液晶ポリマーフィルム10と、銅箔11とを熱圧着して積層体12を形成しているため、液晶ポリマーフィルム10と銅箔11との密着力は、十分に確保される。従って、液晶ポリマーフィルム10と銅箔11とのピール強度を、十分な大きさを確保することができる。
(ロールツーロール方式による積層体の製造方法)
図2は、ロールツーロール方式により、液晶ポリマーフィルム10の表面をプラズマ処理する工程、液晶ポリマーフィルム10と銅箔11とを熱圧着して積層体12を形成する工程、積層体12を熱処理する工程、及び、積層体12を急冷する工程を、一連の工程として実施して、積層体12を製造する方法を示した図である。
図2に示すように、搬送ドラム20から送り出されたロール状の液晶ポリマーフィルム10は、加熱ローラー21を経由して、金属ベルト搬送装置22にサポートされながら、大気圧プラズマ装置23によりプラズマ処理される。
大気圧プラズマ装置23には、アルゴン、窒素、空気、水蒸気などのプラズマ用のガスが流量計(不図示)を介して供給され、プラズマ生成用の高周波電源(不図示)に接続されている。大気圧プラズマ装置23は、必要により複数台用いることで、加工速度を高めることができる。
一方、搬送ドラム30から送り出されロール状の銅箔11は、大気圧プラズマ装置23でプラズマ処理された液晶ポリマーフィルム10と積層され同時に搬送される。なお、積層される前に、銅箔11の表面を、大気圧プラズマ装置31によって、プラズマ処理しておいてもよい。
積層された状態の液晶ポリマーフィルム10と銅箔11とは、加熱ローラーと金属ベルトで構成された予熱装置40で予熱された後、一対の熱プレスローラー41でラミネートされて積層体12が形成される。ラミネートされた積層体12は、その直後に、加熱ローラーと金属ベルトで構成された加熱装置42で熱処理される。なお、予熱装置40、一対の熱プレスローラー41、及び加熱装置42は、断熱壁43で覆われ、内部は窒素などで置換されている。
熱処理された積層体12は、ローラー50を経由して、冷却ローラーと金属ベルトで構成された冷却装置51で、80℃以下に冷却される。その後、冷却された積層体12は、積層体ロール12Aとして、搬送ドラム52に巻き取られる。
大気圧プラズマ装置23、31は、バリア放電型のものを用いると、広幅で均一な処理を行い易いので良い。また、リモートタイプのものを用いると、液晶ポリマーフィルム10の表面分子に過度なダメージを与えにくいので良い。放電に用いるガスとしては、窒素を主体とすると、プラズマ安定性、コスト抑制の点で好ましい。また、窒素に数%から10%程度の空気を添加すると、液晶ポリマーフィルム10の表面に水酸基、カルボニル基、カルボキシル基などを導入し易くなるので良い。
予熱装置40は、複数の加熱ローラーと金属ベルトで構成される。金属ベルトはステンレス製のシームレスベルトを用いると、銅箔11との接触状態が均一な状態を得やすいので良い。また、加熱ローラーは、誘導加熱式のものを用いると、所定の温度を効率良く得やすいので良い。加熱ローラーによるニップ圧は、銅箔11との熱伝導を確保するのに必要十分な圧力で良い。予熱温度は、加熱ローラーの温度で設定し、150℃~熱プレス温度の範囲とすると、液晶ポリマーフィルム10や銅箔11に吸着した水分を除去できると共に、熱プレス時の熱膨張によるシワなどの発生を抑制し易いので良い。
一対の熱プレスローラー41は、圧力制御式のものを用いると、液晶ポリマーフィルム10や銅箔11の厚みが僅かに変動した場合においても、積層条件を安定に再現し易いので好ましい。また、熱プレスローラー41の上下の各加熱ローラーの温度は同じでも良いが、銅箔11側を高くすることにより、液晶ポリマーフィルム10に過度な熱負荷を掛けずに、接合界面を加熱できるので好ましい。
加熱装置42は、複数の加熱ローラーと金属ベルトで構成される。金属ベルトはステンレス製のシームレスベルトを用いると、銅箔11との接触状態が均一な状態を得やすいので良い。また、加熱ローラーは誘導加熱式のものを用いると、300℃以上の温度を効率良く得やすいので良い。加熱ローラーによるニップ圧は、積層体12との熱伝導を確保するのに必要十分な圧力で良い。なお、熱処理時に、液晶ポリマーフィルム10の表面温度を放射温度計などにより測定し、この測定値をフィードバックして加熱ローラーの温度を制御しても良い。
冷却装置51は、複数の冷却ローラーと金属ベルトで構成される。金属ベルトはステンレス製のシームレスベルトを用いると、銅箔11との接触状態が均一な状態を得やすいので良い。加熱ローラーによるニップ圧は、積層体との熱伝導を確保するのに必要十分な圧力で良い。冷却後の積層体12の温度は、80℃以下、好ましくは40℃以下にすると、巻き取られた積層体ロール12Aが、常温まで冷却されたときの内部応力の変化を少なくできるので良い。
次に、実施例及び比較例を挙げて、上記実施形態をさらに具体的に説明する。
[共通条件]
実施例及び比較例で使用した液晶ポリマーフィルム10は、株式会社クラレ製、品番「ベクスターC T S 5 0 N 」、厚み:50μm、幅:270mm、融点:325℃、α緩和温度:製膜時の幅方向236℃、製膜時の長手方向237℃、β緩和温度:製膜時の幅方向105℃、製膜時の長手方向110℃のものを用いた。また、銅箔11は、JX金属株式会社製、電解銅箔、品番「JXEFL-V2」、厚み18μm、幅270mmのものを用いた。
積層体12は、図2に示したロールツーロール法を用いて形成した。このときの加工速度は、1m/min、液晶ポリマーフィルム10の繰出し張力は、100N/m、銅箔11の繰出し張力は、100N/m、積層体12の巻取張力は、150N/mとした。
液晶ポリマーフィルム10の予熱装置40は、加熱ロールの温度を100℃とした。
大気圧プラズマ装置23は、幅270mmのものを5台並べて、電力:1.85W・min/cm、周波数:35kHz~55kHzでプラズマ照射した。大気圧プラズマ装置23と液晶ポリマーフィルム10との間隙は2mmとし、プラズマガスは、窒素95%、乾燥空気5%、総流量100L/min/台とした。
一対の熱プレスローラー41は、加熱ローラーの径:6インチ、加熱ローラーの幅:500mm、プレス面積:5.4cmのものを用い、プレス圧力を30MPaとした。また、断熱壁43の内側雰囲気は、酸素2%以下とした。
[評価方法]
液晶ポリマーフィルム10と銅箔11とのピール強度は、IPC-TM-650に準拠して測定した。
[実施例1]
ロールプレス温度(熱プレスローラー41の上下各加熱ロールの温度)を200℃、熱処理温度(加熱装置42の各加熱ロールの温度)を340℃として、積層体12を20m作製した。340℃は、液晶ポリマーフィルム10の融点325℃+15℃の温度である。
[実施例2]
ロールプレス温度(熱プレスローラー41の上下各加熱ロールの温度)を200℃、熱処理温度(加熱装置42の各加熱ロールの温度)を310℃として、積層体12を20m作製した。310℃は、液晶ポリマーフィルム10の融点325℃-15℃の温度である。
[比較例1]
ロールプレス温度(熱プレスローラー41の上下各加熱ロールの温度)を200℃、熱処理温度(加熱装置42の各加熱ロールの温度)を360℃として、積層体12を20m作製した。360℃は、液晶ポリマーフィルム10の融点325℃+35℃の温度である。
[比較例2]
ロールプレス温度(熱プレスローラー41の上下各加熱ロールの温度)を非加熱(25℃)、熱処理温度(加熱装置42の各加熱ロールの温度)を340℃として、積層体12を20m作製した。
[比較例3]
ロールプレス温度(熱プレスローラー41の上下各加熱ロールの温度)を80℃、熱処理温度(加熱装置42の各加熱ロールの温度)を340℃として、積層体12を20m作製した。80℃は、液晶ポリマーフィルム10のβ緩和温度105℃-25℃である。
[比較例4]
ロールプレス温度(熱プレスローラー41の上下各加熱ロールの温度)を260℃、熱処理温度(加熱装置42の各加熱ロールの温度)を340℃として、積層体12を20m作製した。260℃は、液晶ポリマーフィルム10のα緩和温度236℃+24℃である。
[比較例5]
ロールプレス温度(熱プレスローラー41の上下各加熱ロールの温度)を340℃、熱処理温度を非加熱(25℃)として、積層体12を20m作製した。340℃は、液晶ポリマーフィルム10の融点325℃+15℃の温度である。
表1は、実施例1~2、比較例1~5で形成された積層体12に対して、それぞれ、ピール強度を測定した結果を示した表である。
表1に示すように、実施例1及び実施例2では、ピール強度は6.7N/cm以上となり、実用上、問題ない強度であった。また、外観も正常であった。
比較例1は、ピール強度は8.1N/cmと、問題ない強度であったが、液晶ポリマーフィルム10が褐色に変化していた。これは、熱処理温度が融点よりも高すぎると、液晶ポリマーフィルム10が酸化劣化したためと考えられる。
比較例2では、ピール強度は、2.8~4.8N/cmとバラツキが大きく、かつ、実用上、不十分な値であった。これは、ピール強度不足の原因は、ロールプレス温度が低すぎて、液晶ポリマーフィルム10と銅箔11との密着力がほとんど得られなかったためと考えられる。バラツキが大きくなった原因は、液晶ポリマーフィルム10が、部分的に面方向に配向した領域が残っていたためと考えられる。
比較例3では、ピール強度が5.8N/cmで、実用上、不十分な値であった。これは、ロールプレス温度が低く、液晶ポリマーフィルム10と銅箔11との密着力が十分に得られなかったためと考えられる。
比較例4では、ピール強度が5.5N/cmで、実用上、不十分な値であった。これは、ロールプレス温度が高く、液晶ポリマーフィルム10の分子が、面方向に強く配向してしまい、熱処理で十分ランダム化できなかったためと考えられる。また、液晶ポリマーフィルム10の膜厚が減少し、端部は銅箔からはみ出た部分が見られた。これは、ロールプレス時に液晶ポリマーフィルム10が軟化した状態に対して、プレス圧が過剰だったためと考えられる。
比較例5では、ピール強度が3.4~5.2N/cmとバラツキが大きく、かつ、実用上、不十分な値であった。これは、液晶ポリマーフィルム10と銅箔11とを、液晶ポリマーフィルムの融点以上の温度で、熱圧着して積層体12を形成したため、液晶ポリマーフィルム10の分子配向が残り、液晶ポリマーフィルム10が厚み方向に破壊されたためと考えられる。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。
10 液晶ポリマーフィルム
10a 液晶ポリマーフィルムの表面
11 銅箔
12 積層体
12A 積層体ロール
23、31 大気圧プラズマ装置
40 予熱装置
41 熱プレスローラー
42 加熱装置
43 断熱壁
51 冷却装置

Claims (5)

  1. 液晶ポリマーフィルムと銅箔とが積層された積層体の製造方法であって、
    前記液晶ポリマーフィルムは、積層前では、面に平行な方向に分子配向しており、
    前記液晶ポリマーフィルムの表面をプラズマ処理して、前記液晶ポリマーフィルムの表面に、親水基である官能基を付与する工程(A)と、
    前記液晶ポリマーフィルムのプラズマ処理した面を前記銅箔に対向させて、前記液晶ポリマーフィルムと前記銅箔とを、前記官能基の運動が活性化する第1の温度で熱圧着して、前記積層体を形成する工程(B)と、
    前記積層体を、前記第1の温度より高く、前記液晶ポリマーフィルムの分子配向がランダムになる第2の温度で熱処理する工程(C)と、
    前記積層体を、前記液晶ポリマーフィルムの再配向が促進しない80℃以下の温度まで急冷する工程(D)と
    を含み、
    前記工程(B)において、前記第1の温度は、前記液晶ポリマーフィルムのβ緩和温度以上、α緩和温度以下であり、
    前記工程(C)において、前記第2の温度は、前記液晶ポリマーフィルムの融点よりも20℃低い温度以上であって、前記液晶ポリマーフィルムの融点よりも20℃高い温度以下である、積層体の製造方法。
  2. 前記工程(A)において、前記プラズマ処理に用いるガスは、アルゴン、窒素、空気、水蒸気、二酸化炭素の何れか、または、これらのうち2種以上を混合したガスである、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記工程(A)において、前記液晶ポリマーフィルムの表面に付与される前記官能基は、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基の何れかである、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記工程(A)において、前記プラズマ処理は、大気圧プラズマ処理で行われる、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  5. 前記工程(A)、前項工程(B)、前記工程(C)、及び前記工程(D)は、ロールツーロール法により、一連の工程として実施される、請求項に記載の積層体の製造方法。
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