JP2015012055A - 回路基板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱可塑性液晶ポリマーフィルム(以下、液晶ポリマーフィルムと称する場合がある)と銅箔とのピール強度が向上され、かつ耐熱性に優れる回路基板、およびその製造方法を提供する。【解決手段】回路基板は、銅箔14と熱可塑性液晶ポリマーフィルム16とを少なくとも含み、この熱可塑性液晶ポリマーフィルム16が少なくとも一方の銅箔面に対して熱圧着されている回路基板であって、前記銅箔面に設けられた銅箔表面は、多数の島部15と、これらの島部15を取り囲み底部に向かって突出する溝部13と、を有し、前記島部15は、その80%以上が非針状の先端形状を有し、前記溝部13は、平均深さが0.5〜3μmである【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性液晶ポリマーフィルム(以下、液晶ポリマーフィルムと称する場合がある)と銅箔とのピール強度が向上され、かつ耐熱性に優れる回路基板、およびその製造方法に関する。
近年、PCなど情報処理分野、携帯電話などの通信機器分野の発展は目覚ましく、このようなエレクトロニクスや通信機器に使用される周波数は、ギガヘルツの領域にシフトしている。しかしながら、一般にこのような高周波帯域では、伝送損失が大きくなることが知られている。
そこで、高速伝送時の伝送損失を小さくして、情報処理速度、すなわち伝播速度を向上させるため、誘電特性に優れる電気絶縁性基板材料が求められている。
例えば、特許文献1(国際公開WO2012/020818号パンフレット)には、液晶ポリマー層の片面又は両面に金属箔を有する金属張積層板において、金属箔は、液晶ポリマー層と接する面が粗化処理されて表層部に突起物を有し、該突起物の根本部分の幅Lに対する突起物の高さHの比で表されるアスペクト比(H/L)が3〜20の範囲であると共に、突起物の高さが0.1〜2μmの範囲であり、液晶ポリマー層は、10〜200μmの厚さを有して、膜厚公差が6%未満であることを特徴とする金属張積層板が開示されている。この文献の実施例では、突起物の角度が3〜7°程度の鋭角である銅箔が使用されている。
国際公開WO2012/020818号パンフレット
しかしながら、特許文献1では、液晶ポリマーフィルムと金属箔との層間接着性に着目しているのみであって、金属箔に対する液晶ポリマーフィルムの充填性については何ら考慮されていない。
従って、本発明の目的は、液晶ポリマーフィルムと銅箔とのピール強度を向上させるだけでなく、粗化処理により銅箔に凹凸を設けた場合であっても、液晶ポリマーが銅箔の凹凸に対して良好に充填されている回路基板を提供することにある。
本発明の別の目的は、このような回路基板を、効率よく製造できる製造方法を提供することにある。
本発明の発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、(1)銅箔から突出する針状の突起物を形成した場合、このような突起物が液晶ポリマーフィルムに対してアンカー効果を生じ、銅箔と液晶ポリマーフィルムとの間でのピール強度を向上させること、(2)しかしその一方で、このような突起物が銅箔表面に多数存在する場合、熱圧着時において高い粘性を有する液晶ポリマーフィルムでは、アンカー効果によりピール強度が向上できたとしても、液晶ポリマーフィルムの高い粘性が障害となり、突起物の奥まで熱可塑性ポリマーが充てんされない場合が存在すること、(3)このような空隙は、基板を高温下で使用中に基板に対して膨れを生じさせる原因となることを見出した。
そして、この問題点を解決するためにさらに研究を進めた結果、(4)銅箔表面に対して突出した突出部を形成するのではなく、むしろ銅箔表面に深い溝を形成する場合、すなわち、銅箔に対して多数の島部と、これらの島部を取り囲み、特定の深さを有する溝部とを形成すると、低いせん断速度において高い粘性を有する液晶ポリマーが銅箔に対して良好に充填されるとともに、液晶ポリマーフィルムと銅箔との間のピール強度を保持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の実施態様は、銅箔と熱可塑性液晶ポリマーフィルムとを少なくとも含み、この熱可塑性液晶ポリマーフィルムが少なくとも一方の銅箔面に対して熱圧着されている回路基板であって、
前記銅箔面に設けられた銅箔表面は、多数の島部と、これらの島部を取り囲み底部に向かって突出する溝部と、を有し、
前記島部は、その80%以上が非針状の先端形状を有し、
前記溝部は、平均深さが0.5〜3μmである、回路基板である。
前記回路基板では、例えば銅箔に形成された島部の平均幅は、0.6〜5μmの範囲にあってもよく、また溝部の平均幅は、0.05〜1.0μmの範囲にあってもよい。さらに、単位面積当たりの島部と溝部との割合(面積比)は、島部/溝部=40/60〜90/10程度であってもよい。
また、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの300℃での溶融粘度(周波数1Hz)が100Pa・s以上であってもよい。さらに、熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、回路基板において、ボンディングシートおよびカバーフィルムからなる群から選択される少なくとも一種として用いられていてもよい。
このような回路基板は、例えば、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点(Mp)−30℃で60分間熱処理した場合、回路基板表面に高さ100μm以上の膨れが生じるのを防ぐことができる。また、回路基板において、所定の形状を有する銅箔と熱可塑性液晶ポリマーフィルムとの接着面間のピール強度が、例えば、0.4kN/m以上であってもよい。
また、本発明の第2の実施形態は、このような回路基板を製造する方法である。前記製造方法は、
熱可塑性液晶ポリマーフィルムおよび銅箔を用意する工程と、
前記銅箔の少なくとも一方の面に対して処理液を適用し、銅箔処理面に対して、多数の島部と、これらの島部を取り囲み底部に向かって突出する溝部と、を形成するための浮彫処理工程であって、前記島部は、その80%以上が略平滑端の先端形状を有し、前記溝部は、平均深さが0.5〜3μmである浮彫処理工程と、
前記浮彫処理された銅箔処理面に対して、前記熱可塑性液晶ポリマーフィルムを熱圧着させる熱圧着工程と、を少なくとも備える。
銅箔表面が特定の形状を有しているため、本発明の製造方法では、例えば、前記熱圧着工程において、浮彫処理された銅箔処理面と、熱可塑性液晶ポリマーフィルムとを4Mpa以下で真空プレス処理をした場合であっても、液晶ポリマーの銅箔への充填性を向上することができる。
本発明の回路基板では、熱可塑性液晶ポリマーフィルムと銅箔との層間接着性を高めるとともに、フィルムと銅箔の界面に、基板の膨れの原因となる空隙が形成されるのを抑制し、回路基板の耐熱性を向上することができる。
本発明の回路基板の製造方法では、このような耐熱性に優れる回路基板を、効率よく製造することが可能である。
この発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、この発明の範囲を定めるために利用されるべきでない。この発明の範囲は添付のクレームによって定まる。
本発明の一実施形態に係る回路基板における銅箔と液晶ポリマーフィルムとの接着面を説明するための概略断面図である。 本発明の実施例1で得られた積層体における銅箔表面を示すSEM写真(倍率5000倍)である。 本発明の実施例2で得られた積層体における銅箔表面を示すSEM写真(倍率5000倍)である。 本発明の比較例1で得られた積層体における銅箔表面を示すSEM写真(倍率5000倍)である。 本発明の比較例2で得られた積層体における銅箔表面を示すSEM写真(倍率5000倍)である。 本発明の比較例3で得られた積層体における銅箔表面を示すSEM写真(倍率5000倍)である。 従来技術に係る回路基板における銅箔と液晶ポリマーフィルムとの接着面を説明するための概略断面図である。
本発明の回路基板は、銅箔と熱可塑性液晶ポリマーフィルムとを少なくとも含み、この熱可塑性液晶ポリマーフィルムが一方の銅箔面に対して熱圧着されている回路基板である。
図1は、本発明の一実施形態に係る回路基板における銅箔と液晶ポリマーフィルムとの接着面を説明するための概略断面図であり、図7は、従来技術に係る回路基板における銅箔と液晶ポリマーフィルムとの接着面を説明するための概略断面図である。
図7に示すように、回路基板において、多数の突出部102を有する銅箔104では、液晶ポリマーフィルム106に対してこれらの突出部102を突き刺すことにより、液晶ポリマーフィルム106へのアンカー効果を生じさせて、液晶ポリマーフィルム106と銅箔104とのピール強度を向上させている。
しかし、このような突出部102を有する銅箔104では、接着時において高粘度を有する液晶ポリマーフィルム106が突出部102によって形成された銅箔の凹凸に対して良好に充填されず、その結果、銅箔104と液晶ポリマーフィルム102との界面に空隙108を生じてしまう虞がある。
一方、本発明では、図1に示すように、銅箔14には、多数の島部15と、これらの島部を取り囲み、所定の深さを有する溝部13が形成されている。このような構造は、エッチング効果のある処理液を銅箔に対して適用することにより形成される。
従来技術では銅箔に対して、電気化学的な処理などにより析出させた鋭く尖った突出部を付加しているが、本発明では浮き出し処理によって、銅箔14に対して凹入した溝部13を形成することにより島部15を浮き上がらせている。このような島部15を有することにより、熱圧着時に液晶ポリマーが銅箔の凹凸に対して良好に追随し、溝部13へと充填されるため、液晶ポリマーフィルム16と銅箔14とのピール強度を向上しつつ、液晶ポリマーフィルム16と銅箔14との界面において問題となる空隙が生じるのを抑制することが可能となる。
(熱可塑性液晶ポリマーフィルム)
熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、溶融成形できる液晶性ポリマーから形成され、この熱可塑性液晶ポリマーは、溶融成形できる液晶性ポリマーであれば特にその化学的構成については特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性液晶ポリエステル、又はこれにアミド結合が導入された熱可塑性液晶ポリエステルアミドなどを挙げることができる。
また熱可塑性液晶ポリマーは、芳香族ポリエステルまたは芳香族ポリエステルアミドに、更にイミド結合、カーボネート結合、カルボジイミド結合やイソシアヌレート結合などのイソシアネート由来の結合等が導入されたポリマーであってもよい。
本発明に用いられる熱可塑性液晶ポリマーの具体例としては、以下に例示する(1)から(4)に分類される化合物およびその誘導体から導かれる公知の熱可塑性液晶ポリエステルおよび熱可塑性液晶ポリエステルアミドを挙げることができる。ただし、光学的に異方性の溶融相を形成し得るポリマーを形成するためには、種々の原料化合物の組合せには適当な範囲があることは言うまでもない。
(1)芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物(代表例は表1参照)
Figure 2015012055
(2)芳香族または脂肪族ジカルボン酸(代表例は表2参照)
Figure 2015012055
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸(代表例は表3参照)
Figure 2015012055
(4)芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸(代表例は表4参照)
Figure 2015012055
これらの原料化合物から得られる液晶ポリマーの代表例として表5および6に示す構造単位を有する共重合体を挙げることができる。
Figure 2015012055
Figure 2015012055
これらの共重合体のうち、p―ヒドロキシ安息香酸および/または6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を少なくとも繰り返し単位として含む重合体が好ましく、特に、(i)p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸との繰り返し単位を含む重合体、(ii)p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香族ヒドロキシカルボン酸と、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびヒドロキノンからなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香族ジオールと、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香族ジカルボン酸との繰り返し単位を含む重合体が好ましい。
例えば、(i)の重合体では、熱可塑性液晶ポリマーが、少なくともp−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸との繰り返し単位を含む場合、繰り返し単位(A)のp−ヒドロキシ安息香酸と、繰り返し単位(B)の6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸とのモル比(A)/(B)は、液晶ポリマー中、(A)/(B)=10/90〜90/10程度であるのが望ましく、より好ましくは、(A)/(B)=50/50〜85/15程度であってもよく、さらに好ましくは、(A)/(B)=60/40〜80/20程度であってもよい。
また、(ii)の重合体の場合、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香族ヒドロキシカルボン酸(C)と、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびヒドロキノンからなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香族ジオール(D)と、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の芳香族ジカルボン酸(E)の、液晶ポリマーにおける各繰り返し単位のモル比は、芳香族ヒドロキシカルボン酸(C):前記芳香族ジオール(D):前記芳香族ジカルボン酸(E)=30〜80:35〜10:35〜10程度であってもよく、より好ましくは、(C):(D):(E)=35〜75:32.5〜12.5:32.5〜12.5程度であってもよく、さらに好ましくは、(C):(D):(E)=40〜70:30〜15:30〜15程度であってもよい。
また、芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位と芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単位とのモル比は、(D)/(E)=95/100〜100/95であることが好ましい。この範囲をはずれると、重合度が上がらず機械強度が低下する傾向がある。
なお、本発明にいう溶融時における光学的異方性とは、例えば試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を観察することにより認定できる。
熱可塑性液晶ポリマーとして好ましいものは、融点(以下、Mpと称す)が260〜360℃の範囲のものであり、さらに好ましくはMpが270〜350℃のものである。なお、Mpは示差走査熱量計((株)島津製作所DSC)により主吸熱ピークが現れる温度を測定することにより求められる。
前記熱可塑性液晶ポリマーには、本発明の効果を損なわない範囲内で、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂等の熱可塑性ポリマー、各種添加剤、充填剤を添加してもよい。
本発明に使用される熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、熱可塑性液晶ポリマーを押出成形して得られる。熱可塑性液晶ポリマーの剛直な棒状分子の方向を制御できる限り、任意の押出成形法が適用できるが、周知のTダイ法、ラミネート体延伸法、インフレーション法などが工業的に有利である。特にインフレーション法やラミネート体延伸法では、フィルムの機械軸方向(または機械加工方向:以下、MD方向と略す)だけでなく、これと直交する方向(以下、TD方向と略す)にも応力が加えられ、MD方向とTD方向における誘電特性を制御したフィルムが得られる。
押出成形では、配向を制御するために、延伸処理を伴うのが好ましく、例えば、Tダイ法による押出成形では、Tダイから押出した溶融体シートを、フィルムのMD方向だけでなく、これとTD方向の双方に対して同時に延伸してもよいし、またはTダイから押出した溶融体シートを一旦MD方向に延伸し、ついでTD方向に延伸してもよい。
また、インフレーション法による押出成形では、リングダイから溶融押出された円筒状シートに対して、所定のドロー比(MD方向の延伸倍率に相当する)およびブロー比(TD方向の延伸倍率に相当する)で延伸してもよい。
このような押出成形の延伸倍率は、MD方向の延伸倍率(またはドロー比)として、例えば、1.0〜10程度であってもよく、好ましくは1.2〜7程度、さらに好ましくは1.3〜7程度であってもよい。また、TD方向の延伸倍率(またはブロー比)として、例えば、1.5〜20程度であってもよく、好ましくは2〜15程度、さらに好ましくは2.5〜14程度であってもよい。
MD方向とTD方向とのそれぞれの延伸倍率の比(TD方向/MD方向)は、例えば、2.6以下、好ましくは0.4〜2.5程度であってもよい。
また、熱可塑性液晶ポリマーフィルムには、押出成形した後に、必要に応じて延伸を行ってもよい。延伸方法自体は公知であり、二軸延伸、一軸延伸のいずれを採用してもよいが、分子配向度を制御することがより容易であることから、二軸延伸が好ましい。また、延伸は、公知の一軸延伸機、同時二軸延伸機、逐次二軸延伸機などが使用できる。
また、必要に応じて、公知または慣用の熱処理を行い、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点および/または熱膨張係数を調整してもよい。熱処理条件は目的に応じて適宜設定でき、例えば、液晶ポリマーの融点(Mp)−10℃以上(例えば、Mp−10〜Mp+30℃程度、好ましくはMp〜Mp+20℃程度)で数時間加熱することにより、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点を上昇させてもよい。
(熱可塑性液晶ポリマーフィルム)
このようにして得られた本発明の熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、優れた誘電特性、低吸湿性などを有しているため、回路基板材料として好適に用いることができる。
また、熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、その剛直な構造に由来して、一般に低せん断領域での溶融粘度が高く、例えば、300℃における熱可塑性液晶ポリマーフィルムの溶融粘度(せん断速度1,000秒−1)は、例えば、100Pa・s以上であってもよく、好ましくは200〜100,000Pa・s程度(例えば150〜100,000Pa・s程度)、より好ましくは200〜10,000Pa・s程度であってもよい。なお、溶融粘度は、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点は、フィルムの所望の耐熱性および加工性を得る目的において、200〜400℃程度の範囲内で選択することができ、好ましくは250〜360℃程度、より好ましくは260〜340℃程度であってもよい。なお、融点は、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
なお、回路基板が、複数の熱可塑性液晶ポリマーフィルムを用いる多層回路基板である場合、多層回路基板は、融点の異なる複数の熱可塑性液晶ポリマーフィルムで構成されていてもよい。この場合、高い耐熱性を有する高融点液晶ポリマーフィルムと、このフィルムよりも低い耐熱性を有する低融点液晶ポリマーフィルムとの融点差は5〜80℃程度であることが好ましく、10〜60℃程度がより好ましい。
また、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの25GHzにおける誘電正接は、例えば、0.0025以下(例えば、0.0001〜0.0023程度)、好ましくは0.0010〜0.0022程度であってもよい。このような誘電正接を有することにより、低電力化や低ノイズ化が可能となる。
熱可塑性液晶ポリマーフィルムの比誘電率は、フィルムの厚みに応じて異なるが、例えば、25GHzにおける熱可塑性液晶ポリマーフィルムのTD方向の比誘電率は、3.25以下(例えば、1.8〜3.23程度)、好ましくは2.5〜3.20程度であってもよい。なお、一般的に、誘電率は、比誘電率に対して真空の誘電率(=8.855×10−12(F/m))を乗じることにより算出できる。
また、本発明において使用される熱可塑性液晶ポリマーフィルムは吸湿性が低く、その平衡水分率は、例えば1.5%以下(例えば、0.01〜1.4%)、好ましくは1.3%以下、さらに好ましくは1.0%以下であってもよい。
本発明において使用される熱可塑性液晶ポリマーフィルムは、任意の厚みであってもよく、そして、5mm以下の板状またはシート状のものをも包含する。ただし、高周波伝送線路に使用する場合は、厚みが厚いほど伝送損失が小さくなるので、できるだけ厚みを厚くするのが好ましい。電気絶縁層として熱可塑性液晶ポリマーフィルムを用いる場合、そのフィルムの膜厚は、10〜500μmの範囲内にあることが好ましく、15〜200μmの範囲内がより好ましい。フィルムの厚さが薄過ぎる場合には、フィルムの剛性や強度が小さくなることから、フィルム膜厚10〜200μmの範囲のフィルムを積層させて任意の厚みを得る方法を使用してもよい。
(銅箔)
本発明で用いられる銅箔は、回路基板において用いられる銅箔であれば、特に限定されず、圧延銅箔、電解銅箔のいずれであってもよい。まだ、銅箔は、銅と他の金属の合金であってもよい。
銅箔の厚さは、例えば、5〜150μmであってもよく、好ましくは6〜130μm、より好ましくは9〜110μmの範囲であってもよい。
また、本発明において回路基板を製造する際に用いられる銅箔は、銅箔単独として使用してもよいし、銅箔と基板フィルムとの積層体として使用してもよい。この場合、前記基板フィルムとしては、回路基板に使用可能な各種フィルムを使用可能であるが、好ましい基板フィルムは、熱可塑性液晶ポリマーフィルムである。
また、銅箔と基板フィルムとの積層体において、銅箔は、回路パターンが形成された状態であってもよい。本発明では、回路パターンが形成された状態であっても、銅箔に由来する回路パターンである場合、便宜上銅箔と称する場合がある。
(回路基板の製造方法)
本発明の回路基板は、熱可塑性液晶ポリマーフィルムおよび銅箔を用意する工程と、
前記銅箔の少なくとも一方の面に対して処理液を適用し、銅箔に対して、多数の微小な島部と、これらの島部を取り囲んでおり、平均深さ0.5〜3μmで底部に向かって突出する溝部と、を形成するための浮彫処理工程と、
前記浮彫処理された銅箔処理面に対して、前記熱可塑性液晶ポリマーフィルムを熱圧着させる熱圧着工程と、を少なくとも備える製造方法によって得ることができる。
(浮彫処理工程)
浮彫処理工程では、前記銅箔の少なくとも一方の面に対して処理液を適用し、銅箔に対して多数の微小な島部、およびこれらの島部を取り囲んでいる溝部を形成する。
浮彫処理としては、所定の島・溝形状を形成できる限り、特に限定されないが、例えば、ネオブラウン処理を利用して上記形状を銅箔に対して形成することができる。
ネオブラウン処理では、主剤として過酸化水素−硫酸を含む処理液を、被処理面を有する銅箔に対し、スプレー、塗布、浸漬などにより適用し、銅箔表面を粗化することができる。また、助剤は、エッチングレート等を調節する観点から適宜設定され、例えば、アゾール類などの複素環状化合物、ハロゲン化物(例えば、塩化ナトリウムなどの塩化物)などを利用することができる。
処理液中の過酸化水素および硫酸の濃度は、目的とする島部の形状や溝部の深さに応じて適宜設定することができ、例えば、過酸化水素濃度は、10〜200g/Lであってもよく、好ましくは20〜150g/L程度であってもよい。
また、硫酸濃度は、20〜300g/Lであってもよく、好ましくは40〜200g/L程度であってもよい。
このような処理液は、例えば、(株)JCUから、エバケムネオブラウンNBDIIシリーズとして上市されている。
また、浮彫処理において、処理液は単数回適用されるのであってもよいし、複数回(例えば、2〜3回)適用されるのであってもよい。また、浸漬する場合、一回当たりの処理時間は、処理液の種類や、溝部に求められる深さなどによって適宜設定することができるが、例えば、10〜100秒程度、好ましくは15〜80秒程度であってもよい。
(島部および溝部)
浮彫処理によって、銅箔の処理面には、多数の島部、およびこれらの島部を取り囲み、所定の深さを有する溝部が形成される。島部のうち、その80%以上が非針状の先端形状を有している。ここで、非針状とは、島部の幅Lに対する島部の高さ(すなわち島部を形成する溝部の深さ)Hの比(H/L)が3未満、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下であることを意味している。
好ましくは、島部は、その80%以上が、略平滑端(略鈍端)を有している。なお、略平滑端において、その表面は、実質的にアンカー効果を有さない浅いくぼみを有していてもよい。ここで、浅いくぼみとは、島部の表面に形成され、深さ0.2μm未満のくぼみを意味している。
銅箔が、このような微小な島部を有することにより、熱圧着温度において高い粘性を有する液晶ポリマーフィルムを用いた場合であっても、銅箔部凹凸に対して液晶ポリマーを良好に充填することが可能となる。
低せん断速度において高粘度である液晶ポリマーを良好に充填させる観点から、島部の平均幅は、例えば、0.6〜5μmであってもよく、好ましくは0.8〜4μm、より好ましくは1〜3μmであってもよい。なお、島部の平均幅は、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
また、液晶ポリマーフィルムと銅箔との接着性を向上させる観点から、島部を取り囲む溝部の平均深さは、好ましくは0.8〜4μm、より好ましくは1〜3μmであってもよい。なお、溝部の平均深さは、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
また、溝部は、その平均幅が、例えば、0.05〜1.0μmであってもよく、好ましくは0.08〜0.8μm、より好ましくは0.1〜0.6μmであってもよい。なお、溝部の平均幅は、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。
さらに、単位面積(100μm)当たりの島部と溝部との割合(面積比)としては、例えば、島部/溝部=40/60〜90/10程度であってもよく、好ましくは45/55〜85/15程度、より好ましくは50/50〜80/20程度であってもよい。なお、この面積比は、後述する実施例に記載された方法により測定された値を示す。また、回路が形成されている場合は、回路部の合計面積が単位面積となった時点で面積比を算出する。
(熱圧着工程)
熱圧着工程では、浮彫処理された銅箔処理面に対して、前記熱可塑性液晶ポリマーフィルムを重ね合わせ、所定の圧力下で加熱し、両者を熱圧着させる。
熱圧着は、真空熱プレス装置や加熱ロール積層設備等を用いて行うことができるが、液晶ポリマーの銅箔凹凸への充填性を高める観点から、真空熱プレス装置を用いるのが好ましい。
熱圧着の際の加熱温度は、接着される熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点をMpとすると、例えば(Mp−20)℃〜(Mp+20)℃の範囲であってもよく、好ましくは(Mp−10)℃〜(Mp+10)℃程度であってもよい。
また、熱圧着時に加える圧力は、液晶ポリマーフィルムの性質に応じて、例えば、0.5〜6Mpaの広い範囲から選択することができるが、本発明で用いる銅箔は、所定の表面形状を有しているため、圧力が4Mpa以下、特に3Mpa以下であっても、液晶ポリマーフィルムとの良好な接着が可能である。
上記銅箔と熱可塑性液晶ポリマーフィルムとの熱圧着工程は、回路基板の製造工程で行われるいずれの段階で行われてもよい。
例えば、このような熱圧着工程は、(i)液晶ポリマーフィルムと浮彫処理された銅箔とを熱圧着させ、銅張積層体を得る段階、(ii)銅箔に対して回路パターンが形成された回路基板を少なくとも2枚用い、浮彫処理された回路面に対して、ボンディングシートとして液晶ポリマーフィルムを熱圧着させる段階、(iii)単層または多層回路基板において、浮彫処理された回路面に対してカバーフィルムとして液晶ポリマーフィルムを熱圧着させる段階などのいずれにおいても行われてもよい。
これらのうち、上記に規定する熱圧着工程は、上記(ii)または(iii)の段階で行われるのが好ましく、特に(ii)の段階で行われるのが好ましい。
熱圧着工程を経た熱可塑性液晶ポリマーフィルムと銅箔との接合体は、必要に応じて、公知又は慣用に行われている各種製造工程(例えば、回路形成工程、貫通接続工程、層間接続工程、部品実装工程など)を経て、回路基板として製造される。
(回路基板)
回路基板は、単層回路基板であっても、多層回路基板であっても、いずれでもよい。
さらに、本発明の回路基板は、将来的に回路として用いられる観点から、回路が形成されていない銅箔と熱可塑性液晶ポリマーフィルムとを少なくとも含む銅張積層板を含んでいてもよい。
回路基板が多層回路基板である場合、回路基板は、複数の液晶ポリマーフィルムで構成されていてもよい。
その場合、多層回路基板は、浮彫処理された銅箔面と接着する液晶ポリマーフィルムは、少なくとも2枚の内層基板間を接着するためのボンディングシートとして用いられてもよいし、内層基板の外側に形成されるカバーフィルムまたは外層基板として用いられてもよい。
また、回路基板が複数の液晶ポリマーフィルムを備える場合、各液晶ポリマーフィルムは、互いに異なる融点を有してもよい。その場合、浮彫処理された銅箔面は、より低融点のフィルムと接合されていてもよい。
本発明の回路基板では、銅箔の凹凸に対して液晶ポリマーが良好に充填されるため、銅箔の凹凸と液晶ポリマーとの間に存在する空隙を低減することが可能である。
例えば、本発明の回路基板では、回路基板を(Mp−30)℃の環境下、60分間保持した場合であっても、回路基板表面に、高さ100μm以上の膨れが生じるのを防ぐことが可能である。
また、本発明の回路基板は、銅箔と液晶ポリマーフィルムとの接着性を確保することができ、例えば、浮彫処理された銅箔と、この銅箔に接着している熱可塑性液晶ポリマーフィルムとのピール強度は、0.4kN/m以上(例えば、0.4〜2kN/m)であってもよく、好ましくは0.5kN/m以上であってもよい。
本発明の回路基板は、誘電特性に優れる熱可塑性液晶ポリマーを絶縁材料として用いているため、特に高周波回路基板として好適に用いることができる。高周波回路は、単に高周波信号のみを伝送する回路からなるものだけでなく、高周波信号を低周波信号に変換して、生成された低周波信号を外部へ出力する伝送路や、高周波対応部品の駆動のために供給される電源を供給するための伝送路等、高周波信号ではない信号を伝送する伝送路も同一平面上に併設された回路も含まれる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例においては、下記の方法により各種物性を測定した。
[融点]
示差走査熱量計を用いて、フィルムの熱挙動を観察して得た。つまり、供試フィルムを20℃/分の速度で昇温して完全に溶融させた後、溶融物を50℃/分の速度で50℃まで急冷し、再び20℃/分の速度で昇温した時に現れる吸熱ピークの位置を、フィルムの融点として記録した。
[溶融粘度Pa・s]
粘弾性レオメータ(TA Instrument Japan製AR2000)を用い、昇温速度3℃/分、周波数1Hz、ひずみ0.1%、法線応力5Nの条件下で測定した。
[膜厚]
膜厚は、デジタル厚み計(株式会社ミツトヨ製)を用い、得られたフィルムをTD方向に1cm間隔で測定し、中心部および端部から任意に選んだ10点の平均値を膜厚とした。
(溝部の深さ)
溝部の深さは、触針式の表面粗さ計((株)ミツトヨ製 リーフテスト SJ−201P)を用い、JIS B0601−2001に従って、最大粗さRzを測定した。0.8mm長を3回測定した。Rzの平均値を溝部の深さとした。
(島部および溝部の幅)
走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−T20)を用い、測定倍率5000倍で撮影された正面写真について、銅箔に形成された島部の各種形状を測定した。島部の幅としては、ランダムに選択された20個の島部について、銅箔の深さ約0.05μmにおいて最も幅が広い部分をその島の幅として測定し、10個の島の平均値をその島の平均幅として算出した。なお、島部は、深さ0.2μm以上の溝部に囲まれたものを島部として認定した。
また、溝部の幅としては、深さ0.2μm以上のものを溝部として認定し、銅箔の深さ約0.05μmにおいて銅箔表面から凹入する部分の最も幅が広い部分をその溝部の幅として測定し、10個の溝部の平均値をその溝部の平均幅として算出した。
(島部および溝部の面積比)
走査型電子顕微鏡(SEM)で撮像した20×30μmの写真を画像処理し、島部と溝部のコントラストを強調し、さらに2値化することで面積比を算出した。
(耐熱性試験)
実施例および比較例で得られた多層配線板を、オーブンにおいて250℃の環境下、60分間静置し、60分後に積層体に膨れが生じているか否かを目視により観察した。
なお、積層体表面に、高さ100μm以上の盛り上がりを認めた際、膨れが生じていると判断した。
(接着強度の測定方法)
JIS C5016−1994に準拠して、毎分50mmの速度で、浮彫処理された銅箔を、この銅箔の浮彫処理面に熱圧着されたフィルムに対して90°の方向に引きはがしながら、引っ張り試験機[日本電産シンポ(株)製、デジタルフォースゲージFGP-2]により、銅箔の引きはがし強さを測定し、得られた値を接着強度とした。
(実施例1)
融点335℃、膜厚50μm、溶融粘度20,000Pa・sの熱可塑性液晶ポリマーフィルム((株)クラレ製、CT−Z)に対して、電解銅箔(JX日鉱日石金属(株)製、JTC−AM)を重ね合わせ、真空熱プレス装置を用いて、加熱盤を295℃に設定し、4MPaの圧力下、10分間、圧着して、電解銅箔/熱可塑性液晶ポリマーフィルム/電解銅箔の構成の積層体(A)を作製した。得られた積層体の銅箔面に回路パターンを化学エッチング法により作製し、回路パターンを有する積層体(B)を得た。
粗化処理として、積層体(B)に対して、ネオブラウン処理液((株)JCU製、エバケムネオブラウンNBSII)を室温(30℃)において26秒間浸漬し、積層体(B)に形成された銅箔(回路パターン)の浮彫処理を行った。粗化処理後の銅箔表面を5000倍で拡大した走査型顕微鏡写真を図2に示す。図2に示すように、浮彫処理によって、銅箔表面には、数多くの島部と、島部の周りを取り囲む深い溝部が形成されている。なお、島部のうち、その80%以上が非針状の先端形状である略平滑端を有している。
浮彫処理された積層体(B)2枚の間に、融点280℃、膜厚50μm、溶融粘度200Pa・sの熱可塑性液晶ポリマーフィルム((株)クラレ製、CT−F))を挟み込んだ状態でこれらを重ね合わせ、真空熱プレス装置を用いて、加熱盤を295℃に設定し、1MPaの圧力下、30分間、圧着して、積層体(B)/熱可塑性液晶ポリマーフィルム/積層体(B)の構成の多層配線板を作製した。
(実施例2)
積層体(B)に対して、実施例1で行われた浮彫処理を2回繰り返す以外は、実施例1と同様にして多層配線板を作製した。粗化処理後の銅箔表面を5000倍で拡大した走査型顕微鏡写真を図3に示す。図3に示すように、浮彫処理によって、銅箔表面には、数多くの島部と、島部の周りを取り囲む深い溝部が形成されている。なお、島部のうち、その80%以上が非針状の先端形状である略平滑端を有している。
(比較例1)
粗化処理を行わない以外は、実施例1と同様にして多層配線板を作製した。銅箔表面を5000倍で拡大した走査型顕微鏡写真を図4に示す。図4に示すように、銅箔表面には島部も溝部も形成されていない。
(比較例2)
粗化処理において、亜塩素酸ナトリウム31g/L、水酸化ナトリウム15g/L、およびリン酸三ナトリウム12g/Lを含む黒化処理液を用い、95℃で2分間粗化処理を行う以外は、実施例1と同様にして多層配線板を作製した。粗化処理後の銅箔表面を5000倍で拡大した走査型顕微鏡写真を図5に示す。図5に示すように、銅箔表面には。とげ状の先端を有する突出部が数多く形成されている。
(比較例3)
粗化処理において、酢酸銅30g/L、硫酸銅24g/L、硫化バリウム24g/Lおよび塩化アンモニウム24g/Lを含むブラウン処理液を用い、95℃で2分間粗化処理を行う以外は、実施例1と同様にして多層配線板を作製した。粗化処理後の銅箔表面を5000倍で拡大した走査型顕微鏡写真を図6に示す。図6に示すように、銅箔表面には、略平滑端を先端に有する島部が形成されているが、これらの島部を取り囲む溝部は、その深さが0.2μm未満のごく浅いものであり、本明細書に規定する溝部に該当しない。
得られた積層体および多層配線板の物性を、表7に示す。
Figure 2015012055
表7に示すように、実施例1および2の浮彫処理によって、銅箔表面に略平滑端を先端に有する島部と、島部の周りを取り囲む深い溝部が形成されている。このような処理面を有する銅箔と液晶ポリマーフィルムとは、粗化処理を行わない比較例1と比べ高いピール強度を有するとともに、耐熱性試験においても膨れが発生するのを抑制できる。
また、比較例2および比較例3では、ピール強度は高いものの、液晶ポリマーの銅箔表面への充填性が悪く、耐熱性試験において膨れが発生している。
これらの実施例では電解銅箔において各種特性を測定しているが、圧延銅箔についても、電解銅箔と同程度の結果を得ることができると推測される。
本発明の回路基板は、各種電気・電子製品の基板として利用することが可能であり、特に、液晶ポリマーフィルムは、高周波における誘電特性に優れているため、高周波回路基板等として、有効に利用することができる。
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
13…溝部
14,104…銅箔
15…島部
16,106…熱可塑性液晶ポリマーフィルム
102…突出部
108…空隙

Claims (10)

  1. 銅箔と熱可塑性液晶ポリマーフィルムとを少なくとも含み、この熱可塑性液晶ポリマーフィルムが少なくとも一方の銅箔面に対して熱圧着されている回路基板であって、
    前記銅箔面に設けられた銅箔表面は、多数の島部と、これらの島部を取り囲み底部に向かって突出する溝部と、を有し、
    前記島部は、その80%以上が非針状の先端形状を有し、
    前記溝部は、平均深さが0.5〜3μmである、回路基板。
  2. 請求項1の回路基板であって、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの300℃での溶融粘度(周波数1Hz)が100Pa・s以上である、回路基板。
  3. 請求項1または2の回路基板であって、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの融点(Mp)−30℃で60分間熱処理した場合、回路基板表面に高さ100μm以上の膨れが生じない、回路基板。
  4. 請求項1から3のいずれか一項の回路基板であって、単位面積当たりの島部と溝部との割合(面積比)が、島部/溝部=40/60〜90/10である、回路基板。
  5. 請求項1から4のいずれか一項の回路基板であって、島部の平均幅は、0.6〜5μmの範囲にある、回路基板。
  6. 請求項1から5のいずれか一項の回路基板であって、溝部の平均幅は、0.05〜1.0μmの範囲にある、回路基板。
  7. 請求項1から6のいずれか一項の回路基板であって、銅箔と熱可塑性液晶ポリマーフィルムとの間のピール強度が、0.4kN/m以上である、回路基板。
  8. 請求項1から7のいずれか一項の回路基板であって、熱可塑性液晶ポリマーフィルムが、ボンディングシートおよびカバーフィルムからなる群から選択される少なくとも一種である、回路基板。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載された回路基板を製造する方法であって、
    熱可塑性液晶ポリマーフィルムおよび銅箔を用意する工程と、
    前記銅箔の少なくとも一方の面に対して処理液を適用し、銅箔処理面に対して、多数の島部と、これらの島部を取り囲み底部に向かって突出する溝部と、を形成するための浮彫処理工程であって、前記島部は、その80%以上が略平滑端の先端形状を有し、前記溝部は、平均深さが0.5〜3μmである浮彫処理工程と、
    前記浮彫処理された銅箔処理面に対して、前記熱可塑性液晶ポリマーフィルムを熱圧着させる熱圧着工程と、を少なくとも備える
    回路基板を製造する方法。
  10. 請求項9の製造方法において、
    熱圧着工程において、浮彫処理された銅箔処理面と、熱可塑性液晶ポリマーフィルムとを4Mpa以下で真空プレス処理する製造方法。
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