JP7311006B2 - フレキシブルディスプレイ用積層体及びフレキシブルディスプレイ - Google Patents
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Description
透明基材とは波長400nm~700nmにおける透過率が80%以上の基材である。厚みは10~200μmが好ましく、20~100μmがより好ましい。
粘着剤層はドメイン(D)とマトリックス(M)を有する海島構造を有する。海島構造は、粘着剤層の断面を走査型プローブ顕微鏡(以下、SPMとも称する)で観察し、検出される弾性率の違いによって特定されるものである。なお、本明細書において、粘着剤層の断面とは、粘着剤層の表面、裏面(基材又は被着体との粘着面)、及び粘着剤層形成時の塗工方向又は塗工方向に対して直交する幅方向の断面(厚さの面、側面)の何れの面も含み、特に限定されない。粘着剤層は、上記何れの面(断面)であっても、同様の海島構造(後述するドメイン(D)とマトリックス(M)との面積比率D:M、ドメイン(D)の円形係数等)を有する(同様のSPMによる弾性率像が観察される)。
本発明における粘着剤層のドメイン(D)とマトリックス(M)の面積比率D:Mは0.5:99.5~20:80であり、0.7:99.3~18:82が好ましく、1:99~15:85がより好ましい。なお、両者の面積比率に関して、ドメイン(D)の比率に着目し、ドメイン(D)の比率が0.5%~20%である、ということがある。ドメイン(D)の比率を0.5%以上とすることで、剥離強度が向上し、20%以下とすることで透明性および曲げ試験の白化が良化する。ドメイン(D)の比率は、樹脂成分(B)の含有割合を増やすと上昇する。また樹脂成分(B)の重量平均分子量を大きくするとドメイン(D)の比率が大きくなる。
ドメイン(D)は下記数式(1)から求められる円形係数の平均値(以下、円形係数とも称する)が1.2以上、2.5以下であることが好ましい。
[数1]
ドメイン(D)の円形係数=(ドメイン(D)の最大直径2×π)/(ドメイン(D)の面積×4) ・・・数式(1)
ここで、「ドメイン(D)の最大直径」とは、SPMによる弾性率像から、ドメイン(D)の部分として分離され、選択された個々のドメイン(D)の最大長の長さである。また、「ドメイン(D)の面積」とは、上記「ドメイン(D)の全面積」とは異なり、当該個々の(最大直径を計測したものと同じ)ドメイン(D)の面積である。個々のドメイン(D)において、その面積と最大直径を計測し、これを用いて数式(1)により個々の円形係数を算出し、得られた複数の算出値を平均した値を「ドメイン(D)の円形係数」とする。
本発明におけるドメイン径とは、粘着剤層の断面をSPMによる弾性率像をフリーソフトウエア「GIMP 2.10.28」を用いて、上記と同様にして二値化処理しこれを解析ソフト(Mac-View Ver.4)でドメイン(D)の粒子径分布を求め、その累積体積が10%、50%および90%になる粒子径の値を、ドメイン径D10、D50およびD90としたものである。ドメイン径の算出方法としては、例えば以下の実施例に記載の方法などが挙げられる。
ドメイン径D90をドメイン径D10で除した値(以下、D90/D10とも称する)は1.8~4.9であることが好ましく、2~4.5がより好ましく、2.5~4がさらに好ましい。
ドメイン(D)の重心間距離の平均値(以下、重心間距離とも称する)は0.1μm~0.8μmであることが好ましく、0.15μm~0.8μmがより好ましく、0.2μm~0.8μmがさらに好ましい。重心間距離の平均値とはドメイン径の測定と同様に解析ソフト(Mac-View Ver.4)により計測した値でありドメイン(D)の重心間距離の平均値を上記範囲とすることで、折り曲げ時の白化が抑制される。重心間距離を調整する方法としては、乾燥速度の調整などが挙げられる。
積層体(F)のヘイズ(透明性)は、粘着剤層と透明基材からなる積層体を濁度計によって測定した値であり鮮明なフレキシブルディスプレイ画像を維持するため5%以下が好ましく、3.5%以下がより好ましく、1%以下がさらに好ましく、0.5%未満が最も好ましい。ドメイン(D)とマトリックス(M)との面積比率D:Mおよびドメイン(D)の比率と、円形係数を上記の範囲とすることで、光の散乱を抑制し透明性を高め視認性を向上できる。
粘着剤(A)はマトリックス(M)の成分となるもので、上記の粘着剤層はアクリル系共重合体、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂からなる粘着剤(A)を用いて形成することが好ましく、特にアクリル系共重合体(A1)を用いることが好ましい。
[数2]
SP値=(ΣΔei/ΣΔvi)1/2 ・・・数式(2)。
(a-1)炭素数6~10の(メタ)アクリル酸分岐アルキルエステルモノマー
(a-2)炭素数12~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー
(a-3)ヒドロキシ基を有するモノマーおよびカルボキシ基を有するモノマーから選択される1種類以上の極性基を有するモノマー
(a-4)分子内に脂環式構造をもつモノマー
(a-5)モノマー(a-1)~(a-4)以外のその他モノマー。
モノマー(a-1)は、分子内に炭素数6~10の分岐構造をもつアルキル基を有するモノマーを意味し、具体的には、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソデシルなどが挙げられる。
モノマー(a-2)は、分子内に炭素数12~20のアルキル基を有するモノマーを意味し、具体的には、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシルなどが挙げられる。
モノマー(a-3)は、ヒドロキシ基を有するモノマーおよびカルボキシ基を有するモノマーから選択される1種類以上の極性基を有するモノマーである。
モノマー(a-4)は、分子内に脂環式構造をもつモノマーであれば制限されない。具体的には、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
モノマー(a-5)は、モノマー(a-1)~(a-4)以外のモノマーであり、本発明のアクリル系共重合体(A1)を構成するモノマー混合物は、モノマー(a-1)~(a-3)に加えて、さらにモノマー(a-5)を含んでもよい。
樹脂成分(B)は粘着剤層において弾性率の差による複数のドメイン(D)を形成する。樹脂成分(B)は重量平均分子量が、5000(0.5万)~30万が好ましく、1万~10万がより好ましい。また、Tgが20℃~40℃であって、溶解度パラメータ(SP値)は7~9である樹脂が好ましい。粘着剤(A)と近いSP値とし重量平均分子量およびTgを異なる樹脂成分(B)を混合することでマトリックス(M)との海面の乱反射が少ないドメイン(D)を形成することができる。粘着剤層の端部のズレを良化する観点から粘着剤(A)と樹脂成分(B)のTgの差は30℃以上が好ましく、70℃以上が好ましい。ヘイズを低下させる観点から粘着剤(A)と樹脂成分(B)のSp値の差の絶対値は1.2以下が好ましく、1以下がより好ましい。
アクリル系共重合体(B1)は、脂環式モノマー(a-4)を含むモノマー混合物の共重合体であって、モノマー混合物は、必要に応じてモノマー(a-1)~(a-3)、およびモノマー(a-5)を含んでもよい。
t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなどのパーオキシエステル;シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド;
2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレート、などのパーオキシケタール;
クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルシクロヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;
ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;
ビス(t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)などの2,2’-アゾビスバレロニトリル;
2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)などの2,2’-アゾビスプロピオニトリル;
1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)などの1,1’-アゾビス-1-アルカンニトリル等が挙げられる。
本発明の粘着剤層は、粘着剤組成物から形成される。粘着剤組成物とは、前述した粘着剤(A)、樹脂成分(B)さらに必要に応じて硬化剤、溶剤を配合したものである。粘着剤層を形成する方法としては、例えば、粘着剤組成物をセパレータに塗工し、溶剤等を乾燥除去して粘着剤層を形成する方法が挙げられる(以降、セパレータと粘着剤層の積層物を粘着シートと称する)。一方、透明基材に前記粘着剤組成物を直接塗工し溶剤等を乾燥して粘着剤層を形成しても良い。
フレキシブルディスプレイは、屈曲機能を有することが大きな特徴の1つであり、上記のフレキシブルディスプレイ用積層体と、折り曲げ可能に構成された有機EL表示パネル等の表示装置とを含み、表示装置に対して視認側にフレキシブルディスプレイ用積層体が配置され、折り曲げ可能に構成されている。また、有機EL表示パネルに代えて、液晶パネルであってもよく、更に、フレキシブルディスプレイ用積層体に対して視認側にウインドウが配置されていてもよい。
重量平均分子量(Mw)の測定は、島津製作所社製GPC「LC-GPCシステム」を用いた。重量平均分子量(Mw)の決定は、分子量既知のポリスチレンを標準物質とした換算で行った。
・装置名:島津製作所社製、LC-GPCシステム「Prominence」
・カラム:東ソー社製GMHXL 4本、東ソー社製HXL-H 1本を連結した。
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・流量:1.0ml/分
・カラム温度:40℃。
(アクリル系共重合体(A1-1))
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器(以下、単に「反応容器」と記述する。)に、アクリル酸2-エチルヘキシル(EHA)69部、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(HBA)1部、アクリル酸シクロヘキシル(CHA)10部、アクリル酸ブチル(BA)20部、開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(以下、単に「AIBN」と記述する。)0.2部を仕込み、この反応容器内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、窒素雰囲気下で撹拌しながら、50℃まで加熱し反応を開始した。その後、反応溶液を50℃で4時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチルで希釈して不揮発分30%、粘度7000mPa・sの共重合体(A-1)溶液を得た。得られた共重合体(A-1)の重量平均分子量は110万、ガラス転移温度は-53℃、SP値は8.4であった。
表1記載の組成および配合量(質量部)に変更した以外は、アクリル系共重合体(A1-1)の製造と同様の方法で共重合体(A1-2、A1-3)を合成した。
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器(以下、単に「反応容器」と記述する。)に、アクリル酸2-エチルヘキシル(EHA)65部、アクリル酸シクロヘキシル(CHA)25部、アクリル酸ブチル(BA)10部、開始剤として、AIBN2部を仕込み、この反応容器内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、窒素雰囲気下で撹拌しながら、50℃まで加熱し反応を開始した。その後、反応溶液を50℃で4時間反応させた。反応終了後、冷却し、酢酸エチルで希釈して不揮発分30%、粘度100mPa・sの共重合体(B1-1)溶液を得た。得られた共重合体(B1-1)の重量平均分子量は5万、ガラス転移温度は-46℃、SP値は8.1であった。
表1記載の組成および配合量(質量部)に変更した以外は、アクリル系共重合体(B1-1)の製造と同様の方法で共重合体(B1-2~B1-5)を合成した。
(モノマー(a-1))
EHA:アクリル酸2-エチルヘキシル(炭素数8)
IOA:アクリル酸イソオクチル(炭素数8)
(モノマー(a-2))
DOA:アクリル酸ドデシル(炭素数12)
(モノマー(a-3))
HBA:アクリル酸4-ヒドロキシブチル
(モノマー(a-4))
CHA:アクリル酸シクロヘキシル(脂環式)
IBXA:アクリル酸イソボルニル(脂環式)
(モノマー(a-5))
BA:アクリル酸ブチル
MEA:アクリル酸メトキシエチル(式(1)において、R1が水素原子、nが1のモノマー)。
<粘着剤の調製>
アクリル系共重合体(A1-1)不揮発分100部に対して、アクリル系共重合体(B1-1)1部、硬化剤としてトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンのアダクト体(C-1)0.5部、さらに不揮発分が20%となるように酢酸エチルを配合し撹拌して粘着剤を得た。
得られた粘着剤を、厚み50μmの剥離フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)、「E7004」、シリコーン系剥離層、東洋紡社製)上に、乾燥後の厚さが50μmになるように塗工し、110℃で3分間乾燥することで粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層に、厚み38μmの剥離フィルム(ポリエチレンテレフタレート、「SP-PET3811」、シリコーン系剥離層、リンテック社製)の片面を貼り合せ、「剥離性シート/粘着剤層/剥離性シート」の積層体を作製した。次いで、得られた積層体を温度25℃相対湿度55%の条件で1週間熟成させて、粘着シートを得た。
上記粘着シートの一方面からセパレータを剥がし、露出した粘着剤層を25℃、相対湿度50%雰囲気で透明基材として出力300Wでコロナ処理を施した厚さカラーレスポリイミド(KOLON社製、50μm)にラミネータを用いて貼着し、一方面にセパレータを有する粘着剤層/カラーレスポリイミドからなる実施例1のフレキシブルディスプレイ用積層体を得た。
表2に示す通り、粘着剤(A)、樹脂成分(B)、硬化剤および添加剤の種類と配合量(質量部)を変更した以外は実施例1と同様にして、フレキシブルディスプレイ用積層体を得た。
<硬化剤>
C-1 : トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体
C-2 : ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体
C-3 : キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体
<添加剤>
S-1 : 3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン。
フレキシブルディスプレイ用積層体を1.5cm角に切り取り、熱硬化性エポキシ樹脂(Gatan社製 G2)を垂らした2枚のスライドガラスで挟み込み、ホットプレートの上で120℃、5分間の条件で樹脂を硬化させた。
得られた弾性率像(図1)に対し、フリーソフトウエア「GIMP 2.10.28」を用いて二値化処理し(図2)、ドメイン(D)の色のピクセル数のパーセンタイルをドメイン(D)の比率とし、100から差し引いたパーセンタイルをマトリックス(M)の比率とした。観察領域を変え、任意の計3箇所の5μm×5μmの範囲で同様の測定を行いその平均値を算出した。具体的には、二値化処理として、全ピクセルのうち最も高い輝度を255、最も低い輝度を0としたとき、輝度が127以下のピクセルが黒、輝度が127を超えるピクセルが白になるように階調を二値化した。これにより、図2に示すように、白い部分がマトリックス(M)の部分、黒い部分がドメイン(D)の部分に分離された。そして、5μm×5μmの範囲における画像全体のピクセル数の総数Xに対するドメイン(D)の部分のピクセル数Yの比Y/Xを、粘着剤層の断面におけるドメイン(D)が占める割合(ドメイン(D)の面積比率(%))として算出した。また、マトリックス(M)の面積比率(%)は、100%からドメイン(D)の面積比率(%)を減算して算出した。
二値化処理した弾性率像(図2)を画像解析ソフト[マウンテック社製Mac-View Ver.4]に取り込み、画像から視認できるドメイン(D)に対して自動モードおよび手動モードで全て選択し、解析を実施した。SPMによる弾性率像(図2)から選択された全てのドメイン(D)の円形係数(解析値の形状係数3)およびアスペクト比を算出し、その平均値を得た。続いて、観察領域を変え、任意の計3箇所の5μm×5μmの範囲で同様の測定を行いその平均値を算出した。
ドメイン径D10、D50、D90およびドメイン(D)の重心間距離の平均値は上記の[マウンテック社製Mac-View Ver.4]による解析値より算出した。観察領域を変え、任意の計3箇所の5μm×5μmの範囲で同様の測定を行いその平均値を算出した。
セパレータを除去したフレキシブルディスプレイ用積層体を、濁度計(NDH5000W:日本電色工業株式会社製)を用いて、そのヘイズを測定した。
フレキシブルディスプレイ用積層体の一方面のセパレータを剥がして露出した粘着剤層を50μmのPETフィルムにラミネータを用いて貼り付けた。その後50℃、5気圧のオートクレーブ内に20分保持させて各部材を密着させることで測定試料を得た。前記測定試料を、23℃で1日放置した後に、23℃、相対湿度50%の環境下で、引張試験機(オリエンテック社製「テンシロン」)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で粘着剤層と、カラーレスポリイミドとの剥離強度を測定した。測定された剥離強度について下記基準で評価した。その結果を表2に示す。
[剥離強度の基準]
+++:剥離強度が12N/25mm以上であった(非常に良好)。
++: 剥離強度が9N/25mm以上、12N/25mm未満であった(良好)。
+: 剥離強度が6N/25mm以上、9N/25mm未満であった(使用可)。
NG: 剥離強度が6N/25mm未満であった(使用不可)。
フレキシブルディスプレイ用積層体の一方面のセパレータを剥がして露出した粘着剤層に、厚みが188μmのPETフィルムにラミネータを用いて貼り合わせ、PETフィルム/粘着剤層/カラーレスポリイミドからなる試験用積層体を得た。次いで試験用積層体を、常態試験として25℃、相対湿度50%雰囲気にて折り曲げ試験機(ユアサシステム機器社製)を用いて、折り曲げた時の内径(直径)が3mm条件に設定し、カラーレスポリイミド側を内側にして、折り曲げと180°開放とを1サイクルとして30万サイクル繰り返し行った。試験後の外観を曲げ箇所の白化と端部のズレについて下記基準で評価した。具体的には、試験後の外観として試験用積層体における気泡の有無および粘着剤層の浮きや剥がれの有無を目視評価した。その結果を表2に示す。
[曲げ箇所の白化]
++++:折り曲げた箇所から左右5mmずつの範囲で気泡が見られない。
+++: 折り曲げた箇所から左右5mmずつの範囲で気泡が10個以下である。
++: 折り曲げた箇所から左右5mmずつの範囲で気泡が11個以上50個以下である。
+: 折り曲げた箇所から左右5mmずつの範囲で気泡が51個以上100個以下である。
NG: 折り曲げた箇所から左右5mmずつの範囲で気泡が101個以上である。
[端部のズレ]
++++:PETフィルムとカラーレスポリイミドのズレが1mm未満である。
+++: PETフィルムとカラーレスポリイミドのズレが1mm以上、2mm未満である。
++: PETフィルムとカラーレスポリイミドのズレが2mm以上、3mm未満である。
+: PETフィルムとカラーレスポリイミドのズレが3mm以上、4mm未満である。
NG: PETフィルムとカラーレスポリイミドのズレが4mm以上である。
Claims (4)
- フレキシブルディスプレイを構成する積層体であって、
前記積層体は少なくとも透明基材及び粘着剤層を含み、
前記粘着剤層は、その形成時の塗工方向の断面を走査型プローブ顕微鏡(SPM)で観察し、弾性率の違いによって検出され、点在し分散している島として特定されるドメイン(D)と、マトリックス(M)を有する海島構造を呈し、
前記粘着剤層の前記断面における弾性率で特定される、前記ドメイン(D)と前記マトリックス(M)との面積比率D:Mが0.5:99.5~20:80であり、
前記ドメイン(D)の弾性率は、前記マトリックス(M)の弾性率よりも高く、
下記数式(1):
[数1]
ドメイン(D)の円形係数=(ドメイン(D)の最大直径 2 ×π)/(ドメイン(D)の面積×4)・・・数式(1)
から求められるドメイン(D)の円形係数の平均値が1.2以上、2.5以下であり、
前記ドメイン(D)は、ドメイン径D10が0.03μm~0.15μmであり、ドメイン径D50が0.07μm~0.2μmであり、ドメイン径D90が0.1μm~0.4μmであり、且つ前記ドメイン径D90を前記ドメイン径D10で除した値(D90/D10)が1.8~4.9であり、
前記マトリックス(M)は、(メタ)アクリル共重合体からなる粘着剤を用いて形成され、
前記ドメイン(D)は、脂環式モノマーを含むモノマー混合物の共重合体である(メタ)アクリル共重合体からなる樹脂成分を用いて形成されていることを特徴とするフレキシブルディスプレイ用積層体。 - 前記ドメイン(D)のアスペクト比の平均値が1.2~2であることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ用積層体。
- ヘイズが5%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ用積層体。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ用積層体を有するフレキシブルディスプレイ。
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