以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施の形態による印刷システムの概略を示している。印刷システムは、印刷装置10と、パーソナルコンピュータ20と、を有している。パーソナルコンピュータ20は、本発明を適用するコンピュータの一例である。パーソナルコンピュータ20に代えて、スマートフォンやタブレット型端末などを用いてもよい。
印刷装置10は、帯状の被印刷媒体であるテープ(図示略)に対して印刷を行うラベルプリンタである。印刷装置10は、装置各部を制御する制御部11と、テープに対する印刷を行う印刷部12と、テープの搬送を行う搬送部13と、通信部14と、を備えている。
印刷部12による印刷は、例えばインクリボンを用いた熱転写式や、感熱紙を用いた感熱式などによって行われる。印刷部12によって印刷が行われたテープは、プラテンローラなどの搬送部13によって印刷装置10の外部に排出され、フルカッターなどの切断部によって切断されて完成したラベルになる。印刷装置10は、幅が異なる複数種のテープに対する印刷及び搬送が可能である。テープの幅は規格化されており、予め用意された複数の幅のテープから、使用する幅のテープをユーザーが選択して印刷装置10に取り付ける。
パーソナルコンピュータ20は、制御装置21、記憶装置22、一時記憶装置23、入力装置24、表示装置25、通信部26、などによって構成されている。
制御装置21は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含む。記憶装置22は、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などからなる。一時記憶装置23は、RAM(Random Access Memory)などからなる。制御装置21は、記憶装置22に記憶されているプログラムを読み出して一時記憶装置23に展開し実行する。以下の説明において、パーソナルコンピュータ20における制御や処理の主体が明記されていない場合(ユーザーが行うものと明記されていない場合)は、制御装置21が主体として制御や処理を実行しているものとする。
入力装置24は、キーボードやマウスなどのユーザーインターフェースである。ユーザーが入力装置24を操作して、パーソナルコンピュータ20へのデータの入力や動作の実行指令などが行われる。表示装置25は、液晶モニターなどのドットマトリクス方式の表示器を含んでおり、パーソナルコンピュータ20が処理する各種情報や処理内容を画面上に表示する。なお、入力装置として、表示装置25などの表示画面上への接触操作によって情報や指令の入力を行うタッチパネル方式の入力装置を用いてもよい。
印刷装置10の通信部14とパーソナルコンピュータ20の通信部26との間で、信号の送受が可能である。通信部14と通信部26の接続は、有線と無線いずれでもよい。無線通信の場合、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN(Local Area Network)や、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を用いることができる。
パーソナルコンピュータ20の記憶装置22には、印刷支援ソフトウェアP1がインストールされている。パーソナルコンピュータ20上で動作する印刷支援ソフトウェアP1によって生成した印刷データを、通信部14と通信部26の間の通信によって印刷装置10へ送る。印刷装置10では、受信した印刷データに基づいて制御部11が印刷部12や搬送部13を制御して、テープへの印刷と搬送を行う。
なお、印刷装置10にキーボードやタッチパネルなどの入力手段を設けて、パーソナルコンピュータ20を経由して印刷データを受信するのとは別に、印刷装置10に対してユーザーが印刷内容を直接的に入力できるようにしてもよい。
印刷支援ソフトウェアP1は、印刷装置10に最適化された印刷データを作成するためのソフトウェアである。印刷支援ソフトウェアP1には、印刷内容の入力や編集を行う機能(入力編集機能)と、入力や編集された印刷内容を印刷装置10で処理可能な形式の印刷データとして生成する機能(印刷データ生成機能)と、が含まれている。以下、印刷支援ソフトウェアP1の入力編集機能と印刷データ生成機能について詳細に説明する。以下の制御や処理は、印刷支援ソフトウェアP1のプログラムを制御装置21が実行することによって実現される。図2から図10は、印刷支援ソフトウェアP1の実行時に表示装置25の画面上に表示される内容を示している。
印刷支援ソフトウェアP1がインストールされたパーソナルコンピュータ20には、印刷装置10に適合した出力書式の複数のテンプレートが予め用意されており、これらのテンプレートは、テンプレートデータベースQとして記憶装置22に記憶されている。印刷支援ソフトウェアP1の入力編集機能では、テンプレートデータベースQから読み出されたテンプレートをユーザーが選択し、テンプレートに配置した入力領域に文字や記号などの情報を入力することができる。テンプレートに従って印刷内容を入力することで、印刷装置10でのラベル作成に対応した印刷データを、簡単且つ確実に生成することができる。
また、テンプレートを用いずに、ユーザーが印刷内容を自由に入力することも可能である。テンプレートによる入力と自由入力のいずれを行うかは、印刷支援ソフトウェアP1を起動したときの最初のメニュー画面(図示略)において、ユーザーが選択することができる。
図2は、表示装置25に表示されたメイン編集画面30を示している。メイン編集画面30は印刷内容の入力や編集を行うための操作画面であり、ユーザーが自由入力を選択した場合には、図2に示す状態のメイン編集画面30が表示される。
メイン編集画面30の上部は、操作メニュー表示エリア31となっており、印刷内容の入力や編集に用いる各種の機能が、アイコンや文字として表示されている。アイコンや文字を選択して実行操作(マウスのクリック操作など)を行うと、それぞれに割り当てられた機能が実行されたり、さらなる選択肢を示すプルダウンメニューが表示されたりする。
メイン編集画面30の下部左側は、設定入力エリア32となっている。設定入力エリア32には、各種の設定値や選択項目が表示される。設定入力エリア32における表示内容は、操作メニュー表示エリア31で選択した機能に対応して変化する。
編集画面の下部右側は、印刷内容表示エリア33となっている。印刷内容表示エリア33には、ユーザーによって入力された印刷内容などが表示される。
図2は、印刷内容が未入力であり、且つ操作メニュー表示エリア31での機能選択も行われていない初期状態のメイン編集画面30である。初期状態では、設定入力エリア32に「ラベル設定」の項目のみが表示される。このラベル設定項目には、ラベル幅とラベル長さが含まれている。ユーザーの操作によって、ラベル設定項目内のラベル幅とラベル長さの数値を変更することができる。
印刷内容表示エリア33には、ラベル形状を示すラベルイメージ34が表示されている。ラベルイメージ34は、設定入力エリア32に入力されているラベルの幅及び長さの設定値に対応して、表示が変化する。例えば、設定入力エリア32に入力するラベル幅の数値を大きくすると、その数値に応じて印刷内容表示エリア33上でラベルイメージ34が上下方向に幅広になる。設定入力エリア32に入力するラベル長さの数値を大きくすると、その数値に応じて印刷内容表示エリア33上でラベルイメージ34が左右方向に長くなる。
印刷装置10に装着されているテープの種類を検出するセンサ(検出部)を印刷装置10に設け、センサにより検出されたテープ幅情報を、通信部14と通信部26を介した通信でパーソナルコンピュータ20に送信してもよい。この場合、印刷装置10から送信されたテープ幅情報に対応したラベル幅が設定入力エリア32に設定され、印刷内容表示エリア33のラベルイメージ34の表示にも反映される。
操作メニュー表示エリア31には、セル入力モードボタン35が配されている。セル入力モードボタン35を操作すると、セル入力モードが実行され、図3に示すセル入力用画面40が表示される。セル入力用画面40は、メイン編集画面30の前面側に重なる(ポップアップする)形態で表示される。
セル入力用画面40は、複数の罫線によって区切られた格子状のマス目である複数のセルを表示したセル表示部41を有しており、行方向及び列方向に並ぶ複数のセルのそれぞれに情報を入力可能である。つまり、セル単位で情報が入力される。セル表示部41の上部には、アクティブな(選択している)セルの行及び列の位置(アドレス)を表示する名前ボックス42と、アクティブなセルに入力されている情報を表示する情報表示ボックス43が配されている。
セル表示部41の上側にはさらに、編集ボタン群44、インポートボタン45、編集終了ボタン46が配されている。
編集ボタン群44は、セル自体や、セル内に入力される情報について、各種の編集作業を行うための複数の操作ボタンである。例えば、セル自体については、セルを構成する罫線(枠線)の有無や太さや線種の選択、セル内の背景色の変更など、後述する印刷イメージ(例えば、図6から図9に示す印刷イメージ60、61、62、63を参照)に効果を付すための操作を、編集ボタン群44により行うことができる。これらは、セルにおける付加情報として扱われる。また、セルの行や列の挿入や削除(セルレイアウトの変更)も、編集ボタン群44により行うことができる。セル内の入力情報については、文字色の変更、文字のフォントの選択、文字に付される下線の有無や太さや線種の選択、上付き文字や下付き文字への変更など、後述する印刷イメージに効果を付すための操作を、編集ボタン群44により行うことができる。これらは、セル内の入力情報(文字)における付加情報として扱われる。
インポートボタン45は、セル表示部41への直接の情報入力に代えて、別に存在するテキストファイルなどからデータを取り込む際に用いる操作ボタンである。
編集終了ボタン46は、セル入力モードを終了するための操作ボタンである。
なお、図3のセル入力用画面40で示す入力編集機能は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、セル入力モードには、周知の表計算ソフトウェアのように各種の計算機能を備えていてもよい。この場合、セル入力用画面40には、計算機能に対応する操作ボタンやダイアログが適宜表示される。
セル入力モードでは、印刷支援ソフトウェアP1が備える入力編集機能として、直接的に各セルへ情報を入力する形態(直接入力形態)と、外部からデータを取り込む形態(データインポート形態)とを選択することができる。
直接入力形態では、ユーザーが入力装置24を操作して、セル入力用画面40上で文字などの情報を各セルに入力する。例えば、セルを選択した状態で情報表示ボックス43に文字(テキストデータ)を入力すると、選択したセルに当該文字が入力される。
データインポート形態では、インポートボタン45を操作するとファイル選択画面(図示略)が表示され、パーソナルコンピュータ20上に保存されているファイル、又はパーソナルコンピュータ20が接続するネットワーク上に保存されているファイルを、ユーザーが指定する。指定が完了すると、当該ファイルに含まれているデータ(テキストデータなど)を読み込んで、データの内容をセル表示部41に表示する。このとき、外部ファイルと印刷支援ソフトウェアP1との間でデータの互換性がある内容については、テキストデータ以外の情報も読み込んでセル表示部41に表示される。テキストデータ以外の情報とは、例えば、上述したセルや文字の付加情報などが該当する。
図4は、直接入力形態とデータインポート形態のいずれかによって、セル入力モードでの情報入力を行った状態である。図4の例では、アドレスがA1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2の8つのセルに文字(ここでの文字とは数字や記号なども含む)などの入力情報が入力されており、入力情報が入力されているセルの行方向の個数が4つ、列方向の個数が2つ(換言すれば、行数が2、列数が4)という個数情報を含んだセル情報データとなっている。
この状態で編集終了ボタン46を操作すると、セル入力モードが終了する。セル入力モードの終了処理では、セル入力用画面40の表示を終了すると共に、セル表示部41への入力情報がセル情報データとして保存及び取得される。保存されるセル情報データには、セルに入力した入力情報であるテキストデータと、テキストデータが入力されているセルを区切る縦横の線である罫線の長さや位置関係(間隔)を示す罫線情報と、が少なくとも含まれている。これらのテキストデータと罫線情報とによって、テキストデータが入力されているセルの数(行方向の個数と列方向の個数)が分かる。
続いて、取得したセル情報データから印刷イメージを生成する。ここで、セル入力モードで情報を入力した(テキストデータが含まれている)全てのセルに基づいて印刷イメージの生成を行うことができる。あるいは、情報を入力した(テキストデータが含まれている)セルのうち、ユーザーが選択した特定のセルだけに基づいて印刷イメージの生成を行ってもよい。
例えば、ユーザーがセル入力用画面40上で特定のセルを選択しない状態でセル入力モードを終了した場合は、テキストデータが含まれている全てのセルからセル情報データを取得して、印刷イメージを生成するように処理する。ユーザーが特定のセルを選択した状態でセル入力モードを終了した場合は、当該選択したセルからのみセル情報データを取得して、印刷イメージを生成するように処理する。ユーザーによるセルの選択は、マウスのドラッグ操作、キーボードのキー操作、などによって行うことができる。
セル情報データは、入力情報が入力されているセルを対象としたデータであり、情報が入力されていない空白セルは、基本的にデータ取得の対象外となる。例えば、図4に示すセル入力用画面40の例では、セル表示部41における3行目以降の各行と、E列以降の各列は、情報が入力されていない空白セルである。ユーザーがセル入力用画面40上で特定のセルを選択しない状態でセル入力モードを終了した場合は、これらの空白セルを含まずにセル情報データを取得するように処理される。また、図4のセル表示部41において、空白セル(3行目以降の各行と、E列以降の各列)を含む範囲をユーザーが選択してセル入力モードを終了した場合にも、これらの空白セルを含まずにセル情報データを取得する処理が行われる。
図4の例とは異なり、行方向や列方向において、情報が入力された複数のセルの間(途中)に空白セルが存在する場合も有る。この場合、空白セルを除外して、セルの行数及び列数を減少させる方向(図4の例では、行の数値が少なくなる上方や、列のアルファベットが若くなる左方)に詰めた内容のセル情報データを取得して、後述するテンプレートの表示などに反映させてもよい。なお、空白セルの箇所を詰めることによって、表などの可読性が損なわれて情報の意味が変わってしまうような場合は、当該空白セルは「“表示内容無し”という情報が入力されている」という扱いにして、セル情報データに含める処理を行ってもよい。
印刷イメージの生成では、まずテンプレート選択処理が実行される。テンプレート選択処理では、取得されたセル情報データを参照して、先に述べた複数の印刷用のテンプレート(テンプレートデータベースQ)のうちから、セル情報データに対応したテンプレートが選択されて、候補として表示装置25に表示する。どのテンプレートを候補とするかは、セル情報データにおいて、テキストデータが入力されているセルの行方向の個数情報及び列方向の個数情報を主な基準として、情報表示の再現可能度などを所定のアルゴリズムで判定して決定する。
テンプレート選択処理では、図5に示すテンプレート選択画面50が表示装置25に表示される。テンプレート選択画面50は、メイン編集画面30及びセル入力用画面40の前面側に重なる(ポップアップする)形態で表示される。
テンプレート選択画面50には、候補として提案されるテンプレートが表示される。先のセル入力モードで、図4のように、入力情報(文字)が入力されているセルの行方向の個数が4、列方向の個数が2(行数が2、列数が4)、というセル情報付きデータが入力されたとする。このセルの行方向の個数と列方向の個数を表示するのに適したものとして、テンプレートデータベースQから4つのテンプレート51、52、53及び54が選択して読み出されている。なお、候補として表示するテンプレートの数は4つに限るものではなく、3つ以下や5つ以上であってもよい。また、候補として表示するテンプレートの数は一定でなくてもよく、セル情報データとの適合度に応じて表示するテンプレートの数が変化してもよい。テンプレートの候補数が多くてテンプレート選択画面50には収まらない場合は、テンプレート選択画面50の表示をスクロール可能にしてもよい。
テンプレート51は、全体が表形式のフォーマットであり、罫線によって区切られた複数のマス目と、各マス目内の文字情報とを含んでいる。テンプレート51において罫線で区切られたマス目の数は、取得したセル情報データにおけるセルの総個数と同じ8つであり、これらの数の一致から、取得したセル情報データに対応した候補としてテンプレート51が選択され、テンプレート選択画面50に表示されている。但し、テンプレート51では、元のセル情報データとは行方向の個数と列方向の個数の関係が逆であり、行方向の個数が2、列方向の個数が4(4行×2列)のマス目構造になっている。
テンプレート51におけるマス目の数は、取得したセル情報データで情報が入力されているセルの総個数と同じであるため、セル情報データの各セルの入力情報を、テンプレート51の各マス目に漏れなく配置することが可能である。そして、図5に示すように、テンプレート選択画面50にテンプレート51を表示させる際に、セル入力用画面40のセル表示部41(図4)で各セルに入力した情報(文字列)を、テンプレート51の各マス目に表示する反映処理が行われている。このように、セル情報データに含まれる各セルの入力情報を反映した状態のテンプレート51を表示することで、ユーザーは、印刷予定の内容を含んだラベルイメージの簡易的なプレビューとしてテンプレート51を参照することができる。
テンプレート52は、表とバーコードを組み合わせた形式であり、罫線によって区切られた複数のマス目と、各マス目内の文字情報と、マス目の下方に配したバーコードとを含んでいる。テンプレート52において罫線で区切られたマス目の数は6つであり、取得したセル情報データにおけるセルの総個数である8つよりも少ない。しかし、テンプレート52では、セル情報データの少なくとも一部のセルの入力情報を、バーコードとしてマス目外に表示可能であり、取得したセル情報データに含まれる情報を不足なく表示することができる。従って、テンプレート52は、取得したセル情報データに対応すると判定されて、テンプレート選択画面50に表示される。
より詳しくは、セル入力用画面40のセル表示部41(図4)に入力した情報のうち、A1、A2、B1、B2、D1、D2の各アドレスのセルへの入力情報が、入力した通りの文字列として、テンプレート52の6つのマス目内に振り分けて表示されている。また、C1のアドレスのセルに入力した「取得日」と、C2のアドレスのセルに入力した「2023年7月7日」という情報が、バーコードに変換されて、テンプレート52における6つのマス目の下方に表示されている。先のテンプレート51と同様に、ユーザーは、印刷予定の内容を含んだラベルイメージの簡易的なプレビューとしてテンプレート52を参照することができる。
テンプレート53は、表と二次元コードを組み合わせた形式であり、罫線によって区切られた複数のマス目と、各マス目内の文字情報と、マス目の側方(右側)に配した二次元コードとを含んでいる。テンプレート53において罫線で区切られたマス目の数は6つであり、取得したセル情報データにおけるセルの総個数である8つよりも少ない。しかし、テンプレート53では、セル情報データの少なくとも一部のセルの入力情報を、二次元コードとしてマス目外に表示可能であり、取得したセル情報データに含まれる情報を不足なく表示することができる。従って、テンプレート53は、取得したセル情報データに対応すると判定されて、テンプレート選択画面50に表示される。
より詳しくは、セル入力用画面40のセル表示部41(図4)に入力した情報のうち、A1、A2、B1、B2、D1、D2の各アドレスのセルへの入力情報が、入力した通りの文字列として、テンプレート53の6つのマス目内に振り分けて表示されている。また、C1のアドレスのセルに入力した「取得日」と、C2のアドレスのセルに入力した「2023年7月7日」という情報が、二次元コードに変換されて、テンプレート53における6つのマス目の側方に表示されている。先のテンプレート51と同様に、ユーザーは、印刷予定の内容を含んだラベルイメージの簡易的なプレビューとしてテンプレート53を参照することができる。
テンプレート52に含まれるバーコードや、テンプレート53に含まれる二次元コードを、それぞれのデータ形式に対応するコードリーダー(図示略)によって読み取ると、情報が表示される。これらのバーコードや二次元コードを読み取った場合に、テンプレート52やテンプレート53のマス目部分での表示が省略されたセルの情報(例えば、アドレスがC2、D2の各セルの入力情報)だけが表示されるようにしてもよいし、マス目部分での表示が省略されたセルを含む全てのセルの情報が表示されるようにしてもよい。つまり、バーコードや二次元コードによってコード化する情報の内容(情報量)には、幅を持たせることができる。
バーコード化や二次元コード化するセルは、後述する付加情報によって、ユーザーにより指定されるようにしてもよい。
テンプレート54は、マス目で区切られていない1列×4行分の表示領域を有しており、区分けされる表示領域の数が、取得したセル情報データにおけるセルの行方向の個数(4)及び列方向の個数(2)とは異なる。しかし、テンプレート54では、表示領域の各行の中に、区切りの意味を持つ記号「:」を挿入することにより、罫線で区画される場合に準じた情報表示が可能になっている。つまり、4行分の表示領域のそれぞれで、「:」を境にして別々の情報を表示可能である。従って、テンプレート54は、取得したセル情報データに含まれる情報を不足なく表示することが可能であり、取得したセル情報データに対応すると判定されて、テンプレート選択画面50に表示される。なお、「:」は、区切りの意味を持つ記号の一例であり、これ以外の記号や文字や空白などを用いて区切りの意味を示すテンプレートを用いてもよい。
テンプレート54には、取得したセル情報データの各セルの入力情報が全て文字情報として表示されている。これにより、先のテンプレート51と同様に、ユーザーは、印刷予定の内容を含んだラベルイメージの簡易的なプレビューとしてテンプレート54を参照することができる。
各テンプレート51、52、53及び54には、ラベル幅とラベル長さの情報も含まれている。図5に示す例では、全てのテンプレート51、52、53及び54でラベル幅が18mmである。テンプレート51、53はラベル長さが70mmであり、テンプレート52、54はラベル長さが50mmである。なお、各テンプレート51、52、53及び54のうち、ラベル幅とラベル長さが表示されている下方領域は、印刷イメージには含まれない。
テンプレート選択画面50に表示される各テンプレート51、52、53及び54は、取得されたセル情報データの行方向の個数情報及び列方向の個数情報に対応するものだけを抽出している。そのため、取得したセル情報データの印刷(ユーザーが入力する項目数や内容)に対応しないテンプレートは、テンプレート選択画面50には表示されていない。これにより、セル情報データに対応しない無駄なテンプレートを選択対象から外すような作業負担をユーザーに与えることなく、効率的に印刷イメージの生成を進めることができる。
ユーザーは、テンプレート選択画面50に表示された候補の中から好みのテンプレートを選択する。ユーザーによるテンプレートの指定は、テンプレート選択画面50上に表示されたテンプレートの画像を選択し、マウスによるクリックや、キーボードのエンターキーの操作などによって行われる。テンプレートが選択されると、テンプレートへの情報反映処理が行われる。
テンプレートへの情報反映処理では、先のセル入力モードで取得したセル情報データに含まれる情報が、選択したテンプレートの情報入力箇所に適宜振り分けられてレイアウトされる。そして、図6に示すように、表示装置25の表示がテンプレート選択画面50からメイン編集画面30に遷移して、選択したテンプレートにセル情報データの情報を反映して生成された印刷イメージ60が、印刷内容表示エリア33のラベルイメージ34上に表示される。
なお、テンプレート選択画面50上に表示されたテンプレートの候補のいずれもユーザーが選択しない、という処理を含めてもよい。この場合、いずれのテンプレートも選択しない旨を示す操作ボタンなどをテンプレート選択画面50上に表示する。ユーザーが当該ボタンを操作すると、後述する印刷イメージの自動生成処理にスキップする。
図6の例では、先のテンプレート選択処理(図5)においてユーザーが選択したテンプレート51に基づく印刷イメージ60が、ラベルイメージ34上に表示されている。このラベルイメージ34は、テンプレート51に含まれるラベル幅(18mm)とラベル長さ(70mm)を反映したサイズになっており、設定入力エリア32には、当該ラベル幅とラベル長さの数値が表示されている。
セル入力モードで取得したセル情報データ(図4)と、テンプレート選択処理で選択したテンプレート51(図5)との違いとして、行方向の個数と列方向の個数の関係が逆になっている。セル情報データでは、文字の入力情報が含まれているセルは行方向で4個、列方向で2個(2行×4列)である。テンプレート51では、罫線で囲まれるマス目が行方向で2個、列方向で4個(4行×2列)になっている。この行方向の個数と列方向の個数の相違に対応して、テンプレートへの情報反映処理では、元のセル情報データでの各セル内の入力情報(文字列)を、テンプレート上の適切なマス目に配置する変換処理を行う。
具体的には、図4に示すように、セル入力モードでは、1行目の先頭(A列)から行方向へ順に「備品名」、「管理番号」、「取得日」、「管理部門」という文字情報が各セルに入力され、2行目の先頭(A列)から行方向へ順に「モニター」、「L119285」、「2023年7月7日」、「第一営業部」という文字情報が各セルに入力されている。
図6に示すように、テンプレートへの情報反映処理を経て生成された印刷イメージ60では、1行目の先頭(左端)から順に「備品名」、「モニター」、2行目の先頭(左端)から順に「管理番号」、「L119285」、3行目の先頭(左端)から順に「取得日」、「2023年7月7日」、4行目の先頭(左端)から順に「管理部門」、「第一営業部」という並びになるように、レイアウト変更されている。
セルを単位として文字列などの情報を反映処理するので、このようなレイアウト変更を行っても、各セル内の情報が変化することなく印刷イメージ60に反映させることができる。また、セル情報データにおけるセルのアドレスとの対応関係を維持しながらテンプレートのマス目上に配置するので、情報反映処理を行った印刷イメージ60では、情報の可読性が損なわれることがない。例えば、印刷イメージ60の1行目で、「備品名」の右のマス目の内容が「第一営業部」などであると、表としての意味が不明確になるが、そのような表示にはならないように、所定のセル配置ルールに従ってテンプレートへの情報反映処理が実行される。
なお、図5に示す処理例では、ユーザーによるテンプレート選択完了よりも前に、テンプレート選択画面50を表示する段階で、セル情報データに含まれる各セルの入力情報(図4)が、各テンプレート51、52、53及び54に反映して表示されている。つまり、上述したテンプレートへの情報反映処理に相当する処理が、テンプレート表示の時点で既に行われている。そのため、テンプレート選択画面50でのテンプレート選択後にメイン編集画面30に遷移する際には、各セルの入力情報をテンプレートに落とし込むためのデータ変換を改めて行わずに、ユーザーが選択したテンプレートの情報内容を確定させるだけの簡易な処理で済ませることができる。
この処理例とは異なり、テンプレート選択画面50に表示されるテンプレートを、セル情報データに含まれる各セルの入力情報を反映させていない固定(定型)内容のものにさせることも可能である。例えば、テンプレートの文字表示領域に、セル入力用画面40のセル表示部41に入力した情報とは無関係の文字や記号や空白などが表示されていてもよい。あるいは、テンプレート上に、特別な意味を持たないダミーのバーコードや二次元コードが表示されていてもよい。このような場合は、テンプレート選択画面50でのテンプレート選択後にメイン編集画面30に遷移する際に、各セルの入力情報を選択後のテンプレートに反映させる実体的な情報反映処理を行う。
セル入力モードを終了したときに、作成したセル情報データに含まれるセルの行方向の個数や列方向の個数に対応するテンプレートが、テンプレートデータベースQに記憶されているテンプレート中には存在しない(記憶されていない)場合もある。この場合は、テンプレート選択処理をスキップして、自動的に印刷イメージを生成して表示する。この処理を印刷イメージの自動生成処理とする。
例えば、図7に示すように、セル入力モードを経て取得されたセル情報データが、A1のアドレスからE2のアドレスまでの行方向で5個、列方向で2個(2行×5列)の各セルに文字情報を含むものとする。ここで、行方向で5個のセルに対応するテンプレートが存在しない場合に、印刷イメージの自動生成処理が行われ、印刷イメージ61が生成されてメイン編集画面30の印刷内容表示エリア33に表示される。印刷イメージ61は、セル情報データにおけるセル配列と同じく、罫線で区切られる行方向で5個、列方向で2個(2行×5列)のマス目を有する表形式のフォーマットであり、各マス目内にセル情報データと同じ並びで文字が表示されている。
印刷イメージの自動生成の際には、セル情報データのセルの行方向の個数や列方向の個数に基づいて、ラベル幅やラベル長さが自動的に設定(変更)されるようにしてもよい。あるいは、セル情報データの取得前にメイン編集画面30の設定入力エリア32に入力されていたラベル幅やラベル長さを既定値とし、この既定値のラベル幅やラベル長さでは印刷イメージが収まらないと判定した場合に、ユーザーに警告を報知したり、ラベル幅やラベル長さの設定変更をユーザーに提案したりしてもよい。
このように、テンプレートを選択してテンプレートへの情報反映処理を行うという第1の態様と、セル情報データに対応するテンプレートが記憶されていない場合に印刷イメージの自動生成処理を行うという第2の態様のいずれかによって、セル情報データを基にした印刷イメージが生成及び表示される。
テキストデータ以外の付加情報がセル情報データに含まれている場合、付加情報を印刷イメージに反映させることも可能である。上述したように、セル自体に関する付加情報の例として、セルを構成する罫線の有無や太さや線種、セル内の背景色、などがある。セル内の入力情報に関する付加情報の例として、文字色、文字のフォント、文字に付される下線の有無や太さや線種、上付き文字や下付き文字、などがある。また、これら以外の付加情報を含めることも可能である。付加情報を含む印刷イメージを生成して表示することにより、印刷装置10での印刷結果の情報再現度が高くなり、ユーザーの意図に沿ったラベルを作成することができる。
図8は、セル入力モードのセル入力用画面40において、セルの罫線に付加情報を付した場合を示している。具体的には、セル入力用画面40での1行目のセル群と2行目のセル群との間の罫線として、破線(点線)が指定されている。このセル情報データを基にして生成した印刷イメージ62では、セル情報データにおいて線種の指定が無い部分の罫線を実線として表示し、1行目のマス目と2行目のマス目との間の罫線が、セル情報データでの線種指定と同じく破線(点線)として表示されている。
付加情報については、図5に示すテンプレート52のバーコードやテンプレート53の二次元コードのように、別の表示形態に変更して印刷イメージに反映させてもよい。例えば、図4に示すセル入力用画面40のセル表示部41において、ユーザーが特定のセルに背景色を付加することで、テンプレートの表示処理やテンプレート選択後の情報反映処理において、当該セルとセル内の入力情報とがバーコードや二次元コードに変換されるように処理する。このように、セル入力モードでの編集時の付加情報によって、任意のセルをバーコード化や二次元コード化の対象にすることを、ユーザーにより指定することができる。
また、セル情報データに含まれる付加情報が、印刷不可能(印刷装置10での印刷で表現できない)を表す付加情報である場合に、印刷不可能を表す付加情報を含むセルや、当該セル内の文字などを除外した(印刷イメージに含めない)形で印刷イメージを生成して表示することも可能である。
例えば、印刷装置10において一つのテープに対して単色のみを印刷可能である場合、セル入力モードで、セルの背景色が部分的に異なるデータを作成しても、セル相互の背景色の違いなどを印刷装置10では表現できない。図9は、セル入力モードのセル入力用画面40において、E2のアドレスのセルに対して、他のセルとは異なる背景色を付した場合を示している。印刷イメージの生成処理において、背景色を異ならせたE2のセルは印刷不可能と判定され、当該セルに対応する罫線とセル内の文字を省略した印刷イメージ63が生成及び表示される。
このように、セル情報データにおいて、印刷不可能を表す付加情報を含むセルが存在する場合に、当該セルを印刷イメージに含めないという処理を行う。
図9の例とは異なり、セル内の文字にだけ印刷不可能を表す付加情報が含まれる場合には、当該文字だけを印刷イメージに含めない(セルの罫線は印刷イメージに含める)ようにしてもよい。具体的には、セル入力用画面40において、E2のアドレス内の「こ」という文字の色を、他のセル内の文字の色とは異ならせた場合、印刷イメージでは、「こ」の文字を表示せずに、E2のセルの罫線のみを印刷イメージに含めてもよい。
このように、セル情報データにおいて、印刷不可能を表す付加情報を含む入力情報(文字など)が存在する場合に、当該入力情報を印刷イメージに含めないという処理を行う。
印刷不可能を表す付加情報がセル情報データに含まれる場合の別の処理として、当該印刷不可能を表す付加情報を、印刷装置10で印刷可能を表す情報に変換して、印刷イメージの生成及び表示をすることも可能である。
例えば、印刷装置10が複数のフォントデータを有しており、一部の文字のフォントを変更して印刷が可能な場合に、図9のE2のセル(背景色付きのセル)について、背景色の代わりに、当該セル内の「こ」という文字のフォントを変更した印刷イメージを生成してもよい。同様に、セルに入力された文字の色の違いを、文字のフォントの違いに変更して、印刷イメージを生成してもよい。
あるいは、図9のE2のセル(背景色付きのセル)について、背景色の代わりに、罫線の種類を他のセルとは異ならせた(破線などにした)印刷イメージを生成してもよい。
あるいは、図9のE2のセルの付加情報(背景色)を、印刷不可能を表す付加情報であることに基づいて自動的にバーコードや二次元コードなどの別形態の情報に変換して、印刷イメージに表示させてもよい。
印刷不可能を表す付加情報がセル情報データに含まれている場合に、以上のような処理(印刷不可能を表す付加情報を含む部分を印刷イメージに含めない。あるいは印刷可能を表す情報に変換して印刷イメージを生成する)によって、セル情報データに含まれる付加情報が印刷装置10での印刷には非対応である状態をユーザーに報知できる。また、印刷装置10に対して不適切な印刷データを送って印刷品質が悪化するような不具合を防ぐことができる。
以上のようにして生成された印刷イメージ(60、61、62、63)がメイン編集画面30の印刷内容表示エリア33上に表示されている状態で、操作メニュー表示エリア31に配した印刷実行ボタン36を操作すると、印刷イメージが印刷装置10で処理可能な印刷データに変換されて、パーソナルコンピュータ20から印刷装置10に印刷データが送信される。そして、印刷装置10において、印刷データに基づく内容でテープへの印刷や搬送が実行されて、ラベルを作成する。なお、印刷実行ボタン36の操作によって直ちに印刷装置10への印刷データ送信や印刷実行に進むのではなく、各種の印刷設定や通信設定を含む印刷プレビュー画面を表示装置25に表示させてもよい。
以上では、一つのセル情報データから一つのラベル用の印刷イメージを生成する場合を説明したが、複数のラベル用の印刷イメージを効率良く作成することも可能である。図10はその一例を示している。
図10は、ユーザーがテンプレート選択画面50(図5)において特定のテンプレート(この場合はテンプレート51)を選択した後の状態を示している。セル入力用画面40の前面側に重なる印刷範囲選択画面70が表示される。印刷範囲選択画面70には、選択したテンプレート51の下部に、印刷対象とする項目名の範囲を入力する項目範囲入力部71と、各項目名に従属する内容の範囲を入力する内容範囲入力部72と、が表示される。
ここで、項目名とは、複数のラベルに共通して表示される基準情報である。内容とは、それぞれの項目名(基準情報)に対応する個別情報であり、ラベルごとに個別化されて表示される。つまり、基準情報と個別情報を含む一群のラベルを、連続して作成(印刷)するための処理である。
ユーザーは、印刷範囲選択画面70の上部に表示されたテンプレート51のレイアウトによって、列方向に4つの項目名を配置可能なことを認識できる。また、印刷範囲選択画面70と共にセル入力用画面40が表示されており、ユーザーは、情報が入力されている各セルのアドレスを知ることができる。
図10の例では、項目範囲入力部71に対して、アドレスがA1からD1までのセルの範囲指定を行っている。これにより、「備品名」、「管理番号」、「取得日」、「管理部門」の4つが項目名として選択される。内容範囲入力部72に対して、アドレスがA2からD4までのセルの範囲指定を行っている(アドレスがA5からD5までのセルは範囲指定から除外している)。これにより、各項目名について、2行目から4行目までの3つの内容(セル3行分)が指定される。従って、この印刷範囲の選択により、「上記4つの項目名を含むラベルを3つ作成(印刷)する」という指定になる。
ここで、印刷範囲選択画面70に表示されたOKボタン73を操作すると、テンプレート51への情報反映処理が行われ、項目名が共通で内容がそれぞれ異なる3つの印刷イメージ64、65及び66が生成されて、メイン編集画面30の印刷内容表示エリア33に表示される。なお、図10では、作図の都合上、印刷イメージ64、65及び66をメイン編集画面30の外側に示している。印刷イメージ64は、セル入力用画面40でのアドレスがA2からD2のセルの内容を含む。印刷イメージ65は、セル入力用画面40でのアドレスがA3からD3のセルの内容を含む。印刷イメージ66は、セル入力用画面40でのアドレスがA4からD4のセルの内容を含む。
図10の例では、4つの項目名(基準情報)を選択しているが、選択する項目名(基準情報)のセルは少なくとも一つあればよい。例えば、図10において、アドレスがB1のセルだけを項目範囲入力部71に入力し、アドレスがB2からB5までの列方向に4つのセルを内容範囲入力部72に入力してもよい。この場合、「管理番号」を共通の基準情報とし、「L119285」、「L141054」、「16666」、「M218432」を個別情報とする4つの印刷イメージが生成される。
また、図10の例では、セル入力用画面40のうち、行方向に並ぶ4つのセルを項目名(基準情報)のセル群として指定しているが、列方向に並ぶ複数のセルを項目名(基準情報)のセル群として指定することも可能である。この場合、個々の項目名(基準情報)のセルに対して行方向に並んで指定される内容(個別情報)のセル数が、生成される印刷イメージの数になる。
まとめると、少なくとも一つの項目名(基準情報)のセルと、この項目名(基準情報)のセルに対して行方向と列方向のいずれか一方に並ぶ複数の内容(個別情報)のセルと、を印刷範囲選択画面70で指定したときに、項目名(基準情報)と個々の内容(個別情報)とを含む複数の印刷イメージを生成する。このように、一つのセル情報データにおいて、項目名(基準情報)と内容(個別情報)のそれぞれのセル範囲を指定することで、関連性のある一連のラベルを効率良く作成できる。
なお、図10の例では、一つのセル情報データから、共通する基準情報を持つ複数の印刷イメージを生成する際に、テンプレートを用いる場合を示したが、テンプレートを用いずに印刷イメージの自動生成処理を行う場合にも、同様の印刷範囲選択を行うことが可能である。例えば、セル入力モードを終了したときに、取得したセル情報データに含まれるセルの行方向の個数や列方向の個数に対応するテンプレートが存在しない場合、図10の印刷範囲選択画面70からテンプレート部分を省いた形式の印刷範囲選択画面(図示略)を表示する。
この印刷範囲選択画面上で、ユーザーが項目範囲入力部71と内容範囲入力部72への入力(範囲指定)を行ってOKボタン73を操作すると、項目範囲入力部71で設定した項目名(基準情報)と、内容範囲入力部72で設定した個別の内容(個別情報)とを含む、複数の印刷イメージが自動生成される。
印刷範囲選択画面70においては、少なくとも一つの内容(個別情報)を内容範囲入力部72に入力する。入力する内容(個別情報)が複数の場合は、上述のように、内容の数に応じた複数の印刷イメージが生成される(図10参照)。入力する内容(個別情報)が一つの場合は、一つの印刷イメージが生成される。印刷範囲選択画面70を用いて、このような一つずつの印刷イメージの生成を行ってもよい。
図11のフローチャートを参照して、本実施の形態の印刷データ編集方法の流れを説明する。ユーザーがメイン編集画面30上のセル入力モードボタン35を操作することによって、図11の処理が開始される。処理が開始されるとセル入力モードに入り、表示装置25にセル入力用画面40が表示される(ステップS100)。ここで、ユーザーがセル入力用画面40に対して直接に情報を入力するか、インポートボタン45を操作して外部ファイルからデータを読み込むかのいずれかにより、セル表示部41のセルに情報が入力される(ステップS101)。
セルへの情報入力後にセル入力用画面40上で編集終了ボタン46を操作すると、セル入力モードが終了し、セル情報データが取得される(ステップS102)。
続いて、セル入力モードを経て取得したセル情報データについて、入力情報が入力されているセルの行方向の個数情報及び列方向の個数情報に対応するテンプレートが記憶されているか否かを判定する(ステップS103)。
対応するテンプレートが記憶されている場合(ステップS103:YES)、当該テンプレートを候補としてテンプレート選択画面50に表示する(ステップS104)。表示されたテンプレートの候補から、使用するものをユーザーが選択して指定する(ステップS105)。すると、テンプレートへセル情報データを反映させる情報反映処理が実行され、印刷イメージが生成される(ステップS106)。
対応するテンプレートが記憶されていない場合(ステップS103:NO)、取得したセル情報データから、表などを含む印刷イメージを自動的に生成する自動生成処理が実行される(ステップS107)。
なお、ステップS104とステップS105の間に、候補のテンプレートからいずれかをユーザーが選択するか否かを判定するステップを追加してもよい。この追加ステップで、「いずれも選択しない」場合には、ステップS107へ進んで印刷イメージの自動生成処理を行う。
ステップS106又はステップS107を経て生成された印刷イメージを、メイン編集画面30の印刷内容表示エリア33に表示する(ステップS108)。そして、図11の処理を終了する。
ステップS108以降の処理として、印刷イメージがメイン編集画面30上に表示されている状態で印刷実行ボタン36を操作することにより、印刷データを10に送って印刷を実行させることができる。
図10の例のように、セル情報データから、関連性のある複数の印刷イメージを生成する処理にも対応が可能である。この場合は、ステップS105とステップS106との間や、ステップS103のNOとステップS107との間に、ユーザーによる印刷範囲選択を行うステップを挿入する。印刷範囲選択を行うステップでは、表示装置25に印刷範囲選択画面を表示し、項目範囲入力部71(図10参照)と内容範囲入力部72(図10参照)への入力をユーザーが行う。これらの入力によって、ステップS106やステップS107では、項目名(基準情報)の共通性を有する複数の印刷イメージを生成させることができる。
以上の実施の形態では、セル情報データの作成から最終的な印刷データの生成までを、全て印刷支援ソフトウェアP1上の処理機能として行っている。これとは異なる変形例として、一部の処理を、印刷支援ソフトウェアP1とは別のソフトウェアによって行うことも可能である。
例えば、図1に示すように、パーソナルコンピュータ20の記憶装置22には、印刷支援ソフトウェアP1とは別の表計算ソフトウェアP2がインストールされている。表計算ソフトウェアP2は、印刷支援ソフトウェアP1のセル入力モード(図3、図4)と同様に、複数のセルに対して文字などの情報を入力すると共に、セル内の文字、セルの罫線や背景に対して所定の装飾などの付加情報を付加することが可能である。表計算ソフトウェアP2はさらに、様々な計算機能やグラフの作成機能などを備えている。
表計算ソフトウェアP2には、印刷支援ソフトウェアP1と連携させるための機能拡張(マクロ、プラグイン)が導入される。この機能拡張の導入によって、表計算ソフトウェアP2のセル入力用画面(印刷支援ソフトウェアP1におけるセル入力用画面40に相当する画面)には、印刷支援ソフトウェアP1へのデータ受け渡し用の拡張ボタン(図示略)が表示される。
図12のフローチャートを参照して、変形例の印刷データ編集方法の流れを説明する。表計算ソフトウェアP2を実行してセル入力用画面が表示されている状態で、図12の処理が開始される。
ユーザーが表計算ソフトウェアP2のセル入力用画面に対して直接に情報を入力する、あるいは外部ファイルなどからデータを読み込む(インポートする)ことによって、セルに情報が入力される(ステップS200)。
ここで、セル入力用画面上に表示されているデータ受け渡し用の拡張ボタンをユーザーが操作すると(ステップS201)、パーソナルコンピュータ20内で印刷支援ソフトウェアP1の起動コマンドが実行され、印刷支援ソフトウェアP1が起動してバックグラウンドで動作する(ステップS202)。そして、表計算ソフトウェアP2で作成したセル情報データが、印刷支援ソフトウェアP1の作業領域に受け渡される。
セル情報データを印刷支援ソフトウェアP1に受け渡した後の処理は、先の実施形態と同様である。図12におけるステップS204からステップS209までの処理は、先に説明した図11におけるステップS103からステップS108までの処理と同様であり、重複した説明を省略する。
この変形例では、セルへの情報入力及び編集を第1のソフトウェアである表計算ソフトウェアP2で行い、それ以降の各処理(セル情報データを取得するステップ、テンプレートを候補として表示するステップ、生成した印刷イメージを表示するステップなど)を、第2のソフトウェアである印刷支援ソフトウェアP1で行っている。
つまり、セル形式の情報入力や入力内容の編集、データベース構築などの段階については、ユーザーが操作に習熟していたり、高機能であったりする表計算ソフトウェアP2を利用し、セル形式のデータに基づいて印刷イメージを作成する段階については、印刷用の専用機能を備えた印刷支援ソフトウェアP1を利用して効率的に行う、という使い分けが成立する。そのため、変形例のように各ソフトウェアで役割分担させることで、表計算ソフトウェアP2を多用するユーザーにとって、使い勝手を向上させることができる。
以上で説明したように、本実施の形態及び変形例によれば、印刷支援ソフトウェアP1のセル入力用画面40(セル入力モード)や、表計算ソフトウェアP2を利用して、操作性や利便性に優れた形態でのセル形式の情報入力を行うことができる。そして、セル形式の情報入力後には、取得したセル情報データに基づいて、テンプレートの候補表示やテンプレートへの自動的な情報反映による印刷イメージの生成や、テンプレートを経由しない場合の自動的な印刷イメージの生成を実行して、生成された印刷イメージを表示する。従って、情報入力における利便性と、印刷装置10に最適化された印刷イメージの効率的な生成とをリンクさせて両立させることができ、印刷データ編集に関するユーザーの使い勝手が向上する。
特に、テンプレートを用いる場合に、セル情報データ(特に、入力情報が入力されているセルの行方向の個数及び列方向の個数)に対応するテンプレートを抽出して候補として表示するので、セル情報データとテンプレートとの適合性をユーザーが気にする必要がなく、対応しないテンプレートを選択してエラー状態になるおそれもない。また、テンプレートの選択後に、テンプレート上の各入力エリアへの情報入力をユーザーが行う必要がなく、自動で反映処理を行うので、セル情報データに最適化された印刷イメージを迅速且つ確実に得ることができる。
また、セル情報データに対応するテンプレートが記憶されていない場合でも、セル情報データにおけるセルの行方向の個数情報及び列方向の個数情報に基づいた印刷イメージを自動的に生成して表示するので、ラベル上での印刷レイアウトなどを手動で行う必要がなく、ユーザーの作業負担は極めて少ない。
なお、上述した実施形態及び変形例は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
例えば、実施形態では、セル入力用画面40上の編集終了ボタン46を操作してセル入力モードを終了すると、テンプレート選択画面50の表示(図5)に進む。これとは異なり、セル入力用画面40においてセル表示部41内のセルを、ユーザーがマウスのドラッグ操作などで範囲指定した場合に、その範囲指定したセルの行方向の個数情報及び列方向の個数情報に対応するテンプレートをリアルタイムでテンプレート選択画面50に表示させることも可能である。なお、範囲指定したセルの行方向の個数情報及び列方向の個数情報に対応するテンプレートが記憶されていい場合には、「対応するテンプレートが存在しない」という情報をテンプレート選択画面50に表示してもよい。このように、ユーザーによるセルの範囲指定操作を、セル情報データを取得するトリガーにすることで、セル入力モードを継続しながら候補となるテンプレートをユーザーが確認して、印刷結果を意識したセルの選択を実行できる。
実施形態では、印刷支援ソフトウェアP1をパーソナルコンピュータ20上で動作させているが、スマートフォンやタブレット型端末などの携帯情報機器で動作する印刷支援ソフトウェアに適用することも可能である。パーソナルコンピュー、スマートフォン、タブレット型端末などはいずれも広義のコンピュータであり、これらのコンピュータで扱う印刷データ編集方法や印刷データ編集プログラムとして、本発明を適用できる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
行方向及び列方向に並ぶ複数のセルのうち、各セルに入力されている入力情報と、前記入力情報が入力されているセルの行方向の個数情報及び列方向の個数情報と、を少なくとも含むセル情報データを取得するステップと、
前記セル情報データと、予め記憶された印刷用のテンプレートと、に基づいて、前記印刷用のテンプレートのうち、前記セル情報データに対応したテンプレートを表示するステップと、
選択されたテンプレートに前記セル情報データを反映して生成された印刷イメージを表示するステップと、
を有する、ことを特徴とする印刷データ編集方法。
[付記2]
取得した前記セル情報データに対応するテンプレートが記憶されていない場合に、前記セル情報データに対応したセルの行方向の個数と列方向の個数とに基づいて生成された印刷イメージを表示するステップを有する、ことを特徴とする付記1に記載の印刷データ編集方法。
[付記3]
前記セル情報データに含まれるセルへの付加情報と、セルに入力されている入力情報への付加情報と、の少なくとも一方を反映して生成された印刷イメージを表示する、ことを特徴とする付記1又は2に記載の印刷データ編集方法。
[付記4]
前記セル情報データに含まれるセルへの付加情報と、セルに入力されている入力情報への付加情報と、の少なくとも一方が印刷不可能を表す付加情報である場合に、
前記印刷不可能を表す付加情報を含むセルと、前記印刷不可能を表す付加情報を含む入力情報と、の少なくとも一方を印刷イメージに含めない、又は前記印刷不可能を表す付加情報を、印刷可能を表す情報に変換して印刷イメージに反映する、ことを特徴とする付記1又は2に記載の印刷データ編集方法。
[付記5]
前記セル情報データから、基準情報のセルと、前記基準情報のセルに対して行方向と列方向とのいずれか一方に並ぶ少なくとも一つの個別情報のセルと、を指定した場合に、
前記基準情報と前記個別情報とを含む少なくとも一つの印刷イメージを生成する、ことを特徴とする付記1から4のいずれかに記載の印刷データ編集方法。
[付記6]
前記セルに情報を入力するセル入力画面でセルの範囲指定を行った場合に、前記印刷用のテンプレートのうち、範囲指定されたセルの行方向の個数情報及び列方向の個数情報に対応するテンプレートを表示する、ことを特徴とする付記1に記載の印刷データ編集方法。
[付記7]
複数のセルへの情報入力及び編集を第1のソフトウェアで行い、
前記第1のソフトウェアで作成した前記セル情報データを取得するステップと、前記テンプレートを表示するステップと、生成された前記印刷イメージを表示するステップとを、第2のソフトウェアで行う、ことを特徴とする付記1から5のいずれかに記載の印刷データ編集方法。
[付記8]
コンピュータに、
行方向及び列方向に並ぶ複数のセルのうち、各セルに入力されている入力情報と、前記入力情報が入力されているセルの行方向の個数情報及び列方向の個数情報と、を少なくとも含むセル情報データを取得させ、
前記セル情報データと、予め記憶された印刷用のテンプレートと、に基づいて、前記印刷用のテンプレートのうち、前記セル情報データに対応したテンプレートを表示させ、
選択されたテンプレートに前記セル情報データを反映して生成された印刷イメージを表示させる、ことを特徴とする印刷データ編集プログラム。