JP7309683B2 - タッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機 - Google Patents

タッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機 Download PDF

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本発明は、タッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機に関する。
タッピンねじは、被締結部材に着座(ねじ頭の底面(座面)が取付部材又は被取付部材に密着)させるためにはある程度のねじ込みトルクが必要であるが、被締結部材はすぐにも塑性変形が生じてしまう軟質材料が使用されることが一般的であるので、着座後のねじ締めトルクを掛け過ぎると、被締結部材が雌ねじ破壊を起こし、いわゆる「ねじバカ」となるなど、自動ねじ締付機やロボットねじ締付機を用いたタッピンねじのねじ締めには細かな注意が必要となる。
このため、自動ねじ締付機やロボットねじ締付機におけるタッピンねじのねじ締めにおいては、ねじ締めの途中で回転数やトルクを切り替える必要があり、この種のねじ締め途中で回転数やトルクを切り替える技術としては、例えば、特開2003-117849号公報に開示のものが知られている。
特開2003-117849号公報の開示は、発明名称「ナットランナー」に係り、「・・着座時における高速回転から低速回転への切替を適確かつ迅速に行え、所定トルクでの締付け作業を高速で能率よく行え、・・更に、・・切替時の締付トルクの設定だけで、着座時の切替を、自動的に行うことができ、短時間の締付、例えばロボット締付などの利用に適するナットランナーを提供する」ことを発明解決課題とし(同公報明細書段落番号0004参照)、「モータの回転を減速させて回転主軸に伝え、この回転主軸により、ネジ締め作業をするナットランナーに於いて、減速軸と回転主軸との間にクラッチ機構を介装し、ネジ着座後、一定値まで締付トルクが上昇した段階で、クラッチ機構が作動し、締付トルクの上昇を一時的に遅延させ、この間にモータの回転を高速から低速に切替える」構成とすることにより(同公報特許請求の範囲請求項1の記載等参照)、「・・ネジが着座して、締付トルクが一定値まで上昇すると、クラッチ機構が作動して、トルクの上昇が一時的に遅延するので、この間を利用して、モータの回転を高速から低速へと切替えることができる」等の効果を奏するものである(同公報明細書段落番号0014参照)。
特開2003-117849号公報の開示は、減速軸と回転主軸との間にクラッチ機構を介装させるなどねじ締め機に変更を加えなければならないなどの問題点を有する。
ところで、本願出願人は、タッピンねじの締付に関しては、既に特許第6027670号に係る発明を提案している。特許第6027670号の提案は、発明名称「タッピンねじの締付軸力の決定方法及びその表示装置」に係り、「タッピンねじの締付軸力をコンピュータモニタ画面上に表示し、最適な締付軸力を決定できるタッピンねじの締付軸力の決定方法及びその表示装置の提供を目的とする」発明解決課題において(同公報明細書段落番号0012参照)、「少なくともねじビット、回転トルクセンサ及びコンピュータを備えたトルクアナライザーに、被測定タッピンねじで締結する上下に配置する締結部材と被締結部材の間に圧力センサを配置し、前記ねじビットに係合させたタッピンねじを締結部材の上から挿入して締付け開始し、雌ねじ破壊までの間の前記回転トルクセンサからのデータ及び前記圧力センサからのデータに基づき、タッピンねじの目標締付トルク及び/又はタッピンねじの締付軸力を決定すること」を内容とし(同公報特許請求の範囲請求項1の記載等参照)、「タッピンねじの締付軸力をコンピュータモニタ画面上に表示することができ・・、また、・・一定の仕様を有するタッピンねじについて、そこで使用される被締結材から定まる最適なトルク及び軸力の両方を同時に,かつ、視覚的に確認できる」等の効果を奏するものである(同公報明細書段落番号0014参照)。
しかしながら、締付け開始からねじ破壊までの間の回転トルクセンサからのデータ及び圧力センサからのデータに基づいてトルク調整を行うとしても、タッピンねじ締付について、被締結部材の雌ねじ破壊、すなわち、「ねじバカ」が生じない指定トルクで主軸回転を停止することは難しかった。これは、停止条件のトルク値を検出したタイミングでサーボモータの回転を停止させようとしても機器の主軸回転慣性力が働き、完全に回転停止するまでに数ミリ秒程度かかり、その間にトルクが上昇を続けるため、設定した停止トルク値よりオーバーランしてしまうことにある。
特開2003-117849号公報 特許第6027670号
そこで、回転トルクセンサからのデータに基づき、停止トルクのオーバーランを改善したタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機を提供することを目的とする。ここに、「2段締付」とは、ねじの着座直前でモータの回転数を下げて最終のねじ締め工程をとるねじ締めをいう。
上記の課題を解決するために、本願請求項1に係る発明は、タッピンねじ2段締付方法において、タッピンねじ回転トルクを検出するトルクアナライザー兼用タッピンねじ締付機における数回のトルク試験結果に基づき決定される下記式で表される値をタッピンねじ締付の減速開始時間としてモータ回転数を減速させることを特徴とする。
減速開始時間=タッピンねじの着座の平均時間ーK×タッピンねじ着座時間の標準偏差(Kは、統計的手法に基づく安全側に補正する補正係数)
また、本願請求項2に係る発明は、タッピンねじ2段締付機において、タッピンねじ回転トルクを検出するトルクアナライザー兼用タッピンねじ締付機と、その数回の試験データを記憶するコンピュータと、からなり、同コンピュータに記憶されたデータファイルに基づきモータの減速開始時間及びモータの減速回転数を設定し、タッピンねじ回転トルクを検出するトルクアナライザー兼用タッピンねじ締付機における数回のトルク試験結果に基づき決定される下記式で表される値をタッピンねじ締付の減速開始時間としてモータ回転数を減速させてタッピンねじ締めを実行することを特徴とする。
減速開始時間=タッピンねじの着座の平均時間ーK×タッピンねじ着座時間の標準偏差
(Kは、統計的手法基づく安全側に補正する補正係数)
タッピンねじ回転トルクを検出するトルクアナライザー兼用タッピンねじ締付機における数回のトルク試験結果に基づくタッピンねじ締付の減速開始時間でモータ回転数を減速させたタッピンねじ2段締めを行うようにしたので、雌ねじ破壊等を起こすことなく最適なねじ締めを行うことができることとなる。
図1は、ねじトルクアナライザーでの計測データに基づくタッピンねじ締付を実施する本実施例1に係るタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機の構成概略を示す図である。 図2は、所定規格のタッピンねじ及び被締結部材におけるトルク試験結果を示すグラフである。 図3は、トルク試験における各実施回数毎のTP(着座トルク値)時間をマークアップしたグラフである。 図4は、減速回転数を300rpmとしてねじ込み試験行った際の試験報告書を示す図である。 図5は、減速回転数を120rpmとしてねじ込み試験行った際の試験報告書を示す図である。 図6は、減速回転数を60rpmとしてねじ込み試験行った際の試験報告書を示す図である。 図7は、減速回転数を30rpmとしてねじ込み試験行った際の試験報告書を示す図である。 図8は、減速回転数を24rpmとしてねじ込み試験行った際の試験報告書を示す図である。 図9は、減速回転数を12rpmとしてねじ込み試験行った際の試験報告書を示す図である。 図10は、本実施例1に係るタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機における上記条件にてタッピンねじ2段締めを行った際のグラフ表示である。 図11(a)~(d)は、トルク試験から条件設定及びタッピンねじ2段締めまでを自動的にコンピュータ7で条件設定できるようにした本実施例2に係る条件自動設定タッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機のモニタ設定ウインドウズ画面の抜粋図であり、図11(a)は、減速開始時間の自動設定ウインドウズ画面、図11(b)は、試験データファイル指定ウインドウズ画面、図11(c)は、図11(b)の試験データファイル指定ウインドウズ画面において、試験データファイルが指定された例を示す試験データファイル指定ウインドウズ画面、図11(d)は、タッピンねじ2段締めにおける減速開始時間設定ウインドウズ画面である。
本発明に係るタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機を実施するための一実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、ねじトルクアナライザーでの計測データに基づくタッピンねじ締付を実施する本実施例1に係るタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機の構成概略を示す図であり、図1において、1は、タッピンねじ回転トルクを検出するトルクアナライザー兼用タッピンねじ締付機、2は、回転駆動モータ、3は、回転トルクセンサ、4は、ハンドル、5は、ビットホルダ、6は、ビット、7は、モニタ画面を有するコンピュータである。
本実施例1に係るタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機に用いる前記トルクセンサ3は、予め前記トルクアナライザー1に同軸に組み込まれ、例えば、ドイツのローレンツ社製回転トルクセンサ(型式DR2447/M310)等が使用され、また、前記ビットホルダ5に固定される前記ビット6は前記回転駆動モータ2により、その先端のタッピンねじにトルクを与え、その際に、回転状態のトルクを当該トルクセンサ3により測定し、それをコンピュータ7に出力・表示するように構成され、同トルクアナライザー兼用タッピンねじ締付機1で以下の雌ねじ破壊試験を行い、そのデータに基づくタッピンねじの締付を行うものである。
(トルク試験の実施)
本実施例1に係るタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機においては、所定規格のタッピンねじ及び被締結部材において、雌ねじ破壊、すなわち、「ねじバカ」が起きる状態を知る必要がある。このため、所定規格のタッピンねじ及び被締結部材におけるトルク試験を実施する。この試験結果をグラフ表示すると図2に示すデータが得られる。
図2において、横軸(X軸)に時間(msec)、縦軸(Y軸)にトルク値を示し、TFは、締付破壊トルク、すなわち、雌ねじが破壊するトルク値、すなわち、タッピンねじ及び被締結部材の締付中でトルクが最大になる時のトルク値であり、TDは、ねじ込みトルク、すなわち、ねじが被締結部材の下穴に入っていくために最低限必要なトルク値、TPは、着座トルク値、すなわち、ねじが着座した時のトルク値であり、図2のグラフで見ると、トルク曲線の最初の山でピークになるところが、ねじ込みトルク(TD)であり、また、TSは、本実施例1に係るタッピンねじ2段締付方法において、所定範囲のトルクとする目標締付トルク値、すなわち、ねじが適正に締め付けられるトルク値の範囲である。換言すれば、この範囲のTS範囲であれば、所定規格のタッピンねじと被締結部材との間の最適なねじ締めが可能となることを意味する。
ところが、本実施例1に係るタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機におけるトルク試験を始め、その他のこの種の試験においては、着座トルク値(TP)の測定にはばらつきがある。
したがって、本実施例1に係るタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機におけるトルク試験においては、数回のトルク試験をくり返し数回分のデータを取得する必要がある。そこで、繰り返し行う数回のトルク試験のデータから着座トルク(TP)を求める。
図2が示すように、サーボモータ2の回転数が速ければ、着座後にトルクが急激に上がり、回転数が遅ければ、その勾配は緩やかになる。したがって、この着座トルク値(TP)は、モータ2の回転数に依存することとなり、ねじ着座の直前で回転数を緩めれば、ねじ破壊が起きないこととなる。
(減速開始時間の決定)
そこで、初期の回転数から着座直前でモータの回転数を緩める時間(減速開始時間)を決定すれば、雌ねじ破壊が起きないこととなる。
本実施例1に係るタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機においては、ねじ着座の直前でモータ2の回転数を緩めつつ行うねじ締めを「2段締め」と称したのである。
減速開始時間は、TP(着座トルク値)より前の時間に決定する必要があるが、極端に短くすると低速回転に切り替わってから着座するまでの時間が長くなってしまう。そこで、上述した複数回実施するトルク試験データから次のような考えに基づき決定する。
図3は、上述するトルク試験における各実施回数毎のTP(着座トルク値)時間をマークアップしたグラフであり、各TPを▲印で示している。なお、横軸はモータ回転開始からの時間(msec)である。
図3から明らかなように、着座トルク値(TP)にはばらつきがある。そこでこのばらつきを前提として、複数のばらつきについて、下記のように統計的手法を用いて、超えてならない時間、すなわち、着座が推定される時間のうち最大の時間(着座推定最大時間)を決定する。すなわち、トルク試験のTP(着座トルク値)時間に着目するならば、TP(着座トルク値)が、(着座平均時間ーK×標準偏差)を越えなければ、着座を超える恐れがなく、また、その後に緩やかな回転数とすれば、雌ねじ破壊を生じることなく適切なねじ締め(タッピンねじ締め)が可能となる。そこで、複数の試験データからその時間を超えて着座を超える恐れがある最も大きい時間にねじ着座が行われると推定すると、その着座推定最大時間は、統計的手法に基づけば、(着座の平均時間ーK×着座の標準偏差)で求まる。
着座推定最大時間=着座(TP)の平均時間ーK×着座(TP)の標準偏差
ここで、Kは、統計的手法に基づく安全側に補正する係数(標準偏差の±整数倍)である。補正係数Kに関しては、一般的に安定した条件下では、サンプルの平均値±3×偏差値の範囲内に99.73%の確率で含まれるが、サンプル数が少ない場合には、「n-1理論」によりサンプルの平均値±2×標準偏差を補正係数Kとするなど、統計的安全性を確保する標準偏差に関する補正係数である。
したがって、この着座推定最大時間(着座(TP)の平均時間ーK×着座時間(TP)の標準偏差)をモータ2の減速開始時間(この時間を契機にモータ回転数を緩やかにする)とすれば、雌ねじ破壊を起こすことなく、かつ、タッピンねじの最適な螺旋締め(いわゆる、「2段締付」)が可能となる。
(モータ減速回転数の決定)
タッピンねじの2段締めについて、減速回転数について、本願出願人は、様々な回転数にて実験により見いだした。
すなわち、ねじの種類:「タッピンねじ2種」、ねじの呼び:「3×10」、材質・表面:「SWCH18A 3価クロームメッキ」、相手材料:「ABS樹脂」、下穴・形状:「φ2.5通り穴」、めねじ長さ:「6mm」について、停止トルクとして、0.36N・m指示の上、減速回転数、300rpm、120rpm、60rpm、30rpm、24rpm、12rpmについてねじ込み試験を各回転数について、各3回(n=3)行った。
図4~図9は、上記の試験結果である。
図4~図9において、締付トルク(TS)は、各回転数における各試験において実際に停止したトルクを示しており、これらの締付トルク(TS)の各値から明らかなように、高速の回転(300rpm、120rpm)では、慣性により、指示停止トルク(0.36N・m)を大きく外れ、低速回転(24rpm)になればなるほど指示停止トルク(0.36N・m)に近い付くことが知れる。すなわち、回転数「ゼロ」では直ちに停止してしまうことになるが、回転慣性力を阻止するという点では、なるべく低速回転が望ましい。しかしながら、あまりに低速では、一本のねじ締めの時間を必要以上に要することになり、多くのねじ締めを行う作業能率の低下に繋がりかねないので、ねじ締め作業における効率を考慮して行うことが肝要となる。そこで、本実施例1に係るタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機においては、上述するように、減速回転数24rpmを推奨している。
(タッピンねじ2段締め実施)
本実施例1に係るタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機におけるタッピンねじについての2段締めは、図1に示す同じ構成の装置で、トルク試験の際と同じ規格のタッピンねじ及び被締結部材を使用し、同じモータを使用し、同じ回転数を開始回転数(600rpm)として行い、トルク試験で取得したと同じ停止トルク(0.700N・m)し、回転数の減速開始時間617msec、減速回転数24rpmとして2段締めを実施した。
このような条件とするのは、減速開始時間(617msec)より前、または減速開始とほぼ同時にねじが着座すると、サーボモータ2の回転が下がる前にトルク上昇が始まり、2段締めの効果が発揮できないので、減速開始時間はTP(着座)時間より少し前に設定する必要があるからである。
図10は、本実施例1に係るタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機における上記条件にてタッピンねじ2段締めを行った際のグラフ表示である。
図10から明らかなように、上記の条件で行ったタッピンねじ2段締めによれば、X軸に示される700msecの着座チョット手前でサーボモータ2が減速回転数(24rpm)に切り替わり、その後、締付トルク(TS)までオーバーランすることなく、指示停止トルク(TS:0.700N・m)で停止する。
すなわち、本実施例1に係るタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機におけるタッピンねじ2段締めにおいては、モータ2の回転数は、次のように変化する。
(1)測定開始から「減速開始時間」までの間、サーボモータ2の設定の「回転数(600rpm)」で動作する。
(2)「減速開始時間(617msec)」を経過すると「減速回転数(24rpm)」に切り替わる。
図10からも明らかなように、事前に実施したトルク試験で行った同じ回転数を開始回転数(600rpm)として行い、トルク試験で取得したと同じ停止トルク(0.700N・m)で回転数減速開始時間617msec、減速回転数24rpmとしてタッピンねじ2段締めを行うことにより、雌ねじ破壊等を起こすことなく最適なねじ締めを行うことができることとなる。
次に、本発明に係るタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機の上記トルク試験から条件設定及びタッピンねじ2段締めをコンピュータ化した実施例2に係るタッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機について説明する。
図11(a)~(d)は、トルク試験から条件設定及びタッピンねじ2段締めまでを自動的にコンピュータ7で条件設定できるようにした本実施例2に係る条件自動設定タッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機のモニタ設定ウインドウズ画面の抜粋図であり、図11(a)は、減速開始時間の自動設定ウインドウズ画面、図11(b)は、試験データファイル指定ウインドウズ画面、図11(c)は、図11(b)の試験データファイル指定ウインドウズ画面において、試験データファイルが指定された例を示す試験データファイル指定ウインドウズ画面、図11(d)は、タッピンねじ2段締めにおける減速開始時間設定ウインドウズ画面である。
図11(a)~(d)で明らかなように、本実施例2に係る条件自動設定タッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機においては、トルク試験の数回の実施後、そのデータをコンピュータ7に記憶しておく。
実施された数回のトルク試験の結果に基づいて、タッピンねじ2段締めを行う際には、図11(a)に示す減速開始時間の自動設定ウインドウズ画面における「2段締めを行う」のチャックボックスにチェックを入れて、しかる後、右端に配置される「自動設定」ボタンをクリックする。そうすると、図11(b)に示す試験データファイル指定ウインドウズ画面が開くので、その入力枠の右端のフォルダ選択ボタンをクリックして、図11(c)に示すように、先に記憶させた試験データファイルを呼び出す(図11(c)では、「破壊試験 3×10mm通り穴 600rpm.xml」と命名した試験データファイルが呼び出され、指定された例ことを示している。)。
なお、図11(b)における「開始時間の計算式」における「開始時間=TP時間の平均値-(K*TP時間の標準偏差)」中の「K」は、上述した統計的手法に基づく安全側に補正する補正係数(標準偏差の±整数倍)であり、使用する機器によっては、少ないサンプル数であってもばらつきが少ない場合を考慮して、手入力により、着座が推定される時間のうち最小の時間(着座推定最小時間)を変更できるようにしている。
コンピュータ7に記憶してあるトルク試験データファイルを用いるのであるから、トルク試験で使用されるタッピンねじ及び被締結材の種類、モータ2の回転数など、トルク試験と同じ条件が同試験データファイルから読み込まれることとなる。
図11(b)に示す「OK」ボタンをクリックすることにより、図11(c)に呼び出されたファイルから必要なデータを取得し、さらに、図11(d)の自動設定ボタンをクリックすることにより、補正係数(K=3)を考慮の上、減速開始時間617msecが設定される。なお、減速回転数としては、遅い回転数であれば問題ないが、現場の作業効率等を考慮して、減速回転数24rpmを入力する。
このようにして、ついで、タッピンねじについての2段締めを実行する。タッピンねじ2段締めは、タッピンねじ及び被締結材をセットして、モータ2を回転させながら、予め開けられた下穴に向かってビット6を押し込む。
このようにすることにより、図10に示すように、タッピンねじはオーバーランすることなく、適正な減速開始時間で低速の減速回転数となり、雌ねじ破壊を生じることなく最適なねじ締めを行うことができることとなる。
本発明は、タッピンねじ2段締付方法及びその方法によるタッピンねじ2段締付機に利用される。
1 タッピンねじのトルクを検出するトルクアナライザー兼用タッピンねじ締付機
2 回転駆動モータ
3 回転トルクセンサ
4 ハンドル
5 ビットホルダ
6 ビット
7 コンピュータ

Claims (2)

  1. タッピンねじ回転トルクを検出するトルクアナライザー兼用タッピンねじ締付機における数回のトルク試験結果に基づき決定される下記式で表される値をタッピンねじ締付の減速開始時間としてモータ回転数を減速させることを特徴とするタッピンねじ2段締付方法。
    減速開始時間=タッピンねじの着座の平均時間ーK×タッピンねじ着座時間の標準偏差
    (Kは、統計的手法基づく安全側に補正する補正係数)
  2. タッピンねじ回転トルクを検出するトルクアナライザー兼用タッピンねじ締付機と、
    その数回の試験データを記憶するコンピュータと、
    からなり、
    同コンピュータに記憶されたデータファイルに基づきモータの減速開始時間及びモータの減速回転数を設定し、タッピンねじ回転トルクを検出するトルクアナライザー兼用タッピンねじ締付機における数回のトルク試験結果に基づき決定される下記式で表される値をタッピンねじ締付の減速開始時間としてモータ回転数を減速させてタッピンねじ締めを実行することを特徴とするタッピンねじ2段締付機。
    減速開始時間=タッピンねじの着座の平均時間ーK×タッピンねじ着座時間の標準偏差
    (Kは、統計的手法基づく安全側に補正する補正係数)
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