以下、本発明の実施の形態に係る食品原木のケーシング除去方法および原木ピーリング装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る原木ピーリング装置1を背面側から見た斜視図であり、原木ピーリング装置を構成する各処理手段の配置を示している。図2は、同装置を正面側から見た平面図であり、図2(a)は、食品原木(以降、「原木」と略す)Wが置かれていない状態を示し、図2(b)は、原木Wが各処理手段に置かれた状態を示している。
図1に示すように、原木ピーリング装置1は、把持手段2、原木供給手段3、原木回転手段4、押出手段5、切れ込み手段6(図6参照)、引張手段7、移送手段8、検査手段9およびコントローラ10で構成されている。大半の構成手段は、格子状のフレーム101上に分散して配置され、把持手段2およびコントローラ10は、フレーム101に隣接して配置された基台102上に設置されている。
<原木のケーシング除去作業の概要>
原木ピーリング装置1の理解を助けるため、装置の構成手段について説明する前に、図20を参照して、原木Wのケーシングを除去する作業の概要を説明する。
前述したように、原木Wは、筒状のケーシングCa内にハム等の食品本体を収容すると共に、ケーシングCa両端の開口を紐やクリップ等の封止具(図ではクリップClを使用)で封止したものである。以降、クリップ近傍の原木の径が小さい部分を「小径部」、それ以外の円柱状の部分を「大径部」という。
原木WからケーシングCaを除去する際には、図2(b)に示すように、原木Wを、原木回転手段4の一対のローラ41a、41b上に載置した後、原木Wの一方のクリップCl近傍の小径部に、後述する切れ込み手段6(図6(a)参照)を用いて切れ込みSlを入れる。
次に、切れ込みSlが入った側のクリップClを把持手段2の先端に取り付けられた第1のチャック23で把持し、原木Wを静止させたままケーシングCaを引っ張り、ケーシングCaに破線に沿って切れ目を入れ、食品本体から引き剥がす。
更に、第1のチャック23で剥されたケーシングCaの上部を把持手段2の第2のチャック24で把持し、原木Wを回転させながら小径部から大径部にかけてケーシングCaを剥がす。
続いて、剥されたケーシングCaを把持手段2のチャックから引張手段7に引き渡すと共に、ケーシングCaを引張手段7の一対のローラ71a、71b(図8参照)で挟んで引っ張る。そして、原木Wを回転させながら、引張手段7を原木Wに沿って後方(図2(b)の紙面に向かって左側)に移動させることにより、図17に破線で示すように、ケーシングCaに螺旋状の切れ目を入れながら食品本体から剥す。
最後に、原木Wの他方の封止部(紙面に向かって左側)のクリップClを原木本体から剥してケーシングCaの除去を終了する。
<原木ピーリング装置の構成と各部の機能>
次に、原木ピーリング装置1の構成と各部の機能について説明する。最初に、把持手段2について説明する。
図2(a)に示すように、把持手段2は、多関節ロボット21のアーム先端に一対のチャック23および24を取り付けたものである。把持手段2の構成について説明する前に、多関節ロボット21を用いて食品原木Wのケーシングを除去する理由を説明する。
発明者等は、原木WのケーシングCaを除去する方法について実験を重ねた。その結果、切れ込みSlを入れたケーシングCaを、2つのチャックを用いて食品本体から引き剥がすと共に、チャックの動きを、原木の径や小径部の外曲面に合わせて変えることにより、原木Wの径が変わっても、ケーシングCaが途中でちぎれることなく円滑に除去できることがわかった。
また発明者等は、上述のケーシング除去方法を実現する手段として、位置および姿勢を変えることにより、三次元空間において任意の動きを実現できる機器の先端に2つのチャックを取り付けた手段を用いることが最適であることを見出した。
本実施の形態では、多関節ロボットのアーム先端に2つのチャックを取り付けたが、これは、上述の動作を実現する機器として比較的容易に入手できる点を考慮したものである。チャックを三次元空間において移動、回転および旋回できる機器であれば、リニアモータや超音波モータ等の他の駆動手段を用いて構成したものであってもよい。
本実施の形態で採用した多関節ロボット21は、互いに関節接合された複数のアームで構成され、それぞれの関節内に収容されたサーボモータを回転することによって、チャック23、24を、三次元空間において任意の軌跡に沿って移動、回転および旋回させることができる。
図3に、多関節ロボット21のアーム22先端に取り付けられた2つのチャック23および24の構成を示す。2つのチャック23、24は、原木WのクリップClやケーシングCaを把持すると共に、原木WからケーシングCaを剥ぎ取るために用いられる。
第1および第2のチャック23、24は、それぞれエアーシリンダ25、26によって開閉駆動される。エアーシリンダ25、26には、圧縮空気を供給するためのパイプが連結されているが、図では、煩雑さを避けるため、パイプや吸排気口を省略している。
図3に示すように、アーム22の先端に、取付部材27を介してシリンダホルダ28が取り付けられ、シリンダホルダ28の一方の側には、第1チャック23を開閉する第1シリンダ25が取り付けられ、他方の面には、第2チャック24を開閉する第2シリンダ26が取り付けられている。
図3(a)に実線および2点鎖線で示すように、第1シリンダ25にパイプ(図示せず)を介して順方向および逆方向の圧縮空気が供給されると、ピストンロッド(図示せず)が伸縮して第1チャック23が開閉し、また第2シリンダ26に順方向および逆方向の圧縮空気が供給されると、ピストンロッド(図示せず)が伸縮して第2チャック24が開閉する。
後述するように、第1チャック23と第2チャック24の開閉動作は連動して行われ、第2チャック24が閉じたときに第1チャック23が開くことはないため、相互のチャックが衝突することはない。
すなわち、当初、第1チャック23および第2チャック24共に開いており、その後、第1チャック23でクリップClを把持し、原木WからケーシングCaを剥ぎ取る作業が進んだ後に、第2チャック24でケーシングを把持する。その後、ケーシングCaを除去する作業を引張手段6に引き継ぐ際に、第1および第2チャック23、24は共に開く。従って、相互のチャック23、24が衝突することはない。
第1チャック23および第2チャック24の先端には、それぞれのチャックと直交する方向にチャック片231および241が取り付けられており、これらのチャック片によってクリップClやケーシングCaを確実に把持する。
<原木ピーリング装置における原木の流れ>
次に、図4を参照して、原木ピーリング装置1における原木Wの流れを説明する。図4は、前述の図2(b)のA-A線で切断した断面のうち、原木供給手段3、原木回転手段4、移送手段8および検査手段9に関連する部材を表示したものである。図では、見易さを考慮し、断面に施す斜線は省略している。
原木供給手段3は、ケーシングCaが除去される前の複数本の原木Wを保管すると共に、原木回転手段4においてケーシングCaの除去作業が終了する毎に、新たな原木Wを原木回転手段4に供給するものである。図では、3本の原木Wが原木供給手段3に保管されている。
原木回転手段4は、把持手段2、押出手段5および引張手段7と連携して、原木WからケーシングCaを除去するものである。把持手段2を用いて原木小径部のケーシングCaを剥いだ後、原木回転手段4によって原木Wを回転させながらケーシングCaの除去を進め、その後、剥いだケーシングCaが引き渡された引張手段7の動きに合わせて原木Wを回転させ、ケーシングCaの除去を完了する。
移送手段8は、ケーシングCaの除去が完了した原木Wを原木回転手段4から取出し、検査手段9まで移送するものである。
検査手段9は、ケーシングCaが除去された原木Wの表面に傷等がないかどうかを、作業者が目視によって確認するための手段であり、原木Wは一対のローラ91a、91b上に載置され、作業者が手によって原木Wを回転させ、ケーシングCaが除去された食品本体の表面に傷等がないか確認する。
次に、原木Wの移送について説明する。原木供給手段3、原木回転手段4および検査手段9は、それぞれ高低差をもって配置されており、これらの手段間の移送は、高低差を利用して行われる。
原木回転手段4におけるケーシングCaの除去が終了して、原木回転手段4から原木Wが排出された後、原木供給手段3に保管された3本の原木Wのうち、原木回転手段4に近い箇所にある原木Wが原木回転手段4に移送される。
原木供給手段3のステージ31には、複数のストッパ32が設置されており、ストッパ32は、ステージ31内に収納されたエアーシリンダ(図示せず)により開閉できるように構成されている。通常の状態では、ストッパ32は、図4に示すように立った状態に保持されている。
ステージ31は、原木回転手段4に向けて若干傾いているため、作業者がコントローラ10に指示して原木回転手段4に近いストッパ32を倒すと、原木Wが自重により回転して原木回転手段4の一対のローラ41a、41b上に移送される。
その後、ストッパ32を起立状態に戻し、上流側のストッパ32を倒せば、次の原木Wが下流側に移送され、ストッパ32によって保持される。このような動作を繰り返すことにより、原木回転手段4に原木Wが供給される。
図2(a)に示すように、原木回転手段4は、長尺の回転軸42の外周に一定の間隔を隔てて巻き付けられた一対のローラ41a、41b(以降、総称して「ローラ41」ともいう)で構成され、ローラ41a、41bを同方向に回転させることにより、ローラ上に載置された原木Wを回転させることができる。図示しないが、ローラ41の軸42を回転するモータは、後述する押出手段5の筐体51内に収容されている。
ケーシングCaの除去が終了した原木Wは、移送手段8により原木回転手段4から排出され、その後、検査手段9まで移送される。原木回転手段4の下方には、一対のローラ41a、41bに載置された原木Wを取り出してスロープ82まで移送するトラフ81が設置されている。
トラフ81は金属板をプレス加工したもので、断面がV字状をしており、図1に示すように、ローラ41に対向する箇所には切り欠きが設けられている。図4に示すように、トラフ81の一方の端には旋回用の柄が取り付けられており、柄の先端は回転アーム83に固定されている。フレーム101に固定されたエアーシリンダ84のピストンロッド841を伸長・短縮してアーム83を回転させると、アーム83に取り付けられたトラフ81はアーム83の軸回りに旋回する。
トラフ81は、原木回転手段4のローラ41に原木Wが載置されているときは、図4に実線で示すように、原木Wの回転に支障がないよう、V字状に折り曲げられた箇所がローラ41a、41bの隙間に挿入された状態で保持される。上述したように、トラフ81のうちローラ41a、41bに対向する箇所には切欠きが形成されているため、この状態では、ローラ41a、41bの回転に影響を及ぼすことはない。
一方、ケーシングCaの除去が終了し、原木Wを原木回転手段4から排出する際には、作業者がコントローラ10に指示してエアーシリンダ84を駆動し、トラフ81を実線で示す位置から二点鎖線で示す位置まで旋回させると、原木Wがトラフ81によって持ち上げられ、スロープ82上に落下する。
スロープ82は検査手段9に向かって傾斜しているため、スロープ82上に落下した原木Wは、自重によって回転して検査手段9の一対のローラ91a、91b上まで移送される。
その後、ローラ91a、91b上で作業者の目視による検査が行われる。ローラ91aは、矢印で示すように前方に移動できるため、検査終了後、作業者がローラ91aを押して前方に移動させると、原木Wはコンベア92上に落下し、その後コンベア92で搬送される。
次に、図5~図7を参照して、原木回転手段4を構成する他の部材、押出手段5および切れ込み手段6を構成する各部材について、ケーシング除去の手順に沿って説明する。図5~図7は、図2(b)のB-B線で切断した断面のうち原木回転手段4、押出手段5および切れ込み手段6を構成する部材を示したものである。なお、原木Wについては、断面でなく、前方から見た状態を表している。
最初に、押出手段5を構成する部材について説明する。図2(b)に示したように、原木回転手段4の一対のローラ41a、41bの上に載置された原木Wは、ケーシングCaを除去するため、押出手段5により、紙面に向かって右方向に押し出される。
原木WのケーシングCaを除去する際には、多関節ロボット21のアーム先端に取り付けられた2つのチャック23、24で原木WのクリップClおよびケーシングCaを把持すると共に、チャック23、24を三次元空間において任意の軌跡に沿って移動、回転および旋回させる。その際、原木Wがローラ41の上に乗っていると、チャック23、24を任意の軌跡に沿って移動・回転・旋回させることができない。このため、原木Wの先端とその近傍を、V字状の溝を有する支持プレート44から前方に押し出して空中に浮かせ、チャック23、24が作業できる空間を確保している。
図2(b)に示すように、押出手段5は、原木回転手段4の後方(紙面に向かって左側)に配置されている。原木Wは、押出手段5の筐体51から突出するプッシュロッド52に押されて、一対のローラ41上を右方向に移動し、先端とその近傍が支持プレート44から前方に押し出される。その状態を図5(a)に示す。図示しないが、筐体51内には、プッシュロッド52を前進および後退させる機構と、その機構を駆動するモータが収納されている。
一方、支持プレート44から押し出される原木Wが長すぎると、自重によって先端部が垂れ下がり、チャック23、24によるケーシング除去に悪影響を及ぼす。そのため、支持プレート44の前方に原木検出バー53を設置し、原木先端の突出量が一定値を超えないようにしている。
具体的には、支持プレート44から所定の距離離れた位置に一対の平行な原木検出バー53と、それを垂直面内で回転させるアーム54を設置している。アーム54は、回転部材55を介して支柱103に取り付けられており、原木Wを検出しないときには、図5(a)に示すように、原木検出バー53が下方に垂れ下がった状態で保持されている。
一方、原木Wが押出手段5のプッシュロッド52によって前方に押し出される際には、回転手段55によってアーム54が垂直面内で回転し、図5(b)に示すように、一対の原木検出バー53が上方を向いた状態に保持される。
この状態において、原木Wがプッシュロッド52によって前方に押し出され、先端が原木検出バー53に接触すると、接触を検知した信号が原木検出バー53からコントローラ10に送信される。検知信号を受信したコントローラ10は、押出手段5に指示してプッシュロッド52の前進を停止させる。このようにして、図2(b)に示すように、原木Wの先端が、支持プレート44から一定距離突き出た状態に保持される。
その後、コントローラ10の指示によってアーム54を逆方向に回転させ、原木検出バー53を図5(a)に示す状態に戻し、ケーシングCaの除去が終了するまで、その状態を維持する。
次に、切れ込み手段6について説明する。前述したように、チャック23、24による原木Wのケーシング除去作業を開始する前に、原木Wの小径部に切れ込みSlを入れる必要がある。切れ込み手段6はそのために用いられる。
図5(a)に示すように、支持プレート44の右下には切れ込み手段6が設置されている。切れ込み手段6は、原木WのケーシングCaに切れ込みを入れるカッター61、カッター61を支持するカッターホルダー62、およびカッター61を原木Wに対して接近および離反させるエアーシリンダ63で構成されている。エアーシリンダ63は、カッターホルダー62を移動させる移動部材の一種であり、支柱103に支持され、ピストンロッド631の先端にはカッターホルダー62が取り付けられている。
カッター61は、ケーシング除去作業の開始前は、図5(a)に示すように、ピストンロッド631が縮んだ状態で、原木Wから離れた位置に保持されている。
その後、プッシュロッド52によって原木Wの先端が支持プレート44から突出し、ケーシング除去の準備が完了した時点で、図6(a)に示すように、シリンダ63のピストンロッド631が伸びてカッター61が斜め上方に移動し、原木Wの小径部に切れ込みSl(図20参照)を入れる。
その後、図6(b)に示すように、シリンダ63のピストンロッド631が縮じみ、カッター61は待機状態で保持される。カッター61の形状および機能については、後に図面を参照して詳述する。
次に、図6(a)(b)を参照して、原木回転手段4の構成部材である抑えアーム45について説明する。一対のローラ41a、41bに載置された原木Wは、カッター61によって切れ込みSlが形成された後、把持手段2を操作することによりケーシング除去作業が開始される。
前述したように、当初のケーシング除去作業では、チャック23でクリップClを把持し、原木Wの端部からクリップClと共に小径部のケーシングCaを剥ぎ取る。抑えアーム45は、その際に原木Wが回転したり浮いたりするのを防止するために用いられる。
図6(a)に示すように、L字状に形成された抑えアーム45は、軸47を中心に回転できる状態でプレート44の下部に支持され、下端部がエアーシリンダ46のピストンロッド461に接続されている。
図6(b)に示すように、チャック23によるケーシング除去が開始される前に、コントローラ10の指示に従ってシリンダ46のピストンロッド461が伸び、抑えアーム45は軸47を中心に時計回りに回転し、支持プレート44に載置された原木Wを抑える。その後、チャック23および24を用いてケーシング除去が行われる間、原木Wは、抑えアーム45によって回転しない状態で、かつ支持プレート44から浮かないように抑え込まれる。
チャック23、24による原木小径部のケーシング除去が終了した後、コントローラ10の指示によってエアーシリンダ46のピストンロッド461を縮めて、抑えアーム45を反時計回りに回転させ、図6(a)に示す待機状態に戻る。
次に、図7(a)(b)を参照して、原木支持部材48について説明する。図20を用いて説明したように、ケーシングCaの除去は2段階で行われ、当初は、把持手段2の2つのチャック23、24を用いて,原木Wの小径部から大径部にかけてケーシングCaが剥される。図7(a)に小径部のケーシングCaが剥された状態の原木Wを示す。
その後、剥されたケーシングCaの先端が引張手段7に引き渡され、原木回転手段4によって原木Wを回転させながら大径部のケーシングCaの除去が続けられる。
その際、引張手段7の移動距離を抑えるため、原木Wを前方に移動させながらケーシングCaの除去を行う。前述の図2(b)において、原木回転手段4のローラ41a、41bに載置された原木Wの位置と、検査手段9のローラ91a、91bに載置された原木Wの位置が、横方向でずれているのは、その際の前方への移動が原因している。
前述したように、原木Wは、前端部が垂れ下がらない状態でケーシングCaの除去が行われる。原木が図2(b)に示した状態より多く前方に押し出されると、先端部が垂れ下がり、最悪の場合、先端部が破断して落下する。原木支持部材48は、それを防止するために設けられている。
図7(a)に示すように、原木支持部材48は、原木Wの軸と平行な方向に一定の長さを有し、上面に原木Wを支持するV字状の溝が形成されている。原木支持部材48は、L字状の一対の揺動アーム49を介して支柱103に取り付けられており、これらの部材によってリンク機構を構成している。揺動アーム49は、図示しいないエアーシリンダによって図7(a)に示した位置と図7(b)に示した位置のいずれかに保持される。
すなわち、ケーシングCaの除去が2つのチャック23、24によって行われている間は図7(a)に示す位置に保持され、ケーシングCaの除去が引張手段7によって行われる間は、図7(b)に示す位置に保持される。
引張手段7によるケーシングCaの除去が進み、押出手段5のプッシュロッド52(図2(b)参照)によって原木Wが前進すると、原木Wの先端部が前方に押し出されるが、原木支持部材48の溝によって支持されるため、先端部が折れ曲がったり、破断したりすることはない。ケーシングCaが除去された原木Wは、その後、前述のトラフ81によって原木回転手段4から取り出され、検査手段9に移送される。
次に、図8および図9を参照して、引張手段6の構成と機能について説明する。図8は引張手段7を正面から見た図、図9は同手段7を斜め上方から見た図である。
引張手段7は、原木Wの大径部以降のケーシングCaを除去する際に用いられ、後述するように、チャック23および24によって剥された小径部のケーシングCaを受け取り、一対のローラ71aおよび71bで挟んで引っ張り、回収ボックス74およびダクト75を通して回収する。
引張手段7は、図20に破線で示したように、原木回転手段2と連携して、ケーシングCaを螺旋状の線に沿って剥し、最後に、原木Wの他方の端部のクリップClを原木本体から剥してケーシングCaの除去を完了する。
背景技術の欄で説明した特許文献2に記載のピーリング装置では、引張手段を固定し、原木Wの大径部のケーシングを除去する際には、原木を前進させていたが、このような構成を採用した場合、ピーリング装置の全長が長くなるため、設置場所に広い面積が必要になる。
これに対し、本実施の形態では、基本的に、原木Wを同じ位置で回転させ、引張手段7を原木Wに沿って移動させる形態を採用しているため、従来の装置と比較し、原木ピーリング装置の全長を大幅に短くすることができる。
引張手段7は、ピーリング装置1のフレーム101に取り付けられ移送部材70(図2(a)参照)、一対のローラ71aおよび71b、アーム72、エアーシリンダ73、回収ボックス74、ダクト75、筐体76、回転伝達軸77、ギアボックス78、ならびにこれらの部材を支持するフレームで構成されている。引張手段7のフレームは、上下のプレート791、792を支柱793、794で接続した構造を採用している。
図2(a)に示すように、引張手段7は、原木回転手段4のローラ41bと移送手段8のスロープ82との間の隙間を通って左右に移動できるように構成されている。そのための部材として、マシンのフレーム101上に、一対の長尺のシャフト701、702が平行に配置されている。
図8に示すように、引張手段7のプレート792の下部には、一対のリニアーブッシュ703、704が取り付けられており、それぞれの中空部に上述したシャフト701、702が挿入される。図示しないが、プレート792の上面にはエンドレスベルトの一部が取り付けられ、エンドレスベルトの両端はプーリによって支持されている。移送部材70の筐体内に収容されたモータを駆動して一方のプーリを回転させると、引張手段7は原木回転手段4に沿って左右に移動する。
引張手段7の一方の支柱794に取り付けられた筐体76には、ローラ71bを回転させるモータ(図示せず)が収容されており、モータの回転は、回転伝達軸77およびギアボックス78を介してローラ71bに伝達される。一方、上側のプレート791には、エアーシリンダ73と回収ボックス74が取り付けられている。
引張手段7の上部には、原木Wから剥されたケーシングCaの先端を挟むと共に、回収ボックス74内に引き込む一対のローラ71a、71bが配置されている。下方のローラ71bは、筐体76内に収容されたモータ(図示せず)によって回転する。上方のローラ71aは、アーム72によって旋回可能であり、動作時にはアーム72が下方に旋回してローラ71bと共にケーシングCaを挟み、非動作時には、アーム72が上方に旋回して回収ボックス74の開口の上部に位置する。
一対のローラ71aおよび71bの外周面には、ケーシングCaを挟んで巻き取った時に滑らないように、等間隔に溝が形成されている。回収ボックス74の前面および背面には開口が形成され、背面側の開口には、負圧によりケーシングCaを回収するダクト75が取り付けられている。一対のローラ71a、71bによって原木Wから剥され、回収ボックス74に回収されたケーシングCaは、ダクト75内の空気を吸引することにより、出口側から排出される。
図8に示すように、引張手段7の上下方向の中央部には支柱794と回転駆動軸77と支柱794だけが配置されている。これは、原木回転手段4のローラ41bと移送手段8のスロープ82との間の狭いスペースを利用して引張手段7を移動させるためである。引張手段7は、非動作時には、図2(b)に実線で示す位置で待機し、動作開始時には、エンドレスベルト(図示せず)によって二点鎖線で示す位置まで移送される。
<原木ピーリング装置の制御系の構成>
次に、図10を参照して、本実施の形態に係る原木ピーリング装置1の制御系の構成について説明する。
原木ピーリング装置1の制御系は、基本的に多関節ロボット21の動作を制御するロボットコントローラ11と、それ以外の構成手段の動作を制御するマシンコントローラ15とで構成されており、ロボットコントローラ11とマシンコントローラ15はI/Oケーブルで接続されている。
ロボットコントローラ11は、制御部12、入力表示部13および記憶部14で構成されている。制御部12は、CPU、ROM、RAM等で構成され、ROMに多関節ロボット21の動作を制御するプログラムが格納されており、入力表示部13に入力されたデータに基づいて関節部に内蔵された複数のサーボモータを駆動し、アーム22の先端に取り付けられた2つのチャック23、24が所定の軌跡を辿るように制御する。
入力表示部13はタッチパネル式の液晶ディスプレイで構成され、多関節ロボット21の制御に必要なデータの入力と表示に用いられる。記憶部14は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成され、学習により取得したアームの軌跡に関するデータを記憶する。
一方、マシンコントローラ15は、多関節ロボット21以外の構成手段の動作を制御するものであり、制御部16、入力表示部17および記憶部18で構成されている。
制御部16に接続された第1チャック23、第2チャック24等の各手段には、モータやエアーシリンダ等のアクチュエータや、これらアクチュエータの位置や状況を検知するセンサが内蔵されている。
制御部16は、CPU、ROM、RAM等で構成され、ROMに格納されたプログラムに基づいて、各手段に設けられたセンサから、アクチュエータの現在の位置・状況を検出すると共に、アクチュエータを駆動して所定の動作を実現する。
入力表示部17は、ロボットコントローラ11と同様にタッチパネル式の液晶ディスプレイで構成され、各手段の制御に必要なデータの入力と表示に用いられる。記憶部18も、ロボットコントローラ11と同様にフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成され、各手段を動作させるのに必要なデータを記憶する。
ロボットコントローラ11の制御部12とマシンコントローラ15の制御部16は、相互にタイミング信号を送受し、予め定められたタイミングで多関節ロボット21や他の構成手段を動作させ、予定された機能や動作を実現する。
<ケーシング除去のステップ>
次に、前述の図面および新たな図11~図19を参照して、本実施の形態に係る原木ピーリング装置1によるケーシング除去方法について説明する。
ケーシング除去の準備作業として、一対のローラ41a、41b上に載置された原木Wのケーシング除去が終了し、移送手段8によって検査手段9に移送された後、ケーシング除去をセンサ(図示せず)が検知して原木供給手段3の下流側のストッパ32が倒れ、原木Wは自重により移動し、一対のローラ41上に載置される(図2(b)参照)。
具体的には、作業者は、原木供給手段3のステージ31に保管された原木Gのうち最も下流にある原木Wのストッパ32を倒して(図4参照)、原木Wを原木回転手段4まで移送し、ローラ41上に載置する。
次に、押出手段5のプッシュロッド52を前進させて、原木Wの前端部を図2(b)に示す位置まで押し出す。その際、図5(b)に示したように、アーム54を回転して原木検出バー53を上方に位置させた後、原木Wを前進させ、原木検出バー53に接触した時点でプッシュロッド52を停止する。その後、アーム54を逆方向に回転して、原木検出バー53を待機状態に戻す。
次に、図6(a)に示したように、切れ込み手段6のカッター61を斜め上方に前進させ、原木Wの小径部に切れ込みSlを入れる。その後、図6(b)に示したように、エアーシリンダ63のピストンロッド631を後退させることにより、カッター61を待機状態に保持する。
ここで、原木Wに切れ込みを入れる作業について、図11~図13を参照して説明する。前述したように、原木Wへの切れ込みの長さや深さは、ケーシングの円滑な引き剥がしやスライサーによる原木のスライスに大きく影響する。
すなわち、原木への切れ込みが浅い場合、ケーシングに十分な長さの切れ目が入らず、最悪の場合、ケーシング除去の途中でちぎれる等の問題が生じる。
その一方で、原木への切れ込みが深過ぎる場合、スライスの際にグリッパーで原木の小径部をキャッチするが、切れ込みによって確実なキャッチができず、原木の移送に支障が生じる。また商品とならないヘタ部分をスライサーで切断する際、切れ込みが邪魔をしてヘタ部分をうまく切断できず、結果としてスライス商品生産の歩留まりが低下する。
発明者等が実験を重ねた結果、原木Wの外形と略一致する形状の刃部を有するカッター61を用意し、それを原木Wの小径部に押し当てて、ケーシングCaを含む原木Wに略均等な深さの切れ込みを入れた場合、ケーシングCaに所望の長さの切れ目を入れることができ、しかも、チャッキングやヘタ部分の切断において支障が生じないことが分かった。
以下、前述の図6および新たな図11~図13を参照して、ケーシングCaに切れ目を入れるステップについて具体的に説明する。
図11(a)に、本実施の形態で用いたカッター61の形状を示す。カッター61の刃部611は、原木Wの外形の円弧に略一致する凹円弧状に形成されている。このような形状のカッター61を、図6(a)に示す切れ込み手段6を用いて原木Wに押し当てると、図11(b)に示すように、刃部が原木に食い込んで円弧状の切れ込みが形成される。図11(c)は、原木Wを、軸を含む面で切断した断面を示し、原木Wの小径部に浅い切れ込みSlが形成されている。
このように、原木Wの外形と略一致する刃部611を有するカッター61を用いて切れ込みを入れると、ケーシングCaに想定した長さの切れ目が形成されると共に、原木Wに円弧状の均等な深さの切れ込みSlが形成される。
実験の結果、原木への切れ込みの深さは、原木の直径の10%程度が好ましく、切れ込みが浅過ぎると、場所によってケーシングに切れ目が入らない場合があり、逆に切れ込みが深すぎると、スライサーでのキャッチングやヘタ部分の切断に支障が生じる。
図12に、カッター61の変形例を示す。図12に示したカッター61aでは、凹円弧状の刃部612の刃面が波形に形成されている。このような波形を刃面に形成すると、カッター61aを原木Wに押し当てたときに、原木Wからの抵抗が少なく、カッターの切れ味が向上する。
比較として、図13に、凸状の刃部613を有するカッター61bで原木Wに切れ込みを入れた場合について説明する。
図13(a)に示す形状のカッター61bを用いて原木Wに切れ込みを入れた場合、図13(b)に示すようにケーシングに十分な長さの切れ目を形成することができる。その反面、図13(c)に示すように、原木Wの断面の半分以上に切れ込みSlが形成される。このような深い切れ込みが形成された場合、グリッパーで原木Wをしっかりキャッチすることができず、またヘタ部分を切断する時に、切れ込み部分が垂れ下がって原木を正確に切断することが難しくなる。結果として、その部分を廃棄することになり、スライス食品を生産する際の歩留まりが低下する。
なお、本実施の形態では、断面が円形の原木を用いたため、凹円弧状の刃部を有するカッターを用いたが、断面が円形以外、例えば楕円形の原木のケーシングを除去する場合には、凹楕円形状の刃部を有するカッターを用いる必要がある。
ケーシングCaに切れ目を入れる作業が終了した後、ケーシング除去の本作業を開始する。図14~図19に、ケーシング除去の各ステップを示す。
これらのうち図14(a)、図15(a)、図17(a)、図18および図19は、原木Wの軸と直交する方向から見た図、図14(b)、図15(b)、図16(a)~(c)、図17(b)は、原木Wを軸方向から見た図である。図では、見易さを考慮し、チャック23、24の先端部またはチャック片231、241だけを表示している。
なお、ケーシング除去の各ステップは、作業者がコントローラ10に指示して各手段を駆動することによって行われるが、以後の説明では、煩雑さを避けるため、コントローラ10への指示については逐一説明しない。
最初に、把持手段2の多関節ロボット21を操作して、第1チャック23を原木Wの前方に移動させ、原木のクリップClを第1チャック23で水平方向から把持する。その状態を図14(a)(b)に示す。
参考として、図14(a)には、カッター61によって原木Wの小径部に切れ込みSlを入れる状態を2点鎖線で示している。この段階では、原木回転手段4の一対のローラ41は回転せず、原木Wはローラ上に載置されているだけである。
次に、図15(a)(b)に示すように、第1チャック23を原木Wの小径部の外曲面に沿って、略水平面内で、かつ切れ込みSlを設けた側とは反対方向に移動させ、クリップClおよびその周辺のケーシングCaを原木本体から剥す。
前述の特許文献2に記載の原木ピーリング装置では、クリップを把持したチャックを原木の軸と直交する方向に移動させていたが、実験の結果、原木の軸と直交する方向に移動させた場合、チャックが原木Wから離れるに従って剥がれるケーシングCaの幅が狭くなり、最悪の場合、ケーシングが途中でちぎれることが分かった。
これに対し、上述したように、チャック23を原木Wの小径部の外曲面に沿って移動させた場合、食品本体から剥がれるケーシングの幅にほとんど変化がなく、結果として、ケーシングの幅が狭くなってちぎれるような事態は生じなかった。
次に、図16(a)~(c)に示すように、第1チャック23を回転させながら(細線の矢印で示す)、原木Wの軸に対してスパイラル状に移動させ(白抜きの矢印で示す)、小径部から大径部にかけてケーシングCaに切れ目を入れながら原木Wから剥していく。
実験を重ねた結果、チャック23を、原木Wの軸に対してスパイラル状に移動させてケーシングCaを食品本体から剥がす際に、チャック片231を回転させて、進行方向に対してチャック片231の向きを変えながら移動させると、ケーシングCaに,原木の軸に対し斜め方向に滑らかな切れ目が入ることが分かった。
この際、チャック23の回転軸は、原木Wの軸に対して傾いた状態を維持している。すなわち、第1チャック23は単に回転および移動するだけでなく、回転軸を水平方向から垂直方向に傾けながら移動しており、このような動きは、三次元空間において任意の動きを実現可能な把持手段を用いないと達成が難しい。
次に、図17(a)(b)に示すように、第1チャック23が原木Wの上方に移動し、かつ略水平方向を向いた時点でチャックの動作を止める。その後、ケーシングCaの切れ目の先端と第1チャック23で把持されたケーシングCaとの間を第2チャック24のチャック片241で把持する。
その後、原木回転手段4の一対のローラ41a、41bを同一方向に回転させることによって、ローラに載置された原木を回転させ、原木本体からケーシングCaを剥ぎ取る作業を引き続き行う。
実験の結果、第2チャック24のチャック片241でケーシングCaを把持する際、剥ぎ取られたケーシングCaの中央部を把持すると、切れ目が生じる部分のケーシングCaがたるむことがわかった。その場合、滑らかな切れ目が生じないために、その後の剥ぎ取りに悪影響を及ぼす。これを回避するため、第2チャック24のチャック片241でケーシングCaを把持する際、図17(b)に示すように、切れ目の先端に近いケーシングCaの上部を把持することが好ましい。
剥れたケーシングCaの先端を第2チャック24のチャック片241で把持した後、図17(a)(b)に示すように、原木Wを回転させながら、多関節ロボット21によって第1、第2チャック23、24を原木Wの軸に対して斜め後方かつ斜め上方に移動させて、ケーシングCaに螺旋状の切れ目を入れながら原木本体から剥す。
実験を重ねた結果、上述の各ステップによって、原木Wの小径部から大径部に掛けて、螺旋状の滑らかな切れ目を入れながらケーシングCaを食品本体から剥すことができた。
また一部の原木では、その際に原木Wが上方に吊り上げられることがある。それを防止するためには、図17(b)においてチャック23、24を、紙面に向かって左側に移動させて、ケーシングCaのテンションを緩めた後、上述のケーシング除去を行うと、原木Wが吊り上げられることなく、切れ目が滑らかに形成されることが分かった。
なお、前述したように、ケーシングの剥がれ方や切れ目の入り方は、ケーシングの材質やケーシングと食品本体との密着性等によって変わるため、図16および図17に示したステップの繰り返しにおいて、チャック23、24の速度や軌跡、チャック23、24の回転速度等を微調整し、ケーシングに滑らかな切れ目が形成されて食品本体から剥がれる最適値を探す必要がある。
次に、引張手段7によるケーシング除去について説明する。図2(b)に示したように、原木回転手段4の近傍には引張手段7が配置され、ローラ41bに沿って移動できるように構成されている。
引張手段7は非動作時には、図2(b)に実線で示す位置で待機し、ケーシング除去作業が開始される前に、2点鎖線で示す位置まで移動する。図18に示すように、把持手段2によるケーシング除去が進み、第2チャック24によって原木Wの小径部から大径部にかけてケーシングCaが除去された状態において、ケーシングCaを把持した第1、第2チャック23、24は、引張手段7のローラ71bの上方に位置する。
この状態では、ローラ71aは回収ボックス74の上方に位置し、開口が広く開いているため(図8参照)、多関節ロボット21によって第1、第2チャック23、24を開口の奥まで挿入し、その位置でチャックを開いてケーシングCaの先端をローラ71bに載せる。その後、チャック23、24を待機位置まで後退させる。
次に、図19に示すように、アーム72を下方に旋回してケーシングCaを2つのローラ71a、71bで挟んだ後、ローラ71bを回転させてケーシングCaを回収ボックス74内に引き込む。
図19に示すように、原木Wの後半(左側)のケーシングCaについては、原木回転手段4によって原木Wを回転させた状態において、引張手段7を後方(紙面に向かって左)に移動させ、ローラ71a、71bによってケーシングCaに螺旋状の切れ目を付けながら食品本体から剥がす。その動作を原木Wの左端のクリップClが剥されるまで続ける。
引張手段7の2つのローラ71a、71bによって剥ぎ取られたケーシングCaは、ダクト75内を負圧にすることによってダクトの出口まで送付され、回収される。
前述したように、ケーシングCaの除去が進んだ段階では、押出手段5のプッシュロッド52(図2(b)参照)によって原木Wを前進させることによって引張手段7の移動距離を短縮している。またその際、原木支持部材48を上方に移動させ(図7(b)参照)、原木Wの先端部が垂れ下がるのを防止している。
上述の実験を重ね、ケーシングCaの円滑かつ完全な除去ができるようになった後は、その際の多関節ロボット21、原木回転手段4および引張手段7の制御データをロボットコントローラ11およびマシンコントローラ15の記憶部に記憶する。その後は、それぞれの記憶部からそのデータを読み出して多関節ロボット等の動作を制御すれば、常に最適の状態でケーシング除去を実現できる。
上述した各ステップによってケーシングCaが除去された原木Wは、図4に示すように、移送手段8のトラフ81を時計方向に旋回させることによってローラ41a、41bから押し出され、スロープ82上を移送された後、検査手段9の一対のローラ91a、91b上に載置される。
作業者は、ローラ91a、91b上に載置された、ケーシング除去後の原木Wの食品本体表面を目視で検査し、傷等がないかどうか確認する。目視検査が終了した原木Wは、一方のローラ91aを軸と直交する方向に移動させ、ローラ間を拡げることによってコンベア93上に落下し、取出し位置まで搬送される。
以上説明したように、本発明に係る原木のケーシング除去方法によれば、スライス片の表面に傷がつくことがない。また把持手段として、三次元空間において自由に移動、回転および旋回できる機器の先端に第1および第2のチャックを取り付けたものを用いており、原木の径が変化した場合でも、把持手段の制御データを修正するだけで、途中でちぎれることなく円滑なケーシングの除去を実現できる。
更に、本発明に係る原木のケーシング除去方法によれば、ケーシングに所望の長さの切れ目を入れることができるために、ケーシング除去の途中でちぎれる等の問題を回避でき、またスライサーでのチャッキングやヘタ部分の切断において支障が生じることもない。