JP7307407B2 - 無アルカリガラス - Google Patents

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Description

本発明は、無アルカリガラスに関し、特に有機ELディスプレイに好適な無アルカリガラスに関する。
有機ELディスプレイ等の電子デバイスは、薄型で動画表示に優れると共に、消費電力も低いため、携帯電話のディスプレイ等の用途に使用されている。
有機ELディスプレイの基板として、ガラス板が広く使用されている。この用途のガラス板には無アルカリガラスが使用されている。これにより、熱処理工程で成膜された半導体物質中にアルカリイオンが拡散する事態を防止することができる。
この用途の無アルカリガラスには、以下の特性が要求される。
(1)ガラス板を低廉化するために、生産性に優れること、特に耐失透性や溶融性に優れること。
(2)p-Si・TFTの製造工程において、ガラス板の熱収縮を低減するために、歪点が高いこと。
近年では、上記要求に加えて、(3)ディスプレイの軽量化、薄型化、更にはフレキシブル化等の要求が高まっている。
特許第3804112号公報
ディスプレイの薄型化には、一般的にケミカルエッチングが用いられている。この方法は、2枚のガラス板を貼り合わせたディスプレイパネルをフッ酸系薬液に浸漬させることにより、ガラス板を薄くする方法である。
しかし、従来の無アルカリガラスは、フッ酸系薬液に対する耐性が高いため、エッチング速度が非常に低いという課題があった。エッチング速度を高めるために、薬液中のフッ酸濃度を高めると、フッ酸系溶液中に不溶な微粒子が多くなり、結果として、この微粒子がガラス表面に付着し易くなり、ガラス板の表面においてエッチングの均一性が損なわれる。
そこで、ガラス組成中のBの含有量を低減すると、エッチング速度を高めるこが可能になるが、この場合、耐失透性が低下し易くなる。一方、Alの含有量を低減すると、耐失透性を高めることが可能になるが、この場合、歪点が低下して、p-S・TFTの製造工程において、ガラス板の熱収縮が大きくなる。よって、無アルカリガラスについて、フッ酸系薬液に対するエッチング速度を高めようとすると、高歪点と高耐失透性を両立させることが困難になる。
そこで、本発明は、生産性(特に耐失透性)に優れると共に、フッ酸系薬液に対するエッチング速度が速く、しかも高歪点の無アルカリガラスを創案することにより、ガラス板の製造コストを低廉化しつつ、薄型のディスプレイパネルの製造工程において、スループットを向上させ、更にp-Si・TFTの製造工程におけるガラス板の熱収縮を低減することを技術的課題とする。
本発明者は、種々の実験を繰り返した結果、無アルカリガラスのガラス組成範囲を厳密に規制すると共に、ガラス特性を所定範囲に規制することにより、上記技術的課題を解決できることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の無アルカリガラスは、ガラス組成として、モル%で、SiO+Al 80~90%、SiO 68~78%、Al 9~15%、B 0~1.5%、CaO 1~15%を含有し、実質的にアルカリ金属酸化物を含有せず、歪点が740℃より高いことを特徴とする。ここで、「SiO+Al」は、SiOとAlの合量を指す。「実質的にアルカリ金属酸化物を含有せず」とは、ガラス組成中のアルカリ金属酸化物(LiO、NaO及びKO)の含有量が0.5モル%以下の場合を指す。「歪点」は、ASTM C336の方法に基づいて測定した値を指す。
第二に、本発明の無アルカリガラスは、[SiO+Al-B]の含有量が80%以上であることが好ましい。ここで、「SiO+Al-B」は、SiOとAlの合量からBの含有量を減じたものである。
第三に、本発明の無アルカリガラスは、Bの含有量が0.3モル%以下であるこ
とが好ましい。
第四に、本発明の無アルカリガラスは、ガラス組成として、更に、SnOを0.001~1モル%含み、且つ1600℃より高い温度で清澄されてなることが好ましい。
第五に、本発明の無アルカリガラスは、ヤング率が76GPaより大きいことが好ましい。ここで、「ヤング率」は、曲げ共振法により測定可能である。
第六に、本発明の無アルカリガラスは、ヤング率/密度、つまり比ヤング率が28.5GPa/g・cm-3より大きいことが好ましい。ここで、「密度」は、アルキメデス法により測定可能である。
第七に、本発明の無アルカリガラスは、液相温度が1330℃より低いことが好ましい。ここで、「液相温度」は、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れた後、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶の析出する温度を測定することにより算出可能である。
第八に、本発明の無アルカリガラスは、102.5ポアズにおける温度が1800℃以下であることが好ましい。ここで、「102.5ポアズにおける温度」は、白金球引き上げ法で測定可能である。
第九に、本発明の無アルカリガラスは、液相温度における粘度が104.8ポアズ以上であることが好ましい。ここで、「液相温度における粘度」は、白金球引き上げ法で測定可能である。
第十に、本発明の無アルカリガラスは、オーバーフローダウンドロー法で成形されてなること、つまりガラス内部に成形合流面を有することが好ましい。
本発明の無アルカリガラスにおいて、上記のように各成分の含有量を限定した理由を以下に示す。なお、各成分の含有量の説明において、%表示はモル%を表す。
SiOとAlは、ガラス骨格を形成する成分であり、また歪点を高める成分である。SiO+Alの含有量は80~90%であり、好ましくは82~90%、83~89%、84~88%、特に85~87%である。SiO+Alの含有量が少な過ぎると、歪点を高めることが困難になる。一方、SiO+Alの含有量が多過ぎると、高温粘度が高くなって、溶融性が低下し易くなり、また液相温度が高くなり易い。
SiOは、ガラス骨格を形成する成分であり、また歪点を高める成分である。SiOの含有量は68~78%であり、好ましくは70~77%、71~76%、72~76%、特に73~75%である。SiOの含有量が少な過ぎると、歪点を高めることが困難になり、また密度が高くなり過ぎる。一方、SiOの含有量が多過ぎると、高温粘度が高くなって、溶融性が低下し易くなり、またクリストバライト等の失透結晶が析出して、液相温度が高くなり易い。
Alは、ガラス骨格を形成する成分であり、また歪点を高める成分であり、更に分相を抑制する成分である。Alの含有量は9~15%であり、好ましくは9.5~14.5%、10~14%、10.5~13.5%、特に11~13%である。Alの含有量が少な過ぎると、歪点が低下し易くなり、またガラスが分相し易くなる。一方、Alの含有量が多過ぎると、ムライトやアノーサイト等の失透結晶が析出して、液相温度が高くなり易い。
の含有量が多過ぎると、歪点が大幅に低下することに加えて、エッチング速度を高めることが困難になる。よって、Bの含有量は1.5%以下であり、好ましくは1%以下、1%未満、0.7%以下、0.5%以下、0.3%以下、0.2%以下、特に0.1%未満である。
[SiO+Al-B]の含有量は、歪点を高める観点から、好ましくは80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、特に85%以上である
CaOは、歪点を低下させずに、高温粘性を下げて、溶融性を顕著に高める成分である。また、CaOは、アルカリ土類金属酸化物の中では、導入原料が比較的安価であるため、原料コストを低廉化する成分である。CaOの含有量は1~15%であり、好ましく3~14%、4~13%、8~13%、特に9~12%である。CaOの含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。一方、CaOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数が高くなり過ぎると共に、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、ガラスが失透し易くなる。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分をガラス組成中に添加してもよい。なお、上記成分以外の他成分の含有量は、本発明の効果を的確に享受する観点から、合量で10%以下、5%以下、特に1%以下が好ましい。
MgOは、高温粘性を下げて、溶融性を高める成分である。MgOの含有量は0~8%であり、好ましくは0~7%、0.1~6%、1~5%、特に2~4%である。MgOの含有量が多過ぎると、歪点が低下し易くなる。更にドロマイト等の導入原料からFe等の不純物がガラス中に混入し、ガラス板の透過率を低下させる虞がある。
+MgOの含有量(BとMgOの合量)は、歪点を高める観点から、好ましくは6%以下、0.1~5%、1~4.5%、特に2~4%である。なお、B+MgOの含有量が少な過ぎると、溶融性、耐クラック性、耐薬品性が低下し易くなる。
SrOは、分相を抑制し、また液相温度の上昇を抑制する成分である。更に歪点を低下させずに、高温粘性を下げて、溶融性を高める成分である。SrOの含有量は0~8%であり、好ましくは0.1~8%、2~7%、3~7%、特に4~6%である。SrOの含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。一方、SrOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、ストロンチウムシリケート系の失透結晶が析出し易くなる。
BaOは、アルカリ土類金属酸化物の中では、耐失透性を顕著に高める成分である。BaOの含有量は0~8%、好ましくは0.1~7%、1~6%、2~5.5%、特に3~5%である。BaOの含有量が少な過ぎると、液相温度が高くなって、耐失透性が低下し易くなる。一方、BaOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、BaOを含む失透結晶が析出し易くなる。
RO(MgO、CaO、SrO及びBaOの合量)は、好ましくは13~21%、14~20%、15~19%、特に16~18%である。ROの含有量が少な過ぎると、溶融性が低下し易くなる。一方、ROの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、耐失透性が低下し易くなる。
ZnOは、溶融性を高める成分であるが、ZnOを多量に含有させると、ガラスが失透し易くなり、また歪点が低下し易くなる。ZnOの含有量は0~5%、0~3%、0~0.5%、特に0~0.3%が好ましく、実質的に含有しないことが望ましい。ここで、「実質的にZnOを含有しない」とは、ガラス組成中のZnOの含有量が0.2%以下の場合を指す。
は、歪点を高める成分であるが、Pを多量に含有させると、ガラスが分相し易くなる。Pの含有量は0~1.5%、0~1.2%、0~1%未満、特に0~0.1%が好ましい。
TiOは、高温粘性を下げて、溶融性を高める成分であると共に、ソラリゼーションを抑制する成分であるが、TiOを多量に含有させると、ガラスが着色して、透過率が低下し易くなる。よって、TiOの含有量は0~3%、0~1%、0~0.1%、特に0~0.02%が好ましい。
、Nb、Laには、歪点、ヤング率等を高める働きがある。しかし、これらの成分の含有量が多過ぎると、密度、原料コストが増加し易くなる。よって、Y、Nb、Laの含有量は、各々0~3%、0~1%、特に0~0.1%が好ましい。
SnOは、高温域で良好な清澄作用を有する成分であると共に、歪点を高める成分であり、また高温粘性を低下させる成分である。SnOの含有量は0~1%、0.00~1%、0.05~0.5%、特に0.1~0.3%が好ましい。SnOの含有量が多過ぎると、SnOの失透結晶が析出し易くなる。なお、SnOの含有量が0.001%より少ないと、上記効果を享受し難くなる。
SnOは、清澄剤として好適であるが、ガラス特性を著しく損なわない限り、SnO以外の清澄剤を使用してもよい。具体的には、As、Sb、CeO、F、Cl、SO、Cを合量で例えば1%まで添加してもよく、Al、Si等の金属粉末を合量で例えば1%まで添加してもよい。
As、Sbは、清澄性に優れるが、環境的観点から、極力導入しないことが好ましい。更に、Asは、ガラス中に多量に含有させると、耐ソラリゼーション性が低下する傾向にあるため、その含有量は0.5%以下、特に0.1%以下が好ましく、実質的に含有させないことが望ましい。ここで、「実質的にAsを含有しない」とは、ガラス組成中のAsの含有量が0.05%未満の場合を指す。また、Sbの含有量は1%以下、特に0.5%以下が好ましく、実質的に含有させないことが望ましい。ここで、「実質的にSbを含有しない」とは、ガラス組成中のSbの含有量が0.05%未満の場合を指す。
Clは、無アルカリガラスの溶融を促進する効果があり、Clを添加すれば、溶融温度を低温化し得ると共に、清澄剤の作用を促進し、結果として、溶融コストを低廉化しつつ、ガラス製造窯の長寿命化を図ることができる。しかし、Clの含有量が多過ぎると、歪点が低下し易くなる。よって、Clの含有量は0.5%以下、特に0.1%以が好ましい。なお、Clの導入原料として、塩化ストロンチウム等のアルカリ土類金属酸化物の塩化物、或いは塩化アルミニウム等を使用することができる。
本発明の無アルカリガラスは、以下の特性を有することが好ましい。
本発明の無アルカリガラスにおいて、歪点は740℃超であり、好ましくは750℃以上、より好ましくは750℃超、更に好ましくは760℃以上、特に好ましくは770℃以上である。このようにすれば、p-Si・TFTの製造工程において、ガラス板の熱収縮を抑制することができる。
ヤング率は76GPa超、77GPa以上、78GPa以上、79GPa以上、特に80GPa以上が好ましい。このようにすれば、ガラス板の撓みを抑制できるため、ディスプレイの製造工程等において、ガラス板の取扱いが容易になる。
ヤング率/密度は28.5GPa/g・cm-3超、29.0GPa/g・cm-3以上、29.5GPa/g・cm-3以上、30.0GPa/g・cm-3以上、特に30.5GPa/g・cm-3以上が好ましい。ヤング率/密度の値を大きくすると、ガラス板の撓み量を大幅に抑制することができる。
液相温度は1330℃未満、1150~1320℃、特に1200~1310℃が好ましい。このようにすれば、成形時に失透結晶が発生して、生産性が低下する事態を防止し易くなる。更に、オーバーフローダウンドロー法でガラス板を成形し易くなるため、ガラス板の表面品位を高めることが可能になると共に、ガラス板の製造コストを低廉化することができる。なお、液相温度は、耐失透性の指標であり、液相温度が低い程、耐失透性に優れる。
102.5ポアズにおける温度は1800℃以下、1775℃以下、特に1750℃以下が好ましい。102.5ポアズにおける温度が高くなると、溶解性、清澄性を確保し難くなり、ガラス板の製造コストが高騰する。
液相温度における粘度は104.8ポアズ以上、105.0ポアズ以上、105.2ポアズ以上、特に105.3ポアズ以上が好ましい。このようにすれば、成形時に失透がじ難くなるため、オーバーフローダウンドロー法でガラス板を成形し易くなり、結果として、ガラス板の表面品位を高めることが可能になり、またガラス板の製造コストを低廉化することができる。なお、液相粘度は、成形性の指標であり、液相粘度が高い程、成形性に優れる。
本発明の無アルカリガラスにおいて、β-OH値を低下させると、歪点を高めることができる。β-OH値は、好ましくは0.5/mm以下、0.45/mm以下、0.4/mm以下、0.35/mm以下、0.3/mm以下、0.25/mm以下、0.2/mm以下、特に0.15/mm以下である。β-OH値が大き過ぎると、歪点が低下し易くなる。なお、β-OH値が小さ過ぎると、溶融性が低下し易くなる。よって、β-OH値は、好ましくは0.01/mm以上、特に0.05/mm以上である。
β-OH値を低下させる方法として、以下の方法が挙げられる。(1)低含水量の原料を選択する。(2)ガラス中にβ-OH値を低下させる成分(Cl、SO等)を添加する。(3)炉内雰囲気中の水分量を低下させる。(4)溶融ガラス中でNバブリングを行う。(5)小型溶融炉を採用する。(6)溶融ガラスの流量を多くする。(7)電気溶融法を採用する。
ここで、「β-OH値」は、FT-IRを用いてガラスの透過率を測定し、下記の式を用いて求めた値を指す。
β-OH値 = (1/X)log(T/T
X:ガラス肉厚(mm)
:参照波長3846cm-1における透過率(%)
:水酸基吸収波長3600cm-1付近における最小透過率(%)
本発明の無アルカリガラスにおいて、厚み(板厚)は0.7mm以下、0.5mm以下、0.4mm以下、0.3mm以下、特に0.05~0.1mmが好ましい。厚みが小さい程、ディスプレイの軽量化、薄型化、更にはフレキシブル化を図り易くなる。
本発明の無アルカリガラスは、1600℃より高い温度(望ましくは1630℃より高い温度、より望ましくは1650℃より高い温度)で清澄されてなることが好ましい。本発明の無アルカリガラスは、Bの含有量が少ないため、高温粘性が高くなり易く、清澄時に泡の浮上速度を高め難い。そこで、上記のように清澄温度を規制すれば、このような問題を有効に回避することが可能になる。なお、上記の清澄温度域では、清澄剤として、SnOが有効に作用する。
本発明の無アルカリガラスは、オーバーフローダウンドロー法で成形されてなること、つまりガラス内部に成形合流面を有することが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、耐熱性の樋状構造物の両側から溶融ガラスを溢れさせて、溢れた溶融ガラスを樋状構造物の下端で合流させながら、下方に延伸成形してガラス板を製造する方法である。オーバーフローダウンドロー法では、ガラス板の表面になるべき面は樋状耐火物に接触せず、自由表面の状態で成形される。このため、未研磨で表面品位が良好なガラス板を安価に製造することができる。なお、オーバーフローダウンドロー法で用いる樋状構造物の構造や材質は、所望の寸法や表面精度を実現できるものであれば、特に限定されない。また、下方への延伸成形を行う際に、力を印加する方法も特に限定されない。例えば、充分に大きい幅を有する耐熱性ロールをガラスに接触させた状態で回転させて延伸する方法を採用してもよいし、複数の対になった耐熱性ロールをガラスの端面近傍のみに接触させて延伸する方法を採用してもよい。
オーバーフローダウンドロー法以外にも、例えば、ダウンドロー法(スロットダウン法等)、フロート法等でガラス板を成形することも可能である。
本発明の無アルカリガラスは、有機ELデバイス、特に有機ELディスプレイに用いることが好ましい。有機ELディスプレイのパネルメーカーでは、ガラスメーカーで成形された大型のガラス板の上に複数個分のデバイスを作製した後、デバイス毎に分割切断して、コストダウンを図っている(所謂、多面取り)。特にTV用途では、デバイス自体が大型化しており、これらのデバイスを多面取りするために、大型のガラス板が要求されている。本発明の無アルカリガラスは、液相温度が低く、また液相粘度が高いため、大型のガラス板を成形し易く、このような要求を満たすことができる。
以下、実施例に基づいて、本発明を説明する。但し、以下の実施例は、単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
表1~3は、本発明の実施例(試料No.1~46)と比較例(試料No.47~49)を示している。
Figure 0007307407000001
Figure 0007307407000002
Figure 0007307407000003
まず表中のガラス組成になるように、ガラス原料を調合したガラスバッチを白金坩堝に入れた後、1650超~1700℃で24時間溶融、清澄、均質化を行った。ガラスバッチの溶解に際しては、白金スターラーを用いて攪拌し、均質化を行った。次いで、溶融ガラスをカーボン板上に流し出して、板状に成形した後、徐冷点付近の温度で30分間徐冷した。得られた各試料について、熱膨張係数、密度、ヤング率、ヤング率/密度、歪点、徐冷点、軟化点、高温粘度104.0ポアズにおける温度、高温粘度103.0ポアズにおける温度、高温粘度102.5ポアズにおける温度、液相温度TL、液相温度における粘度(液相粘度logηTL)及びエッチング深さを評価した。
密度は、周知のアルキメデス法で測定した値である。
熱膨張係数は、30~380℃の温度範囲における平均値であり、またディラトメーターで測定した値である。
ヤング率は、曲げ共振法により測定した値である。
ヤング率/密度は、曲げ共振法により測定したヤング率をアルキメデス法で測定した密度で除した値である。
歪点、徐冷点、軟化点は、ASTM C336の方法に基づいて測定した値である。
高温粘度104.0ポアズ、103.0ポアズ及び102.5ポアズにおける温度は、白金球引き上げ法で測定した値である。
液相温度TLは、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れた後、温度勾配炉中に24時間保持して、結晶の析出する温度を測定した値である。また、液相温度における粘度は、白金球引き上げ法で測定した値である。
β-OH値は、FT-IRを用いてガラスの透過率を測定し、下記の式を用いて求めた値である。
β-OH値 = (1/X)log(T/T
X:ガラス肉厚(mm)
:参照波長3846cm-1における透過率(%)
:水酸基吸収波長3600cm-1付近における最小透過率(%)
次のようにしてエッチング深さを評価した。各試料の両面を光学研磨した上で、試料表面の一部にマスキングを施し、63BHF(HF:6質量%、NHF:30質量%)溶液中で、室温で30分間浸漬した後、得られた試料表面のマスキング部とエッチング部間での段差を測定し、段差が5μm以上であった場合を「○」、5μm未満であった場合を「×」として評価した。
本発明の無アルカリガラスは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用ガラス板以外にも、電荷結合素子(CCD)、等倍近接型固体撮像素子(CIS)等のイメージセンサー用カバーガラス、太陽電池用ガラス板及びカバーガラス、有機EL照明用ガラス板等に好適に使用可能である。

Claims (11)

  1. ガラス組成として、モル%で、SiO+Al 80~90%、SiO 68~78%、Al 12.09~15%、B 0~1.5%、MgO ~8%、CaO 1~15%、SrO 0.1~8%、BaO 4.05~7%を含有し、実質的にアルカリ金属酸化物を含有せず、歪点が740℃より高いことを特徴とする無アルカリガラス。
  2. [SiO+Al-B]の含有量が80%以上であることを特徴とする請求項1に記載の無アルカリガラス。
  3. Al の含有量が12.89モル%以上であることを特徴とする請求項1に記載の無アルカリガラス。
  4. ガラス組成として、更に、SnOを0.001~1モル%含むことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の無アルカリガラス。
  5. ヤング率が76GPaより大きいことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の無アルカリガラス。
  6. ヤング率/密度が28.5GPa/g・cm-3より大きいことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の無アルカリガラス。
  7. 液相温度が1330℃より低いことを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の無アルカリガラス。
  8. 102.5ポアズにおける温度が1800℃以下であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の無アルカリガラス。
  9. 液相温度における粘度が104.8ポアズ以上であることを特徴とする請求項1~8の何れかに記載の無アルカリガラス。
  10. ガラス内部に成形合流面を有することを特徴とする請求項1~9の何れかに記載の無アルカリガラス。
  11. 有機ELデバイスに用いることを特徴とする請求項1~10の何れかに記載の無アルカリガラス。
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