JP7305954B2 - 水性化粧料 - Google Patents
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Description
これら特許文献に記載された化粧料または組成物は、いずれもべたつきが少なく、肌をなめらかにする効果を有するものの、肌がつっぱるような被膜感について改善の余地があった。
そこで、皮膚に塗布した際に柔軟な被膜を形成させる技術が検討されている。
たとえば、特許文献3には、共重合体中のカルボキシ基の中和率が30モル%~60モル%であるアクリル酸アルキル共重合体エマルションと、一価アルコールおよび多価アルコールを組合せて、柔軟な被膜を形成し得る手指用外用剤が開示されている。
[1](A)プロテオグリカン0.0005質量%~0.1質量%と、(B)下記式(1)および(2)で表される構成単位を含む共重合体0.0005質量%~0.5質量%とを含有する、水性化粧料。
[2](A)プロテオグリカンが植物性プロテオグリカンである、[1]に記載の水性化粧料。
[3]さらに、(C)シソ科ハッカ属植物の抽出物を固形分量に換算した量にて0.0001質量%~0.02質量%含有する、[1]または[2]に記載の水性化粧料。
本発明の水性化粧料は、(A)プロテオグリカンと、(B)下記の式(1)および(2)で表される構成単位を含む共重合体とを含有する。以下、これらについて順次説明する。
本発明の水性化粧料において、(A)成分として含有されるプロテオグリカンは、特殊な構造を有する糖とタンパク質の複合体であり、動物性および植物性のプロテオグリカンが存在する。
動物性のプロテオグリカンは、1個のコアタンパク質に、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸等のグリコサミノグリカンが複数本共有結合した糖タンパク質であり、細胞外マトリックスの一成分として、臓器、脳、皮膚、軟骨など体内に広く分布している。
植物性のプロテオグリカンは、アラビノガラクタンとコアタンパク質が一定の様式で結合したものであり、正式にはアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)と呼ばれており、植物の細胞壁や樹液に細胞外マトリックスとして存在する。
本発明において、(A)成分としては、動物性プロテオグリカン、植物性プロテオグリカンのいずれも用いることができるが、製造コストや、近年の植物性原料が好まれる傾向等を考慮すると、植物性プロテオグリカンを用いることが好ましい。
動物性プロテオグリカンと同等またはそれ以上の生理活性を有するものが得られることから、本発明の目的には、アラビアゴムノキ(Acacia senegal Willdenow)、またはそのセヤル種であるAcacia seyal Delileから得られるアラビアゴムを原料とするものがより好ましく、アカシアゴムノキ(Acacia senegal Willdenow)から得られるアラビアゴムを原料とするものがさらに好ましく用いられる。
本発明の目的には、植物性プロテオグリカンは、多角度光散乱検出器および示差屈折率検出器をオンライン接続したサイズ排除クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が900,000~3,500,000であるものが好ましく用いられ、1,000,000~3,000,000であるものがより好ましく用いられる。
また、アンプライト(Amplite)(商標)アルデヒド定量キット(比色)(Colorimetric Aldehyde Quantitation Kit)(製品番号:10051)(エイエイティー バイオクウェスト(AAT Bioquest)社製)等のアルデヒド定量キットにより測定される総アルデヒド含有量が、0.005μmol当量/g~2.0μmol当量/gであるものが好ましく用いられる。
動物性プロテオグリカンは、サケ鼻軟骨、サメ鰭軟骨及びイカ頭部軟骨等の動物組織から抽出、精製等して製造して用いてもよいが、各社から提供されている市販の製品を用いることもできる。
一方、植物性プロテオグリカンは、0.5質量%~40質量%に調製されたアラビアゴム水溶液を、ポーラスI型強塩基性アニオン交換樹脂および強酸性カチオン交換樹脂に供して精製することにより、好適に製造することができるが、一般的に有効分含有量が約1質量%の水溶液として市販されている製品を用いることもできる。
植物性プロテオグリカンのかかる市販の製品としては、例えば日油株式会社製の「フィトプロテオグリカン(登録商標)」が挙げられる。
(A)成分の含有量が0.0005質量%未満では、メイク崩れの防止効果が低減することがある。一方、(A)成分の含有量が0.1質量%を超えると、自然な被膜感を損なうおそれがある。
本発明の水性化粧料に、(B)成分として含有される共重合体は、下記の式(1)および式(2)で表される構成単位を含む(以下、本明細書にて「共重合体B」ともいう)。
また、上記式(2)で示される構成単位は、(メタ)アクリル酸アルキルに基づく構成単位である。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸またはメタクリル酸」を意味する。
(メタ)アクリル酸アルキルにおけるアルキル基は、炭素数4~19の直鎖または分岐のアルキル基であり、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2-エチルヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等が例示される。なかでも、ブチル、ドデシル、オクタデシル等の直鎖アルキル基が好ましく、ブチル基またはオクタデシル(ステアリル)基がより好ましい。
なお、上記アルキル基の炭素数が小さ過ぎる場合には、被膜形成能が低下し、本発明の効果を低減せしめる場合がある。また上記アルキル基の炭素数が大き過ぎる場合には、水や水性溶媒への溶解が困難になる場合がある。
式(1)で示される構成単位の含有量に対する式(2)で示される構成単位の含有量の比(n2/n1)(モル比)が0.1未満である場合には、不自然な被膜感が付与され、またメイク崩れの防止効果が低下するおそれがある。一方、前記比が5を超えると、共重合体の含水性が低下するおそれがある。
共重合体Bの重量平均分子量が10,000未満である場合には、メイク崩れの防止効果を損なう可能性があり、一方、共重合体Bの重量平均分子量が1,000,000を超える場合には、取り扱いが困難となるおそれがある。
なお、共重合体Bの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定され、ポリエチレングリコール換算の分子量で示される。
また、共重合体Bは、通常、上記式(1)で表される構成単位と、上記式(2)で表される構成単位からなる二元共重合体であるが、式(1)、(2)で表される構成単位以外に、他の構成単位を含む共重合体であってもよい。
共重合体Bに含まれる他の構成単位は、通常共重合体の構成単位となり得るものから、本発明の効果に影響を与えない範囲で適宜選択することができる。他の構成単位としては、例えば、(メタ)アクル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の炭素数が1~3の低級アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の環状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の芳香族基を含有する(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体等に基づく構成単位を挙げることができる。
これら他の構成単位は1種または2種以上を含むことができ、共重合体B中におけるその含有量は、式(1)、(2)で表される構成単位の合計量に対して40モル%以下であり、好ましくは20モル%以下である。
例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンおよび(メタ)アクリル酸アルキル、ならびに必要に応じて上記他の構成単位に相当する単量体を含む単量体混合物を、ラジカル重合開始剤の存在下、窒素等の不活性ガス雰囲気下において、溶液重合等の公知の方法により重合させて製造することができる。
その際の各単量体の含有量比は、共重合体B中における各構成単位の含有量比に相当する比とすればよい。
共重合体Bは、上記した重合方法により製造して用いることもできるが、「リピジュア(登録商標)-B」、「リピジュア(登録商標)-PMB」、「リピジュア(登録商標)-NR」(日油株式会社製)等の市販の製品を用いることもできる。
(B)成分の含有量が0.0005質量%未満では、肌をなめらかにする効果が低くなり、不自然な被膜感を与えるおそれがある。一方、(B)成分の含有量が0.5質量%を超えると、メイク崩れの防止効果が得られにくくなるおそれがある。
本発明の水性化粧料には、さらに(C)シソ科ハッカ属植物の抽出物を含有させることができる。
本発明の水性化粧料に(C)成分として含有されるシソ科ハッカ属植物の抽出物は、シソ科ハッカ属に属する植物から、溶媒により抽出して得られた抽出物である。
本発明において、抽出に用いられるシソ科ハッカ属に属する植物の使用部位は特に限定されないが、地上部または葉を好適に使用することができる。かかる植物体は、そのまま、または乾燥、細切、粉砕等して、溶媒による抽出に供される。
なかでも好ましくは水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールであり、さらに好ましくは水、エタノール、1,3-ブチレングリコールである。
(C)成分の調製には、上記溶媒の1種または2種以上を用いることができる。
抽出時の温度は、抽出に用いる溶媒の沸点等により定められるが、好ましくは20℃~100℃であり、より好ましくは40℃~80℃である。
また、シソ科ハッカ属に属する植物の抽出物としては、前記植物の植物体から、上記した方法で抽出して得た抽出物を用いることもできるが、各社より提供されている市販の製品を用いることもできる。
(C)成分の含有量が0.0001質量%未満であると、肌をなめらかにする効果および化粧崩れの防止効果が低下するおそれがあり、(C)成分の含有量が0.02質量%を超えると、水性化粧料の使用感を損なうおそれがある。
かかる添加剤としては、例えば、低級アルコール等の溶剤、保湿剤、皮膚コンディショニング剤、抗炎症・肌荒れ防止剤、細胞賦活剤、美白剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、シリコーン油、界面活性剤、水溶性高分子、増粘性多糖類、pH調整剤、防腐剤、キレート剤、色素、顔料、香料等が挙げられる。
これらの添加剤は、目的に応じて、1種または2種以上を含有させることができる。
水としては、化粧品用または医薬品用等として一般的に用いられる水を用いることができ、例えば、イオン交換水、精製水等を用いることができる。
本発明の水性化粧料中における水の含有量は、好ましくは60質量%~99質量%であり、より好ましくは70質量%~97質量%である。
表1に示す(A)~(C)成分および表2に示す他の添加剤を順次精製水に添加して混合し、均一として、実施例1~5の化粧水を調製した。
また、表1に示す(A)、(A’)、(B)、(B’)成分および表2に示す他の添加剤を順次精製水に添加して混合し、均一として、比較例1~4の化粧水を調製した。
なお、表1において、各成分について示される各数値は、それぞれの成分の含有量(質量%)を示す。
(i)(A)植物性プロテオグリカン:(「フィトプロテオグリカン」(日油株式会社製))(重量平均分子量=約1,200,000、総アルデヒド含有量=1.8μmol当量/g)
(ii)(A’)キサンタンガム:「ケルトロールT」(DSP五協フード&ケミカル株式会社製)
(iii)(B)共重合体B
(イ)共重合体B1:「リピジュア(登録商標)-PMB」(日油株式会社製)(上記式(1)、(2)で表される構成単位からなる二元共重合体であり、式(1)および(2)中、R1およびR2はそれぞれメチル基であり、式(2)中、m=3である。式(1)で表される構成単位と式(2)で表される構成単位の含有量比(n1:n2)(モル比)は4:1であり、重量平均分子量は約600,000である。)
(ロ)共重合体B2:「リピジュア(登録商標)-NR」(日油株式会社製)(上記式(1)、(2)で表される構成単位からなる二元共重合体であり、式(1)および(2)中、R1およびR2はそれぞれメチル基であり、式(2)中、m=17である。式(1)で表される構成単位と式(2)で表される構成単位の含有量比(n1:n2)(モル比)は3:7であり、重量平均分子量は約100,000である。)
(iv)(B’)ヒアルロン酸ナトリウム(粉末)(「Bio Sodium Hyaluronate LMW」、バイオランド(Bioland)社製)
(v)(C)ペパーミント葉抽出物:乾燥したペパーミントの葉100gに1000gの50質量%の1,3-ブチレングリコール水溶液を加えて、50℃で5時間浸漬して抽出し、ろ過することにより抽出物を得た。この抽出物の蒸発残分を測定したところ1.9質量%であり、この抽出液を50質量%1,3-ブチレングリコール水溶液で希釈し、抽出固形分1.0質量%のペパーミント葉抽出物として用いた。
(vi)その他の添加剤:いずれも化粧品原料として市販されている製品を用いた。
各パネラーに、実施例および比較例の各化粧水2mLを首付近に使用させ、化粧水を使用した後の肌のなめらかさについて評価させ、下記評価基準により点数化させた。20名の評価点の合計点を求め、下記判定基準により判定した。
<評価基準>
2点:使用前と比べ、非常に肌がなめらかになったと感じた場合。
1点:使用前と比べ、肌がなめらかになったと感じた場合。
0点:肌がなめらかになったと感じなかった場合。
<判定基準>
◎:合計点が35点以上であり、かつ0点と評価したパネラーが0人である。;肌をなめらかにする効果に非常に優れた化粧料である。
○:合計点が25点以上35点未満である、または合計点が35点以上で、0点と評価したパネラーが1人以上2人以下である。;肌をなめらかにする効果に優れた化粧料である。
△:合計点が15点以上25点未満である。;肌をなめらかにする効果がわずかに得られる化粧料である。
×:合計点が15点未満である。;肌をなめらかにする効果が十分に得られない化粧料である。
各パネラーに、実施例および比較例の各化粧水2mLを首付近に使用させ、化粧水を使用した後の被膜感について評価させ、下記評価基準により点数化させた。20名の評価点の合計点を求め、下記判定基準により判定した。
<評価基準>
2点:首を傾けた際に、肌がつっぱるような被膜感を感じなかった場合。
1点:首を傾けた際に、わずかに肌がつっぱるような被膜感を感じた場合。
0点:首を傾けた際に、肌がつっぱるような被膜感を感じた場合。
<判定基準>
◎:合計点が35点以上であり、かつ0点と評価したパネラーが0人である。;非常に自然な被膜感を付与する化粧料である。
○:合計点が25点以上35点未満である、または合計点が35点以上で、0点と評価したパネラーが1人以上2人以下である。;自然な被膜感を付与する化粧料である。
△:合計点が15点以上25点未満である。;やや不自然な被膜感を付与する化粧料である。
×:合計点が15点未満である。:不自然な被膜感を付与する化粧料である。
洗顔させたパネラーに、水中油型リキッドファンデーションでメイクアップを行わせた後、ミスト容器に充填した各化粧水をファンデーション上に噴霧させ、10時間経過後に、メイク崩れの防止効果を評価させ、下記評価基準により点数化させた。20名の評価点の合計点を求め、下記判定基準により判定した。
<評価基準>
2点:メイク崩れをほとんど感じなかった場合。
1点:メイク崩れをやや感じた場合。
0点:全体的にメイク崩れを感じた場合。
<判定基準>
◎:合計点が35点以上であり、かつ0点と評価したパネラーが0人である。;メイク崩れの防止効果に優れる化粧料である。
○:合計点が25点以上35点未満である、または合計点が35点以上で、0点と評価したパネラーが1人以上2人以下である。;メイク崩れの防止効果がある化粧料である。
△:合計点が15点以上25点未満である。;メイク崩れの防止効果が少ない化粧料である。
×:合計点が15点未満である。;メイク崩れの防止効果がない化粧料である。
すなわち、(A)成分を含有しない比較例1の化粧水では、メイク崩れの防止効果が不十分であると評価された。
(A)成分の代わりにキサンタンガム((A’)成分)を含有する比較例2の化粧水では、やや不自然な被膜感が付与され、メイク崩れの防止効果が不十分であると評価された。
(B)成分を含有しない比較例3の化粧水では、肌をなめらかにする効果が不十分であり、やや不自然な被膜感が付与されると評価された。
(B)成分の代わりにヒアルロン酸ナトリウム((B’)成分)を含有する比較例4の化粧水では、やや不自然な被膜感が付与され、メイク崩れの防止効果が不十分であると評価された。
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