JP7302863B2 - 土壌の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放射性セシウムで汚染された土壌における放射性セシウムの濃度を低減させる土壌の処理方法に関するものである。
2011年の東日本大震災の際に発生した福島原子力発電所の事故によって、放射性物質が環境中に放出されたことにより、大量の土壌が放射性物質で汚染された。一般的には、原子力発電所等から排出された放射性廃棄物は、放射線を遮蔽する容器や構造物に密閉された状態で、放射性物質の濃度が基準値以下となるまで長期間にわたり保管される。しかしながら、このように汚染された土壌が大量であると、放射線を遮蔽する容器や構造物に密閉された状態とすることも、長期間にわたり保管することも、極めて困難である。そのため、放射性物質で汚染された土壌を処理することにより、自然界に排出可能なレベルまで放射性物質の濃度を低減させる技術が、強く要請されている。
放射性物質で汚染された土壌における放射性核種のほとんどはセシウム134またはセシウム137であると言われており、特に、セシウム137の半減期は約30年と長いため、長期にわたり環境や人体に影響を及ぼす。そのため、汚染された土壌における放射性セシウムの濃度を低減させる処理方法の確立が、急務である。
従来、汚染された土壌から放射性セシウムを除去する処理方法としては、硫酸、硝酸、塩酸などの強酸の水溶液に土壌を浸漬して撹拌しつつ、高温で加熱する方法が有望であるとされていた(例えば、特許文献1,2参照)。このような方法により、土壌における粘土鉱物の結晶構造が破壊され、粘土鉱物に保持されていた放射性セシウムが強酸の水溶液中に溶出すると考えられている。
しかしながら、強酸の水溶液を高温に加熱する作業には危険が伴うため、高度の注意を払うことが作業者に課されることにより精神的負担を感じることや、安全を担保するために施設が大掛かりになることが、問題となっていた。また、処理後には、大量の強酸水溶液を廃棄する必要があり、その廃棄のための処理に多大な手間や費用がかかるという問題があった。
そこで、本発明者は過去に、大掛かりな施設を要さず、常温で汚染された土壌を処理することができる土壌処理システムを提案している(特許文献3参照)。これは、汚染された土壌が導入される撹拌槽と、界面活性剤を含む処理剤を撹拌槽に供給するための処理剤供給部と、焼成貝殻粉末を撹拌槽に供給するための貝殻粉末供給部とを備えるシステムである。このシステムによれば、汚染された土壌に含まれていた放射性物質は微細な焼成貝殻粉末に吸着され、放射性物質を担持した焼成貝殻粉末は撹拌槽中の水媒体に懸濁した状態となる。そして、撹拌後に撹拌槽を静置することにより、放射性物質の濃度が低減した土壌と懸濁液とを分離し、懸濁液を濾過層で濾過すれば、放射性物質を担持した焼成貝殻粉末が懸濁液から除去される。濾過層を通過した水における放射性物質の濃度は、自然界に排出可能なレベルまで低減されている。
本発明者は、特許文献3の技術を提案した後も、より効果的に、汚染された土壌における放射性物質の濃度を低減することができる処理方法の検討を続けてきている。本発明は、その過程でなされたものである。
特許第5904757号公報 特許第6178116号公報 実用新案登録第3198799号公報
本発明は、上記のように、大掛かりな施設を要さず、常温で処理を行うことができると共に、汚染された土壌における放射性セシウムの濃度を低減させる効果がより高い、土壌の処理方法の提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる土壌の処理方法法(以下、単に「処理方法」と称することがある)は、
「平均粒子径が5μm~10μmの焼成貝殻粉末、麦飯石の粉末、界面活性剤、クエン酸、及び、ナトリウム塩を含有する処理剤を使用し、
該処理剤が水に添加された処理用水媒体と、放射性セシウムで汚染された土壌とを、常温下で撹拌する撹拌工程と、
該撹拌工程の後で、前記土壌から除去された放射性セシウムを担持している前記麦飯石の粉末及び前記焼成貝殻粉末が分散している前記処理用水媒体を、前記土壌と分離する分離工程と、
該分離工程で分離された前記処理用水媒体を濾過し、放射性セシウムを担持している前記麦飯石の粉末及び前記焼成貝殻粉末を濾過材に捕集させる濾過工程と、
をこの順に行う」ものである。
「焼成貝殻粉末」とする貝の種類は特に限定されず、ホタテ貝、カキ、ホッキ貝、ハマグリ、アサリ等を使用可能である。わが国では、産業廃棄物として廃棄対象となる貝殻は、ホタテ貝が最も多く全体の6割以上を占めると言われているため、資源の有効利用の点で、ホタテ貝の貝殻を用いることが望ましい。貝殻が「焼成」される温度は、1000℃~1200℃とすることができる。貝殻の結晶相をX線回折で同定すると、未焼成の貝殻の主成分は炭酸カルシウムであるが、700℃以上の加熱により酸化カルシウムの回折ピークが認められるようになり、1000℃以上の加熱でほぼ酸化カルシウムの単一相となる。
焼成貝殻粉末の「平均粒子径」は、レーザ回折・散乱法により求めた粒子径分布における体積基準メディアン径である。
「麦飯石」は、石英斑岩または花崗斑岩に属し、アルカリ長石と石英を主成分とする鉱物である。化学組成としては、無水ケイ酸を65質量%~70質量%、酸化アルミニウムを12~16質量%を含有する他、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを、それぞれ2質量%~4質量%含有している。
「水」としては、水道水、井戸水、雨水、河川水を使用することができる。
本処理方法では、焼成貝殻粉末、麦飯石の粉末、界面活性剤、クエン酸、及び、ナトリウム塩を含有する処理剤を使用することにより、特許文献3の技術よりも更に効果的に、汚染された土壌における放射性セシウムの濃度を低減することができる。その理由については、次のように考察している。
放射性セシウムは、土壌に含まれる粘土に強固に保持されていると考えられている。粘土鉱物は、ケイ素と酸素による四面体が二次元的に結合した四面体単位層と、アルミニウムに酸素イオンまたは水酸化物イオンが六配位した八面体が二次元的に結合した八面体単位層とを有しており、カオリナイト、パイロフィライト、白雲母、モンモリロナイト、緑泥石など粘土鉱物の種類により、これらの単位層の組み合わせが異なっている。四面体単位層のケイ素の一部をアルミニウムが置換することにより、また、八面体単位層のアルミニウムをケイ素が置換することにより、その単位層が負電荷を帯びるため、荷電の中和のために単位層間にカリウム、ナトリウム、カルシウムイオン等の陽イオンが保持されている。汚染された土壌では、これらの陽イオンと置換して、単位層間に放射性セシウムイオンが保持されていると考えられる。
本発明者は、麦飯石が非常に多孔質であることに加えて、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオンなどの陽イオンを水中に溶出し、他の陽イオンとイオン交換させる性質があると言われていることに着目した。
処理剤を含む水(処理用水媒体)の中で汚染された土壌を撹拌すると、処理剤に含まれる界面活性剤の作用により、粘土の粒子がミセル内に取り込まれ、処理用水媒体に分散する。処理剤に含まれるナトリウム塩の溶解により、処理用水媒体には多数のナトリウムイオンが存在する。そのため、粘土の粒子内で荷電の中和のために単位層間に保持されている陽イオンは、処理用水媒体に溶存しているナトリウムイオンとイオン交換されやすい。セシウムは、ナトリウムと同じくアルカリ金属であり、価数が等しい。そのため、粘土の粒子に保持されていた放射性セシウムイオンは、処理用水媒体内のナトリウムイオンとイオン交換し、処理用水媒体内に溶出する。
一方、処理剤に含まれる麦飯石は、上記のように陽イオンをイオン交換させる性質があるが、処理用水媒体にはナトリウム塩から供給されたナトリウムイオンが既に多数存在しているため、それ以外のイオン種であるカリウムイオンやカルシウムイオンが優先的に麦飯石から溶出する。カリウムもセシウムと同じくアルカリ金属であり、価数が等しいため、溶出したカリウムイオンは、分散している粘土粒子に保持されている放射性セシウムイオンとイオン交換し、放射性セシウムイオンが処理用水媒体内に溶出する。
ナトリウムイオン及びカリウムイオンとのイオン交換により、処理用水媒体に溶出したセシウムイオンは、カリウムイオンやカルシウムイオンを溶出させた麦飯石に、電荷の補償のために保持される。
このように本処理方法では、麦飯石のイオン交換能に着目し、“汚染された土壌と共に麦飯石の粉末を水中で撹拌する”ところを特徴のひとつとしている。従来、汚染された土壌の処理に麦飯石が使用されることはあったが、それは麦飯石の多孔質性に着眼した濾過材としての使用であった。本処理方法では、濾過材ではなく、汚染された土壌と共に水中で撹拌する処理剤の成分のひとつとして、麦飯石を使用する。
なお、処理用水媒体中に溶出した放射性セシウムイオンは、麦飯石に保持される他、多孔質である焼成貝殻粉末にも吸着されると考えられる。また、処理用水媒体中に溶出したセシウムイオンは、処理剤に含まれるクエン酸とキレートを生成する。キレートを生成すると体積的に嵩張るため、粘土の粒子において単位層間に保持されている陽イオンと再びイオン交換されることはない。一方、麦飯石の粉末の表面では、空間的な制限がないため、キレートを生成しているセシウムイオンであっても、電荷補償のために保持される。
このように、汚染された土壌を処理用水媒体と撹拌することにより、土壌に含まれていた放射性セシウムは麦飯石の粉末及び焼成貝殻粉末に移行する。分離工程では、例えば、撹拌後に静置することにより、処理用水媒体と土壌とを分離することができる。放射性セシウムを担持している麦飯石の粉末及び焼成貝殻粉末は、微細であることにより、また、処理剤に含まれる界面活性剤の作用により、処理用水媒体中に懸濁させることができるため、土壌と分離される。
その後、土壌と分離された処理用水媒体を濾過すれば、放射性セシウムを担持している麦飯石の粉末及び焼成貝殻粉末が濾過材に捕集される。これにより、放射性セシウムを含有する物質は、土壌から濾過材に変わり、大幅に減容される。そして、濾過材を通過した水(以下、「処理後の水」と称する)における放射性セシウムの濃度は、後述するように検出限界以下であるため、処理後の水を自然界に排出することができる。
ここで、焼成貝殻粉末の主成分である酸化カルシウムは、水和により水酸化カルシウムとなり一部が水に溶解するが(水酸化カルシウムの水に対する溶解度は、20℃で約0.16)、その他にも焼成貝殻粉末から水に溶出する成分があると考えられる。本発明者の検討により、焼成貝殻粉末から水に溶出した成分は、除菌・抗菌作用を有していることが分かっている。従って、処理用水媒体に用いる水が、例えば河川水であることにより、何らかの細菌を含んでいても、焼成貝殻粉末から溶出した成分による作用を処理用水媒体が受けることにより、処理後の水を、除菌されると共に細菌の増殖が抑制された状態で、自然界に排出することができる。また、焼成貝殻粉末から溶出した成分の除菌・抗菌作用により、処理に供された土壌も除菌されると共に細菌の増殖が抑制されるため、臭気の発生を抑制することができる。
本発明にかかる土壌の処理方法は、上記構成に加え、
「前記撹拌工程では、前記麦飯石のカリウムイオンと前記土壌に保持されている放射性セシウムとの間でイオン交換させると共に、前記処理用水媒体中のナトリウムイオンと前記土壌に保持されている放射性セシウムとの間でイオン交換させる」ものとすることができる。これは、前述したイオン交換を、発明の構成として規定したものである。
本発明にかかる土壌の処理方法は、上記構成に加え、
「前記処理用水媒体のpHは9.0~10.5に調整される」ものとすることができる。
検討の結果、処理用水媒体のpHを上記範囲とすることにより、前述のイオン交換が効率良く進行すると考えられた。これは、特許文献1,2に例示される従来技術では、汚染された土壌から放射性セシウムを強酸の水溶液中で溶出させようとしていたことを鑑みると、非常に興味深い結果である。
なお、処理剤に含有されるクエン酸は、上記のようにセシウムイオンとキレートを生成させる作用に加えて、処理用水媒体のpHを調整する作用を発揮させるためのものである。
以上のように、本発明によれば、大掛かりな施設を要さず、常温で処理を行うことができると共に、汚染された土壌における放射性セシウムの濃度を低減させる効果がより高い、土壌の処理方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態である土壌の処理方法について、具体的に説明する。
まず、本実施形態の処理方法で使用する処理剤について説明する。処理剤は、焼成貝殻粉末、麦飯石の粉末、界面活性剤、クエン酸、及び、ナトリウム塩を含有している。
焼成貝殻粉末は、ホタテの貝殻を温度1130℃で焼成し、粉砕した粉末である。焼成貝殻粉末の粒子径を、マイクロトラック・ベル社製、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置マイクロトラックMT3000IIを使用して測定したところ、体積基準メディアン径で6μm~9μmであった。本実施形態の処理剤は、このような焼成貝殻粉末を3.0質量%~10.0質量%含有している。
麦飯石としては、岐阜県白川地区で採取された濃尾流紋岩(白川石)を粉砕した粉末のうち、No.400のメッシュを通過しNo.325のメッシュを通過しない、粒子径37μm~44μmの微細粉末を使用した。本実施形態の処理剤は、このような麦飯石の粉末を0.5質量%~5.0質量%含有している。
界面活性剤としては、アルキルエーテル型非イオン系界面活性剤を使用した。特許文献3の処理剤では、界面活性剤として陰イオン系界面活性剤を使用していたが、非イオン系界面活性剤は陰イオン系界面活性剤と比較して、低起泡性である利点がある。また、非イオン系界面活性剤は陰イオン系界面活性剤と比較して、界面活性剤としての作用が水の硬度に影響されにくいため、処理用水媒体に用いる「水」として、井戸水や河川水を広く使用できる利点を有している。本実施形態の処理剤は、かかる非イオン系界面活性剤を5.0質量%~10.0質量%含有している。一般的な洗浄剤が界面活性剤を20質量%~40質量%含有していることを鑑みると、本処理剤における界面活性剤の割合は小さい。
ナトリウム塩として、本実施形態では、炭酸水素ナトリウム、無水炭酸ナトリウム、及び、塩化ナトリウムを使用している。炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムの水溶液は、弱アルカリ性を示す。また、焼成貝殻粉末である焼成されたホタテの貝殻粉末から溶出した成分を含む水溶液は、強アルカリ性を示す。本実施形態では、処理剤に含有させているクエン酸により、処理用水媒体のpHが9.0~10.5に調整されている。
上記構成の処理剤を使用して行う土壌の処理方法は、撹拌工程と、分離工程と、濾過工程とを備えている。
撹拌工程では、処理剤を水に添加して処理用水媒体とし、放射性セシウムで汚染された土壌と共に撹拌槽に導入し、常温下で撹拌する。撹拌槽には、モータによって駆動される撹拌翼が設けられている。
分離工程では、撹拌翼の回転を停止し、静置する。これにより、処理用水媒体を若干含んだ土壌が撹拌槽の底部に沈殿し、焼成貝殻粉末及び麦飯石の粉末が懸濁した処理用水媒体と分離される。そこで、焼成貝殻粉末及び麦飯石の粉末が懸濁している処理用水媒体のみを撹拌槽から排出し、濾過工程に供する。
濾過工程では、分離工程を経た処理用水媒体を、濾過材が充填された濾過層に通す。これにより、放射性セシウムを担持している麦飯石の粉末と焼成貝殻粉末が、濾過材に捕集される。濾過層は濾過材の種類が異なる複数を設けることができ、複数の濾過層を通すことによって、放射性セシウムを担持している麦飯石の粉末と焼成貝殻粉末を、より確実に捕集することができる。また、汚染された土壌から処理用水媒体に溶出したまま、麦飯石の粉末や焼成貝殻粉末に担持されずに残存している放射性セシウムイオンも、複数の濾過層による濾過工程で、濾過材に吸着されると考えられる。濾過材としては、不織布、ゼオライト等の多孔質セラミックス、活性炭を、例示することができる
上記のように、撹拌工程、分離工程、濾過工程の順に行われる土壌処理工程は、汚染された土壌に対して複数回行うことができ、これにより、処理後の汚泥における放射性セシウムの濃度を、より低減させることができる。複数回の土壌処理工程を行うに際し、その前の濾過工程で濾過層を通過した水(処理後の水)を、次の処理工程における撹拌工程で、処理剤を添加する「水」として使用することができる。このようにすることにより、最終的に自然界に排出される処理後の水の量を、低減することができる。上記のように、焼成貝殻粉末が処理剤に含有されていることにより、処理用水媒体は除菌されるため、複数回の土壌処理工程に循環させて使用しても、細菌が増殖するおそれが低減されている。
上記のような土壌処理工程を経て、放射性セシウムの濃度が低減した土壌は、分離工程で懸濁液と分離された後、硬化剤との混合により固化させる。固化した土壌は、路盤材などとして使用することが可能である。
実際に、水放射性セシウムで汚染された土壌(福島県で採取)1kgに対し、水11リットル、処理剤2グラムの割合で、上記の土壌処理工程を行った。処理前の土壌と、一回の処理後の土壌について、セシウム134とセシウム137の濃度を測定した。測定には、ガンマ線スペクトル測定装置NaI(TI)シンチレーションスペクトロメータ(応用光研工業株式会社製、FNF-401)を使用した。その結果を、表1に示す。
Figure 0007302863000001
表1に示すように、1回の土壌処理工程で、汚染された土壌における放射性セシウムの濃度は大幅に低減し、約二分の一となった。2回以上の土壌処理工程を行うことにより、土壌における放射性セシウムの濃度は更に低減すると考えられる。
また、1回の土壌処理工程を行った処理後の水について、同様にセシウム134とセシウム137の濃度を測定したところ、何れも検出限界以下であった。
次に、本実施形態の処理剤を分散させた水が、除菌・抗菌作用を有することを示す。複数種類の生菌液を摂取した培地に、処理剤を分散させた水を添加した検体と、添加しない対照試料を、温度25℃で保存して培養した。時間の経過に伴い、生菌数を測定した。その結果を表2に示す。なお、対照試料において、処理剤を分散させた水の代わりに添加した液は、黄色ブドウ球菌では生理食塩水であり、腸炎ビブリオについては3%塩化ナトリウム溶液であり、その他の菌については精製水とした。
Figure 0007302863000002
表2に示すように、何れの菌についても、対照試料は30分の経過後も開始時と同程度の生菌数であったのに対し、処理剤を分散させた水を適用した検体は、少なくとも30分経過するまでに、生菌数が検出限界以下となるまで減少していた。このことから、本実施形態の処理剤は、除菌・抗菌作用を有することが分かる。
以上のように、本実施形態の処理方法によれば、大掛かりな施設を要さず、常温で行うことができる処理でありながら、放射性セシウムで汚染された土壌から、放射性セシウムを効果的に除去することができる。そして、処理後の水における放射性セシウムは検出限界以下であるため、問題なく自然界に排出することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、放射性セシウムで汚染された土壌1kgに対し、処理剤を2グラムの割合で添加する場合を例示したが、処理剤の添加量は処理用水媒体への土壌の分散程度を見ながら、増加させることができる。また、汚染された土壌の悪臭がひどい場合は、処理剤に加えて別途、焼成貝殻粉末を添加することができる。これにより、処理剤に含有されている分と別途添加した分とを合わせた量の焼成貝殻粉末の除菌・抗菌作用によって、汚染された土壌の悪臭を効果的に低減させることができる。

Claims (3)

  1. 平均粒子径が5μm~10μmの焼成貝殻粉末、麦飯石の粉末、界面活性剤、クエン酸、及び、ナトリウム塩を含有する処理剤を使用し、
    該処理剤が水に添加された処理用水媒体と、放射性セシウムで汚染された土壌とを、常温下で撹拌する撹拌工程と、
    該撹拌工程の後で、前記土壌から除去された放射性セシウムを担持している前記麦飯石の粉末及び前記焼成貝殻粉末が分散している前記処理用水媒体を、前記土壌と分離する分離工程と、
    該分離工程で分離された前記処理用水媒体を濾過し、放射性セシウムを担持している前記麦飯石の粉末及び前記焼成貝殻粉末を濾過材に捕集させる濾過工程と、をこの順に行う
    ことを特徴する土壌の処理方法。
  2. 前記撹拌工程では、前記麦飯石のカリウムイオンと前記土壌に保持されている放射性セシウムとの間でイオン交換させると共に、前記処理用水媒体中のナトリウムイオンと前記土壌に保持されている放射性セシウムとの間でイオン交換させる
    ことを特徴する請求項1に記載の土壌の処理方法。
  3. 前記処理用水媒体のpHは9.0~10.5に調整される
    ことを特徴する請求項1または請求項2に記載の土壌の処理方法。
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