JP7302814B2 - 半導体発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体発光素子に関し、特にGaN基板上に窒化物半導体層が形成されてなる半導体発光素子に関する。
GaN基板の主面上にn型半導体層、活性層、及びp型半導体層がこの順に積層されてなる半導体発光素子は、これまでに多くの開発が進められてきている(例えば、下記特許文献1,2参照)。
特開2014-192475号公報 特開2012-186330号公報
半導体発光素子としてのレーザダイオード素子(以下、「LD素子」と記載する。)を構成する場合、光出力を高めるためには、対向する一対の端面によって形成される共振器内に多くの光を閉じ込めることが必要となる。このためには、活性層に近接する半導体層を厚く積むことが必要となる。
ここで、半導体層を窒化物半導体で構成する場合、p型半導体層の抵抗率が比較的高くなることが問題となる。例えば、n型GaNの抵抗率は0.01Ω・cm以下であるのに対し、p型GaNは1Ω・cm程度もあり、100倍以上の差が生じる。このため、p型半導体層を厚く積むと、抵抗値が高くなり動作電圧が上昇してしまう。なお、赤外光を発するGaAs系の発光素子においては、p型GaAsもn型GaAsも共に抵抗率が0.01Ω・cm以下であるため、上記のような問題は生じない。
かかる事情により、従来の窒化物半導体からなるLD素子は、n型半導体層については、閉じ込める光の量を多く確保するために、例えば膜厚1μm以上、4μm以下程度まで厚膜化しつつ、p型半導体層については、抵抗上昇を抑制する観点から、n型半導体層よりも薄い、膜厚400nm以上、600nm以下程度で形成されるのが一般的であった。
しかし、大幅な駆動電圧の上昇を伴うことなく、光出力を更に高めたLD素子が、今後、市場から要求されることが想定される。本発明は、かかる課題に着目し、駆動電圧の上昇を抑制しつつも、活性層を挟む積層方向に多くの光を閉じ込めることのできる、新規な構造の半導体発光素子を提供することを目的とする。
本発明は、GaN基板の主面上に窒化物半導体層が形成されてなる、半導体発光素子であって、
前記GaN基板の前記主面の上層に形成され、n型窒化物半導体からなる第一半導体層と、
前記第一半導体層の上層に形成され、窒化物半導体からなる活性層と、
前記活性層の上層に形成され、p型窒化物半導体からなる第二半導体層と、
前記第二半導体層の上層に形成され、前記第一半導体層よりも高濃度のn型不純物と、前記第二半導体層よりも高濃度のp型不純物とが含有された窒化物半導体からなる第三半導体層と、
前記第三半導体層の上層に形成され、Inを含むn型窒化物半導体からなる第四半導体層とを備えたことを特徴とする。
上記半導体発光素子は、p型の第二半導体層が、n型の第一半導体層と、n型の第四半導体層とによって挟まれるように配置されている。このため、第一半導体層側を負、第四半導体層側を正となるように電圧が印加されると、第二半導体層と第四半導体層との間に逆バイアスが印加される。
ここで、第二半導体層と第四半導体層との間には、n型不純物とp型不純物の双方が高濃度に含有された第三半導体層が配置されている。このとき、第三半導体層は、第二半導体層と第四半導体層とを区切る、ナローギャップを形成するため、逆バイアスが印加された第二半導体層の価電子帯から第三半導体層を通過して第四半導体層の伝導帯に向けて電子を移動させることができる。この結果、第四半導体層から第二半導体層に向かって、すなわち、n型半導体層からp型半導体層に向かって電流を流すことができる。
第二半導体層から電子が引き抜かれることで、第二半導体層には正孔が生じ、この正孔が活性層に向かって流れる。この結果、第一半導体から供給された電子と、第二半導体層側から供給された正孔とが活性層内で再結合し、発光する。
このことは、活性層に供給するための正孔の供給源を、p型半導体層ではなくn型半導体層に置き換えられることを意味する。正孔は、電子に比べて有効質量が大きく、移動度が低い。すなわち、正孔は電子よりも電気抵抗が大きい。従って、正孔の供給源をn型半導体層とすることができるため、n型半導体層よりも高抵抗であるp型半導体層の膜厚を従来よりも薄くできる一方、光を閉じ込めるための膜厚についてはn型半導体層(ここでは「第四半導体層」に対応する。)で確保できる。この結果、従来構造よりも動作電圧が低く、発光効率の高い発光素子が実現されると考えられる。
ところで、窒化物半導体層においては、n型化に比べてp型化するのが難しいことが知られており、この理由として、マグネシウム(Mg)などのアクセプタを導入する際に利用されるガスに含まれる水素が、アクセプタの活性化を阻害しているためと考えられている。そこで、従来の窒化物半導体層を含む発光素子においては、p型半導体層を成長させる際に、活性化のためのアニール処理が一般的に行われる。このアニール処理によって水素を離脱させて正孔を生じさせ、活性化(p型化)が実現される。
従来の半導体発光素子においては、n型半導体層、活性層、及びp型半導体層の積層体をエピタキシャル成長させた後、アニール処理が実行されていた。すなわち、アニール処理を実行する際には、p型半導体層は上面に露出されている状態であるため、水素を容易に離脱させることが可能であった。
ところが、p型半導体層を挟むように複数のn型半導体層を形成する場合、エピタキシャル成長工程の実行後においては、p型半導体層は積層方向に関して他の層にサンドイッチされている。このため、かかる状況でアニール処理を行っても、水素を充分に離脱させることができない。
また、第二半導体層を形成した直後にエピタキシャル成長を停止してp型化のためのアニール処理を行った後、再びエピタキシャル成長を継続させることで、第四半導体層を形成する方法も考えられる。しかし、n型の第四半導体層を成長させる際には原料ガスとしてアンモニアが利用されるところ、このアンモニア由来の水素が第二半導体層内の格子に取り込まれて、正孔の生成が阻害される可能性があるため、この方法は採用できない。
本発明に係る半導体発光素子によれば、n型半導体層を構成する第四半導体層は、Inを含んでなる。a軸の格子定数は、GaNが3.189Åであり、InNが3.548Åである。つまり、Inを含むn型窒化物半導体によって第四半導体層を形成することで、GaN基板と比較して、a軸方向、すなわちc面に対して平行な方向に係る格子定数が大きくなる。この結果、第四半導体層を成長させる際に、第四半導体層に対して圧縮応力が働き、歪みを解放するためのピットが形成される。
よって、第四半導体層を成長させた後にアニール処理を行っても、第四半導体層内に形成されているピットを通じて、第三半導体層内の水素を外部に離脱させることができる。この結果、第三半導体層のp型化率(活性化率)を向上することができ、動作電圧を低下できる。
前記第三半導体層は、逆バイアスが印加された状態で電子が移動可能なナローギャップを形成することのできる程度に、高濃度のn型不純物と高濃度のp型不純物が含有されていればよい。具体的には、前記第三半導体層は、n型不純物としてのSi及びp型不純物としてのMgが、共に1×1020/cm3以上含有されているものとしても構わない。
前記半導体発光素子は、前記第三半導体層から前記第四半導体層の上面に達する内部欠陥を有し、
前記内部欠陥の密度は、前記GaN基板に含まれる結晶欠陥の密度よりも高いものとしても構わない。
前記第四半導体層は、a軸方向に関して前記GaN基板よりも格子定数が大きく、In及びAlを含むn型窒化物半導体からなるものとしても構わない。
GaNと比較すると、InGaNは屈折率が高い一方で、AlInNは屈折率が低い。このため、第四半導体層をIn及びAlを含むn型窒化物半導体層で形成することで、第四半導体層と活性層の間の領域に光を多く閉じ込めることができる。
好ましくは、前記第四半導体層は、Inの組成比率が15%以上、21%以下のAlInNであるか、又は、Inの組成比率x1が15%以上、18%以下で、且つ、Alの組成比率y1が70%以上、82%以下であるAlGaInN(ただし、x1+y1≦100%)で構成される。
前記半導体発光素子は、前記活性層と前記第二半導体層との間に形成され、前記第二半導体層よりも屈折率の高い窒化物半導体からなる第五半導体層を備え、
前記活性層は、前記GaN基板の前記主面に非平行な平面であって、前記活性層で生成された光を出射する光出射面を有し、
前記第二半導体層、前記第三半導体層、及び前記第四半導体層を含む積層体を、前記光出射面に平行な平面で切断したときの、前記GaN基板の前記主面に平行な方向に係る幅は、前記第五半導体層を前記光出射面に平行な平面で切断したときの前記幅の最大値よりも小さいものとしても構わない。
かかる構成によれば、前記第二半導体層、前記第三半導体層、及び前記第四半導体層を含む積層体の幅が、第五半導体層の幅の最大値よりも狭くなっている。かかる構造を実現するためには、第四半導体層までエピタキシャル成長させた後、少なくとも第二半導体層の面が露出するように、前記積層体の幅を狭めるためのエッチング処理が行われる。よって、このエッチング処理の後にアニール処理が実行されることで、第二半導体層が露出する領域が確保されているため、第二半導体層内の水素をより離脱させやすくなる。
前記第五半導体層は、第一領域と、前記第一領域よりも前記第二半導体層に近い位置に配置され前記光出射面に平行な平面で切断したときの前記幅が前記第一領域よりも狭い第二領域とを有するものとしても構わない。
かかる構成を実現するためには、第四半導体層までエピタキシャル成長させた後にエッチング処理が行われる。このとき、第二半導体層の面のうち、GaN基板の主面に対して非平行な面(側面)の一部が露出する。よって、このエッチング処理の後にアニール処理が実行されることで、第二半導体層が露出する領域が確保されているため、第二半導体層内の水素をより離脱させやすくなる。
前記半導体発光素子は、レーザダイオード素子(LD素子)又はスーパールミネッセントダイオード素子(SLD素子)であるものとしても構わない。
本発明の半導体発光素子によれば、駆動電圧の上昇を抑制しつつも、活性層を含む積層方向に多くの光を閉じ込めることができる。
本発明の半導体発光素子の一実施形態の構造を模式的に示す断面図である。 図1の一部拡大図である。 本発明の半導体発光素子の製造方法を説明するための、一工程における断面図である。 本発明の半導体発光素子の製造方法を説明するための、一工程における断面図である。 ステップS2が完了した時点におけるエピタキシャル層の模式的な一部拡大断面図である。 ステップS2が完了した時点におけるエピタキシャル層の表面を原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)によって撮影した写真である。 本発明の半導体発光素子の製造方法を説明するための、一工程における断面図である。 本発明の半導体発光素子の製造方法を説明するための、一工程における断面図である。 本発明の半導体発光素子の製造方法を説明するための、一工程における断面図である。 本発明の半導体発光素子の製造方法を説明するための、一工程における断面図である。 実施例1-1と比較例1-1の両者の素子に対して実際に電流を供給して発光させた場合の、電流密度と光出力の関係を示すグラフである。 実施例1-1と比較例1-1の両者の素子に対して実際に電流を供給したときの、電流密度と電圧の関係を示すグラフである。
本発明に係る半導体発光素子の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は、あくまで模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比は、必ずしも実際の寸法比と一致しない。また、各図面間においても、寸法比は必ずしも一致しない。
[定義]
本明細書内において、「AlGaN」という記述は、GaNとAlNの混晶であることを意味し、各組成比率が省略されたものである。「AlInN」、「AlGaInN」などの他の記載も同様の趣旨である。
本明細書内において、「層A1の上層に層A2が形成されている」という表現は、層A1の面上に直接層A2が形成されている場合はもちろん、層A1の面上に薄膜の層B1を介して層A2が形成されている場合も含む意図である。なお、ここでいう「薄膜」とは、膜厚10nm以下の層を指し、好ましくは5nm以下の層を指す。
[構造]
図1は、半導体発光素子の一実施形態の構造を模式的に示す断面図である。図1に示すように、半導体発光素子1は、GaN基板3と、GaN基板3の上層に形成された、第一半導体層10、活性層5、第二半導体層20、第三半導体層30、及び第四半導体層40を備える。なお、図1に示す例では、半導体発光素子1は、更に、活性層5と第二半導体層20との間に、第五半導体層50を備える。
なお、以下では、GaN基板3の主面をXY平面とし、GaN基板3の主面に対して半導体層が積層されている方向をZ方向とする。すなわち、図1は、半導体発光素子1をXZ平面で切断したときの模式的な平面図に対応する。本実施形態において半導体発光素子1は、レーザダイオード素子(LD素子)であり、共振方向、すなわち光出射方向がY方向である。このとき、XZ平面は光出射面に対応する。
(第一半導体層10)
第一半導体層10は、n型窒化物半導体からなる。第一半導体層10は、例えばSi、Ge、S、Se、Sn、又はTeなどのn型不純物がドープされており、好ましくは、ドーパントがSiである。図1に示す例では、第一半導体層10は、n型AlGaN層11と、n型GaN層12とを有する。
n型AlGaN層11の膜厚は、0.1μm以上、10μm以下であり、好ましくは、0.5μm以上、5μm以下である。n型AlGaN層11のn型不純物濃度は、1×1017/cm3以上、3×1019/cm3以下であり、好ましくは、5×1017/cm3以上、1×1019/cm3以下である。また、n型AlGaN層11のAl組成比率は、0%より大きく、10%以下であり、好ましくは、1%以上、5%以下である。
一例として、n型AlGaN層11は、膜厚3μm、n型不純物濃度5×1018/cm3、Al組成比率3%のn型AlGaNからなる。n型AlGaN層11は、活性層5に対してGaN基板3に近い側におけるクラッド層を構成する。
n型GaN層12の膜厚は、50nm以上、500nm以下であり、好ましくは、100nm以上、300nm以下である。n型GaN層12のn型不純物濃度は、2×1016/cm3以上、1×1019/cm3以下であり、好ましくは、1×1017/cm3以上、1×1018/cm3以下である。一例として、n型GaN層12は、膜厚150nm、n型不純物濃度5×1017/cm3のn型GaNからなる。n型GaN層12は、活性層5に対してGaN基板3に近い側におけるガイド層を構成する。
第一半導体層10全体としての膜厚は、150nm以上、10500nm以下であり、好ましくは、600nm以上、5300nm以下である。
なお、図1に示す例では、第一半導体層10は、n型AlGaN層11とn型GaN層12とを有するものとして説明したが、n型AlGaN層11に替えて、n型AlInN層、n型InGaN層、及びn型AlInGaN層の少なくともいずれか1種の層を含む構造であっても構わない。また、n型GaN層12は必ずしも備えなくても構わないし、第一半導体層10全体としてn型半導体層として機能する限りにおいて、n型GaN層12に替えてアンドープのGaN層としても構わない。
(活性層5)
活性層5は、窒化物半導体からなり、第一半導体層10の上層に形成されている。活性層5は、量子井戸構造を有し、多重量子井戸構造でも単一量子井戸構造でも構わないが、好ましくは多重量子井戸構造である。
活性層5を構成する材料によって、半導体発光素子1の発光波長が決定される。一例として、活性層5は、In組成比率が0.1%以上、30%以下の膜厚10nmのInGaNからなる井戸層と、井戸層よりもバンドギャップエネルギーが大きく、In組成比率が0.1%以上、5%以下の膜厚10nmのInGaNからなる障壁層とが、2周期繰り返されて形成される。ただし、活性層5を構成する材料や膜厚、周期数は、適宜設定される。
(第五半導体層50)
図1に示す半導体発光素子1においては、活性層5と後述する第二半導体層20との間に、第五半導体層50を備える。この第五半導体層50は、活性層5に対してGaN基板3から遠い側におけるガイド層を構成する。
本実施形態において、第五半導体層50は、アンドープのGaN層からなる。また、第五半導体層50の膜厚は、20nm以上、1000nm以下であり、好ましくは、50nm以上、500nm以下である。
なお、この第五半導体層50は、p型不純物がドープされていても構わない。この場合、第五半導体層50のp型不純物濃度は、例えば、5×1017/cm3以上、3×1019/cm3以下である。
(第二半導体層20)
半導体発光素子1は、活性層5の上層に第二半導体層20を有する。第二半導体層20は、p型窒化物半導体からなる。第二半導体層20は、例えばMg、Be、Zn、又はCなどのp型不純物がドープされており、好ましくは、ドーパントがMgである。図1に示す例では、第二半導体層20は、電子ブロック層を形成するp型AlGaN層21と、クラッド層の一部を形成するp型AlGaN層22とを有する。
p型AlGaN層21の膜厚は、3nm以上、30nm以下であり、好ましくは、5nm以上、20nm以下である。p型AlGaN層21のp型不純物濃度は、1×1018/cm3以上、5×1019/cm3以下であり、好ましくは、5×1018/cm3以上、3×1019/cm3以下である。また、p型AlGaN層21のAl組成比率は、5%以上、50%以下であり、好ましくは、10%以上、30%以下である。
一例として、p型AlGaN層21は、膜厚10nm、p型不純物濃度1×1019/cm3、Al組成比率12%のp型AlGaNからなる。p型AlGaN層21は、活性層5内で正孔と再結合されなかった電子が、p型AlGaN層22側へとオーバーフローするのを抑制するための電子ブロック層を構成する。
p型AlGaN層22の膜厚は、100nm以上、1000nm以下であり、好ましくは、300nm以上、800nm以下である。p型AlGaN層22のp型不純物濃度は、1×1017/cm3以上、5×1019/cm3以下であり、好ましくは、1×1018/cm3以上、3×1019/cm3以下である。また、p型AlGaN層22のAl組成比率は、0.1%以上、10%以下であり、好ましくは、1%以上、7%以下である。
一例として、p型AlGaN層22は、膜厚500nm、p型不純物濃度1×1019/cm3、Al組成比率3%のp型AlGaNからなる。p型AlGaN層22は、活性層5に対してGaN基板3から遠い側におけるクラッド層の一部を構成する。
なお、図1には図示されていないが、第二半導体層20は、後述する第三半導体層30との境界領域に、膜厚10nm程度の薄膜のp型GaN層を有するものとしても構わない。
第二半導体層20全体としての膜厚は、好ましくは400nm以下であり、特に好ましくは厚みが300nm以下である。
(第三半導体層30)
図1に示すように、半導体発光素子1は、第二半導体層20の上層に第三半導体層30を有する。第三半導体層30は、第一半導体層10よりも高濃度のn型不純物と、第二半導体層20よりも高濃度のp型不純物とが含有された、窒化物半導体からなり、好ましくはGaN、Al組成比率が0.1%以上、5%以下のAlGaN、又はIn組成比率が0%より大きく1%以下のInGaNである。なお、第三半導体層30がGaN又はAlGaNで構成される場合において、組成には現れない程度(不純物程度)にInが含まれていても構わない。具体的には、Inが1×1018/cm3以上、1×1021/cm3以下程度に含まれていても構わない。n型不純物としては、Si、Ge、S、Se、Sn、又はTeなどが利用可能であり、好ましくはSiである。p型不純物としては、Mg、Be、Zn、又はCなどが利用可能であり、好ましくはMgである。
第三半導体層30は、n型不純物及びp型不純物が、共に1×1020/cm3以上といった高濃度でドープされている。好ましくは、n型不純物濃度及びp型不純物濃度は、1×1020/cm3以上、3×1021/cm3以下である。また、第三半導体層30の膜厚は、2nm以上、30nm以下であり、好ましくは、5nm以上、20nm以下である。
なお、第三半導体層30は、n型不純物が高濃度にドープされたGaN層と、p型不純物が高濃度にドープされたGaN層とが積層されているものとしても構わない。ただし、この場合であっても、n型不純物が高濃度にドープされた層と、p型不純物が高濃度にドープされた層とが隣接して積層されるため、n型不純物がp型層側に拡散し、同様にp型不純物がn型層側に拡散することで、両方の不純物が混在した層として形成される可能性がある。
(第四半導体層40)
図1に示すように、半導体発光素子1は、第三半導体層30の上層に第四半導体層40を有する。第四半導体層40は、n型窒化物半導体からなる。第四半導体層40は、例えばSi、Ge、S、Se、Sn、又はTeなどのn型不純物がドープされており、好ましくは、ドーパントがSiである。図1に示す例では、第四半導体層40は、n型AlInN層41と、n型AlGaN層42とを有する。
n型AlInN層41の膜厚は、10nm以上、500nm以下であり、好ましくは、100nm以上、300nm以下である。n型AlInN層41のn型不純物濃度は、1×1018/cm3以上、1×1021/cm3以下であり、好ましくは、5×1018/cm3以上、1×1020/cm3以下である。また、n型AlInN層41のIn組成比率は、好ましくは15%以上、21%以下であり、より好ましくは、16%以上、18%以下である。
一例として、n型AlInN層41は、膜厚120nm、n型不純物濃度3×1019/cm3、In組成比率18%のn型AlInNからなる。n型AlInN層41も、活性層5に対してGaN基板3から遠い側におけるクラッド層の一部を構成する。
n型AlGaN層42の膜厚は、5nm以上、500nm以下であり、好ましくは、10nm以上、200nm以下である。n型AlGaN層42のn型不純物濃度は、5×1018/cm3以上、1×1021/cm3以下であり、好ましくは、1×1019/cm3以上、1×1020/cm3以下である。また、n型AlGaN層42のAl組成比率は、0.1%以上、20%以下であり、好ましくは、1%以上、10%以下である。
一例として、n型AlGaN層42は、膜厚20nm、n型不純物濃度3×1019/cm3、Al組成比率3%のn型AlGaNからなる。n型AlGaN層42は、後述する第二電極62に対する接触抵抗を低下させるためのコンタクト層を構成する。
第四半導体層40全体としての膜厚は、好ましくは15nm以上、1000nm以下であり、特に好ましくは、110nm以上、500nm以下である。
第四半導体層40は、n型AlInN層41とn型AlGaN層42以外の半導体層を有しても構わない。例えば、第四半導体層40が、n型AlInN層41と、n型GaN層と、Al組成比率が0.1%以上、5%以下のn型AlGaN層42と、In組成比率が0.1%以上、5%以下のInGaN層とを有する積層体からなるものとしても構わない。
また、第三半導体層30と第四半導体層40との間に、他の窒化物半導体層が介在しても構わない。例えば、第三半導体層30と第四半導体層40との間に、n型GaN層、Al組成比率が0.1%以上、5%以下のn型AlGaN、In組成比率が0.1%以上、5%以下のn型InGaNが介在するものとしても構わない。
(第一電極61,第二電極62)
半導体発光素子1は、第一半導体層10に連絡された第一電極61、第四半導体層40に連絡された第二電極62を有する。より詳細には、第一電極61は、n型AlGaN層11の面上に形成され、Cr/Pt/Au、Cr/Au、Ti/Au、Ti/Al/Ti/Au、Ni/Au、Ni/Al/Ni/Ti/Pt/Auなどで構成される。また、第二電極62は、n型AlGaN層42の面上に形成され、好ましくは、ITOで構成される。
ITOの屈折率は約2.2であり、ガイド層を構成するGaNの屈折率2.4や、クラッド層を構成するAlGaNの屈折率2.35よりも低く、且つ、近い値を示す。このため、第二電極62をITOで構成すると、活性層5を基準としたときに、第四半導体層40よりも離れた位置に形成される第二電極62内においても光を閉じ込めることができる。
なお、第二電極62は、必ずしも光を閉じ込める機能を有していなくてもよい。この場合、第二電極62は、Cr/Pt/Au、Cr/Au、Ti/Au、Ti/Al/Ti/Au、Ni/Au、Ni/Al/Ni/Ti/Pt/Auなどで構成される。
(パッド電極71,パッド電極72)
第一電極61の上面には、パッド電極71が形成されている。第二電極62の上面には、パッド電極72が形成されている。パッド電極(71,72)は、ボンディングワイヤを接続するための領域を形成し、例えばTi/Au、Ti/Pt/Auなどで構成される。
なお、図2に一部拡大して表示されるように、半導体発光素子1は、第二半導体層20、第三半導体層30、及び第四半導体層40の積層体のX方向に係る幅X1は、第五半導体層50のX方向に係る最大幅X2よりも小さい構造である。なお、より詳細には、第五半導体層50は、X方向に係る幅が広い第一領域51と、第一領域51よりも第二半導体層20側に位置し、X方向に係る幅が第一領域51よりも狭い第二領域52とを有する。
上記半導体発光素子1によれば、p型半導体層の厚みを薄くしつつ、動作電圧の低い発光素子が実現できる点につき、製造方法の説明をした後に後述される。
[製造方法]
上述した半導体発光素子1の製造方法の一例について、図3~図10を参照しながら説明する。
(ステップS1)
図3に示すように、GaN基板3を準備する。
(ステップS2)
図4に示すように、GaN基板3の主面上に、各半導体層(10,5,50,20,30,40)をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長時には、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属化学気相蒸着)装置の処理炉内にGaN基板3を配置し、窒素ガスや水素ガスといったキャリアガスを流しつつ、温度及び圧力を所定の値にしながら、各層に対応した原料ガスを流すことで実行される。また、材料ガスの導入時間によって膜厚が制御される。
例えば、GaN層を成長させる際には、原料ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)が用いられる。AlGaN層を成長させる際には、原料ガスとしてTMG及びトリメチルアルミニウム(TMA)が用いられる。InGaN層を成長させる際には、原料ガスとしてTMG及びトリメチルインジウム(TMI)が用いられる。AlInN層を成長させる際には、TMA及びTMIが用いられる。
また、n型不純物を半導体層にドープする際には、上記の半導体層の原料ガスに加えて、テトラエチルシラン及びアンモニアが炉内に供給される。p型不純物を半導体層にドープする際には、上記の半導体層の原料ガスに加えて、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)及びアンモニアが炉内に供給される。不純物濃度は、これらドーパントを供給するためのガスの流量が制御されることで調整される。
ここで、上述したように、第三半導体層30の上層に位置する第四半導体層40は、n型AlInN層41を含む。第三半導体層30を、GaN基板3と同じGaNで形成した場合、n型AlInN層41を構成するAlInNのa軸方向の格子定数は、GaNのa軸方向の格子点数よりも大きい。このため、エピタキシャル成長時にn型AlInN層41に対して圧縮応力が発生し、この歪みを解放するためにピット7が開く(図5参照)。ひとたび開いたピット7は、第四半導体層40の成長に伴って成長する。この結果、n型AlGaN層42の成長が完了した時点において、ピット7がエピタキシャル層の表面に現れる。
図6は、ステップS2が完了した時点のウェハの表面を、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)によって撮影した写真である。図6によれば、多数のピット7が表面に現れていることが確認される。このピット7は、内部欠陥に対応する。ステップS2が完了した時点のウェハには、少なくともGaN基板3に当初より存在する結晶欠陥の密度よりも高い密度でピット7が形成される。
また、第三半導体層30は、第一半導体層10よりも遥かに高い濃度でn型不純物がドープされると共に、第二半導体層20よりも遥かに高い濃度でp型不純物がドープされている。この結果、第三半導体層30内には、一部箇所に結晶欠陥が形成される。
(ステップS3)
ステップS2まで完了したウェハ(エピタキシャルウェハ)をMOCVD装置から取り出し、第五半導体層50の表面が露出するまで、一部領域に位置する各半導体層(40,30,20)をエッチングする。これにより、図7に示すように、高さ方向(Z方向:図1参照)に突出した、各半導体層(20,30,40)の積層体で構成されるリッジ部9が形成される。なお、エッチング方法は、ドライエッチングでもウェットエッチングでも構わない。
(ステップS4)
ステップS3の処理が完了した後、エピタキシャルウェハに対して活性化処理が行われる。具体的な一例としては、RTA(Rapid Thermal Anneal:急速加熱)装置を用いて、酸素雰囲気又は空気雰囲気下中720℃で30分間の活性化処理が行われる。この処理は、第二半導体層20を構成するp型不純物を活性化する目的で行われる。
ステップS2において、第二半導体層20を成長させる際には、アンモニアガスが利用されるため、このアンモニアに含まれる水素の一部が結晶格子内に混入し、正孔の生成の妨げとなることがある。つまり、ステップS2の完了時点では、第二半導体層20はp型不純物はドープされているものの、キャリア濃度が低い状態である。本ステップS4において加熱処理が施されることで、格子に結合されていた水素が離脱し、正孔が現れる。
ところで、前述したように、ステップS2が完了した後のウェハにおいては、第二半導体層20の上層に位置する第三半導体層30内に欠陥が存在し、更に、その上に位置する第四半導体層40から表面に達するピット7が存在する。このため、第二半導体層20の上面に別の半導体層(30,40)が存在していても、これらの欠陥やピット7を通じて水素を第二半導体層20外へ離脱させることができる。図8では、水素が離脱する様子が模式的に矢印で図示されている。
更に、ステップS3によってリッジ部9が形成されることで、第二半導体層20の側面が露出されている。よって、露出した側面からも第二半導体層20内の水素を離脱させることができる。
なお、第五半導体層50をp型半導体層とする場合には、露出した第五半導体層50の表面からも水素を離脱させることができる。
(ステップS5)
図9に示すように、第四半導体層40の上面に第二電極62を形成する。具体的な一例としては、ITOを所定の膜厚だけ蒸着又は塗布した後、低抵抗化のためのアニール処理を行う。なお、このアニール処理を、ステップS4のアニール処理と兼ねても構わない。
その後、エッチングを行って、一部領域のn型AlGaN層11の上面を露出させる。
(ステップS6)
露出したn型AlGaN層11の一部上面に第一電極61が形成される。例えば、より詳細な一例としては、真空蒸着装置を用いて第一電極61の形成材料(例えばCr/Pt/Au)を成膜した後、例えば、450℃、10分間の加熱処理によってアロイ処理(アニール処理)が施されることで、第一電極61が形成される。
また、リッジ部9を構成する半導体層(40,30,20)の積層体の露出した側面及び、第五半導体層50の露出した上面を覆うように、例えばSiO2からなる絶縁層81が形成される。
(ステップS7)
第一電極61の上面にパッド電極71が形成され、第二電極62の上面にパッド電極72が形成される。例えば、パッド電極(71,72)の形成には、フォトリソグラフィ法、真空蒸着法、及びリフトオフ法が用いられる。
その後、素子ごとに分離するためのメサエッチング処理が施され、図1に示す半導体発光素子1が形成される。
[検証]
実施例を参照して、半導体発光素子1の性能を検証した。
(検証1)
上記ステップS1~S7を経て製造された、図1に示す半導体発光素子1を実施例1-1とした。これに対し、ステップS2において、第四半導体層40に替えて、Inを含まないn型AlGaN層を成長させた点を除いて、他を同一条件で製造した半導体発光素子を比較例1-1とした。
図11は、実施例1-1と比較例1-1の両者の素子に対して実際に電流を供給して発光させた場合における、電流密度と光出力の関係をグラフ化したものである。また、図12は、実施例1-1と比較例1-1の両者の素子に対して実際に電流を供給したときの、電流密度と電圧の関係をグラフ化したものである。
図11によれば、実施例1-1の素子は、比較例1-1の素子に比べて光出力が向上していることが確認される。また、図12によれば、実施例1-1の素子は、比較例1-1の素子に比べて動作電圧が低下されていることが確認される。
上述したように、実施例1-1の素子においては、第四半導体層40がn型AlInN層41を備えたことで、図6及び図7に示すように、第三半導体層30の上層から表面に達するピット7が形成されている。この結果、実施例1-1の素子では、ステップS4に係る活性化処理でピット7を通じて第四半導体層40内の水素を離脱させることができ、第四半導体層40内に正孔を多く導入できたものと考えられる。一方、比較例1-1の素子では、AlInN層を備えないため、エピタキシャル層表面に達するピット7が生じにくく、実施例1-1と比べて水素を離脱させにくい構造になっているものと推察される。
(検証2)
上記の検証1によれば、第四半導体層40として、a軸方向の格子定数がGaN基板3よりも大きくなるように、InNを含むn型AlInN層41を備えたことで、第四半導体層40内にピット7が形成され、これにより、第二半導体層20内の水素を充分に離脱できたことが確認された。この点に鑑みれば、第四半導体層40として、n型AlInN層41に替えて、AlGaInN層を備える構成としても、Inの組成比率によっては同様の効果が得られるものと推察される。
下記表1は、第四半導体層40を構成するAlGaInN層の組成比率を4パターンで異ならせてステップS2までを実行し(参考例2-1,実施例2-1,実施例2-2,実施例2-3)、エピタキシャル層の表面状態を比較した結果である。なお、エピタキシャル層の表面にピット7が現れない状態を「C」評価とし、最もピット7が現れている状態を「A」評価とし、その中間の状態を「B」評価とした。
Figure 0007302814000001
表1によれば、In組成比率が13%である参考例2-1においては、エピタキシャル層の表面にまでピット7が到達していなかった。これに対し、In組成比率15%の実施例2-1の場合は、エピタキシャル層の表面に達するピット7が確認された。また、In組成比率17%の実施例2-2,In組成比率18%の実施例2-3においては、エピタキシャル層の表面に到達した多くのピットが確認された。具体的には、実施例2-2,実施例2-3においては、エピタキシャル層の表面上において、1個/μm2以上の密度でピット7が確認された。
この結果から、第四半導体層40を構成するn型AlInN層41に替えて、Inの組成比率x1が15%以上のAlGaInN層とした場合であっても、実施例1-1と同様に、動作電圧が低く、光出力の高い半導体発光素子が実現されることがわかる。
(検証3)
下記表2は、第四半導体層40を構成するn型AlInN層41の膜厚を300nmで固定して、n型AlInN層41のIn組成比率を5パターンで異ならせてステップS2までを実行し(参考例3-1,実施例3-1,実施例3-2,実施例3-3,参考例3-2)、エピタキシャル層の表面状態を比較した結果である。最も好ましい表面状態を「A」評価とし、好ましい表面状態を「B」評価とし、好ましくない表面状態を「C」評価とした。
Figure 0007302814000002
表2によれば、In組成比率が12%である参考例3-1においては、エピタキシャル層内にクラックが確認された。このことは、In組成比率が12%のn型AlInN層41の場合には、n型AlInN層41に対して引張応力が働き、ピット7が充分に開かずに逆にクラックが生じたものと推察される。また、In組成比率が24%である参考例3-2においては、エピタキシャル層が白濁化する現象が確認された。これは、Inの組成比率が高すぎたため、n型AlInN層41の成長時にInが偏析した結果、AlInNの結晶が部分的に+C極性と-C極性との間で極性反転を生じ、n型AlInN層41の表面が荒れたことに起因すると考えられる。
これに対し、In組成比率が15%である実施例3-1、In組成比率が18%である実施例3-2、In組成比率が21%である実施例3-3の場合には、いずれもエピタキシャル層の表面に到達した多くのピット7が確認された。特に、In組成比率が18%である実施例3-2において、エピタキシャル層の表面に到達した最も多くのピット7が確認された。
(検証4)
下記表3は、第四半導体層40を構成するn型AlInN層41のIn組成比率を18%で固定して、n型AlInN層41の膜厚を6パターン(参考例4-1,実施例4-1,実施例4-2,実施例4-3,実施例4-4,参考例4-2)で異ならせたときの、ステップS2完了後のエピタキシャル層の表面状態、及びステップS7完了後のLD素子としてのレーザ特性を比較した結果である。ここで、レーザ特性が好ましい状態とは発振閾値電流が低く、且つ動作電圧が低いことを指す。表面状態については、最も好ましい表面状態を「A」評価とし、好ましい表面状態を「B」評価とし、好ましくない表面状態を「C」評価とした。また、レーザ特性としては、発振閾値電流と動作電圧の双方が低い順に、「A」評価、「B」評価、「C」評価として判定した。
Figure 0007302814000003
表3によれば、n型AlInN層41の膜厚を700nmとした参考例4-2の素子は、エピタキシャル層表面にピット7が確認されなかった。これは、n型AlInN層41があまりに厚く積まれた結果、ピット7が上面にまで到達しなかったものと推察される。
また、表3によれば、n型AlInN層41の膜厚を10nmとした参考例4-1の素子は、充分な光出力が得られなかった。これは、n型AlInN層41の膜厚が薄すぎたために、第二半導体層20から第四半導体層40までの積層体内に閉じ込められる光の量が充分に確保できなかったことによるものと推察される。
これに対し、n型AlInN層41の膜厚が50nm以上、500nm以下である、実施例4-1~実施例4-4の各素子は、いずれもステップS2実行後におけるエピタキシャル層表面には充分な量のピット7が確認され、また、製造後のLD素子は高い光出力が確認された。特に、膜厚を100nm以上とした、実施例4-2~実施例4-4の各素子によれば、より高い光出力が確認された。
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
〈1〉上記実施形態では、半導体発光素子1を製造するに際し、ステップS3でリッジ部9を形成するものとした。しかし、半導体発光素子1はこのリッジ部9を有しない構造としても構わない。この場合であっても、ステップS2の完了時点において、エピタキシャル層の表面に達する多数のピット7が形成されるため、ステップS4における活性化処理によって、第二半導体層20内の水素を外部に離脱させてp型化することができる。
〈2〉上記実施形態では、半導体発光素子1がLD素子であるものとしたが、端面に反射を抑制するコーティング層が形成された、SLD素子としても構わない。
〈3〉半導体発光素子1は、必ずしも第五半導体層50を備えなくても構わない。ただし、半導体層内に閉じ込める光の量を高める観点からは、第二半導体層20や第四半導体層40よりも屈折率の高い、GaNからなる第五半導体層50が備えられるのが好ましい。
〈4〉半導体発光素子1は紫外光領域である365nm以上、430nm未満を主たる発光波長とする素子としても構わないし、青色光~緑色光領域である430nm以上、550nm以下を主たる発光波長とする素子としても構わない。第一半導体層10、第二半導体層20、及び第五半導体層50は、それぞれ、発光波長に応じて構成材料が選択される。光の波長が長くなるに連れ、すなわち紫外光領域から可視光(青/緑色光)領域に変化するに連れ、隣接する半導体層間における光に対する屈折率差が小さくなり、光閉じ込め能力が低下してしまうためである。
この観点から、半導体発光素子1が青色光/緑色光を発する素子である場合には、第一半導体層10は、紫外光を発する素子の場合よりもAl組成比率を高めた(例えば5%程度の)n型AlGaN層11を有するのが好ましく、n型AlGaN層11に替えて、又はn型AlGaN層11と共にn型AlInN層を有するのが更に好ましい。後者の場合、第一半導体層10は、n型AlGaN層11とn型AlInN層とが複数周期繰り返された積層体を有するものとしても構わない。
また、半導体発光素子1が青色光/緑色光を発する素子である場合には、第二半導体層20はp型AlGaN層からなるのが好ましく、第五半導体層50はp型又はアンドープのInGaN層からなるのが好ましい。
1 : 半導体発光素子
3 : GaN基板
5 : 活性層
7 : ピット
10 : 第一半導体層
11 : n型AlGaN層
12 : n型GaN層
20 : 第二半導体層
21 : p型AlGaN層(電子ブロック層)
22 : p型AlGaN層(クラッド層)
30 : 第三半導体層
40 : 第四半導体層
41 : n型AlInN層
42 : n型AlGaN層
50 : 第五半導体層
51 : 第一領域
52 : 第二領域
61 : 第一電極
62 : 第二電極
71 : パッド電極
72 : パッド電極
81 : 絶縁層

Claims (5)

  1. GaN基板の主面上に窒化物半導体層が形成されてなる、半導体発光素子であって、
    前記GaN基板の前記主面の上層に形成され、n型窒化物半導体からなる第一半導体層と、
    前記第一半導体層の上層に形成され、窒化物半導体からなる活性層と、
    前記活性層の上層に形成され、p型窒化物半導体からなる第二半導体層と、
    前記第二半導体層の上層に形成され、前記第一半導体層よりも高濃度のn型不純物と、前記第二半導体層よりも高濃度のp型不純物とが含有された、窒化物半導体からなる第三半導体層と、
    前記第三半導体層の上面に接触して形成され、Inを含むn型窒化物半導体からなる第四半導体層とを備えたことを特徴とする、半導体発光素子。
  2. 前記第三半導体層から前記第四半導体層の上面に達する内部欠陥を有し、
    前記内部欠陥の密度は、前記GaN基板に含まれる結晶欠陥の密度よりも高いことを特徴とする、請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記第四半導体層は、Inの組成比率x1が15%以上、21%以下のAlInN、又は、Inの組成比率x1が15%以上、18%以下で、且つAlの組成比率y1が70%以上、82%以下であるAlGaInN(ただし、x1+y1≦100%)で構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の半導体発光素子。
  4. 前記活性層と前記第二半導体層との間に形成され、前記第二半導体層よりも屈折率の高い窒化物半導体からなる第五半導体層を備え、
    前記活性層は、前記GaN基板の前記主面に非平行な平面であって、前記活性層で生成された光を出射する光出射面を有し、
    前記第二半導体層、前記第三半導体層、及び前記第四半導体層を含む積層体を、前記光出射面に平行な平面で切断したときの、前記GaN基板の前記主面に平行な方向に係る幅は、前記第五半導体層を前記光出射面に平行な平面で切断したときの前記幅の最大値よりも小さいことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  5. 前記第五半導体層は、第一領域と、前記第一領域よりも前記第二半導体層に近い位置に配置され前記光出射面に平行な平面で切断したときの前記幅が前記第一領域よりも狭い第二領域とを有することを特徴とする、請求項4に記載の半導体発光素子。
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