JP7302451B2 - カム装置及びステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、カム装置及びステアリング装置に関する。
自動車用のステアリング装置には、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールの上下位置や前後位置を調節可能とする、ステアリングホイールの位置調節装置が組み込まれている。
図13及び図14は、特開2016-94950号公報(特許文献1)に記載された、ステアリングホイールの位置調節装置を備えたステアリング装置の1例を示している。後端部にステアリングホイールが固定されるステアリングシャフト1は、ステアリングコラム2の内側に回転自在に支持されている。ステアリングコラム2の軸方向中間部には、1対の被挟持板部3からなるコラム側ブラケット4が備えられている。コラム側ブラケット4は、車体に支持された車体側ブラケット5に備えられた1対の支持板部6により、幅方向両側から挟持されている。1対の被挟持板部3を幅方向に貫通したコラム側通孔7、及び、1対の支持板部6を幅方向に貫通した車体側通孔8には、調節ロッド9が幅方向に挿通されている。調節ロッド9の基端部には、アンカ部10が備えられており、調節ロッド9の先端部には、ナット13が螺合されている。ナット13と片方(図14の左側)の支持板部6との間には、カム装置11及び調節レバー12が備えられている。
カム装置11は、可動側カム14と、固定側カム15とからなる。可動側カム14は、調節ロッド9に外嵌支持されており、軸方向一方側(図14の右側)の側面に、円周方向に関する凹凸面である可動側カム面16を有している。固定側カム15は、片方の支持板部6に対して相対回転不能に支持されており、可動側カム面16に対向する軸方向他方側(図14の左側)の側面に、円周方向に関する凹凸面である固定側カム面17を有している。調節レバー12は、その基部を可動側カム14に対して相対回転不能に固定している。カム装置11は、調節レバー12の操作に基づき、可動側カム14を固定側カム15に対して相対回転させることにより、可動側カム面16と固定側カム面17との回転位相を変化させて、軸方向寸法を拡縮させる。これにより、1対の支持板部6同士の間隔を拡縮させて、1対の被挟持板部3を挟持する力の大きさを調節する。
カム装置11の軸方向寸法を縮小して、1対の支持板部6により1対の被挟持板部3を挟持する力を小さくしたアンロック状態では、調節ロッド9がコラム側通孔7及び車体側通孔8の内側で変位できる範囲で、ステアリングホイールの位置調節が可能になる。これに対し、カム装置11の軸方向寸法を拡大して、1対の支持板部6により1対の被挟持板部3を挟持する力を大きくしたロック状態では、ステアリングホイールを、調節後の位置に保持することが可能になる。
特開2016-94950号公報
ところで、カム装置をアンロック状態とロック状態との間で切り替える際、可動側カム面と固定側カム面とは、滑り接触(摺接)する。このため、可動側カム面及び固定側カム面には摩耗が生じやすくなる。そこで、可動側カム面と固定側カム面との間にグリースを介在させて、可動側カム面及び固定側カム面に生じる摩耗を抑制することが行われている。ただし、グリースは、可動側カムを固定側カムに対して相対回転させる際などに、可動側カム面と固定側カム面との間から外部に排出されやすい。このため、カム装置は、使用を継続するほど、可動側カム面及び固定側カム面に生じる摩耗量が増大しやすくなる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、継続して使用した場合にも、可動側カム面及び固定側カム面に生じる摩耗量が増大することを抑制できる、カム装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかるカム装置は、可動側カムと、固定側カムとを備える。
前記可動側カムは、軸方向一方側の側面に、可動側基準面と該可動側基準面よりも軸方向一方側に突出した可動側凸部とを円周方向に交互に配置してなる、可動側カム面を有している。
前記固定側カムは、前記可動側カム面と軸方向に対向する軸方向他方側の側面に、前記可動側凸部と同数の固定側基準面と、該固定側基準面よりも軸方向他方側に突出した前記可動側基準面と同数の固定側凸部とを、円周方向に交互に配置してなる、固定側カム面を有している。
そして、前記可動側カムを前記固定側カムに対して相対回転させることにより、前記可動側凸部の先端面と前記固定側凸部の先端面とを突き合わせて軸方向寸法を拡大したロック状態と、前記可動側凸部と前記固定側凸部とを円周方向に交互に配置して軸方向寸法を縮小したアンロック状態とを、切り替え可能としている。
前記可動側凸部と前記固定側凸部とのうちのいずれか一方の凸部は、前記可動側カムと前記固定側カムとのうち前記一方の凸部を備えた一方のカムの中心軸を含む仮想平面に関して台形状の断面形状を有しており、円周方向に伸長し、円周方向のいずれの位置においても軸方向高さが最も高くなった、前記仮想平面に関する断面において台形の上底を構成する帯状頂面と、前記帯状頂面の径方向内側に配置され、径方向内側に向かうほど軸方向高さが低くなる方向に傾斜した、前記仮想平面に関する断面において台形の一方の脚辺を構成する内径側斜面と、前記帯状頂面の径方向外側に配置され、径方向外側に向かうほど軸方向高さが低くなる方向に傾斜した、前記仮想平面に関する断面において台形の他方の脚辺を構成する外径側斜面とを備えている。
前記可動側凸部と前記固定側凸部とのうちのいずれか他方の凸部の前記一方の凸部に対する、前記ロック状態に切り替える際の相対的な回転方向を円周方向一方向きとした場合に、前記帯状頂面は、円周方向一方側部分が前記一方の凸部の先端面を構成するものであり、円周方向一方側に向かうほど径方向内側から径方向外側へと径方向位置が変化した径方向変化部を有する。
本発明の一態様にかかるカム装置は、前記仮想平面に関する断面形状において、前記帯状頂面に対する前記内径側斜面の傾斜角度と、前記帯状頂面に対する前記外径側斜面の傾斜角度とを、互いに同じにすることができる。
あるいは、本発明の一態様にかかるカム装置は、前記仮想平面に関する断面形状において、前記帯状頂面に対する前記内径側斜面の傾斜角度と、前記帯状頂面に対する前記外径側斜面の傾斜角度とを、互いに異ならせることができる。
本発明の一態様にかかるカム装置は、前記帯状頂面を、円周方向にわたり一定の径方向幅を有するものとすることができる。
あるいは、本発明の一態様にかかるカム装置は、前記帯状頂面を、円周方向位置に応じて変化する径方向幅を有するものとすることができる。
本発明の一態様にかかるカム装置は、前記可動側基準面と前記固定側基準面とのうち、前記一方のカムに備えられた一方の基準面の径方向外側に、軸方向に突出した第1壁部を備えることできる。この場合、前記第1壁部の軸方向高さは、前記一方の基準面の軸方向高さよりも低くする。
本発明の一態様にかかるカム装置は、前記外径側斜面のうちで前記一方の凸部の径方向外側の端部に位置する部分、又は/及び、前記内径側斜面のうちで前記一方の凸部の径方向内側の端部に位置する部分に、軸方向に突出した第2壁部を備えることができる。この場合、前記第2壁部の軸方向高さは、前記帯状頂面のうちで前記第2壁部と円周方向位置が同じ部分における軸方向高さよりも低くする。
本発明の一態様にかかるステアリング装置は、ステアリングコラムと、コラム側ブラケットと、コラム側通孔と、車体側ブラケットと、1対の車体側通孔と、調節ロッドと、カム装置と、調節レバーとを備える。
前記ステアリングコラムは、後端部にステアリングホイールを固定したステアリングシャフトを、内側に回転自在に支持する。
前記コラム側ブラケットは、前記ステアリングコラムの軸方向一部に備えられている。
前記コラム側通孔は、前記コラム側ブラケットを幅方向に貫通するように備えられている。
前記車体側ブラケットは、前記コラム側ブラケットを幅方向両側から挟むように配置された1対の支持板部を有し、車体に支持される。
前記1対の車体側通孔は、前記1対の支持板部を幅方向に貫通するように備えられている。
前記調節ロッドは、前記コラム側通孔及び前記1対の車体側通孔を幅方向に挿通している。
前記カム装置は、前記調節ロッドに外嵌支持された可動側カム、及び、前記1対の支持板部のうちの片方の支持板部に対し回転不能に支持された固定側カムを有しており、該固定側カムに対して前記可動側カムを相対回転させることにより軸方向寸法を拡縮させる。
前記調節レバーは、前記可動側カムに固定され、該可動側カムを回転させる。
本発明の一態様にかかるステアリング装置では、前記カム装置が、本発明の一態様にかかるカム装置である。
本発明のカム装置によれば、継続して使用した場合にも、可動側カム面及び固定側カム面に生じる摩耗量が増大することを抑制できる。
図1は、本発明の実施の形態の第1例を示す、ステアリング装置の側面図である。 図2は、同じく図1のI-I線断面図である。 図3は、可動側カムを取り出して示す図であり、(A)は幅方向一方側から見た正面図を示しており、(B)は斜視図を示している。 図4は、固定側カムを取り出して示す図であり、(A)は幅方向他方側から見た正面図を示しており、(B)は斜視図を示している。 図5は、図4の(A)のII-II線断面模式図である。 図6は、カム装置を取り出して示す図であり、(A)-(X)はアンロック状態のカム装置を径方向外側から見た側面図であり、(A)-(Y)はアンロック状態のカム装置を幅方向他方側から見た正面図であり、(B)-(X)はロック状態のカム装置を径方向外側から見た側面図であり、(B)-(Y)はロック状態のカム装置を幅方向他方側から見た正面図である。 図7は、カム装置を取り出して示す斜視図であり、(A)はアンロック状態を示しており、(B)はロック状態を示している。 図8は、図6の(A)-(Y)のIII-III線断面図である。 図9は、図6の(B)-(Y)のIV-IV線断面図である。 図10は、図9のV部拡大図である。 図11は、図9のVI部拡大図である。 図12は、実施の形態の第2例を示す、図5に相当する図である。 図13は、従来構造のカム装置を備えたステアリング装置を示す側面図である。 図14は、図13のVII-VII線断面図である。
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1~図11を用いて説明する。
〈ステアリング装置の全体構造〉
本例のステアリング装置には、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールの上下位置及び前後位置を調節するための位置調節機構(チルト機構及びテレスコピック機構)が組み込まれている。ステアリング装置は、ステアリングシャフト1aと、ステアリングコラム2aと、コラム側ブラケット4aと、車体側ブラケット5aと、カム装置11aと、調節レバー12aとを備えている。なお、上下方向、前後方向、及び、幅方向とは、特に断らない限り、車両の上下方向、前後方向、及び、幅方向をいう。
ステアリングシャフト1aは、車体に支持されたステアリングコラム2aの内側に、回転自在に支持されている。ステアリングシャフト1aの後端部には、ステアリングホイールが固定される。ステアリングシャフト1aの前端部は、自在継手及び中間シャフトを介して、ステアリングギヤユニットのピニオン軸に接続される。このような構成により、ステアリングホイールの回転をピニオン軸に伝達し、該ピニオン軸の回転に伴って1対のタイロッドを押し引きすることで、操舵輪に舵角を付与する。
ステアリングシャフト1aは、ステアリングホイールの前後位置の調節を可能にするために、前方に配置されたインナシャフト18と後方に配置されたアウタシャフト19とを、スプライン係合などにより、トルク伝達可能にかつ伸縮可能に組み合わせた構成を有している。インナシャフト18及びアウタシャフト19は、それぞれ鉄合金、アルミニウム合金などの金属製である。
ステアリングコラム2aは、略円筒形状を有しており、車体に対して支持されている。ステアリングコラム2aは、ステアリングホイールの前後位置の調節を可能にするために、前方に配置されたインナコラム20の後端部に、後方に配置されたアウタコラム21の前端部を、軸方向に関する相対変位を可能に緩く嵌合し、全長を伸縮可能に構成している。インナコラム20及びアウタコラム21は、それぞれ鉄合金、アルミニウム合金などの金属製である。
ステアリングコラム2aは、ステアリングホイールの上下位置の調節を可能にするために、ステアリングコラム2aの前端部に固定したギヤハウジング22を、幅方向に配置したチルト軸23を中心として車体に対し揺動可能に支持している。ギヤハウジング22の内部には、ウォーム減速機を収容しており、該ウォーム減速機は、ギヤハウジング22に固定した電動モータ24のトルクを増大して、ステアリングシャフト1aに伝達する。
上述のように、チルト軸23を中心としたステアリングコラム2aの揺動変位に基づいて、ステアリングホイールの上下位置の調節を可能にするとともに、ステアリングシャフト1a及びステアリングコラム2aのそれぞれを伸縮構造とすることで、ステアリングホイールの前後位置の調節を可能にする。そして、ステアリングホイールを調節後の位置に保持するために、ステアリングコラム2aの軸方向中間部に、コラム側ブラケット4aを備えるとともに、車体に対して車体側ブラケット5aを支持している。
コラム側ブラケット4aは、アウタコラム21の前端部の上部に、該アウタコラム21と一体に備えられており、幅方向に離隔して配置された1対の被挟持板部3aから構成されている。1対の被挟持板部3aは、略平板状に構成されており、それぞれの被挟持板部3aは、幅方向に貫通したコラム側通孔7aを備えている。コラム側通孔7aは、アウタコラム21の軸方向(前後方向)に伸長する長孔である。コラム側通孔7aには、合成樹脂製のスペーサ25が装着されている。アウタコラム21は、1対の被挟持板部3aの基端部(下端部)同士の間に、軸方向に延びたスリット26を備えている。これにより、アウタコラム21の前端部の内径を、弾性的に拡縮可能としている。なお、テレスコピック機構を備えない場合には、コラム側通孔は単なる円孔とする。
車体側ブラケット5aは、鋼やアルミニウム系合金などの十分な剛性を有する金属板製で、天板部27と、1対の支持板部6aとを備えている。天板部27は、平板状に構成されており、通常時には車体に支持されているが、二次衝突の発生時には前方に離脱し、アウタコラム21の前方への変位を許容する。このために、天板部27は、後端縁に開口した1対の係止切り欠きを備え、かつ、該1対の係止切り欠きのそれぞれに対して、車体に固定した係止カプセル28を離脱可能に係止している。
1対の支持板部6aは、幅方向に離隔して互いに略平行に配置されており、それぞれの上端部を、天板部27の下面に対して溶接などにより固定している。1対の支持板部6aは、コラム側ブラケット4aを幅方向両側から挟むように、1対の被挟持板部3aの幅方向外側に配置されている。1対の支持板部6aのそれぞれは、幅方向に貫通した車体側通孔8aを備えている。車体側通孔8aは、チルト軸23を中心として円弧状に湾曲した上下方向に伸長する長孔である。なお、チルト機構を備えない場合には、車体側通孔は単なる円孔とする。
1対の支持板部6aにより1対の被挟持板部3aを締め付ける力を調節可能とするために、コラム側通孔7a及び車体側通孔8aを幅方向に挿通するように、調節ロッド9aを配置している。調節ロッド9aは、1対の支持板部6a同士の間隔よりも長い全長を有しており、先端部(幅方向一方側の端部、図2の右側の端部)に、雄ねじ部29を有しており、基端部(幅方向他方側の端部、図2の左側の端部)に、頭部のごときアンカ部10aを有している。雄ねじ部29には、ナット13aを螺合している。
調節ロッド9aのうちで、ナット13aと幅方向一方側(図2の右側)の支持板部6aとの間に位置する部分には、スラストニードル軸受30を外嵌しており、アンカ部10aと幅方向他方側(図2の左側)の支持板部6aとの間に位置する部分には、カム装置11a及び調節レバー12aを外嵌している。そして、調節レバー12aの揺動操作に基づき、カム装置11aの軸方向寸法を拡縮させることで、1対の支持板部6aが1対の被挟持板部3aを締め付ける力を調節可能としている。以下、カム装置11aの構造について、詳しく説明する。
《カム装置》
カム装置11aは、可動側カム14aと、固定側カム15aとからなる。可動側カム14aは、調節ロッド9aの基端寄り部分に外嵌支持されており、調節レバー12aの揺動操作に基づき、調節ロッド9aの中心軸回りを回転する。固定側カム15aは、可動側カム14aと同軸に配置されており、幅方向他方側の支持板部6aに対し回転不能に支持されている。可動側カム14aに備えられた可動側カム面16aと、固定側カム15aに備えられた固定側カム面17aとの間には、図示しないグリースが充填されている。調節レバー12aを揺動操作すると、可動側カム面16aと固定側カム面17aとの回転位相が変化するため、カム装置11aの軸方向寸法が拡大したロック状態と、カム装置11aの軸方向寸法が縮小したアンロック状態との切り替えが可能になる。なお、本例では、固定側カム15aを構成する後述の固定側凸部46a、46bが一方の凸部に相当し、可動側カム14aを構成する後述の可動側凸部35a、35bが他方の凸部に相当する。このため、カム装置11aをロック状態に切り替える際の可動側カム14a(可動側凸部35a、35b)の回転方向(ロック方向)を、円周方向一方向きとし、各図に矢印αで示し、カム装置11aをアンロック状態に切り替える際の可動側カム14aの回転方向(アンロック方向)を、円周方向他方向きとし、各図に矢印βで示す。
〔可動側カム〕
可動側カム14aは、焼結金属製で、図3に示すように、中央部に、調節ロッド9aを挿通するための中心孔31を有している。可動側カム14aは、略円輪板状の可動側カム本体32と、略矩形板状の可動側係合部33とからなる。可動側カム本体32は、軸方向一方側(幅方向一方側、図2の右側、図3の(A)の表側)の側面に、円周方向に関する凹凸面である、可動側カム面16aを有している。可動側係合部33は、調節レバー12aの基部59を嵌合する部分であり、可動側カム本体32の軸方向他方側(幅方向他方側、図2の左側)の側面に備えられている。本例では、可動側係合部33は、軸方向他方側から見て、略矩形の端面形状を有する。ただし、可動側係合部33の端面形状は、略矩形に限らず、後述する調節レバー12aの取付孔60と非円形嵌合可能な形状であれば、特に限定されない。
可動側カム面16aは、平坦面状の可動側基準面34a、34bと、該可動側基準面34a、34bよりも軸方向一方側に突出した可動側凸部35a、35bとを、円周方向に交互に配置してなる。本例では、可動側基準面34a、34b及び可動側凸部35a、35bを、それぞれ4つずつ備えているが、可動側基準面及び可動側凸部の数については、複数であれば4つに限定されない。
可動側基準面34a、34bのそれぞれは、可動側カム14aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面であり、軸方向視で扇形状を有している。本例では、4つの可動側基準面34a、34bのうち、直径方向反対側2箇所に存在する可動側基準面34aの円周方向幅が、残り2つの可動側基準面34bの円周方向幅よりも広くなっている。すなわち、円周方向幅の広い(中心角の大きい)可動側基準面34aと、円周方向幅の狭い(中心角の小さい)可動側基準面34bとは、円周方向に離隔して交互に配置されている。可動側基準面34aの外径と可動側基準面34bの外径とは、互いに同じである。
可動側凸部35a、35bのそれぞれは、可動側カム14aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する先端面36a、36bを有している。また、可動側凸部35a、35bは、可動側カム14aの放射方向(径方向)に直交する仮想平面に関して、略台形状の断面形状を有している。
可動側凸部35a、35bのそれぞれは、円周方向一方側部分の径方向外側部に、軸方向視で略矩形状の切り欠き37を有している。別な言い方をすれば、可動側凸部35a、35bは、円周方向一方側部分の径方向内側部に、径方向外側部よりも円周方向一方側に張り出した張出部38を備えている。
可動側凸部35a、35bのうち、張出部38における外径は、可動側基準面34a、34bの外径とほぼ同じであり、張出部38以外の部分の外径は、可動側基準面34a、34bの外径よりも十分に大きい。このため、可動側カム面16aの外径は、円周方向にわたり一定ではなく、円周方向に関する位相が、可動側凸部35a、35bのうちで張出部38以外の部分と一致した部分で大きくなる。円周方向に隣り合う可動側凸部35a、35bの径方向外側部分同士は、可動側カム面16aを構成しない薄板状の連結部39によって、円周方向に連結されている。
本例では、4つの可動側凸部35a、35bのうち、直径方向反対側2箇所に存在する可動側凸部35aの円周方向幅が、残り2つの可動側凸部35bの円周方向幅よりも広くなっている。すなわち、円周方向幅の広い(中心角の大きい)可動側凸部35aと、円周方向幅の狭い(中心角の小さい)可動側凸部35bとは、円周方向に離隔して交互に配置されている。可動側凸部35a、35bと可動側基準面34a、34bとは、円周方向一方向きに、可動側凸部35a→可動側基準面34a→可動側凸部35b→可動側基準面34b→可動側凸部35a→・・・の順で配置されている。
可動側凸部35a、35bのそれぞれは、張出部38の円周方向一方側の側面に、可動側基準面34a、34bから立ち上がった可動側案内斜面40を有している。可動側凸部35a、35bの円周方向他方側の側面は、可動側案内斜面40よりも傾斜角度が大きくなっている。可動側凸部35a、35bの円周方向他方側の側面の傾斜は、可動側カム14aを成形型から取り出すのに必要な抜き勾配に相当するものである。
可動側カム14aは、円周方向幅の広い可動側凸部35aの径方向外側に、可動側ストッパ部41を有している。可動側ストッパ部41は、可動側凸部35aと一体的に設けられており、可動側凸部35aの先端面36aよりも軸方向一方側に突出している。可動側ストッパ部41は、部分円筒状に構成されており、可動側凸部35aの円周方向中間部ないし他方側部分の径方向外側に配置されている。このため、可動側ストッパ部41の円周方向一方側の側面は、可動側案内斜面40よりも円周方向他方側に位置している。これに対し、可動側ストッパ部41の円周方向他方側の側面は、可動側凸部35aの円周方向他方側の側面と、円周方向位置が一致している。
〔固定側カム〕
固定側カム15aは、焼結金属製で、図4に示すように、中央部に、調節ロッド9aを挿通するための中心孔42を有している。固定側カム15aは、略円輪板状の固定側カム本体43と、略矩形板状の固定側係合部44とからなる。固定側カム本体43は、可動側カム面16aに対向する軸方向他方側(幅方向他方側、図2の左側、図4の(A)の表側)の側面に、円周方向に関する凹凸面である、固定側カム面17aを有している。固定側係合部44は、幅方向他方側の支持板部6aに備えられた車体側通孔8aに対し、相対回転不能に、かつ、該車体側通孔8aに沿った変位のみを可能に係合する部分であり、固定側カム本体43の軸方向一方側の側面に備えられている。
固定側カム面17aは、平坦面状の固定側基準面45a、45bと、該固定側基準面45a、45bよりも軸方向他方側に突出した固定側凸部46a、46bとを、円周方向に交互に配置してなる。本例では、固定側基準面45a、45b及び固定側凸部46a、46bを、それぞれ4つずつ備えているが、固定側基準面及び固定側凸部の数については、可動側基準面及び可動側凸部とそれぞれ同数であれば、4つに限定されない。
固定側基準面45a、45bは、固定側カム15aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面であり、中心孔42に沿って略円弧状に湾曲した帯形状(円弧形状)を有している。固定側基準面45a、45bは、円周方向にわたり一定の径方向幅を有しており、円周方向に離隔して配置されている。
本例では、4つの固定側準面45a、45bのうち、直径方向反対側2箇所に存在する固定側基準面45aの円周方向長さが、残り2つの固定側基準面45bの円周方向長さよりも大きくなっている。すなわち、円周方向長さの大きい(中心角の大きい)固定基準面45aと、円周方向長さの小さい(中心角の小さい)固定基準面45bとは、円周方向に離隔して交互に配置されている。固定側基準面45aの外径と固定基準面45bの外径とは、互いに同じである。
固定側基準面45a、45bのそれぞれの径方向外側には、固定側基準面45a、45bよりも軸方向一方側にわずかに凹み、かつ、軸方向視で略扇形状を有する、退避面47a、47bが備えられている。退避面47a、47bは、径方向外側に向かうほど軸方向高さが低くなる方向に傾斜している。退避面47aの外周縁は、固定側カム15aの中心軸を中心とした凸円弧状であるのに対し、退避面47bの外周縁は、直線状である。固定側基準面45a、45bの径方向外側に位置する、退避面47a、47bのそれぞれの径方向外側の端部には、軸方向他方側に向けてわずかに突出した、第1壁部に相当する、第1外径側壁部48a、48bが設けられている。第1外径側壁部48a、48bの軸方向他方側の端面は、固定側基準面45a、45bよりも軸方向一方側に位置している。つまり、第1外径側壁部48a、48bの軸方向高さは、固定側基準面45a、45bの軸方向高さよりも低くなっている。
固定側凸部46a、46bのそれぞれは、固定側カム15aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する先端面49a、49bを有している。
4つの固定側凸部46a、46bのうち、直径方向反対側2箇所に存在する固定側凸部46aの円周方向幅が、残り2つの固定側凸部46bの円周方向幅よりも広くなっている。すなわち、円周方向幅の広い(中心角の大きい)固定側凸部46aと、円周方向幅の狭い(中心角の小さい)固定側凸部46bとは、円周方向に離隔して交互に配置されている。固定側凸部46a、46bと固定側基準面45a、45bとは、円周方向一方向きに、固定側凸部46a→固定側基準面45b→固定側凸部46b→固定側基準面45a→固定側凸部46a→・・・の順で配置されている。
固定側凸部46a、46bはそれぞれ、図5に示すように、固定側カム15aの中心軸を含む仮想平面に関して台形状の断面形状を有しており、台形の上底を構成する帯状頂面50a、50bと、台形の一方の脚辺を構成する内径側斜面51a、51bと、台形の他方の脚辺を構成する外径側斜面52a、52bとを有している。
帯状頂面50a、50bは、円周方向に伸長し、円周方向のいずれの位置においても、固定側凸部46a、46bのうちで軸方向高さが最も高くなっている。帯状頂面50a、50bは、軸方向視で略L字形に湾曲した帯形状を有しており、円周方向にわたり一定で、かつ、固定側基準面45a、45bの径方向幅と同じ大きさの径方向幅を有している。帯状頂面50a、50bの軸方向高さは、径方向全幅にわたり一定である。
帯状頂面50a、50bは、円周方向他方側部分に、円周方向一方側に向かうほど、軸方向高さが高くなり、かつ、径方向内側から径方向外側へと径方向位置が変化した径方向変化部53a、53bを有している。径方向変化部53a、53bの円周方向他方側の端部は、固定側基準面45a、45bにつながっている。したがって、径方向変化部53a、53bは、固定側基準面45a、45bから立ち上がった、可動側凸部35a、35bが乗り上がる乗り上げ面(案内斜面)として機能する。
帯状頂面50a、50bは、円周方向一方側部分に、円周方向にわたり軸方向高さ及び径方向位置が変化せず、帯状頂面50a、50bのうちで最も軸方向高さの高くなった、最頂部54a、54bを有している。最頂部54a、54bは、平坦面状で、固定側凸部46a、46b(固定側カム面17a)の径方向外側部に配置されており、固定側凸部46a、46bの先端面49a、49bを構成する。
内径側斜面51a、51bは、帯状頂面50a、50bの径方向内側に配置されており、径方向内側に向かうほど軸方向高さが低くなる方向に傾斜している。帯状頂面50a、50bの円周方向他方側部分を構成する径方向変化部53a、53bは、径方向内側から径方向外側へと斜めに伸長しているため、内径側斜面51a、51bのうちで、径方向変化部53a、53bの径方向内側に配置された部分は、円周方向一方側に向かうほど径方向幅(斜面長さ)が大きくなる。これに対し、内径側斜面51a、51bのうちで、最頂部54a、54b(先端面49a、49b)の径方向内側に配置された部分は、円周方向にわたり径方向幅(斜面長さ)が一定である。
内径側斜面51a、51bのうちで、最頂部54a、54bの径方向内側に配置された部分には、固定側凸部46a、46bの径方向内側の端部及び円周方向一方側の端部に沿って略L字形に折れ曲がり、かつ、軸方向他方側に向けてわずかに突出した、第2壁部に相当する、内径側壁部55a、55bが設けられている。内径側壁部55a、55bの軸方向高さは、帯状頂面50a、50bのうちで、内径側壁部55a、55bと円周方向位置が同じ部分に存在する最頂部54a、54bの軸方向高さよりも低くなっている。
外径側斜面52a、52bは、帯状頂面50a、50bの径方向外側に配置されており、径方向外側に向かうほど軸方向高さが低くなる方向に傾斜している。上述したように、帯状頂面50a、50bの円周方向他方側部分を構成する径方向変化部53a、53bは、径方向内側から径方向外側へと斜めに伸長しているため、外径側斜面52a、52bのうちで、径方向変化部53a、53bの径方向外側に配置された部分は、円周方向一方側に向かうほど径方向幅(斜面長さ)が小さくなる。また、円周方向幅の広い固定側凸部46aは、後述するように、最頂部54a(先端面49a)の径方向外側に、外径側斜面ではなく、固定側ストッパ部57が配置されている。これに対し、円周方向幅の狭い固定側凸部46bは、最頂部54b(先端面49b)の径方向外側にも外径側斜面52bが配置されており、最頂部54bの径方向外側に配置された外径側斜面52bは、円周方向にわたり径方向幅(斜面長さ)が一定である。
外径側斜面52a、52bのうちで、径方向変化部53a、53bの径方向外側に配置された部分には、固定側凸部46a、46bの径方向外側の端部に沿って伸長し、かつ、軸方向他方側に向けてわずかに突出した、第2壁部に相当する、第2外径側壁部56a、56bが設けられている。第2外径側壁部56a、56bは、第1外径側壁部48a、48bと円周方向につながっている。第2外径側壁部56a、56bの軸方向高さは、帯状頂面50a、50b(径方向変化部53a、53b)のうちで、第2外径側壁部56a、56bと円周方向位置が同じ部分における軸方向高さよりも低くなっている。
図5及び図10に示すように、固定側凸部46a、46bのそれぞれは、固定側カム15aの中心軸を含む仮想平面に関する断面形状において、帯状頂面50a、50bに対する内径側斜面51a、51bの傾斜角度θ1と、帯状頂面50a、50bに対する外径側斜面52a、52bの傾斜角度θ2とを、互いに同じとしている(θ1=θ2)。また、傾斜角度θ1を円周方向にわたり一定とし、かつ、傾斜角度θ2を円周方向にわたり一定としている。傾斜角度θ1及び傾斜角度θ2は、たとえば160度~179度の範囲に規制することができ、好ましくは170度~175度の範囲に規制することができる。
固定側凸部46a、46bの円周方向一方側の側面は、帯状頂面50a、50bの円周方向他方側部分を構成する径方向変化部53a、53bの傾斜角度よりも傾斜角度が大きくなっている。固定側凸部46a、46bの円周方向一方側の側面の傾斜は、固定側カム15aを成形型から取り出すのに必要な抜き勾配に相当するものである。
固定側カム面17aは、径方向外側部のうち、円周方向幅の広い固定側凸部46aの径方向外側に、固定側ストッパ部57を有している。固定側ストッパ部57は、固定側凸部46aと一体的に設けられており、固定側凸部46aの先端面49a(最頂部54a)よりも軸方向他方側に突出している。固定側ストッパ部57は、部分円筒状に構成されており、固定側凸部46aの円周方向一方側部分の径方向外側に配置されている。このため、固定側ストッパ部57の円周方向他方側の側面は、帯状頂面50aの径方向変化部53aよりも円周方向一方側に位置している。これに対し、固定側ストッパ部57の円周方向一方側の側面は、固定側凸部46aの円周方向一方側の側面と、円周方向位置が一致している。
固定側ストッパ部57と、固定側ストッパ部57の円周方向他方側に配置された固定側凸部46bの径方向外側の端部とは、固定側カム面17aを構成しない薄板状の連結部58によって、円周方向に連結されている。
カム装置11aは、図6の(A)及び図7の(A)に示すように、ステアリングホイールの位置調節が可能になるアンロック状態で、可動側カム14aの可動側凸部35a、35bと、固定側カム15aの固定側凸部46a、46bとが円周方向に交互に配置される。これにより、図8に示すように、可動側凸部35a、35bのそれぞれの先端面36a、36bの径方向内側の端部が、固定側基準面45a、45bに当接する。この結果、カム装置11aの軸方向寸法が縮小する。
上述したカム装置11aのアンロック状態から、調節レバー12aの揺動操作により、可動側カム14aを固定側カム15aに対して円周方向一方向きに相対回転させると、可動側凸部35a、35bに備えられた可動側案内斜面40が、固定側凸部46a、46bに備えられた帯状頂面50a、50bの径方向変化部53a、53bに摺接し、径方向変化部53a、53bに乗り上がる。これにより、カム装置11aの軸方向寸法が拡大していく。この際、可動側凸部35a、35bと固定側凸部46a、46bとの接触位置は、帯状頂面50a、50bの径方向変化部53a、53bに沿って、径方向内側から径方向外側へと変化していく。その後、図9に示すように、可動側凸部35a、35bのそれぞれの先端面36a、36bの径方向外側の端部と、固定側凸部46a、46bのそれぞれの先端面49a、49b(最頂部54a、54b)とが突き当たる。これにより、図6の(B)及び図7の(B)に示すように、カム装置11aの軸方向寸法が最大になり、ステアリングホイールが調節後の位置に保持されるロック状態となる。
また、可動側凸部35a、35bの先端面36a、36bと、固定側凸部46a、46bの先端面49a、49b(最頂部54a、54b)とが突き当たった後、図6の(B)及び図7の(B)に示すように、可動側ストッパ部41の円周方向一方側の側面と、固定側ストッパ部57の円周方向他方側の側面とが当接することで、可動側カム14aが固定側カム15aに対して円周方向一方向きにそれ以上相対回転することが防止される。これに対し、アンロック状態では、図6の(A)及び図7の(A)に示すように、可動側ストッパ部41の円周方向他方側の側面と、固定側凸部46bの径方向外側の端部の円周方向一方側の側面とが当接することで、可動側カム14aが固定側カム15aに対して円周方向他方向きにそれ以上相対回転することが防止される。
調節レバー12aは、可動側カム14aを回転させて、カム装置11aの軸方向寸法を変更するためのものである。調節レバー12aは、金属板製で、略クランク形に屈曲した形状を有しており、図示しない把持部が備えられた先端側に向かうほど、後方側(運転席側)かつ下側に延びている。調節レバー12aの前端部(上端部)に備えられた基部59には、幅方向に貫通した、略矩形状の取付孔60が備えられている。調節レバー12aは、取付孔60を可動側カム14aに備えられた可動側係合部33に非円形嵌合させることで、可動側カム14aに対し相対回転不能に固定されている。このような構成により、調節レバー12aを揺動操作することで、可動側カム14aを固定側カム15aに対して相対回転させることが可能になる。なお、本例の構造では、調節レバー12aを揺動操作した際に、可動側カム14aだけでなく調節ロッド9aも同期して回転するが、可動側カムだけを回転させる(調節ロッドを回転させない)構成を採用することもできる。
スラストニードル軸受30は、1対の軌道輪と、複数本のニードルとを備えている。スラストニードル軸受30には、カム装置11aをアンロック状態に切り替えた際に、内部隙間が存在するように各部の寸法を設定している。このため、スラストニードル軸受30は、カム装置11aをアンロック状態からロック状態に切り替える段階(可動側案内斜面40と径方向変化部53a、53bとが摺接する段階)で、内部隙間が徐々に減少するとともに、各ニードルが転動し始め、ロック状態になるまで各ニードルの転動が継続する。したがって、スラストニードル軸受30を設けることで、カム装置11aをアンロック状態からロック状態に切り替える際に生じる摩擦力を低減することができ、調節レバー12aの揺動操作を滑らかにすることができる。
本例のステアリング装置において、ステアリングホイールの上下位置及び前後位置を調節するには、調節レバー12aを下方(図1の時計回り)に揺動させて、可動側カム14aを円周方向他方向きに回転させる。そして、可動側凸部35a、35bと固定側凸部46a、46bとを円周方向に関して交互に配置することで、カム装置11aの軸方向寸法を縮小し、カム装置11aをアンロック状態にする。これにより、1対の支持板部6aにより1対の被挟持板部3aを幅方向両側から挟持する力を小さくする(解除する)。この結果、調節ロッド9aが車体側通孔8aの内側で変位できる範囲で、ステアリングホイールの上下位置の調節が可能になるとともに、調節ロッド9aがコラム側通孔7aの内側で変位できる範囲で、ステアリングホイールの前後位置の調節が可能になる。
これに対し、ステアリングホイールを調節後の位置に保持するには、ステアリングホイールを所望の位置に移動させた後、調節レバー12aを上方(図1の反時計回り)に揺動させて、可動側カム14aを円周方向一方向きに回転させる。そして、可動側凸部35a、35bの先端面36a、36bと固定側凸部46a、46aの先端面49a、49b(最頂部54a、54b)とを互いに突き合わせることで、カム装置11aの軸方向寸法を拡大し、カム装置11aをロック状態にする。これにより、1対の支持板部6aにより1対の被挟持板部3aを幅方向両側から挟持する力を大きくする。この結果、1対の支持板部6aと1対の被挟持板部3aとの間の当接圧が上昇するとともに、アウタコラム21の前端部内周面とインナコラム20の後端部外周面との当接圧が上昇して、ステアリングホイールを調節後の位置に保持することが可能になる。
特に本例のステアリング装置によれば、カム装置11aを継続して使用した場合にも、可動側カム面16a及び固定側カム面17aに生じる摩耗量が増大することを抑制できる。
すなわち、本例では、図5に示すように、固定側凸部46a、46bのそれぞれを、固定側カム15aの中心軸を含む仮想平面に関して、台形状の断面形状を有するものとしている。このため、可動側凸部35a、35bと摺接する部分である、固定側凸部46a、46bの帯状頂面50a、50bに摩耗が生じると、内径側斜面51a、51bの径方向外側部分及び外径側斜面52a、52bの径方向内側部分が、可動側凸部35a、35bとの摺接により削られていくことに基づき、帯状頂面50a、50bの径方向幅寸法が拡大する。このため、可動側凸部35a、35bと帯状頂面50a、50bとの接触面積が増大し、可動側凸部35a、35bと帯状頂面50a、50bとの間の接触面圧が低下する。したがって、可動側カム面16a及び固定側カム面17aに生じる摩耗量が増大しにくくなる。つまり、摩耗の進行スピードを鈍化させることができる。
また、可動側カム面16aと固定側カム面17aとの間に充填したグリースの一部は、固定側凸部46a、46bの内径側斜面51a、51bと可動側カム面16aとの間部分に保持されるとともに、固定側凸部46a、46bの外径側斜面52a、52bと可動側カム面16aとの間部分に保持される。外径側斜面52a、52bと可動側カム面16aとの間部分に保持されたグリースは、カム装置11aをロック状態に切り替える際に、可動側凸部35a、35bの円周方向一方側の側面(可動側案内斜面40)によって掻き出され、可動側凸部35a、35bと径方向変化部53a、53bとの摺接部に供給される。これに対し、内径側斜面51a、51bと可動側カム面16aとの間部分に保持されたグリースは、カム装置11aをアンロック状態に切り替える際に、可動側凸部35a、35bの円周方向他方側面によって掻き出され、可動側凸部35a、35bと径方向変化部53a、53bとの摺接部に供給される。このように本例では、可動側凸部35a、35bによって掻き出されるグリースが、グリースの進行方向前方に存在する、固定側凸部46a、46bのうちで径方向変化部53a、53bが備えられた部分に堰き止められるため、外部に排出されにくくなるだけでなく、可動側凸部35a、35bと径方向変化部53a、53bとの摺接部に効率良く供給することができる。
さらに、固定側凸部46a、46bのそれぞれの内径側斜面51a、51bに、内径側壁部55a、55bを設けるとともに、固定側基準面45a、45bの径方向外側に第1外径側壁部48a、48bを設け、かつ、固定側凸部46a、46bのそれぞれの外径側斜面52a、52bに、第2外径側壁部56a、56bを設けているため、可動側カム面16aと固定側カム面17aとの間に充填したグリースが外部に排出されることを有効に防止できる。したがって、本例では、可動側凸部35a、35bと固定側凸部46a、46bとの摺接部に、長期間にわたりグリースを十分に供給することができるため、この面からも、可動側カム面16a及び固定側カム面17aの摩耗量を抑制することができる。
また、帯状頂面50a、50bに対する内径側斜面51a、51bの傾斜角度θ1と、帯状頂面50a、50bに対する外径側斜面52a、52bの傾斜角度θ2とを、互いに同じとしているため、帯状頂面50a、50bの摩耗が進行した場合にも、帯状頂面50a、50bの径方向中央部の位置を、摩耗の前後で変化させずに済む。このため、帯状頂面50a、50bの摩耗が進行した場合にも、可動側凸部35a、35bとの径方向に関する接触位置が変化することを防止できる。
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、図12を用いて説明する。
本例では、固定側凸部46cを構成する内径側斜面51c及び外径側斜面52cの傾斜角度を、実施の形態の第1例の構造から変更している。
具体的には、帯状頂面50a(50b)に対する内径側斜面51cの傾斜角度θ3を、円周方向一方側(図12の奥側)に向かうほど大きくなるように変化させるとともに、帯状頂面50a(50b)に対する外径側斜面52cの傾斜角度θ4を、円周方向一方側に向かうほど小さくなるように変化させている。
以上のような本例の場合にも、帯状頂面50a(50b)に摩耗が進行すると、帯状頂面50a(50b)の径方向幅を拡大させることができるため、可動側カム面16a及び固定側カム面17aに生じる摩耗量を増大しにくくすることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同様である。
上述した実施の形態の各例の構造は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。
実施の形態の各例では、固定側凸部を、固定側カムの中心軸を含む仮想平面に関して台形状の断面形状を有し、帯状頂面と内径側傾斜面と外径側傾斜面とを備えたものとした場合について説明したが、本発明を実施する場合には、可動側凸部を、可動側カムの中心軸を含む仮想平面に関して台形状の断面形状を有し、帯状頂面と内径側傾斜面と外径側傾斜面とを備えたものとすることもできる。
実施の形態では、ステアリングホイールの位置調節装置として、チルト機構とテレスコピック機構との両方を備えた構造について説明したが、本発明を実施する場合には、チルト機構のみ、又は、テレスコピック機構のみを備えた構造を対象にすることができる。
1、1a ステアリングシャフト
2、2a ステアリングコラム
3、3a 被挟持板部
4、4a コラム側ブラケット
5、5a 車体側ブラケット
6、6a 支持板部
7、7a コラム側通孔
8、8a 車体側通孔
9、9a 調節ロッド
10、10a アンカ部
11、11a カム装置
12、12a 調節レバー
13、13a ナット
14、14a 可動側カム
15、15a 固定側カム
16、16a 可動側カム面
17、17a 固定側カム面
18 インナシャフト
19 アウタシャフト
20 インナコラム
21 アウタコラム
22 ギヤハウジング
23 チルト軸
24 電動モータ
25 スペーサ
26 スリット
27 天板部
28 係止カプセル
29 雄ねじ部
30 スラストニードル軸受
31 中心孔
32 可動側カム本体
33 可動側係合部
34a、34b 可動側基準面
35a、35b 可動側凸部
36a、36b 先端面
37 切り欠き
38 張出部
39 連結部
40 可動側案内斜面
41 可動側ストッパ部
42 中心孔
43 固定側カム本体
44 固定側係合部
45a、45b 固定側基準面
46a、46b、46c 固定側凸部
47a、47b 退避面
48a、48b 第1外径側壁部
49a、49b 先端面
50a、50b 帯状頂面
51a、51b、51c 内径側斜面
52a、52b、52c 外径側斜面
53a、53b 径方向変化部
54a、54b 最頂部
55a、55b 内径側壁部
56a、56b 第2外径側壁部
57 固定側ストッパ部
58 連結部
59 基部
60 取付孔

Claims (6)

  1. 回転可能に支持される可動側カムと、回転不能に支持される固定側カムと、を備え、
    前記可動側カムは、軸方向一方側の側面に、可動側基準面と該可動側基準面よりも軸方向一方側に突出した可動側凸部とを円周方向に交互に配置してなる、可動側カム面を有しており、
    前記固定側カムは、軸方向他方側の側面に、前記可動側凸部と同数の固定側基準面と、該固定側基準面よりも軸方向他方側に突出した前記可動側基準面と同数の固定側凸部とを円周方向に交互に配置してなる、固定側カム面を有しており、
    前記可動側カムを前記固定側カムに対して相対回転させることにより、前記可動側凸部の先端面と前記固定側凸部の先端面とを突き合わせて軸方向寸法を拡大したロック状態と、前記可動側凸部と前記固定側凸部とを円周方向に交互に配置して軸方向寸法を縮小したアンロック状態とを、切り替え可能とした、カム装置であって、
    前記可動側凸部と前記固定側凸部とのうちのいずれか一方の凸部は、前記可動側カムと前記固定側カムとのうち前記一方の凸部を備えた一方のカムの中心軸を含む仮想平面に関して台形状の断面形状を有しており、円周方向に伸長した帯状頂面と、前記帯状頂面の径方向内側に配置され、径方向内側に向かうほど軸方向高さが低くなる方向に傾斜した内径側斜面と、前記帯状頂面の径方向外側に配置され、径方向外側に向かうほど軸方向高さが低くなる方向に傾斜した外径側斜面とを備えており、
    前記可動側凸部と前記固定側凸部とのうちのいずれか他方の凸部の前記一方の凸部に対する、前記ロック状態に切り替える際の相対的な回転方向を円周方向一方向きとした場合に、前記帯状頂面は、円周方向一方側部分が前記一方の凸部の先端面を構成するものであり、円周方向一方側に向かうほど径方向内側から径方向外側へと径方向位置が変化した径方向変化部を有する、
    カム装置。
  2. 前記仮想平面に関する断面形状において、前記帯状頂面に対する前記内径側斜面の傾斜角度と、前記帯状頂面に対する前記外径側斜面の傾斜角度とが、互いに同じである、請求項1に記載したカム装置。
  3. 前記帯状頂面は、円周方向にわたり一定の径方向幅を有する、請求項1~2のうちのいずれか1項に記載したカム装置。
  4. 前記可動側基準面と前記固定側基準面とのうち、前記一方のカムに備えられた一方の基準面の径方向外側には、軸方向に突出した第1壁部が備えられており、前記第1壁部の軸方向高さは、前記一方の基準面の軸方向高さよりも低い、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載したカム装置。
  5. 前記外径側斜面のうちで前記一方の凸部の径方向外側の端部に位置する部分、又は/及び、前記内径側斜面のうちで前記一方の凸部の径方向内側の端部に位置する部分には、軸方向に突出した第2壁部が備えられており、前記第2壁部の軸方向高さは、前記帯状頂面のうちで前記第2壁部と円周方向位置が同じ部分における軸方向高さよりも低い、
    請求項1~4のうちのいずれか1項に記載したカム装置。
  6. 後端部にステアリングホイールを固定したステアリングシャフトを、内側に回転自在に支持するステアリングコラムと、
    前記ステアリングコラムの軸方向一部に備えられたコラム側ブラケットと、
    前記コラム側ブラケットを幅方向に貫通するコラム側通孔と、
    前記コラム側ブラケットを幅方向両側から挟むように配置された1対の支持板部を有し、車体に支持される車体側ブラケットと、
    前記1対の支持板部を幅方向に貫通する1対の車体側通孔と、
    前記コラム側通孔及び前記1対の車体側通孔を幅方向に挿通した調節ロッドと、
    前記調節ロッドに外嵌支持された可動側カム、及び、前記1対の支持板部のうちの片方の支持板部に対し回転不能に支持された固定側カムを有し、該固定側カムに対して前記可動側カムを相対回転させることにより、軸方向寸法を拡縮させるカム装置と、
    前記可動側カムに固定され、該可動側カムを回転させる調節レバーと、を備え、
    前記カム装置が、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載したカム装置である、ステアリング装置。
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