JP7301152B2 - 下層膜形成用組成物、レジストパターン形成方法、電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
下層膜を形成するために用いられる組成物として、特許文献1には、「下記一般式(1-1)で示される化合物1種類以上と下記一般式(2-3)で示される化合物及びその等価体のうちの1種類以上とを縮合することにより得られる縮合体と、下記一般式(2-1)、(2-2)で示される化合物、及びそれらの等価体のうちの1種類以上とを縮合させることにより得られるポリマーを含有することを特徴とするレジスト下層膜材料。」が開示されている。
また、基板上に下層膜を形成し、更にレジスト膜を形成した後、続く工程でのハンドリングの都合上、基板の端部(エッジ)等に形成された部分のレジスト膜は、溶剤を用いて除去される場合が多い。この際、下層膜の耐溶剤性が不十分であると、下層膜が溶剤によって浸食され、基板の端部付近においてレジスト膜を十分に支持できなくなる場合がある。そのため、下層膜形成用組成物には、耐溶剤性に優れる下層膜を形成できることも求められている。
また、上記下層膜形成用組成物に関する、レジストパターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法を提供することも課題とする。
レジスト膜の下層に形成される下層膜を形成するために用いられる下層膜形成用組成物であって、
上記下層膜形成用組成物は、芳香環を含有するモノマー又はポリマーと、炭素原子を1以上含むハロゲン系有機溶剤と、を含み、
上記ハロゲン系有機溶剤の含有量が、上記下層膜形成用組成物の全質量に対して、0.001~50質量ppmである、下層膜形成用組成物。
〔2〕
上記ハロゲン系有機溶剤の含有量が、上記下層膜形成用組成物の全質量に対して、0.01~10質量ppmである、〔1〕に記載の下層膜形成用組成物。
〔3〕
架橋剤を含む、〔1〕又は〔2〕に記載の下層膜形成用組成物。
〔4〕
酸発生剤を含む、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の下層膜形成用組成物。
〔5〕
上記酸発生剤が、一般式(1)~(3)のいずれかで表される化合物である、〔4〕に記載の下層膜形成用組成物。
一般式(2)中、R21~R23のうちの2つは、互いに結合して環を形成してもよい。
〔6〕
上記ハロゲン系有機溶剤が、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン、o-ジクロロベンゼン、及び、ベンゾトリフルオリドからなる群から選択される1種以上を含む、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の下層膜形成用組成物。
〔7〕
芳香環を含有するポリマーを含み、
上記芳香環を含有するポリマーが、一般式(A01)~(A06)のいずれかで表される繰り返し単位の1種以上を有するノボラック樹脂である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の下層膜形成用組成物。
〔8〕
上記ハロゲン系有機溶剤の含有量が、上記ノボラック樹脂の含有量に対して、0.1~10質量ppmである、〔7〕に記載の下層膜形成用組成物。
〔9〕
〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の下層膜形成用組成物を用いて、基板上に下層膜を形成する工程と、
ケイ素原子含有化合物を含む第2下層膜形成用組成物を用いて、上記下層膜上に第2下層膜を形成する工程と、
レジスト組成物を用いて、上記第2下層膜上にレジスト膜を形成する工程と、
上記レジスト膜を露光する工程と、
上記露光されたレジスト膜を現像液により現像し、レジストパターンを形成する工程と、を有するレジストパターン形成方法。
〔10〕
上記露光が、液浸露光である、〔9〕に記載のレジストパターン形成方法。
〔11〕
上記現像液が、有機溶剤を含む現像液である、〔9〕又は〔10〕に記載のレジストパターン形成方法。
〔12〕
上記現像液が、アルカリ現像液である、〔9〕又は〔10〕に記載のレジストパターン形成方法。
〔13〕
〔9〕~〔12〕のいずれかに記載のレジストパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
また、上記下層膜形成用組成物に関する、レジストパターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法を提供できる。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換又は無置換を記していない表記は、置換基を有していない基と共に置換基を有する基をも含む。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも含む。
置換基は、特に断らない限り、1価の置換基を意図する。
本明細書中における「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザー(ArFエキシマレーザー等)に代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及び、EUV光等による露光のみならず、電子線、及び、イオンビーム等の粒子線による描画も含む。
1Åは1×10-10mである。
・カラムの種類:TSK gel Multipore HXL-M(東ソー(株)製、7.8mmID×30.0cm
・展開溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・カラム温度:40℃・流量:1ml/min
・サンプル注入量:10μl
・装置名:HLC-8120(東ソー(株)製)
本発明の下層膜形成用組成物は、レジスト膜の下層に形成される下層膜を形成するために用いられる下層膜形成用組成物であって、
上記下層膜形成用組成物は、芳香環を含有するモノマー又はポリマーと、炭素原子を1以上含むハロゲン系有機溶剤(単にハロゲン系有機溶剤ともいう)と、を含み、
上記ハロゲン系有機溶剤の含有量が、上記下層膜形成用組成物の全質量に対して、0.001~50質量ppmである、下層膜形成用組成物である。
下層膜形成用組成物が上記のような構成をとることで、本発明の課題が解決できるメカニズムは必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、本発明の下層膜形成用組成物は一定量以上のハロゲン系有機溶剤を含むため、下層膜形成用組成物中で上記芳香環を含有するモノマー又はポリマー等が良好に分散でき、下層膜を形成する際に芳香環を含有するモノマー又はポリマー等の凝集物に由来する凹凸が形成されにくい、と推測している。
その一方で、ハロゲン系有機溶剤の含有量が一定量以下であるため、下層膜中にもハロゲン系有機溶剤が残留しにくく、下層膜が溶剤に接した際に、下層膜中のハロゲン系有機溶剤の存在を端緒とした下層膜の溶解が生じにくく、下層膜の耐溶剤性が優れる、と推測している。
以下、本発明の下層膜形成用組成物から形成される下層膜の耐溶剤性、及び/又は、表面平坦性が優れることを、本発明の効果が優れるともいう。
本発明の下層膜形成用組成物は、芳香環を含有するモノマー又はポリマーを含む。
芳香環を含有するモノマー又はポリマー(芳香環を含有するモノマー又は芳香環を含有するポリマー)を総称して芳香環含有化合物ともいう。
芳香環含有化合物における芳香環は、単環でも多環でもよい、上記芳香環は、芳香族炭化水素環でもよく、芳香族複素環でもよい。上記芳香環の環員原子の数は、5~25が好ましく、6~20がより好ましい。
芳香環を含有するポリマーにおける芳香環を含有する1つの繰り返し単位、又は、芳香環を含有するモノマーが有する芳香環の数は1以上であり、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。
通常、芳香環を含有するポリマーは、芳香環を含有するモノマーに由来する繰り返し単位を有する重合体(樹脂)である。
つまり、芳香環を含有するモノマーとしては、芳香環を含有するポリマーが有する(一部または全部の)繰り返し単位の由来となるモノマーであって、芳香環を含有する化合物も使用できる。
下層膜形成用組成物は、芳香環を含有するモノマーのみを含んでもよく、芳香環を含有するポリマーのみを含んでもよく、芳香環を含有するモノマー及び芳香環を含有するポリマーの両方を含んでもよい。
芳香環を含有するポリマーは、芳香環を有していれば特に制限はなく、例えば、ノボラック樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、セルロース樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、アセナフチレン系樹脂、及び、イソシアヌル酸系樹脂等が挙げられる。
また、芳香環を含有するポリマーは、可能な場合、上述の樹脂における繰り返し単位の複数種類を有する共重合体(スチレン-(メタ)アクリル系共重合樹脂、スチレン-アセナフチレン系共重合樹脂等)であってもよい。
また、上記ノボラック樹脂としては、特許第5215825号の段落[0015]~[0058]、及び、特許第5257009号の段落[0023]~[0041]に記載の樹脂化合物を使用できる。
上記アセナフチレン系樹脂としては、例えば、特許第4666166の段落[0032]~[0052]に記載の樹脂化合物、特許第04388429の段落[0037]~[0043]に記載の樹脂化合物、特許第5040839号の段落[0026]~[0065]に記載の重合体、及び、特許第4892670号の段落[0015]~[0032]に記載の樹脂化合物を使用できる。
また、芳香環を含有するモノマーは、後述する樹脂(A)に含有されえるラクトン構造を含有することも好ましい。また、芳香環を含有するポリマーはラクトン構造を含有する繰り返し単位を含有することも好ましい。
芳香環を含有するポリマーは、ノボラック樹脂であることが好ましい。
ノボラック樹脂は、水酸基(芳香族性水酸基)を有する。
ノボラック樹脂が有する水酸基の数に制限はなく、例えば、ノボラック樹脂の全繰り返し単位の、半分以上(好ましくは75~100モル%、より好ましくは80~100モル%)の繰り返し単位が、水酸基(好ましくは芳香族性水酸基)を1~8個(好ましくは1~2個)有することが好ましい。
Ar中の芳香環は単環でも多環でもよい、上記芳香環は、芳香族炭化水素環でもよく、芳香族複素環でもよい。上記芳香環の環員原子の数は、5~25が好ましく、6~20がより好ましい。
Arが芳香環を複数有する場合、複数の芳香環はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
Arが芳香環を複数有する場合、複数の芳香環は、それぞれ、単結合及び/又は1個の原子(好ましくは炭素原子)を介した結合で結合していることが好ましい。
Arとしては、例えば、ベンゼン環基、ナフタレン環基、ピレン環基、9,9-ジフェニルフルオレン環基、及び、6,6′-(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(ナフタレン)環基が挙げられる。
Arは、「-(OH)p」以外の置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
上記置換基としては、アルキル基、アルケニル基、脂環基、又は、アリール基が好ましい。
上記アルキル基及び上記アルケニル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基の炭素数は1~10が好ましい。上記アルケニル基の炭素数は2~10が好ましい。
上記脂環基は、単環でも多環でもよい。上記脂環基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましい。多環の脂環基としては、例えば、後述の炭素数5~20の有橋脂環式炭化水素基の好ましい骨格を有する基が挙げられ、中でも、ノルボルニル基が好ましい。
上記アリール基は、単環でも多環でもよい。上記アリール基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましい。
上記アルキル基、アルケニル基、脂環基、及び、アリール基は、一般式(A00)中、RA0に関して説明したアルキル基、アルケニル基、脂環基、及び、アリール基とそれぞれ同様である。
ノボラック樹脂は、一般式(A01)~(A06)で表される繰り返し単位を、1種単独で有してもよく、2種以上を有してもよい。
芳香環を含有するポリマーは、付加重合性不飽和結合を1個以上有する化合物を重合(共重合)してなるポリマーであってもよい。上記化合物としては、例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類、及び、アセナフチレン類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個以上有する化合物が挙げられる。
上記アルキル基(RAOにおけるアルキル基も含む)、アルコキシ基、アシロキシ基、及び、アルコキシカルボニル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
上記アルキル基(RAOにおけるアルキル基も含む)、アルコキシ基、アシロキシ基、及び、アルコキシカルボニル基が有し得る置換基としては、例えば、フッ素原子が挙げられる。
その他、付加重合性不飽和結合を1個以上有する化合物としては、架橋反応基であるヒドロキシル基を少なくとも繰り返し単位当たり1つ以上含有するポリマーと共重合可能である付加重合性不飽和化合物を使用することも好ましい。
芳香環を含有するポリマーは、逐次重合、ラジカル重合、アニオン重合、及び/又は、カチオン重合等の方法により合成できる。重合の形態は、例えば、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、及び、塊状重合等の種々の方法が挙げられる。
上記共重合ポリマー(ヒドロキシスチレン構造を有する共重合ポリマー)における、共重合部分としては、例えば、下記一般式(B1)で表される繰り返し単位、及び、下記一般式(B2)で表される繰り返し単位が挙げられる。
L1は、単結合、-COO-、-CON(R3)-、又は、アリーレン基を表し、R3は水素原子、又は、炭素数1~3のアルキル基を表し、単結合、-COO-、又は、フェニレン基が好ましい。
L2は、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数6~18のアリーレン基、-COO-、又は、-O-を表し、単結合、炭素数1~4のアルキレン基、又は、フェニレン基が好ましい。
Rbは、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~30のシクロアルキル基、炭素数5~25の有橋脂環式炭化水素基、又は、炭素数6~18のアリール基を表し、炭素数1~8のアルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基、及び、t-ブチル基等)、炭素数5~8のシクロアルキル基(シクロヘキシル基、及び、シクロオクチル基等)、炭素数5~20の有橋脂環式炭化水素基、又は、炭素数6~12のアリール基(フェニル基、及び、ナフチル基等)が好ましい。
これらの基が有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(Cl、及び、Br等)、シアノ基、炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアシル基、及び、炭素数6~12のアリール基が挙げられる。
上記炭素数5~20の有橋脂環式炭化水素基の好ましい骨格を以下に挙げる。
芳香環を含有するポリマーが、上記共重合ポリマーの場合、ヒドロキシスチレンに由来する繰り返し単位の合計含有量は、上記共重合ポリマーの全繰り返し単位に対して、20~99.9質量%が好ましく、40~95質量%がより好ましい。
なお、下記例示においてアルキル基は、環状構造を有していてもよい、
アクリル酸エステル類としては、例えば、アルキル(アルキル基の炭素数は1~10が好ましい)アクリレート(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸-t-オクチル、クロルエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、及び、テトラヒドロフルフリルアクリレート等);
なお、本明細書において下層膜形成用組成物の固形分とは、下層膜を構成する成分であり、後述の溶剤成分(ハロゲン系有機溶剤及び非ハロゲン系溶剤)以外の全成分を意図し、液状であっても固形分とみなす。なお、固形分は、下層膜を構成している時点で、下層膜形成用組成物に含まれていた状態から化学変化していてもよい。
芳香環含有化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
本発明の下層膜形成用組成物は、ハロゲン系有機溶剤(炭素原子を1以上含むハロゲン系有機溶剤)を含む。
ハロゲン系有機溶剤は、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)を含む常温(25℃)で液状の化合物である。
また、ハロゲン系有機溶剤は、炭素原子を少なくとも1個(好ましくは1~15個)有する。
ハロゲン系有機溶剤としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、o-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、p-ジクロロベンゼン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、及び、パークロロエチレン等の塩素系有機溶剤;臭化エタン等の臭素系有機溶剤;モノフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、ベンゾトリフルオリド、及び、ジクロロペンタフルオロプロパン等のフッ素系有機溶剤;ブロモクロロメタン、及び、1,2-ジブロモ-1,1-ジフルオロエタン等の2種以上のハロゲン原子を含む溶剤が挙げられる。
中でも、ハロゲン系有機溶剤は、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン、o-ジクロロベンゼン、及び、ベンゾトリフルオリドからなる群から選択される1種以上を含むことが好ましい。
ハロゲン系有機溶剤(好ましくは塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン、o-ジクロロベンゼン、及び/又は、ベンゾトリフルオリド)の含有量は、下層膜形成用組成物の全質量に対して、0.001~50質量ppmであり、0.01~10質量ppmが好ましく、0.02~1質量ppmがより好ましい。
また、ハロゲン系有機溶剤(好ましくは塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン、o-ジクロロベンゼン、及び/又は、ベンゾトリフルオリド)の含有量は、芳香環含有化合物(好ましくは芳香環を含有するポリマー、より好ましくはノボラック樹脂、更に好ましくは上述の一般式(A01)~(A06)のいずれかで表される繰り返し単位の1種以上を有するノボラック樹脂)の合計含有量に対して、0.01~300質量ppmが好ましく、0.05~100質量ppmがより好ましく、0.1~10質量ppmが更に好ましい。つまり、芳香環含有化合物の含有量に対する、ハロゲン系有機溶剤の含有量の質量比(ハロゲン系有機溶剤の含有量/芳香環含有化合物の含有量)は、0.01×10-6~300×10-6が好ましく、0.05×10-6~100×10-6がより好ましく、0.1×10-6~10×10-6が更に好ましい。
ハロゲン系有機溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
すなわち、まず、加熱吸着装置(MARKES社製、M-CTE250)を用いて、加熱温度200℃で試料(下層膜形成用組成物)中の溶剤成分を、加熱、及び、気化させて試料管に吸着させる。次に、加熱脱着装置(ジーエルサイエンス社製、HandyTD TD265)を用いて、試料管に吸着させた溶剤成分を、加熱温度200℃で脱着させ、脱着させた溶剤成分を、ガスクロマトグラフ質量分析計(日本電子社製、JMS-Q1500GC)で定量分析を行うことで、測定できる。
また、下層膜形成用組成物の配合が既知の場合は、配合量から計算して、下層膜形成用組成物中のハロゲン系有機溶剤の種類及び含有量を判断してもよい。
本発明の下層膜形成用組成物は、架橋剤を含んでもよい。
下層膜形成用組成物が架橋剤を含む場合、下層膜をより低温で硬化させやすい。
架橋剤は、芳香環含有化合物と反応して架橋構造を形成し得る架橋性基を有する化合物である。中でも、架橋剤は、芳香環含有化合物が有し得る水酸基(好ましくは芳香族性水酸基)と反応して架橋構造を形成し得る架橋性基を有していることが好ましい。
架橋剤は、架橋性基を2個以上(好ましくは2~10)有する化合物であることが好ましい。
架橋性基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基(メトキシメチル基等)、アシルオキシメチル基、アルコキシメチルエーテル基、オキシラン環基、及び、オキセタン環基が挙げられる。
芳香環含有化合物と架橋剤とは異なる化合物であることが好ましい。例えば、芳香環含有化合物は、架橋性基を有していないことが好ましく、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基(メトキシメチル基等)、アシルオキシメチル基、アルコキシメチルエーテル基、オキシラン環基、及び、オキセタン環基を有していないことが好ましく、アルコキシメチル基(メトキシメチル基等)を有していないことがより好ましい。
架橋剤としては、例えば、架橋性基を有する多核フェノール類(4-(2-{4-[1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシメチルフェニル)エチル]フェニル}プロパン-2-イル)-2,6-ジメトキシメチルフェノール等)が挙げられる。ほかにも、架橋剤としては、例えば、ジイソシアナート類、エポキシ化合物、メラミン系硬化剤(N,N,N’,N’,N’’,N’’-ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン等)、ベンゾグアナミン系硬化剤、及び、グリコールウリル系硬化剤(1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル等)が挙げられる。
下層膜形成用組成物における架橋剤の含有量は、下層膜形成用組成物の全固形分に対して、1~50質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましく、7~15質量%が更に好ましい。
架橋剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
本発明の下層膜形成用組成物は、酸発生剤を含んでもよい。
酸発生剤は、光を照射されて酸を発生する光酸発生剤でもよく、加熱によって熱酸発生剤でもよく、光酸発生剤と熱酸発生剤との両方の性質を有していてもよい。
中でも、酸発生剤は光酸発生剤が好ましい。
酸発生剤から酸が発生すると、芳香環含有化合物(及び架橋剤)の架橋が促進され得る。
また、酸発生剤を含有させることにより、下層膜における架橋反応阻害(基板(特に、低誘電体膜)から発生する物質(例えば、OH-、CH3-、NH2-等の塩基)の下層膜への拡散により、下層膜中の酸を失活させ、架橋反応を阻害する問題)を解消することが可能となる。つまり、形成される下層膜中の発生酸が阻害物質と反応することにより、阻害物質の下層膜への拡散を防ぐことも可能となる。
なお、芳香環含有化合物と酸発生剤とは異なる化合物であることが好ましい。例えば、芳香環含有化合物は、光の照射及び/又は加熱をされても酸を発生しない化合物であることが好ましく、芳香環含有化合物は、カチオン(特に有機カチオン)とアニオン(特に有機アニオン)とからなる構造ではないことも好ましい。
上記カチオンは、脂環構造、脂肪族複素環構造、及び、鎖状置換基を有する芳香環構造のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。
中でも、R11~R14のうち3~4個が上記アルキル基及び/又は上記アリール基であることが好ましく、R21~R23のうち3個が上記アルキル基及び/又は上記アリール基であることが好ましく、R31~R32のうち2個が上記アルキル基及び/又は上記アリール基であることが好ましい。
上記アルキル基は、炭素数1~10が好ましい。上記アルキル基は、それぞれ独立に、1級アルキル基、2級アルキル基、及び、3級アルキル基のいずれでもよく、1級アルキル基、又は、2級アルキル基が好ましい。上記アルキル基は、それぞれ独立に、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
上記アルキル基としては、例えば、置換基を有してもよい、メチル基、エチル基、n-プロピル基(n-プロピル基、及び、イソプロピル基)、及び、ブチル基(n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、及び、tert-ブチル基)が挙げられる。
上記アルキル基は1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
上記アリール基は、炭素数6~15のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。
上記アルキル基及び上記アリール基が有してもよい置換基に制限はなく、例えば、有機基が挙げられる。上記有機基としては、例えば、脂環式炭化水素基(シクロヘキシル基のようなシクロアルキル基等)が挙げられる。
また、上記アリール基が有してもよい置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1~10。直鎖状でも分岐鎖状でもよい)も好ましい。
上記アルキル基及び上記アリール基は、無置換であってもよい。
上記アルキル基及び上記アリール基は、それぞれ、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
一般式(2)中、R21~R23のうちの2つは、互いに結合して環を形成してもよい。
R21~R23のうちの2つが互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は、窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、R21~R23のうちの2つが互いに結合して環を形成し、R21~R23のうちの2つが共同して、両末端がS+に結合するアルキレン基(好ましくは炭素数3~7)を形成することが好ましい。R21~R23のうちの2つが互いに結合して環を形成する場合、R21~R23のうちの残りの1つが上記アリール基であることも好ましい。
lは0~2の整数を表す。
rは0~8の整数を表す。
R13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又は、シクロアルキル基を有する基(シクロアルキル基そのものであってもよく、シクロアルキル基を一部に含む基であってもよい)を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
R14は、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又は、シクロアルキル基を有する基(シクロアルキル基そのものであってもよく、シクロアルキル基を一部に含む基であってもよい)を表す。これらの基は置換基を有してもよい。R14は、複数存在する場合はそれぞれ独立して、水酸基等の上記基を表す。
R15は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、又は、ナフチル基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成してもよい。2つのR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、又は、窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、2つのR15が互いに結合して環を形成し、2つのR15が共同して両末端がS+に結合するアルキレン基(好ましくは炭素数3~7)を形成することが好ましい。
R3の有機基(好ましくは炭素数1~20の有機基)としては、例えば、1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素-炭素間にヘテロ原子含有基を含む基、及び、これらの基の水素原子の一部又は全部を置換基で置換した基等が挙げられる。
上記1価の炭化水素基としては、例えば、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、及び、これらの組み合わせが挙げられる。
上記鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及び、ブチル基等のアルキル基;エテニル基、プロペニル基、及び、ブテニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、及び、ブチニル基等のアルキニル基等が挙げられる。
上記脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、及び、アダマンチル基等のシクロアルキル基;シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、及び、ノルボルネニル基等のシクロアルケニル基等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、及び、アントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、及び、ナフチルメチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
上記ヘテロ原子含有基としては、例えば、構造中に2価以上のヘテロ原子を有する基をいう。上記ヘテロ原子含有基はヘテロ原子を1個有していてもよく、2個以上有していてもよい。
上記ヘテロ原子含有基が有する2価以上のへテロ原子としては、2価以上の原子価を有するヘテロ原子であれば特に限定されず、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、及び、ホウ素原子等が挙げられる。
中でも、上記フッ素原子を1つ以上有する有機基が有するフッ素原子の数は、1~20が好ましく、2~12がより好ましい。
中でもRfは、フルオロアルキル基(直鎖状又は分岐鎖状のフルオロアルキル基)が好ましく、パーフルオロアルキル基がより好ましい。Rfの炭素数は1~20が好ましく、1~5がより好ましい。
一般式(2)中、R21~R23のうちの2つは、互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(1)~(3)におけるカチオンは、それぞれ、一般式(C1)~(C3)で表されるカチオンに相当する。
一般式(1)~(3)におけるアニオンは、一般式(A1)で表されるアニオンに相当する。
また、下層膜形成用組成物における酸発生剤のカチオンとしては、後述するレジスト組成物が含み得る光酸発生剤におけるカチオンも同様に使用できる。
また、下層膜形成用組成物における酸発生剤のアニオンとしては、後述するレジスト組成物が含み得る光酸発生剤におけるアニオンも同様に使用できる。
タンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムn-ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウム10-カンファースルホネート、及び、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルホネートが挙げられる。なお、これらの光酸発生剤が、熱酸発生剤としての特徴を備えていてもよい。
なお、下記酸発生剤において使用されるカチオン及びアニオンの適宜変更した酸発生剤を使用してもよい。
酸発生剤は1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
下層膜形成用組成物は、溶剤を含んでもよい。
なお、ここでいう溶剤とは、上述のハロゲン系有機溶剤とは異なる、非ハロゲン系溶剤である。
溶剤としては、有機溶剤(非ハロゲン系有機溶剤)及び水が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、エステル系溶剤、及び、炭化水素系溶剤等の有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤の含有量は、溶剤(非ハロゲン系溶剤)の全質量に対して、70~100質量%が好ましく、90~100質量%がより好ましく、99~100質量%が更に好ましい。
有機溶剤は、1種単独で使用してもよく2種以上を使用してもよい。
下層膜形成用組成物は、水を含んでもよい。
下層膜形成用組成物が水を含む場合、水の含有量は、下層膜形成用組成物の全質量に対して、0.1~30質量%が好ましく、0.2~20質量%がより好ましく、0.2~15質量%が更に好ましい。
下層膜形成用組成物は、上述した成分以外にも、酸性化合物、塩基性化合物、熱硬化性重合体、放射線吸収剤、保存安定剤、消泡剤、及び/又は、接着助剤等のその他の成分を含んでもよい。
下層膜形成用組成物の調整方法に制限はなく、例えば、芳香環含有化合物、ハロゲン系有機溶剤、及び、任意でその他の成分を混合して得られる。
本発明のレジストパターン形成方法は、下記工程(O)~(S)を有する。
(O)下層膜形成用組成物を用いて、基板上に下層膜を形成する工程(下層膜形成工程)
(P)第2下層膜形成用組成物を用いて、基板上に第2下層膜を形成する工程(第2下層膜形成工程)
(Q)レジスト組成物を用いて、上記第2下層膜上にレジスト膜を形成する工程(レジスト膜形成工程)
(R)上記レジスト膜を露光する工程(露光工程)
(S)上記露光されたレジスト膜を現像液により現像し、レジストパターンを形成する工程(現像工程)
なお、工程(O)において下層膜は、基板上に直接形成されていてもよいし、その他の層を介して形成されていてもよい。工程(P)において第2下層膜は、下層膜上に直接形成されていてもよいし、その他の層を介して形成されていてもよい。工程(Q)においてレジスト膜は、第2下層膜上に直接形成されていてもよいし、その他の層を介して形成されていてもよい。
また、工程(P)は省略されてもよく、この場合、工程(Q)では、下層膜上にレジスト膜が形成される。
工程(O)における基板の材料は特に限定されるものではないが、それぞれ、例えば、シリコン、SiN、SiO2及びSiN等の無機基板、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造工程、更にはその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程で一般的に用いられる基板が挙げられる。
中でも、基板は、シリコン(Si)基板が好ましい。
基板が段差基板である場合、下層膜の膜厚とは、段差基板上の底面から、形成される下層膜の上面までの高さを意味する。
例えば、基板にイオンを注入する形態においては、段差基板として、平面な基板上にフィン及び/又はゲートがパターニングされた基板が使用できる。このようにフィン及び/又はゲートがパターニングされた段差基板上に、下層膜を形成する場合、形成される下層膜の膜厚とは、フィン及びゲートの上面から形成される下層膜の上面までの高さではなく、上記のように段差基板上の底面から形成される下層膜の上面までの高さを意味する。
フィン及びゲートのサイズ(幅、長さ、高さ等)、間隔、構造、及び、構成等は、例えば、電子情報通信学会誌Vol.91,No.1,200825~29頁 “最先端FinFETプロセス・集積化技術”、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.42(2003)pp.4142-4146Part1,No.6B,June 2003 “Fin-Type Double-GateMetal-Oxide-Semiconductor Field-EffectTransistorsFabricated by Orientation-Dependent Etching and ElectronBeamLithography”の記載を参照できる。
上述のした溝部を有する段差基板としては、複数の溝を、例えばピッチ20~200nm(好ましくは50~200nm、より好ましくは70~150nm)で等間隔に繰り返し有する段差基板等が挙げられる。
また、上掲した円筒状凹部を有する段差基板としては、複数の円筒状凹部を、例えばピッチ20~200nm(好ましくは50~150nm、より好ましくは70~120nm)で等間隔に繰り返し有する段差基板等が挙げられる。
その具体的な方法としては、基板の上に、下層膜形成用組成物を、従来公知のスピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、又は、浸漬法等を用いて塗布する方法が挙げられる。
塗膜には、所望に応じて加熱処理及び/又は露光処理を実施してもよく、このような処理によって、芳香環含有化合物(好ましくはノボラック樹脂)を架橋させてもよい。
レジスト膜のパターン解像性を補助する機能の一つとしては、露光波長における下層膜の屈折率と消衰係数を制御してリソグラフィープロセスにおける露光時の基板側からの反射を適切に制御し、露光時に形成される光学像を良好な形状に維持する光学的な機能が挙げられる。また、下層膜は、基板へパターン形状を転写する際に、上層に形成したレジスト膜(レジストパターン)、下層膜、及び、基板のそれぞれの厚みとエッチング速度に対応して適宜選択された条件でエッチングする際のエッチングマスクとして、良好なマスク性能を維持する機能も挙げられる。
第2下層膜形成工程では、第2下層膜形成用組成物を用いて、上述の下層膜上に第2下層膜を形成する。
第2下層膜は、例えば、SOG(Spin on Glass)層である。第2下層膜形成用組成物は、例えば、SOG層形成用組成物である。
第2下層膜形成用組成物は、ケイ素原子含有化合物(好ましくはポリシロキサン)を含む組成物であることが好ましい。また、第2下層膜形成用組成物は、溶剤(好ましくは有機溶剤)を含むことが好ましい。
第2下層膜形成用組成物としては、例えば、特開2013-076973号公報の段落[0093]以降に記載のシリコン含有膜形成用組成物、又は、特開2016-27370号公報に記載のレジスト下層膜形成用ポリシロキサン組成物等を適用できる。
塗膜には、所望に応じて加熱処理を実施してもよく、加熱処理によって、ケイ素原子含有化合物(好ましくはポリシロキサン)を架橋させてもよい。
形成される第2下層膜の膜厚(平均膜厚)の下限は、0.01μm以上が好ましい。一方、上記膜厚(平均膜厚)の上限は、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。
レジスト膜形成工程では、レジスト組成物を用いて、上記第2下層膜上にレジスト膜を形成する。
レジスト組成物については後述する。
レジスト組成物の塗布後、レジスト組成物の塗膜を乾燥し、レジスト膜を形成してもよい。
トップコート組成物は、レジスト膜と混合せず、更にレジスト膜上層に均一に塗布できるのが好ましい。
また、トップコートの形成前にレジスト膜を乾燥させるのが好ましい。次いで、得られたレジスト膜上に、上記レジスト膜の形成方法と同様の手段によりトップコート組成物を塗布し、更に乾燥して、トップコートを形成できる。
トップコートの膜厚は、10~200nmが好ましく、20~100nmがより好ましく、40~80nmが更に好ましい。
トップコートについては、特に限定されず、従来公知のトップコートを、従来公知の方法によって形成でき、例えば、特開2014-059543号公報の段落[0072]~[0082]の記載に基づいてトップコートを形成できる。
例えば、特開2013-61648号公報に記載されたような塩基性化合物を含むトップコートを、レジスト膜上に形成するのが好ましい。トップコートが含み得る塩基性化合物の具体的な例は、レジスト組成物が含んでいてもよい塩基性化合物も挙げられる。
また、トップコートは、エーテル結合、チオエーテル結合、水酸基、チオール基、カルボニル結合、及び、エステル結合からなる群より選択される基又は結合を少なくとも一つ含む化合物を含むのが好ましい。
重合性基の種類は特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基、マレイミド基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基、スチリル基、ビニル基、アクリルアミド基、及び、メタクリルアミド基等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基、又は、マレイミド基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
第2下層膜上に密着補助層形成用組成物を塗布する方法としては特に制限されず、公知の方法を使用でき、例えば、スピンコート法が挙げられる。
露光時間としては、ポリマーの反応性及び光源により異なるが、通常、10秒~5時間の間である。露光エネルギーとしては、10~10000mJ/cm2が好ましく、100~8000mJ/cm2がより好ましい。
また、加熱処理を使用する場合、送風乾燥機、オーブン、赤外線乾燥機、及び/又は、加熱ドラム等を使用できる。
露光処理と加熱処理を組み合わせてもよい。
レジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であっても、ネガ型レジスト組成物であってもよい。
また、レジスト組成物は、典型的には化学増幅型のレジスト組成物である。
以下、本発明のパターン形成方法で好適に使用可能なレジスト組成物の各成分について説明する。
レジスト組成物は、通常、樹脂(単に樹脂(A)ともいう)を含む。
樹脂(A)は、酸分解性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
ここで、酸分解性基は、酸の作用により分解し、極性基を生じる基をいう。
酸分解性基は、極性基を酸の作用により分解し脱離する基(脱離基)で保護された構造を有することが好ましい。
極性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、及び、アルコール性水酸基等が挙げられる。
酸で脱離する基(脱離基)としては、例えば、-C(R36)(R37)(R38)、-C(R36)(R37)(OR39)、及び、-C(R01)(R02)(OR39)等が挙げられる。
式中、R36~R39は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は、アルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01及びR02は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、又は、アルケニル基を表す。
Xa1は、水素原子、アルキル基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx1~Rx3は、それぞれ独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rx1~Rx3の2つが結合して環構造を形成してもよい。
R61、R62及びR63は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又は、アルコキシカルボニル基を表す。但し、R62はAr6と結合して環を形成していてもよく、その場合のR62は単結合又はアルキレン基を表す。
X6は、単結合、-COO-、又は-CONR64-を表す。R64は、水素原子又はアルキル基を表す。
L6は、単結合又はアルキレン基を表す。
Ar6は、(n+1)価の芳香族炭化水素基を表し、R62と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香族炭化水素基を表す。
Y2は、n≧2の場合にはそれぞれ独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Y2の少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。Y2としての酸の作用により脱離する基は、上記脱離基として挙げた基が好ましい。
nは、1~4の整数を表す。
中でも、ラクトン構造としては一般式(LC1-1)、(LC1-4)、(LC1-5)、(LC1-6)、(LC1-13)、(LC1-14)、又は、(LC1-17)が好ましく、一般式(LC1-4)で表されるラクトン構造がより好ましい。このような特定のラクトン構造を使用することでLER、現像欠陥が良好になる。
RA 2は、nが2以上の場合はそれぞれ独立して、置換基を表す。
Aは、単結合、又は2価の連結基を表す。
Zは、式中の-O-C(=O)-O-で表される基と共に単環又は多環構造を形成する原子団を表す。nは0以上の整数を表す。
樹脂(A)において、環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位(好ましくは、一般式(A-1)で表される繰り返し単位)の含有率は、樹脂(A)を構成する全繰り返し単位に対して、3~80モル%が好ましく、3~60モル%がより好ましく、3~45モル%が更に好ましく、3~30モル%が特に好ましく、10~15モル%が最も好ましい。このような含有率とすることによって、レジストとしての現像性、低欠陥性、低LWR(Line Width Roughness)、低PEB(Post Exposure Bake)温度依存性、プロファイル等を向上させることができる。
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては、ヒドロキシスチレン繰り返し単位、又は、ヒドロキシスチレン(メタ)アクリレート繰り返し単位が挙げられる。フェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては、中でも、下記一般式(I)で表される繰り返し単位が好ましい。
R41、R42及びR43は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、又は、アルコキシカルボニル基を表す。但し、R42はAr4と結合して環を形成していてもよく、その場合のR42は単結合又はアルキレン基を表す。
X4は、単結合、-COO-、又は-CONR64-を表し、R64は、水素原子又はアルキル基を表す。
L4は、単結合又は2価の連結基を表す。
Ar4は、(n+1)価の芳香族炭化水素基を表し、R42と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香族炭化水素基を表す。
nは、1~5の整数を表す。
一般式(I)で表される繰り返し単位を高極性化する目的では、nが2以上の整数、又はX4が-COO-、又は-CONR64-であることも好ましい。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、0~20モル%が好ましく、3~15モル%がより好ましく、5~10モル%が更に好ましい。
Raは水素原子、アルキル基又は-CH2-O-Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、又は、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましい。
R5が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3~12のシクロアルキル基;シクロへキセニル基等炭素数3~12のシクロアルケニル基が挙げられる。単環式炭化水素基は、炭素数3~7の単環式炭化水素基が好ましく、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基がより好ましい。
樹脂(A)の重量平均分子量は、1,000~200,000が好ましく、2,000~40,000がより好ましく、3,000~30,000が更に好ましく、4,000~25,000が特に好ましい。重量平均分子量を、1,000~200,000とすることにより、耐熱性やドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、かつ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。
樹脂(A)の分散度(分子量分布)は、通常1.0~3.0であり、1.0~2.6が好ましく、1.0~2.0がより好ましく、1.1~2.0が更に好ましい。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状が優れ、かつレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
樹脂(A)は、1種で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
レジスト組成物は、光酸発生剤(活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物)を含むことが好ましい。
光酸発生剤としては、特に限定されないが、活性光線又は放射線の照射により有機酸を発生する化合物であることが好ましい。
光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用でき、例えば、特開2010-61043号公報の段落[0039]~[0103]に記載されている化合物、特開2013-4820号公報の段落[0284]~[0389]に記載されている化合物等が挙げられるが、本発明はこれに限定されない。
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o-ニトロベンジルスルホネートが挙げられる。
式(3)中、
Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、又は、少なくとも一つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、複数存在する場合のR4、R5は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Lは、2価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
Wは、環状構造を含む有機基を表す。
oは、1~3の整数を表す。pは、0~10の整数を表す。qは、0~10の整数を表す。
式(3)中、X+は、カチオンを表す。
X+は、カチオンであれば特に制限されないが、好適な態様としては、例えば、後述する一般式(ZI)、(ZII)又は(ZIII)中のカチオン(Z-以外の部分)が挙げられる。
特定光酸発生剤の好適な態様としては、例えば、下記一般式(ZI)、(ZII)又は(ZIII)で表される化合物が挙げられる。
R201、R202及びR203は、それぞれ独立に、有機基を表す。
R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1~30、好ましくは1~20である。
また、R201~R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、及び/又は、カルボニル基を含んでいてもよい。R201~R203の内の2つが結合して形成する基としては、例えば、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)が挙げられる。
Z-は、アニオンを表し、上述の式(3)中のアニオンが好ましい。
一般式(ZII)、(ZIII)中、R204~R207は、それぞれ独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
光酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量は580以上が好ましく、600以上がより好ましく、620以上が更に好ましく、640以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下が更に好ましい。
光酸発生剤が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、前述した樹脂の一部に組み込まれてもよく、樹脂とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
光酸発生剤は、公知の方法で合成することができ、例えば、特開2007-161707号公報に記載の方法に準じて合成することができる。
光酸発生剤は、1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用できる。光酸発生剤の組成物中の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、0.1~30質量%が好ましく、0.5~25質量%がより好ましく、3~20質量%が更に好ましく、3~15質量%が特に好ましい。
光酸発生剤として、上記一般式(ZI-3)又は(ZI-4)により表される化合物を含む場合、組成物中に含まれる光酸発生剤の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、1.5~35質量%が好ましく、5~35質量%がより好ましく、9~30質量%が更に好ましく、9~25質量%が特に好ましい。
レジスト組成物は、酸拡散制御剤を含有することが好ましい。酸拡散制御剤は、露光時に光酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性樹脂の反応を抑制するクエンチャーとして作用する。酸拡散制御剤としては、塩基性化合物、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物、又は、光酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩を使用できる。
レジスト組成物は、上記樹脂(A)とは別に、樹脂(A)とは異なる疎水性樹脂を含んでいてもよい。
疎水性樹脂はレジスト膜の表面に偏在するように設計されるのが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性物質及び非極性物質の均一な混合に寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂の添加による効果として、水に対するレジスト膜表面の静的及び動的な接触角の制御、並びに、アウトガスの抑制等が挙げられる。
レジスト組成物は、溶剤を含むことも好ましい。
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4~10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4~10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及び、ピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
これらの溶剤の具体例は、米国特許出願公開2008/0187860号明細書の[0441]~[0455]に記載の溶剤が挙げられる。
レジスト組成物は、更に界面活性剤を含有してもしなくてもよい。
界面活性剤は、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素原子とケイ素原子との両方を有する界面活性剤)が好ましい。
レジスト組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の使用量は、レジスト組成物の全固形分に対して、0.0001~2質量%が好ましく、0.0005~1質量%がより好ましい。
レジスト組成物は、カルボン酸オニウム塩を含有してもしなくてもよい。このようなカルボン酸オニウム塩は、米国特許出願公開2008/0187860号明細書の段落[0605]~[0606]に記載のものが挙げられる。
これらのカルボン酸オニウム塩は、スルホニウムヒドロキシド、ヨードニウムヒドロキシド、アンモニウムヒドロキシドとカルボン酸を適当な溶剤中酸化銀と反応させることによって合成できる。
レジスト組成物には、必要に応じて更に、酸増殖剤、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解阻止剤及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、カルボキシル基を有する脂環族、又は、脂肪族化合物)等を含有させることができる。
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物としては、例えば、コール酸、デオキシコール酸、リトコール酸等のステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、及び、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられるがこれらに限定されない。
固形分濃度を上記範囲とすることで、レジスト溶液を基板上に均一に塗布することができ、更にはラインウィズスラフネスに優れたレジストパターンを形成することが可能になる。その理由は明らかではないが、恐らく、固形分濃度を20質量%以下とすることで、レジスト溶液中での素材、特には光酸発生剤の凝集が抑制され、その結果として、均一なレジスト膜が形成できたものと考えられる。
レジスト組成物の固形分濃度とは、レジスト組成物の溶剤以外の成分を意味する。
レジスト組成物の固形分濃度とは、組成物の総重量に対する、溶剤を除く他のレジスト成分の重量の重量百分率である。
露光工程では、上述のレジスト膜を露光する。
露光に使用される光は特に制限されないが、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外光、X線、電子線等が挙げられる。光の波長は、250nm以下が好ましく、220nmがより好ましく、1~200nmが更に好ましい。
より具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、EUV(13nm)、及び、電子線等が挙げられ、中でも、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV又は電子線が好ましい。
液浸露光は、位相シフト法、変形照明法等の超解像技術と組み合わせることが可能である。液浸露光は、例えば、特開2013-242397号公報の段落[0594]~[0601]に記載された方法に従って、行うことができる。
加熱処理の温度は、70~130℃が好ましく、80~120℃がより好ましい。
加熱処理の時間は、30~300秒が好ましく、30~180秒がより好ましく、30~90秒が更に好ましい。
加熱処理は通常の露光機及び/又は現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
現像工程では、露光されたレジスト膜を現像液により現像し、レジストパターンを形成する。
具体的には、アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、及び、アンモニア水等の無機アルカリ類;エチルアミン、及び、n-プロピルアミン等の第1アミン類;ジエチルアミン、及び、ジ-n-ブチルアミン等の第2アミン類;トリエチルアミン、及び、メチルジエチルアミン等の第3アミン類;ジメチルエタノールアミン、及び、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、及び、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩;ピロール、及び、ピペリジン等の環状アミン類;等のアルカリ性水溶液を使用できる。これらの中でもテトラエチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液を使用することが好ましい。
更に、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加してもよい。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1~20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常10.0~15.0である。
アルカリ現像液を用いて現像を行う時間は、通常10~300秒である。
アルカリ現像液のアルカリ濃度(及びpH)及び現像時間は、形成するパターンに応じて、適宜調整することができる。
アルカリ現像液を用いた現像の後にリンス液を用いて洗浄してもよく、そのリンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
また、現像処理又は、リンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うこともできる。
更に、リンス処理又は超臨界流体による処理の後、パターン中に残存する水分を除去するために加熱処理を行うこともできる。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。但し、有機系現像液全体としての含水率は10質量%未満が好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
すなわち、有機系現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全量に対して、90~100質量%が好ましく、95~100質量%が好ましい。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を使用できる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば、特開昭62-36663号公報、特開昭61-226746号公報、特開昭61-226745号公報、特開昭62-170950号公報、特開昭63-34540号公報、特開平7-230165号公報、特開平8-62834号公報、特開平9-54432号公報、特開平9-5988号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、及び、同5824451号明細書記載の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、非イオン性の界面活性剤が好ましい。非イオン性の界面活性剤としては特に限定されないが、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を使用することが更に好ましい。
なお、吐出される現像液の吐出圧の好適範囲、及び、現像液の吐出圧を調整する方法等については、特に限定されないが、例えば、特開2013-242397号公報の段落[0631]~[0636]に記載された範囲及び方法を使用できる。
有機溶剤現像工程によって露光強度の弱い部分を除去し、更にアルカリ現像工程を行うことによって露光強度の強い部分も除去し得る。このように現像を複数回行う多重現像プロセスにより、中間的な露光強度の領域のみを溶解させずにパターン形成が行えるので、通常より微細なパターンを形成できる(特開2008-292975号公報の段落[0077]と同様のメカニズム)。
この場合、アルカリ現像工程及び有機溶剤現像工程の順序は特に限定されないが、アルカリ現像を、有機溶剤現像工程の前に行うことがより好ましい。
有機溶剤現像工程の後のリンス工程に使用するリンス液としては、レジストパターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用できる。リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及び、エーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を使用することが好ましい。
有機溶剤現像工程の後のリンス工程に使用するリンス液としては、水を使用してもよい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及び、エーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明したものと同様の溶剤が挙げられる。
炭化水素系溶剤を含有するリンス液としては、炭素数6~30の炭化水素化合物が好ましく、炭素数8~30の炭化水素化合物がより好ましく、炭素数10~30の炭化水素化合物が特に好ましい。中でも、デカン及び/又はウンデカンを含むリンス液を使用することにより、パターン倒れが抑制される。
有機溶剤としてエステル系溶剤を使用する場合には、エステル系溶剤(1種又は2種以上)に加えて、グリコールエーテル系溶剤を用いてもよい。この場合の具体例としては、エステル系溶剤(好ましくは、酢酸ブチル)を主成分として、グリコールエーテル系溶剤(好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME))を副成分として使用することが挙げられる。これにより、残渣欠陥がより抑制される。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。含水率を10質量%以下にすることで、良好な現像特性を得ることができる。
リンス工程においては、現像を行った基板(基板上のレジストパターン)を上記のリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、及び/又は、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、等を適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000~4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程は、通常40~160℃(好ましくは70~95℃)で、通常10秒~3分(好ましくは30秒~90秒)行う。
上記各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルタを用いたろ過が挙げられる。フィルタ孔径としては、ポアサイズ50nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましく、5nm以下が更に好ましい。フィルタの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又は、ナイロン製のフィルタが好ましい。フィルタろ過工程では、複数種類のフィルタを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルタを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルタを組み合わせて使用してもよい。また、各種材料を複数回ろ過してもよく、複数回ろ過する工程が循環ろ過工程であってもよい。
また、上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルタろ過を行う、等の方法が挙げられる。各種材料を構成する原料に対して行うフィルタろ過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
フィルタろ過の他、吸着材による不純物の除去を行ってもよく、フィルタろ過と吸着材を組み合わせて使用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を使用でき、例えば、シリカゲル、ゼオライト等の無機系吸着材、活性炭等の有機系吸着材を使用できる。
上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減するためには、製造工程における金属不純物の混入を防止することが必要である。製造装置から金属不純物が十分に除去されたかどうかは、製造装置の洗浄に使用された洗浄液中に含まれる金属成分の含有量を測定することで確認することができる。使用後の洗浄液に含まれる金属成分の含有量は、100質量ppt(parts per trillion)以下が好ましく、10質量ppt以下がより好ましく、1質量ppt以下が更に好ましい。
本発明のレジストパターン形成方法において使用される有機系処理液(レジスト溶剤、現像液、リンス液等)は、静電気の帯電、引き続き生じる静電気放電に伴う薬液配管や各種パーツ(フィルタ、O-リング、チューブ等)の故障を防止する為、導電性の化合物を添加してもよい。導電性の化合物としては特に制限されないが、例えば、メタノールが挙げられる。添加量は特に制限されないが、良好な現像特性を維持する観点で、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。薬液配管の部材に関しては、SUS(ステンレス鋼)、或いは帯電防止処理の施されたポリエチレン、ポリプロピレン、又は、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、パーフロオロアルコキシ樹脂等)で被膜された各種配管を使用できる。フィルタやO-リングに関しても同様に、帯電防止処理の施されたポリエチレン、ポリプロピレン、又は、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、パーフロオロアルコキシ樹脂等)を使用できる。
本発明のレジストパターン形成方法は、DSA(Directed Self-Assembly)におけるガイドパターン形成(例えば、ACS Nano Vol.4 No.8 Page4815-4823参照)にも使用できる。
また、上記の方法によって形成されたレジストパターンは、例えば特開平3-270227号公報及び特開2013-164509号公報に開示されたスペーサープロセスの芯材(コア)として使用できる。
上述の方法で得られたレジストパターンをマスクとして、下層膜及び/又は第2下層膜を加工(ドライエッチング等のエッチング)して下層パターン及び/又は第2下層パターンを形成する工程を実施してもよい。その後、更に、基板を加工(ドライエッチング等のエッチング)して基板にパターンを形成する工程を実施してもよい。
中でも、下層膜及び/又は第2下層膜の加工は、レジストパターンをマスクとして、下層膜及び/又は第2下層膜に対してエッチング(ドライエッチング等)を行うことにより下層パターン及び/又は第2下層パターンを形成する処理であることが好ましい。
また、下層膜をエッチングする際は、第2下層パターンをマスクとしてもよい。
ドライエッチングは、1段のエッチングであっても、複数段からなるエッチングであってもよい。エッチングが複数段からなるエッチングである場合、各段のエッチングは同一の処理であっても異なる処理であってもよい。
ドライエッチング装置の方式は特に限定されないが、特にICP(Inductive Coupled Plasma、誘導結合)型、二周波CCP(Conductive Coupled Plasma 容量結合)型、及び、ECR(electron cyclotron resonance;電子サイクロトロン共鳴)型等のようなプラズマ密度とバイアス電圧を独立制御可能な方式がより好ましい。
エッチングは、公知の方法をいずれも使用でき、各種条件等は、基板の種類や用途等に応じて、適宜、決定される。例えば、国際光工学会紀要(Proc.ofSPIE)Vol.6924,692420(2008)、特開2009-267112号公報等に準じて、エッチングを実施することができる。また、「半導体プロセス教本 第四版 2007年刊行 発行人:SEMIジャパン」の「第4章 エッチング」に記載の方法に準ずることもできる。
第2下層膜のエッチングに使用するエッチングガスとしては、フッ素系ガスが好ましく、フッ素系ガスに酸素系ガス及び不活性ガスを混合したエッチングガスが好ましい。
下層膜のドライエッチングに使用するエッチングとしては、酸素プラズマエッチングが好ましい。
ここでいう酸素プラズマエッチングとは、酸素原子を含有するガスを使用したプラズマエッチングであることを意味し、具体的にはO2、O3、CO、CO2、NO、NO2、N2O、SO、SO2、及び、COS等からなる群から少なくとも一つが選択される。また、上記酸素含有ガスに加えて、希釈ガスとしてAr、He、Xe、Kr、及び、N2等からなる群から少なくとも一つを加えてもよく、更に、添加ガスとしてCl2、HBr、BCl3、CH4、及び、NH4等からなる群から少なくとも一つを加えてもよい。
エッチング前後のパターン寸法変動を抑える場合、酸素原子及びC、N、S等の少なくとも1種を含む酸素含有ガス(例えば、CO、CO2、NO、NO2、N2O、SO、SO2、及び/又は、COS)の比率を高めることで、プラズマ中で生成された堆積性成分がエッチング加工パターン側壁に付着し、酸素ラジカルよるサイドエッチング効果を抑制し、エッチング前後の線幅細りを低減することが可能となる。上記効果は酸素含有ガス(例えばO2、O3、CO、CO2、NO、NO2、N2O、SO、SO2、及び/又は、COS)に添加ガスとしてCH4やNH4を加えることでも同様に発揮される。
また、Cl2やHBr等のフッ素以外のハロゲン元素を含むガスを使用すると、下層膜のエッチング生成物として高沸点な炭素塩化物や炭素臭化物が形成され、加工パターン側壁への付着性が高まる。この場合においても酸素ラジカルによるサイドエッチングの抑制効果が期待できる。
一方でO2あるいはO3ガスと希釈ガスの混合比率を適切に選択することで、レジスト膜(レジストパターン)及び下層膜のサイドエッチング量を制御し、エッチングと同時に所望寸法量のトリミング処理を施すことも可能である。
基板のエッチングに使用するエッチングガスとしては、酸素系ガスが好ましく、酸素系ガスに不活性ガスを混合したエッチングガスがより好ましい。
この場合、基板上の下層膜、第2下層膜、及び/又はレジスト膜を完全に除去することが、露光及び現像工程等において欠陥の発生を防止する上で重要である。レジスト膜剥離方法においては、酸素ガスを用いた乾式処理(アッシング)により、基板上の有機化合物を大部分除去し、更に必要に応じリンス処理を行うことによりほぼ完全にレジスト膜を剥離することが可能であり、広く行われている。
他にもリワーク工程においては、上述のような乾式処理以外にも、湿式処理を実施してもよい。この場合に適用される処理液(剥離液)としては、例えば、硫酸と過酸化水素水との混合液、希フッ素水溶液、アルカリ水溶液、及び、有機溶剤等が挙げられるが、これに限定されない。
上記の湿式処理は、処理液に界面活性剤を添加することが湿式剥離を有効に行う上でより好ましい。界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、及び、シリコン系界面活性剤等が挙げられる。
湿式剥離工程の前に、レジスト膜が形成された基板に対して、全面露光、及び/又は、加熱等のプロセスを適用することもできる。レジスト膜の極性変換反応を促進させることで、湿式処理液に対する溶解性向上効果が期待できる。
イオン注入の方法としては、公知の方法をいずれも採用できる。
また、本発明は、上記した本発明のレジストパターン形成方法、又は、イオン注入方法を含む、電子デバイスの製造方法にも関する。
本発明の電子デバイスの製造方法で製造される電子デバイスは、電気電子機器(家電、OA(Office Automation)、メディア関連機器、光学用機器、及び、通信機器等)に、好適に搭載できる。
以下に、実施例又は比較例で用いた下層膜形成用組成物が含む成分及び製造の手順を示す。
(合成例1(化合物(A-1)の合成))
コンデンサーを備えた3つ口フラスコに、2,7-ジヒドロキシナフタレン100g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100g、シュウ酸2g、及び、パラホルムアルデヒド50gを加えた。上記フラスコの内容物を、100℃で24時間反応させることにより、下記構造を有する重合体(Mw=1400)を得た。この重合体を化合物(A-1)とする。
コンデンサーを備えた3つ口フラスコに、6,6’-(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ジ(2-ナフトール)50g、パラホルムアルデヒド50g、シュウ酸5g、及び、ジオキサン50gを加えた。上記フラスコの内容物を、100℃で24時間反応させることにより、下記構造を有する重合体(Mw=4000)を得た。この重合体を化合物(A-2)とする。
上記合成例を参照に、化合物(A-3)~(A-5)、(A-7)を合成した。
化合物(A-6)は、公知の方法を用いて合成した。
以下に化合物(A-1)~(A-7)の構造と、重量平均分子量(Mw)を示す。
各繰り返し単に付した比の記載は、各化合物における各繰り返し単位の含有量のモル比を意味する。
架橋剤として、以下に示す化合物を使用した。
酸発生剤として、以下に示す化合物を使用した。
ハロゲン系有機溶剤として、下記化合物を使用した。
・D-1:塩化メチレン
・D-2:クロロホルム
・D-3:トリクロロエチレン
・D-4:O-ジクロロベンゼン
・D-5:ベンゾトリフルオリド
溶剤(非ハロゲン系溶剤)として、下記化合物を使用した。
・SL-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
・SL-2:シクロヘキサノン
・SL-3:プロピレングリコールモノメチルエーテル
後段に示す表に記載の組成で、それぞれの成分を混合した後、0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過して、各実施例又は比較例の下層膜形成用組成物を調整した。なお、ハロゲン系有機溶剤以外の成分については、表中に記載の量(質量部)をそれぞれ混合した。ハロゲン系有機溶剤については、下層膜形成用組成物の全質量に対するハロゲン系有機溶剤の含有量が表中に示される量(質量ppm)になるように添加量を調整して混合した。
各実施例又は比較例の下層膜形成用組成物を、シリコンウエハ基板上に、スピンコート法により塗布した。その後、大気雰囲気下にて、250℃で60秒間加熱し、平均厚み200nmの下層膜を形成した。
得られた下層膜付き基板を25℃のシクロヘキサノンに5分間浸漬し、浸漬前後の下層膜の平均膜厚の変化を比較した。
浸漬前の平均膜厚をX0、浸漬後の平均膜厚をXとして、(X-X0)×100/X0で求められる数値の絶対値を算出し、上記絶対値を膜厚変化率(%)とした。
耐溶剤性は、膜厚変化率が1%未満の場合は「A」(非常に良好)と、1%以上3%未満の場合は「B」(良好)と、3%以上5%未満の場合は「C」(やや良好),5%以上の場合は「D」(不良)と評価した。
幅42nm、ピッチ84nm、深さ180nmのトレンチ(アスペクト比:4.3)と、幅100nm、ピッチ150nm、深さ180nmのトレンチ(アスペクト比:1.8)とが混在する直径12インチのSiO2段差基板上に、各実施例又は比較例の下層膜形成用組成物をそれぞれ塗布した。
その後、大気雰囲気下にて、250℃で60秒間加熱し、膜厚200nmの下層膜を形成した。なお、ここでいう下層膜の膜厚は、段差基板の凹部(トレンチの底の部分)の高さを基準の高さとして、上記基準の高さから下層膜の表面までの平均距離を意図する。
この下層膜の形状を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「S-4800」)にて観察し、下層膜の膜厚の最大値と最小値との差(ΔFT)を測定した。 表面平坦性は、このΔFTが5nm未満の場合は「A」(非常に良好)と、5nm以上10nm未満の場合は「B」(良好)と、10nm以上20nm未満の場合は「C」(やや良好)と、20nm以上の場合は「D」(不良)と評価した。
以下の表に、各実施例又は比較例における下層膜形成用組成物の組成、及び、試験結果を示す。
各下層膜形成用組成物は、「芳香環を含有するポリマー」、「架橋剤」、「酸発生剤」、及び、「溶剤」を、表に示す通りの質量部数で含み、かつ、ハロゲン系有機溶剤を、下層膜形成用組成物の全質量に対して表に示す通りの含有量(質量ppm)で含む。
なお、「溶剤」欄におけるカッコ内の値は、2種以上の溶剤を使用した場合における、溶剤同士の混合比(質量比)を示す。
表中、「比率X」欄は、各下層膜形成用組成物中における、ノボラック樹脂の含有量に対する、ハロゲン系有機溶剤の含有量(質量ppm)を示す。下層膜形成用組成物がノボラック樹脂を含んでいない場合は、「-」と記載した。
Claims (11)
- レジスト膜の下層に形成される下層膜を形成するために用いられる下層膜形成用組成物であって、
前記下層膜形成用組成物は、芳香環を含有するポリマーと、炭素原子を1以上含むハロゲン系有機溶剤と、架橋剤と、を含み、
前記芳香環を含有するポリマーが、水酸基を有するノボラック樹脂であり、
前記炭素原子を1以上含むハロゲン系有機溶剤が、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレン、o-ジクロロベンゼン、及び、ベンゾトリフルオリドからなる群から選択される1種以上であり、
前記架橋剤が、前記芳香環を含有するポリマーが有する前記水酸基と反応して架橋構造を形成する架橋性基を有し、かつ、前記架橋性基を4個以上有し、
前記ハロゲン系有機溶剤の含有量が、前記下層膜形成用組成物の全質量に対して、0.001~50質量ppmである、下層膜形成用組成物。 - 前記ハロゲン系有機溶剤の含有量が、前記下層膜形成用組成物の全質量に対して、0.01~10質量ppmである、請求項1に記載の下層膜形成用組成物。
- 酸発生剤を含む、請求項1又は2に記載の下層膜形成用組成物。
- 前記ハロゲン系有機溶剤の含有量が、前記ノボラック樹脂の含有量に対して、0.1~10質量ppmである、請求項1~5のいずれか1項に記載の下層膜形成用組成物。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の下層膜形成用組成物を用いて、基板上に下層膜を形成する工程と、
ケイ素原子含有化合物を含む第2下層膜形成用組成物を用いて、前記下層膜上に第2下層膜を形成する工程と、
レジスト組成物を用いて、前記第2下層膜上にレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜を露光する工程と、
前記露光されたレジスト膜を現像液により現像し、レジストパターンを形成する工程と、を有するレジストパターン形成方法。 - 前記露光が、液浸露光である、請求項7に記載のレジストパターン形成方法。
- 前記現像液が、有機溶剤を含む現像液である、請求項7又は8に記載のレジストパターン形成方法。
- 前記現像液が、アルカリ現像液である、請求項7又は8に記載のレジストパターン形成方法。
- 請求項7~10のいずれか1項に記載のレジストパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
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