JP7300961B2 - 滞留型ゲル状洗浄剤組成物、及び容器入り滞留型ゲル状洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
この要求に応える洗浄剤組成物として、トイレの便器ボウルの表面に付着させて使用するゲル状の洗浄剤が商品化されている。
ゲル状の洗浄剤は、便器ボウルに付着した状態を維持しながら、フラッシュ水を流す都度徐々に溶解し、洗浄剤成分を放出するので、便器ボウルを清浄な状態に保ちやすい環境を維持することができる。
そのため、トイレの便器等の硬質表面を衛生的な状態に維持するには、汚垢の洗浄のみならず、除菌作用による雑菌除去やバイオフィルム形成抑制も必要になる。除菌作用があり、雑菌除去やバイオフィルム形成抑制に有効である成分としては、テトラアルキルアンモニウム塩が知られている。しかし、適度なゲル強度を維持しながら、ゲル状の洗浄剤にテトラアルキルアンモニウム塩を配合して、ゲル状洗浄剤とすることは困難であった。
特許文献1の組成物によれば、テトラアルキルアンモニウム塩を含んでいながら、適度なゲル強度を有するゲル状態を形成できるので、トイレの便器等に付着させて、洗浄及び除菌を行うことができるとされている。
本発明は、ウイルスの除去性と洗浄力が共に優れていながら、適度なゲル強度を有するゲル状態を形成でき、トイレの便器等に付着させて、組成物の成分を持続的に放出できる滞留型ゲル状洗浄剤組成物、及び容器入り滞留型ゲル状洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
[1]下記(A)成分の0.1~40質量%と、下記(B)成分の25質量%以上55質量%未満と、下記(C)成分の2~15質量%と水を含み、組成物全体をイオン交換水で0.3質量/体積%に希釈して溶解した時の25℃におけるpHが9~12である滞留型ゲル状洗浄剤組成物。
(A)成分:下記一般式(a)で表されるカチオン界面活性剤。
(B)成分:HLBが14~18である、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルまたはポリオキシアルキレンアルケニルエーテル。
(C)成分:、ナトリウム及びカリウムの一方または両方の炭酸塩、またはナトリウム若しくはカリウムの炭酸水素塩。
[3]前記(B)成分が、平均炭素数が12~20のアルコール1モルに、10~50モルのエチレンオキサイドが付加したアルコールエトキシレートである、[1]または[2]に記載の滞留型ゲル状洗浄剤組成物。
[4][1]~[3]のいずれか一項に記載の滞留型ゲル状洗浄剤組成物と、容器とを備え、前記容器は、開口部が形成され、前記滞留型ゲル状洗浄剤組成物を収容する可撓性容器本体と前記可撓性容器本体の開口部に設けられた吐出口を有する、容器入り滞留型ゲル状洗浄剤組成物。
本発明の滞留型ゲル状洗浄剤組成物は、(A)成分と(B)成分と(C)成分と水を含有するゲル状の組成物である。
(A)成分は下記式(a)で表されるカチオン界面活性剤である。(A)成分は1種でもよく2種以上を併用してもよい。
-(CH2CH2O)mHであらわされる基におけるmは、分子中の平均エチレンオキサイド付加モルが1~5となる数である。すなわち、R1~R4のうちの1つのみが-(CH2CH2O)mHであらわされる基である場合、その基におけるmの平均値が1~5であることを意味する。また、R1~R4のうちの2つが-(CH2CH2O)mHであらわされる基である場合、2つの基におけるmの合計値の平均値が1~5であることを意味する。
炭素数1~3のアルキル基は、メチル基、エチル基、またはプロピル基である。これらのうち原料入手のしやすさの点でメチル基が好ましい。
また、R1~R4のうちの1つのみが炭素数8~20のアルキル基である場合、その1つのアルキル基の炭素数は、12~18であることが好ましい。
また、R1~R4のうちの1つが炭素数8~20、好ましくは炭素数12~18のアルキル基であり、残りの3つがそれぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基であり、Z-がアルキル硫酸イオンである化合物が挙げられる。
また、R1~R4のうちの2つが炭素数8~20、好ましくは炭素数8~12のアルキル基であり、1つが炭素数1~3のアルキル基であり、残りの一つが-(CH2CH2O)mH(mは分子中の平均エチレンオキサイド付加モルが1~5となる数)であらわされる基であり、Z-がプロピオン酸イオンである化合物が挙げられる。
(B)成分は、HLBが14~18である、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルまたはポリオキシアルキレンアルケニルエーテルである。(B)成分は1種でもよく2種以上を併用してもよい。
HLBが14~18であることにより、適度なゲル強度を有するゲル状態を形成する。
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルにおけるアルケニル基は、直鎖でもよく分岐鎖でもよいが、直鎖であることが適度なゲル強度を有するゲル状態を形成する点で好ましい。
(B)成分としては、アルキル基が直鎖であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルであることが、適度なゲル強度を有するゲル状態を形成する点で好ましい。
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルにおけるアルケニル基の炭素数は、12~20であることが好ましく、15~18であることがより好ましい。アルケニル基の炭素数が好ましい下限値以上であれば、適度なゲル強度を有するゲル状態を形成する点で好ましい。アルケニル基の炭素数が好ましい上限値以下であれば、ゲル状洗浄剤組成物を製造する際に取り扱いやすい点で好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルまたはポリオキシアルキレンアルケニルエーテルにおけるポリオキシアルキレン基は、アルキレンオキサイドを付加モル数10~50で付加することにより得られたポリオキシアルキレン基であることが好ましい。
付加モル数が10~50であれば、適度なゲル強度を有するゲル状態を形成する点で好ましい。
平均炭素数が12~20の直鎖アルコールに、10~50のエチレンオキサイドが付加したアルコールエトキシレートであることが適度なゲル強度を有するゲル状態を形成する点でより好ましい。
平均炭素数が12~20の直鎖の第1級アルコールに、10~50のエチレンオキサイドが付加したアルコールエトキシレートであることが適度なゲル強度を有するゲル状態を形成する点でさらに好ましい。
エチレンオキサイドの付加モル数は、12~40がより好ましく、15~30がさらに好ましい。
(C)成分は、ナトリウム及びカリウムの一方または両方の炭酸塩、またはナトリウム若しくはカリウムの炭酸水素塩である。
具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムカリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウムから選択される塩である。
(C)成分は1種でもよく2種以上を併用してもよい。
溶解度が高く、溶解時にアルカリ性を示す点から、(C)成分は、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムの一方又は両方であることが好ましい。
本発明の滞留型ゲル状洗浄剤組成物は、組成物全体(水を含む)をイオン交換水で0.3質量/体積%に希釈して溶解した時(本発明の滞留型ゲル状洗浄剤組成物3gをイオン交換水で1Lとした希釈液)の25℃におけるpH(以下「希釈時pH」という場合がある。)が9~12である。希釈時pHは、9~11が好ましい。
なお、本明細書において、pHは、pHメーター(製品名:HM-30G、東亜ディーケーケー株式会社製)により測定される値を意味する。
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン、アンモニア等が挙げられる。これらのなかでも、滞留型ゲル状洗浄剤組成物の経時安定性の面から、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミンが好ましく、硫酸、水酸化ナトリウムが好ましい。pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
滞留型ゲル状洗浄剤組成物は、(A)~(C)成分、必要に応じて添加するpH調整剤、及び水以外に任意成分を含有してもよい。
任意成分としては、例えば、(A)成分以外のカチオン界面活性剤、(B)成分以外のノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等の、その他の界面活性剤;パラトルエンスルホン酸、炭素数1~3の1級アルコール等のハイドロトロープ剤;クエン酸ナトリウム、メチルグリシン二酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩等の金属封鎖剤;色素;特開2002-173698号公報の表3~4記載の香料組成物A~F、特開2003-82398号公報の表5~13記載の香料組成物X1~P2、特開2004-322078号公報の表1~2記載の香料組成物a~f、特開2005-187638号公報の表3記載の香料組成物a~c、特開2006-151907号公報の表3記載の香料組成物A~D、特開2015-124363号公報の表4記載の香料組成物A~D、特開2015-21076号公報の表2記載の香料組成物D-1~D-2ならびにD’-1等の、香料;水混和性有機溶媒;殺菌剤;防腐剤;抗カビ剤;酸化防止剤;防汚性高分子;分散剤;紫外線吸収剤等が挙げられる。
なお、洗浄力の点でアニオン界面活性剤は含まないことが好ましい。具体的に滞留型ゲル状洗浄剤組成物の総質量に対してアニオン界面活性剤の含有量は0.001質量%以下が好ましく、0.0001質量%以下がより好ましく、ゼロが特に好ましい。
例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、平均分子量約200~1000のポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、グリセリン等の炭素数2~4の多価アルコール;及び、
エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ダイセル社製セルトールEDGAC(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。これらは被膜形成により剤の保存安定性向上に役立つ。
例えば、平均分子量約1000~10000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール;及び、カチオン化デンプン、カチオン化セルロース等のカチオン性高分子;及び、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;及び、アミノ変性シリコン、アルカリ可溶性アクリルシリコン等のシリコン剤が挙げられる。
任意成分の合計の含有量は特に限定されないが、例えば、滞留型ゲル状洗浄剤組成物の総質量に対し、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
例えば、三洋化成工業株式会社製の「ニューポール75H-90000」(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンヘキシレングリコールエーテル、分子量90000)等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキレングリコールエーテルが挙げられる。
本発明の滞留型ゲル状洗浄剤組成物は、前記(A)~(C)成分と共に、水を含有しゲル状とされている。
水の含有量については、ゲル状態を形成できる範囲で適宜設定すればよいが、例えば、20~80重量%、好ましくは25~70重量%、更に好ましくは25~60重量%とすることができる。
滞留型ゲル状洗浄剤組成物の各成分(水を含む)の含有量の合計は、100質量%である。
本発明の滞留型ゲル状洗浄剤組成物が、適度なゲル強度を有するゲル状態を形成しやすく、かつ、良好な付着性を発揮できる理由は明確ではないが、(B)成分と(C)成分の相互作用により、ゲル化が生じているためではないかと考えられる。
また、本発明の滞留型ゲル状洗浄剤組成物が、洗浄力だけでなく、ウイルス除去性に優れるのは、細菌やウイルスを除去する(A)成分の能力が、アルカリ性とすることにより、充分に発揮されるようになったためではないかと考えられる。
したがって、本発明の滞留型ゲル状洗浄剤組成物は、ウイルスの除去性と洗浄力が共に優れていながら、適度なゲル強度を有するゲル状態を形成できる。
本発明の滞留型ゲル状洗浄剤組成物は、適宜加熱・冷却しながら、前記(A)~(C)成分、水、必要に応じて添加されるpH調整剤、その他の任意成分を所定量混合することによって製造される。
本発明の容器入り滞留型ゲル状洗浄剤組成物は、本発明の滞留型ゲル状洗浄剤組成物と、容器とを備える。容器は、開口部が形成された可撓性容器本体と可撓性容器本体の開口部に設けられた吐出口を有する。例えば、チューブやパウチ、スクイズボトルが挙げられる。
滞留型ゲル状洗浄剤組成物は、可撓性容器本体に収容され、使用時には、可撓性容器本体を加圧することにより、吐出口から吐出されるようになっている。
本発明の滞留型ゲル状洗浄剤組成物は、硬質表面の洗浄及び除菌に好適に使用される。具体的には、硬質表面に付着させ、硬質表面上に付着した本発明の滞留型ゲル状洗浄剤組成物に水を接触させることにより、水に配合成分が流出し、硬質表面の洗浄及び除菌が行われる。
本発明の滞留型ゲル状洗浄剤組成物において、洗浄対象となる硬質表面としては、水との接触が可能な硬質表面であればよく、例えば、トイレ便器、トイレの手洗い部、ガラス、窓、ドア、浴室の壁、台所、洗面所や浴室の排水口等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはトイレ便器が挙げられる。
<(A)成分>
A-1:ジデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート(商品名「リポカード210-80MSPG」、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ製)、式(a)中のR1~R4のうちの2つが炭素数10のアルキル基であり、残りの2つがメチル基であり、Z-がメチル硫酸イオンである化合物。)。
A-2:ジデシルジメチルアンモニウムエチルサルフェート、式(a)中のR1~R4のうちの2つが炭素数10のアルキル基であり、残りの2つがメチル基であり、Z-がエチル硫酸イオンである化合物。)。
A-3:ステアリルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、式(a)中のR1~R4のうちの1つが炭素数18のアルキル基であり、残りの3つがメチル基であり、Z-がメチル硫酸イオンである化合物。)。
A-4:ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネート(商品名「Bardap26」、ロンザジャパン製)、式(a)中のR1~R4のうちの2つが炭素数10のアルキル基であり、他の1つがメチル基であり、残りの1つが-(CH2CH2O)mHで表される基であり、Z-がプロピオン酸イオンである化合物。)。
AX-1:オクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド(商品名「カチオンG-50」、三洋化成工業製)、式(a)中のR1~R4のうちの1つが炭素数8のアルキル基であり、他の1つがベンジル基であり、残りの2つがメチル基であり、Z-が塩素イオンである化合物。)。
B-1:ポリオキシエチレンセチルエーテル(商品名「エマルミンCC-200」、三洋化成工業製)。炭素数16の直鎖アルコール1モルに、エチレンオキサイドが平均20モル付加したアルコールエトキシレート。HLB:15.7。
B-2:ポリオキシエチレンステアリルエーテル(商品名「S-215」、日本油脂製)。炭素数18の直鎖アルコール1モルに、エチレンオキサイドが平均15モル付加したアルコールエトキシレート。HLB:14.2。
B-3:ポリオキシエチレンステアリルエーテル(商品名「S-220」、日本油脂製)。炭素数18の直鎖アルコール1モルに、エチレンオキサイドが平均20モル付加したアルコールエトキシレート。HLB:15.3。
B-4:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名「エマルミンL-380」、三洋化成工業製)。炭素数12の直鎖アルコール1モルに、エチレンオキサイドが平均38モル付加したアルコールエトキシレート。HLB:17.7。
BX-1:ポリオキシエチレンセチルエーテル(商品名「S-207」、日本油脂製)。炭素数16の直鎖アルコール1モルに、エチレンオキサイドが平均7モル付加したアルコールエトキシレート。HLB:10.7。
C-1:炭酸ナトリウム(ソーダ灰、トクヤマ製)。
C-2:炭酸カリウム(炭酸カリウム、旭硝子製)。
CX-1:塩化ナトリウム(試薬特級、関東化学製)。
CX-2:メタ珪酸ナトリウム(メタ珪酸ソーダ5水塩、広栄化学製)。
クエン酸ナトリウム:クエン酸3ナトリウム2水和物(商品名「精製クエン酸ナトリウム」、扶桑化学製)。
PEG:ポリエチレングリコール(商品名「PEG6000S」、三洋化成工業製)。
PG:プロピレングリコール(プロピレングリコール、旭硝子製)。
色素:青色403号。
香料。
pH調整剤:水酸化ナトリウム(試薬特級、和光純薬工業製)または硫酸(試薬一級、和光純薬工業製)。
表1~4に示す配合に従い、pH調整剤以外の各成分を適宜加熱、冷却しながら、ミキサーを用いて混練し、表に示す希釈時pHの値となるようpH調整剤を加えて、洗浄剤組成物を調製した。各例の洗浄剤組成物について、下記の方法でウイルス除去効性、ゲル化、付着性、及び洗浄力を評価した。結果を表1~4に示す。
なお、表中の配合量は純分換算値である。表中、空欄はその配合成分が配合されていないことを意味する。
pH調整剤の含有量「適量」は、各例の希釈時pHを表中の値にするのに要した量である。また、水の含有量「バランス」は、洗浄剤組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように加えられる残部を意味する。
<ウイルス除去性>
下記の方法で、各例の洗浄剤組成物の水溶液(対照試験は生理食塩水)で洗い流したテストピース上に、ウイルスとタンパク質汚れを共存させ、さらに各例の洗浄剤組成物の水溶液(対照試験は生理食塩水)でテストピースを洗い流した後、テストピースに残ったウイルスの感染価を測定し、対照試験を基準とするウイルス感染価の低減効果を調べた。ウイルス感染価は細胞感染性を有するウイルス量の指標となる値である。
ウイルス感染価は、細胞にウイルスを感染させ、限界希釈法により、50%培養細胞感染濃度(TCID50)に基づき測定した。
供試細胞は、CRFK細胞(ネコ腎臓細胞、ATCC株CCL-94)を用いた。
ウイルス液と、6g/Lに調整した牛血清アルブミン水溶液(BSA Fraction V Bovine Albumin Fraction V solution 7.5%、gibco)を1:1で混合し、試験ウイルス液とした。
スライドグラス(76mm×26mm)を45度に傾けた状態で各例の洗浄剤組成物の0.15%水溶液(各例の洗浄剤組成物15gをイオン交換水で1Lとした水溶液)5mLを上から注いで洗い流し、室温で乾燥させたものをテストピースとした。テストピースに、試験ウイルス液を10μLを滴下し乾燥させた。これをさらに各例の洗浄剤組成物の0.15%水溶液5 mLで同様に洗い流した。
対照試験として、各例の洗浄剤組成物の0.15%水溶液に代えてPBS(-)(ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、PBS(-)粉末「ニッスイ(日水製薬社製品名)」の水溶液)を用いた他は、同様にしてテストピースを作成し、試験ウイルス液を滴下し乾燥させた後、洗い流した。
各例の試験ウイルス液を滴下し乾燥させ、さらに洗浄した後のテストピースを、ストマッカー袋に入れ、イーグル最小必須培地 MEM(E-MEM、SIGMA社)を10mL加えてウイルスを洗い出した。さらに、ウイルス感染価を求めるため、E-MEMを用いて10倍で段階希釈して希釈試料とした。
CRFK細胞を、10%牛胎児血清(FBS、SIGMA社)を添加したE-MEMを培地として用い、96穴ウエルプレート内で単層培養した後、培養液を除去し、上記希釈試料100μLを、4ウェルずつ接種し、CO2インキュベーターにて37℃で3~5日間培養した。
培養後、実体顕微鏡にてウイルス感染の有無を観察し、感染価(50%組織培養感染値量、50% tissue culture infective dose、TCID50)を求めた。TCID50はBehrens・Karber法に従い、下記式により算出した。
log TCID50=log(1列目の希釈度)-(各希釈列における(変性ウェル数/全ウェル数)の総和-0.5)×log(希釈率)
対照試験におけるウイルス感染価と比較し、下記の基準でウイルス除去効果を評価した。
○:ウイルス感染価の減少値が2以上3未満。
△:ウイルス感染価の減少値が1以上2未満。
×:ウイルス感染価の減少値が1未満。
各例の洗浄剤組成物の10gを内径35mmの円柱状のガラス容器に入れ、25℃で1日静置した。その後、そのガラス容器を90度傾けた状態で5秒間静止した後、組成物のゲル状態を目視で評価した。
〇:ゲル状態に変化がなく、洗浄剤組成物の分離や沈殿が見られず均一な半固体形状を安定に維持できており、流動が認められない。
×:液状になり流動する。または、洗浄剤組成物の分離や沈殿が認められる。
各例の洗浄剤組成物の5gを直径3cmの円になるように陶器製便器のフラッシュ口より10cm離れ、かつ、フラッシュ口からのフラッシュ水が直接あたる位置に付着させた後、5分毎に8Lの水を10回流し、1時間後の付着性を観察した。
〇:洗浄剤組成物が陶器製便器から剥がれず付着したままである。
×:洗浄剤組成物が陶器製便器から剥がれている。
表5に示す配合で汚垢液を調製した。この汚垢液を撹拌しながらスライドグラス(76mm×26mm)をつまみ、先端から50mmまで10秒間浸漬してから、5秒間かけて引き上げた後、室温で15分間乾燥させたものを、汚垢プレートとした。
ねじ口瓶(商品名「SV-110」、日電理科硝子製)に各例の洗浄剤組成物の0.15%水溶液(各例の洗浄剤組成物15gをイオン交換水で1Lとした水溶液)の100gと汚濁プレートを入れた。
汚濁プレートをねじ口瓶内で3分間各例の洗浄剤組成物の0.15%水溶液に浸漬した後、イオン交換水で軽くすすぎ、ピンチで挟んで吊るし、室温で15分間乾燥させた。
乾燥後の汚濁プレートを、目視で観察し、下記評価基準にて評価した。
5点:完全に落ちている。
4点:大部分の汚れが落ちている。
3点:かなり汚れが残っている。
2点:大部分の汚れが残っている。
1点:全く汚れが落ちていない。
これに対して、表3に示すように、(A)成分が配合されていない比較例1、及び(A)成分の配合量が少ない比較例2では、ウイルス除去性及び洗浄力が劣っていた。また、(A)成分の配合量が多すぎる比較例3では、充分にゲル化せず付着性も劣っていた。また、比較例4の結果から、同じテトラアルキルアンモニウム塩であっても、陰イオンを適切に選択しないと、ウイルス除去性を発揮できないことがわかった。
また、(B)成分の配合量が多すぎる比較例7では、充分にゲル化したものの、硬くなりすぎ、付着性の点で劣っていた。また、比較例8の結果から、同じノニオン界面活性剤であっても、HLB等の要件を満たさないと、ゲル化及び付着性を発揮できないことがわかった。
また、(C)成分の配合量が多すぎる比較例11では、充分にゲル化したものの、硬くなりすぎ、付着性の点で劣っていた。また、比較例12、13の結果から、同じ無機塩であっても、炭酸塩または炭酸水素塩でないと、ゲル化及び付着性を発揮できないことがわかった。
また、比較例14の結果から、ウイルス除去性を発揮させるためには、pHを高くする必要があることがわかった。また、比較例14の結果から、pHを高くしすぎると、ゲル化や付着性が損なわれることがわかった。
Claims (4)
- 下記(A)成分の0.1~40質量%と、下記(B)成分の25質量%以上55質量%未満と、下記(C)成分の2~15質量%と水を含み、組成物全体をイオン交換水で0.3質量/体積%に希釈して溶解した時の25℃におけるpHが9~12である滞留型ゲル状洗浄剤組成物。
(A)成分:下記一般式(a)で表されるカチオン界面活性剤。
(B)成分:HLBが14~18である、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルまたはポリオキシアルキレンアルケニルエーテル。
(C)成分:、ナトリウム及びカリウムの一方または両方の炭酸塩、またはナトリウム若しくはカリウムの炭酸水素塩。
- 前記(B)成分が、アルキル基が直鎖である、HLBが14~18のポリオキシアルキレンアルキルエーテルである、請求項1に記載の滞留型ゲル状洗浄剤組成物。
- 前記(B)成分が、平均炭素数が12~20のアルコール1モルに、10~50モルのエチレンオキサイドが付加したアルコールエトキシレートである、請求項1または2に記載の滞留型ゲル状洗浄剤組成物。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の滞留型ゲル状洗浄剤組成物と、容器とを備え、前記容器は、開口部が形成され、前記滞留型ゲル状洗浄剤組成物を収容する可撓性容器本体と前記可撓性容器本体の開口部に設けられた吐出口を有する、容器入り滞留型ゲル状洗浄剤組成物。
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