JP7299965B1 - アルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法 - Google Patents

アルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法を提供することを課題とする。【解決手段】酸性アルミニウム塩法と電気化学的溶解法を組み合わせることにより、アルミニウム材料の溶解速度を速め、酸性アルミニウム塩の収率を上げ、次に酸とアルカリを中和して水酸化アルミニウムゾルを生成し、ゾルに添加剤を加えて、水酸化アルミニウムゾルの粒径をナノスケールに制御し、その後合成されたアルミナ粉末の焙焼温度を下げ、最後に焙焼した後ミクロンオーダーのγ-アルミナ粉末が得られる。γ-アルミナは炭素熱還元工程の出発物質として窒化アルミニウム粉末の合成に使用することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、アルミナ粉末の調製方法に関し、特に、電気化学的溶解法で最終生成物γ-アルミナ粉末を調製し、中間生成物のナノスケールの水酸化アルミニウム粉末を生成する方法に関する。
窒化アルミニウム(AlN)は、新しいタイプの電子セラミック材料であり、優れた熱伝導性及び電気絶縁などの特性により、最も人気のある最先端の材料の一つになり、特別な物理的特性には、高い熱伝導率、高抵抗率、低誘電率、低熱膨張係数、優れた耐熱性、優れた機械的強度、高い化学的安定性、非毒性などの特性が含まれ、電子セラミック基板、電子部品パッケージ材料、防食部品、高熱伝導性添加剤などのさまざまな応用範囲に使用されることができる。現在、窒化アルミニウム粉末の商用化・量産は、自己伝播高温燃焼合成法及び炭素熱還元法の2つの調製方法を主流とするが、燃焼合成法で得られた窒化アルミニウム粉末の純度は低く、炭素熱還元法で得られた窒化アルミニウム粉末の純度が高い。しかしながら、炭素熱還元法に必要な出発物質はγ相アルミナであり、結晶構造が比較的不安定であるため、製造や入手が容易ではない。
触媒としてしばしば使用されるγ-アルミナ、及びα、ρ、χ、η、δ、θ-アルミナなどのアルミナの多くの相は、過去の研究で報告されている。ここで、α-アルミナは、熱力学的に最も安定なアルミナ相であり、工業においてセラミック基板及び放熱接着剤に広く応用され、大きな経済的価値がある。しかし、本出願の技術思想目標は、窒化に適したγ-アルミナであり、α-アルミナが安定しすぎて窒化反応への使用に適さない。
アルミナは、様々な結晶構造を有し、最も一般的な2種類の構造はα-Al及びγ-Alである。α-Alの結晶形態は、六方最密充填構造で、6個の酸素原子が八面体形状を取り囲み、結晶の3分の2がアルミニウム原子で占められ、この種の最密充填は格子エネルギーが大きいため、高い融点、優れた機械的強度、耐食性、優れた絶縁性、良好な熱伝導性を備え、耐火材料、電子部品パッケージ材料及びサファイア原料などに応用されることができるが、放熱効果が酸化アルミニウムほど良くない。γ-Alの結晶形は、面心立方の積層であり、Al原子が酸素原子に囲まれた八面体と四面体の空洞に不規則に配置されている。この構造は硬度が低く、表面積が大きく、粒子が小さく、高い吸着能力及び触媒活性などの利点があり、α-Alよりも活性が高く、酸又はアルカリ溶液に溶けやすく、活性アルミナとも呼ばれ、吸着剤及び触媒に応用されることができる。α-Alはコンパクトな構造であるため、放熱性及び絶縁性に優れ、工業上の重要な材料であるが、格子構造が安定しており、窒化アルミニウムへの変換が困難である。したがって、格子構造が不安定なγ-Al結晶粉末は、窒化アルミニウムの炭素熱還元合成のための最良の出発物質である。
しかしながら、高温条件下での窒化アルミニウムの変換率は、炭素熱還元法で窒化アルミニウムを変換するプロセスにおいて97%にもなる可能性があることが文献から見出されているが、この収率は前工程内の(a)アルミナの純度、(b)アルミナの結晶相、及び(c)アルミナの形態の影響を受ける。したがって、窒化アルミニウム粉末合成の最終目標を達成するための重要なポイントは、前工程でのアルミナ技術の開発にある。アルミニウム金属原料からアルミナを調製する主な技術には、次の3つの調製方法が含まれる。
1.アルカリアルミニウム塩法:純アルミニウムニウムをアルカリに溶解して、テトラヒドロキシアルミネート又はメタアルミネートと呼ばれるAl(OH) などのアルミニウム塩を形成した後、次に酸を加えてアルミニウム塩を中性の水酸化アルミニウム粉末(Al(OH))に変換させ、さらに焼結してアルミナを生成し、反応式は次の通りである。
[化1]
2Al(s)+2KOH(aq)+6HO→2K (aq)+2Al(OH) (aq)+3H2(g)
Al(OH) (aq)+H (aq)→Al(OH)3(s)+H
2Al(OH)→Al+3H
2.酸性アルミニウム塩法:まず純アルミニウムを塩酸又は硫酸などの希酸に溶解してアルミニウム塩を形成し、次に形成されたアルミニウム塩をアンモニア(NHOH)に加えて、アルミニウム塩を反応させて中性水酸化アルミニウム粉末(Al(OH))にし、最後に焼結してアルミナを生成し、反応式は次の通りである。
[化2]
2Al+6HCl→2AlCl+3H(g)
AlCl+3NHOH→Al(OH)↓+3NHCl
又は、
Al(SO+6NHOH→2Al(OH)↓+3(NHSO
2Al(OH)→Al+3H
3.有機アルミニウムアルコキシド法:純アルミニウムをイソプロパノール又はイソオクチルアルコールと組み合わせ、触媒塩化アルミニウム(AlCl)又は塩化第一水銀(HgCl)を加えてアルミニウムアルコキシド塩を生成し、次に加水分解して水酸化アルミニウムAl(OH)を得る。最後に焼結してアルミナを生成する。この方法で製造されたアルミナ粉末は、純度が高く、粒子径が小さい。イソプロパノールでアルミナを調製する反応式は、次の通りである。
[化3]
Al+3i-COH→(i-CO)Al+3/2H(g)
2(i-CO)Al+3HO→2Al(OH)(s)
2Al(OH)→Al+3H
イソオクチルアルコールでアルミナを調製する反応式は、次の通りである。
[化4]
Al+3i-C17OH→Al(OC17→Al(OH)+3i-C17OH
2Al(OH)→Al+3H
特許文献1は、フレーク状ナノγ-Al及びその調製方法を開示している。特許文献1のフレーク状ナノγ-Alは、アルミニウム塩法の製造工程を用い、一定濃度の無機アルミニウム塩溶液とアルカリ溶液を混合し、アルカリ溶液中のアルカリ性物質が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウムの1種又は複数種であり、次にセグメント化された水熱結晶化(140~180℃にて3~5時間水熱反応し、200~250℃にて3~12時間水熱反応を継続)を経て得られる。水熱生成物を450~750℃の高温で2~8時間焙焼した後、フレーク状ナノγ-Al粉末を得る。特許文献2は、大比表面積γ-Al材料及びその調製方法を開示している。特許文献2は、アルミニウムアルコキシド法を用い、アルミニウムをイソプロパノールに溶解し、45~80℃にて10~20時間撹拌して溶解させ、ミルク及び水を加え、4時間撹拌を続け、反応器に入れ、80℃で3日間結晶化し、得られた粉末を600℃で4時間仮焼させてγ-Al粉末を得る。特許文献3は、触媒の存在下でアルミニウムを使用してイソプロパノールと反応させてアルミニウムアルコキシドを生成し、これを加水分解して水酸化アルミニウムにしてから焙焼して酸化アルミニウムを製造する方法を開示している。アルミニウムアルコキシド合成過程で、アルコールの添加速度及び反応器内の熱交換器に冷却水を導入る方法でアルミニウムアルコキシドの合成温度を145~155℃に制御し、120分間保持し、その後、666Pa、138℃の条件下で減圧蒸留し、イソプロパノール及び純水を媒体として加水分解(加水分解条件は真空度200~400Pa、50~70℃、30分間)し、次に温度90~98℃で600分間保持してから乾燥させ、最後に750℃にて3時間以上焙焼すると、γ-Al粉末を得る。特許文献4は、γ-Al粉末の調製方法を開示している。特許文献4はアルミニウムアルコキシド法を用い、アルミニウムをn-ペンタノールに溶解し、触媒として塩化水銀を添加し、25~150℃にてアルミニウムアルコキシドの合成反応を完了させ、これを加水分解してベーマイトBoehmite(γ-AlO(OH))を形成し、最後に315~870℃にて焙焼してγ-Al粉末を生成する。
現在、アルミ金属原料からアルミナ粉末を調製する方法は、主に酸塩基アルミニウム塩法又は有機アルミニウムアルコキシド塩法を用いている。ただし、酸塩基アルミニウム塩法は、アルミニウム材料の溶解速度が遅く、製造工程に時間がかかるが、有機アルミニウムアルコキシド塩法はアルミニウムがアルコールに溶けにくいため、反応中に触媒としての塩化物又は水銀含有化合物を添加する必要があり、毒性による健康被害があり、環境汚染を引き起こしやすいだけでなく、触媒反応が始まると大量の反応熱が発生してしまうため、制御に注意しない場合、事故が起きやすい。
公開データベースにおける特許開示内容の多くは、α相アルミナの製造工程であり、γ相アルミナの調製に関するものは少ない。高純度窒化アルミニウム粉末の調製については、炭素熱還元工程に必要な安定したγ相アルミナの重要原料の合成技術がない。高出力で大放熱の電子部品という急成長する産業動向の下で、絶縁性・高導電性の窒化アルミニウムは放熱基板の潜在的な材料であるため、業界は高純度の窒化アルミニウム粉末材料の開発のため、窒化アルミニウム合成のための重要なγ相アルミナ粉末調製技術を大いに必要としている。
上記の問題点を解決するため、本出願の出願人は、従来技術の欠陥に着目し、アルミニウム金属原料を出発物質とし、酸性アルミニウム塩法の工程技術をベースにし、電気化学的溶解法と電流パルス設計とを組み合わせ、溶解速度を改善し、高品質のγ相アルミナ粉末を調製し、炭素熱還元法で高純度窒化アルミニウム粉末を調製するための出発γ相アルミナ原料として使用することができる。これにより、高効率、高純度、低コストの窒化アルミニウム前工程技術が開発された。以下は、本出願の概要説明である。
中国特許出願公開第104556177号 中国特許第101269829号明細書 中国特許出願公開第1316382号 米国特許第2749216号明細書
本発明は、アルミナ粉末の調製方法に関し、特に、電気化学的溶解法でアルミニウムの溶解速度を加速し、高純度アルミナの合成結晶相を制御して最終生成物のγ-アルミナ粉末を調製し、中間生成物であるナノスケールの水酸化アルミニウム粉末を生成する方法に関する。生成されたγ-アルミナ粉末は、炭素熱還元工程で使用して、高品質の窒化アルミニウム粉末製品を得ることができる。
本発明の技術思想によれば、アルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法を提供する。調製方法は、電気化学装置を用意し、アルミニウム材料をアノード、酸性溶液を電解液とする工程(A)と、電流パルス法で前記アルミニウム材料の溶解を加速して酸性アルミニウム塩溶液を形成する工程(B)と、アルカリ性溶液で酸性アルミニウム塩溶液を中和して粒径範囲が1~10μmである水酸化アルミニウムゾルを形成する工程(C)と、前記水酸化アルミニウムゾルの中に添加剤を加えて水酸化アルミニウムゾルの粒径をナノスケールに制御し、水酸化アルミニウムゾルをろ過して乾燥させた後、水酸化アルミニウム粉末(水酸化アルミニウム粉末の粒子径は30~300nmの範囲である)を得る工程(D)と、前記水酸化アルミニウム粉末を高温で焙焼してミクロンオーダーのγ-アルミナ粉末を形成する工程(E)とを含む。
上記工程(A)のアルミニウム材料は、純度3Nグレード以上のアルミニウムくず又はアルミニウム破砕片であり、前記電気化学装置は電気化学二重電極システムであり、カソード材料が白金、金、黒鉛のいずれかである。
上記工程(A)の酸性電解液は、塩酸(HCl)、硫酸(HSO)及び硝酸(HNO)からなる群から選択される1つであり、前記酸性電解液の濃度は0.5M~3Mの範囲である。
上記工程(B)の電流パルス法は、電源供給装置により定電流パルスを設定し、定電流パルスが0.1~1.0A/cm及び秒数10秒、0A/cm及び秒数15秒を1サイクルとし、パルス電流サイクル数は20回以上、総電解時間は500秒以上であることで、アルミニウム材料の溶解を速めて酸性アルミニウム塩溶液を形成する。
上記工程(C)のアルカリ性溶液は、水酸化ナトリウム(NaOH)、アンモニア(NHOH)及び水酸化カリウム(KOH)からなる群から選択される1つであり、前記アルカリ性溶液で酸性アルミニウム塩溶液の酸とアルカリをpH6~8の範囲に中和させ、水酸化アルミニウム(Al(OH))ゾルを形成する。
上記工程(D)の添加剤は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化アンモニウム(NHCl)、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム塩(3-mercapto-1-propanesulfonicacisodiumsalt、MPS)、4-ドデシルベンゼンスルホン酸(4-Dodecylbenzenesulfonic acid、DBSA)からなる群から選択される1つであり、前記添加剤の濃度は0.01M~0.5Mの範囲であり、pH値をpH6~8の範囲に制御する。
上記工程(D)の濾過・乾燥手順は、水酸化アルミニウムゾルを吸引濾過した後、オーブン又はホットプレートを温度80~100℃に設定して低温で乾燥させてナノスケールの水酸化アルミニウム粉末を形成する。
上記工程(E)の焙焼温度は、600℃~900℃で、温度保持時間は1~5時間であり、高温焙焼後、ミクロンオーダーのγ-アルミナ粉末が得られる。
本発明は、酸性アルミニウム塩法と電気化学的溶解法を組み合わせ、金属アルミニウムを出発物質とし、電流パルス設計と合わせて、アルミニウム材料の溶解速度を改善し、アルミニウム塩の収率を上げ、次に酸とアルカリを中和して水酸化アルミニウムゾルを生成し、ゾルに添加剤を加えて、水酸化アルミニウムゾルの粒径をナノスケールに制御し、その後合成されたアルミナ粉末の焙焼温度を下げ、最後に焙焼した後高品質のミクロンオーダーのγ相アルミナ粉末が得られる。
本発明の目的は、炭素熱還元工程の出発物質として高純度窒化アルミニウム粉末の合成に使用することができる高純度で低コストのγ相アルミナ粉末を開発することである。本発明は、高品質のγ相アルミナ粉末を生成できることに加えて、また高い応用価値を有するセラミック材料でもある中間生成物の水酸化アルミニウムを生成でき、本技術の技術思想のため付加価値を高める。
上記の概要と後記の詳細な説明及び添付図面は、すべて意図された目的を達成するために本発明によって講じられる方法、手段及び効果をさらに説明するためのものである。本発明の他の目的及び利点に関しては、後記の説明及び図面内に記述する。
本発明のアルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法のフローチャートである。 本発明の実施例に係る電気化学的に溶解された酸性アルミニウム塩がアルカリによって中和された後の水酸化アルミニウムゾルの写真である。 本発明の実施例に係る水酸化アルミニウムゾルが吸引ろ過・乾燥された後に得られた水酸化アルミニウム粉末の写真である。 本発明の実施例に係る水酸化アルミニウム粉末の走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例の高温焙焼を経た後のアルミナ粉末のX線回折スペクトルである。 本発明の実施例が700℃の高温焙焼で合成されたγ-アルミナ粉末の走査型電子顕微鏡写真である。
以下は、特定の具体的実例を介して本発明の実施形態を説明し、当業者であれば、本明細書に開示された内容から本発明の利点及び効果を用意に理解することができる。ただし、本出願の実施は、下記の実施例によって実施形態を限定することはない。
図1を参照すると、本発明のアルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法のフローチャートである。調製方法は、電気化学装置を用意し、アルミニウム材料をアノード、酸性溶液を電解液とする工程S101と、電流パルス法で前記アルミニウム材料の溶解を加速して酸性アルミニウム塩溶液を形成する工程S102と、アルカリ性溶液で酸性アルミニウム塩溶液を中和して水酸化アルミニウムゾルを形成する工程S103と、次に前記水酸化アルミニウムゾルの中に添加剤を加えて水酸化アルミニウムゾルの粒径をナノスケールに制御し、水酸化アルミニウムゾルをろ過して乾燥させた後、水酸化アルミニウム粉末を形成する工程S104と、最後に前記水酸化アルミニウム粉末を高温で焙焼してミクロンオーダーのγ-アルミナ粉末を形成する工程S105と、を含む。
工程S101に記載のアルミニウム材料に関して、本実施例において、純度3Nグレード以上、サイズ5cm×2cm、厚さ2.5~3mm範囲のアルミニウムシートが好ましく、耐酸性・アルカリ性テープで反応面積6.6cmを画定した。電気化学装置は電気化学二重電極システムで、アノードとして純度3Nグレード以上のアルミニウムシート、カソードとしてプラチナシート、酸性溶液を電解液としてアルミニウムシートを電気化学的に溶解した。
前記アルミニウムシートは、表面の油汚れ及び酸化物層を除去するため前処理工程を経る必要がある。まず、アルミシートを洗剤に浸し、超音波で10分間洗浄し、アルミシートをアセトンで洗浄してからアルミニウムシートを脱イオン水に浸し、超音波洗浄器に10分間入れ、アルミシートを2M HSOに浸し、超音波洗浄器に5分間入れ、アルミニウムシートを脱イオン水で洗浄した後、アルミニウムシートを1M NaOHに入れ、1分間完全に攪拌し、アルミニウムシートを脱イオン水で洗浄してから乾燥させてアルミニウムシートの前処理工程を完了した。
工程S102に記載の酸性電解液は、本実施例において0.5M塩酸(HCl)であることが好ましく、用いる電気化学的方法は電流パルス法であることが好ましく、電源供給装置で定電流パルスを設定し、定電流パルスが0.1~1.0A/cm及び10秒、0A/cm及び15秒であり、アノードがアルミニウムシート、カソードがプラチナシートであり、アルミニウム材料の溶解を速めて酸性アルミニウム塩(AlCl)溶液を形成する。
単純な化学的溶解について言えば、アルカリアルミニウム塩系の化学的溶解速度が速いが、ナトリウム、カリウムなどの金属イオンを残留しやすく、合成された粉末の純度及びその後の電子レベル応用に影響を与える。酸性アルミニウム塩系は逆で、ナトリウム、カリウムなどの金属イオン不純物はないが、化学的溶解速度は非常に悪いである。したがって、本発明は、電気化学的溶解法(electrodissolution)を使用して溶解速度を改善し、小さな正のバイアスを酸性溶解システムに印加して、アルミニウムの酸化反応を促進し、アルミニウムの溶解速度を上げることができる。
しかしながら、定電流条件下でのアルミニウムの長時間電解の状態において、電極表面分極の問題はより深刻になり、電極表面の過電圧の増加又は表面温度の上昇などの問題を引き起こすであろう。この電気化学的溶解反応では、水の電気分解反応も同時に進行するため、表面に酸素が蓄積する現象が発生する。攪拌を利用して溶液の機械的乱れを増加させて電極表面で発生したガスを連れ去ることができるが、反応時間が長くなると、副生成物が生成されやすくなる。したがって、電流パルス法で電気化学的に溶解してみた。この方法の利点は、パルス電流が0又は微小な逆電流の場合、長時間の定電流反応による電極表面の分極現象を脱分極できるため、電極表面の分極によって発生する過電圧を下げることができる。これにより、大量の反応や長時間の電気化学的工程に効果的で安定した方法を提供する。
工程S103に記載のアルカリ性溶液は、本実施例においてアンモニア(NHOH)であることが好ましく、アルカリ性アンモニア(NHOH)溶液で酸性アルミニウム塩溶液の酸とアルカリを中和させ、pH値6~8の範囲に中和し、水酸化アルミニウム(Al(OH))ゾルを形成する。図2を参照すると、本発明の実施例に係る電気化学的に溶解された酸性アルミニウム塩がアルカリによって中和された後の水酸化アルミニウムゾルの写真である。
工程S104に記載の添加剤は、本実施例において塩化ナトリウム(NaCl)又は塩化アンモニウム(NHCl)塩類である好ましく、濃度は0.01M~0.5Mの範囲であり、pH値をpH6~8の範囲に制御してから水酸化アルミニウムゾルを吸引ろ過した後、温度を80~100℃に設定したオープンで乾燥させ、或いは温度を80~100℃に設定したホットプレートで低温乾燥させて、ナノスケールの水酸化アルミニウム粉末を得る。図3及び図4を参照すると、本発明の実施例に係る水酸化アルミニウムゾルが吸引ろ過・乾燥された後に得られた水酸化アルミニウム粉末の写真及び水酸化アルミニウム粉末の走査型電子顕微鏡写真である。電子顕微鏡画像の結果から分かるように、水酸化アルミニウム粉末の粒径は100nm程度で、添加剤を加える前の水酸化アルミニウム粉末の粒径が10μm程度であり、添加剤の粒径制御効果を示している。
工程S105に記載の高温焙焼温度の制御は、10℃/minの速度で100℃に上昇し、30分間保持してから20℃/minの速度で焙焼温度TAに上昇し、t時間保持し、最後に常温まで炉内で冷やし、焙焼温度TAは600℃~900℃の範囲で、温度保持時間tは1~5時間である。水酸化アルミニウム粉末は、高温焙焼を経た後、ミクロンオーダーのγ-アルミナ粉末が得られる。
図5を参照すると、本発明の実施例の高温焙焼を経た後のアルミナ粉末のX線回折スペクトルである。温度700℃で1時間保持する条件の下で、水酸化アルミニウムをγ-アルミナに変換できるが1000℃の条件の下でθ-アルミナに完全に変換されることが分かる。図6を参照すると、本発明の実施例が700℃の高温焙焼で合成されたγ-アルミナ粉末の走査型電子顕微鏡写真であり、電子顕微鏡画像から本発明の実施例で合成されたγ-アルミナ粉末の粒径は5~10μmの範囲であることが分かる。
上記実施例の説明を通じて、本発明のアルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法は、金属アルミニウムを出発物質とし、酸性アルミニウム塩法と電気化学的溶解法を組み合わせ、電流パルス設計と合わせて、アルミニウム材料の溶解速度を改善し、アルミニウム塩の収率を上げることができる。アルミニウム塩は、酸とアルカリを中和して水酸化アルミニウムゾルを生成し、ゾルに添加剤を加えて、水酸化アルミニウムゾルの粒径を制御してナノスケール水酸化アルミニウム粉末を生成し、その後合成されたアルミナ粉末の焙焼温度を下げ、最後に600℃~900℃で焙焼した後高品質のミクロンオーダーのγ相アルミナ粉末が得られる。本発明の目的は、炭素熱還元工程の出発物質として高純度窒化アルミニウム粉末の合成に使用することができる高純度で低コストのγ相アルミナ粉末を開発することである。
以上に述べた実施例は、あくまでも本発明の特徴及び効果を説明するための単なる例示であり、本発明の本質的な技術内容の範囲を限定することを意図するものではない。当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で上記実施例へ潤色や変動を加えることができる。従って本発明の保護範囲は、後記の特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
S101-S105 工程

Claims (8)

  1. アルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法であって、
    電気化学装置を用意し、純度3Nグレード以上のアルミニウム材料をアノード、酸性溶液を電解液とする工程(A)と、
    電流パルス法で前記アルミニウム材料の溶解を加速して酸性アルミニウム塩溶液を形成する工程(B)と、
    アルカリ性溶液で酸性アルミニウム塩溶液を中和して粒径範囲が1~10μmである水酸化アルミニウムゾルを形成する工程(C)と、
    前記水酸化アルミニウムゾルの中に添加剤を加えて水酸化アルミニウムゾルの粒径をナノスケールに制御し、水酸化アルミニウムゾルをろ過して乾燥させた後、水酸化アルミニウム粉末(水酸化アルミニウム粉末の粒子径は30~300nmの範囲である)を得る工程(D)と、
    前記水酸化アルミニウム粉末を高温で焙焼してミクロンオーダーのγ-アルミナ粉末を形成する工程(E)と、を含み、
    前記工程(B)の電流パルス法は、電源供給装置により定電流パルスを設定し、定電流パルスが0.1~1.0A/cm 及び秒数10秒、0A/cm 及び秒数15秒を1サイクルとし、パルス電流サイクル数は20回以上、総電解時間は500秒以上であり、
    前記工程(D)の添加剤は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化アンモニウム(NH Cl)、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム塩(3-mercapto-1-propanesulfonicacisodiumsalt、MPS)及び4-ドデシルベンゼンスルホン酸(4-Dodecylbenzenesulfonic acid、DBSA)からなる群から選択される1つである、アルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法。
  2. 前記工程(A)のアルミニウム材料は、アルミニウムくず又はアルミニウム破砕片であり、前記電気化学装置は電気化学二重電極システムであり、カソード材料が白金、金、黒鉛のいずれかである請求項1に記載のアルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法。
  3. 前記工程(A)の酸性電解液は、塩酸(HCl)、硫酸(HSO)及び硝酸(HNO)からなる群から選択される1つであり、前記酸性電解液の濃度は0.5M~3Mの範囲である請求項1に記載のアルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法。
  4. 前記工程(C)のアルカリ性溶液は、水酸化ナトリウム(NaOH)、アンモニア(NHOH)及び水酸化カリウム(KOH)からなる群から選択される1つであり、前記アルカリ性溶液で酸性アルミニウム塩溶液の酸とアルカリをpH6~8の範囲に中和させ、水酸化アルミニウム(Al(OH))ゾルを形成する請求項1に記載のアルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法。
  5. 前記添加剤の濃度は0.01M~0.5Mの範囲であり、pH値をpH6~8の範囲に制御する請求項に記載のアルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法。
  6. 前記工程(D)の濾過・乾燥手順は、水酸化アルミニウムゾルを吸引濾過した後、オーブン又はホットプレートを温度80~100℃に設定して低温で乾燥させてナノスケールの水酸化アルミニウム粉末を形成する請求項1に記載のアルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法。
  7. 前記工程(E)の高温焙焼温度は、600℃~1000℃で、温度保持時間は1~5時間である請求項1に記載のアルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法。
  8. 前記工程(E)の高温焙焼温度は、600℃~900℃で、温度保持時間は1~5時間であり、高温焙焼後でミクロンオーダーのγ-アルミナ粉末を形成する請求項に記載のアルミニウム塩を電気化学的に溶解する方法によるアルミナ粉末の調製方法。
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