JP7298762B2 - バイオマス由来のポリエチレンが使用された化粧シート及び化粧板 - Google Patents
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Description
前記基材シートと、前記絵柄模様層との間に、前記基材シートの第1面全体を被覆している、絵柄補助層を有することが好ましい。
前記絵柄補助層は、厚みが1μm以上5μm以下であることが好ましい。
前記絵柄補助層は、スムージング処理が施されていることが好ましい。
前記絵柄模様層の前記絵柄補助層とは反対の面側に積層された、透明性樹脂層を有することが好ましい。
前記透明性樹脂層は、厚みが40μm以上100μm以下であることが好ましい。
前記透明性樹脂層は、オレフィン樹脂からなることが好ましい。本開示は、前記バイオマス由来のポリエチレンが使用された化粧シートの前記基材シートの第2面側に被着材が積層された化粧板でもある。
以下、本開示のバイオマス由来のポリエチレンが使用された化粧シートについて説明する。
図1に示すように、本開示のバイオマス由来のポリエチレンが使用された化粧シート10は、基材シート1の第1面側に、絵柄模様層3が積層されている。
また、基材シート1と、絵柄模様層3との間に、基材シート1の第1面全体を被覆している絵柄補助層2を有することが好ましい。
化粧シートは、バイオマス由来のポリエチレンを含み、第1面及び第2面を有する、基材シートを用いる。
第1面は、基材シートの絵柄模様層を形成する側の面(表面ともいう)であり、第2面は、基材シートの第1面とは反対側の面(被着材を積層する側の面であり、裏面ともいう)である。
なお、バイオマス由来の原料を用いているか否かは、後述する「バイオマス度」において記載する放射性炭素(C14)測定により判別することができる。
バイオマス度が15%以上であることにより、化石燃料由来の原料を好適に削減し、環境負荷を好適に低減することができる。
バイオマス度は、環境負荷を更に好適に低減する観点から、20%以上であることがより好ましく、25%以上であることが更に好ましい。
一方で、基材シートのバイオマス度が高くなるほど、フィッシュアイによる欠陥が顕著となるが、基材シートのバイオマス度が40%以下であり、基材シートが所定の厚みを有することにより、基材シートのフィッシュアイによる欠陥の悪影響を緩和することができるので、絵柄模様の色抜けを抑制することができる。
すなわち、ポリエチレン中のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求めることができる。
Pbio(%)=PC14/105.5×100
酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系、硫黄系、リン系の酸化防止剤等が挙げられる。これらの中でも、基材シートのフィッシュアイを低減することができ、絵柄模様の色抜けや被着材への接着不良を抑制する観点から、フェノール系酸化防止剤が好ましい。また、フェノール系酸化防止剤は、加水分解しにくいため、耐久性が要求される化粧シートの基材シートに使用する酸化防止剤として好ましい。
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリト-ルジフォスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)[1,1ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホナイト、テトラ(C12以上C15以下のアルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、3,9-ビス(2,6-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5,5ウンデカン]、1,1’-ビフェニル-4,4’-ジイルビス[亜ホスホン酸ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)]等が挙げられる。
なお、添加剤の含有量としては、基材シートの質量を基準として、20質量%以上、40質量%以下であることが好ましい。
基材シートの厚みが前記範囲であることにより、基材シートのフィッシュアイによる欠陥の悪影響を緩和することができるので、絵柄模様層の絵柄模様の色抜けを抑制することができる。
また、厚みが90μm以下であることにより、基材シートに使用する化石燃料由来の原料を削減できるので、環境負荷を低減することもできる。
化粧シートは、基材シートの第1面側に積層された、絵柄模様を構成する絵柄模様層を有する。
絵柄模様層の厚みは、0.5μm以上3μm以下とすることがより好ましい。
化粧シートは、基材シートと、絵柄模様層との間に、基材シートの第1面全体を被覆している、絵柄補助層を有することが好ましい。
このような絵柄補助層を有することにより、基材シートの第1面側のフィッシュアイを好適に補修し、絵柄補助層に積層される絵柄模様層の絵柄模様の色抜けを好適に抑制することができる。なお、絵柄補助層は、第1面全体を一様に被覆していればよく、第1面全面を完全に被覆している必要はない。絵柄補助層は、例えば、形成時に不可避なピンホールなどの微小欠陥が生じている場合がある。
絵柄補助層は、厚みが1.5μm以上3μm以下であることがより好ましい。
基材シートの第2面側に積層され、基材シートの第2面全体を被覆している、裏面接着補助層を有してもよい。このような裏面接着補助層を有することにより、基材シートの第2面側のフィッシュアイを補修し、被着材に対する接着不良を抑制することができる。なお、裏面接着補助層は、第2面全体を一様に被覆していればよく、第2面全面を完全に被覆している必要はない。裏面接着補助層は、例えば、形成時に不可避なピンホールなどの微小欠陥が生じている場合がある。
イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2-4トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4-4ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネート等を用いることができる。
硝化綿の含有量は、裏面接着補助層の質量を基準として、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。
裏面接着補助層は、厚みが1.5μm以上5μm以下であることがより好ましい。
化粧シートは、絵柄模様層の絵柄補助層とは反対の面側に積層された、透明性樹脂層を有することが好ましい。
透明性樹脂層を有することにより、絵柄模様層を保護し、化粧シートの耐傷性を向上させて耐久性を付与することができる。
なお、「透明性」とは、絵柄模様層が視認できる範囲であれば、半透明や着色されていてもよい。
光安定剤の含有量は、透明性樹脂層の質量を基準として、1.5質量%以上、3質量%以下であることが好ましい。
透明性樹脂層の厚みが前記範囲であることにより、化粧シート全体として化石燃料由来のポリエチレン量を好適に削減することができ、環境負荷を好適に低減することができる。
透明性樹脂層は、厚みが50μm以上80μm以下であることが好ましい。
なお、溶融した樹脂を押出すことができるTダイ等は、上述した押出し機構として用いることができる。
化粧シートでは、透明性樹脂層の前記絵柄模様層と反対の面側に表面保護層を有していてもよい。
表面保護層を有することにより、耐久性(耐傷性、耐汚染性、耐候性等)を付与することができる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート{5官能(メタ)アクリレート}、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート{6官能(メタ)アクリレート}等が挙げられる。なお、単官能モノマーを適宜使用しても良い。
グロスマット効果とは、艶のある部分を浮き出させ、艶のない部分を凹んで見えるようにする意匠効果を意味する。
グロスマット効果を付与する方法としては特に限定されず、艶調整剤を表面保護層に含有させてもよいし、凹凸形状により実現してもよい。凹凸形状は、例えば、最大高さRzが10μm以上60μm以下とすることができる。表面保護層のグロスマット効果が構成する絵柄模様は、絵柄模様層が構成する絵柄模様の全部または一部と同調していても同調していなくてもよい。フィッシュアイにより絵柄模様層が構成する絵柄模様に色抜けが生じた場合であっても目立たなくすることができるので、非同調(同調していない)絵柄模様であることが好ましい。
化粧シートは、絵柄模様層と透明性樹脂層との間に接着剤層を有してもよい。接着剤層は、透明性であることが好ましい。接着剤層の接着剤として、例えば、エステル系ウレタンやアクリル系ウレタンなどのウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤を用いることができる。接着剤層の厚みは、例えば、0.1以上30μm以下である。
化粧シートは、透明性樹脂層と表面保護層との間に表面接着補助層を有してもよい。表面接着補助層は、表面保護層に対するプライマー層や易接着層として機能する。表面接着補助層は、透明性であることが好ましい。表面接着補助層の接着剤として、例えば、エステル系ウレタンやアクリル系ウレタンなどのウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤を用いることができる。表面接着補助層は、紫外線吸収剤及び光安定剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤や光安定剤は透明性樹脂層と同様のものを用いることができる。表面接着補助層の厚みは、例えば、0.1以上30μm以下である。
本開示の化粧シートの製造方法においては、各工程の進行順は特に問わない。例えば、絵柄補助層、裏面接着補助層、絵柄模様層の順番、絵柄補助層、絵柄模様層、裏面接着層の順番、または、裏面接着補助層、絵柄補助層、絵柄模様層の順番で進行できる。また、各工程は連続して進行する必要はなく、これらの工程どうしの間に、他の工程や処理を行ってもよい。
本開示の化粧板は、バイオマス由来のポリエチレンが使用された化粧シートの基材シートの第2面側に被着材が積層されている。
被着材として、例えば、木質板、石膏系板、セメント板、セラミックス板、金属板、樹脂板、繊維強化プラスチック板が挙げられる。被着材の積層方法としては例えば、基材シートの第2面側に、接着剤を使用して被着材を積層すればよい。
バイオマス度が15%のバイオマス由来のポリエチレン[厚み65μmの着色ポリエチレンフィルム、フェノール系酸化防止剤(Irganox 1010、BASFジャパン株式会社製)を0.05質量%含み、リン系酸化防止剤(Irgafos 168、BASFジャパン株式会社製)を0.05質量%含む]を準備し、これを基材シートとした。
基材シートの一方の面側に、全体を被覆するように裏面接着補助層(エステル系ポリウレタン樹脂を53質量%含み、硝化綿を3質量%含む)を、凹版ロールを用いたグラビア印刷方式で有機溶剤を含むインキをベタ印刷することによって形成した。
基材シートのもう一方の面側に、全体を被覆するように、アクリル-ウレタン系樹脂を主成分とする厚さ2μmの絵柄補助層を、凹版ロールを用いたグラビア印刷方式で有機溶剤を含むインキをベタ印刷することによって形成した後、アクリル-ウレタン系樹脂を主成分とする厚さ2μmの絵柄模様層(木目模様)を、凹版ロールを用いたグラビア印刷方式で着色剤及び有機溶剤を含むインキを部分印刷することによって形成した。
絵柄模様層の絵柄補助層と反対の面側に、エステル系ポリウレタンを塗布して厚み10μmの接着剤層を形成し、接着剤層上に、厚み60μmの透明性オレフィンシートをドライラミネートして透明性樹脂層を形成した。
更に、透明性樹脂層の接着剤層と反対の面側に、厚み2μmのアクリル-ウレタン共重合体樹脂からなる表面接着補助層を形成し、表面接着補助層上にグラビアコートにて、コート剤(ウレタンアクリレート系電離放射線硬化性樹脂組成物)を塗工した後、電離放射線を照射してコート剤を硬化して、厚み5μmの表面保護層を形成した。
最後に、表面保護層を有する面側から熱圧によるエンボス加工を施して凹凸形状を形成し、化粧シートを製造した。
基材シートのバイオマス度、及び、厚みを表1に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして化粧シートを製造した。
バイオマス度が15%のバイオマス由来のポリエチレン[厚み65μmの着色ポリエチレンフィルム、フェノール系酸化防止剤(Irganox 1010、BASFジャパン株式会社製)を0.05質量%含み、リン系酸化防止剤(Irgafos 168、BASFジャパン株式会社製)を0.05質量%含む]を準備し、これを基材シートとした。
基材シートの一方の面側に、全体を被覆するように裏面接着補助層(エステル系ポリウレタン樹脂を53質量%含み、硝化綿を3質量%含む)を、凹版ロールを用いたグラビア印刷方式で有機溶剤を含むインキをベタ印刷することによって形成した。
基材シートのもう一方の面側に、アクリル-ウレタン系樹脂を主成分とする厚さ2μmの絵柄模様層(木目模様)を、凹版ロールを用いたグラビア印刷方式で着色剤及び有機溶剤を含むインキを部分印刷することによって形成した。
絵柄模様層の絵柄補助層と反対の面側に、エステル系ポリウレタンを塗布して厚み10μmの接着剤層を形成し、接着剤層上に、厚み60μmの透明性オレフィンシートをドライラミネートして透明性樹脂層を形成した。
更に、透明性樹脂層の接着剤層と反対の面側に、厚み2μmのアクリル-ウレタン共重合体樹脂からなる表面接着補助層を形成し、表面接着補助層上にグラビアコートにて、コート剤(ウレタンアクリレート系電離放射線硬化性樹脂組成物)を塗工した後、電離放射線を照射してコート剤を硬化して、厚み5μmの表面保護層を形成した。
最後に、表面保護層を有する面側から熱圧によるエンボス加工を施して凹凸形状を形成し、化粧シートを製造した。
(絵柄模様の色抜け)
実施例及び比較例で製造したバイオマス由来のポリエチレンが使用された化粧シートについて、500ルクス以上の光源下で、化粧シートから50cm離れた位置から絵柄模様層の絵柄が抜けているか(絵柄模様の色抜けがあるか)を目視で確認し、以下の基準で評価した。その結果を表1に示した。
下記の評価で「+」及び「+/-」のものを合格と判断した。
+:絵柄模様の色抜けが確認されなかった。
+/-:絵柄模様の色抜けが僅かに確認されたが、実用上問題がない程度であった。
-:絵柄模様の色抜けが確認された。
また、実施例1と実施例4との比較から、基材シートと、絵柄模様層との間に基材シートの第1面全体を被覆している絵柄補助層を有することにより、基材シートのフィッシュアイによる欠陥によって生じる絵柄模様の色抜けを好適に抑制できることが確認された。
一方で、比較例1では、基材シートのバイオマス度が高すぎたので、フィッシュアイによる欠陥の悪影響を十分に緩和できず、絵柄模様の色抜けを十分に抑制することができなかった。
2 絵柄補助層
3 絵柄模様層
4 裏面接着補助層
5 接着剤層
6 透明性樹脂層
7 表面接着補助層
8 表面保護層
10 バイオマス由来のポリエチレンが使用された化粧シート
Claims (6)
- バイオマス由来のポリエチレンを含み、第1面及び第2面を有する、基材シートと、
前記基材シートの第1面側に積層された、絵柄模様を構成する絵柄模様層と、
前記絵柄模様層の前記基材シートとは反対の面側に積層された、透明性樹脂層と、
前記透明性樹脂層の前記絵柄模様層とは反対の面側に積層された、表面保護層と、を有し、
前記基材シートは、バイオマス度が15%以上40%以下であり、厚みが65μm以上90μm以下であり、
前記透明性樹脂層は、オレフィン樹脂からなり、
前記基材シートと、前記絵柄模様層との間に、前記基材シートの第1面全体を被覆している、絵柄補助層を有する、
バイオマス由来のポリエチレンが使用された化粧シート。 - 前記基材シートは、酸化防止剤を含有する、請求項1に記載のバイオマス由来のポリエチレンが使用された化粧シート。
- 前記絵柄補助層は、厚みが1μm以上5μm以下である、請求項1又は2に記載のバイオマス由来のポリエチレンが使用された化粧シート。
- 前記絵柄補助層は、スムージング処理が施されている、請求項1~3の何れか1項に記載のバイオマス由来のポリエチレンが使用された化粧シート。
- 前記透明性樹脂層は、厚みが40μm以上100μm以下である、請求項1~4の何れか1項に記載のバイオマス由来のポリエチレンが使用された化粧シート。
- 請求項1~5の何れか1項に記載のバイオマス由来のポリエチレンが使用された化粧シートの前記基材シートの第2面側に被着材が積層された化粧板。
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