以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴を具体的に説明する。
本発明の内部電極用導電性ペーストは、下記の要件(以下、本発明の要件と呼ぶ)を満たす。すなわち、本発明の内部電極用導電性ペーストは、金属粉末と、セラミック粉末と、有機ビヒクルとを備え、セラミック粉末は、BET法換算による平均粒径が3nm以上25nm以下である第1のセラミック粉末と、BET法換算による平均粒径が40nm以上、かつ、焼成後の内部電極の厚み以下である第2のセラミック粉末とを含み、第1のセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合は50%以上であり、第2のセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合は20%未満であって、金属粉末の重量に対する、第1のセラミック粉末と第2のセラミック粉末の合計重量の割合は、4%以上25%以下である。
本発明の内部電極用導電性ペーストは、内部電極を備えるセラミック電子部品の内部電極の作製に用いることができる。セラミック電子部品は、例えば積層セラミックコンデンサである。以下の説明では、本発明の内部電極用導電性ペーストを、積層セラミックコンデンサの作製に用いた例を挙げて説明する。ただし、セラミック電子部品が積層セラミックコンデンサに限定されることはない。
上記のように、本発明の内部電極用導電性ペーストは、平均粒径が3nm以上25nm以下である小粒径の第1のセラミック粉末を含む。小粒径のセラミック粉末は、金属粒子の間に入り込んで金属粒子の焼結を抑制し、内部電極のカバレッジを向上させることができる。特に、本発明の内部電極用導電性ペーストでは、第1のセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合を50%以上とすることにより、内部電極のカバレッジをより向上させることができる。内部電極のカバレッジとは、内部電極の誘電体セラミック層に対する被覆率である。
上記のように、本発明の内部電極用導電性ペーストは、平均粒径が40nm以上、かつ、焼成後の内部電極の厚み以下である第2のセラミック粉末を含む。第2のセラミック粉末の80%以上が金属粉末に担持されておらず、金属粒子充填膜の隙間に存在することにより、内部電極から誘電体セラミック層へ排出されにくくなる。また、積層セラミックコンデンサの脱脂焼成における金属粒子の緻密化・粒成長過程で、第2のセラミック粉末を効果的に金属粒子の三重点以上の多重点にピニングさせることができ、内部電極の収縮、特に800℃以上での焼成時における内部電極の収縮を抑制することができる。これにより、積層セラミックコンデンサの構造欠陥の発生や絶縁破壊電圧の低下を抑制することができる。
また、大粒径の第2のセラミック粉末は、焼成後に誘電体セラミック層間を繋ぐ貫通柱を形成することもできるので、高定格電圧を印加した時の電歪に伴う構造欠陥を抑制することができる。電歪に伴う構造欠陥とは、例えば、誘電体セラミック層と内部電極との界面における剥がれである。ただし、第2のセラミック粉末の平均粒径が焼成後の内部電極の厚みより大きくなると、焼成時に積層体の積層方向における収縮が阻害されて内部電極の厚みが大きくなり、内部電極のカバレッジの低下や、絶縁破壊電圧の低下が生じる。
本発明の内部電極用導電性ペーストは、小粒径の第1のセラミック粉末と大粒径の第2のセラミック粉末とを含むことにより、作製される内部電極のカバレッジを向上させるとともに、構造欠陥の発生や絶縁破壊電圧の低下を抑制することができる。
(実施例1)
<内部電極用導電性ペーストの作製>
ここでは、比較のために、1種類のセラミック粉末を含む内部電極用導電性ペーストと、2種類のセラミック粉末を含む内部電極用導電性ペーストを作製した。なお、内部電極用導電性ペーストに含まれる金属粉末としては、Ni粉末を用いた。
1種類のセラミック粉末を含む内部電極用導電性ペーストは、以下の方法により作製した。すなわち、SEM径200nmのNi粉末を40重量部、BET径3nm以上50nmのBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材A)を4重量部、および、重量平均分子量2万3千かつ数平均分子量1万1千のポリカルボン酸系分散剤2重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートからなる有機ビヒクルを54重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、内部電極用導電性ペーストを作製した。
なお、「BaTiO3を主成分とする」とは、少なくとも半分以上の成分がBaTiO3であることを意味する。また、Ni粉末のSEM径は、SEM観察により求められるNi粉末の平均粒径である。また、セラミック粉末のBET径は、BET法換算による平均粒径、すなわち、BET法を用いて求めた比表面積から算出される平均粒径である。
また、SEM径200nmのNi粉末を40重量部、BET径20nm以上800nm以下のBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材B)を4重量部、および、重量平均分子量2万3千かつ数平均分子量1万1千のポリカルボン酸系分散剤1.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクルを54重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、内部電極用導電性ペーストを作製した。
2種類のセラミック粉末を含む内部電極用導電性ペーストは、以下の方法により作製した。まず、SEM径200nmのNi粉末を40重量部、BET径3nm以上50nm以下のBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材A)を2重量部、および、重量平均分子量2万3千かつ数平均分子量1万1千のポリカルボン酸系分散剤1.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクルを40重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、中間導電性ペーストを作製した。
続いて、BET径20nm以上800nm以下のBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材B)2重量部、および、重量平均分子量6千かつ数平均分子量6千のモノカルボン酸系分散剤0.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクル14重量部を混合して、上記の中間導電性ペーストに添加した後、ロール分散することによって、内部電極用導電性ペーストを作製した。
<積層セラミックコンデンサの作製>
以下の方法により、積層セラミックコンデンサを作製した。まず、BET径250nmのBaTiO3を主成分とするセラミック材料と、有機バインダ、有機溶剤、可塑剤および分散剤とを所定の割合で混合し、ロール分散により湿式分散して、セラミックスラリーを得た。
続いて、ドクターブレード法により、セラミックスラリーをPETフィルム上に成形して、セラミックグリーンシートを得た。セラミックスラリーの厚さは、乾燥後の厚みが2.5μmとなるように調整した。
続いて、セラミックグリーンシート上に、後で得られるカット後かつ焼成後のチップ状の積層体の平面寸法が3.2mm×1.6mmとなるようなパターンで内部電極用導電性ペーストを印刷し、後に内部電極となる導電性塗膜を形成した。内部電極用導電性ペーストは、XRF測定による乾燥後の平均厚みが0.4μmとなるように、スクリーン印刷機により印刷した。
続いて、導電性塗膜が形成されたセラミックグリーンシートをPETフィルムから剥離し、剥離したセラミックグリーンシートを200枚積層して所定の金型に入れた。ただし、積層方向の両外側には、導電性塗膜が形成されていないセラミックグリーンシートを所定枚数配置した。その後、全体をプレスし、所定の大きさにカットして、チップ状の生の積層体を得た。
続いて、得られた生の積層体を、窒素中、280℃の温度で10時間加熱することによって脱脂処理を行った後、酸素分圧が10-16MPa以上10-14MPa以下であるN2、H2、H2Oの混合雰囲気中において、800℃で3時間保持し、さらに酸素分圧が10-9MPa以上10-8MPa以下であるN2、H2、H2Oの混合雰囲気中において、1210℃で2時間焼成することによって、焼結体を得た。この焼結体において、カバレッジ76%での内部電極の厚みは、0.6μmであった。
この焼結体の両端、より詳しくは、内部電極が露出している両端に外部電極を形成することにより、積層セラミックコンデンサが得られる。
図1は、上述した方法により作製された積層セラミックコンデンサ10の斜視図である。図2は、図1に示す積層セラミックコンデンサ10のII-II線に沿った断面図である。図3は、図1に示す積層セラミックコンデンサ10のIII-III線に沿った断面図である。
図1~図3に示すように、積層セラミックコンデンサ10は、全体として直方体形状を有するセラミック電子部品であり、セラミック素体11と、第1の外部電極14aおよび第2の外部電極14bとを有している。
ここでは、第1の外部電極14aと第2の外部電極14bとが対向する方向を積層セラミックコンデンサ10の長さ方向Lと定義し、後述する誘電体セラミック層12と内部電極13a、13bとが積層されている方向を積層方向Tと定義し、長さ方向Lおよび積層方向Tのいずれの方向にも直交する方向を幅方向Wと定義する。
図2および図3に示すように、セラミック素体11は、積層された複数の誘電体セラミック層12と複数の内部電極13a、13bとを含む。内部電極13a、13bには、第1の内部電極13aと第2の内部電極13bとが含まれている。より詳細には、セラミック素体11は、第1の内部電極13aと第2の内部電極13bとが積層方向Tにおいて、誘電体セラミック層12を介して交互に複数積層された構造を有する。第1の内部電極13aおよび第2の内部電極13bの厚みは、0.3μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
第1の外部電極14aと第2の外部電極14bは、図1に示すように、対向するように配置されている。第1の外部電極14aは、第1の内部電極13aと電気的に接続されており、第2の外部電極14bは、第2の内部電極13bと電気的に接続されている。
<カバレッジ判定およびBDV判定>
作製した焼結体のうち、任意の10個について、内部電極と誘電体セラミック層との界面で剥がし、剥がした面における金属部分の占める割合を、内部電極のカバレッジとして算出した。ここでは、カバレッジが70%未満である場合にはNGであることを示す「×」、70%以上75%未満である場合にはOKであることを示す「○」、75%以上である場合には非常に良いことを示す「◎」と判定した。
また、焼結体の両端に、外部電極となる銅電極を焼き付けた後、絶縁破壊電圧を求めるためのDC-BDV試験を行った。このDC-BDV試験では、昇圧速度を100V/秒、検出電流を83mAとして、積層セラミックコンデンサがショートする直流電圧を絶縁破壊電圧として求めた。ここでは、任意の30個の積層セラミックコンデンサのうち、絶縁破壊電圧が100V以下である数が4個以上の場合にNGであることを示す「×」、1個以上3個以下の場合にOKであることを示す「○」、0個の場合に非常に良いことを示す「◎」と判定した。
表1では、試料番号1~38の各試料について、Ni粉末のSEM径、共材AのBET径、共材BのBET径、共材Aと共材Bの添加重量割合、ニッケルの添加重量に対する共材Aと共材Bの合計添加重量の割合、内部電極のカバレッジ、BDVのNG数、カバレッジ判定、BDV判定をそれぞれ示している。なお、BDVのNG数とは、DC-BDV試験において、絶縁破壊電圧が100V以下である積層セラミックコンデンサの数である。
共材Aと共材Bのセラミック粉末を用いた試料番号12~38の試料において、共材Aのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合は50%以上であり、共材Bのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合は20%未満であることを確認した。
表1において、試料番号に*が付されている試料は、上述した本発明の要件を満たしていない試料であり、試料番号に*が付されていない試料は、本発明の要件を満たしている試料である。
なお、本発明の要件を満たしている試料において、共材Aのセラミック粉末は第1のセラミック粉末であり、共材Bのセラミック粉末は第2のセラミック粉末である。後述する表2~表7でも同様である。
表1に示すように、共材として1種類のセラミック粉末を含み、本発明の要件を満たしていない内部電極用導電性ペーストを用いて製造された試料番号1~11の試料では、カバレッジ判定およびBDV判定のうちの少なくとも一方が「×」となった。
また、共材として2種類のセラミック粉末を含むが、セラミック粉末のBET径が本発明の要件を満たしていない内部電極用導電性ペーストを用いて製造された試料番号12~14、23、28、33~38の試料も、カバレッジ判定およびBDV判定のうちの少なくとも一方が「×」となった。なお、焼成後の内部電極の厚みは、600nmである。
すなわち、本発明の要件を満たしていない内部電極用導電性ペーストを用いて製造された試料では、内部電極のカバレッジの低下、および、絶縁破壊電圧の低下のうちの少なくとも一方の不具合が生じた。
なお、共材Bであるセラミック粉末のBET径が800nmの内部電極用導電性ペーストを用いて製造された試料では、この大粒径のセラミック粉末の厚みが焼成後の内部電極の物理厚以上である。このため、大粒径のセラミック粉末が焼成時の積層方向における収縮を阻害することになり、内部電極の積層方向の厚みが厚くなってカバレッジの低下や内部電極の玉化が生じ、絶縁破壊電圧が低下するものと考えられる。
これに対して、本発明の要件を満たす内部電極用導電性ペーストを用いて製造された試料番号15~22、24~27、29~32の試料では、カバレッジ判定およびBDV判定のそれぞれで、「×」と判定されたものはなく、「○」か「◎」となった。
すなわち、本発明の要件を満たす内部電極用導電性ペーストを用いて製造された積層セラミックコンデンサは、内部電極のカバレッジが高く、かつ、絶縁破壊電圧が高い。特に、本発明の要件を満たす内部電極用導電性ペーストを用いて、長さ方向Lの寸法が1.6mm以上、幅方向Wおよび積層方向Tの寸法が0.8mm以上である大型の積層セラミックコンデンサや、高定格電圧の積層セラミックコンデンサを製造した場合に、内部電極の高カバレッジ化および絶縁破壊電圧の低下抑制の効果が大きい。
(実施例2)
金属粉末の重量に対する、共材Aのセラミック粉末と共材Bのセラミック粉末の合計重量の割合を変更したときの効果を確認する目的で、表2の試料番号41~50の試料を作製した。また、試料番号41~50の各試料において、共材Aのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合は50%以上であり、共材Bのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合は20%未満であることを確認した。
表2において、試料番号に*が付されている試料は、上述した本発明の要件を満たしていない試料であり、試料番号に*が付されていない試料は、本発明の要件を満たしている試料である。
各試料を作製するために用いる内部電極用導電性ペーストは、以下の方法により作製した。まず、SEM径200nmのNi粉末を40重量部、BET径7nmまたは25nmのBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材A)を0.4重量部以上8重量部以下の所定重量部、および、重量平均分子量2万3千かつ数平均分子量1万1千のポリカルボン酸系分散剤1.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクルを35重量部以上45重量部以下の所定重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、中間導電性ペーストを作製した。
続いて、BET径40nmまたは500nmのBaTiO3を主成分とする第2のセラミック粉末(共材B)を0.4重量部以上8重量部以下の所定重量部、および、重量平均分子量6千かつ数平均分子量6千のモノカルボン酸系分散剤0.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートからなる有機ビヒクルを7重量部以上12.2重量部以下の所定重量部、それぞれ用意し、それらを混合して上記の中間導電性ペーストに添加した後、ロール分散することによって、内部電極用導電性ペーストを作製した。
この後、実施例1で説明した製造方法と同じ製造方法で、焼結体、および、焼結体の両端に外部電極を形成した積層セラミックコンデンサを作製した。また、作製した焼結体および積層セラミックコンデンサについて、実施例1で説明した方法と同じ方法により、内部電極のカバレッジ判定およびBDV判定を行った。
表2の試料番号41~45の試料において、共材Aのセラミック粉末のBET径は7nm、共材Bのセラミック粉末のBET径は40nm、共材Aのセラミック粉末の重量と共材Bのセラミック粉末の重量との比は5:5である。
また、表2の試料番号46~50の試料は、共材Aのセラミック粉末のBET径は25nm、共材Bのセラミック粉末のBET径は500nm、共材Aのセラミック粉末の重量と共材Bのセラミック粉末の重量との比は5:5である。
表2に示すように、Ni粉末の重量に対する、共材Aのセラミック粉末と共材Bのセラミック粉末の合計重量の割合が4%以上25%以下であり、本発明の要件を満たす試料番号42~44および47~49の試料は、カバレッジ判定およびBDV判定のそれぞれで、「×」と判定されたものはなく、「○」か「◎」となった。
一方、Ni粉末の重量に対する、共材Aのセラミック粉末と共材Bのセラミック粉末の合計重量の割合が4%未満または25%より大きく、本発明の要件を満たしていない試料番号41、45、46、50の試料は、カバレッジ判定およびBDV判定のうちの少なくとも一方が「×」となった。
以上の通り、内部電極のカバレッジ低下および絶縁破壊電圧の低下を抑制するためには、金属粉末の重量に対する、第1のセラミック粉末と第2のセラミック粉末の合計重量の割合が4%以上25%以下であることが必要である。
(実施例3)
共材Aのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合が50%以上であり、かつ、共材Bのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合が20%未満であることの効果を確認する目的で、表3の試料番号51~58の試料を作製した。
表3の全ての試料において、共材Bのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合は20%未満である。また、表3において、試料番号に*が付されている試料番号55~58の試料は、共材Aのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されている割合が50%未満であり、本発明の要件を満たしていない試料である。一方、試料番号に*が付されていない試料は、共材Aのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されている割合が50%以上であり、本発明の要件を満たしている試料である。
なお、試料番号51~54の試料は、表1の試料番号17、21、26、31の試料と同じである。
共材Aのセラミック粉末が50%以上、金属粉末に担持されている内部電極用導電性ペーストは、以下の方法により作製した。
まず、SEM径200nmのNi粉末を40重量部、BET径15nmのBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材A)を2重量部、および、重量平均分子量2万3千かつ数平均分子量1万1千のポリカルボン酸系分散剤1.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートからなる有機ビヒクルを40重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、中間導電性ペーストを作製した。
続いて、BET径40nm以上500nm以下のBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材B)2重量部、および、重量平均分子量6千かつ数平均分子量6千のモノカルボン酸系分散剤0.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクル14重量部を混合して、上記の中間導電性ペーストに添加した後、ロール分散することによって、内部電極用導電性ペーストを作製した。
作製した内部電極用導電性ペーストの乾燥塗膜表面のSEM像を観察し、共材Aのセラミック粉末、すなわち、第1のセラック粉末の100粒子中、50粒子以上がNi粒子の表面に担持されており、共材Bのセラミック粉末、すなわち、第2のセラミック粉末の20粒子中、16粒子以上がNi粒子の表面に担持されていないことを確認した。すなわち、第1のセラミック粉末のうち、Ni粉末の表面に担持されているものの割合は50%以上であり、第2のセラミック粉末のうち、Ni粉末に担持されているものの割合は20%未満である。
共材Aのセラミック粉末が50%以上、金属粉末に担持されていない内部電極用導電性ペーストは、以下の方法により作製した。
まず、SEM径200nmのNi粉末を40重量部、BET径15nmのBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材A)を2重量部、および、重量平均分子量6千かつ数平均分子量6千のモノカルボン酸系分散剤1.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクルを40重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、中間導電性ペーストを作製した。
続いて、BET径40nm以上500nm以下のBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材B)2重量部、および、重量平均分子量6千かつ数平均分子量6千のモノカルボン酸系分散剤0.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクル14重量部を混合して、上記の中間導電性ペーストに添加した後、ロール分散することによって、内部電極用導電性ペーストを作製した。
作製した内部電極用導電性ペーストの乾燥塗膜表面のSEM像を観察し、共材Aのセラック粉末の100粒子中、50粒子以上がNi粒子の表面に担持されておらず、かつ、共材Bのセラミック粉末の20粒子中、16粒子以上がNi粒子の表面に担持されていないことを確認した。すなわち、共材Aのセラミック粉末のうち、Ni粉末に担持されているものの割合は50%未満であり、共材Bのセラミック粉末のうち、Ni粉末に担持されているものの割合は20%未満である。
この後、実施例1で説明した製造方法と同じ製造方法で、焼結体、および、焼結体の両端に外部電極を形成した積層セラミックコンデンサを作製した。また、作製した焼結体および積層セラミックコンデンサについて、実施例1で説明した方法と同じ方法により、内部電極のカバレッジ判定およびBDV判定を行った。
第1のセラミック粉末のうち、Ni粉末の表面に担持されているものの割合が50%以上、かつ、第2のセラミック粉末のうち、Ni粉末の表面に担持されているものの割合が20%未満であり、本発明の要件を満たす内部電極用導電性ペーストを用いて作製された試料番号51~54の試料は、カバレッジ判定およびBDV判定のそれぞれで、「×」と判定されたものはなく、「○」か「◎」となった。
一方、共材Aのセラミック粉末のうち、Ni粉末の表面に担持されているものの割合が50%未満であり、本発明の要件を満たしていない内部電極用導電性ペーストを用いて作製された試料番号55~58の試料はいずれも、カバレッジ判定が「×」となった。
すなわち、内部電極のカバレッジ低下および絶縁破壊電圧の低下を抑制するためには、内部電極用導電性ペーストがBET径3nm以上25nm以下である第1のセラミック粉末と、BET径40nm以上、かつ、焼成後の内部電極の厚み以下である第2のセラミック粉末とを含むだけでは不十分であり、第1のセラミック粉末のうちの50%以上が金属粉末に担持されていることが必要である。
なお、大粒径の第2のセラミック粉末を金属粉末に担持させるようにすると、小粒径の第1のセラミック粉末を金属粉末に担持させることができなくなり、電極塗膜の金属充填率が低下する。したがって、小粒径の第1のセラミック粉末を金属粉末に担持させるようにすることが重要である。
(実施例4)
共材Aのセラミック粉末と共材Bのセラミック粉末の重量比を変更したときの効果を確認する目的で、表4の試料番号61~75の試料を作製した。また、共材Aと共材Bのセラミック粉末を用いた試料において、共材Aのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合は50%以上であり、共材Bのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合は20%未満であることを確認した。
表4において、試料番号に*が付されている試料は、共材として含まれるセラミック粉末が1種類のため、本発明の要件を満たしていない試料であり、試料番号に*が付されていない試料は、本発明の要件を満たしている試料である。
1種類のセラミック粉末を含む内部電極用導電性ペーストは、以下の方法により作製した。すなわち、SEM径200nmのNi粉末を40重量部、BET径7nm以上25nm以下のBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材A)を4重量部、および、重量平均分子量2万3千かつ数平均分子量1万1千のポリカルボン酸系分散剤2重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクルを54重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、内部電極用導電性ペーストを作製した。
また、SEM径200nmのNi粉末を40重量部、BET径40nm以上500nm以下のBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材B)を4重量部、および、重量平均分子量6千かつ数平均分子量6千のポリカルボン酸系分散剤2重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクルを54重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、内部電極用導電性ペーストを作製した。
2種類のセラミック粉末を含む内部電極用導電性ペーストは、以下の方法により作製した。まず、SEM径200nmのNi粉末を40重量部、BET径7nm以上25nm以下のBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材A)を1.2重量部以上3.6重量部以下の所定重量部、および、重量平均分子量2万3千かつ数平均分子量1万1千のポリカルボン酸系分散剤1.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクルを40重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、中間導電性ペーストを作製した。
続いて、BET径40nm以上500nm以下のBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材B)を0.4重量部以上2.8重量部以下の所定重量部、および、重量平均分子量6千かつ数平均分子量6千のモノカルボン酸系分散剤0.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクル14重量部を混合して、上記の中間導電性ペーストに添加した後、ロール分散することによって、内部電極用導電性ペーストを作製した。
この後、実施例1で説明した製造方法と同じ製造方法で、焼結体、および、焼結体の両端に外部電極を形成した積層セラミックコンデンサを作製した。また、作製した焼結体および積層セラミックコンデンサについて、実施例1で説明した方法と同じ方法により、内部電極のカバレッジ判定およびBDV判定を行った。
試料番号62~64、67~69、72~74の試料は、本発明の要件を満たす内部電極用導電性ペーストを用いて作製された試料である。これらの試料は、カバレッジ判定およびBDV判定のそれぞれで、「×」と判定されたものはなく、「○」か「◎」となった。
試料番号62~64、67~69、72~74の試料のうち、試料番号62、63、67、68、72、73の試料は、本発明の要件を満たし、かつ、共材Aの第1のセラミック粉末と共材Bの第2のセラミック粉末との合計重量を10重量部としたときに、第1のセラミック粉末の重量が5重量部以上9重量部以下であるという要件を満たす試料である。これらの試料は、カバレッジ判定およびBDV判定のうちの少なくとも一方が「◎」となった。
すなわち、本発明の要件を満たす内部電極用導電性ペーストは、第1のセラミック粉末と第2のセラミック粉末との合計重量を10重量部としたときに、第1のセラミック粉末の重量が5重量部以上9重量部以下であることが好ましい。第2のセラミック粉末の重量に注目すると、第1のセラミック粉末と第2のセラミック粉末との合計重量を10重量部としたときに、第2のセラミック粉末の重量が1重量部以上5重量部以下であることが好ましい。
(実施例5)
金属粉末の粒径を変更したときの効果を確認する目的で、表5の試料番号81~85の試料を作製した。試料番号81~85の各試料において、共材Aのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合は50%以上であり、共材Bのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合は20%未満であることを確認した。表5の試料番号81~85の試料は全て、本発明の要件を満たしている。
各試料を作製するために用いる内部電極用導電性ペーストは、以下の方法により作製した。まず、SEM径40nm以上500nm以下のNi粉末を40重量部、BET径7nmのBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材A)を2重量部、および、重量平均分子量2万3千かつ数平均分子量1万1千のポリカルボン酸系分散剤1.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクルを40重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、中間導電性ペーストを作製した。
続いて、BET径60nmのBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材B)2重量部、および、重量平均分子量6千かつ数平均分子量6千のモノカルボン酸系分散剤0.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクル14重量部を混合して、上記の中間導電性ペーストに添加した後、ロール分散することによって、内部電極用導電性ペーストを作製した。
この後、実施例1で説明した製造方法と同じ製造方法で、焼結体、および、焼結体の両端に外部電極を形成した積層セラミックコンデンサを作製した。ただし、セラミックグリーンシート上に形成する導電性ペーストは、XRF測定による乾燥後の平均厚みが0.5μmとなるように印刷した。
また、作製した焼結体および積層セラミックコンデンサについて、実施例1で説明した方法と同じ方法により、内部電極のカバレッジ判定およびBDV判定を行った。
本発明の要件を満たす内部電極用導電性ペーストを用いて作製された試料番号81~85の試料は、カバレッジ判定およびBDV判定のそれぞれで、「×」と判定されたものはなく、「○」か「◎」となった。
試料番号81~85の試料のうち、試料番号81~84の試料は、本発明の要件を満たし、かつ、Ni粉末の粒径が40nm以上300nm以下である試料である。これらの試料は全て、カバレッジ判定が「◎」となった。
すなわち、本発明の要件を満たす内部電極用導電性ペーストのうち、金属粉末の粒径を40nm以上300nm以下とすることにより、内部電極のカバレッジをさらに向上させることができる。したがって、金属粉末の粒径は、40nm以上300nm以下であることが好ましい。
(実施例6)
金属粉末としてNi粉末の代わりにCu粉末を用いた場合の効果を確認する目的で、表6の試料番号91~93の試料を作製した。試料番号92の試料において、共材Aのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合は50%以上であり、共材Bのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合は20%未満であることを確認した。
表6において、試料番号に*が付されている試料は、共材として含まれるセラミック粉末が1種類のため、本発明の要件を満たしていない試料であり、試料番号に*が付されていない試料は、本発明の要件を満たしている試料である。
各試料を作製するために用いる内部電極用導電性ペーストは、以下の方法により作製した。
1種類のセラミック粉末を含む内部電極用導電性ペーストは、以下の方法により作製した。すなわち、SEM径300nmのCu粉末を40重量部、BET径15nmのBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材A)を4重量部、および、重量平均分子量2万3千かつ数平均分子量1万1千のポリカルボン酸系分散剤2重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクルを54重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、内部電極用導電性ペーストを作製した。
また、SEM径300nmのCu粉末を40重量部、BET径60nmのBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材B)を4重量部、および、重量平均分子量6千かつ数平均分子量6千のポリカルボン酸系分散剤2重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクルを54重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、内部電極用導電性ペーストを作製した。
2種類のセラミック粉末を含む内部電極用導電性ペーストは、以下の方法により作製した。まず、SEM径300nmのCu粉末を40重量部、BET径15nmのBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材A)を2重量部、および、重量平均分子量2万3千かつ数平均分子量1万1千のポリカルボン酸系分散剤1.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクルを14重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、中間導電性ペーストを作製した。
続いて、BET径60nmのBaTiO3を主成分とするセラミック粉末(共材B)2重量部、および、重量平均分子量6千かつ数平均分子量6千のモノカルボン酸系分散剤0.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクル14重量部を混合して、上記の中間導電性ペーストに添加した後、ロール分散することによって、内部電極用導電性ペーストを作製した。
この後、実施例1で説明した製造方法と同じ製造方法で、焼結体、および、焼結体の両端に外部電極を形成した積層セラミックコンデンサを作製した。ただし、セラミックグリーンシート上に形成する導電性ペーストは、XRF測定による乾燥後の平均厚みが0.6μmとなるように印刷した。
また、作製した焼結体および積層セラミックコンデンサについて、実施例1で説明した方法と同じ方法により、内部電極のカバレッジ判定およびBDV判定を行った。
表6に示すように、共材として1種類のセラミック粉末のみを含む内部電極用導電性ペーストを用いて製造された試料番号91および93の試料では、カバレッジ判定またはBDV判定が「×」となった。
これに対して、本発明の要件を満たす内部電極用導電性ペーストを用いて製造された試料番号92の試料では、カバレッジ判定およびBDV判定がそれぞれ「○」となった。
すなわち、金属粉末としてNi粉末の代わりにCu粉末を用いた場合でも、内部電極のカバレッジが高く、かつ、絶縁破壊電圧が高い積層セラミックコンデンサを作製することができる。したがって、内部電極用導電性ペーストに含まれる金属粉末は、Ni粉末およびCu粉末のうちの少なくとも一方であればよい。
(実施例7)
セラミック粉末の主成分として、BaTiO3の代わりに、BaZrO3、CaZrO3、または、SrZrO3を用いた場合の効果を確認する目的で、表7の試料番号101~109の試料を作製した。また、試料番号101~109の各試料のうち、共材Aと共材Bのセラミック粉末を用いた試料において、共材Aのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合は50%以上であり、共材Bのセラミック粉末のうち、金属粉末の表面に担持されているものの割合は20%未満であることを確認した。
表7において、試料番号に*が付されている試料は、共材として含まれるセラミック粉末が1種類のため、本発明の要件を満たしていない試料であり、試料番号に*が付されていない試料は、本発明の要件を満たしている試料である。
1種類のセラミック粉末を含む内部電極用導電性ペーストは、以下の方法により作製した。すなわち、SEM径200nmのNi粉末を40重量部、BET径25nmのBaZrO3、CaZrO3、または、SrZrO3を主成分とするセラミック粉末(共材A)を4重量部、および、重量平均分子量6千かつ数平均分子量6千のモノカルボン酸系分散剤2重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクルを54重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、内部電極用導電性ペーストを作製した。
なお、「BaZrO3、CaZrO3、または、SrZrO3を主成分とする」とは、少なくとも半分以上の成分がBaZrO3、CaZrO3、または、SrZrO3であることを意味する。
また、SEM径200nmのNi粉末を40重量部、BET径80nmのBaZrO3、CaZrO3、または、SrZrO3を主成分とするセラミック粉末(共材B)を4重量部、および、重量平均分子量6千かつ数平均分子量6千のポリカルボン酸系分散剤2重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクルを54重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、内部電極用導電性ペーストを作製した。
2種類のセラミック粉末を含む内部電極用導電性ペーストは、以下の方法により作製した。まず、SEM径200nmのNi粉末を40重量部、BET径25nmのBaZrO3、CaZrO3、または、SrZrO3を主成分とするセラミック粉末(共材A)を2重量部、および、重量平均分子量2万3千かつ数平均分子量1万1千のポリカルボン酸系分散剤1.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクルを40重量部、それぞれ用意し、それらを混合してロール分散することにより、中間導電性ペーストを作製した。
続いて、BET径80nmのBaZrO3、CaZrO3、または、SrZrO3を主成分とするセラミック粉末(共材B)2重量部、および、重量平均分子量6千かつ数平均分子量6千のモノカルボン酸系分散剤0.5重量部とエチルセルロース樹脂とジヒドロターピネオールアセテートとからなる有機ビヒクル14重量部を混合して、上記の中間導電性ペーストに添加した後、ロール分散することによって、内部電極用導電性ペーストを作製した。ただし、1つの内部電極用導電性ペーストに含まれる共材Aのセラミック粉末の主成分と、共材Bのセラミック粉末の主成分は同じである。
この後、実施例1で説明した製造方法と同じ製造方法で、焼結体、および、焼結体の両端に外部電極を形成した積層セラミックコンデンサを作製した。また、作製した焼結体および積層セラミックコンデンサについて、実施例1で説明した方法と同じ方法により、内部電極のカバレッジ判定およびBDV判定を行った。
表7に示すように、共材として1種類のセラミック粉末のみを含む内部電極用導電性ペーストを用いて製造された試料番号101、103、104、106、107、および、109の試料では、カバレッジ判定またはBDV判定が「×」となった。
これに対して、本発明の要件を満たす内部電極用導電性ペーストを用いて製造された試料番号102、105、および、108の試料では、カバレッジ判定およびBDV判定がそれぞれ「○」となった。
したがって、内部電極用導電性ペーストに含まれる第1のセラミック粉末および第2のセラミック粉末の主成分がBaZrO3、CaZrO3、または、SrZrO3である場合も、主成分がBaTiO3である場合と同様に、内部電極のカバレッジが高く、かつ、絶縁破壊電圧が高い積層セラミックコンデンサを作製することができる。
すなわち、実施例1~実施例7の結果を考慮すると、セラミック粉末の主成分は、BaTiO3、BaZrO3、CaZrO3、および、SrZrO3からなる群より選ばれる少なくとも1種であれば、内部電極のカバレッジが高く、かつ、絶縁破壊電圧が高い積層セラミックコンデンサを作製することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。例えば、実施例1~実施例7で説明した特徴的な構成は、適宜組み合わせることができる。
第2のセラミック粉末として、2種類以上のセラミック粉末を用いてもよい。例えば、第2のセラミック粉末は、BET法換算による平均粒径が金属粉末の粒径の半分未満、かつ、焼成後の内部電極の厚みの半分未満であるセラミック粉末と、BET法換算による平均粒径が焼成後の内部電極の厚みの半分以上、かつ、焼成後の内部電極の厚み以下であるセラミック粉末とを含んでいてもよい。その場合、第2のセラミック粉末である2種類のセラミック粉末のうちの一方は、焼成時に内部電極から誘電体層へと排出されるのを抑制するためのセラミック粉末として機能し、他方は、誘電体セラミック層間を繋ぐ貫通柱となって構造欠陥を抑制するためのセラミック粉末として機能するので、より特性の優れた積層セラミック電子部品を作製することができる。