以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。尚、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
(射出成形機)
図1は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。図2は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。図3は、一実施形態に係る回転テーブルの回転角が0°の時であって型締時の金型装置の状態を示す水平断面図である。図4は、一実施形態に係る回転テーブルの回転角が0°の時であって型開完了時の金型装置の状態を示す水平断面図である。図5は、一実施形態に係る回転テーブルの回転角が180°の時であって型締時の金型装置の状態を示す水平断面図である。図6は、一実施形態に係る回転テーブルの回転角が180°の時であって型開完了時の金型装置の状態を示す水平断面図である。図7は、一実施形態に係る回転テーブルの回転角が0°の時であって型締時の金型装置の状態を示す鉛直断面図であって、回転テーブルの回転中心線に沿った鉛直断面図である。尚、図1および図2は、図3のI-I線に沿った鉛直断面図である。
本明細書において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X軸方向は型開閉方向であり、Y軸方向は射出成形機10の幅方向である。Y軸方向負側を操作側と呼び、Y軸方向正側を反操作側と呼ぶ。
射出成形機10は、図1~図7に示すように、金型装置800を開閉する型締装置100と、金型装置800で成形された第1不要品23を突き出す第1エジェクタ装置201と、金型装置800で成形された第2成形品22と第2不要品24の両方を突き出す第2エジェクタ装置202と、金型装置800に成形材料を射出する第1射出装置301と、金型装置800に成形材料を射出する第2射出装置302と、金型装置800に対し第1射出装置301を進退させる第1移動装置401と、金型装置800に対し第2射出装置302を進退させる第2移動装置(不図示)と、射出成形機10の各構成要素を制御する制御装置700と、射出成形機10の各構成要素を支持するフレーム900とを有する。フレーム900は、型締装置フレーム910と、射出装置フレーム920とを含む。型締装置フレーム910および射出装置フレーム920は、それぞれ、レベリングアジャスタ930を介して床2に設置される。射出装置フレーム920の内部空間に、制御装置700が配置される。以下、射出成形機10の各構成要素について説明する。
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
型締装置100は、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。金型装置800は、固定金型810と可動金型820とを含む。
型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110と、型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置される可動プラテン120と、可動プラテン120により、回転自在に支持される回転テーブル520と、回転テーブル520を回転させる回転機構530と、固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させる移動機構102とを有する。固定プラテン110は、型締装置フレーム910に対し固定される。
固定プラテン110は、型締装置フレーム910に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。固定金型810は、図3に示すように、可動金型820との対向面に、第1固定成形面811と、第2固定成形面812とを有する。
第1固定成形面811は、第1成形品21が成形される第1キャビティ空間801を形成する面の一部である。一方、第2固定成形面812は、第2成形品22が成形される第2キャビティ空間802を形成する面の一部である。
第1固定成形面811と、第2固定成形面812とは、異なる形状に形成され、それぞれ、例えば凹状に形成される。固定金型810は、型開閉方向に積層される複数の板(不図示)を有する。固定金型810を構成する複数の板のうち、可動金型820と接触する板を型板と呼ぶ。第1固定成形面811と、第2固定成形面812とは、単一の型板に形成されるが、それぞれが個別の型板に形成されてもよい。
可動プラテン120は、型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置される。型締装置フレーム910上には、可動プラテン120を案内する第1ガイド101が敷設される。第1ガイド101は、可動プラテンを支持するプラテン用キャリッジ104と、プラテン用キャリッジ104を案内するガイドレール103とを有する(図1および図2)。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面には、回転テーブル520を介して可動金型820が取付けられる。図3~図7に示すように、可動プラテン120は、ベアリング572を介して回転テーブル520の回転軸571を回転自在に支持する。
可動金型820は、固定金型810との対向面に、第1可動成形面821と、第2可動成形面822とを有する。第1可動成形面821と第2可動成形面822とは、それぞれ、図3および図5に示すように、第1キャビティ空間801を形成する面の一部と、第2キャビティ空間802を形成する面の一部とを順番に形成する。
第1可動成形面821と、第2可動成形面822とは、同一の形状に形成され、それぞれ、例えば凸状に形成される。可動金型820は、型開閉方向に積層される複数の板を有する。可動金型820を構成する複数の板のうち、固定金型810と接触する板を型板と呼ぶ。第1可動成形面821と、第2可動成形面822とは、単一の型板に形成されるが、それぞれが個別の型板に形成されてもよい。
尚、本実施形態では、第1固定成形面811と第2固定成形面812とが凹状に形成され、第1可動成形面821と第2可動成形面822とが凸状に形成されるが、本発明はこれに限定されない。つまり、第1固定成形面811と第2固定成形面812とが凸状に形成され、第1可動成形面821と第2可動成形面822とが凹状に形成されてもよい。
回転テーブル520は、可動プラテン120に回転自在に取り付けられる。回転テーブル520の回転中心線520Xは、型開閉方向に平行である。
回転機構530(図7参照)は、回転テーブル520を回転させる。回転機構530は、回転モータ531と、回転モータ531の回転駆動力を回転テーブル520に伝達する伝達機構532とを有する。伝達機構532は、詳しくは後述するが、例えば、駆動歯車533、中間歯車534および受動歯車535などで構成される。中間歯車534が設け得られず、駆動歯車533と受動歯車535とが互いに連結されていてもよい。
回転テーブル520が180°回転される度に、回転テーブル520の回転方向が逆転してよい。例えば、回転機構530は、回転テーブル520を時計回りに180°回転した後、回転テーブル520を反時計回りに180°回転する。回転テーブル520に固定される配線および配管の配置が元に戻るため、配線および配管の取り回しが容易である。
図3に示すように型締時に、第1可動成形面821と第1固定成形面811とが第1キャビティ空間801を形成すると共に、第2可動成形面822と第2固定成形面812とが第2キャビティ空間802を形成する。第1キャビティ空間801には第1射出装置301から成形材料が供給され、第1成形品21が成形される。続いて、型開が行われる。
次いで、図4に示すように、第1エジェクタ装置201が、第1不要品23を可動金型820から突き出す。第1不要品23は、第1成形品21と共に、金型装置800の内部で固化したものである。次いで、回転機構530が回転テーブル520を180°回転させる。回転テーブル520の回転に付随して可動金型820が180°回転される。このとき、第1成形品21は、可動金型820から突き出されることなく、可動金型820と共に180°回転される。その後、図5に示すように型締が行われる。
図5に示すように型締時に、第2可動成形面822と第1固定成形面811とが第1キャビティ空間801を形成すると共に、第1可動成形面821と第2固定成形面812とが第2キャビティ空間802を形成する。前述のとおり、第2キャビティ空間802の一部には、第1成形品21が配置されている。第2キャビティ空間802の残部には第2射出装置302から成形材料が供給され、第2成形品22が成形される。第2成形品22は、第1成形品21を含むものとして説明する。第2成形品22の成形と並行して、第1成形品21が成形される。第1成形品21は、第1キャビティ空間801で成形される。続いて、型開が行われる。
次いで、図6に示すように、第2エジェクタ装置202が、第2成形品22と第2不要品24の両方を可動金型820から突き出す。第2不要品24は、第2成形品22と共に、金型装置800の内部で固化したものである。第2不要品24は、可動金型820から突き出された後、第2成形品22と分離される。第2成形品22と第2不要品24の両方の突き出しと並行して、第1不要品23の突き出しが行われる。その後、型開が行われ、再び、回転テーブル520が180°回転される。
可動プラテン120は、主に図3および図5に示すように、回転テーブル520を回転自在に支持する前面板121と、回転テーブル520の円筒部524の径方向内側に配置される中間ブロック124と、中間ブロック124の後方に設けられる後方ブロック126と、後方ブロック126の後端面に設けられるトグルリンク取付部128(図7参照)とを有する。前面板121と、中間ブロック124と、後方ブロック126と、トグルリンク取付部128とは、別々に形成され連結されてもよいし、鋳造などで一体に形成されてもよい。
前面板121は、回転テーブル520を回転自在に支持する。前面板121には、前面板121を型開閉方向に貫通する第1ロッド穴122が形成される。第1ロッド穴122には、第1エジェクタロッド211が進退自在に配置される。また、前面板121には、前面板121を型開閉方向に貫通する第2ロッド穴123が形成される。第2ロッド穴123には、第2エジェクタロッド212が進退自在に配置される。
中間ブロック124は、回転テーブル520の円筒部524の径方向内側に配置される。中間ブロック124は、例えば、型開閉方向視で、回転テーブル520の円筒部524の内側に収まる円柱状の形状を有する。中間ブロック124の内部には、第1エジェクタ装置201が配置される空間と、第2エジェクタ装置202が配置される空間とが形成される。中間ブロック124の前端面に前面板121が取り付けられる。前面板121および中間ブロック124には、回転テーブル520の回転軸571がベアリング572を介して挿入される挿入穴127が形成される。
後方ブロック126は、中間ブロック124の後方に設けられ、プラテン用キャリッジ104に支持される(図1および図2参照)。後方ブロック126は、例えば、矩形状の形状を有する。後方ブロック126の内部には、第1エジェクタ装置201が配置される空間と、第2エジェクタ装置202が配置される空間とが形成される。後方ブロック126の前端面に中間ブロック124が取り付けられる。
トグルリンク取付部128(図7参照)は、後方ブロック126の後端面上で、鉛直方向に上下に一対設けられる。一対のトグルリンク取付部128は、それぞれ、板厚方向が水平方向を向くトグルリンク取付板を水平方向に間隔をおいて複数有する。複数のトグルリンク取付板は、それぞれ、後方ブロック126の後端面から後方に突出し、その先端部にピン穴129を有する。ピン穴129にはピンが挿し通され、ピンを介して第1リンク152(図1および図2参照)がトグルリンク取付部128に揺動自在に取り付けられる。
移動機構102(図1および図2参照)は、固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧および型開を行う。移動機構102は、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構170、および型厚調整機構180を有する。
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて配設され、型締装置フレーム910上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、型締装置フレーム910上に敷設されるガイドに沿って移動自在に配置されてもよい。
尚、本実施形態では、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し固定され、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されるが、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し固定され、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されてもよい。
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。複数本のタイバー140は、型開閉方向に平行に配置され、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群などで構成される。一対のリンク群は、それぞれ、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152と第2リンク153とを有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152と第2リンク153とが屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
尚、トグル機構150の構成は、図1および図2に示す構成に限定されない。例えば図1および図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152と第2リンク153とを屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸171と、ねじ軸171に螺合するねじナット172とを含む(図14参照)。ねじ軸171と、ねじナット172との間には、ボールまたはローラが介在してよい。
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、型開工程、突き出し工程、および型回転工程などを行う。型回転工程は、型開工程の完了後、次の型閉工程の開始前に行われる。型回転工程は、本実施形態では突き出し工程の完了後に行われるが、突き出し工程の完了前に行われてもよい。例えば、第2成形品22の成形される位置と、第2成形品22の突き出される位置とが異なる場合、型開工程の完了後に、型回転工程が行われ、その後、突出し工程が行われる。具体的には、例えば、第2成形品22の成形される位置が操作側であって、第2成形品22の突き出される位置が反操作側である場合、型開工程の完了後に、型回転工程が行われ、その後、突出し工程が行われる。
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や移動速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の移動速度を検出するクロスヘッド移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の移動速度を検出する可動プラテン移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。
型締工程では、型締モータ160を駆動して、クロスヘッド151の位置を型締位置に維持する。型締工程では、昇圧工程で発生させた型締力が維持される。型締工程では、可動金型820と固定金型810との間に、第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とが形成される。
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させる。型開開始位置と、型閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。
型開工程の完了後、次の型閉工程の開始前に、突き出し工程が行われる。突き出し工程では、第1エジェクタ装置201が、第1不要品23を可動金型820から突き出す。第1不要品23と共に固化した第1成形品21は、可動金型820から突き出されない。また、突き出し工程では、第2エジェクタ装置202が、第2成形品22と第2不要品24との両方を可動金型820から突き出す。突き出し工程の完了後、次の型閉工程の開始前に、型回転工程が行われる。
型回転工程では、回転テーブル520を回転し、可動金型820と共に第1成形品21を回転する。その後、型閉工程および昇圧工程が行われることで、第1成形品21が第2キャビティ空間802の一部に配置される。
型閉工程、昇圧工程および型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および昇圧工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
脱圧工程および型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、脱圧工程および型開工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型閉完了位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
尚、クロスヘッド151の移動速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の移動速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
型締装置100は、型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う。尚、型厚調整のタイミングは、例えば成形サイクル終了から次の成形サイクル開始までの間に行われる。型厚調整機構180は、例えば、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に且つ進退不能に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
ねじ軸181およびねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転駆動力は、回転駆動力伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。尚、回転駆動力伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
回転駆動力伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。尚、回転駆動力伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させる。その結果、トグルサポート130のタイバー140に対する位置が調整され、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lが調整される。尚、複数の型厚調整機構が組合わせて用いられてもよい。
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
尚、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
(第1エジェクタ装置および第2エジェクタ装置)
第1エジェクタ装置201および第2エジェクタ装置202の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
第1エジェクタ装置201および第2エジェクタ装置202は、可動プラテン120と共に進退する。第1エジェクタ装置201は、図4に示すように、第1不要品23を可動金型820から突き出す。第1エジェクタ装置201は、第1不要品23と共に固化した第1成形品21を、可動金型820から突き出さない。第2エジェクタ装置202は、図6に示すように、第2成形品22と第2不要品24との両方を可動金型820から突き出す。
第1エジェクタ装置201と第2エジェクタ装置202とは、Y軸方向に間隔をおいて配置される。第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とは、Y軸方向に間隔をおいて配置されるためである。
例えば、操作側に、第1キャビティ空間801および第1エジェクタ装置201が配置される。反操作側に、第2キャビティ空間802および第2エジェクタ装置202が配置される。第2成形品22を反操作側に取り出すことができる。
先ず、可動金型820の構成について主に図4および図6を参照して説明する。可動金型820は、可動プラテン120に対し固定される固定部830と、固定部830内を進退可能な可動部860を有する。可動部860は、第1可動部840と、第2可動部850とを有する。
固定部830は、回転テーブル520の回転中心線520Xを中心に、回転対称(例えば180°回転対称)に形成される。固定部830は、回転テーブル520に取り付けられる可動取付板831と、可動取付板831の前方に空間834を形成するスペーサブロック835と、スペーサブロック835を介して可動取付板831に固定される可動型板836と、ガイドピン839とを含む。
可動取付板831には、第1エジェクタロッド211および第2エジェクタロッド212が順番に挿抜される貫通穴832が形成される。貫通穴832の直径は、第1エジェクタロッド211の直径および第2エジェクタロッド212の直径よりも大きい。貫通穴832は、回転テーブル520の回転中心線520Xを中心として、回転対称(例えば180°回転対称)に配置される。
スペーサブロック835は、可動取付板831と可動型板836との間に空間834を形成する。この空間834には、後述の第1エジェクタプレート841と、後述の第2エジェクタプレート851とが進退自在に配置される。
可動型板836は、固定金型810との対向面に、第1可動成形面821と、第2可動成形面822とを有する。第1可動成形面821と第2可動成形面822とは、それぞれ、第1キャビティ空間801を形成する面の一部と、第2キャビティ空間802を形成する面の一部とを順番に形成する。
第1可動部840は、回転テーブル520の回転中心線520Xを中心に、回転対称(例えば180°回転対称)に複数(例えば一対)配置される。第1可動部840によって第1不要品23と第2不要品24の両方を突き出すことができる。第1可動部840は、例えば、型開閉方向に対し垂直に配置される第1エジェクタプレート841と、第1エジェクタプレート841から前方に延びる棒状の第1エジェクタピン842とを含む。
第1エジェクタプレート841は、可動取付板831と可動型板836との間の空間834に配置される。第1エジェクタプレート841は、型開閉方向に平行なガイドピン839に沿って進退する。第1エジェクタプレート841は、第1リターンバネ845によって、可動型板836から遠ざかる方向に付勢される。
第1エジェクタピン842は、可動型板836を型開閉方向に貫通する第1ピン穴に進退自在に配置される。第1エジェクタピン842の前端面は、第1不要品23または第2不要品24と当接する。
第2可動部850は、第1可動部840と同様に、回転テーブル520の回転中心線520Xを中心に、回転対称(例えば180°回転対称)に複数(例えば一対)配置される。第2可動部850は、例えば、型開閉方向に対し垂直に配置される第2エジェクタプレート851と、第2エジェクタプレート851から前方に延びる棒状の第2エジェクタピン852とを含む。
第2エジェクタプレート851は、可動取付板831と可動型板836との間の空間834に配置される。第2エジェクタプレート851は、型開閉方向に平行なガイドピン839に沿って進退する。第2エジェクタプレート851は、第2リターンバネ855によって、可動型板836から遠ざかる方向に付勢される。
第2エジェクタプレート851は、可動取付板831と第1エジェクタプレート841との間に配置される。第2エジェクタプレート851が進退する時、第2エジェクタプレート851と共に第1エジェクタプレート841が進退する。
第2エジェクタプレート851には、第2エジェクタプレート851を型開閉方向に貫通する貫通穴856が形成される。貫通穴856の直径は、第2エジェクタロッド212の直径よりも小さい。第2エジェクタロッド212は、第2エジェクタプレート851の貫通穴856を通過することなく、第2エジェクタプレート851を前方に押す。
第2エジェクタプレート851の貫通穴856の直径は、第1エジェクタロッド211の直径よりも大きい。第1エジェクタロッド211は、第2エジェクタプレート851の貫通穴856を通過し、第1エジェクタプレート841を前方に押す。
第2エジェクタピン852は、可動型板836を型開閉方向に貫通する第2ピン穴に進退自在に配置される。第2エジェクタピン852の前端面は、第1成形品21または第2成形品22と当接する。
次に、第1エジェクタ装置201の構成について主に図4を参照して説明する。第1エジェクタ装置201は、可動金型820の固定部830に対し進退する第1エジェクタロッド211を有する。第1エジェクタロッド211は、可動金型820の第1可動部840および第2可動部850とは連結されていない。第1エジェクタロッド211を可動金型820から離間させたうえで、可動金型820を回転できる。
第1エジェクタ装置201は、第1エジェクタロッド211を進退させる第1駆動機構220を有する。第1駆動機構220は、例えば、第1エジェクタモータ221と、第1クロスヘッド223と、第1エジェクタモータ221の回転運動を第1クロスヘッド223の直線運動に変換する第1運動変換機構225とを有する。
第1運動変換機構225は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。第1クロスヘッド223は、第1ガイドバー224に沿って型開閉方向に移動する。第1クロスヘッド223には第1エジェクタロッド211の後端部が取り付けられ、第1エジェクタロッド211は第1クロスヘッド223と共に進退する。
第1駆動機構220が図4に示すように第1エジェクタロッド211を前進させると、第1エジェクタロッド211は可動取付板831の貫通穴832と第2エジェクタプレート851の貫通穴856とを通過し、第1エジェクタプレート841を前方に押す。その結果、第1エジェクタプレート841が、第1リターンバネ845の付勢力に抗して前進する。従って、第1エジェクタピン842が、前進し、第1不要品23を可動金型820から突き出す。
第1駆動機構220が図4に示すように第1エジェクタロッド211と共に第1エジェクタプレート841を前進させる間、第2エジェクタプレート851は第2リターンバネ855の付勢力によって後退限位置に押し止められ、前進しない。従って、第1不要品23が可動金型820から突き出される時、第1成形品21は可動金型820から突き出されない。
その後、第1駆動機構220が第1エジェクタロッド211を後退させると、第1エジェクタプレート841が第1リターンバネ845の付勢力によって後退限位置まで後退させられる。第1エジェクタプレート841が後退限位置に達すると、第1エジェクタピン842の前端面が可動金型820の前端面と面一になる。
制御装置700は、第1エジェクタロッド211を進退させるときに、第1エジェクタロッド211の位置を制御する。第1エジェクタロッド211の位置は、例えば第1エジェクタモータエンコーダ222を用いて検出する。第1エジェクタモータエンコーダ222は、第1エジェクタモータ221の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、第1エジェクタロッド211の位置を検出する第1エジェクタロッド位置検出器は、第1エジェクタモータエンコーダ222に限定されず、一般的なものを使用できる。
次に、第2エジェクタ装置202の構成について主に図6を参照して説明する。第2エジェクタ装置202は、可動金型820の固定部830に対し進退する第2エジェクタロッド212を有する。第2エジェクタロッド212は、可動金型820の第1可動部840および第2可動部850とは連結されていない。第2エジェクタロッド212を可動金型820から離間させたうえで、可動金型820を回転できる。
第2エジェクタ装置202は、第2エジェクタロッド212を進退させる第2駆動機構230を有する。第2駆動機構230は、例えば、第2エジェクタモータ231と、第2クロスヘッド233と、第2エジェクタモータ231の回転運動を第2クロスヘッド233の直線運動に変換する第2運動変換機構235とを有する。
第2運動変換機構235は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。第2クロスヘッド233は、第2ガイドバー234に沿って型開閉方向に移動する。第2クロスヘッド233には第2エジェクタロッド212の後端部が取り付けられ、第2エジェクタロッド212は第2クロスヘッド233と共に進退する。
第2駆動機構230が図6に示すように第2エジェクタロッド212を前進させると、第2エジェクタロッド212は可動取付板831の貫通穴832を通過し、第2エジェクタプレート851の貫通穴856の縁部を前方に押す。その結果、第2エジェクタプレート851が、第2リターンバネ855の付勢力に抗して前進する。従って、第2エジェクタピン852が、前進し、第2成形品22を可動金型820から突き出す。
第2駆動機構230が第2エジェクタロッド212と共に第2エジェクタプレート851を前進させる間、第1エジェクタプレート841が第1リターンバネ845の付勢力に抗して前進する。従って、第1エジェクタピン842が、前進し、第2不要品24を可動金型820から突き出す。
その後、第2駆動機構230が第2エジェクタロッド212を後退させると、第2エジェクタプレート851が第2リターンバネ855の付勢力によって後退限位置まで後退させられる。第2エジェクタプレート851が後退限位置に達すると、第2エジェクタピン852の前端面が可動金型820の前端面と面一になる。
第2エジェクタプレート851が後退する間、第1エジェクタプレート841が第1リターンバネ845の付勢力によって後退限位置まで後退させられる。第1エジェクタプレート841が後退限位置に達すると、第1エジェクタピン842の前端面が可動金型820の前端面と面一になる。
制御装置700は、第2エジェクタロッド212を進退させるときに、第2エジェクタロッド212の位置を制御する。第2エジェクタロッド212の位置は、例えば第2エジェクタモータエンコーダ232を用いて検出する。第2エジェクタモータエンコーダ232は、第2エジェクタモータ231の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、第2エジェクタロッド212の位置を検出する第2エジェクタロッド位置検出器は、第2エジェクタモータエンコーダ232に限定されず、一般的なものを使用できる。
(回転テーブル)
回転テーブル520の説明では、型締装置100等の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。図8は、一実施形態に係る回転テーブルの回転角が0°の時のフレキシブル保持具の状態を示す図である。図9は、一実施形態に係る回転テーブルの回転角が180°の時のフレキシブル保持具の状態を示す図である。
回転テーブル520は、回転軸571を有する。回転軸571は、ベアリング572を介して、前面板121および中間ブロック124の挿入穴127に挿入される。すなわち、回転軸571は可動プラテン120により回転自在に支持される。回転テーブル520の回転中心線520Xは、型開閉方向に平行である。回転テーブル520の回転方向は、第1方向D1、および第1方向D1とは逆方向である第2方向D2である。回転テーブル520は、例えば、更に、金型取付部521と、巻取部522とを有する。巻取部522は、金型取付部521が固定される円盤部523と、円盤部523の外周部から後方に延びる円筒部524とを含む。
金型取付部521は、可動金型820が取り付けられるものである。金型取付部521は、型開閉方向に垂直な板状に形成される。型開閉方向視で、可動金型820が矩形状に形成されることが多いため、金型取付部521も矩形状に形成される。
尚、型開閉方向視で、可動金型820が矩形状に形成されるのは、図3に示すように可動金型820の長辺と平行に第1可動成形面821と第2可動成形面822とが間隔をおいて形成されることが多いためである。
金型取付部521は、回転時に4本のタイバー140と干渉しないように形成される。具体的には、金型取付部521は、型開閉方向視で4本のタイバー140の内接円の内側に配置される。
巻取部522は、フレキシブル保持具500が巻き取られるものである。回転テーブル520が第1方向D1に回転すると、巻取部522にフレキシブル保持具500が巻き取られる。また、回転テーブル520が第2方向D2に回転すると、巻取部522からフレキシブル保持具500が巻き解かれる。
巻取部522は、図7に示すように、金型取付部521を基準として可動金型820とは反対側、例えば金型取付部521のX軸方向負側に配置される。巻取部522は、金型取付部521が固定される円盤部523と、円盤部523の外周部からX軸方向負側に延びる円筒部524とを含む。
円筒部524は、円周面525を有する。円周面525には、周方向全体に亘って受動歯車535が固定される。受動歯車535は、回転モータ531の回転駆動力を回転テーブル520に伝達する伝達機構532の一部である。尚、伝達機構532の構成は、一般的なものであってよく、図7に示す構成には限定されない。
巻取部522は、円周面525を有する。この円周面525は、回転テーブル520の回転中心線520Xから一定の距離に配置される。この円周面525に、フレキシブル保持具500が巻き取られる。フレキシブル保持具500が、円周面525に沿って変形する。その変形した部分の曲率半径を、回転テーブル520の回転角に関係なく、一定に保つことができる。よって、曲げ変形によって発生する応力の大きさを、回転テーブル520の回転角に関係なく、一定に保つことができる。
フレキシブル保持具500は、その一端部501が回転テーブル520に対し固定され、その他端部502が可動プラテン120に対し固定される。フレキシブル保持具500の一端部501は、回転テーブル520に、直接に固定されてもよいし、所定の部材を介して固定されてもよい。同様に、フレキシブル保持具500の他端部502は、可動プラテン120に、直接に固定されてもよいし、所定の部材(例えばガイド550)を介して固定されてもよい。
フレキシブル保持具500は、回転テーブル520およびガイド550に沿って変形すると共に、複数の線状体580を保持する。複数の線状体580が擦れ合うことを抑制できる。フレキシブル保持具500としては、例えばケーブルベア(登録商標)などが用いられる。
図3に示すように、フレキシブル保持具500は、互いに平行に配置される複数のピン部511と、複数のピン部511によって線状に連結される複数の環状部512とを有する。フレキシブル保持具500は、複数の環状部512の内部に複数の線状体580を保持する。隣り合う複数の環状部512は、ピン部511を中心に相対的に回転自在に連結される。ピン部511の軸方向は、型開閉方向(例えばX軸方向)である。
環状部512は、型開閉方向に間隔をおいて配置される一対のリンク部513と、一対のリンク部513を連結する一対のアーム部514とを有する。ピン部511は、一対のリンク部513から外側に突出しており、別の一対のリンク部513に形成される穴に挿入される。これにより、隣り合う複数の環状部512が、ピン部511を中心に相対的に回転自在に連結され、且つ型開閉方向に相対的に移動不能に連結される。フレキシブル保持具500を、型開閉方向に垂直な平面内で変形できる。
尚、フレキシブル保持具500は複数の線状体580を保持すればよく、フレキシブル保持具500の構成は特に限定されない。例えば、フレキシブル保持具500は、樹脂製のチューブで構成されてもよい。
線状体580は、例えばフレキシブル配線である。フレキシブル配線としては、電気信号を送信する弱電線であってもよいし、電力を供給する強電線であってもよい。弱電線は、例えば可動金型820の温度を測定するセンサからの電気信号を送信する。強電線は、例えば可動金型820に埋設されるヒータに電力を供給する。
また、線状体580は、フレキシブル配管であってもよい。フレキシブル配管は、例えば流体を送る。流体は、気体と液体のいずれでもよい。流体は、例えば可動金型820の温度を調整する温調媒体である。温調媒体としては、例えば水が用いられる。
温調媒体は、往路用のフレキシブル配管を通り、可動金型820の内部に供給される。温調媒体は、可動金型820と熱交換し、可動金型820の温度を予め定められた温度に維持する。その後、温調媒体は、復路用のフレキシブル配管を通り、可動金型820の外部に排出される。
尚、フレキシブル配管が送る流体は、可動金型820の温度を調整する温調媒体には限定されない。例えば、フレキシブル配管が送る流体は、摺動部品に供給される潤滑油などであってもよい。
また、フレキシブル配管が送る流体は、離型用のガスであってもよい。離型用のガスは、可動金型820の第2成形品22、第2不要品24または第1不要品23と接触する面から噴射される。第2成形品22、第2不要品24または第1不要品23を、可動金型820から離型できる。
線状体580は、図8および図9に示すように、一端部が回転コネクタ581に分離可能に連結され、他端部が固定コネクタ582に分離可能に連結される。回転コネクタ581は、回転テーブル520に設けられる。一方、固定コネクタ582は、可動プラテン120に設けられる。金型装置800の交換時に回転コネクタ581または固定コネクタ582に対する線状体580の付け替えを行うことで、交換後の金型装置800に適合するシステムを簡単に構築できる。
ところで、金型取付部521は、型開閉方向視で巻取部522から外側にはみ出す。金型取付部521は、巻取部522を基準として可動金型820側(例えばX軸方向正側)に配置される。金型取付部521は、型開閉方向視で、フレキシブル保持具500の一部504と重なる。フレキシブル保持具500の一部504は、フレキシブル保持具500の巻取部522に巻き取られた部分である。
ガイド550は、図8および図9に示すように、可動プラテン120に固定される。ガイド550は、フレキシブル保持具500をガイドする。フレキシブル保持具500が意図しない方向に変形することを制限でき、フレキシブル保持具500の破損を抑制できる。フレキシブル保持具500は、その一端部501が回転テーブル520に対し固定され、その他端部502がガイド550に対し固定される。
回転テーブル520が第1方向D1および第2方向D2に回転する時、フレキシブル保持具500はガイド550に沿って変形する。ガイド550によってフレキシブル保持具500の形状をコントロールでき、フレキシブル保持具500の可動範囲を決めることができる。
ガイド550は、回転テーブル520の回転を妨げないように形成される。ガイド550は、図7に示すように、例えば、ガイド溝551と、ガイド溝形成部560と、固定カバー部570とを備える。
ガイド溝551は、フレキシブル保持具500が挿入されるものである。ガイド溝551の溝幅(型開閉方向寸法)は、フレキシブル保持具500の幅(型開閉方向寸法)よりも僅かに大きい。
ガイド溝形成部560は、ガイド溝551を形成する。ガイド溝形成部560は、型開閉方向に間隔をおいて配置される第1側壁部561および第2側壁部562と、第1側壁部561と第2側壁部562とをつなぐ底壁部563とを有する。
底壁部563は、図8および図9に示すように、例えば、型開閉方向視で円弧状の柱面564を有する。この柱面564に沿ってフレキシブル保持具500が変形する。その変形した部分の曲率半径を、回転テーブル520の回転角に関係なく、一定に保つことができる。よって、曲げ変形によって発生する応力の大きさを、回転テーブル520の回転角に関係なく、一定に保つことができる。
底壁部563は、上述の如く、型開閉方向視で円弧状の柱面564を有する。この柱面564は、回転テーブル520の回転中心線520Xから一定の距離に配置され、回転テーブル520の巻取部522の円周面525から一定の距離に配置される。フレキシブル保持具500の湾曲した部分(巻取部522とガイド550との間で湾曲した部分)の曲率半径を、回転テーブル520の回転角に関係なく、一定に保つことができる。よって、曲げ変形によって発生する応力の大きさを、回転テーブル520の回転角に関係なく、一定に保つことができる。
底壁部563には、図7に示すように、ガイド溝形成部560の内部に溜まる液体を排出する排出穴565が形成される。排出穴565は、例えば丸穴である。尚、排出穴565はスリット穴でもよく、排出穴565の穴形状は特に限定されない。
排出穴565は、例えば金型装置800の交換時に漏出した温調媒体または潤滑油などの液体を、ガイド溝形成部560の内部から排出する。金型装置800の交換時に液体が漏出するのは、回転コネクタ581または固定コネクタ582に対する線状体580の付け替えが行われるためである。排出穴565が形成されることで、液体がガイド溝形成部560の内部に溜まらないため、液体によってフレキシブル保持具500または線状体580が劣化するのを抑制できる。
排出穴565は、回転テーブル520の下方に配置されるガイド溝形成部560の底壁部563に形成される。底壁部563は、型開閉方向視で下に凸の円弧状の柱面564を有する。この柱面564の下端部に、排出穴565が形成される。液体を重力によって排出穴565に集めることができる。
尚、詳しくは後述するが、ガイド溝形成部560は、回転テーブル520の上方に配置されてもよく、その底壁部563には排出穴565は形成されない。上方から埃などがガイド溝形成部560の内部に侵入するのを防止できる。
第1側壁部561と第2側壁部562とは、型開閉方向に間隔をおいて配置される。その間隔が、ガイド溝551の溝幅である。第1側壁部561は、第2側壁部562よりも可動金型820に近い。第1側壁部561と第2側壁部562とは、それぞれ、型開閉方向に垂直な板状に形成される。
第1側壁部561は、図8および図9に示すように、型開閉方向視で円弧状の外縁566と、型開閉方向視で円弧状の内縁567とを有する。内縁567は、外縁566よりも、回転テーブル520の回転中心線520Xの近くに配置される。外縁566と内縁567とは、型開閉方向視で、回転テーブル520の回転中心線520Xを中心とする同心円上に形成される。
(第1射出装置および第2射出装置)
第1射出装置301および第2射出装置302の説明では、型締装置100等の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
第1射出装置301は第1スライドベース303に設置され、第1スライドベース303は射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。第1射出装置301は、金型装置800に対し進退自在に配置される。第1射出装置301は、金型装置800(より詳細には固定金型810)にタッチし、金型装置800内の第1キャビティ空間801に成形材料を充填する。
第2射出装置302は第2スライドベースに設置され、第2スライドベースは射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。第2射出装置302は、金型装置800に対し進退自在に配置される。第2射出装置302は、金型装置800(より詳細には固定金型810)にタッチし、金型装置800内の第2キャビティ空間802に成形材料を充填する。
射出装置フレーム920上には、第1スライドベース303を案内する第2ガイド381と、第2スライドベースを案内する第2ガイド(不図示)とが敷設される。
第1射出装置301と第2射出装置302とは、Y軸方向に間隔をおいて配置される。第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とは、Y軸方向に間隔をおいて配置されるためである。第1射出装置301が第1キャビティ空間801に充填する成形材料と、第2射出装置302が第2キャビティ空間802に充填する成形材料とは、異なる材料でもよいし、同じ材料でもよい。
第1射出装置301と第2射出装置302とは、同様に構成される。そこで、以下、第1射出装置301の構成について説明し、第2射出装置302の構成について説明を省略する。第1射出装置301は、図1および図2に示すように、例えば、内部に供給された成形材料を加熱するシリンダ310と、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられるノズル320と、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置されるスクリュ330と、スクリュ330を回転させる計量モータ340と、スクリュ330を進退させる射出モータ350と、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される圧力を検出する圧力検出器360とを有する。
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(例えばX軸方向)に複数のゾーンに区分される。複数のゾーンのそれぞれに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。複数のゾーンのそれぞれに設定温度が設定され、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
スクリュ330は、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800内に充填される。
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。
尚、第1射出装置301は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構370などが設けられる。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される圧力を検出する。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の圧力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する圧力を検出する。
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
図10は、一実施形態による射出装置の構造を示す上面図である。図11は、図10のXI-XI線に沿った射出装置の鉛直断面図であって、後述の第2実施例に係るスライドベース用のガイドも示す図である。第1射出装置301は、シリンダ310の後端部を保持する前方サポート321と、前方サポート321の後方に設けられる後方サポート322とを有する。前方サポート321および後方サポート322は、第1スライドベース303上に固定される。なお、後述のように、前方サポート321は、そのシリンダ310側の面の方向を調整可能に第1スライドベース303上に固定される。
前方サポート321と後方サポート322との間には、可動プレート304が進退自在に設けられる。第1射出装置301は、可動プレート304を案内する第3ガイド343を有する。そのガイド方向は、スクリュ330の移動方向である。第3ガイド343は、射出シリンダ内に配設されるスクリュ330を移動させる可動プレートを支持するガイド挿通部342と、ガイド挿通部342を案内するガイドバー305とを有する。ガイドバー305は前方サポート321と後方サポート322との間に架け渡される。ガイド挿通部342は、ガイドバー305が挿通される挿通穴315を有し、ガイドバー305に沿って摺動する。尚、ガイドバー305は、第1スライドベース303上に敷設されてもよい。
可動プレート304は、スクリュ330を回転自在に保持するものである。前方サポート321に対し可動プレート304を進退させることで、シリンダ310の内部においてスクリュ330を進退させることができる。スクリュ330の進退には、例えば射出モータ350が用いられる。
射出モータ350は、後方サポート322に取付けられてよい。射出モータ350の回転運動は、運動変換機構370によって可動プレート304の直線運動に変換されたうえで、スクリュ330に伝達される。
運動変換機構370は、射出モータ350によって回転させられる回転伝達軸371と、回転伝達軸371の回転によって回転させられるねじ軸372と、ねじ軸372に螺合され、ねじ軸372の回転によって進退させられるねじナット373とを有する。ねじ軸372と、ねじナット373との間には、ボールまたはローラが介在してよい。
回転伝達軸371は、例えば、射出モータ350の回転子の内部において回転子とスプライン結合される。回転伝達軸371は、外周部に、周方向に間隔をおいて複数のキーを有する。一方、射出モータ350の回転子は、内周部に、複数のキーが摺動自在に挿入される複数のキー溝を有する。キーの数やキー溝の数は1つでもよい。
尚、本実施形態の回転伝達軸371は、射出モータ350の回転子の内部において回転子とスプライン結合されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、回転伝達軸371は、射出モータ350の回転子と摩擦力で結合されてもよい。この場合、回転伝達軸371と回転子との間に、くさびなどが打ち込まれてもよい。
回転伝達軸371は、ねじ軸372と一体に形成されてもよいし、ねじ軸372と別に形成され、ねじ軸372と連結されてもよい。
射出モータ350を駆動して回転伝達軸371を回転させると、ねじ軸372が回転させられ、ねじナット373が進退させられる。これにより、可動プレート304が進退して、シリンダ310の内部においてスクリュ330が進退させられる。
尚、ねじ軸372を回転させる射出モータ350と、ねじナット373の配置は逆でもよい。つまり、射出モータ350が前方サポート321に取付けられ、ねじナット373が可動プレート304に対し固定されてもよい。この場合、射出モータ350を駆動してねじ軸372を回転させると、ねじナット373が進退して可動プレート304が進退する。
射出モータ350および運動変換機構370は、図10に示すように、スクリュ330の中心線を中心に対称に配されてよい。尚、射出モータ350および運動変換機構370の数は1つでもよく、射出モータ350および運動変換機構370はスクリュ330の中心線上に配されてもよい。
計量モータ340は、可動プレート304に取付けられる。計量モータ340の回転運動は、駆動プーリ377やベルト378、受動プーリ379などによってスクリュ330に伝達される。駆動プーリ377は計量モータ340の回転軸348に固定され、受動プーリ379はスクリュ330の後端部に固定され、ベルト378は駆動プーリ377と受動プーリ379とに架け渡される。
スクリュ330は、例えば受動プーリ379や圧力検出器360を介して可動プレート304に取付けられる。尚、圧力検出器360の設置場所は別の場所でもよく、スクリュ330は、受動プーリ379を介して可動プレート304に取付けられてもよい。可動プレート304には、スクリュ330を回転させる計量モータ340が取付けられる。圧力検出器360は、ねじナット373と可動プレート304との間に設けられてもよい。
可動プレート304は、運動変換機構370や受動プーリ379などを支持する可動プレート本体部306と、可動プレート本体部306から鉛直方向に突出する一対の可動プレート突出部307とを有する。一対の可動プレート突出部307は、射出成形機10の幅方向に間隔をおいて設けられる。一対の可動プレート突出部307の間には、計量モータ340の回転軸348が配される。計量モータ340と可動プレート本体部306とは、ベルト378のテンション調整のため、鉛直方向に間隔をおいて設けられる。ガイド挿通部342は、可動プレート本体部306を挟み射出成形機10の幅方向両側に設けられてよい。
一対の可動プレート突出部307には、ボルト308などで計量モータ取付板309が取付けられる。ボルト308の頭部は、計量モータ取付板309を、可動プレート突出部307に締め付ける。
計量モータ取付板309は、一対の可動プレート突出部307に対しZ軸方向に変位可能に取付けられてよい。これにより、可動プレート304に対し計量モータ340をZ軸方向に変位させることができ、ベルト378のテンションを調整することができる。
ボルト308は、計量モータ取付板309に形成される長穴を貫通し、各可動プレート突出部307に形成されるボルト穴に螺合される。計量モータ取付板309の長穴は、可動プレート突出部307のボルト穴よりも、Z軸方向に長く形成される。
ボルト308を緩めることで、可動プレート突出部307に対する計量モータ取付板309のZ軸方向変位が可能になり、ベルト378のテンション調整が可能になる。ベルト378のテンション調整の後、ボルト308を締めることにより、ボルト308の頭部と可動プレート突出部307とで計量モータ取付板309を挟んで固定する。
尚、長穴とボルト穴の配置は逆でもよく、計量モータ取付板309にボルト穴が形成され、各可動プレート突出部307に長穴が形成されてもよい。この場合、ボルト308の頭部と計量モータ取付板309とが、可動プレート突出部307を挟んで固定する。
尚、ベルト378のテンション調整のため、長穴が形成される領域に、長穴の代わりに、複数の丸穴がZ軸方向に間隔をおいて配置されてもよい。ボルト308は、Z軸方向に間隔をおいて配置される複数の丸穴のうちの1つに挿通され、ボルト穴に螺合される。ボルト308が挿通される丸穴を変更することで、ベルト378のテンションを調整できる。また、ベルト378のテンション調整のため、可動プレート突出部307と計量モータ取付板309とを相対的に移動させるアクチュエータが設けられてもよい。
第2ガイド381は、射出装置フレーム920に固定されるガイドレール383と、ガイドレール383に案内され、第1射出装置301を支持するスライドベース用キャリッジ384とを有する。スライドベース用キャリッジ384上に第1スライドベース303が固定される。第1スライドベース303には、前方サポート321のシリンダ310側の面の方向を調整するアジャスタ386が設けられている。アジャスタ386を操作することにより、前方サポート321のシリンダ310側の面の方向を調整し、それに伴ってノズル320の先端の位置を調整することができる。
第1射出装置301は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程および保圧工程などを行う。充填工程と保圧工程とをまとめて射出工程と呼んでもよい。
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転速度で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転速度は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、スクリュ330の回転速度を検出するスクリュ回転速度検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
計量工程におけるスクリュ330の位置および回転速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、計量開始位置、回転速度切換位置および計量完了位置が設定される。これらの位置は、前側から後方に向けてこの順で並び、回転速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、回転速度が設定される。回転速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。回転速度切換位置は、設定されなくてもよい。また、区間毎に背圧が設定される。
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定移動速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800内の第1キャビティ空間801に充填させる。スクリュ330の位置や移動速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切換(所謂、V/P切換)が行われる。V/P切換が行われる位置をV/P切換位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定移動速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
充填工程におけるスクリュ330の位置および移動速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)、移動速度切換位置およびV/P切換位置が設定される。これらの位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。
スクリュ330の移動速度が設定される区間毎に、スクリュ330の圧力の上限値が設定される。スクリュ330の圧力は、圧力検出器360によって検出される。圧力検出器360の検出値が設定圧力以下である場合、スクリュ330は設定移動速度で前進される。一方、圧力検出器360の検出値が設定圧力を超える場合、金型保護を目的として、圧力検出器360の検出値が設定圧力以下となるように、スクリュ330は設定移動速度よりも遅い移動速度で前進される。
尚、充填工程においてスクリュ330の位置がV/P切換位置に達した後、V/P切換位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切換が行われてもよい。V/P切換の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の移動速度を検出するスクリュ移動速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800に向けて押す。金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。保圧工程における保持圧力および保持圧力を保持する保持時間は、それぞれ複数設定されてよく、一連の設定条件として、まとめて設定されてよい。
保圧工程では金型装置800内の第1キャビティ空間801の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時には第1キャビティ空間801の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、第1キャビティ空間801からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、第1キャビティ空間801内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮を目的として、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
尚、本実施形態の第1射出装置301は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内には、スクリュが回転自在に且つ進退不能に配置され、またはスクリュが回転自在に且つ進退自在に配置される。一方、射出シリンダ内には、プランジャが進退自在に配置される。
また、本実施形態の第1射出装置301は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の第1射出装置301と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の第1射出装置301と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
(第1移動装置および第2移動装置)
第1移動装置401および第2移動装置(不図示)の説明では、第1射出装置301および第2射出装置302の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
第1移動装置401は、金型装置800に対し第1射出装置301を進退させる。また、第1移動装置401は、金型装置800に対し第1射出装置301のノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。
第2移動装置は、金型装置800に対し第2射出装置302を進退させる。また、第2移動装置は、金型装置800に対し第2射出装置302のノズルを押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。
第1移動装置401と第2移動装置とは、Y軸方向に間隔をおいて配置される。第1移動装置401と第2移動装置とは、第1射出装置301と第2射出装置302とを独立に進退させる。
第1移動装置401と第2移動装置とは、同様に構成される。そこで、以下、第1移動装置401の構成について説明し、第2移動装置の構成について説明を省略する。第1移動装置401は、図1および図2に示すように、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切換えることにより、第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。尚、液圧ポンプ410はタンクから作動液を吸引して第1ポート411および第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出することもできる。
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向および回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、およびピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、第1射出装置301に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路413を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路413を介して前室435に供給されることで、第1射出装置301が前方に押される。第1射出装置301が前進され、第1射出装置301のノズル320が固定金型810に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路414を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路414を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、第1射出装置301が後方に押される。第1射出装置301が後退され、第1射出装置301のノズル320が固定金型810から離間される。
尚、本実施形態では第1移動装置401は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を第1射出装置301の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、図1~図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
制御装置700は、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、突き出し工程、および型回転工程などを繰り返し行うことにより、第1成形品21および第2成形品22を繰り返し製造する。第1成形品21および第2成形品22を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」または「サイクル時間」とも呼ぶ。
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、突き出し工程、および型回転工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、および冷却工程は、型締工程の間に行われる。型締工程の開始は充填工程の開始と一致してもよい。脱圧工程の終了は型開工程の開始と一致する。
尚、成形サイクル時間の短縮を目的として、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、型締工程の間に行われてよい。この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないためである。
尚、一回の成形サイクルは、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、突き出し工程、および型回転工程以外の工程を有してもよい。
例えば、保圧工程の完了後、計量工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された計量開始位置まで後退させる計量前サックバック工程が行われてもよい。計量工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、計量工程の開始時のスクリュ330の急激な後退を防止できる。
また、計量工程の完了後、充填工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)まで後退させる計量後サックバック工程が行われてもよい。充填工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、充填工程の開始前のノズル320からの成形材料の漏出を防止できる。
制御装置700は、ユーザによる入力操作を受け付ける操作装置750や表示画面を表示する表示装置760と接続されている。操作装置750および表示装置760は、例えばタッチパネルで構成され、一体化されてよい。表示装置760としてのタッチパネルは、制御装置700による制御下で、表示画面を表示する。タッチパネルの表示画面には、例えば、射出成形機10の設定、現在の射出成形機10の状態等の情報が表示されてもよい。また、タッチパネルの表示画面には、例えば、ユーザによる入力操作を受け付けるボタン、入力欄等の入力操作部が表示されてもよい。操作装置750としてのタッチパネルは、ユーザによる表示画面上の入力操作を検出し、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。これにより、例えば、ユーザは、表示画面に表示される情報を確認しながら、表示画面に設けられた入力操作部を操作して、射出成形機10の設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。また、ユーザが表示画面に設けられた入力操作部を操作することにより、入力操作部に対応する射出成形機10の動作を行わせることができる。なお、射出成形機10の動作には、例えば、型締装置100、第1エジェクタ装置201、第2エジェクタ装置202、第1射出装置301、第2射出装置302、第1移動装置401、第2移動装置(不図示)等の動作(停止も含む)や、表示装置760としてのタッチパネルに表示される表示画面の切り替え等であってもよい。
尚、本実施形態の操作装置750および表示装置760は、タッチパネルとして一体化されているものとして説明したが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。操作装置750および表示装置760は、型締装置100(より詳細には固定プラテン110)の操作側(Y軸負方向)に配置される。
(可動プラテン用ガイド)
ここで、可動プラテン120用の第1ガイド101について更に詳細に説明する。図12は、第1実施例に係る可動プラテン120用のガイドを示す図である。第1ガイド101は、型締装置フレーム910に固定されるガイドレール103と、ガイドレール103に案内されるプラテン用キャリッジ104とを有する。プラテン用キャリッジ104上に可動プラテン120が載置される。可動プラテン120はプラテン用キャリッジ104に固定されていない。このため、可動プラテン120はプラテン用キャリッジ104上で姿勢を変化させることができる。例えば、可動プラテン120の固定プラテン110との対向面は、向きを変化させることができる。
金型装置800においては、固定金型810、可動金型820の一方にピンが設けられ、他方にピンが挿入する穴が設けられている。そして、型閉工程から型締工程の際に、ピンが穴に挿入することで、固定金型810と可動金型820との間に若干の位置ずれが生じていたとしても、第1キャビティ空間801と第2キャビティ空間802とが正確に形成される。すなわち、固定金型810と可動金型820との間に若干の位置ずれが生じていたとしても、可動プラテン120の固定プラテン110との対向面が向きを変化させることが可能であるため、位置ずれを自己整合的に修正することができる。
但し、可動プラテン120の固定プラテン110との対向面が鉛直下方(Z軸負方向)を向くように変化する場合には、可動プラテン120がプラテン用キャリッジ104を押圧し、プラテン用キャリッジ104がガイドレール103を押圧することとなる。つまり、通常動作時と比較して、可動プラテン120からプラテン用キャリッジ104に大きな荷重がかかり、プラテン用キャリッジ104からガイドレール103に大きな荷重がかかる。このような状態のまま成形サイクルが繰り返された場合、第1ガイド101が破損するおそれが生じる。
そこで、第1実施例では、プラテン用キャリッジ104にセンサ105が取り付けられている。センサ105は、荷重センサまたは歪センサである。歪センサにより検出された歪は荷重に換算することができるため、歪センサも荷重を検出することができる。センサ105は、例えば、歪ゲージ式、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などのセンサである。センサ105は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
制御装置700は、センサ105から受信した信号に基づき、プラテン用キャリッジ104に作用している荷重を表示装置760に表示してもよい。例えば、ユーザは、表示装置760に表示されている荷重が予め設定されている閾値を超えた場合には、射出成形機10の動作を停止し、金型装置800が正しく取り付けられているか確認することができる。
制御装置700は、センサ105から受信した信号に基づき、プラテン用キャリッジ104に作用している荷重が予め設定されている閾値を超えた場合に、射出成形機10の動作を停止したり、警告を表示装置760に表示したりしてもよい。その後、ユーザは、金型装置800が正しく取り付けられているか確認することができる。
なお、金型装置800が正しく取り付けられている場合でも、繰り返しの使用に伴って可動プラテン120と固定プラテン110との間で位置ずれが生じることがある。従って、金型装置800が正しく取り付けられている場合に、荷重が閾値を超えるときに、ユーザは、可動プラテン120と固定プラテン110との間の位置合わせ等の保守を行ってもよい。ユーザは、可動プラテン120と固定プラテン110との間の位置合わせ等の保守を射出成形機10の保守担当者に依頼してもよい。
第1実施例によれば、センサ105により検出された荷重を参考にして、射出成形機10の動作を停止したり、保守を行ったりすることができる。従って、プラテン用キャリッジ104からガイドレール103にかかる負荷が低い状態を維持しやすくすることができる。
第1実施例において、第1ガイド101は案内部材の一例であり、プラテン用キャリッジ104は第1スライド部材の一例であり、ガイドレール103は第1ガイド部材の一例であり、可動プラテン120は被案内部材の一例であり、制御装置700は判定部および報知部の一例であり、表示装置760は出力部の一例である。
センサ105の位置は特に限定されない。プラテン用キャリッジ104の射出成形機10の幅方向(Y軸方向)に垂直な側面に取り付けられていてもよく、プラテン用キャリッジ104の可動プラテン120が載置される面に取り付けられていてもよい。センサ105は、プラテン用キャリッジ104の1個の側面に対して複数個(例えば3個)用いられてもよい。
次に、第2実施例について説明する。第2実施例は、射出装置用のガイドに関する。ここでも、第1射出装置301の構成について説明し、第2射出装置302の構成について説明を省略する。
第1射出装置301においては、上述のように、金型装置800に対しノズル320が押し付けられ、ノズルタッチ圧力が生じる。この時、ノズル320が押し付けられる位置が、所定の位置からずれている場合、シリンダ310に曲げ応力が生じることがある。シリンダ310に曲げ応力が生じると、シリンダ310とスクリュ330とが擦れ合うおそれがある。
そこで、第2実施例では、図11に示すように、スライドベース用キャリッジ384にセンサ385が取り付けられている。センサ385は、荷重センサまたは歪センサである。歪センサにより検出された歪は荷重に換算することができるため、歪センサも荷重を検出することができる。センサ385は、例えば、歪ゲージ式、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などのセンサである。センサ385は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
制御装置700は、センサ385から受信した信号に基づき、スライドベース用キャリッジ384に作用している荷重を表示装置760に表示してもよい。例えば、ユーザは、表示装置760に表示されている荷重が予め設定されている閾値を超えた場合には、射出成形機10の動作を停止し、アジャスタ386を操作してノズル320の先端の位置を調整してもよい。ユーザは、ノズル320の先端の位置の調整を射出成形機10の保守担当者に依頼してもよい。
制御装置700は、センサ385から受信した信号に基づき、スライドベース用キャリッジ384に作用している荷重が予め設定されている閾値を超えた場合に、射出成形機10の動作を停止したり、警告を表示装置760に表示したりしてもよい。その後、ユーザは、アジャスタ386を操作してノズル320の先端の位置を調整したり、ノズル320の先端の位置の調整を射出成形機10の保守担当者に依頼したりしてもよい。
第2実施例によれば、センサ385により検出された荷重を参考にして、射出成形機10の動作を停止したり、保守を行ったりすることができる。従って、スライドベース用キャリッジ384からガイドレール383にかかる負荷が低い状態を維持しやすくすることができる。
第2実施例において、第2ガイド381は案内部材の一例であり、スライドベース用キャリッジ384は第2スライド部材の一例であり、ガイドレール383は第2ガイド部材の一例であり、第1射出装置301は被案内部材の一例であり、制御装置700は判定部および報知部の一例であり、表示装置760は出力部の一例である。
センサ385の位置は特に限定されない。スライドベース用キャリッジ384のY軸方向に垂直な側面に取り付けられていてもよく、スライドベース用キャリッジ384の第1スライドベース303と接触する面に取り付けられていてもよい。センサ385は、スライドベース用キャリッジ384の1個の側面に対して複数個用いられてもよい。
次に、第3実施例について説明する。第3実施例は、可動プレート304に関する。ここでも、第1射出装置301の構成について説明し、第2射出装置302の構成について説明を省略する。図13は、第3実施例に係る可動プレートを示す図である。図13は、第3実施例に係る可動プレートをX軸正方向から見た図である。
上記のように、可動プレート304の進退に伴ってシリンダ310の内部においてスクリュ330が進退させられる。従って、スクリュ330の進退の度に可動プレート304が進退する。このため、繰り返しの使用に伴ってねじナット373が劣化することがある。ねじナット373が劣化すると、射出モータ350の回転が可動プレート304に正確に伝達されなくなるおそれがある。
そこで、第3実施例では、ガイド挿通部342にセンサ395が取り付けられている。例えば、センサ395はねじナット373の近傍に取り付けられている。センサ395は、荷重センサまたは歪センサである。歪センサにより検出された歪は荷重に換算することができるため、歪センサも荷重を検出することができる。センサ395は、例えば、歪ゲージ式、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などのセンサである。センサ395は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。ねじナット373に劣化が生じた場合、その影響がガイド挿通部342にも及ぶため、ガイド挿通部342に作用する荷重からねじナット373の劣化の程度を見積もることができる。
制御装置700は、センサ395から受信した信号に基づき、ガイド挿通部342に作用している荷重を表示装置760に表示してもよい。例えば、ユーザは、表示装置760に表示されている荷重が予め設定されている閾値を超えた場合には、ねじナット373を含む運動変換機構370の保守を射出成形機10の保守担当者に依頼してもよい。
制御装置700は、センサ395から受信した信号に基づき、ガイド挿通部342に作用している荷重が予め設定されている閾値を超えた場合に、射出成形機10の動作を停止したり、警告を表示装置760に表示したりしてもよい。その後、ユーザは、ねじナット373を含む運動変換機構370の保守を射出成形機10の保守担当者に依頼してもよい。
第3実施例によれば、センサ395により検出された荷重を参考にして、射出成形機10の動作を停止したり、保守を行ったりすることができる。従って、可動プレート304からガイドバー305にかかる負荷が低い状態を維持しやすくすることができる。
第3実施例において、第3ガイド343は案内部材の一例であり、ガイド挿通部342は第3スライド部材の一例であり、ガイドバー305は第3ガイド部材の一例であり、可動プレート304は可動部および被案内部材の一例であり、制御装置700は判定部および報知部の一例であり、表示装置760は出力部の一例である。
センサ395の位置は特に限定されない。センサ395は、一つのガイド挿通部342に対して複数個(例えば2個)用いられてもよい。
次に、第4実施例について説明する。第4実施例は、クロスヘッド151に関する。図14および図15は、第4実施例によるクロスヘッドを示す図である。図14は、第4実施例によるクロスヘッドおよびトグルサポートを示す水平断面図である。図15は、第4実施例によるクロスヘッドを示す図である。図15は、第4実施例によるクロスヘッドをX軸正方向から見た図である。
型締装置100は、クロスヘッド151を案内する第4ガイド135を有する。そのガイド方向は、型開閉方向である。ガイドバー133の撓みを抑制するため、ガイドバー133の両端部はトグルサポート130などに固定されてよい。第4ガイド135は、クロスヘッド151を支持するガイド挿通部157と、ガイド挿通部157を案内するガイドバー133とを有する。
トグルサポート130は、図14に示すように、トグルサポート本体部131と、トグルサポート本体部131から前方に延び途中で射出成形機10の幅方向に折れ曲がる腕部132とを有する。トグルサポート本体部131と腕部132とは鋳造などで一体に成形されてよい。ガイドバー133の後端部はトグルサポート本体部131に固定され、ガイドバー133の前端部は腕部132の先端部に固定される。
トグルサポート本体部131は、型開閉方向視で略矩形状に形成される板状部を有する。板状部は、運動変換機構170のねじ軸171が挿し通される貫通穴を中央部に有する。尚、トグルサポート本体部131は、板状部の他に、板状部の外周縁部から型開閉方向一方向(前方)に突出する筒状部をさらに有してもよい。筒状部は、型開閉方向視で四角枠状に形成され、クロスヘッド151が移動する空間を内部に形成する。
腕部132は、トグルサポート本体部131における可動プラテン120との対向面(前面)の鉛直方向中央部に、射出成形機10の幅方向に間隔をおいて一対設けられる。腕部132は、トグルサポート本体部131の幅方向両端部に一対設けられる。一対の腕部132は、トグルサポート本体部131から型開閉方向一方向(前方)に延び、途中で互いに幅方向内側に折れ曲がり、先端部で一対のガイドバー133の前端部を保持する。各ガイドバー133の後端部は、トグルサポート本体部131で保持される。各ガイドバー133は、例えば円柱状に形成され、型開閉方向に延びる。
クロスヘッド151は、運動変換機構170が取付けられる本体部155と、本体部155からZ軸方向に延在して第3リンク154が揺動自在に結合されるリンク結合部156とを有する。ガイド挿通部157は、クロスヘッド151の本体部155からクロスヘッド151の幅方向に延在し、ガイド挿通部157にガイドバー133が挿通される。本体部155、リンク結合部156、およびガイド挿通部157は、鋳造などで一体に成形されてよい。
本体部155は、運動変換機構170が取付けられるものである。例えば本体部155には、運動変換機構170のねじ軸171が固定される。本体部155は、例えば、型開閉方向に対し垂直な板状に形成され、型開閉方向視で矩形状に形成される。型開閉方向視で、本体部155の中心部に、運動変換機構170が取付けられる。
リンク結合部156は、図15に示すように、本体部155から鉛直方向に突出する。リンク結合部156の先端部には第3リンク154がピンなどで揺動自在に取付けられる。リンク結合部156は、本体部155を挟み鉛直方向両側に設けられてよい。
リンク結合部156は、射出成形機10の幅方向に対し垂直なリンク取付板を、幅方向に間隔をおいて複数有する。各リンク取付板は、本体部155の鉛直方向両端面から鉛直方向に延びる。各リンク取付板の先端部には、リンク取付板を幅方向に貫通する貫通穴159が形成される。その貫通穴159にピンが挿通されることで、ピンを介して第3リンク154がリンク結合部156に揺動自在に結合される。
ガイド挿通部157は、型開閉方向に延びる筒状に形成され、図14および図15に示すようにガイドバー133が挿通されるガイド挿通穴158を有し、ガイドバー133に沿って摺動する。ガイド挿通部157は、本体部155を挟み射出成形機10の幅方向両側に設けられてよい。ガイド挿通部157は、本体部155の射出成形機10の幅方向両端面の鉛直方向中央部に設けられる。
上記のように、クロスヘッド151を含むトグル機構150は、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。従って、可動プラテン120の進退の度にトグル機構150が動作する。このため、繰り返しの使用に伴ってトグル機構150に含まれるリンク群が劣化することがある。リンク群が劣化すると、トグル機構150の動作が可動プラテン120に正確に伝達されなくなるおそれがある。
そこで、第4実施例では、ガイド挿通部157にセンサ175が取り付けられている。例えば、センサ175はガイド挿通穴158の近傍に取り付けられている。センサ175は、荷重センサまたは歪センサである。歪センサにより検出された歪は荷重に換算することができるため、歪センサも荷重を検出することができる。センサ175は、例えば、歪ゲージ式、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などのセンサである。センサ175は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。リンク群に劣化が生じた場合、その影響がガイド挿通部157にも及ぶため、ガイド挿通部157に作用する荷重からリンク群の劣化の程度を見積もることができる。
制御装置700は、センサ175から受信した信号に基づき、ガイド挿通部157に作用している荷重を表示装置760に表示してもよい。例えば、ユーザは、表示装置760に表示されている荷重が予め設定されている閾値を超えた場合には、リンク群の保守を射出成形機10の保守担当者に依頼してもよい。
制御装置700は、センサ175から受信した信号に基づき、ガイド挿通部157に作用している荷重が予め設定されている閾値を超えた場合に、射出成形機10の動作を停止したり、警告を表示装置760に表示したりしてもよい。その後、ユーザは、リンク群の保守を射出成形機10の保守担当者に依頼してもよい。
第4実施例によれば、センサ175により検出された荷重を参考にして、射出成形機10の動作を停止したり、保守を行ったりすることができる。従って、クロスヘッド151からガイドバー133にかかる負荷が低い状態を維持しやすくすることができる。
第4実施例において、第4ガイド135は案内部材の一例であり、ガイド挿通部157は第4スライド部材の一例であり、ガイドバー133は第4ガイド部材の一例であり、クロスヘッド151は被案内部材の一例であり、制御装置700は判定部および報知部の一例であり、表示装置760は出力部の一例である。
センサ175の位置は特に限定されない。センサ175は、一つのガイド挿通部157に対して複数個(例えば2個)用いられてもよい。
第1~第4実施例では、射出成形機10に含まれる射出装置が1つでもよく、回転テーブルが設けられず、可動プラテンに可動金型が取り付けられてもよい。
(変形例等)
以上、射出成形機の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、および組合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
例えば、上記実施形態のガイド溝形成部560は、回転テーブル520の下方に配置されるが、回転テーブル520の上方に配置されてもよい。その配置は、例えば図8および図9に示すフレキシブル保持具500、回転テーブル520およびガイド550を、回転テーブル520の回転中心線520Xの周りに180°回転させた配置である。
また、上記実施形態の回転テーブル520には、1本のフレキシブル保持具500が巻き付けられるが、複数本のフレキシブル保持具500が巻き解けられてもよい。例えば、型開閉方向視で、2本のフレキシブル保持具500が回転テーブル520の回転中心線520Xを中心に点対称に配置されてもよい。この場合、2本のフレキシブル保持具500は異なるガイド550で支持され、一のガイド550は回転テーブル520の下方に配置され、他の一のガイド550は回転テーブル520の上方に配置される。
また、上記実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が鉛直方向である竪型でもよい。型締装置100が竪型である場合、下金型が回転テーブル520に取り付けられ、回転テーブル520が下プラテンに回転自在に取り付けられる。回転テーブル520の回転中心線520Xは、鉛直方向に平行である。ガイド550は下プラテンに固定される。下プラテンの上方に配置される上プラテンには、上金型が取り付けられる。上金型が可動金型であって、下金型が固定金型である。