JP7296472B2 - プリドピジンを使用したミトコンドリア関連疾患および障害(それらの症状を含む)の治療 - Google Patents

プリドピジンを使用したミトコンドリア関連疾患および障害(それらの症状を含む)の治療 Download PDF

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Description

本発明は、ミトコンドリア機能不全に関連する疾患または障害に罹患している対象を治療するための方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む組成物を当該対象に投与することを含む、方法を提供する。
ミトコンドリアは、ほとんどの真核細胞に見られ、酸化的リン酸化(OXPHOS)によるATP合成を含む多くの代謝機能を実行する二重膜オルガネラである。ミトコンドリアは、生体分子の合成、カルシウム恒常性の維持、活性酸素種(ROS)の生成、およびアポトーシスの活性化にも関与している。ミトコンドリアは、構造的に複雑で、非常にダイナミックな運動性オルガネラである。ミトコンドリアは、それらの形態およびほとんどのミトコンドリア機能を決定する融合および核分裂の連続サイクルのプロセスによって、一定の形態学的変化を受ける。
ミトコンドリア機能不全は、細胞の恒常性におけるミトコンドリアの中心的な役割を考えると、ミトコンドリア病、がん、代謝性疾患および糖尿病、炎症状態、神経変性障害、神経障害、ならびにアルツハイマー病、パーキンソン病およびハンチントン病などの神経変性疾患を含む多くの加齢性障害に関連している。プリドピジン(4-[3-(メチルスルホニル)フェニル]-1-プロピル-ピペリジン)(以前はACR16、Huntexil(登録商標)、TV-7820として知られていた)は、HDおよびALSの治療のために臨床開発中である。プリドピジンは、HD、PD、ALSおよびADのモデルを含む、神経変性疾患の動物および細胞モデルにおいて神経保護特性を発揮することが示された(Francardo,Veronica,Michal Geva,Francesco Bez,Quentin Denis,Lilach Steiner,Michael R.Hayden,and M.Angela Cenci.2019."Pridopidine Induces Functional Neurorestoration Via the Sigma-1 Receptor in a Mouse Model of Parkinson's Disease."Neurotherapeutics 16(2):465-79、Ryskamp,Daniel A.,Lili Wu,Jun Wu,Dabin Kim,Gerhard Rammes,Michal Geva,Michael Hayden,and Ilya Bezprozvanny.2019"Pridopidine Stabilizes Mushroom Spines in Mouse Models of Alzheimer's Disease by Acting on the Sigma-1 Receptor."Neurobiology of Disease,124,489-504、Ryskamp,Daniel,Jun Wu,Michal Geva,Rebecca Kusko,Iris Grossman,Michael Hayden,and Ilya Bezprozvanny.2017."The Sigma-1 Receptor Mediates the Beneficial Effects of Pridopidine in a Mouse Model of Huntington Disease."Neurobiology of Disease 97 (Pt A):46-59、Ionescu,Ariel,Tal Gradus,Topaz Altman,Roy Maimon,Noi Saraf Avraham,Michal Geva,Michael Hayden,and Eran Perlson.2019."Targeting the Sigma-1 Receptor via Pridopidine Ameliorates Central Features of ALS Pathology in a SOD1G93A Model."Cell Death&Disease 10 (3):210、Garcia-Miralles,Marta,Michal Geva,Jing Ying Tan,Nur Amirah Binte Mohammad Yusof,Yoonjeong Cha,Rebecca Kusko,Liang Juin Tan,et al.2017."Early Pridopidine Treatment Improves Behavioral and Transcriptional Deficits in YAC128 Huntington Disease Mice."JCI Insight.)。ミトコンドリア機能不全は、これら神経変性疾患それぞれの病理学で実証されている。
第1の態様において、本発明は、ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状の治療を必要とする対象において当該治療を行うための方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む有効用量の組成物を当該対象に投与し、それにより当該対象を治療することを含む、方法を提供する。
さらなる態様において、本発明は、ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状を治療するための方法において使用するための、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む組成物を提供する。
いくつかの実施形態において、当該ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状は、ミトコンドリアミオパチーに関連する疾患、障害、またはその任意の症状である。
他の実施形態において、当該ミトコンドリアミオパチーは、MELAS症候群、MERRF症候群、リー病、慢性進行性外眼筋麻痺(C/PEO)、真性糖尿病および難聴(MIDDまたはDAD)、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)、アルパーズ症候群、ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDS)、ミトコンドリア神経胃腸管系脳筋症(MNGIE)、神経障害、運動失調症および網膜色素変性(NARP)、ピアソン症候群、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、優性視神経萎縮症(DOA)、色素性網膜症、ウルフラム症候群、フリードライヒ運動失調症(FRDA)、ミトコンドリア神経胃腸管系脳筋症(MNGIE)、ならびにそれらの任意の組み合わせから選択される。
さらなる実施形態において、当該ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状は、リソソーム蓄積症に関連する疾患、障害、または任意の症状である。
他の実施形態において、当該リソソーム蓄積症は、糖原病II型(ポンペ病)、多種スルファターゼ欠損症(MSD)、ムコ多糖症(MPS)、ムコリピドーシス(ML)I~III型、G(M1)-ガングリオシドーシス、ファブリー病、ファーバー病、ゴーシェ病、ニーマン・ピック病、ムコリピドーシス(ML)IV型、シスチン症、神経セロイドリポフスチン症、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
いくつかの実施形態において、当該ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状は、神経変性疾患に関連する疾患、障害、または任意の症状である。
いくつかの実施形態において、当該神経変性疾患は、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症(FTD)、シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
いくつかの実施形態において、当該ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状は、双極性障害である。
いくつかの実施形態において、当該プリドピジンは、その中性/塩基の形態である。いくつかの実施形態において、当該プリドピジンは、薬学的に許容される塩の形態である。いくつかのさらなる実施形態において、当該プリドピジンは、プリドピジン塩酸塩である。
いくつかの実施形態において、当該プリドピジンを含む組成物は、経口投与される。
他の実施形態において、当該組成物は、吸入可能な粉末、注射剤、液体、ゲル、固体、カプセル、点眼薬、または錠剤の形態で投与される。
いくつかの実施形態において、プリドピジンを含む組成物は、定期的に投与される(すなわち、当該プリドピジンは、毎日、毎時、毎週、毎月などの規則的な所定の時間間隔で投与され、それぞれがまた、任意選択的に、投与される用量および期間あたりの投与回数を定義する)。さらなる実施形態において、プリドピジンを含む組成物は、1日1回、1日2回、または1日3回投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンを含む組成物は、1日1回よりも少ない頻度で投与される。いくつかの実施形態において、プリドピジンを含む組成物は、1日あたり1回用量、2回用量、または3回用量で投与される。
いくつかの実施形態において、プリドピジンは、1mg/日~400mg/日の1日用量で投与される。いくつかの実施形態において、プリドピジンは、1mg/日~300mg/日の1日用量で投与される。他の実施形態において、プリドピジンは、1mg/日~90mg/日の1日用量で投与される。他の実施形態において、プリドピジンは、20mg/日~90mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、45mg/日~90mg/日の1日用量で投与される。他の実施形態において、プリドピジンは、20mg/日~50mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、1mg/日~10mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、10mg/日~20mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、20mg/日~30mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、30mg/日~40mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、40mg/日~50mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、50mg/日~60mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、60mg/日~70mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、70mg/日~80mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、80mg/日~90mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、90mg/日~100mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、100mg/日~150mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、150mg/日~200mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、200mg/日~250mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、250mg/日~300mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、300mg/日~350mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、350mg/日~400mg/日の1日用量で投与される。
本発明とみなされる主題は、本明細書の結論部分で特に指摘され、明確に特許請求される。しかしながら、本発明は、その目的、特徴、および利点とともに、構成および動作方法の両方に関して、添付の図面とともに読まれる場合、以下の詳細な説明を参照することによって最良に理解され得る。
図1Aは、プリドピジンが異常なミトコンドリア形態を救済し、Y128(YAC128、HD)ニューロンにおけるミトコンドリア-ER接触を回復させることを示している。Mitotracker色素で染色したWTおよびY128(HD)皮質/線条体ニューロンにおけるミトコンドリアネットワークの視覚的表現。 図1Bは、プリドピジンが異常なミトコンドリア形態を救済し、Y128(YAC128、HD)ニューロンにおけるミトコンドリア-ER接触を回復させることを示している。図1Aからの定量化-プリドピジン治療の前後で、WTおよびY128(HD)皮質/線条体ニューロンのミトコンドリアの数は同様である(n=4)。 図1Cは、プリドピジンが異常なミトコンドリア形態を救済し、Y128(YAC128、HD)ニューロンにおけるミトコンドリア-ER接触を回復させることを示している。Y128 HDミトコンドリアは、円形ミトコンドリアの割合が増加している。プリドピジン処置(1μM)により、Y128の形態が正常レベルに修正された(n=4)。 図1Dは、プリドピジンが異常なミトコンドリア形態を救済し、Y128(YAC128、HD)ニューロンにおけるミトコンドリア-ER接触を回復させることを示している。Y128 HDミトコンドリアは、伸長したミトコンドリアの割合が減少した形態障害を示している。プリドピジン処置(1μM)により、Y128の形態が正常レベルに修正された(n=4)。 図1Eは、プリドピジンが異常なミトコンドリア形態を救済し、Y128(YAC128、HD)ニューロンにおけるミトコンドリア-ER接触を回復させることを示している。WTおよびY128ニューロンをミトコンドリアマーカー(図1Eの中央列)およびERマーカー(図1Eの右列)で染色し、ERとミトコンドリアの共局在を分析した(図1Eの左列)(n=約15の投影/条件)。 図1Fは、プリドピジンが異常なミトコンドリア形態を救済し、Y128(YAC128、HD)ニューロンにおけるミトコンドリア-ER接触を回復させることを示している。図1Fは、図1Eの定量化は、WTと比較して、Y128ニューロンでMito-ERの接触が減少していることを示している。プリドピジン(1μM)は、Mito-ERの接触を大幅に増加させた。 図1Gは、プリドピジンが異常なミトコンドリア形態を救済し、Y128(YAC128、HD)ニューロンにおけるミトコンドリア-ER接触を回復させることを示している。アスペクト比。ミトコンドリアの軸間の比率は、ミトコンドリアの健康状態を示しており(方法(段落0083)および結果(段落0089)を参照)、HDニューロンでは減少している。プリドピジン処置は、Y128ニューロンにおけるアスペクト比を救済した(図1G)。*p<0.05、***p<0.001(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。 図2Aは、プリドピジンがY128 HDニューロンのミトコンドリアダイナミクス障害を改善することを示している。MitoDSRedをトランスフェクトしたミトコンドリアを、スピニングディスク共焦点で12分間追跡し、カイモグラフを使用して速度および方向性輸送を定量化した(n=7~9の投影/条件)。WT-上の画像は、逆行方向および順行方向の両方におけるミトコンドリアの動きを示している。Y128-中央の画像は、HDではWTと比較してどちらの方向にもミトコンドリアの動きがないことを示している。1μMのプリドピジンで処置したY128-下の画像は、プリドピジン処置が、WTと同様に、ミトコンドリアの動きを逆行および順行の両方において回復させたことを示している。*p<0.05、$p<0.05(順行性のY128基礎(basal)に対して)(二元配置分散分析(ANOVA)とそれに続くテューキーの多重比較検定による)。 図2Bは、プリドピジンがY128 HDニューロンのミトコンドリアダイナミクス障害を改善することを示している。図2Aの定量化。輸送の方向性分析は、Y128ニューロンでは静止ミトコンドリア%が増加するが、逆行輸送および順行輸送の両方が減少することを示している。プリドピジン処置により、静止ミトコンドリア%がWTレベルに低下し、逆行輸送および順行輸送の両方の割合がWTレベルまで増加した。*p<0.05、$p<0.05(順行性のY128基礎(basal)に対して)(二元配置分散分析(ANOVA)とそれに続くテューキーの多重比較検定による)。 図2Cは、プリドピジンがY128 HDニューロンのミトコンドリアダイナミクス障害を改善することを示している。Y128ニューロンでは総速度が低下する。プリドピジン処置は、ミトコンドリアの総速度を上昇させる。*p<0.05、$p<0.05(順行性のY128基礎(basal)に対して)(二元配置分散分析(ANOVA)とそれに続くテューキーの多重比較検定による)。*p<0.05、$p<0.05(順行性のY128基礎(basal)に対して)(二元配置分散分析(ANOVA)とそれに続くテューキーの多重比較検定による)。 図3Aは、プリドピジンがHD細胞モデルのミトコンドリア呼吸障害を救済することを示している。1μMおよび5μMのプリドピジンで24時間処置したWTおよびY128皮質/線条体ニューロンにおいて酸素消費およびATP産生を評価した。いずれの用量でも、基礎呼吸と最大呼吸の救済、およびATP産生の増加が示されている(n=3)。*p<0.05、**p<0.01(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。 図3Bは、プリドピジンがHD細胞モデルのミトコンドリア呼吸障害を救済することを示している。1μMおよび5μMのプリドピジンで24時間処置したWTおよびY128皮質/線条体ニューロンにおいて酸素消費およびATP産生を評価した。いずれの用量でも、基礎呼吸と最大呼吸の救済、およびATP産生の増加が示されている(n=3)。*p<0.05、**p<0.01(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。 図3Cは、プリドピジンがHD細胞モデルのミトコンドリア呼吸障害を救済することを示している。1μMおよび5μMのプリドピジンで24時間処置したWTおよびY128皮質/線条体ニューロンにおいて酸素消費およびATP産生を評価した。いずれの用量でも、基礎呼吸と最大呼吸の救済、およびATP産生の増加が示されている(n=3)。*p<0.05、**p<0.01(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。 図3Dは、プリドピジンがHD細胞モデルのミトコンドリア呼吸障害を救済することを示している。1μMおよび5μMのプリドピジンで24時間処置したWTおよびY128皮質/線条体ニューロンにおいて酸素消費およびATP産生を評価した。いずれの用量でも、基礎呼吸と最大呼吸の救済、およびATP産生の増加が示されている(n=3)。*p<0.05、**p<0.01(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。 図3Eは、プリドピジンがHD細胞モデルのミトコンドリア呼吸障害を救済することを示している。酸素消費およびATP産生は、HD神経幹細胞(NSC)において減少した。24時間の1μMプリドピジン処置は、ATP産生だけでなく、基礎呼吸と最大呼吸の両方を救済した。*p<0.05、**p<0.01(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。 図3Fは、プリドピジンがHD細胞モデルのミトコンドリア呼吸障害を救済することを示している。酸素消費およびATP産生は、HD神経幹細胞(NSC)において減少した。24時間の1μMプリドピジン処置は、ATP産生だけでなく、基礎呼吸と最大呼吸の両方を救済した。*p<0.05、**p<0.01(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。 図3Gは、プリドピジンがHD細胞モデルのミトコンドリア呼吸障害を救済することを示している。酸素消費およびATP産生は、HD神経幹細胞(NSC)において減少した。24時間の1μMプリドピジン処置は、ATP産生だけでなく、基礎呼吸と最大呼吸の両方を救済した。*p<0.05(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。*p<0.05、**p<0.01(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。 図3Hは、プリドピジンがHD細胞モデルのミトコンドリア呼吸障害を救済することを示している。酸素消費およびATP産生は、HD神経幹細胞(NSC)において減少した。24時間の1μMプリドピジン処置は、ATP産生だけでなく、基礎呼吸と最大呼吸の両方を救済した。*p<0.05、**p<0.01(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。 図4Aは、プリドピジン処置が、ミトコンドリア機能不全の誘発からY128ニューロンおよびHDリンパ芽球を保護することを示している。0.1μMまたは1μMのプリドピジンで処置した皮質(図4A左および図4B)と線条体(図4A右および図4C)のWTおよびY128ニューロンを、オリゴマイシン+FCCP(カルボニルシアニド-4-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン、酸化的リン酸化脱共役剤)による脱分極後のミトコンドリア膜電位(MMP、ΔΨ)の変化について評価した(n=7~10)。プリドピジン(0.1μMおよび1μM)はMMPを増加させた。MMPは、Y128ニューロンでは減少し、皮質ニューロンおよび線条体ニューロンの両方でWTに匹敵するレベルに戻る。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。「Pri」はプリドピジンを指す。 図4Bは、プリドピジン処置が、ミトコンドリア機能不全の誘発からY128ニューロンおよびHDリンパ芽球を保護することを示している。0.1μMまたは1μMのプリドピジンで処置した皮質(図4A左および図4B)と線条体(図4A右および図4C)のWTおよびY128ニューロンを、オリゴマイシン+FCCP(カルボニルシアニド-4-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン、酸化的リン酸化脱共役剤)による脱分極後のミトコンドリア膜電位(MMP、ΔΨ)の変化について評価した(n=7~10)。プリドピジン(0.1μMおよび1μM)はMMPを増加させた。MMPは、Y128ニューロンでは減少し、皮質ニューロンおよび線条体ニューロンの両方でWTに匹敵するレベルに戻る。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。「Pri」はプリドピジンを指す。 図4Cは、プリドピジン処置が、ミトコンドリア機能不全の誘発からY128ニューロンおよびHDリンパ芽球を保護することを示している。0.1μMまたは1μMのプリドピジンで処置した皮質(図4A左および図4B)と線条体(図4A右および図4C)のWTおよびY128ニューロンを、オリゴマイシン+FCCP(カルボニルシアニド-4-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン、酸化的リン酸化脱共役剤)による脱分極後のミトコンドリア膜電位(MMP、ΔΨ)の変化について評価した(n=7~10)。プリドピジン(0.1μMおよび1μM)はMMPを増加させた。MMPは、Y128ニューロンでは減少し、皮質ニューロンおよび線条体ニューロンの両方でWTに匹敵するレベルに戻る。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。「Pri」はプリドピジンを指す。 図4Dは、プリドピジン処置が、ミトコンドリア機能不全の誘発からY128ニューロンおよびHDリンパ芽球を保護することを示している。Hを使用してY128皮質/線条体共培養物において酸化ストレスが誘発され、その結果、MMPが有意に低下し(図4E)、細胞生存率が低下した(図4F)。プリドピジン処置(5μM)は、MMPを救済し(図4D)、細胞生存率を増加させた(図4E)。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。「Pri」はプリドピジンを指す。 図4Eは、プリドピジン処置が、ミトコンドリア機能不全の誘発からY128ニューロンおよびHDリンパ芽球を保護することを示している。Hを使用してY128皮質/線条体共培養物において酸化ストレスが誘発され、その結果、MMPが有意に低下し(図4E)、細胞生存率が低下した(図4F)。プリドピジン処置(5μM)は、MMPを救済し(図4D)、細胞生存率を増加させた(図4E)。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。「Pri」はプリドピジンを指す。 図4Fは、プリドピジン処置が、ミトコンドリア機能不全の誘発からY128ニューロンおよびHDリンパ芽球を保護することを示している。Hを使用してY128皮質/線条体共培養物において酸化ストレスが誘発され、Hを使用してY128皮質/線条体共培養物において酸化ストレスが誘発され、その結果、MMPが有意に低下し(図4E)、細胞生存率が低下した(図4F)。プリドピジン処置(5μM)は、MMPを救済し(図4D)、細胞生存率を増加させた(図4E)。HD患者または健常対照に由来するヒトリンパ芽球を、1μM、5μMもしくは10μMのプリドピジンおよび/またはHで前処置した。プリドピジンの全ての用量はΔΨを増加させ、最も有意な効果は5μMで達成された(n=4)。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。「Pri」はプリドピジンを指す。 図5Aは、プリドピジンが、Y128ニューロンならびにHD NSCおよびリンパ芽球における酸化的攻撃誘発性の活性酸素種(ROS)産生を元に戻すことを示している。Hレベルを記録するためMitoPY蛍光プローブで処置した皮質/線条体ニューロン培養物の代表的な画像である。ミトコンドリア複合体III阻害剤であるアンチマイシンA(AntA、2μM)を、示されているように添加して、ミトコンドリア機能不全を誘発した(左パネル-AntA処置前、中央パネル-AntA処置後の未処置ニューロン、右パネル-AntA処置後のプリドピジン処置ニューロン)。*p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001(二元配置ANOVAとそれに続くテューキーの多重比較検定による)。 図5Bは、プリドピジンが、Y128ニューロンならびにHD NSCおよびリンパ芽球における酸化的攻撃誘発性の活性酸素種(ROS)産生を元に戻すことを示している。皮質ニューロンにおける図5Aの定量化。図5C:線条体ニューロンにおける図5Aの定量化。1μMプリドピジンで処置した皮質および線条体ニューロンは、示されているように、AntAの後にMitoPY蛍光プローブによって記録されたミトコンドリアのHレベルの低下を示す(n=4、線条体ニューロンの場合は約20個の細胞/条件、および皮質ニューロンの場合は約10個の細胞/条件を考慮)。スケールバー=30μM。図5D:ヒトNSCは、ミトコンドリア機能不全を誘発し、ミトコンドリアのHレベルを高めるミトコンドリア複合体II阻害剤であるミキソチアゾール(Myxo、3μM)で処置した。プリドピジン(1μM)で24時間処置すると、ミトコンドリアのHレベルが低下した(n=4)。*p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001(二元配置ANOVAとそれに続くテューキーの多重比較検定による)。 図5Cは、プリドピジンが、Y128ニューロンならびにHD NSCおよびリンパ芽球における酸化的攻撃誘発性の活性酸素種(ROS)産生を元に戻すことを示している。*p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001(二元配置ANOVAとそれに続くテューキーの多重比較検定による)。 図5Dは、プリドピジンが、Y128ニューロンならびにHD NSCおよびリンパ芽球における酸化的攻撃誘発性の活性酸素種(ROS)産生を元に戻すことを示している。*p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001(二元配置ANOVAとそれに続くテューキーの多重比較検定による)。 図5Eは、プリドピジンが、Y128ニューロンならびにHD NSCおよびリンパ芽球における酸化的攻撃誘発性の活性酸素種(ROS)産生を元に戻すことを示している。対照およびHDリンパ芽球をHで攻撃してミトコンドリア機能不全を誘発すると、ROSレベルが上昇した(CellRox染色を使用してROSレベルを決定した)。5μMプリドピジンで24時間前処置すると、ROSレベルが有意に低下した(n=4)。***p<0.001、****p<0.0001(クラスカル・ウォリス検定とそれに続くダン多重比較検定による)。 図6Aは、プリドピジン処置がY128マウスにおける運動障害の発症を遅延させ、ミトコンドリア複合体の活性を正規化し、単離されたY128線条体ミトコンドリアにおいてH産生を減少させることを示している。インビボ実験計画の概略図:マウスをビヒクルまたはプリドピジンで45日間処置した。ロータロッド行動試験(RR)は、治療前の0日目(1.5ヶ月齢)と44日目(3ヶ月齢)に測定した。*p<0.05、**p<0.01(ノンパラメトリックなクラスカル・ウォリス検定による)。 図6Bは、プリドピジン処置がY128マウスにおける運動障害の発症を遅延させ、ミトコンドリア複合体の活性を正規化し、単離されたY128線条体ミトコンドリアにおいてH産生を減少させることを示している。1.5ヶ月齢では、治療前、WTと比較してY128マウスの運動能力に障害はない。*p<0.05、**p<0.01(ノンパラメトリックなクラスカル・ウォリス検定による)。 図6Cは、プリドピジン処置がY128マウスにおける運動障害の発症を遅延させ、ミトコンドリア複合体の活性を正規化し、単離されたY128線条体ミトコンドリアにおいてH産生を減少させることを示している。3ヶ月齢では、ビヒクルで処置したY128マウスに有意な障害が観察された。プリドピジン治療は、ロータロッド運動試験において、ビヒクルで処置した対照と比較して、Y128マウスによる落下までの潜時を有意に増加させた。*p<0.05、**p<0.01(ノンパラメトリックなクラスカル・ウォリス検定による)。 図6Dは、プリドピジン処置がY128マウスにおける運動障害の発症を遅延させ、ミトコンドリア複合体の活性を正規化し、単離されたY128線条体ミトコンドリアにおいてH産生を減少させることを示している。酸素消費率(OCR)を測定するためのSeahorse XFを使用して、ビヒクルで処置したまたはプリドピジンで処置した野生型およびY128マウスからの線条体ミトコンドリアにおける電子の流れを評価した。ミトコンドリア複合体阻害剤および基質、2μMロテノン、10mMコハク酸塩、4μMアンチマイシンAおよび1mMアスコルビン酸塩/100mM TMPDを順次注射して、ミトコンドリア複合体I、複合体II、複合体III、および複合体IVの活性をそれぞれ計算した。複合体II、III、およびIVは、Y128マウスでのOCRの増加を示し、これは初期の代償メカニズムを示唆し、プリドピジンはこの効果を救済する。*p<0.05、**p<0.01(ノンパラメトリックなクラスカル・ウォリス検定による)。 図6Eは、プリドピジン処置がY128マウスにおける運動障害の発症を遅延させ、ミトコンドリア複合体の活性を正規化し、単離されたY128線条体ミトコンドリアにおいてH産生を減少させることを示している。酸素消費率(OCR)を測定するためのSeahorse XFを使用して、ビヒクルで処置したまたはプリドピジンで処置した野生型およびY128マウスからの線条体ミトコンドリアにおける電子の流れを評価した。ミトコンドリア複合体阻害剤および基質、2μMロテノン、10mMコハク酸塩、4μMアンチマイシンAおよび1mMアスコルビン酸塩/100mM TMPDを順次注射して、ミトコンドリア複合体I、複合体II、複合体III、および複合体IVの活性をそれぞれ計算した。複合体II、III、およびIVは、Y128マウスでのOCRの増加を示し、これは初期の代償メカニズムを示唆し、プリドピジンはこの効果を救済する。*p<0.05、**p<0.01(ノンパラメトリックなクラスカル・ウォリス検定による)。 図6Fは、プリドピジン処置がY128マウスにおける運動障害の発症を遅延させ、ミトコンドリア複合体の活性を正規化し、単離されたY128線条体ミトコンドリアにおいてH産生を減少させることを示している。酸素消費率(OCR)を測定するためのSeahorse XFを使用して、ビヒクルで処置したまたはプリドピジンで処置した野生型およびY128マウスからの線条体ミトコンドリアにおける電子の流れを評価した。ミトコンドリア複合体阻害剤および基質、2μMロテノン、10mMコハク酸塩、4μMアンチマイシンAおよび1mMアスコルビン酸塩/100mM TMPDを順次注射して、ミトコンドリア複合体I、複合体II、複合体III、および複合体IVの活性をそれぞれ計算した。複合体II、III、およびIVは、Y128マウスでのOCRの増加を示し、これは初期の代償メカニズムを示唆し、プリドピジンはこの効果を救済する。*p<0.05、**p<0.01(ノンパラメトリックなクラスカル・ウォリス検定による)。 図6Gは、プリドピジン処置がY128マウスにおける運動障害の発症を遅延させ、ミトコンドリア複合体の活性を正規化し、単離されたY128線条体ミトコンドリアにおいてH産生を減少させることを示している。酸素消費率(OCR)を測定するためのSeahorse XFを使用して、ビヒクルで処置したまたはプリドピジンで処置した野生型およびY128マウスからの線条体ミトコンドリアにおける電子の流れを評価した。ミトコンドリア複合体阻害剤および基質、2μMロテノン、10mMコハク酸塩、4μMアンチマイシンAおよび1mMアスコルビン酸塩/100mM TMPDを順次注射して、ミトコンドリア複合体I、複合体II、複合体III、および複合体IVの活性をそれぞれ計算した。複合体II、III、およびIVは、Y128マウスでのOCRの増加を示し、これは初期の代償メカニズムを示唆し、プリドピジンはこの効果を救済する。*p<0.05、**p<0.01(ノンパラメトリックなクラスカル・ウォリス検定による)。 図6Hは、プリドピジン処置がY128マウスにおける運動障害の発症を遅延させ、ミトコンドリア複合体の活性を正規化し、単離されたY128線条体ミトコンドリアにおいてH産生を減少させることを示している。酸素消費率(OCR)を測定するためのSeahorse XFを使用して、ビヒクルで処置したまたはプリドピジンで処置した野生型およびY128マウスからの線条体ミトコンドリアにおける電子の流れを評価した。ミトコンドリア複合体阻害剤および基質、2μMロテノン、10mMコハク酸塩、4μMアンチマイシンAおよび1mMアスコルビン酸塩/100mM TMPDを順次注射して、ミトコンドリア複合体I、複合体II、複合体III、および複合体IVの活性をそれぞれ計算した。複合体II、III、およびIVは、Y128マウスでのOCRの増加を示し、これは初期の代償メカニズムを示唆し、プリドピジンはこの効果を救済する。*p<0.05、**p<0.01(ノンパラメトリックなクラスカル・ウォリス検定による)。 図6Iは、プリドピジン処置がY128マウスにおける運動障害の発症を遅延させ、ミトコンドリア複合体の活性を正規化し、単離されたY128線条体ミトコンドリアにおいてH産生を減少させることを示している。ミトコンドリア複合体IIIの阻害にはアンチマイシンA(2μM)を使用した。ミトコンドリアのHレベルは、WTマウスと比較して、Y128マウスから単離したミトコンドリアにおいて増加している。プリドピジンは、ミトコンドリアのHマウスレベルを減少させた。XY線は、アンチマイシンAを添加した後の蛍光の時間依存性変化を示している。*p<0.05、**p<0.01(ノンパラメトリックなクラスカル・ウォリス検定による)。 図6Jは、プリドピジン処置がY128マウスにおける運動障害の発症を遅延させ、ミトコンドリア複合体の活性を正規化し、単離されたY128線条体ミトコンドリアにおいてH産生を減少させることを示している。ミトコンドリア複合体IIIの阻害にはアンチマイシンA(2μM)を使用した。ミトコンドリアのHレベルは、WTマウスと比較して、Y128マウスから単離したミトコンドリアにおいて増加している。プリドピジンは、ミトコンドリアのHマウスレベルを減少させた。XY線は、アンチマイシンAを添加した後の蛍光の時間依存性変化を示している。*p<0.05、**p<0.01(ノンパラメトリックなクラスカル・ウォリス検定による)。 図6Kは、プリドピジン処置がY128マウスにおける運動障害の発症を遅延させ、ミトコンドリア複合体の活性を正規化し、単離されたY128線条体ミトコンドリアにおいてH産生を減少させることを示している。ミトコンドリア複合体IIIの阻害にはアンチマイシンA(2μM)を使用した。ミトコンドリアのHレベルは、WTマウスと比較して、Y128マウスから単離したミトコンドリアにおいて増加している。プリドピジンは、ミトコンドリアのHマウスレベルを減少させた。XY線は、アンチマイシンAを添加した後の蛍光の時間依存性変化を示している。*p<0.05、**p<0.01(ノンパラメトリックなクラスカル・ウォリス検定による)。 図6Lは、プリドピジン処置がY128マウスにおける運動障害の発症を遅延させ、ミトコンドリア複合体の活性を正規化し、単離されたY128線条体ミトコンドリアにおいてH産生を減少させることを示している。カルシウムの取り込みも、プリドピジンで処置したY128マウスからのミトコンドリアで改善されている。カルシウムの細胞外レベルは、プリドピジン処置に応答して減少する(図6L)。*p<0.05、**p<0.01(ノンパラメトリックなクラスカル・ウォリス検定による)。 図6Mは、プリドピジン処置がY128マウスにおける運動障害の発症を遅延させ、ミトコンドリア複合体の活性を正規化し、単離されたY128線条体ミトコンドリアにおいてH産生を減少させることを示している。カルシウムの取り込みも、プリドピジンで処置したY128マウスからのミトコンドリアで改善されている。カルシウムの細胞外レベルは、プリドピジン処置に応答して減少する(図6L)。これは、ミトコンドリアのカルシウムハンドリングが増加した証拠である(図6M)。*p<0.05、**p<0.01(ノンパラメトリックなクラスカル・ウォリス検定による)。 図7Aは、プリドピジンがmHtt誘発性ERストレスを減少させることを示している。H2a-GFPは、STHdhQ7/7細胞で変異体Htt96Q-mCherry(HDエクソン1)と一時的に共発現した。H2a-GFP凝集は、ERストレスのマーカーである。mCherryとGFPの凝集を評価し、共焦点顕微鏡で画像を取得した。未処置細胞と比較して、Htt96QはERストレスを増強し、0.03μM、0.3μMおよび3μMでのプリドピジン処置が、これらの細胞におけるERストレスを減少させる。比較のために、100%はHtt96Q-mCherry凝集体を示す未処置細胞におけるH2a-GFP相対強度を表し、0%はHtt96Q-cherry凝集体を有さない未処置細胞におけるH2a-GFP相対強度を表す。グラフは3回の実験の平均+-SEである。未処置の細胞と比較して、*p<0.05および**p<0.01。 図7Bは、プリドピジンがmHtt誘発性ERストレスを減少させることを示している。H2a-GFPは、STHdhQ7/7細胞でHtt20Q-mCherry(WT)と一時的に共発現した。H2a-GFP凝集は、ERストレスのマーカーである。mCherryとGFPの凝集を評価し、共焦点顕微鏡で画像を取得した。Htt20Q(wt)は、ERストレスを誘発しない。比較のために、100%はHtt96Q-mCherry凝集体を示す未処置細胞におけるH2a-GFP相対強度を表し、0%はHtt96Q-cherry凝集体を有さない未処置細胞におけるH2a-GFP相対強度を表す。グラフは3回の実験の平均+-SEである。未処置の細胞と比較して、*p<0.05および**p<0.01。 プリドピジンが、HDモデルで上昇するERストレスの指標であるリン酸化eIF2α(eIF2α-P)レベルを低下させることを示している。変異体Htt(Htt96Q、実線)またはWT Htt(Htt20Q、破線)をトランスフェクトして、0.3μMおよび3μMのプリドピジンで24時間処置したHEK293細胞において、eIF2α-Pレベルをアッセイした。総eIF2αに対するeIF2α-Pの比率をイムノブロットによって定量化した。変異体Httは、WTと比較してリン酸化eIF2αのレベルを増加させ、両方のプリドピジン濃度は、eIF2α-Pレベルを減少させた(*p<0.05)。
以下の詳細な説明において、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細を伴わずに実行されてもよいということが、当業者によって理解されるであろう。他の事例では、本発明を不明瞭にしないように、周知の方法、手順、および構成要素は、詳細に説明されていない。
第1の態様において、本発明は、ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状の治療を必要とする対象において当該治療を行うための方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む有効用量の組成物を当該対象に投与し、それにより当該対象を治療することを含む、方法を提供する。
さらなる態様において、本発明は、ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状を治療するための方法において使用するための、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む組成物を提供する。
「ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状」について言及する場合、ミトコンドリアまたはその任意の一部の機能不全が直接的または間接的な役割を果たす、対象の健康を危険にさらすあらゆる種類の状態を包含すると理解されるべきである。
いくつかの実施形態において、当該ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、または任意の症状は、ミトコンドリアミオパチーに関連する疾患、障害、またはその任意の症状である。
他の実施形態において、当該ミトコンドリアミオパチーは、MELAS症候群、MERRF症候群、リー病、アルパーズ症候群、慢性進行性外眼筋麻痺(C/PEO)、真性糖尿病および難聴(MIDDまたはDAD)、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)、ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDS)、ミトコンドリア神経胃腸管系脳筋症(MNGIE)、神経障害、運動失調症および網膜色素変性(NARP)、ピアソン症候群、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、優性視神経萎縮症(DOA)、色素性網膜症、ウルフラム症候群、フリードライヒ運動失調症(FRDA)、ミトコンドリア神経胃腸管系脳筋症(MNGIE)、ならびにそれらの任意の組み合わせから選択される。
「ミトコンドリアミオパチー」について言及する場合、機能不全のミトコンドリアによって引き起こされるあらゆる疾患もしくは障害またはあらゆる症状を包含すると理解されるべきである。ミトコンドリア病は、ミトコンドリア機能に影響を及ぼすミトコンドリアDNAの変異によって引き起こされる場合がある(時間の約15%)。他のミトコンドリア病は、核DNAの遺伝子の変異によって引き起こされ、その遺伝子産物がミトコンドリア(ミトコンドリアタンパク質)に移入され、ミトコンドリアの状態を獲得する。ミトコンドリア病は、当該疾患がしばしば受け継がれる方法のため、およびミトコンドリアが細胞機能にとって非常に重要であるために、独特の特徴を呈する。神経筋疾患の症状があるこれらの疾患のサブクラスは、ミトコンドリアミオパチーと呼ばれることが多い。
ミトコンドリアミオパチーの疾患および障害には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない。
MELAS症候群(ミトコンドリアミオパチー、脳症、乳酸アシドーシス、および脳卒中)。ミトコンドリアDNAの変異によって引き起こされる進行性神経変性障害。この疾患はあまり知られておらず、診断が難しい場合があるため、世界中でMELAS発症者が何名なのかはまだ分かっていない。この症候群は、すべての民族ならびに弾性および女性の両方に影響を及ぼす。罹患者は通常、4歳~40歳に症状を示し始める。予後は不良であり、当該疾患は致命的である場合が多い。MELAS症候群の治療法はなく、医療は主に支援的である。症状:MELAS症候群患者のすべての細胞にミトコンドリアの欠陥が存在するため、多種の症状が発症する可能性があり、衰弱させる場合が多い。脳卒中は脳の損傷を引き起こし、発作、しびれ、または部分的な麻痺につながる。脳症(脳疾患)は、振せん、筋肉のけいれん、失明、難聴を引き起こし、認知症につながることがある。ミオパチー(筋肉疾患)は、困難歩行、移動、食事および発話を引き起こす。
MERRF症候群(または赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん)小児期に始まり、神経系および骨格筋、ならびに他の身体システムに影響を及ぼす非常にまれな障害。MERRFの際立った特徴はミオクローヌスであり、これは、腕および脚、または全身に影響を及ぼす可能性のある突然の短い反射けいれん(jerking spasms)からなる。さらに、MERRF症候群の人は、筋力低下(ミオパチー)、運動を調整する能力の障害(運動失調症)、発作、および知的機能の緩徐な悪化(認知症)を有する可能性がある。低身長、視神経の変性(視神経萎縮)、難聴、心筋症、および神経損傷による異常な感覚(末梢神経障害)も一般的な症状である。異常な筋細胞が存在し、ゴモリ・トリクローム変法で染色し、顕微鏡で見ると、これらの筋細胞は赤色ぼろ線維(RRF)として現れる。MERRFは、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の変異によって引き起こされる。
リー病 出生時の有病率はおよそ36000人に1人と推定されている。症状は、典型的には12ヶ月齢前に発症するが、まれに、青年期またはさらには成人早期に発症することもある。運動マイルストーンの喪失、頭部の制御が不十分な筋緊張低下、再発性嘔吐、および運動障害が一般的な初期症状である。錐体徴候および錐体外路徴候、眼振、呼吸障害、眼筋麻痺および末梢神経障害が、しばしば後で認められる。てんかんは比較的まれである。リー病に対する特別な治療法はない。
慢性進行性外眼筋麻痺(C/PEO) 外眼筋の緩徐進行性麻痺を特徴とする。患者は通常、両側性の対称的な進行性眼瞼下垂を経験し、その後、数ヶ月~数年後に眼筋麻痺を起こす。毛様体と虹彩の筋肉は関与していない。CPEOは、ミトコンドリアミオパチーの最も頻繁な症状である。ミトコンドリアDNA(mtDNA)の変異に関連するCPEOは、他の臨床的徴候がない場合に発症する可能性があるが、通常は骨格筋衰弱に関連している。ただし、同様の臨床症状を有する人は、様々なミトコンドリアの欠陥を有し得る。
真性糖尿病および難聴(MIDDまたはDAD) MIDDは、糖尿病患者の1%を占めている。3243位のミトコンドリアDNAに変異を持っている人の85%超が糖尿病の症状を示す。MIDD患者が通常診断される平均年齢は37歳であるが、11歳~68歳の範囲であることが分かっている。3243位にミトコンドリアDNA変異を有する糖尿病患者のうち、75%が感音難聴を経験している。これらの場合、難聴は通常、糖尿病の発症前に現れ、高音周波数の知覚の低下を特徴とする。糖尿病に関連する難聴は、通常、女性よりも男性における方が一般的で、急速に減少する。
カーンズ・セイヤー症候群(KSS) 発症:20歳未満。カーンズ・セイヤー症候群の有病率は、10万人あたりおよそ1~3人である。まれな神経筋障害。重要な臨床症状の特徴は、片側または両側性眼瞼下垂(まぶたの部分的な閉鎖)の存在である。この疾患は、主に3つの主要な所見によって特徴付けられる:特定の眼筋の進行性麻痺(慢性進行性外眼筋麻痺[CPEO]);眼の内側を覆っている神経が豊富な膜上への着色(色素沈着)物質の異常な蓄積(非定型網膜色素変性)による慢性炎症、進行性変性および特定の眼構造の摩耗(網膜の色素変性);ならびに心臓ブロックなどの心疾患(心筋症)。その他の所見には、筋力低下、低身長、難聴、および/または脳の一部(小脳)に影響を及ぼす問題による自発的運動を調整する能力の喪失(運動失調症)が含まれる場合がある。場合によっては、KSSは他の障害および/または状態に関連している可能性がある。
アルパーズ症候群(アルパーズ・ハッテンロッヒャー症候群): 発症:生後数週間から数年。症状:精神運動発達退行(認知症)、発作、および肝疾患。重度の継続的な発作は、生後10年以内に死に至る。
ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDS) 発症:乳児期。症状:この障害は通常、筋力低下および/または肝不全を引き起こし、まれに脳の異常を引き起こす。「筋緊張低下(floppiness)」、摂食困難、および発達遅延は一般的な症状であり、PEOおよび発作はあまり一般的ではない。
ミトコンドリア神経胃腸管系脳筋症(MNGIE) 発症:通常20歳未満。症状:この障害は、PEO、眼瞼下垂(まぶたの垂下)、四肢脱力、ならびに慢性下痢および腹痛などの胃腸(消化)の問題を引き起こす。別の一般的な症状は、末梢神経障害(感覚障害および筋力低下につながる可能性のある神経の機能不全)である。
神経障害、運動失調症および網膜色素変性(NARP) 発症:乳児期から成人期。症状:NARPは神経障害(感覚障害および筋力低下につながる可能性のある神経の機能不全)、運動失調症および色素性網膜炎(眼の網膜の変性(結果としての視力喪失))。また、発達の遅れ、発作、および認知症を引き起こす可能性がある。
ピアソン症候群 発症:乳児期。症状:この症候群は、重度の貧血と膵臓の機能不全を引き起こす。当該疾患を生き延びた子供は通常、カーンズ・セイヤー症候群を発症する。
レーバー遺伝性視神経症(LHON) 数日から数か月の期間にわたって連続的に両眼の急性かつ無痛の中心視力喪失を特徴とする。LHONは、ミトコンドリアDNAの点変異に関連する最初の母系遺伝性眼科疾患であった。LHONの認識された疾患有病率は、英国および他の欧州地域で25,000人に1人と推定される。ミトコンドリア呼吸鎖複合体Iサブユニット遺伝子内の3つのmtDNA点変異(ND4のG11778A、ND1のG3460A、およびND6のT14484C)は、合わせてLHON症例の95%を引き起こす。他の病原性mtDNA変異は、特に非白人民族間で引き続き同定されている。例えば、漢民族で一般的であると思われる、ND5で最近同定されたmtDNA T12338C変異などである。
優性視神経萎縮症(DOA) DOAは、主に網膜神経節細胞(RGC)と網膜の神経線維層に影響を及ぼす遺伝性疾患である。DOAの有病率は、北欧で35,000人に1人と推定されている。視力は通常、20歳以下で平均20/80~20/120に低下する。神経網膜縁の菲薄化は、DOAの普遍的な所見であるように思われ、乳頭(disc)の「ソーサライゼーション」、0.5を超えるカップと乳頭の比率、乳頭周囲の萎縮などの所見が時折見られる。初期の視神経の出現は、しばしば視神経のセクターの蒼白を特徴とする。
色素性網膜症および他の眼科的問題 色素性網膜症は、一部のミトコンドリア病に見られる可能性のある非特異的な所見である。色素性網膜症が見られる可能性のある、最も良く説明されている主なmtDNA疾患は、ミトコンドリア複合体Vサブユニット遺伝子ATPase6のT8993C mtDNA変異に起因する神経障害、運動失調症および網膜色素変性(NARP)である。
ウルフラム症候群 通常、小児期に発症するインスリン依存性真性糖尿病および進行性視神経萎縮に関連する遺伝性疾患である。さらに、ウルフラム症候群を有する多くの人々はまた、尿崩症および感音難聴を発症する。当該症候群の旧名はDIDMOADであり、これは尿崩症、真性糖尿病、視神経萎縮、および難聴を指す。一部の人はウルフラム症候群の原因となる同遺伝子に変異を有するが、当該症候群のすべての特徴を備えているわけではないため、WFS1関連障害を有すると言われている。ウルフラム症候群の主な症状(真性糖尿病、視神経萎縮、尿崩症、および難聴)は、様々な年齢で現れ、様々な速度で変化する可能性がある。
フリードライヒ運動失調症(FRDA) 遺伝性、進行性、神経変性運動障害で、典型的な発症年齢は10~15歳である。初期症状としては、不安定な姿勢、頻繁な転倒、自発的な動きを調整する能力の障害(運動失調症)による進行性の歩行困難などが挙げられる。罹患者は、しばしば不明瞭言語(構音障害)、特徴的な足の変形、および脊椎の不規則な湾曲(脊柱側弯症)を発症する。FRDAは、しばしば心筋の疾患である心筋症に関連しており、心不全または心臓リズムの異常(不整脈)につながる可能性がある。FRDAを有する人々の約3分の1が糖尿病を発症する。FRDAに関連する症状および臨床所見は、主に、後根神経節として知られる構造の脊髄に入る時点での感覚神経線維の変性変化に起因する。これにより、脊髄の神経線維が二次的に変性し、自発的な動きを調整するのに役立つ脳の一部である小脳への感覚信号が不足する。
ミトコンドリア神経胃腸管系脳筋症(MNGIE) チミジンホスホリラーゼ(TP)酵素欠損によって引き起こされる進行性代謝障害。TPの欠如は、デオキシリボヌクレオシドチミジン(dThd)およびデオキシウリジン(dUrd)の全身蓄積をもたらす。これらの患者の臨床的特徴としては、精神退行、眼筋麻痺、および致命的な胃腸管の合併症が挙げられる。ヌクレオシドの蓄積は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)の不均衡も引き起こす。これは、mtDNA枯渇/欠失の異常に直接的または間接的な役割を果たす可能性があるが、正確な根本的なメカニズムは不明である。
さらなる実施形態において、当該ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状は、リソソーム蓄積症に関連する疾患、障害、または任意の症状である。
他の実施形態において、当該リソソーム蓄積症は、糖原病II型(ポンペ病)、多種スルファターゼ欠損症(MSD)、ムコ多糖症(MPS)、ムコリピドーシス(ML)I~III型、G(M1)-ガングリオシドーシス、ファブリー病、ファーバー病、ゴーシェ病、ニーマン・ピック病、ムコリピドーシス(ML)IV型、シスチン症、神経セロイドリポフスチン症、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
「リソソーム蓄積症(LSD)」について言及する場合、リソソーム内の未消化高分子の進行性の蓄積を特徴とする、あらゆる疾患、障害、または症状を包含すると理解されるべきである。物質の大量蓄積は、リソソームの機能に影響を及ぼし、ミトコンドリアなどの細胞小器官の細胞品質管理に影響を及ぼす可能性のあるオートファジーフラックスを減少させる。LSDは、ミトコンドリアの形態学的変化、ミトコンドリア膜電位(ΔΨm)の低下、ATP産生の減少、および反応性酸素種(ROS)の生成の増加など、ミトコンドリア機能不全の徴候を示す。さらに、オートファジーフラックスの減少は、機能不全のミトコンドリアの持続につながる可能性がある。リソソーム蓄積症の例としては、糖原病II型(ポンペ病)、多種スルファターゼ欠損症(MSD)、ムコ多糖症(MPS)、ムコリピドーシス(ML)I~III型、G(M1)-ガングリオシドーシス、ファブリー病、ファーバー病、ゴーシェ病、ニーマン・ピック病、ムコリピドーシス(ML)IV型、シスチン症、神経セロイドリポフスチン症が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、当該ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状は、神経変性疾患に関連する疾患、障害、または任意の症状である。
神経変性疾患は、ニューロンサブタイプの相対的な選択的死を特徴とする、神経系のあらゆる種類の身体障害性疾患、障害、または症状に関する。ミトコンドリア機能の障害は、ミトコンドリアダイナミクス(形状、サイズ、核分裂-融合、分布、運動など)の障害、ミトコンドリア膜電位の異常、酸素消費率、ROSレベルなど、これらの疾患の発症の鍵である。
パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭型認知症(FTD)、シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)、およびアルツハイマー病などの神経変性疾患では、ミトコンドリア機能が損なわれる。
いくつかの実施形態において、当該神経変性疾患は、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭型認知症(FTD)、シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)、アルツハイマー病、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
いくつかの実施形態において、当該ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状は、白質消失(VWM)病である。白質消失病(VWM)は、白質ジストロフィーとして総称される脳の白質またはミエリンに影響を及ぼす50を超える状態のうちの1つである。中枢神経系髄鞘形成不全を伴う小児運動失調症(CACH)としても知られるVWMは、ミエリン、脳の白質、またはミエリンを破壊する非常にまれな神経学的状態である。そうすることで、体の残りの部分への脳信号の伝達に恒久的に影響を及ぼす。VWM病で特定される臨床症状としては、びまん性CNS髄鞘形成不全を伴う小児運動失調症(CACH)、白質消失白質ジストロフィー(Vanishing White Matter Leukodystrophy)(VWM)、クリー白質脳症、卵巣機能不全を伴う白質消失白質ジストロフィー、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
さらなる実施形態において、本発明は、ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状の治療を必要とする対象において当該治療を行うための方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む組成物を当該対象に投与することを含み、当該ミトコンドリア機能不全が双極性障害である、方法を提供する。
双極性障害:躁病エピソードとうつ病エピソードを示す主要な精神障害で、頻繁に精神病症状を伴う。ミトコンドリアDNAの変異およびミトコンドリア機能不全は、この障害を有する患者の一部の主要因である。
さらなる実施形態において、本発明は、ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状の治療を必要とする対象において当該治療を行うための方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む組成物を当該対象に投与することを含む、方法を提供し、当該ミトコンドリア機能不全に関連する疾患または障害の症状としては、以下のもののうちのいずれか1つ以上が含まれる:成長不良、筋協調の喪失、筋力低下、神経学的欠損、発作、自閉症、自閉症スペクトル、自閉症様の特徴、学習障害、心疾患、肝疾患、腎疾患、胃腸障害、重度の便秘、糖尿病、感染リスクの増加、甲状腺機能不全、副腎機能不全、自律機能不全、混乱、失見当識、記憶喪失、成長不良、成長障害、協調運動不全、感覚(視覚、聴覚)の問題、精神機能の低下、臓器の疾患、認知症、呼吸器の問題、低血糖、無呼吸、乳酸アシドーシス、発作、嚥下困難、発達遅延、運動障害(ジストニア、筋肉のけいれん、振せん、舞踏病)、脳卒中、および脳萎縮。
いくつかの実施形態において、当該プリドピジンは、その中性/塩基の形態である。他の実施形態において、当該プリドピジンは、薬学的に許容される塩の形態である。いくつかの実施形態において、当該プリドピジンは、プリドピジン塩酸塩である。
本明細書に開示される方法および使用について、投与経路は、例えば、経口であり得る。投与経路は、効果が局所的(例えば、局所投与)であるか全身的(例えば、経腸または非経口投与)であるかによって分類することもできる。本明細書で使用される場合、「局所投与」は、その作用が望まれる場所への化合物または組成物の直接投与を意味するものとし、特に全身投与を除外する。本明細書で使用される場合、化合物または組成物の「局所投与」は、皮膚などの体表面または眼などの粘膜への化合物または組成物の適用を意味するものとする。本明細書で使用される場合、「眼内投与」は、対象の眼、または眼の周囲の皮膚(眼周囲の皮膚)もしくは眼の周囲の粘膜、特に対象の結膜への化合物または組成物の適用、すなわち局所投与を意味するものとする。本発明のプリドピジンおよび薬学的組成物の量は、経口投与、局所投与(topical administration)、全身投与、局所投与(local administration)、または眼投与によって投与してもよい。
いくつかの実施形態において、当該プリドピジンは、経口投与される。
さらなる実施形態において、当該プリドピジンは、吸入可能な粉末、注射剤、液体、ゲル、固体、点眼薬、眼軟膏、カプセル、または錠剤の形態で投与される。
本明細書で使用される場合、「プリドピジン」は、プリドピジン塩基、その薬学的に許容される塩、その誘導体、それらの類似体、またはプリドピジンとその類似体との組み合わせを意味する。
プリドピジン誘導体の例は、重水素に富むバージョンのプリドピジンおよび塩である。重水素に富むプリドピジンおよび塩、ならびにそれらの調製方法の例は、米国出願公開第2013-0197031号、同第2016-0166559号および同第2016-0095847号に記載されており、これらのそれぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
「重水素に富む」とは、化合物の任意の関連部位での重水素の存在量が、ある量の化合物のその部位に天然に存在する重水素の存在量よりも多いことを意味する。天然に存在する重水素分布は約0.0156%である。したがって、「重水素に富む」化合物では、その関連部位のうちのいずれかでの重水素の存在量は、0.0156%超過であり、0.0156%超過~100%の範囲であり得る。重水素に富む化合物は、水素を重水素と交換するか、または重水素に富む出発物質で化合物を合成することによって得ることができる。
本発明はまた、任意の薬学的に許容される塩を含むプリドピジンの任意の塩を含み、プリドピジンは正味電荷(正または負のいずれか)を有し、少なくとも1つの対イオン(逆の負または正電荷を有する)がプリドピジンに添加されて当該塩を形成する。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という句は、哺乳動物での薬学的用途に安全かつ有効であり、所望の生物学的活性を有する本発明の化合物の塩を意味する。薬学的に許容される塩には、本発明の化合物に存在する酸性基または塩基性基の塩が含まれる。薬学的に許容される酸付加塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))が含まれるが、これらに限定されない。本発明の特定の化合物は、様々なアミノ酸と薬学的に許容される塩を形成することができる。適切な塩基塩には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、およびジエタノールアミン塩が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩についての論評については、BERGE ET AL.,66 J.PHARM.SCI.1-19(1977)(参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。別の実施形態において、本発明のプリドピジン塩は、塩酸塩である。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、1つ以上のその類似体またはその薬学的に許容される塩との組み合わせを利用する。
一実施形態において、プリドピジンの類似体は、以下の構造によって表される:
Figure 0007296472000001
他の実施形態において、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物(1)の類似体またはその薬学的に許容される塩との組み合わせを利用する。
他の実施形態において、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物(1)の類似体および化合物(4)の類似体またはその薬学的に許容される塩との組み合わせを利用する。
したがって、本発明はまた、薬学的に許容される助剤と混合された本発明の薬剤と、任意選択的に、他の治療薬と、を含む薬学的組成物に関する。助剤は、組成物の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに有害ではないという意味で「許容できる」ものでなければならない。
薬学的組成物には、経口、直腸、鼻、局所(経皮、頬および舌下を含む)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与またはインプラントを介した投与に好適なものが含まれる。組成物は、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製することができる。
薬学的組成物には、経口、直腸、鼻、局所(経皮、頬および舌下を含む)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与またはインプラントを介した投与に好適なものが含まれる。組成物は、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製することができる。
そのような方法は、本発明で使用される会合化合物またはそれらと任意の補助剤との組み合わせを導入するステップを含む。補助成分(複数可)とも呼ばれる補助剤には、担体、充填剤、結合剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、着色剤、香味剤、酸化防止剤、および湿潤剤などの当技術分野において慣習的なものが含まれる。
経口投与に好適な薬学的組成物は、ピル、錠剤、糖衣錠もしくはカプセルなどの個別の剤形単位として、または粉末もしくは顆粒として、あるいは溶液もしくは懸濁液として提示され得る。有効成分はまた、ボーラスまたはペーストとして提示され得る。当該組成物をさらに加工して、直腸投与用の坐剤または浣腸にすることができる。
本発明はさらに、前述のような用途のための組成物の使用説明書を含む、包装材料と組み合わせた、前述のような薬学的組成物を含む。
非経口投与の場合、好適な組成物には、水性および非水性の滅菌注射が含まれる。当該組成物は、単位用量または複数用量の容器、例えば、密封されたバイアルおよびアンプルで提示され得、使用前に、無菌の液体担体、例えば、水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存され得る。経皮投与の場合、例えば、ゲル、パッチまたはスプレーが企図され得る。例えば経鼻吸入による肺投与に好適な組成物または製剤には、定量加圧エアロゾル、ネブライザーまたは吸入器によって生成され得る微細な粉塵またはミストが含まれる。
当該組成物の正確な用量および投与計画は、達成される治療効果または栄養効果に必然的に依存し、処方、投与経路、ならびに当該組成物が投与される個々の対象の年齢および状態によって異なり得る。
本明細書で使用される場合、「治療」という用語は、望ましくない疾患、障害(疾患もしくは障害に関連する症状を含む)を改善する、そのような疾患、障害(疾患もしくは障害に関連する症状を含む)が発症する前にそれらの発現を防止する、疾患の進行を遅らせる、症状の悪化を遅らせる、寛解期間の開始を強化する、疾患の進行性慢性期に引き起こされる不可逆的損傷を遅らせる、当該進行期の開始を遅らせる、重症度を軽減するか、もしくは疾患を治癒する、生存率を改善するか、もしくはより迅速に回復させる、または疾患形態の発生を防止する、あるいは上記のうちの2つ以上の組み合わせに有効な治療量で本発明の組成物を投与することを指す。本明細書に開示される目的のための「有効量」は、当技術分野で既知であり得るような考慮事項によって決定される。当該量は、とりわけ、治療される疾患の種類および重症度、ならびに治療計画に応じて、上記のような所望の治療効果を達成するのに有効でなければならない。いくつかの実施形態において、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、1~400mg、1日1回、1日2回、1日3回、または1日1回よりも少ない頻度である。一般的に知られているように、有効量は、様々な要因(受容体に対するリガンドの親和性、体内でのその分布プロファイル、体内での半減期などの様々な薬理学的パラメーターを含む)に、望ましくない副作用に、もしあれば、年齢および性別などの要因に、依存する。
いくつかの実施形態において、プリドピジンは、1mg/日~400mg/日の1日用量で投与される。いくつかの実施形態において、プリドピジンは、1mg/日~300mg/日の1日用量で投与される。他の実施形態において、プリドピジンは、1mg/日~90mg/日の1日用量で投与される。他の実施形態において、プリドピジンは、20mg/日~90mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、45mg/日~90mg/日の1日用量で投与される。他の実施形態において、プリドピジンは、20mg/日~50mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、1mg/日~10mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、10mg/日~20mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、20mg/日~30mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、30mg/日~40mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、40mg/日~50mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、50mg/日~60mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、60mg/日~70mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、70mg/日~80mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、80mg/日~90mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、90mg/日~100mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、100mg/日~150mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、150mg/日~200mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、200mg/日~250mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、250mg/日~300mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、300mg/日~350mg/日の1日用量で投与される。さらなる実施形態において、プリドピジンは、350mg/日~400mg/日の1日用量で投与される。
実験セクション
材料および方法
ヘミ接合型YAC128(Y128)[HD53系統;mHTT高発現体]およびWTマウス(FVB/Nバックグラウンドを有する)のコロニーを、制御された温度(22~23℃)の条件下および12時間の明/12時間の暗サイクル下に収容した。食料および水は自由に摂取できた。すべてのマウス実験は、動物実験委員会のガイドライン、欧州共同体指令(2010/63/EU)、および地方の動物管理委員会によって承認されたプロトコルに従って実施した。動物の苦痛を最小限に抑え、動物の使用数を減らすためにあらゆる努力を行った。
一次ニューロン培養:初代皮質、線条体、および皮質-線条体共培養物を、同じ遺伝的バックグラウンド(FVB/N)からの野生型(WT)マウス(対照として使用)またはヘミ接合型Y128マウス[HD53系統]の雄とWTの雌との交配の子孫から生成した。指定時期に妊娠させた(timed pregnant)雌からの胚を、妊娠のE15.5~16.5日目に収集した。皮質-線条体共培養物では、皮質および線条体を顕微解剖し、さいの目に切って遺伝子型ごとにプールした。次に、組織を解離させ、粉砕した。強化した神経基礎培地中の、ポリ-D-リジンでコーティングしたプレートに細胞を播種された。細胞には、5日ごとに1/3の新鮮培地を供給した。
純粋な皮質および線条体ニューロンを得るために、組織を顕微解剖し、機械的に消化した。強化した神経基礎培地中でニューロンを培養し、ポリ-D-リジン(0.1mg/ml)でコーティングしたプレート上の130×10個の細胞/cm(高密度)または85×10(低密度)のいずれかの密度で播種した。培養物を、95/5%の空気/COインキュベーター中に37℃で維持した。インビトロの3日目(DIV3)に、5μM 5-フルオロ-2'-デオキシウリジン(5-FdU)を添加して、分裂している非ニューロン細胞を減少させた。DIV7に新鮮培地を加え、DIV12に細胞を使用した。
ニューロンのトランスフェクション:線条体ニューロンに、リン酸カルシウム沈殿法を使用して、8DIVにpDsRed2-Mito Vectorをトランスフェクトした。次に、トランスフェクトされたニューロンを神経基礎培地で洗浄し、DIV12まで馴化培養培地を含む元の皿に戻した。
リンパ芽球の培養およびトランスフェクション:Coriell Instituteから入手した健常対照(GM02174)とHD患者(NA04724)からのリンパ芽球を、補充RPMI培地で増殖させた。リンパ芽球を5~6日ごとに1:3で継代した。
ヒト神経幹細胞の培養:神経幹細胞(NSC)は、ヘテロ接合型ヒト人工多能性幹細胞(iPSC)であるHD4-iPSC(正常対立遺伝子(19個のCAGリピート)および拡張対立遺伝子(72個のCAGリピート)を有する)、ならびに対照AMS4-iPSCから分化させた。iPSCが90%コンフルエンスに達するまで、Geltrex(登録商標)(Thermo Fisher Sci.、カタログ番号:A1413202)でコーティングした6ウェルプレート中でiPSCを維持した。iPSCが90%コンフルエンスに達した時点で神経誘導プロトコルを適用した。神経分化は、SB431542(Lefty/Activin/トランスフォーミング成長因子ベータ-TGFβ阻害剤)、ドルソモルフィン(骨形成タンパク質-BMP阻害剤)、およびXAV-939(β-カテニン転写阻害剤およびアキシン安定剤)による二重SMAD阻害に基づいていた。神経誘導は0日目から12~15日目までの間に起こった。0日目から5日目まで、細胞をFGFを含まないiPSC培地中で維持し、5μMドルソモルフィンおよび10μM SB431542とともにインキュベートした。培地は1日おきに交換した。5日目から12日目まで、この培地を、N2培地の割合を増加させながら培地と徐々に交換した。12日目~15日目に、ロゼットでいっぱいのフィールドが形態学的に見えるようになった。分化のために、細胞をGeltrex(登録商標)でコーティングした12ウェルプレートに再播種した。神経系統マーカータンパク質であるネスチンおよびSOX2の発現は、各分化プロセス時に免疫細胞化学によって確認された。
プリドピジンのインキュベーション:特に明記しない限り、プリドピジンのインキュベーションは、使用したすべての細胞モデルで24時間行った。最終濃度は、図および図の説明文に記載されている。
ミトコンドリアネットワークとERの共局在:皮質-線条体共培養物をMitotracker Deep Red FM色素で30分間標識した。染色した細胞を洗浄した後、室温で15分間氷冷メタノールで固定した。
MitoDsRedをトランスフェクトされた線条体ニューロンを4%パラホルムアルデヒドで固定し、透過処置してブロックした後、IPR3抗体(1:1000、EMD Millipore、カタログ番号AB9076)とインキュベートした。核を検出するために、ニューロンをHoechst 33342とインキュベートし、載置した。
共焦点画像は、LSM 710ソフトウェアを備えたZeiss共焦点顕微鏡で63倍レンズを使用して、z軸に沿って0.46μm離れたスタックとして取得した。画像解析にはFIJIソフトウェアを使用した。Zスタック画像はバックグラウンドに対して正規化し、ミトコンドリア固有の蛍光を示すピーク強度領域を、Find Foci(Herbert,Alex D.,Antony M.Carr,and Eva Hoffmann.2014."FindFoci:A Focus Detection Algorithm with Automated Parameter Training That Closely Matches Human Assignments, Reduces Human Inconsistencies and Increases Speed of Analysis."Edited by Michael Lichten.PLoS ONE 9(12))を使用して特定し、フィルターを適用することによって最適に分解した(resolved)。ミトコンドリアの輪郭は、粒子解析(Analyze Particles)を使用して追跡した。ミトコンドリアの長さの指標として、アスペクト比(ミトコンドリアの長軸と短軸との比)を使用した。IPR3蛍光については、上記と同様にしきい値を設定し、ミトコンドリアの関心領域(ROI)内で総密度(Integrated Density)を計算して、ミトコンドリアとのERの共局在を取得した。
ミトコンドリアの運動の分析:MitoDsRedをトランスフェクトされた線条体ニューロンを洗浄し、Na培地中でインキュベートし、ミトコンドリアの運動の研究を37℃で実施した。ニューロンの投影は、Zeissスピニングディスク倒立共焦点で63倍の対物レンズを使用して、合計145フレームで5秒ごとに画像化した。ミトコンドリアの運動分析は、Fijiのカイモグラフマクロ(Kymograph Macro)を使用して実施した。ROIは、投影全体でのミトコンドリアの軌跡をたどるセグメント化された線を使用して指定した。x-y次元(距離対時間)で生成されたカイモグラフを使用して、ミトコンドリアの速度を計算するための勾配を取得した。
Seahorse酸素呼吸計測:WTおよびヘミ接合型Y128皮質/線条体共培養物およびNSCにおける酸素消費率(OCR)は、Seahorse XFe-24/96フラックスアナライザー(Seahorse Bioscience)を使用して測定した。皮質-線条体一次ニューロンは、Seahorse XF96 V3細胞培養マイクロプレートで20,000個の細胞/ウェルの密度で培養した。Geltrex(登録商標)でコーティングしたXF24細胞培養マイクロプレートに、30,000個の細胞/ウェルでNSCを播種し、37℃で24時間接着させた。グラフに示されている場合、実験の24時間前に、プリドピジン(0.1mM、1mM、および/または5mM)を添加した。センサーカートリッジプレートは、約16時間、37℃で、非COインキュベーター内で、浸漬型センサーとともにインキュベートした。OCRの3つのベースライン測定値をサンプリングした後、ミトコンドリア複合体V阻害剤オリゴマイシン(1mM)、プロトノフォアFCCP(カルボニルシアニド-4-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン、酸化的リン酸化脱共役剤)(ニューロンの場合は0.5mM、NSCの場合は0.3mM)、およびアンチマイシンA(ニューロンの場合は0.5mM、NSCの場合は1mM)+ロテノン(ニューロンの場合は0.5mM、NSCの場合は1mM)を順次注射して、ミトコンドリア呼吸を完全に阻害した。したがって、ミトコンドリアの基礎呼吸、最大呼吸、およびATP産生は、Seahorseソフトウェアによって自動的に計算および記録された。データを、タンパク質レベルに対して正規化した。
ミトコンドリア膜電位:急冷条件下で正に帯電した蛍光プローブであるテトラメチルローダミンメチルエステル(TMRM)を使用して、皮質および線条体ニューロンにおいてミトコンドリア膜電位(MMP、ΔΨ)を評価し、ミトコンドリアにおけるその蓄積を、オリゴマイシン+ミトコンドリア呼吸脱共役剤FCCPによるミトコンドリアの脱分極後に評価した。皮質/線条体の共培養物およびリンパ芽球において、同等のプローブであるテトラメチルローダミンエチルエステル(TMRE)蛍光プローブを使用してMMPを評価し、ミトコンドリアにおけるその蓄積をフローサイトメトリーによって直接評価した。示されている場合、プリドピジン(0.1μMおよび1μM;24時間)で前に処置した皮質および線条体ニューロンを、Na培地中の150nM TMRM(急冷条件)とともに37℃で30分間インキュベートした。これらの条件下で、ミトコンドリアによるTMRMの保持は、MMP/ΔΨの変化を推定するために研究された。基礎蛍光(503nm励起および525nm発光)が4分間記録された後、2.5μM FCCP+2.5μg/mLオリゴマイシンを添加して最大のミトコンドリア脱分極およびミトコンドリアプローブの放出を生じさせた。TMRM放出は、オリゴマイシン/FCCPの添加前後の蛍光の違いに基づいて計算された。
一次ニューロンまたはリンパ芽球を6ウェルプレートで培養した。実験条件に従って、細胞をプリドピジンおよび過酸化水素(H)の有無にかかわらず前処置し、続いて25nMのTMREメチルエステルとともに37℃で15分間インキュベートした。TMREインキュベーション後、FACS分析のために細胞を収集した。
ミトコンドリアのH濃度の測定:24時間、皮質および線条体ニューロンをプリドピジン(0.1μMおよび1μM)で前処置し、Na培地中でミトコンドリアペルオキシイエロー1(MitoPY1)プローブ(8μM)とともに30分間、37℃でインキュベートした。MitoPY1を洗い流し、Zen Black 2012ソフトウェアを搭載したZeiss倒立共焦点スピニングディスク顕微鏡で63倍レンズを使用して、同じ実験培地中で1分ごとに30分間ニューロンを画像化した。蛍光は、503nm励起および528nmでの増強発光によって記録された(Dickinson,Bryan C,Vivian S Lin,and Christopher J Chang.2013."Preparation and Use of MitoPY1 for Imaging Hydrogen Peroxide in Mitochondria of Live Cells."Nature Protocols 8(6))。基礎読み取りの10分後、ニューロンをアンチマイシンA(2μM)で刺激した。ミトコンドリアにおける特異的なMitoPY1蛍光は、細胞をMitoTracker Deep Red(300nM)と共インキュベートすることによって確認された。各時点での蛍光強度は、時系列アナライザープラグイン(v 3.0)を使用してFIJIで分析した。
Geltex(登録商標)をコーティングした96ウェルアッセイプレートに、37℃で24時間、NSCを30,000/ウェルで播種した。その後、NSCを1mMプリドピジンとともにさらに24時間インキュベートした。取得前に、細胞を洗浄し、37℃および5%COで、10mM MitoPY1とともに20分間インキュベートした。MitoPY1蛍光の基礎レベルを10~15分間測定した後、ミキソチアゾール(3mMミトコンドリア複合体III阻害剤)に曝露し、さらに30分間測定した。結果は、30,000個の細胞あたりの相対蛍光単位(RFU)として計算された。単離されたミトコンドリアにおいて、Hレベルは、単離されたミトコンドリアの5μgをホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(0.5単位/mL)を含むAmplex Red試薬中に再懸濁することにより測定し、570nm励起および585nm発光で蛍光測定した。基礎読み取りの10分後、ミトコンドリアをアンチマイシンA(2μM)で攻撃し、さらに10分間測定した。結果を、蛍光の時間依存性変化として分析した。
活性酸素種(ROS)アッセイ:PDLでコーティングしたプレートに付着した一次ニューロンおよびリンパ芽球をH(0~1mM)で最大6時間処置した。細胞を完全培地中の5μM CellRox red試薬で処置した後、30分間インキュベートした。洗浄後、酸化ストレスは、すべてのサンプルに同じ露出設定を使用して、40倍の対物レンズを使用してZeiss倒立顕微鏡で画像化することによって測定した。8つの確率場をサンプリングし、ImageJソフトウェアを使用して蛍光強度を測定した。
インビボ研究計画:1.5ヶ月齢のWTおよびヘミ接合型Y128マウス(雄と雌の割合が等しい)を4つの群に分けた。マウスには、4ヶ月齢まで、45日間連続して強制経口投与によりプリドピジン(100μL/25gで30mg/kg)または等量の滅菌水を投与した。マウスを、トウモロコシ皮の巣材およびロール紙を加えた(enriched in)ケージごとに4匹の動物を収容し、各ケージは1つの個別の実験を表しており、1つの群は合計9匹の動物で構成された。動物の体重を毎週測定し、それに応じて処置容量を調整した。処置の直前および処置終了の前日に、マウスの行動をロータロッドで試験した。試験は、日中の設定された時間に盲験的に実施した。最後の強制経口投与の24時間後、マウスを犠牲にし、ミトコンドリアを線条体から単離した。
ロータロッド分析:運動学習および協調性をロータロッド装置で評価した。この試験では、マウスが落下しないように、一定の回転ロッド上に置いたときにマウスが走ることを学ぶ必要がある。タスクが学習されると、加速するロータロッドを使用して、運動協調性およびバランスを評価できる。マウスを行動室に2時間順応させた。手順はすべての対象で一貫しており、試験は最小の騒音レベルで行われた。トレーニングは、14rpmの固定速度で、1時間間隔で1日4つのトレイル(各120秒)で構成された。試験段階は、翌日、加速されたロータロッドで4rpmから40rpmまで5分間かけて実施し、2時間間隔で3回の試行で構成された。ロータロッドスコアは3回の試行の平均である。実験は、遺伝子型および処置について盲検化して実行した。運動協調性スコアは、トレーニング後に測定し、落下までの潜時は5rpmから40rpmまで5分かけて加速されたロータロッドで定量化した。
機能性ミトコンドリアの単離:ミトコンドリア単離バッファーで洗浄したマウス脳から線条体を解剖した。線条体ミトコンドリアは、均質化後の不連続パーコール密度勾配遠心分離を使用して単離した。単離したミトコンドリアのタンパク質含有量は、Bio-Radアッセイによって定量化した。
ミトコンドリア複合体の活性:複合体の活性は、Seahorse XF法(Agilent)を使用して酸素消費率(OCR)を測定することによって評価した。ミトコンドリアアッセイ溶液で希釈した5μgの単離ミトコンドリアを、450μLのポリ(エチレンイミン)でコーティングしたXF24 Seahorseプレートに播種し、プレートを加湿COフリーインキュベーター内で37℃で10~12分間平衡化させた。電子伝達鎖を通る連続的な電子の流れを、ロテノン(2μM;複合体I阻害剤)、コハク酸塩(10mM;複合体II基質)、アンチマイシンA(4μM;複合体III阻害剤)、およびアスコルビン酸塩/TMPD(10mM/100μM;シトクロムC/複合体IVへの電子供与体)の連続注射後、OCR測定によって評価した。
ミトコンドリアのカルシウムハンドリング:単離されたミトコンドリアによるカルシウム(Ca2+)の取り込みは、Ca2+感受性プローブであるカルシウムグリーン(Calcium Green)-5Nを使用して測定した。簡単に説明すると、5μgミトコンドリアを1μMオリゴマイシンおよび150nMカルシウムグリーン-5Nとともにインキュベートし、分光蛍光光度計のマイクロプレートリーダーで蛍光を測定した(励起506nm、発光523nm)。2分のベースラインの後、10μM CaCl2のパルスを4分間隔でミトコンドリアに加えた。ミトコンドリアのCa2+ハンドリングは、CaCl2パルス後の曲線下面積によって計算された。これは、ミトコンドリアによって取り込まれたミトコンドリア外のCa2+量を示している。
ERストレス測定:ERストレスレベルは、ERストレスの初期段階のタンパク質指標としてのH2a-GFPを使用して測定できる。H2a-GFPは誤って折りたたまれた分泌タンパク質であり、ERストレスに応答して蓄積する。STHdhQ7/7は、7つのポリグルタミンリピート(野生型)を有するホモ接合型ヒト化ハンチンチン遺伝子(HTT)を含むノックイントランスジェニックマウス由来の線条体由来細胞株である。STHdhQ7/7細胞を、Htt96Q-mCherry(変異体、HD患者におけるHttの典型的な病原性発現を模倣)またはHtt20Q-mCherry(WT)コンストラクトのいずれかをトランスフェクトする。蛍光mCherryタンパク質に融合したpolyQ-拡張Httタンパク質(96Q)エクソン1が発現さえると、個々の細胞のけるタンパク質のレベルおよび凝集が蛍光顕微鏡を使用してモニターされ得る。
細胞溶解およびイムノブロッティング:細胞を溶解し、ホスファターゼ阻害剤カクテル2および3と、10mM b-グリセロールホスフェートを溶解バッファーに添加して、リン酸化タンパク質を検出するためのホスファターゼを阻害した。SDS-PAGEおよびニトロセルロース膜への転写後、膜をブロックし、一次抗体で一晩4℃でイムノブロットし、次に洗浄して二次抗体でブロットした。洗浄後、増強化学発光アッセイを実行し、膜を露出させて定量化した。
統計分析:図の説明文に示されている独立した実験または動物の数の平均±SEM(平均の標準誤差)として結果を表した。複数群間の比較は、クラスカル・ウォリス検定を使用したノンパラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)によって実行した。多重比較の修正は、二元配置ANOVAとそれに続くテューキー事後検定によって行った。2群間の比較は、ノンパラメトリックなマン・ホイットニー検定またはパラメトリックなスチューデントt検定によって実行した。相互作用項を分析するためにF検定を実行した。p<0.05で有意性が認められた。すべての分析は、Prismソフトウェア(GraphPad Version 8.0)を使用して実行した。ミトコンドリアパラメーターは、Y128 HDマウス胚から単離した一次ニューロン、ならびにヒトHDリンパ芽球および神経幹細胞(NSC)を使用してインビトロで評価した。プリドピジンまたはビヒクルで処置したY128マウスから単離した線条体ミトコンドリアを、エクスビボモデルとして使用した。
結果:ミトコンドリア機能に関する洞察は、形態および輸送を研究することによって得ることができる。ミトコンドリアの品質管理には分裂および融合のイベントが必要であるため、ミトコンドリアのアスペクト比(ミトコンドリアに相当する楕円の長軸と短軸との比率)と、シナプス末端での高いエネルギー需要を満たすために必要なミトコンドリアの輸送はいずれも、ミトコンドリア機能の測定値である。HDモデルYAC128(Y128)および野生型(WT)マウスから採取した皮質-線条体一次ニューロンをMitoTracker(図1A)で染色し、ミトコンドリアの数(図1B)および形態(図1Cおよび1D)を評価した。HDニューロンはミトコンドリア形態の障害を示した:年齢を一致させた野生型ニューロンと比較して、円形ミトコンドリアの数の有意な増加(図1C)および伸長したミトコンドリアの減少が観察された(p<0.05)(図1D)。これらの条件下では、ミトコンドリアの質量に変化がないにもかかわらず、ミトコンドリアの断片化(分裂)が促進され(図1B)、ミトコンドリア機能の低下を示している。プリドピジン(1μM)処置は、円形ミトコンドリアと伸長したミトコンドリアの両方の数を救済した(p<0.05)。
WTと比較して、Y128 HDニューロンにおけるERとのミトコンドリアの不十分な共局在が、mitoDsRed(ミトコンドリア側)をトランスフェクトされ、両方の細胞小器官を視覚化するための抗IPR(ER側)抗体で染色された線条体ニューロンで観察された(図1E)。プリドピジン(1μM)は、Y128線条体ニューロンにおけるミトコンドリア-ERの共局在を高度に増加させた(図1Eおよび1F、p<0.001)。この結果は、ATP産生ならびにミトコンドリアの輸送および速度の増加を説明することができる(図2A~2Bで観察)。Y128線条体ニューロンからのMitoDsRed標識ミトコンドリアもアスペクト比の低下を示し(p<0.05)(図1G)、以前の結果を裏付けた(図1A~D)。プリドピジン(1μM)で処置すると、断片化されたミトコンドリアの数が減少した(p<0.05)(図1E、1G)。
ミトコンドリアの順行性輸送もHDニューロンで大幅に減少し、Y128線条体ニューロンにおけるミトコンドリアの約90%が静止しているように見えた(p<0.05)。プリドピジンは静止ミトコンドリアの割合を減らし、順行輸送および逆行輸送の両方を増加させる(p<0.05)(図2A、2B-定量化)。ミトコンドリアの輸送速度も低下し、野生型ニューロンと比較して、Y128ニューロンでは半分の速度で移動した(p<0.05)。この減少は、プリドピジン処置(1μM)後に改善された(p<0.05)(図2A、2C)。
Y128ニューロンは、基礎呼吸および最大呼吸の低下、ならびにATP産生の低下を示した(図3A~3H)。呼吸の低下は、HDニューロンで実証されるミトコンドリアのダイナミクスおよび形態が障害された結果である可能性がある(図1A~1Gおよび2A~2B)。1μMおよび5μM用量のプリドピジンによる処置は、HD Y128皮質線条体ニューロンにおける基礎呼吸および最大呼吸(p<0.01)、ならびにATP産生(p<0.05)を救済した(図3B(基礎)、3C(最大)、3D(ATP産生))。プリドピジン1μMはまた、ヘテロ接合型HD患者からのヒトiPSC由来神経幹細胞(NSC)(HD-iPSC)における基礎(p<0.001)および最大(p<0.05)ミトコンドリア呼吸、ならびにATP産生を増加させた(図3E、3F(基礎)、3G(最大)、3H(ATP産生))。
ミトコンドリア膜電位(MMP、ΔΨ)は、直接ATP産生に影響を及ぼし、ミトコンドリアのCa2+シグナル伝達に影響を受ける。Y128皮質および線条体ニューロンは、野生型皮質ニューロン(P<0.05)と比較して、オリゴマイシンおよびFCCP誘発性ミトコンドリア機能不全の結果としてΔΨの低下を示すが、これは、TMRMのミトコンドリア保持の減少によって示される(図4A、4B)。プリドピジン(0.1μMおよび1μM)は、Y128皮質ニューロンと線条体ニューロンの両方でΔΨを増加させた(皮質ニューロンではp<0.05、線条体ニューロンでは、0.1μMプリドピジンでp<0.05、1μMプリドピジンでp<0.01)(図4A~4C)。
ΔΨを評価するためのより強力な酸化の刺激として過酸化水素(H)を使用した。0.1mMのH処置に応答して、顕著な減少が、Y128ニューロン(P<0.0001)のΔΨで観察される。プリドピジン(5μM)で処置し、次いで0.1mMのHに6時間曝露したY128皮質/線条体ニューロンは、Hにより誘発されたΔΨの完全な回復(p<0.001)(図4D)、および細胞生存率の回復(p<0.01)(図4E)を示した。HD患者に由来するリンパ芽球では、0.1mM H処置によりΔΨが50%減少した。プリドピジン用量(1μM、5μM、および10μMプリドピジン)は全てΔΨを増加させた。5μM容量は、0.1mMのH処置後に最大の保護効果を示した(p<0.01)(図4F)。
Y128ニューロンおよびHDリンパ芽球からHへのミトコンドリアの感受性の増加は、これらの細胞が酸化ストレスの増加を示すことを示唆している。これを試験するために、局所Hフラックスを、蛍光プローブMitoPY1で測定した。活性酸素種(ROS)の産生を誘発する複合体III阻害剤アンチマイシンA(AntA)は、皮質(p<0.01)および線条体(p=0.0001)Y128ニューロンのミトコンドリア機能不全を刺激して、WTニューロンと比較してミトコンドリア駆動のHレベルを有意に2倍増加させることを示した。皮質ニューロンと線条体ニューロンの両方で、1μMプリドピジンは、AntAによって促進されたmito-Hレベルの増加を元に戻した(皮質ニューロンではp<0.0001、線条体ニューロンでは0.1μMでp<0.01、1μMでp<0.0001)(図5A~5C)。
別のミトコンドリア複合体III阻害剤ミキソチアゾール(Myxo、3μM)で処置されたHD-NSCでは、細胞はmito-Hレベルの大幅な増加を示した(p<0.0001)。プリドピジン(1μM)は、複合体IIIの阻害によって誘発されたHレベルの異常な増加を救済した(p<0.01)(図5D)。基礎条件下では、HDリンパ芽球は、対照リンパ芽球と比較した場合にROS産生の増加を示した。Hで攻撃した場合、プリドピジン処置は、基礎条件とH攻撃条件の両方でROSレベルを低下させた(p<0.001)(図5E)。したがって、プリドピジンは3つのHD細胞モデルでROSレベルを低下させた。
プリドピジンの神経保護効果をインビボで再現した。1.5ヶ月齢のWTおよびY128マウス(発症前、雄と雌の割合が等しい)を、プリドピジン30mg/kgまたは水で45日間連続して処置した。Y128マウスは、ロータロッド性能試験において3ヶ月齢で運動障害を示すため、この試験を処置の前後に適用して、運動レベルに対するプリドピジンの有効性を試験した。1.5ヶ月(前処置)で、Y128マウスは野生型マウスと同じ運動協調性を示した(図6A、6B)。3ヶ月齢で、ビヒクルで処置したY128マウスは、加速ロータロッド試験中の落下までの潜時の減少によって観察されるように、ビヒクルで処置した野生型マウスと比較して運動障害を示した(p<0.05)(図6C)。逆に、プリドピジンで処置したHDマウスは、ビヒクルで処置されたHDマウスと比較して、加速ロータロッドにおいて有意な運動能力の改善を示した(p<0.05)(図6C)。行動分析後、機能性ミトコンドリアをすべてのマウス群の線条体から単離し、ロテノン、コハク酸塩、アンチマイシンA、アスコルビン酸塩/TMPD(N,N,N',N'-テトラメチルp-フェニレンジアミン)(これらは、ミトコンドリア複合体I、II、III、およびIVそれぞれの個々の刺激または阻害を誘発する)の連続注射後にOCRを測定することによって、電子伝達鎖を通る連続的な電子の流れを評価することによって、ミトコンドリア複合体の活性を評価して、それらの活性の計算を可能にした(図6D)。ビヒクルで処置したY128マウスからの線条体ミトコンドリアは、ビヒクルで処置した野生型マウスと比較して、複合体I、II、III、およびIVの活性が高く(p<0.01)、初期の代償メカニズムを示唆している(図6D、6F)。興味深いことに、Y128 HDマウス線条体における複合体活性の増加は、AntAによる複合体IIIの阻害の前後でミトコンドリアのH産生の増加を伴っていた(p<0.05)(図6D、6G)。これらの結果は、異常な複合体活性が、電子漏出の増加を通じてミトコンドリアのROS産生の根底にあり、ATP産生の障害につながる可能性があることを示唆している。Y128マウスにおけるインビボでのプリドピジン処置は、ミトコンドリア複合体の活性を正規化し、HレベルをWTビヒクル処置マウスのレベルに対して正規化し(p<0.05)(図6I~6K)、ミトコンドリアのCa2+緩衝能を増加させた(図6L、6M)。
ミトコンドリアおよび小胞体(ER)は、機能的にも物理的にも関連している。ミトコンドリアと小胞体との物理的接触は、高度に特殊化されたS1Rに富んだ構造であるミトコンドリア関連膜(MAM)の部位で発生する。MAMは、タンパク質、脂質、シグナル伝達分子、および重要なことにCa2+の交換のための導管として機能する。その結果、ERストレスおよびミトコンドリア機能不全は密接に関連している(Morris,Gerwyn,Basant K.Puri,Ken Walder,Michael Berk,Brendon Stubbs,Michael Maes,and Andre F.Carvalho."The Endoplasmic Reticulum Stress Response in Neuroprogressive Diseases:Emerging Pathophysiological Role and Translational Implications."Molecular Neurobiology,(2018)55:8765-8787)。
プリドピジンがmHtt誘発性ERストレスを低減する:変異体Htt96Q-mCherry(拡張)コンストラクトをトランスフェクトされたSTHdhQ7/7細胞では、ERストレスを示す高レベルの蓄積H2a-GFPとともに、目に見えるHtt96Q-mCherry凝集体(通常は細胞ごとに1つの大きな凝集体)が観察され得る。目に見える凝集体がないHtt20Q-mCherry(正常)またはHtt96Q-mCherryを発現するSTHdhQ7/7細胞は、低レベルのH2a-GFP(ERストレスなし)を示す。プリドピジンは、mHtt凝集体について陽性の細胞におけるH2a-GFPの蓄積を用量依存的に有意に減少させ(図7A)、凝集体のない細胞またはHtt20Q-mCherryを発現する細胞のH2a-GFPレベルを変化させない(図7B)。したがって、プリドピジンは、Htt誘発される小胞体ストレスを用量依存的に減少させる。
eIF2αのリン酸化はERストレスの特徴である。Htt96Q-mCherryを発現するSTHdhQ7/7細胞では、eIF2α-リン酸化(eIF2α-p)レベルが、Htt20Q-mCherryを発現する細胞より3.5倍高くなっている。プリドピジン処置は、eIF2α-Pの有意な減少を引き起こし(総eIF2αに対するeIF2α-Pの比率で測定)、細胞のERストレスの減少を示している(図8)。
結論として、前臨床結果は、ミトコンドリア機能不全がHDの特徴であり、酸化刺激に対する効果的な抗酸化応答を妨げることをインビトロおよびインビボ/エクスビボHDモデルで示している。この機能不全は、シナプスの完全性と細胞の生存に影響を及ぼす可能性がある。プリドピジンは、HDヒトモデルとマウスモデルの両方でのROSレベルの低下、およびミトコンドリア速度の増加、ならびに伸長したミトコンドリアの割合(すべてミトコンドリア機能不全を示している)など、HDモデルにおけるミトコンドリア機能の様々な態様を救済することを示している。したがって、プリドピジンは、ミトコンドリア機能不全の修復に効果的である。プリドピジンの投与はまた、Y128マウスにおける最初の運動症状の出現を遅らせ、細胞生存率を高め、酸化的リン酸化の障害を救済した。さらに、インビトロHDモデル系では、S1RがER膜のMAM(ミトコンドリア関連膜)部位に位置するため、プリドピジンは、ミトコンドリア機能不全に密接に関連するERストレスを軽減する。これらの高度に特殊化された部位は、ミトコンドリア分裂、Ca2+シャトリング、および酸化ストレスなど、ミトコンドリア機能において重要な役割を果たしている。

Claims (21)

  1. ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状の治療を必要とする対象を治療するための医薬組成物であって、
    前記ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状が、ミトコンドリアミオパチー、リソソーム蓄積症、または双極性障害と、それに関連する疾患、障害、または任意の症状であり、
    プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含み、
    前記対象に投与されることにより前記対象を治療する、医薬組成物
  2. 前記ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状が、ミトコンドリアミオパチーと、それに関連する疾患、障害、または任意の症状である、請求項1に記載の医薬組成物
  3. 前記ミトコンドリアミオパチーが、MELAS症候群、MERRF症候群、リー病、慢性進行性外眼筋麻痺(C/PEO)、真性糖尿病および難聴(MIDDまたはDAD)、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)、アルパーズ症候群、ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDS)、ミトコンドリア神経胃腸管系脳筋症(MNGIE)、神経障害、運動失調症および網膜色素変性(NARP)、ピアソン症候群、レーバー遺伝性視神経症(LHON)、優性視神経萎縮症(DOA)、色素性網膜症、ウルフラム症候群、フリードライヒ運動失調症(FRDA)、ミトコンドリア神経胃腸管系脳筋症(MNGIE)、ならびにそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項2に記載の医薬組成物
  4. 前記ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状が、リソソーム蓄積症と、それに関連する疾患、障害、または任意の症状である、請求項1に記載の医薬組成物
  5. 前記リソソーム蓄積症が、糖原病II型(ポンペ病)、多種スルファターゼ欠損症(MSD)、ムコ多糖症(MPS)、ムコリピドーシス(ML)I~III型、G(M1)-ガングリオシドーシス、ファブリー病、ファーバー病、ゴーシェ病、ニーマン・ピック病、ムコリピドーシス(ML)IV型、シスチン症、神経セロイドリポフスチン症、およびそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項4に記載の医薬組成物
  6. 前記ミトコンドリア機能不全に関連する疾患、障害、またはその任意の症状が、双極性障害と、それに関連する疾患、障害、または任意の症状である、請求項1に記載の医薬組成物
  7. 前記プリドピジンが、その中性/塩基の形態である、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
  8. 前記プリドピジンが、薬学的に許容される塩の形態である、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
  9. 前記プリドピジンが、プリドピジン塩酸塩である、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物
  10. 前記組成物が、全身投与により投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物
  11. 前記組成物が、経口投与により投与される、請求項10に記載の医薬組成物
  12. 前記組成物が、吸入可能な粉末、注射剤、液体、ゲル、固体、カプセル、点眼薬、または錠剤の形態で投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物
  13. 前記組成物が、定期的に投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物
  14. 前記組成物が、1日1回、1日2回、1日3回、または1日1回よりも少ない頻度で投与される、請求項11に記載の医薬組成物
  15. 前記組成物が、1日あたり1回用量、2回用量、または3回用量で投与される、請求項11に記載の医薬組成物
  16. 前記プリドピジンが、1mg/日~400mg/日の1日用量で投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬組成物
  17. 前記プリドピジンが、1mg/日~300mg/日の1日用量で投与される、請求項16に記載の医薬組成物
  18. 前記プリドピジンが、1mg/日~90mg/日の1日用量で投与される、請求項16に記載の医薬組成物
  19. 前記プリドピジンが、20mg/日~90mg/日の1日用量で投与される、請求項16に記載の医薬組成物
  20. 前記プリドピジンが、45mg/日~90mg/日の1日用量で投与される、請求項16に記載の医薬組成物
  21. 前記プリドピジンが、20mg/日~50mg/日の1日用量で投与される、請求項16に記載の医薬組成物
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