JP2023550093A - レット症候群を治療するためのプリドピジンまたはその類似体の使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、レット症候群(RTT)に罹患している対象を治療するための方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む組成物を対象に投与するステップを有し、それによって対象を治療する方法を提供する。【選択図】なし

Description

(配列表に関する声明)
本出願と同時に提出された、2017年9月15日に作成された「P-609324-PC-SQL-15SEP17.txt」という名称の2、997バイトのASCIIファイルは、参照により本明細書に組み込まれる。
レット症候群
レット症候群(RTT)は、すべての人種及び民族の出生女児において、10、000人~15、000人に1人の割合で発症すると推定されている神経発達障害である(Amaral 2007)。
95~97%の症例では、RTTは、X染色体上に位置するメチル-CpG結合タンパク質2(MeCP2)遺伝子における突然変異によって引き起こされる(Isaias 2014)。突然変異は、通常、ランダム、かつ自然発生的である。記録された症例の1%未満で、この突然変異は遺伝し、次の世代に受け継がれる。MeCP2遺伝子は、メチルシスチン結合タンパク質2(MeCP2)タンパク質の産生に関与している。MeCP2タンパク質は、標的遺伝子のプロモータ領域内のCpG部位でメチルシトシン及び5-ヒドロキシメチルシトシンに結合し、コリプレッサ及びコアクチベータを動員することによってそれらの転写を制御する(Pozzo-Miller 2015)。
まれに、RTTは、サイクリン依存性キナーゼ様5(CDKL5)、フォークヘッドボックスタンパク質G1(FOXG1)、及びまだ同定されていない遺伝子などの他の遺伝子における部分的な遺伝子の欠失または突然変異によっても引き起こされる。
RTTは、乳児期に始まる早発型の神経発達性自閉症スペクトラム障害であり、4つの病期に分けられる。生後6カ月から18カ月の間に発症する第1期では、一見正常に見える発達の後、発達の成熟が停滞する。1歳から4歳の間の第2期では、獲得した能力を失う退行期が始まる。この第2期では、目的のある手の動きが、手をねじる動きや手を叩く動きなどの常同行動に置き換わる。また、社会的引きこもりが始まるので、自閉症と診断されるようになる。この第2期で、運動失調や失行などの歩行障害が明らかになる。他の症状としては、呼吸性不整脈、睡眠障害、歯ぎしり、不適切な笑いや泣きの発作などがある。
2歳から10歳の間の第3期では、悪化は頭打ちとなる。運動機能が安定し、社会的相互作用が改善することもあるが、発作を伴うこともある。10歳から成人期にかけての第4期では、運動機能がさらに低下する。患者は、しばしばパーキンソニズム(硬直、動作緩慢、振戦)を発症し、筋力低下や骨粗しょう症も発症する(Sandweiss 2020)。
RTT患者は、神経形態の異常と脳サイズの減少を示し、協調運動障害、知的機能低下、歩行異常、発作を発症する(Weng 2011)。
現在、RTTの治療法はなく、支持療法のみが行われている。
プリドピジン
プリドピジン(4-[3-(メチルスルホニル)フェニル]-1-プロピル-ピペリジン)(旧名称:ACR16)は、ハンチントン病の治療薬として開発中の薬剤である。プリドピジンの化学名は、4-(3-(メチルスルホニル)フェニル)-1-プロピル-ピペリジンであり、その化学物質登録番号は、CAS346688-38-8(CSID:7971505、2016)である。また、ピリドピジン塩酸塩の化学物質登録番号は、882737-42-0(CSID:25948790、2016)である。
プリドピジンは、シグマ1受容体(S1R)に対して選択的に高親和性で結合する(Ki=0.057μM)。また、プリドピジンは、ドーパミンD2/D3受容体、アドレナリンα2C受容体、セロトニン5-HT1Aなど、中枢神経系の他の受容体に対しては低親和性で結合する。プリドピジンは、シグマ1受容体(S1R)に対する選択性がアドレナリンα2C及びドーパミンD3受容体に対して約28倍高く(それぞれ、Ki=1.28、Ki=1.63μM)、5-HT1A受容体に対して約64倍高く(Ki=3.63μM)、シグマ2受容体(S2R)に対して約100倍高く(Ki=5.45μM)、ドーパミンD2受容体(Ki=29.5μM)に対して約500倍高い(表1)(Johnston et al, 2019)。
Figure 2023550093000001
S1Rは、脳における細胞分化、神経可塑性、神経保護、及び認知機能に関与する小胞体(ER)タンパク質である。プリドピジンによるS1Rの活性化は、ニューロンの可塑性や生存を促進することが知られている経路の上方制御につながる。
プリドピジンは、神経保護作用を有する脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌及び下流シグナル伝達を上方制御する(Geva et al., 2016)。
BDNFの減少は、レット症候群の発症機序と関連している。恒常性シナプス可塑性(HSP)は、ニューロンネットワークの安定性を維持し、学習や認知能力の基礎となるプロセスであり、BDNFによって制御される(Smith-Dijak et al., 2019)。レット症候群でも、HSPは障害される。Mecp2欠損ニューロンは、恒常的なシナプス可塑性の障害を示す(Xin xu and Pozzo-Miller, J physiolo 2017)。プリドピジンは、HDYAC128マウスモデルの培養皮質ニューロンにおける障害されたHSPを回復させる(Smith-Dijak et al., 2019)。
BDNF経路の制御は、プリドピジンのS1Rを介した神経保護作用の主要な構成要素である。
本発明は、レット症候群(RTT)に罹患している対象を治療するための方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、下記の化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む組成物を対象に投与するステップを有し、それによって対象を治療する方法を提供する。本発明は、レット症候群(RTT)に罹患している対象における脳由来神経栄養因子(BDNF)の濃度を上昇させるための方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、下記の化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む組成物を対象に投与するステップを有し、それによって血清BDNFの濃度を上昇させる方法を提供する。
Figure 2023550093000002
図1:Mecp2-KOレット症候群モデルマウスに対する治療薬効果の尺度としての機能回復率。この図は、図4、図5、及び図12のデータの分析方法について説明するためのものである。左側:「クラウドグラフ」:最適な識別特徴空間における対照群-疾患群-(疾患+投与)群の関係を可視化したもの。クラウドは2次元空間にプロットされており、2つの座標は、自動化されたNeuroCubeシステムによって分析された最高ランクの無相関特徴である(NeuroCubeの詳細については、実施例1及び実施例3に記載されている)。薬物投与効果は、「回復線」(対照(WT)の中心と疾患(MECP2-KO)クラウドの中心とを結ぶ線、左向きの太い矢印で示され、その矢印の上に対角線が引かれている)の方向に沿った成分と、その方向に対して直交する(回復線の起点から上向きに延びる)成分(上向きの矢印で示され、その矢印内に平行線が引かれている)との、2つの成分の組み合わせとして表すことができる。対照-疾患距離に対する「回復」矢印の相対的な長さは、「薬剤による回復」として解釈することができ、「他の効果」矢印(矢印内に平行線が引かれている上向きの矢印)の相対的な長さは、疾患マウス+投与群を対照群から遠ざける特徴変化を表す。この分析の概要は、通常、回復シグネチャと一般的に呼ばれる棒グラフ(図1の右ペイン)として効果的に表すことができる。右側:「回復シグネチャ」グラフ:この棒グラフは、回復分析の概要を表す。重複と識別確率との合計は、100%になる。回復率は、0から識別確率値までの範囲である。重複が小さいほど、疾患モデルの質が高くなり、WTマウス群とRettマウス群との識別力が高くなる。「他の行動への効果」は同じ相対単位である(WTマウス群とRettマウス群との距離の長さに対して)。 図2:プリドピジンは、8週齢のRettモデルマウスの後肢クラスピング表現型をレスキューする。クラスピングを用いて、四肢の筋肉の筋力を評価した。後肢のクラスピングは、マウスの尾をつかみ、マウスの前脚がカウンタの表面からちょうど離れるまで、穏やかに持ち上げて測定した。実験者はマウスの脚を観察し、四肢のクラスピングやスプレイングを調べた。野生型(WT、n=24)マウスは、8週齢ではクラスピングを示さなかった(0%)。Rettマウス(雌のMECP2ヘテロ接合体、「RETT」マウス、n=20)は、8週齢で有意なクラスピング(約17%)を示した(p<0.05対プラセボ)。プリドピジン(30mg/kg、1日2回投与、n=20)を投与したRettマウス(「RETT」)は、8週目でレスキューされ(すなわち、クラスピング示さなかった(0%))、RETT-ビヒクル群と比較して、^p<0.06であった。データは、平均±SEM、N-1 2群比較検定。出典:DPR-2016-061。 図3:プリドピジンは、8週齢及び12週齢のRETTマウスの音響刺激に対する平均驚愕反応を改善する。音響驚愕法を用いて、外部聴覚刺激に対する無条件反射反応を測定した。プレパルス抑制(PPI)は、弱い聴覚刺激またはプレパルスの提示後、聴覚刺激に対する驚愕反応が抑制されることからなる。音響驚愕は、マウスを防音驚愕室に入れ、マウスの動きの強さを測定することにより測定される。音響プレパルス後の抑制量は、最初の馴化ブロックの驚愕反応を除いた、(驚愕単独試験に対する)基本驚愕反応の割合として表される。ビヒクル投与RETTマウス(n=20)は、WTマウス(n=24)と比較して、驚愕反応において、8週目及び12週目でそれぞれ約65%及び約75%の有意な抑制を示した(p<0.05)。プリドピジンは、8週目及び12週目にそれぞれ約40%及び約50%の有意なレスキュー効果を示した(n=24、p<0.05)。データは、平均±SEMで表される。WT-ビヒクル群と比較して、p<0.05であった。Rett-ビヒクル群と比較して、p<0.05であった。 図4:プリドピジンは、8週齢の雌のRettモデルマウスの歩行機能を回復させる。プリドピジン(30mg/kg、1日2回投与)による8週齢の雌のRettモデルマウスの歩行機能の回復分析の要約。未投与のRettマウス(右下のクラウド)とWTマウス(上側のクラウド)とは、それらのクラウドが完全に分離しているため、歩行機能によって互いに区別することができる。棒グラフは、プリドピジン30mg/kgを1日2回投与すると、8週齢のRettマウスの歩行機能が45%(p=0.0181)(最も濃い色)有意に改善することを示している。クラウドグラフは、WT(上側のクラウド)、Rett雌マウス(右下のクラウド)と、Rett雌マウス+プリドピジン(左側のクラウド)との関係を最適識別特徴空間で視覚化するために使用される(図1の説明を参照)。 図5:プリドピジンは12週齢の雌のRettモデルマウスの歩行機能を回復させる。プリドピジン(30mg/kg、1日2回投与)による12週齢の雌のRettマウスの歩行機能の回復分析の要約。未投与のRettマウス(左下のクラウド)とWTマウス(上側のクラウド)とは、それらのクラウドが完全に分離しているため、歩行機能によって互いに区別することができる。プリドピジン(30mg/kg、1日2回投与)は、12週齢のRettマウスの歩行機能を55%(p=0.0022)(最も濃い色)有意に回復させた。クラウドグラフは、WT(上側のクラウド)、Rettマウス(左下のクラウド)、Rett+プリドピジン(右側のクラウド)の関係を最適な識別特徴空間で視覚化するために使用される(図1の説明を参照)。 図6A~図6C、図7、図8、図9、及び図10:これらの図は、ヘテロ接合MeCP2(Rett)雌マウスの脳で測定されたBDNF転写物のmRNAレベルを示す。コラムAはビヒクル投与WTマウス、コラムBはビヒクル投与理Rett雌マウス、コラムCはプリドピジン投与Rett雌マウス(3mg/kg、1日2回投与)、コラムDはプリドピジン投与Rett雌マウス(30mg/kg、1日2回投与)を示す。標的遺伝子の相対量を、ハウスキーピング遺伝子APT5B、GAPDH、及びRPK12Aの相対量の幾何平均に対して正規化した。その後、標的遺伝子の相対量をWTビヒクル群に対して正規化した。すべてのデータは、平均値±SEMで表される。ANOVAと、それに続くTukeyの多重比較試験とを行った。図6A:プリドピジンはハウスキーピング遺伝子ATP5B、GAPDH、及びRPK13Aのレベルに影響を与えない。全脳対照ハウスキーピング遺伝子の相対的mRNA発現量:ATP5B(図6A)、GAPDH(図6B)及びRPL13A(図6C);それぞれ他の2つの遺伝子の幾何平均に対して正規化した。プリドピジンは、対照ハウスキーピング遺伝子の発現に影響を与えない。 図6B:プリドピジンはハウスキーピング遺伝子ATP5B、GAPDH、及びRPK13Aのレベルに影響を与えない。全脳対照ハウスキーピング遺伝子の相対的mRNA発現量:ATP5B(図6A)、GAPDH(図6B)及びRPL13A(図6C);それぞれ他の2つの遺伝子の幾何平均に対して正規化した。プリドピジンは、対照ハウスキーピング遺伝子の発現に影響を与えない。 図6C:プリドピジンはハウスキーピング遺伝子ATP5B、GAPDH、及びRPK13Aのレベルに影響を与えない。全脳対照ハウスキーピング遺伝子の相対的mRNA発現量:ATP5B(図6A)、GAPDH(図6B)及びRPL13A(図6C);それぞれ他の2つの遺伝子の幾何平均に対して正規化した。プリドピジンは、対照ハウスキーピング遺伝子の発現に影響を与えない。 図7:プリドピジンは、BDNF-IのmRNAレベルに影響を与えない。全脳における相対的なBDNF-IのmRNA発現量。Rettマウスでは、BDNF-Iのレベルが約20%減少する(p<0.001)。プリドピジンは、RettマウスのBDNF-Iレベルに影響を与えない。 図8:プリドピジンは、BDNF-IVのmRNAレベルをレスキューする。全脳におけるBDNFIVの相対的mRNA発現量。Rettマウスでは、BDNF-IVのレベルが約15%減少する(p<0.001)。プリドピジンは、BDNF-IVのmRNAレベルを、3mg/kgbidと30mg/kgbidの用量で約30%有意に増加させる(p<0.001)。 図9:プリドピジンはBDNF-VIのmRNAレベルに影響を与えない。全脳におけるBDNF-VIの相対的mRNA発現量。Rettマウスでは、BDNF-VIのレベルが約25%減少する(p<0.05)。プリドピジンは、RettマウスのBDNF-VIレベルに影響を与えない。 図10:プリドピジンはBDNF-IVのmRNAレベルをレスキューする。全脳におけるBDNFIVの相対的mRNA発現量。Rettマウスでは、BDNF-IVのレベルは約15%減少する(p<0.0001)。プリドピジンは、BDNF-IVのmRNAレベルを3mg/kgbidと30mg/kgbidの用量でWTレベルまで有意に増加させる(p<0.001)。 図11A及び図11B:NeuroCubeによる歩行分析における特徴識別。本試験では、B6.129P2-Mecp2tm2Bird/J(Rett-KO)雄マウスを使用した。この図は、プリドピジンの効果を評価するための自動化されたツールであるNeuroCubeによる歩行分析の出力である判別プロットを示したものである。コラムは、NeuroCubeによって評価された様々な行動機能とその値を表している。四角い輪郭の曲線は、それぞれの行動特徴のランキングを示している。ランキングは、特定の機能が対照群と疾患群とを識別する能力に関するものである。2つの異なるセットにおける特徴値間の相対差(%)を計算し、特徴ランクに対応する順序で、0~100%の範囲でプロットした。特徴名は、パラメータ名と足の名前との組み合わせである。STRL:ストライド長、STPL:ステップ長、BSWD:ベース幅、STRD:ストライド時間、STND:スタンド時間、SWGD:スイング時間、Avg_speed:平均走行速度、FR:前肢(右)、FL:前肢(左)、HR:後肢(右)、HL:後肢(左)。特徴は、そのランクに基づいて、図中で上から下に並べられている。NeuroCubeの詳細については、実施例1及び実施例3に記載されている。図11Aは、6週齢のWTマウスと比較したRett-KO雄マウスの識別プロットである。 図11Bは、7週齢のWTマウスと比較したRett-KO雄マウスの識別プロットである。 図12:プリドピジンは、6週齢及び7週齢の雄のRettマウスの歩行機能を回復させる。B6.129P2-Mecp2tm2Bird/J(Rett-KO)雄マウスにおけるレット症候群の影響からの回復分析の要約(図1の説明を参照)。上側:Rett-KOモデルマウスにおけるプリドピジン(30mg/kg、1日2回投与)の回復効果を示す棒グラフ。下側:最適識別特徴空間におけるWT、Rett、Rett+プリドピジンの関係を可視化したクラウドグラフ。プリドピジンは、6週齢及び7週齢のRettモデルマウスにおいて、それぞれ44%(左側、p<0.05)及び100%(右側、p<0.05)の歩行障害の回復を示す。一元配置分散分析(One-way ANOVA)。 図13A~図13B:プリドピジン45mgの1日2回投与により、26週目及び52週目に、初期HD(TFC7-13)患者の歩行及びバランスが改善した。図13Aは、PRIDE-HD試験の初期HD患者(ベースラインのTFC7-13)における、26週目のUHDRS TMS歩行及びバランスのベースラインからの変化を示す。 図13Bは、PRIDE-HD試験の初期HD患者(ベースラインのTFC7-13)における、52週目のUHDRS-TMS歩行及びバランスのベースラインからの変化を示す。プラセボ投与患者では、歩行及びバランスの悪化が認められた(ベースラインからのΔは0.14、正の値は悪化を示す)。プリドピジンの有効性は、52週間の期間を通じて、統一ハンチントン病評価尺度運動スコア:歩行及びバランス(Unified Huntington's Disease Rating Scale Total Motor Score gait and balance:UHDRS-TMS;歩行及びバランス)のベースラインからの変化の混合モデル反復測定(Mixed Models Repeated Measures:MMRM)分析を用いて評価した。プリドピジン45mgを1日2回投与すると、26週目に、プラセボと比較して歩行機能が改善した(プラセボからの△は-0.48、負の値は改善を示す。p=0.0563)。この図に、下記の表2を添える。プリドピジン45mgを1日2回投与すると、52週目に、プラセボと比較して改善傾向を示した(プラセボからのΔは-0.41、負の値は改善を意味する)。
Figure 2023550093000003
図14A及び図14B:プリドピジン45mgの1日2回投与により、26週目及び52週目に、HD1(TFC11-13)患者の歩行及びバランスが改善した。図14Aは、PRIDE-HD試験のHD1患者(ベースラインTFC11-13)における、26週目のUHDRS-TMS歩行及びバランスのベースラインからの変化を示す。 図14Bは、PRIDE-HD試験のHD1患者(ベースラインTFC11-13)における、52週目のUHDRS-TMS歩行及びバランスのベースラインからの変化を示す。プリドピジンの有効性は、52週間の期間を通じて、統一ハンチントン病評価尺度運動スコア:歩行及びバランス(Unified Huntington's Disease Rating Scale Total Motor Score gait and balance:UHDRS-TMS;歩行及びバランス)のベースラインからの変化の混合モデル反復測定(Mixed Models Repeated Measures:MMRM)分析を用いて評価した。プラセボを投与された患者は、26週目に、歩行とバランスの悪化が認められた。プリドピジン投与は、改善傾向を示した(プラセボからのΔは-0.31)。この図に、下記の表3を添える。プラセボ群の患者は、52週目に、ベースラインからの悪化が認められた。プリドピジン45mgを1日2回投与すると、プラセボと比較して有意な改善を示した(プラセボからのΔは-0.94、p=0.0445、負の値は改善を示す)。
Figure 2023550093000004
図15A及び図15B:プリドピジン45mg1日2回投与により、26週目及び52週目に、PRIDE-HD試験のHD2患者(ベースラインのTFC7-10)における、歩行及びバランスが改善した。図15Aは、PRIDE-HD試験のHD2患者(ベースラインTFC7-10)における、26週目のUHDRS-TMS歩行及びバランスのベースラインからの変化を示す。 図15Bは、PRIDE-HD試験のHD2患者(ベースラインTFC7-10)における、52週目のUHDRS-TMS歩行及びバランスのベースラインからの変化を示す。プリドピジンの有効性は、52週間の期間を通じて、統一ハンチントン病評価尺度運動スコア:歩行及びバランス(Unified Huntington's Disease Rating Scale Total Motor Score gait and balance:UHDRS-TMS;歩行及びバランス)のベースラインからの変化の混合モデル反復測定(Mixed Models Repeated Measures:MMRM)分析を用いて評価した。26週目及び52週目の両方で、プリドピジン45mgの1日2回投与は、プラセボと比較して、改善傾向を示した(プラセボからのΔは、26週目及び52週目でそれぞれ-0.53及び-0.18;マイナス値は改善を示す)。この図に、下記の表4を添える。
Figure 2023550093000005
図16:B104ラット神経芽細胞腫細胞におけるBDNF放出に対するプリドピジンと化合物4との相乗効果を示す。B104神経芽細胞腫細胞を試験化合物と共に5日間インキュベートし、BDNF濃度を、in-situELISA法を用いて評価した。図16(A):濃度0.001μMのプリドピジンと濃度0.001μMの化合物4とを併用した場合の相乗効果を示す。プリドピジン単独ではBDNF分泌が13.5%増加した。化合物4単独ではBDNF分泌に影響を与えなかった(-1.5%)。プリドピジンと化合物4とを併用すると、BDNF分泌が59.1%増加し、この効果は、両化合物を単独で投与した場合の効果の合計よりも大きかった。図16(B):0.005μMの濃度のプリドピジンと0.001μMの濃度の化合物4とを併用した場合の相乗効果を示す。プリドピジン単独ではBDNF分泌が26.0%増加した。化合物4単独ではBDNF分泌に影響を与えなかった(-1.5%)。プリドピジンと化合物4とを併用するとBDNF分泌が80.7%増加し、この効果は、両化合物を単独で投与した場合の効果の合計よりも大きかった。 図17:B104細胞におけるBDNF放出に対するプリドピジンと化合物1との相乗効果を示す。B104神経芽細胞腫細胞を試験化合物と共に5日間培養し、BDNF濃度を、in-situELISA法を用いて評価した。0.01μMのプリドピジン単独では、BDNF分泌が3.4%増加した。1μMの化合物1単独では、BDNF分泌が12.5%増加した。プリドピジンと化合物1とを併用するとBDNF分泌が53.1%増加し、この効果は、両化合物を単独で投与した場合の効果の合計よりも大きかった。
本発明は、レット症候群(RTT)に罹患している対象を治療するための方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を対象に対して投与するステップを有し、それによって対象を治療する方法を提供する。
本発明は、レット症候群(RTT)に罹患している対象を治療するための方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、下記の化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む組成物を対象に投与するステップを有し、それによって対象を治療する方法を提供する。
Figure 2023550093000006
一実施形態では、本発明は、レット症候群(RTT)に罹患している対象におけるレット症候群に関連する少なくとも1つの症状について、発症を遅延させるか、悪化を防止するか、悪化を遅延させるか、または改善するための方法であって、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む組成物を対象に投与するステップを有する、方法を提供する。
一実施形態では、対象は、ヒト患者である。一実施形態では、ヒト患者は、女性である。別の実施形態では、ヒト患者は、男性である。
一実施形態では、対象は、メチルCpG結合タンパク質2(MeCP2)遺伝子に突然変異を有する。一実施形態では、対象は、サイクリン依存性キナーゼ様5(CDKL5)遺伝子に突然変異を有する。一実施形態では、対象は、フォークヘッドボックスタンパク質G1(FOXG1)遺伝子に突然変異を有する。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物を投与するステップを有する。他の実施形態では、プリドピジンの薬学的に許容される塩は、塩酸塩である。別の実施形態では、プリドピジンの薬学的に許容される塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩(aconate)、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩(embonate)、エナント酸塩(enantate)、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、または、トルエン-p-スルホン酸塩である。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物を投与するステップを有する。他の実施形態では、化合物1~8の薬学的に許容される塩は、塩酸塩である。別の実施形態では、化合物1~8の薬学的に許容される塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、または、トルエン-p-スルホン酸塩である。
一実施形態では、経口投与、経鼻投与、吸入、皮下注射、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、口腔内投与、膣内投与、直腸内投与、眼内投与、鞘内投与、局所投与、または皮内投与により投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、経口投与される。
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、エアロゾル、吸入可能な粉末、注射剤、液体、ゲル、固体、カプセル、または錠剤の形態で投与される。
一実施形態では、本開示の医薬組成物は経口投与され、本開示の医薬組成物は、錠剤、カプセル、ピル、粉末、カプセルもしくは小袋内のマルチパーティクル、液体溶液、または液体懸濁液として製剤化される。
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、定期的に投与される。
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、1日1回未満の頻度で投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、毎日投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、1日1回投与される。別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、1日1回以上の頻度で投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、1日2回投与される。
いくつかの実施形態では、本発明の方法で使用される、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む本開示の医薬組成物は、0.5~315mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む1日用量で投与される。別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0.5~10mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む1日用量で投与される。別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、10~22.5mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む1日用量で投与される。別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、22.5~315mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む1日用量で投与される。別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、10~315mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む1日用量で投与される。別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、0.5~50mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む1日用量で投与される。別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、22.5~315mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む1日用量で投与される。別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、45~250mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む1日用量で投与される。別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、45~135mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む1日用量で投与される。別の実施形態では、本開示の医薬組成物は、90~315mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む1日用量で投与される。
別の実施形態では、投与されるプリドピジンの量は、約1mg/日、約5mg/日、約10mg/日、約20mg/日、約22.5mg/日、約45mg/日、約67.5mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約112.5mg/日、約125mg/日、約135mg/日、約150mg/日、約180mg/日、約200mg/日、約225mg/日、約250mg/日、または、約315mg/日である。一実施形態では、投与されるプリドピジンの量は、45mg/日である。一実施形態では、投与されるプリドピジンの量は、90mg/日である。一実施形態では、投与されるプリドピジンの量は、180mg/日である。一実施形態では、投与されるプリドピジンの量は、225mg/日である。
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、1日1回投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、1日2回投与される。
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、プリドピジンを、約1mg、約5mg、約10mg、約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mg、約150mg、約180mg、約200mg、約250mg、または、約315mgの量で含む用量で投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物に含まれるプリドピジンの量は、45mgである。一実施形態では、本開示の医薬組成物に含まれるプリドピジンの量は、10~45mgである。
一実施形態では、本開示の医薬組成物は1日2回投与され、本開示の医薬組成物は、1用量当たり、45mgのプリドピジンを含む。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、早ければ、対象の生後1日以降に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後1日以内に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後1週間以内に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後1ヵ月以内に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後3ヵ月以内に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後6ヵ月以内に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後9ヵ月以内に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後12ヵ月以内に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後18ヵ月以内に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後3年以内に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後5年以内に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後10年以内に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後15年以内に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後20年以内に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後25年以内に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後30年以内に最初に投与される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の生後30年以上経過してから最初に投与される。
一実施形態では、本開示の医薬組成物の定期的な投与は、少なくとも3日間、少なくとも30日間、少なくとも42日間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、少なくとも6ヵ月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも5年間、少なくとも10年間、少なくとも15年間、少なくとも20年間、少なくとも25年間、または、30年以上にわたって継続される。
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象における症状の発症を遅らせることによって対象を治療する。
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、レット症候群(RTT)に罹患している対象における少なくとも1つの症状の発症を遅延させるか、悪化を防止するか、悪化を遅延させるか、または改善することによって対象を治療する。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、RTTに罹患している対象における少なくとも1つの症状の悪化を遅延させるか、または改善する。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、RTTに罹患している対象における少なくとも1つの症状を改善することによって対象を治療する。
いくつかの実施形態では、本発明は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物を投与することによって、レット症候群(RTT)の少なくとも1つの症状について、発症を遅れさせるか、悪化を防止するか、悪化を遅れさせるか、または改善する方法に関する。そのようなRTTの症状には、異常歩行、運動失調、歩行開始障害、目的のある手の運動機能の習得の遅れ、習得した目的のある手の運動機能の部分的または完全な喪失、異常な手の動き、驚愕反応、這い歩き(這い這い)及び/または歩行の遅れ、這い歩き及び/または歩行の能力の低下、または、眼球運動異常が含まれる。
一実施形態では、症状は、運動機能の習得の遅れである。一実施形態では、症状は、座位、這い歩き、及び/または歩行の遅れである。一実施形態では、症状は、習得した運動機能の部分的または完全な喪失である。一実施形態では、症状は、座位、這い歩き、及び/または歩行の能力の低下である。一実施形態では、運動機能は、協調運動機能である。
一実施形態では、症状は、異常歩行である。一実施形態では、症状は、運動失調である。一実施形態では、症状は、失行である。一実施形態では、症状は、筋力低下である。一実施形態では、症状は、痙縮である。一実施形態では、症状は、硬直である。一実施形態では、症状は、歩行開始障害である。
一実施形態では、症状は、筋緊張異常である。一実施形態では、症状は、筋緊張低下である。一実施形態では、症状は、末梢血管運動障害である。一実施形態では、症状は、脊柱側弯症である。一実施形態では、症状は、歩行開始障害である。
一実施形態では、症状は、目的のある手の運動機能の習得の遅れである。一実施形態では、症状は、習得した目的のある手の運動機能の部分的または完全な喪失である。一実施形態では、症状は、異常な手の動きである。一実施形態では、異常な手の動きは、手をねじる動き、手を絞る動き、拍手する動き、手を洗う動き、手を叩く動き、手を擦る動き、及び/または繰り返し手を口に入れる動きである。
一実施形態では、症状は、コミュニケーションスキルの習得の遅れである。一実施形態では、症状は、習得したコミュニケーションスキルの部分的または完全な喪失である。一実施形態では、コミュニケーションスキルは、言語スキルである。一実施形態では、言語スキルは、話し言葉のスキルである。一実施形態では、コミュニケーションスキルは、アイコンタクトである。
一実施形態では、症状は、眼球運動異常である。一実施形態では、眼球運動異常は、長時間の凝視、過度の瞬き、内斜視、及び/または一度に片眼を閉じることである。
一実施形態では、症状は、呼吸障害である。一実施形態では、呼吸障害は、対象が起きているときに生じる。一実施形態では、呼吸障害は、無呼吸である。一実施形態では、呼吸障害は、過呼吸である。
一実施形態では、症状は、対象が起きているときの歯ぎしりである。
一実施形態では、症状は、興奮性亢進、注意力の低下、及び/または集中力の持続時間の低下である。一実施形態では、症状は、不適切な笑い及び/または叫びである。
一実施形態では、症状は、発作である。
一実施形態では、症状は、心臓の異常である。一実施形態では、心臓の異常は、徐脈である。一実施形態では、心臓の異常は、頻脈である。
一実施形態では、症状は、疼痛に対する反応の低下である。一実施形態では、症状は、発育の遅れである。一実施形態では、症状は、小頭症である。一実施形態では、症状は、睡眠パターンの障害である。一実施形態では、症状は、肥大性の冷たい青ざめた足である。
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、症状を少なくとも5%改善する。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、症状を少なくとも10%改善する。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、症状を少なくとも20%改善する。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、症状を少なくとも30%改善する。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、症状を少なくとも50%改善する。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、症状を少なくとも80%改善する。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、症状を100%改善する。
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の日常生活、家事、財政管理、及び/または職業遂行の能力を向上させることによって対象を治療するために使用される。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象に対して必要とされる看護ケアのレベルを低下させることによって対象を治療するために使用される。
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の日常生活、家事、財政管理、及び/または職業遂行の能力を維持することによって対象を治療するために使用される。
一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の血清BDNF濃度を上昇させるのに有効である。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の脳内BDNF濃度を上昇させるのに有効である。一実施形態では、本開示の医薬組成物は、対象の血清BDNF濃度を維持するのに有効である。
また、本発明は、レット症候群(RTT)に罹患している対象を治療するのに使用するための、所定量のプリドピジンを含む医薬組成物を提供する。
また、本発明は、レット症候群(RTT)に罹患している対象を治療するのに有用な単位剤形の医薬組成物を提供する。
一実施形態では、投与されるプリドピジンの量は、0.5~315mg/日である。一実施形態では、プリドピジンの量は、10~315mgである。一実施形態では、プリドピジンの量は、90~315mgである。一実施形態では、プリドピジンの量は、90~225mgである。別の実施形態では、プリドピジンの量は、約22.5mg、約45mg、約67.5mg、約90mg、約100mg、約112.5mg、約125mg、約135mg、約150mg、約180mg、約200mg、約225mg、約250mg、または約315mgである。一実施形態では、プリドピジンの量は、45mgである。一実施形態では、プリドピジンの量は、90mgである。一実施形態では、プリドピジンの量は、180mgである。一実施形態では、プリドピジンの量は、225mgである。
また、本発明は、レット症候群(RTT)に罹患している対象を治療するための医薬品の製造における医薬組成物の使用を提供する。
また、本発明は、レット症候群(RTT)に罹患している対象を治療するための所定量のプリドピジンの使用を提供する。
また、本発明は、レット症候群(RTT)に罹患している対象における血清BDNF濃度を上昇させる方法であって、本開示の医薬組成物を対象に対して投与するステップを有し、それによって、対象の血清BDNF濃度を上昇させる方法を提供する。また、本発明は、RTTに罹患している対象における脳内BDNFレベルを上昇させる方法であって、有、本開示の医薬組成物を対象に対して投与するステップを含み、それによって、対象の脳内BDNFレベルを上昇させる方法を提供する。
上記の実施形態について、本明細書に開示された各実施形態は、本明細書に開示された他の各実施形態に適用可能であると考えられる。加えて、本発明の方法の実施形態において列挙された要素は、本明細書に記載された医薬組成物、パッケージ、及び使用の実施形態において使用することができ、その逆も同様である。
本発明の方法で使用するための医薬組成物:
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、下記の化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物を使用する。
Figure 2023550093000007
他の実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物を使用する。
他の実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物2またはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物を使用する。
他の実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物3またはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物を使用する。
他の実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物を使用する。
他の実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物5またはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物を使用する。
他の実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物6またはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物を使用する。
他の実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物7またはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物を使用する。
他の実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物8またはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物を使用する。
他の実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物1またはその薬学的に許容される塩、上記の化合物4またはその薬学的に許容される塩、またはそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物を使用する。
他の実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物1またはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物を使用する。
他の実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物を使用する。
他の実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物1またはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物4またはその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物を使用する。
他の実施形態では、本発明の方法で使用される医薬組成物は、プリドピジンの塩を含み、プリドピジンの塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、または、トルエン-p-スルホン酸塩を含む。
他の実施形態では、本発明の方法は、上記の化合物1~8の塩のうちの少なくとも1つを含む医薬組成物を使用し、上記の化合物1~8の塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、または、トルエン-p-スルホン酸塩を含む。
他の実施形態では、本発明の方法で使用される医薬組成物は、0.5~315mgのプリドピジンまたはその薬学的に許容される塩を含む経口剤形で投与される。他の実施形態では、経口剤形は、0.5~10mgのプリドピジンを含む。他の実施形態では、経口剤形は、10~22.5mgのプリドピジンを含む。他の実施形態では、経口剤形は、22.5~45mgのプリドピジンを含む。他の実施形態では、経口剤形は、45~250mgのプリドピジンを含む。他の実施形態では、経口剤形は、45~135mgのプリドピジンを含む。他の実施形態では、経口剤形は、90~315mgのプリドピジンを含む。
他の実施形態では、本発明の方法は、プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、上記の化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む医薬組成物を使用し、プリドピジンと、上記の化合物1~8のうちの少なくとも1つとの重量比は、1:0.0001~1:0.1の範囲である。他の実施形態では、プリドピジンと、上記の化合物1~8のうちの少なくとも1つとの重量比は、1:0.005~1:0.1の範囲である。他の実施形態では、プリドピジンと、上記の化合物1~8のうちの少なくとも1つとの重量比は、1:0.001~1:0.005の範囲である。
他の実施形態では、医薬組成物中の上記の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.01~10重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の上記の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.01~0.05重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の上記の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.01~0.5重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の上記の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.01~0.15重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の上記の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.01~0.15重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の上記の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.01~0.5重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の上記の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.01~1重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の上記の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.05~0.2重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の上記の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.05~0.3重量%の範囲である。他の実施形態では、医薬組成物中の上記の化合物1、2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの薬学的に許容される塩の濃度は、0.05~0.4重量%の範囲である。
本発明にしたがって使用するための活性化合物は、原料化合物の形態で投与してもよいが、活性化合物またはその薬学的に許容される塩は、1以上のアジュバント、賦形剤、担体、緩衝液、希釈剤、及び/または他の一般的な医薬補助剤と共に、医薬組成物中に含めることが好ましい。一実施形態では、本発明は、活性化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体と、1以上の薬学的に許容される担体と、任意選択で、当分野で既知のかつ使用される他の治療成分及び/または予防成分と、を含む医薬組成物を提供する。担体は、製剤の他の成分に適合し、かつ、本開示の医薬組成物が投与される対象にとって有害でないという意味で、「許容される」ものでなければならない。
本開示の医薬組成物は、所望の治療に適した任意の便利な経路で投与され得る。好ましい投与経路としては、とりわけ、錠剤、カプセル、マルチパーティクル、粉末、または液体の形態による経口投与、及び、とりわけ、皮膚、皮下、筋肉内、または静脈内注射による非経口投与が挙げられる。本発明の方法で使用される医薬組成物は、錠剤、カプセル、ピル、粉末、カプセルもしくは小袋内のマルチパーティクル、液体溶液、または液体懸濁液として製剤化された経口投与単位であり得る。
用語
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、以下の各用語は、以下に記載する定義を有するものとする。
本明細書で使用するとき、「プリドピジン」とは、プリドピジン塩基またはその薬学的に許容される塩もしくはその誘導体、例えば、プリドピジン及び塩の重水素濃縮版を意味する。重水素濃縮版のプリドピジン及び塩、並びにそれらの製造方法の例は、米国特許出願公開第2013-0197031号、同第2016-0166559号、及び同第2016-0095847号に記載されており、これらの各特許文献の開示内容の全体は、参照により本明細書中に援用される。
「重水素濃縮版(重水素リッチ)」とは、所定量の化合物において、化合物の任意の関連部位における重水素の存在量が、その部位に天然に存在する重水素の存在量よりも多いことを意味する。重水素の天然の存在量は、約0.0156%である。したがって、「重水素濃縮版」の化合物では、関連部位のいずれかにおける重水素の存在量は、0.0156%超であり、0.0156~100%の範囲であり得る。重水素濃縮版の化合物は、水素を重水素と交換するか、または、重水素リッチな出発物質を使用して化合物を合成することによって得ることができる。
本発明にしたがって使用するための活性化合物は、意図する投与に適した任意の形態で提供され得る。適切な形態としては、本発明の化合物の薬学的に許容される塩、及び、本発明の化合物のプレドラッグ形態またはプロドラッグ形態が挙げられる。
「~の塩」とは、化合物の酸性塩または塩基性塩を作製することによって修飾された本化合物の塩である。この点において、「薬学的に許容される塩」という用語は、医薬用途に適した本発明の化合物の、比較的無毒な、無機または有機の酸付加塩または塩基付加塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該技術分野でよく知られており、かつ説明されている方法によって作製することができる。このような塩を作製する方法の1つは、本発明の化合物を無機塩基で処理することである。
本発明の化合物の酸付加塩の例としては、これに限定しないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、及び、トルエン-p-スルホン酸塩が挙げられる。特定の実施形態では、プリドピジンは、HCl塩または酒石酸塩などの薬学的に許容される塩である。好ましくは、本明細書に記載の本発明の任意の実施形態では、プリドピジンは、その塩酸塩の形態である。
本明細書で使用するとき、ミリグラムで測定されるプリドピジンの「量」または「用量」とは、製剤の形態に関わらず、製剤に含有されるプリドピジン(4-[3-(メチルスルホニル)フェニル]-1-プロピル-ピペリジン)のミリグラム(mg)を指す。例えば、「プリドピジン90mg」を含む単位用量は、製剤の形態に関わらず、製剤に含有されるプリドピジンの量が90mgであることを意味する。したがって、プリドピジン塩酸塩などの塩の形態である場合、プリドピジン90mgの用量を提供するために必要な塩形態の重量は、塩の存在に起因して、90mgよりも大きくなるであろう。
本明細書で使用するとき、「単位用量」及び「単位剤形」とは、単一の薬物投与エンティティを意味する。「単位用量」及び「単位剤形」は、錠剤、カプセル剤、ピル、粉末、及び顆粒剤などの経口剤形用に調製することができる。
本明細書で使用するとき、数値または数値範囲の文脈における「約」とは、記載されたまたは特許請求された数値または数値範囲の90~110%を意味する。
本明細書で使用するとき、「対象への投与」または「(ヒト)患者への投与」とは、病的状態などの状態に関連する症状を遅延、緩和、治癒、または軽減するための、医薬品、薬物、または治療薬の対象/患者への投与、投薬、または適用を意味する。経口投与は、本発明の化合物を対象に投与する方法の1つである。
本発明による化合物は、塩基形態または薬学的に許容される塩の形態で、好ましくは1種以上のアジュバント、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤、及び/または他の通常の医薬補助剤と共に医薬組成物で投与することができる。
「薬学的に許容される担体」とは、妥当な利益/リスク比に見合った過度の副作用(毒性、刺激、またはアレルギー反応など)を引き起こさない、ヒト及び/または動物への使用に適した担体または賦形剤を指す。薬学的に許容される担体は、本発明の化合物を対象に送達するための、薬学的に許容される溶媒、懸濁剤、またはビヒクルであり得る。
投与は、定期的投与であってもよい。本明細書で使用するとき、「定期的投与」は、所定期間で区切られた繰り返し/反復投与を意味する。投与間の期間は、随時一定であることが好ましい。定期的投与は、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、週1回、週2回、週3回、週4回などの投与を含み得る。
本明細書で使用するとき、「治療」とは、レット症候群(RTT)に罹患している対象における身体的、精神的、または感情的な制限を、緩和、軽減、重症度低下、除去、実質的除去、または、改善することを含む。また、治療は、症状を遅延もしくは防止すること、または、疾患に関連する障害を軽減することを指す。
本明細書で使用するとき、目的を達成するために有効な量などの「有効」とは、本開示の方法で使用した場合に、妥当な利益/リスク比に見合った過度の副作用(毒性、刺激、またはアレルギー反応など)を引き起こすことなく、示された治療反応をもたたすことができる成分の量を意味する。例えば、レット症候群(RTT)の症状を治療するのに有効な量。具体的な有効量は、治療される特定の状態、患者の身体状態、治療される哺乳類の種類、治療期間、併用療法(存在する場合)性質、使用される特定の製剤、及び、化合物またはその誘導体の構造などの要因によって変動する。
パラメータ範囲が提供される場合、その範囲内のすべての整数、及びそれらの整数の10分の1もまた本発明によって提供されることを理解されたい。例えば、「22~300.0mg」には、22.0mg、22.1mg、22.2mg、22.3mg、22.4mg、・・・、最大300.0mgまでが含まれる。
本発明は、以下の「実験の詳細」の欄を参照することにより、より良く理解されるであろう。しかし、詳細に説明される特定の実験は、特許請求の範囲においてより完全に説明される本発明の単なる例示に過ぎないことは、当業者であれば容易に理解するであろう。
試験の詳細
実施例1:レット症候群のヘテロ接合MeCP2雌マウスモデルにおけるプリドピジンの有効性の評価
本試験の目的は、レット症候群の雌MeCP2(BIRD)マウスモデルにおけるプリドピジンの効果を評価することであった(Guy 2001)。
材料:
プリドピジン(30mg/kgまたは30mg/kg)を10ml/kgの投与量で1日2回(投与間隔6時間)経口投与した。試験日には、試験の30分前にプリドピジンを投与した。
プリドピジン投与は、マウスが約5.5週齢のときに開始し、行動試験の終了まで継続した。行動試験は、8週齢及び12週齢のときに行った。
雌MeCP2(MeCP2_HET、Rett)マウス、及び野生型(MeCP2_WT、WT)同腹仔を、相対湿度50%、12/12の明/暗周期で飼育した。餌及び水は自由摂取とした。すべての試験は明期に行った。十分な健康状態及び適合性を確保し、かつ試験に伴う非特異的ストレスを最小限に抑えるために、試験開始前及び試験期間中、すべての動物の検査及び体重測定を行った。試験期間中、12/12の明/暗周期を維持した。相対湿度を約50%に維持しながら、室温を20~23℃に維持した。調査期間中、餌及び水は自由摂取とした。試験は、動物の明期に行った。
方法:
投与群:
・WTマウス:ビヒクル(食塩水)、n=24
・Rett HET MeCP2マウス:ビヒクル(食塩水)、n=24
・Rett HET MeCP2マウス:プリドピジン(3mg/kg;1日2回経口投与)、n=20
・Rett HET MeCP2マウス:プリドピジン(30mg/kg;1日2回経口投与)、n=20
行動試験:
(1)NeuroCube(登録商標)システムを用いた歩行分析
NeuroCube(登録商標)システムは、コンピュータビジョンを使用して、神経疾患、疼痛、及び神経障害のげっ歯類モデルにおける歩行形態及び歩行動態の変化を検出するプラットフォームである。このプラットフォームは、下記の理由で、歩行試験に特有のものである。
・このシステムは、完全に自動化されているため、偏見や主観性が排除される。
・このシステムは、歩行形態及び歩行動態(スタンス、スイング、推進力など)の両方をキャプチャする。
マウスをNeuroCubeに入れ、5分間の試験を行った。疾患表現型(症状記述子)を定義する収集された特徴のうち、最も優勢なものを特定し、かつランク付けした。複雑なバイオインフォマティックアルゴリズムを用いて、WTマウスとRett HET MeCP2マウスとの識別確率を計算し、試験化合物の、疾患表現型を逆転させる能力を検出した。試験化合物を投与したRett HET MeCP2マウスにおける、突然変異体と野生型との識別、及び疾患特徴の回復を計算した。
(2)クラスピング(Clasping)
クラスピングを用いて、四肢の筋肉の筋力を評価した。マウスの尾をつかみ、マウスの前脚がカウンタの表面からちょうど離れるまで、穏やかに持ち上げた。実験者はマウスの脚を観察し、四肢のクラスピングやスプレイング(splaying)を調べた。試験後、動物を試験ケージまたはホームケージに戻した。後肢のクラスピングのパーセントを測定し、報告した。
(3)驚愕反応/プレパルス抑制(PPI)
音響驚愕法を用いて、外部聴覚刺激に対する無条件反射反応を測定した。弱い聴覚刺激またはプレパルスの提示後の聴覚刺激に対する驚愕反応の抑制(振幅の減少)であるプレパルス抑制(PPI)は、統合失調症に見られるような感覚運動ゲーティングの欠損を評価するためのツールとして用いられている。
マウスをPPIチャンバ(Med Associates)に入れ、5分間のホワイトノイズ(70dB)に馴れさせた。順応期間の後、試験セッションは自動的に開始された。試験セッションは、驚愕刺激のみが6回提示される馴化ブロックで始まり、それに続いて、6種類の試験の10回のPPIブロックが行われた。
試験の種類は、ヌル(刺激なし)、驚愕(120dB)、驚愕+プレパルス(背景雑音に対して4dB、8dB、または12dB、すなわち74dB、78dB、または82dB)、及びプレパルス単独(82dB)であった。試験の種類は、各ブロック内でランダムに提示された。各試験は、ベースラインの動きを記録する50ミリ秒のヌル期間から開始した。その後、プレパルス刺激を提示し、プレパルスに対する応答を20ミリ秒間記録した。さらに100ミリ秒後、驚愕刺激を40ミリ秒間提示し、驚愕発生に対する応答を100ミリ秒間記録した。応答は、1ミリ秒ごとにサンプリングした。試験間隔は、平均15秒(10~20秒の範囲)であった。
驚愕単独試験では、基本聴覚驚愕を測定し、プレパルス+驚愕試験では、正常驚愕の抑制量を測定し、最初の馴化ブロックの驚愕反応を除いた、(驚愕単独試験に対する)基本驚愕反応の割合として表した。
脳の採取:
すべての行動試験の完了後、プリドピジン投与の60分後に脳試料を採取した。マウスを頸椎脱臼により安楽死させ、首を切断した。10匹のマウス/投与群から、脳全体を採取し、重量を測定した後、ドライアイスで凍結した。脳試料は、脳由来神経栄養因子(BDNF)の分析まで、-80℃で保存した。
BDNF分析:
全RNA抽出:
組織(脳全体)を均質化し、RNAを抽出して定量化した。アリコートをcDNAに逆転写した。
各RNA試料について、最大で3回の独立したRT反応を行った。qPCRは、下記の表5に詳細に示すプライマを使用して行った。
Figure 2023550093000008
qPCRデータ分析:
WTビヒクル投与動物のプールされた試料から得られた全脳cDNAを、標準化したプレート間変動に対するキャリブレータ(キャリブレータは試料cDNAと同じように希釈する)として使用した。
各cDNA試料(1:10に希釈)を3連で分析して、Ct値を平均化した。平均の0.5標準偏差よりも大きい値は捨てた。
PCR産物の相対量(キャリブレータに対する)は、下記のように計算した。
Figure 2023550093000009
ハウスキーピング遺伝子の幾何平均は、下記のように計算した。
Figure 2023550093000010
標的遺伝子の相対レベルは、下記のように計算した。
Figure 2023550093000011
そして、標的遺伝子の相対レベルをWTビヒクル群に対して正規化した。
統計分析:
標準試験のデータを、遺伝子型別(t検定)及び投与別(ANOVA)に分析し、その後、必要に応じて事後比較した。いくつかの指標については、反復測定ANOVAを実施した。クラスピングデータについては、N-1 2比例検定を実施した。p<0.05の場合、効果は有意であると見なした。すべてのデータは、平均値と、平均値に対する標準誤差(s.e.m)として表した。平均から±2の標準偏差値は、異常値と見なした。
NeuroCubeからのデータ分析:
NeuroCubeの出力は、バイオインフォマティクスで使用される機械学習技術で分析するために提出される数十の行動的特徴のセットである。これらの特徴の多くは相関している(例えば、飼育数とサポートされている飼育数)。したがって、PGIは、2つの群をより効果的に識別する元の特徴の統計的に独立した組み合わせを形成する(無相関特徴とも呼ばれる)。
無相関の各特徴は、元の特徴のクラスタ全体から情報を抽出し、そのため、新しい特徴空間はより低い次元を有する。次に、PGIは、独自の特徴ランク付けアルゴリズムを適用して、各特徴の識別力(2つの群、例えば、対照と疾患とを分ける能力)をスコア化する。
ランク付けは、各特徴の変化をその関連性によって重み付けするため、分析の重要な部分である。特定の表現型について測定された或る無関係な特徴に大きな変化がある場合、低いランクのこの特徴は、分析におけるこのような変化の影響を自動的に減少させるため、従来の「特徴選択」アプローチに頼って、情報が少ない特徴に埋め込まれている情報を破棄する必要はない。ランク付けアルゴリズムは、主要な対照と疾患との差異に関する洞察を得るために、元の特徴または新しい特徴のいずれかに適用することができる。
特徴の分析:疾患表現型の定量的評価
新しい特徴空間では、「クラウド」(ランク付けされた無相関特徴空間内のマウス群を近似するガウス分布)間の重なりが、その二群間の分離可能性(「識別可能性」)の定量的尺度としての役割を果たす。可視化を目的として、各クラウドは、対応する次元に沿った1つの標準偏差に等しい半軸でプロットされた。
結果:
行動試験:
(1)クラスピング
レット症候群の患者は、目的のある手の運動機能を喪失するかまたは習得できず、手をねじるなどの常同的な動きに取って代わられる。Rettマウスモデルでは、この症状は、後肢クラスピング表現型と相関する。Rettモデルマウスは、WTマウスと比較して、有意に多くのクラスピングを示す(図2)。図2に示すように、プリドピジンは、8週目にクラスピングを改善する。ビヒクル投与RETTマウスは、WTマウスと比較して有意に多くのクラスピングを示す。プリドピジン(30mg/kg、1日2回投与)の投与は、8週目にこの行動を正常化した(p<0.06)。8週目では、ビヒクル投与WTマウス、及びプリドピジン投与動物(30mg/kgb、1日2回投与)のクラスピングは0%である。このことは、プリドピジン(30mg/kg、1日2回投与)の投与は、この症状の治療に有効であり、発症を遅らせる可能性があることを示唆する。
(2)驚愕反応/PPI
レット症候群の症状である注意力及び集中力持続時間の低下をマウスモデルで再現し、音響驚愕反応を用いて評価した。ビヒクル投与Rettマウスは、WTマウスと比較して、8週目で約65%、12週目で約75%という、驚愕反応に対する有意な抑制を示した(p<0.05)。プリドピジン(3mg/kg、1日2回投与)は、図3に示すように、8週目で約40%、12週目で約50%という、驚愕反応に対する有意な有益効果を示した(p<0.05)。
(3)NeuroCube(登録商標)
WTマウスとRettマウスとの識別確率は、8週齢で90%、12週齢で94%であった。WTマウスとRettマウスとを識別する上位の歩行特徴のいくつかは、WTマウスは、Rettマウスと比較して、歩幅が大きく、ベース幅が狭く、かつ、足強度が低いことであった。
8週目における歩行能力に対するプリドピジンの効果を図4に示す。12週目における歩行能力に対するプリドピジンの効果を図5に示す。プリドピジン(30mg/kg、1日2回投与)の投与は、8週目及び12週目の両方で、全般的な歩行機能の有意な回復を示した(8週目は45%、12週目は55%)。
さらなる分析では、下記の表6に示すように、いくつかの歩行ドメインにおいて有意な差を示した。Rettマウスは、すべての歩行機能において、WT対照マウスと有意に異なっていた。8週目のデータは、プリドピジン(3mg/kgまたは30mg/kg、1日2回投与)が、Rettマウスの身体動作または歩行を改善したことを示す。プリドピジン(3mg/kg、1日2回投与)の投与は、12週目に、歩行及び身体動作を有意に改善した。プリドピジン(30mg/kg、1日2回投与)の投与は、歩行、身体動作、及び足の位置決め(paw positioning)に有意な効果が認められた。
Figure 2023550093000012
BDNF分析
WTマウス及びRettマウスの脳試料における相対的BDNF発現に対するプリドピジンの効果を図6~10に示す。
全脳対照ハウスキーピング遺伝子のmRNA発現レベルは、検査した動物投与群間で変化はなかった(図6(A)~(C)参照)。
WT(ビヒクル)と比較して、BDNF-IのmRNAの発現は、Rettマウス(ビヒクル)投与群では有意に減少し、約20%減少した(p<0.001)。プリドピジン投与(3mg/kgまたは30mg/kg、1日2回投与)は、RettマウスのBDNF-IのmRNAレベルに影響を与えなかった(図7参照)。
WT(ビヒクル)と比較して、BDNF-IVのmRNA発現は、Rettマウス(ビヒクル)投与群では有意に減少し、約15%減少した(p<0.001)。プリドピジン投与(3mg/kgまたは30mg/kg、1日2回投与)は、RettマウスのダウンレギュレーションされたBDNF-IVのmRNAを、WTレベルに近いレベルまでレスキューし、約30%レスキューした(p<0.001)(図8参照)。
WT(ビヒクル)と比較して、BDNF-VIのmRNAの発現は、Rettマウス(ビヒクル)投与群では有意に減少し、約25%減少した(p<0.001)。プリドピジン投与(3mg/kgまたは30mg/kg、1日2回投与)は、RettマウスのBDNF-VIのmRNAレベルに影響を与えなかった(図9参照)。
WT(ビヒクル)と比較して、BDNF-IXのmRNA発現は、Rettマウス(ビヒクル)投与群では有意に減少し、約20%減少した(p<0.001)。プリドピジン投与(3mg/kgまたは30mg/kg、1日2回投与)は、RettマウスのダウンレギュレーションされたBDNF-IXのmRNAを、WTレベルに近いレベルまでレスキューした(p<0.001)(図10参照)。
結論
本試験では、Rettマウスにおける歩行、後肢クラスピング、及び驚愕/PPIに対するプリドピジンの長期投与の効果を評価した。
Rettマウスは、歩行の測定結果に明確な変化があり、それにより、WTマウスと区別される。また、Rettマウスは、常同的な後肢固定表現型を示す。さらに、Rettマウスは、WTマウスと比較して、音響驚愕反応の抑制を示す。プリドピジン投与は、8週齢での後肢クラスピングを有意にレスキューし(30mg/kg、1日2回投与)、ビヒクル投与Rettマウス(3mg/kg、1日2回投与)と比較して、8週目及び12週目に驚愕反応を有意に改善した。プリドピジン(30mg/kg、1日2回投与)を投与したRettマウスは、8週目及び12週目に、歩行機能の有意な回復を示した。
プリドピジンの両用量での投与(3mg/kgまたは30mg/kg、1日2回投与)により、BDNF-IV及びBDNF-IXのダウンレギュレーションされたmRNAレベルは完全にレスキューされた。BDNFのmRNAの発現に対するプリドピジンのプラス効果は、行動パラダイムで観察された改善と一致した。
実施例2:プリドピジンを投与したMeCP2マウスのRNA分析
方法:
約5.5週齢の雌Rettモデルマウス(MeCP2ヘテロ接合)及び野生型(WT)の同腹仔に、プリドピジンまたはビヒクルのいずれかを経口投与した。プリドピジン(3mg/kgまたは30mg/kg)を、10ml/kgの用量で、1日2回(投与間隔6時間)経口投与した。4つの投与群を設定した。1.WTマウス:ビヒクル、2.Rettマウス:ビヒクル、3.Rettマウス:プリドピジン(3mg/kg;1日2回経口投与)、4.Rettマウス:プリドピジン(30mg/kg;1日2回経口投与)。
この実験では、プリドピジンがRettマウスで観察された異常転写を逆転させるかどうかを評価した。これは、プリドピジンが疾患状態で乱された遺伝子の発現をWTレベルまで回復させるかどうかを調べることによって行われた。加えて、レット症候群マウスモデルにおける遺伝子発現に対するプリドピジンの影響を評価した。
結果:
プリドピジンは、遺伝子セット濃縮分析(GSEA)法で分析された線条体及び皮質におけるレット症候群疾患遺伝子発現シグネチャを反転させた。
Figure 2023550093000013
Figure 2023550093000014
広範な遺伝子発現パターンの比較により、プリドピジンが、Rettマウスの線条体及び皮質の両方で遺伝子発現パターンを強力に逆転させることが明らかになった。
Figure 2023550093000015
表9は、プリドピジン3mg/kgを1日2回投与した場合、線条体におけるレット遺伝子の発現パターンが両方向に逆転することを示す(Rettマウス対WTではダウンしている遺伝子をアップレギュレートし、Rettマウス対WTではアップしている遺伝子をダウンレギュレートした)。プリドピジン30mg/kgを1日2回投与した場合、WTマウスと比較して、Rettマウスでダウンしている遺伝子を有意にアップレギュレートした。
Figure 2023550093000016
Figure 2023550093000017
表10は、プリドピジン3mg/kgまたは30mg/kgを1日2回投与した場合、皮質のレット遺伝子発現パターンが両方向に逆転することを示す(Rettマウス対WTではダウンしている遺伝子をアップレギュレートし、Rettマウス対WTではダウンしている遺伝子をアップレギュレートした)。
BDNF-TrkB経路の下流の遺伝子発現に対するプリドピジンの効果を評価した。プリドピジン30mg/kgを1日2回投与すると、BDNFの下流の遺伝子発現が有意に増加した(表11)。
Figure 2023550093000018
実施例3:プリドピジンは、雄のMeCP2ノックアウト(KO)レット症候群マウスモデル(Rett-KO)の歩行機能を改善する
方法:
Rettモデルマウスのコロニー(Jackson Laboratories, Bar Harbor, ME; B6.129P2-Mecp2tm2Bird/J | Stock Number: 003890)は、ヘテロ接合(HET)の雌と野生型(WT)の雄(C57Bl/6J)とを交配することによって確立した。ヘテロ接合MeCP2Rettモデルマウス(Rett-KO)とその野生型(WT)同腹子を、湿度50%、12/12明暗サイクルの20~23°Cの温度管理された部屋に収容した。室温は20~23°Cに保ち、相対湿度は50%前後に保った。試験期間中、餌と水は自由摂取とした。加えて、後肢開脚(hindlimb splay)及び/または運動困難の徴候が最初に観察された時点で、マウスに対してヒドロゲルを毎日提供した。
離乳後、マウスは、OPTIマウスケージに単独で収容した。試験の残りの期間、すべての動物は単独で収容した。試験開始前のベースライン体重及び握力の測定値を用いて、マウスのバランスを取り、投与群に割り当てた。すべての試験は、明期に実施した。
プリドピジンは、30mg/kgの1日2回投与で評価した。プリドピジンを滅菌DDWに溶解し、10mL/kgの用量で1日2回(bid)経口投与した。
NeuroCube(登録商標)-歩行分析
NeuroCube(登録商標)(NRC)システムはサイコジェニックス社(PsychoGenics)の独自技術の1つである。このシステムは、コンピュータビジョンを使用して、げっ歯類における歩行形態及び歩行動態の変化を検出するプラットフォームである。このプラットフォームは、下記の理由で、歩行試験に特有のものである。
・このシステムは、完全に自動化されているため、偏見や主観性が排除される。
・このシステムは、歩行形態及び歩行動態(スタンス、スイング、推進力など)の両方をキャプチャする。
・このシステムは、コンピュータビジョン及びバイオインフォマティクスの感度により、疾患モデルの症状をより早く、より正確に捉えることができる。
歩行分析は、マウスが5週齢、6週齢、及び7週齢のときに測定した。このマウスをNeuroCube(登録商標)に入れ、5分間の試験を行った。疾患表現型を定義する特徴(症状記述子)のうち、最も主要なものを特定し、ランク付けした。複雑なバイオインフォマティックアルゴリズムを用いて、WTマウスとRettマウスとの識別確率を計算し、試験化合物の、疾患表現型を逆転させる能力を検出した。
機能分析
ランク付けは、各機能の変化をその関連性によって重み付けするため、分析の重要な部分である。特定の表現型について測定された或る無関係な機能に大きな変化がある場合、低いランクのこの機能は、分析におけるこのような変化の影響を自動的に減少させる。
2つの異なるセットの機能値間の相対的な差(%)を計算し、0~100%の範囲のランクと共に、機能ランクに対応する順序でプロットした。
機能分析-分析した機能のリスト
(1)平均速度:NRCの長さを移動する平均速度の測定。
(2)体位:足(paw)の画像パラメータを使用して、被験体の身体の動きに関連する、身体のXY座標、足のXY座標、及び、足の方向ベクトルを測定した。
(3)歩行:歩行形態(例えば、ストライド幅、ステップ幅、ベース幅)、及び歩行動態(例えば、ストライド持続時間、ステップ持続時間、スイング持続時間)の測定。
(4)画像処理:足の接触面積、接触領域の周囲、及び足の直径(水平/垂直)の測定。
(5)足の位置:身体の中心を基準とした各足の接触面積の位置を記録した。記録された4本の足のすべての相対位置を重ね合わせることにより、4つの点のクラスタが作成される(各足に1つずつ)。足ごとに、クラスタの中心座標、クラスタのサイズ、足プリント(paw print)の数、クラスタ位置の相対的なジオメトリが測定される。
(6)リズム:各足の歩行信号とそれ以外のすべての足の歩行信号との相関係数:RF-LF、RF-LH、RF-RH、LH-RH、LH-RF、LF-RH、LH-RH(F-前肢;H-後肢;R-右;L-左)。
特徴分析:疾患表現型の定量的評価
特徴空間では、「クラウド」(ランク付けされた無相関特徴空間内のマウス群を近似するガウス分布)間の重なりが、WTマウスとRett-KOマウスとの分離可能性(「識別可能性」)の定量的尺度としての役割を果たす(図1参照)。可視化を目的として、各クラウドは、対応する次元に沿った1つの標準偏差に等しい半軸でプロットした。
特徴分析:薬物性回復
「薬物による回復」の試験では、データは通常、WT、Rett-KO、及び、Rett-KO+プリドピジン投与(「プリドピジン投与群」)の3つのクラスで示される。したがって、図1Aに示すように、他の群(WT及びRett)を最もよく識別する座標系と同じ座標系で、第3の群であるプリドピジン投与群を考慮(及びプロット)することは有益である。
投与群
本試験では下記の投与群を用いた。
1.WTマウス-ビヒクル
2.Rett-KO(B6.129P2-Mecp2tm2Bird/J)マウス-ビヒクル
3.Rett-KO(B6.129P2-Mecp2tm2Bird/J)マウス-プリドピジン(30mg/kg、1日2回投与)
統計分析
データは反復測定分散分析(ANOVA)によって分析し、その後、必要に応じて事後比較した。p<0.05の場合、効果は有意であると見なした。データは、平均値と、平均値に対する標準誤差(s.e.m)として表した。
結果:
NeuroCube(登録商標)
1.歩行機能
6週齢及び7週齢のRett-KOマウス対WTマウスの識別プロットを図11A及び図11Bに示す。特徴名は、パラメータ名と足の名前との組み合わせである。FR-前肢(右);FL-前肢(左);HR-後肢(右);HL-後肢(左)。
歩行機能を分析すると、6週齢及び7週齢の両方で、Rett-KOマウスは、WTマウスと比較して、それぞれ100%と99%の識別確率で歩行障害を示した。6週齢及び7週齢の両方で、Rett-KOマウスは、WTマウスと比較して、歩行機能の測定において、主にストライド幅、ベース幅、ステップ幅において障害を示すことがわかった。
Rett-KOマウスの歩行障害に対するプリドピジン(30mg/kg、1日2回投与)の効果を6週齢及び7週齢のマウスで評価した。回復の概要を図12に示す。プリドピジンは、6週齢及び7週齢のRettモデルマウスにおいて、44%及び100%の歩行障害の回復を示した(いずれもp<0.05、ANOVA)。
結論
遺伝子型の比較では、WTマウスと比較して、Rett-KOマウスは歩行の測定において有意な障害を示すことがわかった。Rett-KOマウスにプリドピジン(30mg/kg、1日2回投与)を長期投与すると、6週目及び7週目に有意な歩行回復が認められた。
実施例4:プリドピジン45mgの1日2回投与は、52週目に初期HD患者の歩行及びバランスを改善する
初期HDの26週目及び52週目におけるUHDRS TMS歩行及びバランスのスケールのベースラインからの変化(ベースライン TFC7-13)。表2(図面の簡単な説明の欄を参照)及び図13A及び図13Bは、26週目と52週目に、プリドピジン45mgを1日2回投与した初期HD患者におけるUHDRS TMS歩行及びバランスの改善傾向を示す。初期HDには、HD1(TFC11-13)及びHD2(TFC7-10)が含まれる。図14B及び表3(図面の簡単な説明の欄を参照)は、プリドピジン45mgの1日2回投与を受けた患者における、52週目での、歩行及びバランスのベースラインからの変化に対する有意な効果を示す(p=0.0445)。図14Aは、プリドピジン投与を受けたHD1患者における、26週目での、改善傾向を示す。図15A、図15B及び表4(図面の簡単な説明の欄を参照)は、プリドピジン45mgの1日2回の投与を受けたHD2患者における、52週目及び26週目の両方での、歩行とバランスのベースラインからの変化に対する改善傾向を示す。
実施例5:BDNF分泌に対する、プリドピジンと化合物1との相乗効果、または、プリドピジンと化合物4との相乗効果
化合物1及び化合物4はいずれも、B104神経芽腫細胞からのBDNF分泌に対して、プリドピジンとの相乗効果を示す。
化合物1及び化合物4は、表12に示すように、シグマ-1受容体(S1R)に対して選択的に結合し(化合物1はKi=0.37μM、化合物4はKi=2.9μM)、シグマ-2受容体(S2R)に対しては結合しない(化合物1及び化合物4はいずれも、Ki>100μM)。
Figure 2023550093000019
このように、化合物1及び化合物4はいずれも、シグマ-1受容体(S1R)に対しては高い親和性を示すが、シグマ-2受容体(S2R)に対しては親和性を示さない(Ki>100)。
脳由来神経栄養因子(BDNF)濃度の低下は、神経変性疾患及び神経発達障害の病因において重要な役割を果たす。BDNF濃度は、ハンチントン病(HD)、パーキンソン病、アルツハイマー病(Zuccato and Cattaneo 2009)、レット症候群(Katz 2014)などの神経変性疾患及び神経発達障害において低下する。
in-situELISA法を用いた測定によると、プリドピジンは、ラット神経芽腫細胞におけるBDNF分泌を、用量依存的に増加させる。S1Rの薬理学的阻害によりプリドピジンの効果が消失することから、プリドピジンの効果はS1Rの活性化を介すると考えられる(Geva, Birnberg, et al. 2016)。
化合物1または化合物4とプリドピジンとの相乗効果を評価したところ、予想外の相乗効果が認められた。この効果は、BDNFのin-situELISA法で観察された(Geva, Kusko, et al. 2016)。
したがって、以下に示すBDNF放出に対する相乗効果は、プリドピジンと化合物1または化合物4との治療効果に直接関係する。
以下のデータは、驚くべきことにかつ予期せぬことに、プリドピジンと化合物4または化合物1との併用が、BDNF放出に対する相乗効果を発揮することを示す。
BDNF放出に対する化合物4とプリドピジンとの相乗効果
プリドピジン単独では、対照の未処理細胞と比較して、0.001μMの濃度では+13.5%、0.005μMの濃度では+26%、BDNF放出が増加した。濃度0.001μMの化合物4単独では、未処理の対照細胞と比較して、BDNF放出に影響を与えなかった(-1.5%)。しかしながら、プリドピジンと化合物4とを併用すると、BDNF放出に対して予期せぬ相乗効果が得られた。
・0.001μMのプリドピジンを0.001μMの化合物4と併用すると、対照の未処理細胞と比較して、BDNF放出が59.1%増加した(図16(A))。
・0.001μMのプリドピジンを0.005μMの化合物4と併用すると、対照の未処理細胞と比較して、BDNF放出が80.7%増加した(図16(B))。
プリドピジンと化合物4との併用の効果は、各化合物の個別の効果の合計よりも大きかった。これは、プリドピジンと化合物4との併用により、BDNF分泌に対して驚くべき相乗効果が得られることを示す。結果の値は、未処理の対照細胞と比較した変化の割合(%)として示されている。
BDNF放出に対する化合物1とプリドピジンとの相乗効果
0.01μMの濃度のプリドピジン単独では、対照の未処理細胞と比較して、BDNF放出が+3.4%増加した。濃度1μMの化合物1単独では、対照の未処理細胞と比較して、BDNF放出が+12.5%増加した。しかしながら、プリドピジンと化合物1とを併用すると、BDNF放出に対して相乗効果が得られた(+53.1%)。
・プリドピジン(0.01μM)を化合物1(1μM)と併用すると、対照の未処理細胞と比較して、BDNF放出が53.1%増加した(図17)。
プリドピジンと化合物4とを併用した場合と同様に、プリドピジンと化合物1との併用の効果は、各化合物の個別の効果の合計よりも大きかった。これは、プリドピジンと化合物1との併用により、BDNF分泌に対して驚くべきかつ予期せぬ相乗効果が得られることを示す。
このように、本願発明者は、化合物1及び化合物4がシグマ-1受容体(S1R)に対して選択的な結合親和性を有すること、並びに、BDNF放出に対するプリドピジンとの驚くべきかつ予期せぬ相乗効果を示すことを明らかにした。
実施例6:レット症候群(RTT)に罹患している患者の治療におけるプリドピジンの有効性の評価
レット症候群(RTT)患者に対するプリドピジンの定期的な(例えば、毎日または1日2回)静脈内投与または経口投与は、患者の治療に有効である。
プリドピジンの投与は、RTT患者における症状の発症を効果的に遅らせる。
プリドピジンの投与は、RTT患者における少なくとも1つの症状について、効果的に、悪化を防止するか、悪化を遅延させるか、または改善する。
プリドピジンの投与は、RTT患者における運動機能について、効果的に、悪化を防止するか、悪化を遅延させるか、または改善する。プリドピジンの投与は、RTT患者における習得した運動機能の部分的または完全な喪失を効果的に防止する。
プリドピジンの投与は、RTT患者における歩行について、効果的に、悪化を防止するか、悪化を遅延させるか、または改善する。
プリドピジンの投与は、RTT患者における運動失調、失行、筋力低下、痙縮、及び/または硬直を効果的に防止するか、遅延させるか、または改善する。プリドピジンの投与は、RTT患者における歩行開始障害を効果的に防止するか、遅延させるか、または改善する。
プリドピジンの投与は、RTT患者における筋緊張異常、末梢血管運動障害、及び/または脊柱側弯症を効果的に防止するか、遅延させるか、または改善する。
プリドピジンの投与は、RTT患者における目的のある手の運動機能について、効果的に、悪化を防止するか、悪化を遅延させるか、または改善する。プリドピジンの投与は、異常な手の動きを効果的に防止するか、遅延させるか、または改善する。異常な手の動きとしては、これに限定しないが、手をねじる動き、手を絞る動き、拍手する動き、手を洗う動き、手を叩く動き、手を擦る動き、及び/または繰り返し手を口に入れる動きが挙げられる。プリドピジンの投与は、RTT患者における習得した目的のある手の運動機能の部分的または完全な喪失を効果的に防止する。
プリドピジンの投与は、RTT患者におけるコミュニケーションスキルについて、効果的に、悪化を防止するか、悪化を遅延させるか、または改善する。コミュニケーションスキルとしては、これに限定しないが、発話能力及び通常のアイコンタクトが挙げられる。プリドピジンの投与は、RTT患者における習得したコミュニケーションスキルの部分的または完全な喪失を効果的に防止する。
プリドピジンの投与は、発育遅延、発作、心臓の異常、呼吸の不規則性、睡眠パターンの障害、起きているときの歯ぎしり、疼痛に対する反応の低下、肥大性の冷たい青ざめた足、興奮性亢進、注意力の低下、集中力の持続時間の低下、不適切な笑い、及び/または不適切な叫び声を効果的に防止するか、遅延させるか、または改善する。
(参照文献)
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Claims (27)

  1. 治療を必要とする対象におけるレット症候群を治療するための方法であって、
    プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、下記の化合物1~8またはその薬学的に許容される塩のうちの少なくとも1つとを含む組成物を前記対象に投与するステップを有する、方法。
    Figure 2023550093000020
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    レット症候群の症状は、異常歩行、運動失調、歩行開始障害、目的のある手の運動機能の習得の遅れ、習得した目的のある手の運動機能の部分的または完全な喪失、異常な手の動き、驚愕反応、這い歩き及び/または歩行の遅れ、這い歩き及び/または歩行の能力の低下、または、眼球運動異常を含み、
    当該方法は、前記症状のうちの少なくとも1つの症状について、発症を遅延させるか、悪化を防止するか、悪化を遅延させるか、または改善する、方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、
    前記プリドピジンの薬学的に許容される塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、またはトルエン-p-スルホン酸塩を含む、方法。
  4. 請求項1または2に記載の方法であって、
    前記化合物1~8の薬学的に許容される塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、またはトルエン-p-スルホン酸塩を含む、方法。
  5. 請求項1に記載の方法であって、
    前記組成物は、経口投与、経鼻投与、吸入、皮下注射、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、口腔内投与、膣内投与、直腸内投与、眼内投与、鞘内投与、局所投与、または皮内投与により投与される、方法。
  6. 請求項3に記載の方法であって、
    前記組成物は、経口投与される、方法。
  7. 請求項1に記載の方法であって、
    前記組成物は、エアロゾル、吸入可能な粉末、注射剤、液体、ゲル、固体、カプセル、または錠剤の形態で投与される、方法。
  8. 請求項6に記載の方法であって、
    前記組成物は経口投与され、
    前記組成物は、錠剤、カプセル、ピル、粉末、カプセルもしくは小袋内のマルチパーティクル、液体溶液、または液体懸濁液として製剤化される、方法。
  9. 請求項1に記載の方法であって、
    前記プリドピジンは、1日1回未満の頻度で投与される、方法。
  10. 請求項1に記載の方法であって、
    前記プリドピジンは、1日1回または1日2回投与される、方法。
  11. 請求項1に記載の方法であって、
    前記プリドピジンは、0.5~315mg/日の1日用量で投与される、方法。
  12. 請求項1に記載の方法であって、
    前記プリドピジンは、0.5~45mg/日の1日用量で投与される、方法。
  13. 請求項1に記載の方法であって、
    前記プリドピジンは、10~100mg/日の1日用量で投与される、方法。
  14. 請求項1に記載の方法であって、
    前記プリドピジンは、45~90mg/日の1日用量で投与される、方法。
  15. 請求項1に記載の方法であって、
    前記プリドピジンは、45~180mg/日の1日用量で投与される、方法。
  16. 請求項1に記載の方法であって、
    前記組成物は、1日当たり1用量または2用量で投与される、方法。
  17. 請求項1~16のいずれかに記載の方法であって、
    前記組成物は、
    前記プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、
    前記化合物1またはその薬学的に許容される塩、前記化合物4またはその薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つと、を含む、方法。
  18. 請求項1~16のいずれかに記載の方法であって、
    前記組成物は、
    前記プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、
    前記化合物1またはその薬学的に許容される塩と、を含む、方法。
  19. 請求項1~16のいずれかに記載の方法であって、
    前記組成物は、
    前記プリドピジンまたはその薬学的に許容される塩と、
    前記化合物1またはその薬学的に許容される塩と、
    前記化合物4またはその薬学的に許容される塩と、を含む、方法。
  20. 請求項1に記載の方法であって、
    前記プリドピジンと、前記化合物1~8のうちの少なくとも1つとの重量比が、1:0.0001~1:0.1の範囲である、方法。
  21. 請求項20に記載の方法であって、
    前記プリドピジンと、前記化合物1~8のうちの少なくとも1つとの重量比が、1:0.0005~1:0.1の範囲である、方法。
  22. 請求項20に記載の方法であって、
    前記プリドピジンと、前記化合物1~8のうちの少なくとも1つとの重量比が、1:0.0005~1:0.005の範囲である、方法。
  23. 請求項2に記載の方法であって、
    前記異常な手の動きは、手をねじる動き、手を絞る動き、拍手する動き、手を洗う動き、手を叩く動き、手を擦る動き、及び/または繰り返し手を口に入れる動きである、方法。
  24. 請求項2に記載の方法であって、
    前記眼球運動異常は、長時間の凝視、過度の瞬き、内斜視、及び/または一度に片眼を閉じることである、方法。
  25. 請求項2に記載の方法であって、
    前記組成物は、前記症状を、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも80%、または100%改善する、方法。
  26. 請求項1に記載の方法であって、
    前記組成物は、前記対象の血清BDNF濃度を上昇させるかもしくは維持するのに、または、前記対象の脳内BDNF濃度を上昇させるのに有効である、方法。
  27. 請求項1に記載の方法であって、
    前記対象は、メチルCpG結合タンパク質2(MeCP2)遺伝子、サイクリン依存性キナーゼ様5(CDKL5)遺伝子、または、フォークヘッドボックスタンパク質G1(FOXG1)遺伝子のうちの少なくとも1つにおいて突然変異を有する、方法。
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