JP7295436B2 - 内面突起付き鋼管杭の製造方法、鋼管杭の施工方法、及び内面突起付き鋼管杭 - Google Patents
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Description
特許文献2には、鋼管の内面に一対の当て板を間隔を置いて配置し、これらの当て板および溶接トーチを鋼管の内面に対し相対移動させつつ、溶接トーチの軸方向を鉛直方向に対して、溶接トーチの上側を鋼管の移動方向と反対側に傾くように、傾斜させることで、鋼管への十分な溶け込み量を確保した突起を溶接ビードにて施す方法について記載されている。
すなわち、突起付きの熱延コイルを工場で造管して内面突起付き鋼管とする方法は、工場での製造上の制約が厳しい。
また、上述した特許文献1、2に示すような鋼管内面に溶接ビードで突起を施す方法では、基礎杭の打設後には溶接姿勢が厳しくなることから、基礎杭の打設前に溶接により鋼管内面に突起を形成することを基本としている。そのため、基礎杭打設時において、杭が高止まりした際などには、内面突起の位置が深度方向にずれてしまう。
さらに、特許文献1、2の場合には、高強度鋼などの炭素当量の大きな鋼管に対しては、溶接性が悪いため、溶接によって突起を形成することが困難になる。
そして、鋼管内面に突起部材を設けるため、鋼管内にコンクリートを充填した際には鋼管とコンクリートの合成断面として機能し、鉛直方向に対する強度を高めることができる。
さらに、本発明では、杭頭部や杭先端根固め部など鋼管内面の任意の位置に突起形成が可能なため、深度方向の任意の位置において鋼管とコンクリートなどの固化部材の合成構造とし、耐力を増加できる。
図1に示すように、本実施形態による内面突起付き鋼管杭(以下、単に鋼管杭1という)は、地盤中に打設されて施工され、鋼管にコンクリート3等の固化部材を充填した合成構造の基礎杭を対象とし、合成断面としての耐力を発揮するために鋼管2とコンクリート3との付着力を高めるために内面2aに突起部材4を取り付けた構成となっている。鋼管杭1は、鋼管2を後述するインクリメンタルフォーミング装置7を使用してインクリメンタルフォーミングにより管径方向の内側から外側に押し広げ、鋼管2の内面2aに突起部材4が取り付けられる方法により製造されたものである。
本実施形態の鋼管2としては、例えば、SKK400やSKK490等のスパイラル鋼管、STK400やSTK490等の電縫鋼管、あるいはUO鋼管等その他の製造法による鋼管、より高強度な鋼管を採用することができる。
突起部材4の幅寸法d(鋼管2の凹溝部21aに嵌合された突起部材4の管軸方向の長さ寸法)は、突起高さhの2倍以上とすることが好ましい(公益社団法人 日本道路協会 道路橋示方書・同解説IV下部構造編 平成29年11月参照)。
先ず、図2(a)~(c)に示すように、鋼管杭1の鋼管2を地盤Gに打設する。なお、鋼管2の打設方法としては、例えば中堀工法、プレボーリング工法、打撃工法、及び回転圧入工法等を適用することが可能であるが、ここでは一般的な中堀工法による打設手順について説明する。
図2(a)に示すように、鋼管2内に挿入されたスパイラルオーガー51で地盤Gを掘削する。図2(b)に示すように、スパイラルオーガー51による掘削を進めながら掘削孔Gaに鋼管2を挿入し、図2(c)に示すように鋼管2の地盤G中への埋設が完了となる。
具体的には、先ず図3(a)に示すように、打設した鋼管2の内側の管軸O方向の所定の高さ位置にインクリメンタルフォーミング装置7を挿入する。そして、図3(b)に示すように、インクリメンタルフォーミング装置7の回転成形部71を管径方向の外側に向けて張り出し、鋼管2に対して内側から外側に向かってインクリメンタルフォーミングを行うことで、図3(c)に示すように、鋼管2に管径方向の外側に凸となる凸条21を形成する。その後、インクリメンタルフォーミング装置7のみを鋼管2から引き上げる。
ここで、リング状の突起部材4は、鋼管2の内径よりも大径に形成され、切欠部4bにおいて突起部材4の弾性変形の範囲で周方向に縮径可能となっている。
本実施形態による鋼管杭の製造方法では、図5(a)~(c)に示すように、インクリメンタルフォーミング装置7を使用し鋼管2に凹部加工を施し、突起部材4の弾性変形を利用して突起部材4を鋼管2の内側に取り付ける製造方法となるので、突起付きの熱延コイルを工場で造管して内面突起付き鋼管を製造する場合のように、工場での製造上の制約を受けることなく、かつ溶接にもよらずに、現場において基礎杭(鋼管2)を打設した後に鋼管内面2aの任意の位置に突起を形成することができる。そのため、施工現場において打設した杭が高止まりした際でも、鋼管内面2aの突起部材4を希望の深度の位置に設けることができる。
さらに、本実施形態では、杭頭部や杭先端根固め部など鋼管内面2aの任意の位置に突起形成が可能なため、深度方向の任意の位置において鋼管2とコンクリート3などの固化部材の合成構造とし、耐力を増加できる。
次に、第2実施形態による鋼管杭の製造方法について、図6(a)、(b)を用いて説明する。
第2実施形態では、上述した第1実施形態のように後述するプレス加工装置6を用いることなくクレーン52によって吊り下ろしてリング状の突起部材4を鋼管2の凹溝部21aに嵌合させて取り付ける設置方法(図4(a)~(c)参照)に代えて、本第2実施形態では凹溝部21aの形成後にプレス加工装置6を用いて突起部材4を凹溝部21aに嵌合する製造方法である。鋼管2に形成される凹溝部21aは、第1実施形態と同様の構成であり、上述した図3(a)~(c)に示すようにインクリメンタルフォーミング装置7を使用して鋼管2に凹部加工を施すことにより施工される。
図6(a)~(c)は、凹溝部21aにプレス加工装置6を使用して突起部材4を配置する施工手順を示している。図6(a)に示すように、鋼管2内にプレス加工装置6を挿入し、図6(b)に示すように凹溝部21aに突起部材4を配置できる高さに位置させた後、シリンダ64で押圧板65を突出させることにより突起部材4を内側から外側へ押し広げる。これにより、突起部材4を凹溝部21aに嵌合させて固定することができる。その後、図6(c)に示すように鋼管2内のプレス加工装置6を鋼管2の外に出し、鋼管2内にコンクリート(図示省略)を充填して鋼管杭1の施工が完了となる。
次に、第1変形例による鋼管杭1A(内面突起付き鋼管杭)について、図7及び図8に基づいて説明する。
第1変形例による鋼管杭1Aは、突起部材の形状を代えたものであり、上述した第2実施形態におけるプレス加工装置6を使用して突起部材を設置する方法によって製造される。すなわち、第1変形例の鋼管杭1Aは、凸条21の凹溝部21aに対して周方向の部分的に突起部材4Aを設けた構成となっている。第1変形例による突起部材4Aは、周方向に沿って延在する凹溝部21aにおいて周方向に間隔をあけて複数設けられている。これら突起部材4Aは、上述した実施形態のように先行して形成された凹溝部21aに複数の突起部材4Aを配置してもよい。
なお、これら突起部材4Aの数量、形状、配置間隔等の構成は、適宜設定することができる。
また、第1変形例の突起部材4Aを設けることで、コンクリート3から突起部材4Aに作用する下向きの力が作用しても、凹溝部21aからの抜け出しを防ぐ方向に突起部材4Aの傾斜面4cが設けられているので、突起部材4Aが抜け出すことを抑制することができる。
この場合には、コンクリート3に上向きの力(矢印E3)が作用した際も、突起部材4Aに凹溝部21aに押し付ける方向に力(矢印E4)が生じる作用をもたせることで、突起部材4Aが凹溝部21aから抜け出すことを防止することができる。
図9(a)、(b)に示す第2変形例による鋼管杭1B(内面突起付き鋼管杭)は、複数段(ここでは3段)の凸条21A、21B、21C又は単数の凸条21に対して1つの突起部材4Bを取り付ける構成のものである。
図9(a)に示す突起部材4Bの外周面4aには、複数の凹溝部21aのそれぞれに嵌合する複数の外凸状部43が形成されている。さらに、突起部材4Bの内周面4eには、複数(ここでは3つ)の内凸状部44が設けられているので、鋼管2内に充填されるコンクリート3との付着強度を高めることができる。
さらに、インクリメンタルフォーミング装置7についても、上述した実施形態の構成に限定されることはない。例えば、回転成形部71の形状、数量なども任意に設定することができる。
2 鋼管(基礎杭)
2a 内面
3 コンクリート(固化部材)
4、4A、4B、4C 突起部材
4b 切欠部
6 プレス加工装置
7 インクリメンタルフォーミング装置
21 凸条
21a 凹溝部(凹部)
41 キー部材
71 回転成形部
O 管軸
Claims (12)
- 鋼管をインクリメンタルフォーミングにより管径方向の内側から外側に押し広げることで、前記鋼管の内面に凹部を形成する工程と、
前記凹部に突起部材を取り付ける工程と、
を有することを特徴とする内面突起付き鋼管杭の製造方法。 - 前記鋼管をインクリメンタルフォーミングにより内側から外側に押し広げた後に、当該鋼管の内面に前記突起部材を配置することで取り付けることを特徴とする請求項1に記載の内面突起付き鋼管杭の製造方法。
- 前記突起部材は、リング状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内面突起付き鋼管杭の製造方法。
- 前記鋼管をインクリメンタルフォーミングにより内側から外側に押し広げた後に、当該鋼管の内面に前記突起部材をプレス加工により取り付けることを特徴とする請求項1に記載の内面突起付き鋼管杭の製造方法。
- 前記突起部材は、前記鋼管よりも高強度で形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の内面突起付き鋼管杭の製造方法。
- 前記突起部材は、形状記憶合金から形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の内面突起付き鋼管杭の製造方法。
- 前記突起部材は、前記突起部材の落下方向に交差する方向の傾斜面を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の内面突起付き鋼管杭の製造方法。
- 前記突起部材の重心は、前記管径方向で前記鋼管における押し広げ前の鋼管板厚の中心位置よりも外側の位置、又は同一位置にあることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の内面突起付き鋼管杭の製造方法。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の内面突起付き鋼管杭の製造方法で使用される前記鋼管を地盤に設けて施工することを特徴とする鋼管杭の施工方法。
- 前記鋼管を地盤内に打設する工程と、
地盤中に打設された前記鋼管の内面に形成された前記凹部に前記突起部材を取り付ける工程と、
前記突起部材を取り付けた鋼管の内側にコンクリートを打設する工程と、
を有することを特徴とする請求項9に記載の鋼管杭の施工方法。 - 既設の鋼管杭の鋼管の内面にインクリメンタルフォーミングにより前記凹部を形成する工程と、
前記凹部に前記突起部材を取り付ける工程と、
前記突起部材を取り付けた前記既設の鋼管杭の内側にコンクリートを打設する工程と、
を有することを特徴とする請求項9に記載の鋼管杭の施工方法。 - 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の内面突起付き鋼管杭の製造方法により製造されたことを特徴とする内面突起付き鋼管杭。
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