JP7294669B2 - 炭酸カルシウムスケール除去剤 - Google Patents

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Description

本発明は、人工透析装置の透析液ラインで発生する炭酸カルシウムスケールを除去する炭酸カルシウムスケール除去剤に関する。
従来、人工透析装置の透析液ラインで発生する炭酸カルシウムスケールを除去する炭酸カルシウムスケール除去剤として、酢酸、過酢酸、酢酸代替品(クエン酸、リンゴ酸、スルファミン酸など有機酸配合品)が使用されている。これら酸剤は、炭酸カルシウムスケールの溶解除去に優れているものの、使用後の酸性排液は中和処理されなければならず、pH中和処理装置の導入が必要となっている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5-38495号公報
しかしながら、上記のようなpH中和処理装置は、大型であるため、設置に多大な時間と費用を要するという問題がある。特に、貸ビルに診療所を開院している医療施設では、設置にあたって、外壁工事を伴う増改築等に各種許可が必要となることや、設置する屋外スペースの確保が難しいことから、容易にpH中和処理装置を設置することができず、もって、中和処理していない未中和の酸性排液を、下水へ排液するような医療施設も存在しているという問題がある。しかして、このように、中和処理していない未中和の酸性排液を下水へ排液することにより、公共のコンクリート製下水母管が腐食損傷され、道路の陥没が発生するという事例が発生し、社会問題となっている。
そこで、上記のような問題を解決すべく、酸を除いて炭酸カルシウムスケールを溶解除去する術として、キレート剤を使用することが考えられる。
しかしながら、一般的に、キレート剤による炭酸カルシウムスケールの除去は、酸を用いた除去に比べ効果が弱く、実用に耐え得るものではないという問題があった。
そこで本発明は、上記問題に鑑み、pH中和処理装置を設置せずとも、pH排水基準を満たし、酸剤と同程度の効果がある炭酸カルシウムスケール除去剤を提供することを目的としている。
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。
すなわち、請求項1に係る炭酸カルシウムスケール除去剤は、人工透析装置の透析液ラインで発生する炭酸カルシウムスケールを少なくとも除去する炭酸カルシウムスケール除去剤であって、
使用希釈液のpHが5.0~7.0からなる液性で、主成分がキレート剤からなり、
前記キレート剤は、EDTAのアンモニウム塩、NTAのアンモニウム塩、DTPAのアンモニウム塩の少なくとも何れかからなるものであって、前記炭酸カルシウムスケール除去剤に対する当該キレート剤の純分濃度が前記使用希釈液において0.2重量%~0.8重量%であることを特徴としている。
また、請求項2の発明は、上記請求項1に記載の炭酸カルシウムスケール除去剤において、前記キレート剤は、NTAのアンモニウム塩、又は、EDTAのアンモニウム塩とNTAのアンモニウム塩とからなるものであって、前記炭酸カルシウムスケール除去剤に対する当該キレート剤の純分濃度が前記使用希釈液において0.2重量%~0.8重量%であることを特徴としている。
請求項1の発明に係る炭酸カルシウムスケール除去剤は、優れた炭酸カルシウム溶解性を発揮すると共に、アンモニアガスの発生の懸念がなく、原液の高濃度化が可能なため、酸剤の効果と同様の効果を奏することができる。これにより、このような炭酸カルシウムスケール除去剤を、人工透析装置の透析液ラインで発生する炭酸カルシウムスケールを除去する際に使用するようにすれば、pH中和処理装置を設置せずとも、pH排水基準を満たすことができ、さらに、酸剤と同程度の効果を奏することができる。
請求項2の発明によれば、炭酸カルシウムスケールの除去に加え、錆汚れも除去することができる。
本発明に係る炭酸カルシウムスケール除去剤は、人工透析装置の透析液ラインで発生する炭酸カルシウムスケールを除去する際に少なくとも使用され、pHが5.0~7.0からなる希釈液(実使用液)で、主成分がキレート剤からなるものである。しかして、このような炭酸カルシウムスケール除去剤を用いることで、酸性排液を中和するpH中和処理装置を用いずとも、pH排水基準を満たす排液を下水へ排液することができることとなる。
すなわち、現在の法令で、下水への排水基準が、pH5.0~9.0であることから、本発明に係る炭酸カルシウムスケール除去剤は、その基準を満たすために、pH5.0~7.0からなる希釈液となっている。また、この炭酸カルシウムスケール除去剤の希釈使用倍率は、100倍~200倍を濃度範囲としている。これにより、既存の人工透析装置の洗浄液希釈倍率に変更を加えることなく使用することができる。すなわち、人工透析装置の透析液ラインで発生する炭酸カルシウムスケールを除去する炭酸カルシウムスケール除去剤としての酸剤は、一般的に、100倍~200倍の濃度に希釈して使用されている。そのため、本発明に係る炭酸カルシウムスケール除去剤を100倍~200倍の濃度に希釈して使用するようにすれば、既存の人工透析装置の洗浄液希釈倍率に変更を加えることなく使用することが可能となる。
一方、キレート剤としては、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)、NTA(ニトリロ3酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)、HEDTA(ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸)、及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。しかしながら、キレート剤の種類によっては、原液の高濃度化が難しく、希釈倍率をさらに低くし濃く使用しなければ十分な効果が得られにくい。そのため、キレート剤としては、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)のアンモニウム塩の少なくとも何れかからなるものであって、炭酸カルシウムスケール除去剤に対する当該キレート剤の純分濃度が使用希釈液において0.2重量%~0.8重量%であることが望ましい。これにより、優れた炭酸カルシウム溶解性を発揮すると共に、アンモニアガスの発生の懸念がなく、原液の高濃度化が可能なため、酸剤の効果と同様の効果を奏することができるためである。
しかして、このような炭酸カルシウムスケール除去剤を、人工透析装置の透析液ラインで発生する炭酸カルシウムスケールを除去する際に使用するようにすれば、pH中和処理装置を設置せずとも、pH排水基準を満たすことができ、さらに、酸剤と同程度の効果を奏することができる。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
<炭酸カルシウムの溶解量と溶解速度について>
まず、人工透析装置の透析液ラインで発生する炭酸カルシウムスケールを除去する際に使用される炭酸カルシウムスケール除去剤の検討に当たり、各キレート剤による炭酸カルシウムの溶解量と溶解速度について評価を行った。各種キレート剤は、キレート剤骨格種毎に塩の種類およびpHによって評価を行った。さらに、現状、人工透析装置の透析液ラインで発生する炭酸カルシウムスケールを除去する際に使用されている酸剤についても評価を行い、比較検討を行った。
<試験試料>
試験試料として使用した各種キレート剤は、表1~表3に示す通りである。なお、各種キレート剤の調整液としては、各骨格種となる有機酸及びその塩種の混合により、純分濃度とpHを調整した。なお、NH価数は、主骨格となる有機酸1モルに対して混合した塩のモル数の割合を示す。
Figure 0007294669000001
Figure 0007294669000002
Figure 0007294669000003
また、試験試料として使用した酸剤は、表4に示す通りである。なお、炭酸カルシウムは、富士フィルム和光純薬社製の特級試薬を用いた。
Figure 0007294669000004
<試験方法-炭酸カルシウム溶解量>
表1~表3に示す各キレート剤を0.2重量%、0.4重量%、0.8重量%となるように希釈調製し、調製液1Lについてマグネチックスターラーで攪拌しながら炭酸カルシウムを繰り返し添加することで飽和溶解量と溶解速度を評した。また、炭酸カルシウムの添加は0.1gずつ行い、添加した試薬が溶解したことを確認してから順次添加を繰り返した。そして、溶け切らなくなる直前の添加量を飽和溶解量とした。なお、表4に示す各酸剤については、0.2重量%、又は、0.3重量%となるように希釈調整し、上記と同様の試験を行った。
<試験方法-炭酸カルシウム溶解速度>
各キレート剤、並びに、各酸剤について、それぞれ飽和溶解量の50%を溶解した状態から添加した炭酸カルシウム0.1gを溶解するときに要する攪拌時間により評価を行った。なお、評価基準としては、A:3分未満、B:3分~5分、C:5分~10分、D:10分以上として評価を行った。
<試験結果>
上記の試験方法にて行った試験結果を表5~表8に示す。
Figure 0007294669000005
Figure 0007294669000006
Figure 0007294669000007
Figure 0007294669000008
表5~7に示す試験結果によれば、同じキレート剤骨格種の場合、試験液のキレート剤純分濃度が増すほど炭酸カルシウムの溶解量は大きくなるものの、溶解速度はあまり変わらないという結果となった。また、同じキレート剤骨格種の場合で同じキレート剤純分濃度においては、調製pHが低いほど炭酸カルシウムの溶解量は大きく溶解速度も速くなる傾向を認めた。一方、同じpHであれば、炭酸カルシウムの溶解量は、キレート剤純分濃度0.2重量%においては、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩が最も優れ、次いで、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)のアンモニウム塩、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩であり、キレート剤純分濃度0.4重量%及び0.8重量%においてはEDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩が最も優れ、次いで、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)のアンモニウム塩であった。また一方、同じキレート剤純分濃度で同じpHであれば、炭酸カルシウムの溶解速度は、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩が最も速く、次いで、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)のアンモニウム塩、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩であった。
以上の結果から、炭酸カルシウムの溶解量と溶解速度に優れるためには、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩の使用が最も好適であり、これに次いで、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩とDTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)のアンモニウム塩が適するということが分かった。
<キレート剤飽和溶解濃度について>
次に、上記結果を踏まえ、キレート剤飽和溶解濃度についての評価を行った。さらに、現状、人工透析装置の透析液ラインで発生する炭酸カルシウムスケールを除去する際に使用されている酸剤についても評価を行い、比較検討を行った。
<試験試料>
試験試料として使用した各種キレート剤は、表1~表3、表9に示す通りである。なお、各種キレート剤の調整液としては、各骨格種となる有機酸及びその塩種の混合により、純分濃度とpHを調整した。また、試験試料として使用した酸剤は、表4に示す通りである。
Figure 0007294669000009
<試験方法-飽和溶解濃度>
表1~表3に示す各キレート剤の飽和溶解濃度は、各キレート剤骨格種となる有機酸を水に攪拌分散させた状態にし、アンモニ水を添加混合することにより、混合物の溶解状態から評価するようにした。混合割合については、合計純分濃度0.4重量%時のpHが、それぞれ、5.0、5.5,6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0となる時の割合を保持し、各条件について1kgずつ調整した。
一方、表9に示す各キレート剤は、水に溶解し、飽和溶解濃度を確認した。各キレート剤の飽和溶解濃度は、各キレート剤骨格種となる有機酸及びその塩種の混合物を対象として試験を行った。混合割合については、合計純分濃度0.4重量%時のpHが、それぞれ、5.0、7.0、9.0となる時の割合を保持した。また、表4に示す各酸剤は、水に溶解し、飽和溶解濃度を確認した。
<試験結果>
上記の試験方法にて行った試験結果を表10に示す。
Figure 0007294669000010
表10に示す試験結果によれば、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)のアンモニウム塩の飽和溶解濃度は、キレート剤純分濃度が0.4重量%時のpHとして5.0~9.0の範囲において、全ての条件で50重量%以上を示した。中でも、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩のpH6.0~9.0、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)のアンモニウム塩の全ての試験pH域におおいて飽和溶解濃度は60重量%以上を示した。
以上の結果から、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)のアンモニウム塩の飽和溶解濃度は、酸剤の飽和溶解濃度にも劣ることなく、さらに、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のナトリウム塩、NTA(ニトリロ3酢酸)のナトリウム塩、MGDA(メチルグリシン2酢酸)のナトリウム塩に比べ、原液の高濃度化の点で優れていることが分かった。
<アンモニア臭について>
ところで、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)のアンモニウム塩は、アンモニウム塩を含有していることから、アルカリ域ではアンモニアが遊離し、アンモニアガスが発生する懸念がある。アンモニアガスは特有の刺激臭であり、人体に対しても有害である。この点、人工透析装置の透析液ライン用洗浄剤は、機械室内に設置される原液タンクにて貯留される使用方法が一般的であることから、アンモニアガスの発生は避けるべき点である。
<試験方法-アンモニア臭の程度>
そこで、表1~表3に示す各キレート剤の飽和溶解濃度を試験した際の各条件について、アンモニア臭の有無及びその程度を評価した。なお、臭気評価の基準としては、〇:臭気なし、□:僅かなアンモニア臭あり、△:多少のアンモニア臭あり、×:強いアンモニア臭ありとして評価を行った。
<試験結果>
上記の試験方法にて行った試験結果を表11に示す。
Figure 0007294669000011
表11に示す試験結果によれば、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)のアンモニウム塩の飽和溶解液は、いずれのキレート剤骨格種においても、キレート剤純分濃度が0.4重量%時のpHとして5.0、5.5、6.0、6.5、7.0ではアンモニア臭を認めなかった。しかしながら、pH7.5で僅かにアンモニア臭を認め、以降pHの上昇に伴いアンモニア臭を強く認めた。
以上の結果から、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)のアンモニウム塩のアンモニアガスの発生がなく使用できるpH域としては、pH5.0~7.0が好適であるということが分かった。
<総括>
人工透析装置の透析液ラインで発生する炭酸カルシウムスケールを除去するには、低濃度で使用することができ、且つ炭酸カルシウムの溶解量および溶解速度に優れる必要がある。加えて下水道のコンクリート配管への影響を考慮し、中和処理を要さず排水pHが中性域(5.0を超え9.0未満)であることが昨今求められている。
この点を踏まえると、低濃度で使用でき且つ炭酸カルシウムの溶解量および速度に優れ、アンモニアガスの発生の懸念がなく使用できるキレート剤としては、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)のアンモニウム塩のpH5.0~7.0が考えられる。中でも、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩のpH5.0~7.0が好適であると考えられる。
以上のことより、pHが5.0~7.0からなる希釈液(実使用液)で、主成分がキレート剤からなり、このキレート剤として、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)のアンモニウム塩の何れかからなるものであって、炭酸カルシウムスケール除去剤に対する当該キレート剤の純分濃度が使用希釈液において0.2重量%~0.8重量%であれば、優れた炭酸カルシウム溶解性を発揮すると共に、アンモニアガスの発生の懸念がなく、原液の高濃度化が可能なため、酸剤の効果と同様の効果を奏することが分かった。
ところで、人工透析装置の透析液ラインでは、炭酸カルシウムスケールに加え、錆汚れが発生する可能性がある。そのため、この錆汚れも除去すべき汚れの1つである。この点、現在上市されている炭酸カルシウム除去用途の酸剤には除錆効果が備わっているタイプがいくつかあり、求められる性能の一つである。そのため、さらに、以下のような除錆効果の試験を行った。
<試験試料>
試験試料として使用した各種キレート剤は、表1~表3に示す通りである。また、錆テストピースとしては、ステンレスSUS304試験片(20mm×50mm×1mm)を#240の紙ヤスリで研磨し、アルカリ洗浄剤にて脱脂洗浄したものを、次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬し、40℃にて7日間静置保管することで作製した。
<試験方法-除錆効果>
各種キレート剤濃度が、0.2重量%、0.4重量%、0.8重量%となるように希釈調製し、調製液100mLに対して錆テストピースを1枚浸漬させ、3時間浸漬後に取り出し、水洗乾燥後に残存する錆の割合を、目視により評価した。なお、除錆効果の基準としては、未洗浄状態を10とし、残存する錆の割合を目視により評価した。(未洗浄)10~0(錆の付着を認めず)。評価数値は残存する錆の初期値に対する割合を示している。
<試験結果>
上記の試験方法にて行った試験結果を表12~表14に示す。
Figure 0007294669000012
Figure 0007294669000013
Figure 0007294669000014
表12~14に示す試験結果によれば、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)のアンモニウム塩については、今回試験を行った濃度域とpH域において、いくらかの除錆効果が認められたものの、その効果は小さいという結果であった。
一方で、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩においては、強い除錆効果が認められた。このNTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩において、同じpHの場合、キレート剤純分濃度が増すほど除錆効果が大きくなる傾向を認め、同じ純分濃度の場合、pHが低いほど除錆効果が大きくなる傾向を認めた。しかして、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩における除錆効果に対するキレート剤純分濃度の影響とpHの影響では、pHによる影響の方が除錆効果への関与が大きい傾向であった。
以上の結果から、積極的な除錆効果を取り入れる場合、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩を用い、pH5.0~7.0など酸性よりのpH域にて使用することが好適であるということが分かった。
<総括>
以上のことより、炭酸カルシウムスケールの除去に加え、錆汚れも除去するのであれば、pHが5.0~7.0からなる希釈液(実使用液)で、主成分がキレート剤からなり、このキレート剤として、NTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩からなるものであって、炭酸カルシウムスケール除去剤に対する当該キレート剤の純分濃度が使用希釈液において0.2重量%~0.8重量%であるものを使用するか、又は、pHが5.0~7.0からなる希釈液(実使用液)で、主成分がキレート剤からなり、このキレート剤として、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)のアンモニウム塩とNTA(ニトリロ3酢酸)のアンモニウム塩とからなるものであって、炭酸カルシウムスケール除去剤に対する当該キレート剤の純分濃度が使用希釈液において0.2重量%~0.8重量%であるものを使用するのが好適であると考えられる。

Claims (2)

  1. 人工透析装置の透析液ラインで発生する炭酸カルシウムスケールを少なくとも除去する炭酸カルシウムスケール除去剤であって、
    使用希釈液のpHが5.0~7.0からなる液性で、主成分がキレート剤からなり、
    前記キレート剤は、EDTAのアンモニウム塩、NTAのアンモニウム塩、DTPAのアンモニウム塩の少なくとも何れかからなるものであって、前記炭酸カルシウムスケール除去剤に対する当該キレート剤の純分濃度が前記使用希釈液において0.2重量%~0.8重量%である炭酸カルシウムスケール除去剤。
  2. 前記キレート剤は、NTAのアンモニウム塩、又は、EDTAのアンモニウム塩とNTAのアンモニウム塩とからなるものであって、前記炭酸カルシウムスケール除去剤に対する当該キレート剤の純分濃度が前記使用希釈液において0.2重量%~0.8重量%である請求項1に記載の炭酸カルシウムスケール除去剤。
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