JP7294281B2 - 接続端子、及び電子装置 - Google Patents

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Description

本発明は、接続端子、及び、その接続端子を備える電子装置に関する。
従来、基板やバスバー等に固定される導電性の接続端子が知られている。例えば特許文献1、2には、基板のスルーホールに挿入されたとき、弾性変形に伴う復元力によって基板に固定されるプレスフィット端子が開示されている。
特開2015-135771号公報 特開2016-115538号公報
特許文献1、2のプレスフィット端子は形状が複雑であり、製造工数がかかる。また、組付後の抜け難さや固定力確保と、組付作業性向上や組付時の応力低減とを両立するための設計パラメータが多く、設計の最適化が困難である。さらに、基板の厚さや接続対象物から基板までの距離が異なるバリエーションに対し、設計を大幅に変更する必要がある。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、形状が単純であり、設計の最適化やバリエーション対応が容易な接続端子、及び、その接続端子を備える電子装置を提供することを目的とする。
本発明の接続端子は、ばね性を有する導電材で板状に形成されており、「基板(30)の第1面(31)側と、前記第1面の裏側の面である第2面(32)側とを貫通し、周囲に導電層(40)が形成されたスルーホール(35)」に挿入される。
この接続端子は、一つ以上の第1突起部(2)と、一つ以上の第2突起部(2)とを備える。第1突起部は、端子本体(15)の一方の面(17)から突出する。第2突起部は、基板を挟んで第1突起部と対をなすように設けられ、端子本体における第1突起部と同じ側の面から突出する。
一対の第1突起部及び第2突起部が端子本体の同じ側の面に設けられた二つの接続端子(102A、102B)が、第1突起部及び第2突起部が突出する側と反対側の面である背面(18)同士を対向させた状態でスルーホールに挿入されるように構成されている。
第1突起部及び第2突起部のうち少なくとも一方は、スルーホールに挿入されるとき端子本体に近づくように弾性変形可能であり、且つ、スルーホールを通過後、スルーホールの外側にまで広がるように弾性変形可能である。基板に組付けられた状態で、弾性力により、第1突起部が第1面の導電層に当接し、第2突起部が第2面の導電層に当接する。
ここで、上記特定事項の記載については、接続端子がどの段階でどの程度弾性変形可能であるかという、その物の性質を特定しているに過ぎず、実際に接続端子が弾性変形して組付けられるという電子装置の製造方法を記載したものではない。
本発明の接続端子は、形状が単純であり、板の切り曲げ加工により第1突起部及び第2突起部を形成するのみで製造することができる。また、組付後の抜け難さや固定力確保と、組付作業性向上や組付時の応力低減とを両立するための設計パラメータが少なく、設計の最適化が容易である。さらに、基板の厚さや接続対象物から基板までの距離が異なるバリエーションに対しても簡単な設計変更のみで容易に対応することができる。
また本発明は、上記の接続端子と、「少なくとも一部の電子素子(61)が実装され、接続端子が挿入するスルーホールを有し、接続端子の第1突起部及び第2突起部がスルーホールの周囲に形成された導電層と電気的に接続している基板」と、を備える電子装置として提供される。この電子装置も、上記の接続端子と同様の効果を奏する。
第1実施形態による接続端子を備える電子装置の全体構成図。 第1実施形態による接続端子の単体での(a)側面図、(b)正面図。 第1実施形態による接続端子の基板挿入前の(a)上面図、(b)側面図。 同上の接続端子の基板挿入途中の(a)上面図、(b)側面図。 同上の接続端子の組付後状態の(a)上面図、(b)側面図。 第2実施形態による接続端子の組付後状態の(a)上面図、(b)側面図。 第3実施形態による接続端子の組付後状態の(a)上面図、(b)側面図。 第4実施形態による接続端子の組付後状態の(a)上面図、(b)側面図。 その他の実施形態による接続端子の組付後状態の(a)側面図、(b)正面図。 その他の実施形態による接続端子の組付後状態の(a)側面図、(b)正面図。
以下、本発明の複数の実施形態による接続端子を図面に基づいて説明する。複数の実施形態において実質的に同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。この接続端子は、例えば車両のブレーキ液圧制御装置に適用される電子装置において、基板と、直流モータ、ソレノイドバルブ、コネクタ等とを電気的に接続する部品として用いられる。
[電子装置の構成]
図1に、本実施形態の接続端子を用いた電子装置70が適用されるブレーキ液圧制御装置90の全体構成を示す。図中の接続端子については、代表として第1実施形態の接続端子の形状を図示し、符号「101」を記す。第2~第4実施形態の接続端子も同様に電子装置70に適用される。
ブレーキ液圧制御装置90は、ABS(アンチロックブレーキ制御)やESC(電動安定化制御)に関連してブレーキ液圧を制御する装置であって、直流モータ91、液圧ブロック92、ハウジング930、カバー94及び電子装置70等が一体に構成されている。直流モータ91は、液圧ブロック92の内部に組み込まれた液圧ポンプを駆動する。電子装置70は、液圧ブロック92に対し直流モータ91とは反対側に設けられている。
ハウジング930及びカバー94は樹脂で形成されており、電子装置70の外郭を構成する。カバー94の外周縁に形成されたフランジ部は、ハウジング930の開口周囲の端面に樹脂溶着等により接合されている。ハウジング930の内部には、高さ方向に液圧ブロック92側とカバー94側とを隔てる隔壁934が形成されている。
隔壁934の液圧ブロック92側にはソレノイドバルブ67が収容されている。ソレノイドバルブ67は、内部に収容されたソレノイドコイルへの通電により動作し、液圧ポンプの流路の開閉や弁部の開度調節を行う。隔壁934のカバー94側には電子装置70の基板30が収容されている。また、ハウジング930の外面における液圧ブロック92と干渉しない位置に、外部からの電源線や信号線が接続されるコネクタ938が形成されている。
電子装置70は、複数の接続端子101と、接続端子101が挿入するスルーホール35を有する基板30とを備える。基板30は、ガラスエポキシやセラミック等の絶縁性材料で形成され、一方の面である第1面31に、少なくとも一部の電子素子61が実装されている。具体的には、例えば電界効果トランジスタ(FET)等のスイッチング素子61が実装されている。スルーホール35は、基板30の第1面31側と、第1面31の裏側の面である第2面32側とを貫通している。スルーホール35の周囲には、配線パターンの一部を構成する導電層40が形成されている。
複数の接続端子101は、図1における下端が直流モータ91、ソレノイドバルブ67のコイル、コネクタ938等に接続されている。接続端子101が基板30に挿入される部分には、後述する第1突起部21及び第2突起部22が設けられており、これらの突起部21、22を介して基板30のスルーホール35の周囲に形成された導電層40と電気的に接続している。
図1では、直流モータ91に接続された接続端子101に対応するスルーホール35及び導電層40のみを図示する。ソレノイドバルブ67のコイルやコネクタ938に接続された接続端子101に対応するスルーホール35及び導電層40についても同様の構成であり、図示を省略する。
コネクタ938に入力される信号によりスイッチング素子61がオンすると、外部の電源から接続端子101を通って直流モータ91やソレノイドバルブ67のコイルに駆動電流が通電される。信号によりスイッチング素子61がオフすると、通電が遮断される。
ブレーキ液圧制御装置90の電子装置70では、各種電子素子やECUが実装された基板30と、直流モータ91、ソレノイドバルブ67、コネクタ938等とが端子を介して接続される。従来、特許文献1、2(特開2015-135771号公報、特開2016-115538号公報)に開示されるようなプレスフィット端子等が用いられていた。
しかし、プレスフィット端子は、形状が複雑であり、製造工数がかかる。また、組付後の抜け難さや固定力確保と、組付作業性向上や組付時の応力低減とを両立するための設計パラメータが多く、設計の最適化が困難である。さらに、基板の厚さや接続対象物から基板までの距離が異なるバリエーションに対し、設計を大幅に変更する必要がある。
設計の最適化ができないと、特許文献1の従来技術では、弾性力を利用して端子をスルーホールに押付けるようにして固定しているため抜け易いという問題点がある。また、特許文献2に示されるような、スルーホールに挿入する際に板バネ部を押しつぶすタイプの端子形状では、スルーホールに挿入する際に圧入屑が発生したり、白化等のダメージが生じたりするおそれがある。
そこで本実施形態では、形状が単純であり、設計の最適化やバリエーション対応が容易な接続端子を提供することを目的とする。続いて各実施形態の接続端子の詳細な構成について説明する。第1、第2、第4実施形態の接続端子の符号は、「10」に続く3桁目に実施形態の番号を付す。一つの電子装置70の複数の箇所において、以下の複数パターンの実施形態が混合して用いられてもよい。第3実施形態が特許請求の範囲に記載の発明を実施するための形態に相当する。
[接続端子の構成]
(第1実施形態)
図2~図5を参照し、第1実施形態の接続端子101の構成について説明する。図2には接続端子101の単体構成を示し、図3~図5には、接続端子101が基板に組付けられる過程を示す。図5は、図1のV部拡大図に相当する。接続端子101は、ばね性を有する銅系又はSUS系等の導電材で板状に形成されている。以下、平板の長手方向を紙面上下方向に表したとき、図2(b)に示す幅広の面を正面とし、図2(b)の左右方向を「幅方向」、上下方向を「高さ方向」という。また、図2(a)に示す面を側面とし、図2(a)の左右方向を「厚み方向」という。
図2(b)に示すように、端子本体15には幅方向の中心部に、高さ方向に延びる切り欠き161、162が形成されている。上の切り欠き161は上辺のみ、下の切り欠き162は下辺のみが端子本体15とつながり、他の三辺はスリットとなって端子本体15と切り離されている。三辺のスリットに囲まれた舌状部分は、端子本体15から曲げ起こされ、第1突起部21及び第2突起部22となる。
図2(a)に示すように、第1突起部21は、端子本体15の一方の面17から突出する。第2突起部22は、端子本体15の他方の面18、すなわち第1突起部21とは反対側の面18から突出する。以下、便宜上、第1突起部21が突出する面を正面17とし、その反対側の面を背面18とする。したがって第1実施形態では、第2突起部22は背面18から突出する。
また、図5に参照されるように、高さ方向において、第1突起部21と第2突起部22とは、基板30を挟んで対をなすように設けられている。単体の自由状態での第1突起部21と第2突起部22との高さ方向の間隔dは、基板の厚さT(図3~図5参照)よりも小さくなるように設定されている。
図3~図5には、接続端子101の第1突起部21側を基板30のスルーホール35に挿入する過程の(a)上面図、及び(b)側面図を示す。このように組付方向が決まっている場合、以下に説明する弾性変形の要件は、少なくともスルーホール35に挿入される側の一方の突起部(この例では第1突起部21)のみに該当すればよい。
上述した通り、スルーホール35は、基板30の第1面31側と第2面32側とを貫通し、孔の周囲に導電層40が形成されている。典型的に導電層40は銅層であり、スルーホール35の内側面36に回り込むように形成される。
図3に示すように、自由状態で第1突起部21の先端は、上面視においてスルーホール35の半径よりも外側に位置している。仮に接続端子が剛体であれば、スルーホール35に挿入不能である。しかし、図4に示すように、第1突起部21は、スルーホール35に挿入されるとき内壁面36によって押し戻され、端子本体15に近づくように弾性変形可能である。よって、第1突起部21はスルーホール35を通過可能となる。なお、図中のブロック矢印Fは、弾性変形時に生じる力を示す。
また図5に示すように、第1突起部21は、スルーホール35を通過後、スルーホール35の外側にまで広がるように弾性変形可能である。そして接続端子101は、基板30に組付けられた状態で、弾性力Fにより、第1突起部21が第1面31の導電層40に当接し、第2突起部22が第2面32の導電層40に当接する。こうして上下の突起部21、22が抜け止めとなって基板30を挟み込むことで、接続端子101が基板30に固定される。また、接続端子101と基板30の導電層40とが電気的に接続する。
(効果)
第1実施形態の接続端子101は、形状が単純であり、板の切り曲げ加工により第1突起部21及び第2突起部22を形成するのみで製造することができる。また、組付後の抜け難さや固定力確保と、組付作業性向上や組付時の応力低減とを両立するための設計パラメータが少なく、設計の最適化が容易である。さらに、基板30の厚さや接続対象物から基板30までの距離が異なるバリエーションに対しても簡単な設計変更のみで容易に対応することができる。
特に突起部21、22の形状や寸法等の設計を最適化することで、組付時に圧入屑の発生や白化等のスルーホール35へのダメージを最小限に抑えつつ容易に挿入でき、且つ、抜け難く確実な固定が実現される。よって、製品の品質向上や生産性の向上に貢献することができる。
(第2実施形態)
次に、第1実施形態に対し突起部21、22の配置等が異なる第2~第4実施形態について、第1実施形態の図5に対応する組付後状態の図を参照して説明する。図6に示す第2実施形態の接続端子102は、一対の第1突起部21及び第2突起部22が端子本体15の同じ側の面17に設けられている。この構成でも第1実施形態と同様の効果が得られる他、プレス加工において、パンチを同じ側から動作させればよいため、製造がより簡易となる。また、背面18に突起が無いため、部品の保管上も箱に収納しやすくなる。
(第3実施形態)
図7に示す第3実施形態は、第2実施形態による「突起部21、22が端子本体15の同じ側の面17に設けられた二つの接続端子102A、102B」が組み合わされて構成される。詳しくは、二つの接続端子102A、102Bは、第1突起部21及び第2突起部22が突出する側と反対側の面である背面18同士を対向させた状態でスルーホール35に挿入されるように構成されている。
これにより第3実施形態では、接続端子102A、102Bと導電層40との合計接触面積を増加させることができる。また、第2実施形態の接続端子102を共用し、各接続箇所における通電量等の違いに応じて、接続端子一個仕様と続端子二個仕様とを使い分けることができる。
(第4実施形態)
図8に示す第4実施形態の接続端子104は、二対の第1突起部21、23及び第2突起部22、24が幅方向の互いに異なる位置に設けられている。図8の例では、第1突起部21と第2突起部22、第1突起部23と第2突起部24とがそれぞれ対をなし、それぞれ端子本体15の反対側の面における幅方向の同じ位置に設けられている。また、隣り合う第1突起部21、23、及び、隣り合う第2突起部22、24は、それぞれ端子本体15の反対側の面に設けられている。
これにより第4実施形態では、接続端子104と導電層40との接触面積を増加させることができる。なお、第4実施形態の変形例として、二対の第1突起部21、23及び第2突起部22、24の設けられる面は、どのように組み合わせてもよい。また、三対以上の第1突起部21及び第2突起部22が幅方向の互いに異なる位置に設けられるようにしてもよい。
(その他の実施形態)
(a)第1突起部21及び第2突起部22の大きさや形状は同等でなくてもよい。図9に示す接続端子105は、第2突起部22Wの幅が第1突起部21の幅よりも広く形成されている。図10に示す接続端子106は、第2突起部22Lの長さが第1突起部21の長さよりも長く形成されている。これにより、例えば突起部21、22の弾性力や剛性を調整することができる。なお、図9、図10のみに記載される接続端子及び第2突起部の符号については、特許請求の範囲における参照符号の記載を省略する。
(b)また、突起部21、22の正面視形状は長方形状に限らず、高さにより幅が徐変する台形状や、先端部を円弧状にした形状としてもよい。要するに基板30の導電層40と当接し、電気的に接続可能な形状であればよい。
(c)上記実施形態では接続端子の材料として平角板が用いられているが、例えば円柱の一部又は全部を板状に加工した材料から接続端子が形成されてもよい。
(d)本発明の接続端子は、ブレーキ液圧制御装置に限らず、車両の電動パワーステアリングシステムにおける操舵アシストモータの制御装置など、接続端子を介して基板と各種部品とを接続するあらゆる電子装置に適用可能である。
本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
101、102、104・・・接続端子、
15・・・端子本体、 17・・・正面(一方の面)、
21、23・・・第1突起部、
22、24・・・第2突起部、
30・・・基板、 31・・・第1面、 32・・・第2面、
35・・・スルーホール、
40・・・導電層、
70・・・電子装置。

Claims (2)

  1. ばね性を有する導電材で板状に形成されており、基板(30)の第1面(31)側と、前記第1面の裏側の面である第2面(32)側とを貫通し、孔の周囲に導電層(40)が形成されたスルーホール(35)に挿入される接続端子であって、
    端子本体(15)の一方の面(17)から突出する一つ以上の第1突起部(2)と、
    前記基板を挟んで前記第1突起部と対をなすように設けられ、前記端子本体における前記第1突起部と同じ側の面から突出する一つ以上の第2突起部(2)と、
    を備え、
    一対の前記第1突起部及び前記第2突起部が前記端子本体の同じ側の面に設けられた二つの接続端子(102A、102B)が、前記第1突起部及び前記第2突起部が突出する側と反対側の面である背面(18)同士を対向させた状態で前記スルーホールに挿入されるように構成されており、
    前記第1突起部及び前記第2突起部のうち少なくとも一方は、前記スルーホールに挿入されるとき前記端子本体に近づくように弾性変形可能であり、且つ、前記スルーホールを通過後、前記スルーホールの外側にまで広がるように弾性変形可能であり、
    前記基板に組付けられた状態で、弾性力により、前記第1突起部が前記第1面の前記導電層に当接し、前記第2突起部が前記第2面の前記導電層に当接する接続端子。
  2. 請求項に記載の一つ以上の接続端子と、
    少なくとも一部の電子素子(61)が実装され、前記接続端子が挿入する前記スルーホールを有し、前記接続端子の前記第1突起部及び前記第2突起部が前記スルーホールの周囲に形成された前記導電層と電気的に接続している基板と、
    を備える電子装置。
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