以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
<画像形成装置の全体構成>
まず、実施の形態の画像形成装置1の全体構成について説明する。図1は、実施の形態の画像形成装置1の全体構成を示す図である。画像形成装置1は、ここでは、電子写真法を用いてカラー画像を形成するプリンタである。画像形成装置1は、印刷用紙等の媒体Pを供給する媒体供給部80と、媒体Pにトナー像(現像剤像)を形成する画像形成部10と、媒体Pにトナー像を定着する定着装置75と、媒体Pを排出する媒体排出部90とを備える。
媒体供給部80は、媒体Pを収容する給紙トレイ81と、給紙トレイ81に収容された媒体Pに当接するように配置されたピックアップローラ82と、ピックアップローラ82に隣接して配置されたフィードローラ83と、フィードローラ83に対向するように配置されたリタードローラ84とを有する。
給紙トレイ81は、印刷用紙等の媒体Pを積載状態で収容する。ピックアップローラ82は、給紙トレイ81上の媒体Pに当接して回転し、給紙トレイ81から媒体Pを繰り出す。フィードローラ83は、ピックアップローラ82によって繰り出された媒体Pを搬送路R1に送り出す。リタードローラ84は、媒体Pの重送を防止するため、フィードローラ83による送り出し方向とは逆方向に回転して媒体Pに搬送抵抗を付与する。
媒体供給部80は、また、搬送路R1に沿って、2対のローラ対である搬送ローラ85,86を有する。搬送ローラ85は、駆動ローラ85aとピンチローラ85bとで構成され、媒体Pの先端が両ローラ85a,85bのニップ部に当接してから所定のタイミングで回転を開始し、媒体Pのスキューを矯正して搬送する。搬送ローラ86は、駆動ローラ86aとピンチローラ86bとで構成され、媒体Pを画像形成部10に搬送する。
画像形成部10は、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローのトナー像を形成する画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット60K,60C,60M,60Yと、トナー像を媒体Pに転写する転写ユニット70とを有する。プロセスユニット60K,60C,60M,60Yの各感光体ドラム61(後述)に対向するように、露光装置としての露光ヘッド63K,63C,63M,63Yが配置されている。
プロセスユニット60K,60C,60M,60Yは、媒体Pの搬送方向に(ここでは図中右から左に)、この順に配列されている。プロセスユニット60K,60C,60M,60Yは、トナーを除き共通の構成を有するため、特に区別する必要がない場合には、「プロセスユニット60」と称する。また、露光ヘッド63K,63C,63M,63Yは、特に区別する必要がない場合には、「露光ヘッド63」と称する。
プロセスユニット60は、像担持体としての感光体ドラム61と、帯電部材としての帯電ローラ62と、現像剤担持体としての現像ローラ64と、供給部材としての供給ローラ65とを有する。
感光体ドラム61は、導電性の基体の表面に感光層(電荷発生層および電荷輸送層)を設けた円筒状の部材であり、図中時計回りに回転する。帯電ローラ62は、感光体ドラム61の表面を一様に帯電させる。一様に帯電した感光体ドラム61の表面には、露光ヘッド63の光照射によって静電潜像が形成される。
現像ローラ64は、感光体ドラム61の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させ、トナー像(現像剤像)を形成する。供給ローラ65は、現像ローラ64にトナーを供給する。
画像形成部10の上方には、現像剤収容部としてのトナーカートリッジ23K,23C,23M,23Yが設けられている。トナーカートリッジ23K,23C,23M,23Yは、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローのトナーをそれぞれ収容し、後述するトップカバーユニット20に装着されている。トナーカートリッジ23K,23C,23M,23Yは、特に区別する必要がない場合には、「トナーカートリッジ23」と称する。
露光ヘッド63は、例えば、LED(発光ダイオード)等の発光素子を配列した発光素子アレイと、発光素子の出射光を感光体ドラム61の表面に集光させるレンズアレイとを有する。露光ヘッド63は、感光体ドラム61の表面を露光して静電潜像を形成する。露光ヘッド63は、トップカバーユニット20に懸架支持されている。
転写ユニット70は、無端状の転写ベルト72と、転写ベルト72が張架された駆動ローラ73およびテンションローラ74と、転写ベルト72を介してプロセスユニット60K,60C,60M,60Yの各感光体ドラム61に対向配置された転写部材としての転写ローラ71とを有する。
転写ベルト72は、その表面に媒体Pを静電気力により吸着保持して走行する。駆動ローラ73は、図中反時計回りに回転して転写ベルト72を走行させる。テンションローラ74は、転写ベルト72に張力を付与する。転写ローラ71は、転写電圧を印加され、各感光体ドラム61上のトナー像を媒体Pに転写する。
転写ユニット70は、画像形成装置1の筐体11(後述)に着脱可能なユニットである。転写ユニット70の搬送ローラ86側の端部には、ユーザが着脱時に把持するハンドル701(図2)が設けられている。
定着装置75は、媒体Pの搬送方向において画像形成部10の下流側に配置されている。定着装置75は、例えば、ヒータを内蔵する定着ローラ76と、この定着ローラ76に押圧される加圧ローラ77とを有する。定着ローラ76および加圧ローラ77は、媒体Pに転写されたトナー像に熱と圧力を加え、媒体Pに定着する。
媒体排出部90は、媒体Pの搬送方向において定着装置75の下流側に配置され、2対のローラ対である排出ローラ91,92を有する。排出ローラ91,92は、定着装置75から送り出された媒体Pを排出搬送路R2に沿って搬送し、画像形成装置1の外部に排出する。画像形成装置1の上部カバーには、排出ローラ91,92によって排出された媒体を積載するスタッカ部24bが設けられている。
画像形成装置1には、両面印刷のため、表面にトナー像が定着した媒体Pを反転させて上述した搬送路R1まで搬送する再搬送部93が備えられている。また、定着装置75の下流側には、定着装置75から送り出された媒体Pを、媒体排出部90(排出搬送路R2)または再搬送部93に案内する切り替えガイド89が設けられている。
再搬送部93は、媒体Pを退避路R3に一旦送り込んで前後を入れ替える搬送ローラ94,95および切り替えガイド96と、媒体Pを戻り搬送路R4に沿って搬送する搬送ローラ97,98,99を有する。戻り搬送路R4は、搬送路R1における搬送ローラ86の上流側に合流する。戻り搬送路R4の出口近傍には、駆動ローラ85aに、ピンチローラ85bと反対側から当接するピンチローラ85cが設けられている。
搬送ローラ97,98,99によって戻り搬送路R4を搬送された媒体Pは、搬送ローラ85(駆動ローラ85aおよびピンチローラ85c)によって搬送路R1に送り込まれ、搬送ローラ86によって画像形成部10に再び搬送される。なお、画像形成装置1が両面印刷機能を有さない場合は、再搬送部93は不要である。
図1において、画像形成装置1は、XY面(ここでは水平面)に置かれているものとする。画像形成装置1の感光体ドラム61および各ローラの軸方向は、X方向とする。X方向は、画像形成装置1の幅方向であり、媒体Pの幅方向でもある。XY面においてX方向に直交する方向を、Y方向(ここでは前後方向)とする。また、XY面に直交する方向を、Z方向(ここでは鉛直方向)とする。これらX,Y,Z方向は、画像形成装置1の向きを限定するものではない。
なお、プロセスユニット60K,60C,60M,60Yの配列方向は、図1ではXY面に対して傾斜しているが、必ずしも傾斜している必要はない。
図2は、画像形成装置1のフロントカバー12を開放した状態を示す斜視図である。画像形成装置1は、装置本体としての筐体11を有する。筐体11は、X方向の両側に一対の側壁112を有し、後方(+Y方向)に後方壁113を有し、上方(+Z方向)と前方(-Y方向)が開放されている。
筐体11の上方(+Z方向)には、開閉可能なトップカバーユニット20(カバー部材)が取り付けられ、筐体11の前方(-Y方向)には、開閉可能なフロントカバー12が取り付けられている。
フロントカバー12は、筐体11に対し、X方向の回動軸C1を中心として回動可能に取り付けられている。回動軸C1は、筐体11の前端(-Y方向の端部)で且つ下端(-Z方向の端部)に設けられている。
フロントカバー12のX方向の両端近傍には、フロントカバー12を筐体11に対してロックするためのロック部材121が設けられている。各ロック部材121は、筐体11の前方壁111に形成された開口部114に係合し、これによりフロントカバー12が筐体11にロックされる。
フロントカバー12の前面には、ユーザがロック部材121を操作する操作レバーが設けられている。操作レバーの操作により、ロック部材121が開口部114から外れると、フロントカバー12の筐体11に対するロックが解除され、フロントカバー12の開放が可能になる。
また、フロントカバー12のX方向の両端近傍には、フロントステイ123がそれぞれ配置されている。各フロントステイ123は、一端がフロントカバー12に連結され、他端が筐体11に連結されている。フロントステイ123は、フロントカバー12が開放された状態で、筐体11に対してフロントカバー12を所定の傾斜角度(例えば60度)で支持する。
また、フロントカバー12の上端部(回動軸C1と反対側の端部)には、フロントカバー12が開放された状態で回動フレーム30から引き出されたバスケット40(図18)を支持する受け部125が設けられている。
図3は、画像形成装置1のフロントカバー12を開放し、トップカバーユニット20およびバスケットユニット3(後述)を連結して開放した状態を示す斜視図である。図4は、画像形成装置1のフロントカバー12を開放し、トップカバーユニット20をバスケットユニット3との連結を解除した状態で開放した状態を示す斜視図である。
画像形成装置1の構成要素のうち、トナーカートリッジ23K,23C,23M,23Yおよび露光ヘッド63K,63C,63M,63Y(図1)は、トップカバーユニット20に保持されている。トップカバーユニット20には、トナーカートリッジ23K,23C,23M,23Yが、X方向に並んで取り付けられている。
筐体11内には、プロセスユニット60K,60C,60M,60Yを搭載した開閉ユニットとしてのバスケットユニット3が設けられている。バスケットユニット3は、プロセスユニット60K,60C,60M,60Yを保持する着脱ユニットとしてのバスケット40と、このバスケット40を保持する回動フレーム30とを有する。
トップカバーユニット20およびバスケットユニット3は、共通のX方向の回動軸C2を中心として回動(開閉)可能である。回動軸C2は、筐体11の上端部(+Z方向の端部)で、且つ後端部(+Y方向の端部)に設けられている。
図3に示したように、トップカバーユニット20とバスケットユニット3とは、互いに連結した状態で開閉することができる。この状態では、転写ユニット70の上方が開放されるため、ジャムを生じた媒体Pを取り除き、あるいは転写ユニット70を交換することができる。
また、図4に示したように、トップカバーユニット20は、バスケットユニット3との連結を解除して開閉することもできる。この状態では、バスケットユニット3に保持されたプロセスユニット60K,60C,60M,60Yを交換することができ、また、トップカバーユニット20に懸架された露光ヘッド63K,63C,63M,63Yを清掃することもできる。これについては、後述する。
<トップカバーユニット>
次に、トップカバーユニット20の構成について説明する。トップカバーユニット20は、筐体11に、回動軸C2を中心として、閉位置(図2)と開位置(図3,4)との間で回動可能に設けられている。
トップカバーユニット20は、図3に示すように、カバー部24とフレーム部25とを有する。フレーム部25は、トナーカートリッジ23K,23C,23M,23Yをそれぞれ保持するカートリッジ保持部25K,25C,25M,25Y(図2)を有する枠体である。カバー部24は、フレーム部25の上側(+Z側)を覆う。
カバー部24は、図2に示すように、媒体排出部90(図1)から排出された媒体Pを通過させるための開口部24aと、排出された媒体Pが載置されるスタッカ部24bとを有する。また、カバー部24の前端部には、ディスプレイおよび操作キーを備えた操作パネル24cが配設されている。
カートリッジ保持部25K,25C,25M,25YはX方向に配列され、トナーカートリッジ23K,23C,23M,23Y(図3)をY方向にスライド可能に保持している。トナーカートリッジ23K,23C,23M,23Yは、トップカバーユニット20の前面から引き出すことができる。
トナーカートリッジ23K,23C,23M,23Yのトップカバーユニット20からの取り外しおよびトップカバーユニット20への取り付けは、フロントカバー12のみを開放し、トップカバーユニット20を閉鎖した状態で行うことができる。
また、図3に示すように、トップカバーユニット20の前面には、トップカバーユニット20を開放するときに操作される第1の操作レバー21と、トップカバーユニット20とバスケットユニット3との連結を解除するときに操作される第2の操作レバー22とが設けられている。
第1の操作レバー21は、筐体11に形成された開口部115に係合するロック部215と連動する。ロック部215が開口部115に係合することにより、トップカバーユニット20が筐体11に対してロックされる。ユーザが第1の操作レバー21を前方(-Y方向)に引くと、ロック部215が開口部115から抜け出し、当該ロックが解除される。
第2の操作レバー22は、トナーカートリッジ23K,23C,23M,23Yとプロセスユニット60K,60C,60M,60Yとをつなぐトナー搬送路を遮断する各シャッタと連動する。第2の操作レバー22が後方に押し込まれた位置(連結位置)にあるときには、トナー搬送路が連通し、且つトップカバーユニット20とバスケットユニット3とが連結される。ユーザが第2の操作レバー22を前方に引くと、シャッタがトナー搬送路を遮断し、さらにトップカバーユニット20とバスケットユニット3との連結が解除される。
各操作レバー21,22は、トナーカートリッジ23K,23C,23M,23Yの着脱の妨げとならないよう、カートリッジ保持部25K,25M,25C,25Yよりも下方(-Z方向)に配置されている。なお、各操作レバー21,22の具体的な構成についての詳細説明は、省略する。
<バスケットユニット>
次に、バスケットユニット3について説明する。図5は、バスケットユニット3を示す斜視図である。バスケットユニット3は、上記の通り、プロセスユニット60K,60C,60M,60Yを保持するバスケット(着脱ユニット)40と、バスケット40を保持する回動フレーム30とを有する。
図6は、バスケットユニット3のバスケット40を回動フレーム30から引き出した状態を示す斜視図である。バスケット40の回動フレーム30からの引き出し方向は、-Y方向に対して僅かに傾斜しているが、以下では、-Y方向(前方)として説明する。同様に、バスケット40の回動フレーム30への押し込み方向は、+Y方向に対して僅かに傾斜しているが、以下では、+Y方向(後方)として説明する。
回動フレーム30は、X方向に対向する一対のサイドプレート31と、各サイドプレート31に取り付けられた回動アーム32と、一対のサイドプレート31を互いに連結する支持部33とを有する。
各サイドプレート31は、YZ面に平行な板面を有する板状部材である。回動アーム32は、サイドプレート31から後方(+Y方向)に延在している。回動アーム32は、トップカバーユニット20の回動軸C2を規定する支軸に係合する穴部32aを有する。これにより、回動アーム32は、トップカバーユニット20と同じ回動軸C2を中心として回動可能となる。
支持部33には、プロセスユニット60K,60C,60M,60Yが収容される4つの開口部33aが形成されている。4つの開口部33aは、Y方向に配列されている。
一対のサイドプレート31のX方向の外側の面には、レールガイド34およびスライドレール35が設けられている。レールガイド34はサイドプレート31の上端に設けられ、スライドレール35はサイドプレート31の下端に設けられている。
スライドレール35は、例えば板金で構成され、互いに平行な上側レール部35aおよび下側レール部35bと、これらの間に形成された支持板35cとを有する。支持板35cは、YZ面に平行な板面を有し、サイドプレート31に固定されている。上側レール部35aおよび下側レール部35bは、バスケット40をY方向に案内する。
レールガイド34は、例えば板金で構成され、互いに平行な上側ガイド34aおよび下側ガイド34bを有し、下側ガイド34bは上側ガイド34aよりも長さが短い。レールガイド34には、後述するステイ機構50の回転体54(図7(A),(B))が係合する。
バスケット40は、X方向に対向する一対のサイドプレート(作用部)41と、各サイドプレート41の下側に取り付けられた枠部42と、一対のサイドプレート41を互いに連結する支持部43とを有する。
一対のサイドプレート41は、いずれもYZ面に平行な板面を有する板状部材であり、回動フレーム30のサイドプレート31よりもX方向外側に位置する。
サイドプレート41に取り付けられた枠部42には、プロセスユニット60K,60C,60M,60YのそれぞれのX方向端部が保持される4つの開口部42aが形成されている。
支持部43には、プロセスユニット60K,60C,60M,60Yが収容される4つの開口部43aが形成されている。バスケット40の支持部43の開口部43aと、回動フレーム30の支持部33の開口部33aとは、互いに重なり合う位置に形成されている。支持部43の前端には、ユーザがバスケット40を引き出す際に把持するグリップ(把持部)43bが形成されている。
バスケット40の各サイドプレート41には、回動フレーム30のスライドレール35に係合する回転体401,402,403,404が取り付けられている。回転体401,402,404は、バスケット40の後端近傍に配置されている。回転体403は、回転体401,402,404から前方に離間した位置に配置されている。
回転体401,402は、スライドレール35の上側レール部35aおよび下側レール部35bにそれぞれ内側から当接する。回転体403は、スライドレール35の下側レール部35bの上面(+Z側の面)に当接し、回転体404は、スライドレール35の下側レール部35bの下面(-Z側の面)に当接する。
バスケット40の各サイドプレート41の前端部(-Y方向の端部)には、ポスト405が形成されている。ポスト405は、スライドレール35の上側レール部35aの上端面に当接する。
<ステイ機構>
次に、ステイ機構50について説明する。ステイ機構50は、筐体11に対してトップカバーユニット20を支持する機能を有する。ステイ機構50は、また、トップカバーユニット20の回動と連動して、バスケットユニット3をトップカバーユニット20の回動角度(例えば約30度)よりも小さい回動角度(例えば約6度)で回動させる機能を有する。ステイ機構50は、図3に示したように、筐体11のX方向両端にそれぞれ設けられている。
図7(A),(B)は、ステイ機構50の構成を示す斜視図である。図8(A)および図9は、ステイ機構50の作用を示す斜視図である。図7(A)に示すように、ステイ機構50は、ステイフレーム51と、スライドフレーム52と、ステイ53と、回転体54と、ギヤ55と、ダンパ56と、バネ57と、連結板58とを有する。
ステイフレーム51は、Y方向に延在し、筐体11の側壁112(図3)の上端に取り付けられている。ステイフレーム51は、X方向に相対する一対の側壁部と底部とを有し、底部にはラック51aが設けられている。ステイフレーム51の側壁部には、Y方向に長い長孔51bが形成されている。
ステイフレーム51の内側には、スライドフレーム52がY方向に移動可能に配置されている。スライドフレーム52は、ラック51aに係合するギヤ55を内側に収容する略箱状の部材である。スライドフレーム52のX方向の外側の面には、X方向の回転軸56aを有するダンパ56が取り付けられている。ギヤ55は、ダンパ56の回転軸56aを中心として回動可能である。
ステイ53は、長手方向の一端に、スライドフレーム52に連結された軸部53aを有し、長手方向の他端に、トップカバーユニット20に固定された連結板58に連結された軸部53bを有する。軸部53a,53bは、いずれも、X方向を軸方向とする。軸部53aは、ステイフレーム51の長孔51bを貫通しており、長孔51bに沿って移動可能である。
トップカバーユニット20が閉位置(図2)に向かって回動すると、ステイ53はトップカバーユニット20により-Z方向に押し下げられる。これに伴い、ステイ53は、スライドフレーム52との連結部分が軸部53aを中心として回動し、連結板58との連結部分が軸部53bを中心として回動する。また、ステイ53の軸部53aは、ステイフレーム51の長孔51bに沿って前方(-Y方向)に移動する。
これに伴い、スライドフレーム52は、ステイ53に押されて前方に移動する。ステイ53は、軸部53aを支点として倒れるように傾斜する。ステイ53の軸部53aが長孔51bの前端に達すると、図7(A)に示したように、ステイ53はステイフレーム51の内側に収容される。この状態で、ステイ53に連結板58で連結されたトップカバーユニット20は、閉位置(図2)に達する。
トップカバーユニット20が開位置(図4)に向かって回動すると、ステイ53はトップカバーユニット20により+Z方向に持ち上げられる。これに伴い、ステイ53は、スライドフレーム52との連結部分が軸部53aを中心として回動し、連結板58との連結部分が軸部53bを中心として回動する。また、ステイ53の軸部53aは、ステイフレーム51の長孔51bに沿って後方(+Y方向)に移動する。
これに伴い、スライドフレーム52は、ステイ53に引かれて後方に移動する。ステイ53は、軸部53aを支点として起き上がるように傾斜する。ステイ53の軸部53aが長孔51bの後端に達すると、図7(B)に示したように、ステイ53がステイフレーム51の内側から離脱する。この状態で、ステイ53に連結板58で連結されたトップカバーユニット20は、開位置(図4)に達する。
トップカバーユニット20が閉位置にあるときには、ステイ53の軸部53aが長孔51bの前端に位置し、トップカバーユニット20が開位置にあるときには、ステイ53の軸部53aが長孔51bの後端に位置する。すなわち、ステイ機構50は、トップカバーユニット20の回動範囲を規定する。
トップカバーユニット20の閉位置から開位置までの回動角度(第1の角度)は、例えば31度である。このときのトップカバーユニット20の前端の上昇量は、例えば200mmである。これは、転写ユニット70を着脱できる高さに相当する。
また、ステイ機構50は、トップカバーユニット20の回動に応じてバスケットユニット3を回動させるための回転体54を有する。回転体54は、ステイ53に、X方向の回転軸54aを中心として回転可能に取り付けられている。回転体54は、図8(A)に示すように、回動フレーム30のレールガイド34に係合可能である。
図8(B)は、レールガイド34と回転体54との関係を示す模式図である。レールガイド34は、上側ガイド34aが下側ガイド34bよりも長く、下側ガイド34bよりも前方(-Y方向)に突出している。両ガイド34a,34bの長さの差L1は、回転体54の直径以上である。
トップカバーユニット20がバスケットユニット3との連結が解除された状態で開放される場合、トップカバーユニット20が回動に伴い、上記の通りステイ53が起き上がる。これに伴い、ステイ53に設けられた回転体54が上方に移動し、レールガイド34の上側ガイド34aと下側ガイド34bとの間に係合する。
回転体54とレールガイド34との係合により、レールガイド34が上方に付勢される。これにより、回動フレーム30と、これに保持されるバスケット40(すなわちバスケットユニット3)が、回動軸C2を中心として上方に回動する。バスケットユニット3の回動角度は、回転体54およびレールガイド34の位置によって決まる。
トップカバーユニット20の回動角度を第1の角度と称し、回動フレーム30およびバスケット40(バスケットユニット3)の回動角度を第2の角度と称する。第1の角度は、例えば31度であり、第2の角度は、例えば6度である。
一方、トップカバーユニット20と回動フレーム30とが互いに連結された状態で開放される場合には、図9に示すように、トップカバーユニット20の回動と共にステイ53が起き上がって回転体54も上方に移動するが、回動フレーム30がトップカバーユニット20と共に回動するためレールガイド34は回転体54よりもさらに上方に位置する。そのため、回転体54はレールガイド34に係合しない。
図7(A),(B)に戻り、スライドフレーム52の内側にはギヤ55が収容され、スライドフレーム52の外側にはダンパ56が取り付けられている。ダンパ56は、ステイフレーム51の外側に位置しているが、ステイフレーム51の長孔51bを介してスライドフレーム52に固定されている。
ギヤ55はダンパ56の回転軸56aを中心として回転可能である。ギヤ55は、ステイフレーム51のラック51aと噛み合っており、ステイ53の傾斜状態の変化に起因するスライドフレーム52の移動に連動してラック51aと噛み合って回転しながらY方向に移動可能である。
ダンパ56は、スライドフレーム52が前方(-Y方向)および後方(+Y方向)のいずれに移動する場合にも、ギヤ55の回転に負荷を与える。これによりスライドフレーム52の移動に負荷が与えられ、ステイ53の傾斜状態の急な変化が抑制される。すなわち、トップカバーユニット20が急に開放し、あるいは急に閉鎖されることが抑制される。
スライドフレーム52は、ステイ53の軸部53aと、ステイフレーム51の後端に設けられた止め具との間に設けられバネ57により後方(+Y方向)に付勢される。これにより、スライドフレーム52に連結されているステイ53の一端部が後方に付勢される。すなわち、バネ57は、トップカバーユニット20が開放される動作をアシストする。ここでは、各ステイ機構50は、2個のバネ57を有するが、バネ57の数は任意である。
<トップカバーユニットの回動を規制するための構成>
次に、バスケット40が引き出された状態でトップカバーユニット20の回動を規制するための構成について説明する。
図6に示すように、回動フレーム30の各サイドプレート31には、トップカバーユニット20の閉位置への回動を規制するための第2の規制部(回動規制部)としてのロック部36が設けられている。ロック部36は、ここでは、レールガイド34とスライドレール35との間に配置されている。
図10は、ロック部36を拡大して示す斜視図である。ロック部36は、ロックレバー36aと、ロックレバー36aを支持する支軸36bと、ロックレバー36aを付勢する付勢部材としてのばね36cとを有する。
ロック部36の支軸36bは、サイドプレート31の表面に固定された取付板38に形成された基部37に取り付けられている。支軸36bの軸方向は、略Z方向である。
ロックレバー36aは、その後端(+Y方向の端部)が、ステイ53の軸部53a(図12(B))の移動経路内に入り込むように揺動可能である。ばね36cは、ロックレバー36aを、軸部53aの移動経路内に向けて付勢する。
図11は、ロック部36とバスケット40のサイドプレート41との位置関係を示す斜視図である。バスケット40が回動フレーム30に対してY方向に移動すると、バスケット40のサイドプレート41が、回動フレーム30のサイドプレート31に沿ってY方向に移動する。
バスケット40が後方(+Y方向)に押し込まれてサイドプレート41が後方に移動すると、サイドプレート41の端面41aがロックレバー36aに当接する。これにより、ロックレバー36aが、ばね36cの付勢力に抗して、軸部53aの移動経路から外れるように揺動する。
図12(A)および(B)は、バスケット40が回動フレーム30から前方(-Y方向)に引き出された状態でのロック部36の作用を示す斜視図および上面図である。トップカバーユニット20は開位置にあるものとする。図12(A)および(B)に示した状態では、バスケット40が回動フレーム30から前方に引き出され、サイドプレート41(図11)がロックレバー36aから前方に離間している。この場合には、図12(B)に示すように、ロックレバー36aはステイ53の軸部53aの移動範囲内にあり、より具体的には、軸部53aに対して前方に位置する。
トップカバーユニット20を開位置から閉位置に回動させると、ステイ53が起立状態(図7(A))から倒伏状態(図7(B))に向けて変化し、軸部53aは前方に移動する。軸部53aが前方に移動すると、ロックレバー36aに当接し、それ以上は前方に移動しない。軸部53aの前方への移動が規制されるため、ステイ53の傾きはこれ以上倒伏状態にならず、トップカバーユニット20の閉位置への回動も規制される。
そのため、バスケット40を回動フレーム30から引き出すと、トップカバーユニット20の閉位置への回動が規制される。すなわち、バスケット40が回動フレーム30から引き出された状態で、トップカバーユニット20が閉鎖されることが防止される。
図13(A)および(B)は、バスケット40が回動フレーム30に後方(+Y方向)に押し込まれた状態でのロック部36の作用を示す斜視図および上面図である。トップカバーユニット20は開位置にあるものとする。バスケット40が回動フレーム30に押し込まれると、サイドプレート41がロックレバー36aを付勢し、図13(B)に示すように、ロックレバー36aを軸部53aの移動経路外に退避させる。
そのため、バスケット40を回動フレーム30に押し込むと、トップカバーユニット20の閉位置への回動規制が解除される。すなわち、バスケット40が回動フレーム30に押し込まれた状態では、トップカバーユニット20を閉鎖することができる。
なお、図13(B)には、サイドプレート41を点状のハッチングで示している。図13(B)に示した位置からサイドプレート41が少しでも前方に移動すると、サイドプレート41によるロックレバー36aの付勢が解除されるため、ロックレバー36aは軸部53bに当接可能な位置に復帰する。すなわち、バスケット40が回動フレーム30から少しでも前方に引き出されると、トップカバーユニット20の閉位置への回動が規制される。
<バスケット40の引き出しを規制するための構成>
図14は、フロントカバー12を開いた状態の筐体11の前方部分を示す斜視図である。筐体11のX方向両側の内壁116には、バスケット40に当接する第1の規制部(または移動規制部)としてのストッパ15が設けられている。
ストッパ15の前方(-Y方向)には、バスケット40を外部に案内するガイド16と回転体17が取り付けられている。ここでは、ストッパ15とガイド16とは同一部材に形成されている。ストッパ15は後方(+Y方向)を向く端面であり、ガイド16は上方(+Z方向)を向き、Y方向に延在する端面である。但し、このような構成に限定されるものではなく、ストッパ15とガイド16とが別々に設けられていてもよい。ガイド16および回転体17は、バスケット40を案内する案内部を構成する。
図15は、トップカバーユニット20が閉位置にあるときの画像形成装置1を示す側断面図である。トップカバーユニット20が閉位置(図2)にあるとき、すなわちバスケットユニット3がステイ機構50によって第2の角度だけ回動する前のバスケット40の位置を、「装着位置」と称する。
バスケット40が装着位置にあるときには、ストッパ15はバスケット40の前端に対向する。バスケット40を前方に引き出そうとすると、バスケット40の前端がストッパ15に当接するため、バスケット40を引き出すことはできない。
図16は、トップカバーユニット20の回動に伴い、バスケット40が装着位置から第2の角度だけ回動した状態を示す側断面図である。バスケットユニット3が装着位置から第2の角度だけ回動すると、バスケット40の下端部である摺動部45の延長線L1が、ストッパ15よりも上方に位置する。なお、延長線L1は、バスケット40の下端部である摺動部45を引き出し方向(スライドレール35の延在方向)に延長した直線である。
この状態で、バスケット40を回動フレーム30から前方に引き出すと、バスケット40はストッパ15に当接せず、前方に引き出すことができる。
なお、バスケットユニット3が装着位置から第2の角度(例えば6度)だけ回動した状態で、バスケット40が回動フレーム30から前方に引き出される前のバスケット40の位置を、「引き出し基準位置」と称する。また、装着位置と引き出し基準位置とを総称して、「収容位置」と称する。
ストッパ15の前方には、上述したガイド16が配置されている。ガイド16は、第2の角度だけ回動したバスケット40の摺動部45の延長線L1上に位置している。
また、ガイド16のさらに前方には、回転体17が配置されている。回転体17は、当該延長線L1に外周が接する位置に配置されている。回転体17は、例えば、内壁116に固定された軸部と、軸部に回転可能に取り付けられたコロとで構成されている。
図17は、バスケット40が引き出されているときの画像形成装置1を示す側断面図(A)、およびストッパ15の周囲を拡大して示す拡大図(B)である。なお、バスケット40に搭載されたプロセスユニット60K,60M,60C,60Yは省略されている。
図17(B)に示すように、装着位置から第2の角度だけ回動したバスケット40は、ガイド16によって前方に案内され、さらに回転体17によって前方に案内されて、筐体11の外部に突出する。
図18は、筐体11からバスケット40を引き出した状態の画像形成装置1を示す斜視図である。フロントカバー12には、筐体11から引き出されたバスケット40を保持する受け部125が設けられている。受け部125は、ガイド16および回転体17と共に、バスケット40を下方から支持する。
ガイド16、回転体17および受け部125(およびこれを支えるフロントステイ123)は、バスケット40に保持されたプロセスユニット60K,60C,60M,60Yの交換時に作用する外力(例えば15kgf)に耐えられるように構成されている。
図16に戻り、回動フレーム30のサイドプレート31には、バスケット40の前方の移動限界を規定する第1のストッパ301が設けられている。第1のストッパ301は、バスケット40が前方に引き出された状態で、バスケット40の回転体401に当接する。
また、スライドレール35には、バスケット40の後方の移動限界を規定する第2のストッパ302が設けられている。第2のストッパ302は、バスケット40が後方に押し込まれた状態で、バスケット40の回転体401に当接する。ストッパ301,302により、バスケット40のY方向の移動範囲が規定される。
<画像形成装置の動作>
次に、画像形成装置1による画像形成動作(印刷動作)について、図1を参照して説明する。画像形成装置1の制御装置は、上位装置から印刷コマンドと印刷データを受信すると、画像形成動作を開始する。
まず、ピックアップローラ82が給紙トレイ81内の媒体Pを繰り出し、フィードローラ83は繰り出された媒体Pを搬送路R1に送り出す。リタードローラ84は媒体Pに搬送抵抗を付与して重送を防止する。また、搬送ローラ85,86が回転し、搬送路R1に送り出された媒体Pを画像形成部10に搬送する。
転写ユニット70では、駆動ローラ73が回転して転写ベルト72を走行させる。転写ベルト72は、媒体Pを吸着保持して搬送する。媒体Pは、プロセスユニット60K,60C,60M,60Yをこの順に通過する。
各プロセスユニット60では、各色のトナー像の形成が行われる。すなわち、感光体ドラム61が回転し、これに伴って、帯電ローラ62、現像ローラ64および供給ローラ65も回転する。帯電ローラ62は、感光体ドラム61の表面を一様に帯電させる。また、露光ヘッド63は、各色のイメージデータに基づいて感光体ドラム61の表面を露光し、静電潜像を形成する。
感光体ドラム61の表面に形成された静電潜像は、現像ローラ64に付着したトナーによって現像され、感光体ドラム61の表面にトナー像が形成される。感光体ドラム61上のトナー像は、転写ローラ71に印加される転写電圧によって、転写ベルト72上の媒体Pに転写される。
このように、各プロセスユニット60K,60C,60M,60Yで形成された各色のトナー像が媒体Pに順次転写され、重ね合わされる。各色のトナー像が転写された媒体Pは、転写ベルト72によってさらに搬送され、定着装置75に到達する。
定着装置75では、定着ローラ76と加圧ローラ77との間で媒体Pに熱および圧力を加え、トナー像を媒体Pに定着する。
トナー像が定着した媒体Pは、排出ローラ91,92により排出搬送路R2に沿って搬送され、画像形成装置1の外部に排出される。排出された媒体Pは、スタッカ部24b上に積載される。これにより、媒体Pへの画像形成動作が完了する。
なお、両面印刷の場合には、表面にトナー像が定着した媒体Pが、切り替えガイド89、搬送ローラ94,95および切り替えガイド96によって退避路R3に一旦退避したのち、退避路R3から逆向きに送り出され、搬送ローラ97~99によって戻り搬送路R4を搬送される。戻り搬送路R4を搬送された媒体Pは、搬送路R1に到達し、搬送ローラ86によって画像形成部10に搬送される。その後、媒体Pの裏面へのトナー像の形成が行われる。
なお、いずれかのプロセスユニット60内のトナー残量が少なくなったことが残量検知センサ等によって検知された場合には、トップカバーユニット20内のトナー搬送路に設けられた搬送スパイラルが回転し、対応するトナーカートリッジ23から当該プロセスユニット60にトナーを補給する。
上述した画像形成動作では、第1の操作レバー21(図3)は、ロック部215が筐体11の開口部115に係合する位置(ロック位置)にある。また、第2の操作レバー22は、トップカバーユニット20とバスケットユニット3とを連結させる連結位置にあり、トナーカートリッジ23K,23C,23M,23Yからプロセスユニット60K,60C,60M,60Yへのトナー搬送路は連通している。
筐体11内でジャムを生じた媒体Pを取り除く場合、あるいは転写ユニット70を交換する場合には、トップカバーユニット20とバスケットユニット3とを連結した状態で開放する(図3)。一方、プロセスユニット60の交換が必要になった場合には、あるいは露光ヘッド63の清掃が必要になった場合には、トップカバーユニット20をバスケットユニット3との連結を解除して開放する(図4)。
いずれの場合も、ユーザは、まずフロントカバー12を開放する。これにより、トップカバーユニット20の前面に配置された第1の操作レバー21および第2の操作レバー22が操作可能になる。
<トップカバーユニットおよびバスケットユニットの開放動作>
トップカバーユニット20とバスケットユニット3とを連結した状態で開放する場合には、ユーザは第1の操作レバー21を操作する。
ユーザが第1の操作レバー21を前方に引くと、第1の操作レバー21のロック部215(図2)が筐体11の開口部115(図2)から抜け、トップカバーユニット20の筐体11に対するロックが解除される。
第2の操作レバー22は、トップカバーユニット20とバスケットユニット3とを連結させる位置(連結位置)にあるため、ユーザが第1の操作レバー21を把持してトップカバーユニット20を開放すると、トップカバーユニット20と共にバスケットユニット3も開放される。
これにより、図3に示すようにトップカバーユニット20とバスケットユニット3を共に開放することができ、筐体11内の媒体Pの搬送路を広く開放することができる。この状態で、筐体11内からジャムを生じた媒体Pを取り除き、あるいは転写ユニット70を交換することができる。
トップカバーユニット20とバスケットユニット3を閉鎖する場合には、ユーザはトップカバーユニット20の例えば上面を下方(-Z方向)に押すことにより、トップカバーユニット20を閉鎖する。バスケットユニット3の上方位置はトップカバーユニット20によって規制されるため、トップカバーユニット20と共にバスケットユニット3も閉鎖される。
トップカバーユニット20が閉鎖される過程で、第1の操作レバー21のロック部215が筐体11の開口部115に到達すると、図示しないトーションバネの付勢力により、ロック部215が開口部115に係合する。これにより、トップカバーユニット20が筐体11に対してロックされる。なお、第2の操作レバー22は、上記の開閉動作を通じて、連結位置から移動していない。
<トップカバーユニットの連結解除状態での開放動作>
一方、トップカバーユニット20をバスケットユニット3との連結を解除して(すなわち連結解除状態で)開放する場合には、ユーザは、まず第2の操作レバー22を操作する。
第2の操作レバー22を連結位置から前方に引き出すと、シャッタが、トナーカートリッジ23K,23C,23M,23Yからプロセスユニット60K,60C,60M,60Yへのトナー搬送路を遮断する。また、トップカバーユニット20とバスケットユニット3との連結が解除される。
この状態で、ユーザは、第1の操作レバー21を前方に引く。これにより、第1の操作レバー21のロック部215(図2)が筐体11の開口部115から抜け、トップカバーユニット20の筐体11に対するロックが解除される。
ユーザが第1の操作レバー21を把持したままトップカバーユニット20を開放すると、トップカバーユニット20は、バスケットユニット3との連結が解除された状態で開放される。これに伴い、ステイ機構50の作用により、バスケットユニット3は、トップカバーユニット20の回動角度である第1の角度(例えば31度)よりも小さい第2の角度(例えば6度)で回動する。
これにより、図4に示すように、トップカバーユニット20を大きく開放することができる。この状態で、トップカバーユニット20に懸架支持された露光ヘッド63の清掃を行うことができる。
ここで、バスケット40に保持されたプロセスユニット60K,60C,60M,60Yのいずれかを交換する場合には、ユーザは、バスケットユニット3のバスケット40を前方(-Y方向)に引き出す必要がある。
上記の通り、トップカバーユニット20の回動に伴い、バスケットユニット3が回動軸C2を中心として回動するが、バスケットユニット3の装着位置からの回動角度が第2の角度(例えば6度)に達するまでは、ストッパ15(図14)の作用により、バスケット40を回動フレーム30から引き出すことができない。
バスケットユニット3の装着位置からの回動角度が第2の角度(例えば6度)に達すると、バスケット40の摺動部45の延長線L1(図16)がストッパ15の上端に達する。これにより、バスケット40の引き出し方向への移動規制が解除される。
また、この状態では、バスケット40に保持されたプロセスユニット60K,60C,60M,60Yの最下面の高さが、転写ユニット70のハンドル701(図4)および搬送ローラ86よりも高くなる。そのため、バスケット40を、他の構成要素とぶつからないように、回動フレーム30から引き出すことができる。
バスケット40は、摺動部45をガイド16に摺動させながら引き出される。ユーザがバスケット40を引き出し基準位置から例えば46mm引き出すと、バスケット40の摺動部45が回転体17に到達する。すなわち、バスケット40は、摺動部45をガイド16および回転体17に摺動させながら引き出される。
ユーザが、バスケット40を引き出し基準位置から例えば225mm引き出すと、バスケット40の回転体401が第1のストッパ301に当接する。すなわち、バスケット40がそれ以上引き出されることはない。また、バスケット40の摺動部45は、フロントカバー12の受け部125に達する。バスケット40は、摺動部45が、ガイド16、回転体17および受け部125に当接した状態で支持される。
このようにバスケット40を回動フレーム30から引き出した状態で、バスケット40からプロセスユニット60を取り外すことができる。
バスケット40を回動フレーム30上の元の位置(図16)から引き出すと、トップカバーユニット20を閉鎖することができない。すなわち、バスケット40が引き出された状態では、ロック部36のロックレバー36aは、ステイ53の回動軸に当接可能な位置にある。
そのため、ユーザがトップカバーユニット20を開位置から閉位置に回動させようとすると、ステイ53が起立状態(図7(A))から倒伏状態(図7(B))に向けて変化しようとし、ステイ53の軸部53aが前方に移動してロックレバー36aに当接する。軸部53aの前方への移動が規制されるため、トップカバーユニット20の閉位置への回動も規制される。
ユーザは、引き出したバスケット40のプロセスユニット60を交換した後、バスケット40を回動フレーム30に沿って後方(+Y方向)に押し込む。バスケット40が回動フレーム30上の元の位置まで押し込まれると、バスケット40のサイドプレート41がロックレバー36aに当接する。これにより、ロックレバー36aは、ステイ53の軸部53aに当接しない退避位置に揺動し、トップカバーユニット20に対する回動規制が解除される。
そのため、ユーザは、トップカバーユニット20を開位置から閉位置に回動させることができる。トップカバーユニット20が開位置から閉位置に回動すると、ステイ機構50により、バスケットユニット3が第2の角度(例えば6度)だけ回動し、バスケット40は装着位置に戻る。
このように、トップカバーユニット20が開位置に達していない状態ではバスケット40の移動が規制され、バスケット40が引き出された状態ではトップカバーユニット20の回動が規制されるため、ユーザの誤操作による不具合の発生を防止することができる。
図19は、トップカバーユニット20を開位置に到達しない回動位置(10度)まで開放した状態、すなわちハーフオープン状態にあるときの画像形成装置1を示す斜視図である。
図20は、トップカバーユニット20がハーフオープン状態にあるときの画像形成装置1の側断面図(A)、およびストッパ15の周囲を示す拡大図(B)である。図21は、トップカバーユニット20がハーフオープン状態にあるときの画像形成装置1の側断面図(A)、およびトップカバーユニット20の露光ヘッド63の周囲を示す拡大図(B)である。
なお、図20(A)は、画像形成装置1を、バスケット40の側面が分かるように示した側断面図であり、図21(A)は、さらにバスケット40のサイドプレート41および枠部42を取り除いて示した側断面図である。
トップカバーユニット20には、露光ヘッド63K,63M,63C,63Yが懸架支持されている。トップカバーユニット20をバスケットユニット3との連結を解除した状態で回動した場合、露光ヘッド63K,63M,63C,63Yが、バスケット40に保持されたプロセスユニット60K,60M,60C,60Yから離間する。
但し、トップカバーユニット20がハーフオープン状態にあるときには、図21(A),(B)に示すように、露光ヘッド63K,63M,63C,63Yがプロセスユニット60K,60M,60C,60Yから十分に離間していない。
この状態で、ユーザがバスケット40を前方に引き出すと、バスケット40に保持されたプロセスユニット60K,60M,60C,60Yが露光ヘッド63K,63M,63C,63Yにそれぞれ当接し、露光ヘッド63K,63M,63C,63Yが破損する可能性がある。
特に、トップカバーユニット20の回動軸C1に近い露光ヘッド63C,63Yは、プロセスユニット60C,60Yからあまり離間していないため、バスケット40の引き出しによる破損が生じやすい。
本実施の形態では、トップカバーユニット20が開位置に達するまで、バスケット40の引き出し方向の移動がストッパ15によって規制されている。すなわち、図20(A)および(B)に示すように、ユーザがバスケット40を引き出そうとしても、バスケット40の枠部42の前端がストッパ15に当接して、バスケット40を引き出すことができない。
そのため、ユーザの誤操作による露光ヘッド63K,63M,63C,63Yの破損を効果的に抑制することができる。
<実施の形態の効果>
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1では、トップカバーユニット(カバー部材)20が、筐体11に開位置と閉位置との間で回動可能に設けられている。また、バスケット(着脱ユニット)40は、筐体11内に収容され、筐体11内の収容位置(図16)から筐体11の外部に向けて移動可能である。ストッパ15は、バスケット40の当該収容位置から筐体11の外部に向かう移動を規制し、トップカバーユニット20が開位置にあるときには当該移動規制を解除する。ロック部36は、バスケット40が当該収容位置から筐体11の外部に向けて移動した状態で、トップカバーユニット20の開位置から閉位置への回動を規制する。
そのため、トップカバーユニット20が開位置に達していない状態では、バスケット40の筐体11の外部に向かう移動が規制され、バスケット40が筐体11の外部に向かって移動した状態では、トップカバーユニット20の回動が規制される。すなわち、ユーザが、トップカバーユニット20がハーフオープン状態にあるときにバスケット40を引き出し、あるいは、バスケット40を引き出した状態でトップカバーユニット20を閉鎖するという誤操作を防止することができる。その結果、ユーザの誤操作による不具合(例えば、露光ヘッド63K,63M,63C,63Yの破損)を防止することができる。
また、トップカバーユニット20の閉位置から開位置への回動に伴ってバスケットユニット3が第2の角度だけ(すなわち所定の回動位置まで)回動し、これに伴ってストッパ15によるバスケット40の移動規制が解除される。そのため、簡単な構成で、トップカバーユニット20が開位置にあるときにバスケット40の移動規制を解除する構成を実現することができる。
また、バスケットユニット3が第2の角度まで回動していない場合(すなわち所定の回動位置に達していない場合)には、バスケット40を引き出してもストッパ15に当接するため、誤操作によるバスケット40の引き出しを確実に抑制することができる。
また、所定の回動位置に達したバスケット40を、筐体11の外部に向けて案内するガイド16および回転体17をさらに有するため、ユーザがバスケット40の引き出しを容易に行うことができる。
また、トップカバーユニット20の回動と連動して位置が変化するステイ(連動部材)53をさらに備え、ロック部36がステイ53の移動を係止することにより、トップカバーユニット20の開位置から閉位置への回動を規制する。そのため、ステイ53を利用して、簡単な構成でトップカバーユニット20の回動規制を行うことができる。
また、バスケット40が収容位置にある場合には、バスケット40のサイドプレート41(作用部)が、ロック部36をトップカバーユニット20に対する回動規制を解除する位置まで退避させる。一方、バスケット40が収容位置から移動した場合には、バスケット40のサイドプレート41がロック部36から離間し、ロック部36によるトップカバーユニット20の回動規制が行われる。そのため、バスケット40の位置に応じて、トップカバーユニット20の回動規制を適切に行うことができる。
なお、上記の実施の形態では、トップカバーユニット20およびバスケットユニット3を開閉する構成について説明した。しかしながら、このような構成に限らず、バスケット40(着脱ユニット)が筐体11内の収容位置から外部に引き出し可能な構成であればよい。
また、上記の構成では、ロック部36が、ステイ53の軸部53aに当接することによってトップカバーユニット20の回動を規制したが、トップカバーユニット20の一部またはトップカバーユニット20に連動する部材に当接することによってトップカバーユニット20の回動を規制してもよい。
また、ガイド16および回転体17は、バスケット40の下端部(摺動部)45に当接することによってバスケット40を筐体11の外部に案内したが、バスケット40の他の部分に当接してもよい。
また、上記の実施の形態では、トップカバーユニット20をバスケットユニット3との連結を解除して開閉する際には、ステイ機構50の作用により、バスケットユニット3がトップカバーユニット20の回動角度よりも小さい回動角度で回動したが、バスケットユニット3は回動しなくてもよい。この場合、バスケット40の引き出し基準位置は、装着位置と同じになり、いずれも収容位置に相当する。
また、上記の画像形成装置1では、トナーカートリッジ23とプロセスユニット60とがトナー搬送路で接続されていたが、各プロセスユニット60にトナーカートリッジ23を直接取り付けてもよい。
また、上記の画像形成装置1では、プロセスユニット60K,60C,60M,60Yの配列方向とトナーカートリッジ23K,23C,23M,23Yの配列方向とが直交していたが、配列方向が互いに平行であってもよい。
また、上記の画像形成装置1は、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローのトナー像を形成するプロセスユニット60K,60C,60M,60Yを有していたが、トナー像の色は任意であり、また、単色のトナー像を形成してもよい。
また、本発明は、電子写真方式を利用して媒体に画像を形成する画像形成装置(例えば複写機、ファクシミリ、プリンタ、複合機等)に利用することができる。