JP7293629B2 - 転写シート、薄膜層の転写方法、および、転写シートの製造方法 - Google Patents
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Description
上記構成によれば、吸液性を有する支持基材が好適に実現される。
上記構成によれば、静電気や気流に起因した変形が生じ難くなる程度の剛性を支持基材が有するため、転写シートが取り扱いやすくなる。また、支持基材において繊維が詰まりすぎないため、支持基材の吸液と形状の変化とが円滑に進む。
図1が示すように、転写シート10は、薄膜層11と、支持基材12とを備えている。
薄膜層11は、第1面11Fと、第1面11Fとは反対側の面である第2面11Rとを有する。第2面11Rは、被転写体に貼り付けられる面である。第1面11Fは、薄膜層11が被転写体に転写されたとき、外気に曝される面である。
本実施形態の転写シート10においては、薄膜層11の転写に際して、吸液した状態で支持基材12が薄膜層11から剥離される。吸液前の状態においては、薄膜層11と支持基材12とは密着している。
まず、標準状態の対象物の寸法と、吸液状態の対象物の寸法とを、ノギスを用いて計測する。図3が示すように、薄膜層11または支持基材12である対象物Obの寸法Lは、基準線Adに沿った対象物Obの端部間の長さである。基準線Adは、転写シート10の表面と対向する位置から見て、転写シート10が内接する最小の矩形Sqを仮想的に配置したとき、当該矩形Sqの重心Cを通る直線である。基準線Adは、標準状態の転写シート10の外形を基準に設定され、標準状態での測定時と吸液状態での測定時とで、重心Cである点の位置を一致させて寸法Lを測定する。
なお、薄膜層11と支持基材12との標準状態および吸液状態の寸法は、薄膜層11と支持基材12とが積層された状態で測定されてもよいし、薄膜層11と支持基材12とが分離された状態で測定されてもよい。
薄膜層11は、公知の薄膜形成方法によって形成される。例えば、薄膜層11の形成方法として、溶融させた材料を押し出して薄膜化する溶融押出法や、材料を溶かした塗液を薄膜状に成形した後に溶剤を蒸発させる溶液キャスト法が挙げられる。
転写シート10を用いた薄膜層11の転写方法、すなわち、薄膜層11の被転写体への貼付方法を説明する。
上述した転写シートについて、具体的な実施例および比較例を用いて説明する。
(実施例1)
ポリ-DL-乳酸(武蔵野化学研究所製)を固形分が10%となるように酢酸エチルに溶解させることにより、薄膜層の形成のための塗液を生成した。この塗液を、グラビアコート法を用いて離形性を有する成膜用基材上に塗布した後、塗膜を90℃で1分間加熱して乾燥し、ポリ乳酸からなる薄膜層を得た。得られた薄膜層の膜厚は350nmであった。続いて、成膜用基材上の薄膜層に支持基材を積層し、これらの積層体を成膜用基材の位置する側からゴムローラーで押圧しつつ、成膜用基材を剥離した。支持基材としては、パルプ系の繊維から構成された不織布を用いた。支持基材の目付けは、20g/m2である。これにより、薄膜層と支持基材とを備える実施例1の転写シートを得た。
支持基材として、目付けが25g/m2である、パルプ系の繊維から構成された不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様の工程によって、実施例2の転写シートを得た。
支持基材として、目付けが35g/m2である、パルプ系の繊維から構成された不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様の工程によって、実施例3の転写シートを得た。
支持基材として、目付けが27.5g/m2である、キュプラ系の繊維から構成された不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様の工程によって、実施例4の転写シートを得た。
支持基材として、目付けが20g/m2である、ポリエステル系の繊維から構成された不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様の工程によって、比較例1の転写シートを得た。
ポリ-DL-乳酸(武蔵野化学研究所製)を固形分が10%となるように酢酸エチルに溶解させることにより、薄膜層の形成のための塗液を生成した。この塗液を、グラビアコート法を用いて支持基材上に塗布した後、塗膜を90℃で1分間加熱して乾燥し、ポリ乳酸からなる薄膜層を得た。支持基材としては、ポリエステル系の樹脂フィルムを用いた。支持基材における単位面積当たりの質量は、20g/m2である。得られた薄膜層の膜厚は350nmであった。これにより、薄膜層と支持基材とを備える比較例2の転写シートを得た。
支持基材として、単位面積当たりの質量が20g/m2である、ポリオレフィン系の樹脂フィルムを用いたこと以外は、比較例2と同様の工程によって、比較例3の転写シートを得た。
(寸法変化率の算出)
各実施例および各比較例の薄膜層と支持基材について、上記実施形態に記載の方法で、標準状態に対する吸液状態の寸法変化率Rを算出し、最大寸法変化率MRを求めた。具体的には、各実施例および各比較例の薄膜層と支持基材とを、平面視にて30mm×40mmの矩形形状に切り出して試験片を作製し、当該試験片に対して10本の基準線Adを設定して標準状態と吸液状態との寸法を測定することに基づき、最大寸法変化率MRを算出した。10本の基準線Adは、試験片の外形である矩形の対角線に沿った直線と、当該矩形の向かい合う辺の中点同士を結ぶ直線とが含まれるように設定した。吸液対象の液状体としては、水を用いた。
なお、薄膜層については、支持基材に積層された状態で標準状態と吸液状態との寸法を測定し、支持基材については、薄膜層と分離した単独の支持基材を用いて標準状態と吸液状態との寸法を測定した。
各実施例および各比較例の転写シートについて、平面視にて30mm×40mmの矩形形状の試験片を5つずつ用意した。
(1)少なくとも1つの基準線Adに沿った箇所において、標準状態に対する吸液状態の寸法変化率R、すなわち、転写シート10の吸液対象の液状体への浸漬の前後における寸法変化率Rが、薄膜層11と支持基材12とで異なる。こうした構成によれば、転写シート10が吸液したときの薄膜層11と支持基材12との変形の程度が異なるため、吸液状態では、薄膜層11と支持基材12との密着力が低下する。したがって、吸液状態で支持基材12を剥離することによって、支持基材12の薄膜層11からの剥離が容易になる。
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
少なくとも1つの基準線Adに沿った箇所において、標準状態に対する吸液状態の寸法変化率Rが、薄膜層11と支持基材12とで異なっていれば、支持基材12の寸法変化率Rbは0%であってもよい。言い換えれば、転写シート10の吸液によって、薄膜層11の形状が変化する一方で、支持基材12の形状は変化しなくてもよい。
Claims (5)
- 薄膜層と、前記薄膜層を支持する支持基材とを備え、吸液性を有する転写シートであって、
前記支持基材は繊維材料から構成され、
前記転写シートの表面と対向する位置から見て、前記転写シートが内接する最小の矩形を仮想的に配置したときの当該矩形の重心を通る直線が基準線であり、少なくとも1つの前記基準線に沿った箇所において、前記転写シートの吸液対象の液状体への浸漬の前後における寸法変化率が、前記薄膜層と前記支持基材とで異なり、
各別の前記基準線に沿った複数の箇所における前記支持基材の前記寸法変化率の絶対値の最大値は、前記複数の箇所における前記薄膜層の前記寸法変化率の絶対値の最大値よりも大きく、1.6%以上である
転写シート。 - 前記支持基材の構成材料には、織物、編物、および、不織布の少なくとも1つが含まれる
請求項1に記載の転写シート。 - 前記支持基材の目付けは、3g/m2以上200g/m2以下である
請求項1または2に記載の転写シート。 - 請求項1~3のいずれか一項に記載の転写シートを用いた薄膜層の転写方法であって、
前記薄膜層における前記支持基材に接する面とは反対側の面を被転写体に接触させることと、
前記被転写体上に配置された前記転写シートに吸液させることと、
前記転写シートが吸液した状態で、前記薄膜層から前記支持基材を剥離することと、
を含む薄膜層の転写方法。 - 吸液性を有する転写シートの製造方法であって、
成膜用基材上に薄膜層を成膜することと、
前記成膜用基材上の前記薄膜層に支持基材を積層した後、前記成膜用基材を剥離することと、を含み、
前記支持基材は繊維材料から構成され、
前記転写シートの表面と対向する位置から見て、前記転写シートが内接する最小の矩形を仮想的に配置したときの当該矩形の重心を通る直線が基準線であり、少なくとも1つの前記基準線に沿った箇所において、前記転写シートの吸液対象の液状体への浸漬の前後における寸法変化率が、前記薄膜層と前記支持基材とで異なり、
各別の前記基準線に沿った複数の箇所における前記支持基材の前記寸法変化率の絶対値の最大値は、前記複数の箇所における前記薄膜層の前記寸法変化率の絶対値の最大値よりも大きく、1.6%以上である
転写シートの製造方法。
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