JP2020093990A - 転写シート、および、薄膜層の転写方法 - Google Patents

転写シート、および、薄膜層の転写方法 Download PDF

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Abstract

【課題】薄膜層の転写に際して支持基材を薄膜層から容易に剥離することのできる転写シート、および、薄膜層の転写方法を提供する。【解決手段】転写シートは、薄膜層と、薄膜層を支持する支持基材であって、繊維材料から構成されて吸液性を有する支持基材とを備える。支持基材を構成する繊維Fiの平均繊維径の大きさは、支持基材の吸液後において、吸液前の105%以上である。また、上記平均繊維径の大きさは、支持基材の吸液後において、吸液前の140%以下である。【選択図】図3

Description

本発明は、薄膜層を備える転写シート、および、この転写シートを用いた薄膜層の転写方法に関する。
スキンケアやメイクアップ等の美容、あるいは、創傷の治療を目的として、生体に貼り付けられる薄膜層が知られている。例えば、特許文献1には、毛穴や皺を隠すための薄膜層が記載されている。この薄膜層は肌に貼り付けられ、薄膜層の上からファンデーション等の化粧料が塗布される。
薄膜層を皮膚等の被転写体に貼り付けるための転写シートは、薄膜層と、薄膜層を支持する支持基材とを備えている。薄膜層が被転写体に接するように転写シートが被転写体に貼り付けられた後、支持基材が薄膜層から剥離されることによって、薄膜層が支持基材から被転写体に転写される。
国際公開第2014/058066号
薄膜層の転写に際して、薄膜層と支持基材との間の密着力が大きいと、薄膜層から支持基材を剥がし難い。強い力で支持基材を剥離しようとすれば、薄膜層に欠けや破れが生じて薄膜層の一部が転写されなかったり、皺や縒れが生じた状態で薄膜層が転写されたりする。
本発明は、薄膜層の転写に際して支持基材を薄膜層から容易に剥離することのできる転写シート、および、薄膜層の転写方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する転写シートは、薄膜層と、前記薄膜層を支持する支持基材であって、繊維材料から構成されて吸液性を有する前記支持基材と、を備える転写シートであって、前記支持基材を構成する繊維の平均繊維径の大きさは、前記支持基材の吸液後において、吸液前の105%以上である。
上記構成によれば、吸液により支持基材の繊維が太くなることによって、薄膜層と支持基材との接触状態が変わり、薄膜層と支持基材との間の密着力が低下する。吸液後の平均繊維径が、吸液前の105%以上であれば、繊維の太さの変化が、密着力の低下に十分な程度となり、吸液状態で支持基材を剥離することによって、支持基材を薄膜層から剥がしやすくなる。
上記構成において、前記支持基材を構成する繊維の平均繊維径の大きさは、前記支持基材の吸液後において、吸液前の140%以下であってもよい。
上記構成によれば、支持基材の吸液性が高すぎないため、少量の液状体を供給した場合にも、支持基材の一部の領域に液状体がすべて吸われてしまうことが起こり難く、支持基材内で吸液が均等に進みやすい。
上記構成において、前記支持基材は不織布であってもよい。
上記構成によれば、支持基材において、液状体の速やかな吸収と拡散とが可能となる。したがって、こうした転写シートを用いることで、薄膜層の転写を円滑に進めることができる。
上記課題を解決する薄膜層の転写方法は、上記転写シートを用いた薄膜層の転写方法であって、前記薄膜層における前記支持基材に接する面とは反対側の面を被転写体に接触させることと、前記被転写体上に配置された前記支持基材に吸液させることと、前記支持基材が吸液した状態で、前記薄膜層から前記支持基材を剥離することと、を含む。
上記方法によれば、吸液状態で支持基材が薄膜層から剥離されるため、吸液による支持基材の繊維径の増大に起因して、支持基材の薄膜層からの剥離が容易になる。
上記方法において、前記転写シートを前記被転写体上に配置する前に、前記支持基材に吸液させる液状体を、前記被転写体に対して供給してもよい。
上記方法によれば、支持基材における薄膜層と接する面内で均一に吸液が進みやすいため、支持基材の薄膜層からの剥離がより容易になる。
本発明によれば、薄膜層の転写に際して支持基材を薄膜層から容易に剥離することができる。
転写シートの一実施形態について、転写シートの断面構造の一例を示す図。 転写シートの一実施形態について、転写シートの断面構造の一例を示す図。 一実施形態における支持基材の繊維径の測定方法を示す図。 一実施形態の転写シートを用いた薄膜層の転写方法の手順を示す図であって、被転写体に供給液を供給する工程を示す図。 一実施形態の転写シートを用いた薄膜層の転写方法の手順を示す図であって、被転写体に転写シートを押し当てる工程を示す図。 一実施形態の転写シートを用いた薄膜層の転写方法の手順を示す図であって、薄膜層から支持基材を剥離する工程を示す図。
図面を参照して、転写シート、および、薄膜層の転写方法の一実施形態を説明する。転写シートは、転写シートが備える薄膜層を、被転写体に転写するために用いられる。被転写体は、生体であって、例えば、皮膚である。
[転写シートの構成]
図1が示すように、転写シート10は、薄膜層11と、支持基材12とを備えている。
薄膜層11は、第1面11Fと、第1面11Fとは反対側の面である第2面11Rとを有する。第2面11Rは、被転写体に貼り付けられる面である。第1面11Fは、薄膜層11が被転写体に転写されたとき、外気に曝される面である。
薄膜層11の材料は特に限定されず、被転写体への薄膜層11の貼り付けの目的に応じて選択されればよい。薄膜層11の材料は、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリウレタン、および、これらの高分子の共重合体、セルロース、ヒアルロン酸、キトサン等の多糖類、カゼイン、フィブロイン等のたんぱく質である。薄膜層11は、1種類の材料から構成されていてもよいし、複数種類の材料の組み合わせにより構成されてもよい。
また、薄膜層11は、被転写体において所定の機能を発揮する物質である機能性物質を含有していてもよい。被転写体がヒトの皮膚である場合、機能性物質は、例えば、保湿クリームや美容液等のスキンケアに用いられる化粧料あるいは化粧料成分、色素、薬剤、および、酵素等である。薄膜層11は、機能性物質を1種類のみ含有していてもよいし、2種類以上を含有していてもよい。
薄膜層11の厚さは特に限定されないが、被転写体に対する接着性を発現する程度に薄いことが好ましい。例えば、薄膜層11の厚さは、10nm以上5μm以下であることが好ましく、100nm以上1μm以下であることがより好ましく、300nm以上900nm以下であることがさらに好ましい。薄膜層11の厚さが上記下限値以上であれば、薄膜層11の強度が良好に得られるため、薄膜層11の取り扱いが容易になる。また、薄膜層11の厚さが上記上限値以下であれば、粘着層を用いずとも、薄膜層11自身が生体の表面に貼り付く。さらに、薄膜層11の厚さが上記上限値以下であれば、薄膜層11の転写に際して支持基材12に吸液させる液状体の浸透性も高められる。なお、薄膜層11は単一の薄膜から構成された層であってもよいし、複数の薄膜から構成された層であってもよい。
支持基材12は、薄膜層11の第1面11Fに接している。支持基材12に支持されていることにより、転写前における薄膜層11の変形が抑えられ、また、被写体上に薄膜層11を配置する際に薄膜層11が取り扱いやすくなる。
支持基材12は、繊維材料から構成され、吸液性を有する。吸液の対象となる液状体は、薄膜層11の転写に際して、転写シート10に供給される液状体である。上記液状体は、流動性を有して支持基材12に浸透する流体であれば、特に限定されない。薄膜層11の転写に際して、上記液状体は、支持基材12に接触し、また、薄膜層11および被転写体に接触し得るため、支持基材12、薄膜層11、および、被転写体を溶解あるいは分解し難い性質を有することが好ましい。また、上記液状体は、生体適合性を有し、被転写体の表面に対する刺激を与え難い性質を有することが好ましい。上記液状体は、例えば、水、アルコール、および、オイルの少なくとも1つを含有する。被転写体が生体の皮膚である場合、上記液状体は、例えば、水、アルコール類、化粧水、乳液、化粧用のクリーム類、軟膏、オイル、ローション、および、これらの混合物から、薄膜層11の用途等に応じて適宜選択される。
支持基材12は、繊維材料から構成された、内部に微小な多数の間隙を有する基材であり、液状体を浸透させることができる。具体的には、支持基材12は、例えば、不織布、紙、編物、織物である。これらのなかでも、液状体を速やかに吸収して拡散できることから、不織布が好適に用いられる。支持基材12を構成する繊維は、例えば、綿、麻、パルプ、絹、毛等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアクリル酸等の合成繊維である。支持基材12は、1種類の繊維から構成されていてもよいし、2種類以上の繊維から構成されていてもよい。
支持基材12の目付けは、3g/m以上200g/m以下であることが好ましく、10g/m以上100g/m以下であることがより好ましい。支持基材12の目付けが上記下限値以上であれば、静電気や気流に起因して縒れ等の変形が生じ難くなる程度の剛性を支持基材12が有するため、転写シート10が取り扱いやすくなる。また、支持基材12の目付けが上記上限値以下であれば、支持基材12において繊維が詰まりすぎないため、支持基材12の吸液が円滑に進む。
なお、図2が示すように、転写シート10は、薄膜層11の第2面11Rを覆う保護層13を備えていてもよい。保護層13は、第2面11Rを保護する機能を有し、被転写体に貼り付けられる前に、薄膜層11に他の物品等との接触に起因した傷や破れが生じることを抑える。薄膜層11の転写に際しては、薄膜層11と支持基材12とを被転写体上に配置する前に、保護層13は薄膜層11から剥離される。
保護層13は、例えば、内部に微小な多数の間隙を有する多孔質基材、あるいは、内部に間隙を有さない樹脂シートや金属箔等の基材から構成される。多孔質基材としては、例えば、不織布、紙、編物、織物等の繊維材料からなるシートや、メッシュ状のように間隙を含む構造を有する樹脂シートが挙げられる。内部に間隙を有さない樹脂シートの材料としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、および、これらの高分子の共重合体が挙げられる。上記樹脂シートは、延伸されていてもよいし、延伸されていなくてもよい。金属箔の材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、無酸素銅、タフピッチ銅、りん脱酸銅、黄銅、りん青銅、電解銅、ニッケル、鉄ニッケル合金、チタン等が挙げられる。保護層13は単一の層から構成されてもよく、複数の層から構成されてもよい。
なお、平面視における転写シート10の形状、すなわち、薄膜層11の第2面11Rと対向する位置から見た転写シート10の形状は、特に限定されない。転写シート10の形状は、例えば、矩形等の多角形形状、円形状、楕円形状、これら以外の直線や曲線で囲まれた形状等である。平面視にて、薄膜層11と支持基材12と保護層13との形状は、一致していてもよいし、支持基材12および保護層13の少なくとも一方は薄膜層11よりも大きくてもよい。
[吸液時の平均繊維径]
本実施形態の転写シート10においては、薄膜層11の転写に際して、吸液した状態で支持基材12が薄膜層11から剥離される。吸液前の状態においては、薄膜層11と支持基材12とは密着している。
支持基材12の吸液状態において、支持基材12を構成する繊維の平均繊維径の大きさは、標準状態における当該平均繊維径の105%以上である。
標準状態とは、JIS L 0105−2006に規定された標準状態である。すなわち、標準状態とは、支持基材12を、20±2℃、相対湿度65±4%の環境下に配置して、その質量を1時間以上の間隔で測定し、前回の測定時からの質量の変化量が後の質量の0.1%以下となった状態である。
吸液状態とは、標準状態である支持基材12を、20±2℃の吸液対象の液状体に15分間以上浸漬し、その後、ピンセットで対象物を液状体中から取り出して、1分間、液状体を滴り落とした状態である。
支持基材12を構成する繊維の平均繊維径は、以下の方法で算出する。すなわち、所定の形状に成形された支持基材12の試験片における薄膜層11と接する方の面をデジタルマイクロスコープで観察し、無作為に選択した繊維の径を測定して平均する。試験片は、例えば、平面視にて1辺が3cmの正方形よりも大きい形状とされ、デジタルマイクロスコープとしては、例えば、キーエンス社製のVHX−1000が用いられる。
図3が示すように、繊維径Dは、垂直線による計測機能を使用して測定する。具体的には、繊維Fiの輪郭のなかで、幅方向の一方の端に沿って接線A1を引き、接線A1から幅方向の他方の端に向かって、接線A1に直交する垂線A2を引く。垂線A2における上記一方の端から他方の端までの長さが繊維径Dである。繊維Fiの太さが一定でない場合には、繊維Fiの太さが最も大きい箇所について繊維径Dを測定する。50本の繊維Fiにおける繊維径Dの平均が、支持基材12を構成する繊維の平均繊維径である。
吸液により支持基材12の繊維が太くなることによって、薄膜層11と支持基材12との接触状態が変わる。具体的には、繊維が太くなることによって、繊維に沿った支持基材12の表面の凹凸が大きくなる。結果として、薄膜層11と支持基材12との間に微細な隙間が生じやすくなる。また、薄膜層11に接している繊維が太くなることで、薄膜層11が支持基材12から離れる方向に押される力を受ける。こうしたことから、支持基材12の吸液によって、薄膜層11と支持基材12との密着力が低下する。吸液状態での平均繊維径が、標準状態での平均繊維径の105%以上であれば、繊維の太さの変化が、密着力の低下に十分な程度となり、支持基材12を薄膜層11から剥がしやすくなる。薄膜層11と支持基材12との密着力をより低下させて支持基材12の剥離を容易にするためには、吸液状態での平均繊維径が、標準状態での平均繊維径の115%以上であることが好ましい。
また、吸液状態での平均繊維径は、標準状態での平均繊維径の140%以下であることが好ましく、130%以下であることがより好ましい。吸液状態での平均繊維径が上記上限値以下であれば、支持基材12の吸液性が高すぎないため、少量の液状体を供給した場合にも、支持基材12の一部の領域に液状体がすべて吸われてしまうことが起こり難く、支持基材12内で吸液が均等に進みやすい。
標準状態に対する吸液状態の平均繊維径の増大率は、支持基材12を構成する繊維の種類や目付け等によって調整可能である。なお、標準状態において、支持基材12を構成する繊維の平均繊維径は、5nm以上30μm以下であることが好ましい。平均繊維径が上記範囲内であれば、良好な転写性を確保しやすく、また、少量の液状体を供給した場合も、支持基材12の一部の領域に液状体がすべて吸われてしまうことが起こり難い。
[転写シートの製造方法]
転写シート10の製造方法の一例を説明する。なお、上述した構成の転写シート10を形成可能であれば、転写シート10は、下記の製造方法とは異なる方法によって製造されてもよい。
転写シート10の製造方法は、薄膜層11の形成工程と、支持基材12への薄膜層11の転写工程とを含む。
薄膜層11は、溶融押出法や溶液キャスト法等の公知の薄膜形成方法によって形成される。溶融押出法は、溶融させた材料を、インフレーション法やTダイ押出法等により押し出して薄膜化する。溶液キャスト法は、材料を溶かした塗液を薄膜状に成形した後に溶剤を蒸発させる。溶融押出法は、高速かつ安価な成膜が可能である。一方、溶液キャスト法は、例えば1μm以下の程度の薄い薄膜の形成に際しては、溶融押出法よりも高い歩留まりを得やすい。
薄膜層11の形成に溶液キャスト法を用いる場合、薄膜層の形成工程では、薄膜層11の材料を溶解させた塗液を成膜用基材に塗布し、溶剤を乾燥させることにより薄膜層11を形成する。塗液の塗布方法は特に限定されず、例えば、グラビアコート、リバースグラビアコート、ロールコート、リバースロールコート、ダイコート、バーコート、キスコート、コンマコート、カーテンコート、スピンコート、スプレーコート等の塗布方法が用いられる。成膜用基材としては、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等から構成された樹脂シートが用いられる。また、成膜用基材として、水や有機溶媒の利用によって離型あるいは溶解する材料から構成された樹脂シートが用いられてもよい。
支持基材12への薄膜層11の転写工程では、成膜用基材上の薄膜層11における成膜用基材とは反対側の面に支持基材12を配置し、成膜用基材から支持基材12へ薄膜層11を転写する。転写方法としては、吸引による剥離を利用する方法や犠牲膜を利用する方法等、公知の転写方法が用いられる。これにより、薄膜層11と支持基材12とを備える転写シート10が形成される。保護層13を備える転写シート10を形成する場合には、薄膜層11における支持基材12と接する面とは反対側の第2面11Rに、保護層13が積層される。なお、必要に応じて、型抜き等の方法により、転写シート10の外形を所望の形状に整えてもよい。
[薄膜層の転写方法]
転写シート10を用いた薄膜層11の転写方法、すなわち、薄膜層11の被転写体への貼付方法を説明する。
図4が示すように、まず、被転写体Skにおける薄膜層11の貼り付けの対象箇所に、供給液Lqを供給する。供給液Lqは、支持基材12の吸液対象の液状体である。
続いて、転写シート10を、薄膜層11の第2面11Rが被転写体Skの対象箇所に接するように、被転写体Sk上に配置する。吸液前の状態においては、薄膜層11と支持基材12とは密着しているため、支持基材12からの薄膜層11の剥離や脱落が抑えられ、薄膜層11を対象箇所まで容易に運ぶことができる。図5が示すように、転写シート10を、供給液Lqが供給された被転写体Sk上に配置することで、転写シート10が供給液Lqを吸液する。すなわち、供給液Lqが、薄膜層11を透過して支持基材12に吸収される。このとき、支持基材12の上から、指等で転写シート10を押圧することにより、薄膜層11を被転写体Skに密着させるとともに供給液Lqを支持基材12にまで浸透させることが好ましい。
図6が示すように、その後、薄膜層11から支持基材12を剥離する。これにより、薄膜層11が被転写体Skに転写される。こうした転写方法によれば、吸液による支持基材12の平均繊維径の増大によって薄膜層11と支持基材12との間の密着力が低下するため、薄膜層11から支持基材12を容易に剥離することができる。その結果、支持基材12の剥離時に薄膜層11に欠けや破れ、あるいは、皺や縒れが生じることが抑えられるため、被転写体Skに薄膜層11を一様に転写することができる。
なお、上記転写方法においては、被転写体Skに転写シート10を配置する前に、被転写体Skに供給液Lqを供給する方法を例示したが、供給液Lqは、被転写体Skに転写シート10を配置した後に、転写シート10に対して供給されてもよい。要は、被転写体Sk上に配置された転写シート10の支持基材12を吸液させられればよい。
[実施例]
上述した転写シートについて、具体的な実施例および比較例を用いて説明する。
(転写シートの作製)
ポリ−DL−乳酸(武蔵野化学研究所製)を酢酸エチルに溶解させることにより、薄膜層の形成のための塗液を生成した。成膜用基材としてポリプロピレンフィルムを用い、上記塗液を、グラビアコート法によって成膜用基材上に塗布した。そして、塗膜を乾燥し、ポリ乳酸からなる薄膜層を得た。得られた薄膜層の膜厚は300nmであった。続いて、成膜用基材上の薄膜層に支持基材を積層し、成膜用基材を剥離して、薄膜層を成膜用基材から支持基材に転写した。これにより、薄膜層と支持基材とを備える転写シートを得た。
上記製造方法において、支持基材として用いる不織布における繊維材料の種類、平均繊維径、目付け、厚みの少なくとも1つを異ならせて、実施例1〜7の転写シートを得た。実施例1〜4,7の支持基材は、キュプラ系繊維材料から構成される不織布であり、実施例5,6の支持基材は、パルプ系繊維材料から構成される不織布である。
また、上記製造方法において、支持基材としてポリエステル系繊維材料から構成される不織布を用いて、比較例1の転写シートを得た。さらに、上記製造方法において、支持基材としてポリエステル系フィルムを用いて、比較例2の転写シートを得た。
(評価方法)
<平均繊維径の計測>
各実施例および各比較例の支持基材について、上記実施形態に記載の方法で、標準状態と吸液状態との各々の平均繊維径を計測し、標準状態に対する吸液状態の平均繊維径の百分率を算出した。具体的には、各実施例および比較例の支持基材を、平面視にて30mm×40mmの矩形形状に切り出して試験片を作製し、当該試験片に対して標準状態と吸液状態との平均繊維径を測定した。平均繊維径の測定には、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製:VHX−1000)を用い、吸液対象の液状体としては、水を用いた。
<転写性の評価>
各実施例および各比較例の転写シートについて、平面視にて30mm×40mmの矩形形状の試験片を5つずつ用意した。
被転写体であるヒトの皮膚に、供給液として水を250μl供給し、供給した水を指で軽く引き伸ばした。その後、転写シートの試験片を、薄膜層における支持基材とは反対側の面が皮膚に接するように、皮膚上に配置した。次いで、支持基材の上から、3Nの荷重で3秒間、試験片を押圧した。そして、試験片の端部から、支持基材を指で剥離した。
支持基材の剥離後、皮膚上の薄膜層および剥離後の支持基材を目視により観察し、薄膜層の欠けおよび破れの有無を確認した。
各実施例および各比較例について、5つの試験片のうち、薄膜層の欠けあるいは破れが生じている試験片が0個または1個である場合を「〇」、薄膜層の欠けあるいは破れが生じている試験片が2個の場合を「△」、薄膜層の欠けあるいは破れが生じている試験片が3個以上の場合、もしくは、支持基材が剥がれず皮膚上への薄膜層の転写ができなかった場合を「×」とした。
<貼付性の評価>
上記転写性の評価に際して皮膚上に転写した薄膜層を目視により観察し、薄膜層に皺、縒れ、端部の捲れが生じているか否かを確認した。
各実施例および各比較例について、5つの試験片のうち、薄膜層に皺、縒れ、端部の捲れの少なくとも1つが生じている試験片が0個である場合を「〇」、薄膜層に皺、縒れ、端部の捲れの少なくとも1つが生じている試験片が1個以上の場合を「×」とした。
表1に、各実施例および各比較例について、標準状態および吸液状態の平均繊維径、標準状態に対する吸液状態の平均繊維径の百分率、標準状態と吸液状態との平均繊維径の差、径あたりの平均繊維径の変化量を示す。径あたりの平均繊維径の変化量は、標準状態の平均繊維径に対する上記平均繊維径の差の百分率である。また、表1に転写性および貼付性の評価結果を示す。
表1が示すように、吸液状態の平均繊維径が、標準状態の平均繊維径の105%以上である実施例1〜7では、薄膜層に欠け、破れ、皺、縒れ、捲れが生じる頻度が低く、薄膜層の良好な転写が可能であった。特に、吸液状態の平均繊維径が、標準状態の平均繊維径の110%以上である実施例1〜5,7では、転写性と貼付性との双方が「〇」であり、薄膜層全体の一様な転写が可能であった。
これに対し、吸液状態の平均繊維径が、標準状態の平均繊維径の105%未満である比較例1では、支持基材の剥離時に薄膜層に欠けや破れが生じる頻度が高く、皮膚上に転写された薄膜層にも皺、縒れ、捲れが生じる頻度が高かった。また、繊維ではない材料から構成され、吸水性を有さない支持基材を用いた比較例2でも、薄膜層に欠け等が生じる頻度が高かった。
以上により、支持基材における吸液後の平均繊維径の大きさが、吸液前の105%以上であれば、薄膜層の転写に際して支持基材を薄膜層から容易に剥離することが可能であり、良好な転写が可能であることが示された。
なお、表1が示すように、実施例1〜7と比較例1とを比べると、良好な転写が可能な実施例1〜7においては、標準状態の平均繊維径が5μm以上20μm以下である場合において、標準状態と吸液状態との平均繊維径の差が0.5μm以上であることがわかる。さらに、標準状態と吸液状態との平均繊維径の差が1.0μm以上であると、転写性と貼付性との双方が「〇」となり、薄膜層の転写が極めて良好になることがわかる。
そして、上記平均繊維径の差を標準状態の平均繊維径で除して、径あたりの平均繊維径の変化量を求めると、良好な転写が可能な実施例1〜7においては、径あたりの平均繊維径の変化量が3%以上であることがわかる。さらに、径あたりの平均繊維径の変化量が10%以上である場合に、転写性と貼付性との双方が「〇」となり、薄膜層の転写が極めて良好になることがわかる。
なお、実施例1の転写シートについて、皮膚上への転写シートの配置と供給液の供給との順序を入れ替えて、同様に転写性と貼付性とを評価した。すなわち、水を供給していない皮膚上に転写シートの試験片を配置した後に、支持基材上から供給液として水を250μl供給し、支持基材の上から、3Nの荷重で3秒間、試験片を押圧した後に、端部から支持基材を指で剥離した。そして、転写性と貼付性とを評価したところ、表1に示したように転写シートの配置前に供給液を供給した場合には、薄膜層の欠けあるいは破れが生じている試験片が0個であったことに対し、転写シートの配置後に供給液を供給した場合には、薄膜層の欠けあるいは破れが生じている試験片が1個であった。また、転写シートの配置後に供給液を供給した場合において、薄膜層に皺、縒れ、端部の捲れの少なくとも1つが生じている試験片は0個であった。
したがって、転写シートの配置後に供給液を供給した場合であっても、薄膜層の良好な転写が可能であることが確認された。ただし、転写シートの配置前に供給液を供給した方が、薄膜層の欠けあるいは破れが生じにくく、より良好な転写が可能であることが示された。これは、転写シートの配置前に被転写体に供給液を供給することにより、面状に広がる状態で供給液を転写シートに供給可能であること、また、薄膜層よりも支持基材の方が厚いため、薄膜層側から供給液を浸透させた方が、薄膜層と支持基材との界面付近まで供給液が浸透しやすいこと等から、支持基材における薄膜層と接する面内でより均一に吸液が進むためであると考えられる。
以上、実施形態および実施例にて説明したように、上記実施形態の転写シートおよび薄膜層の転写方法によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)支持基材12を構成する繊維の平均繊維径の大きさは、吸液状態、すなわち、支持基材12の吸液後において、標準状態、すなわち、支持基材12の吸液前の105%以上である。こうした構成によれば、吸液前後での繊維の太さの変化が薄膜層11と支持基材12との密着力の低下に十分な程度となり、吸液状態で支持基材12を剥離することによって、支持基材12を薄膜層11から剥がしやすくなる。
(2)上記平均繊維径の大きさが、支持基材12の吸液後において、吸液前の140%以下であれば、支持基材12の吸液性が高すぎないため、少量の液状体を供給した場合にも、支持基材12の一部の領域に液状体がすべて吸われてしまうことが起こり難く、支持基材12内で吸液が均等に進みやすい。
(3)支持基材12が不織布であれば、支持基材12において、液状体の速やかな吸収と拡散とが可能となる。したがって、こうした転写シート10を用いることで、薄膜層11の転写を円滑に進めることができる。
(4)転写シート10を用いた薄膜層11の転写方法は、薄膜層11における支持基材12に接する面とは反対側の面である第2面11Rを被転写体に接触させることと、被転写体上に配置された支持基材12に吸液させることと、支持基材12が吸液した状態で、薄膜層11から支持基材12を剥離することとを含む。こうした転写方法によれば、吸液状態で支持基材12が薄膜層11から剥離されるため、吸液による支持基材12の繊維径の増大に起因して、支持基材12の薄膜層11からの剥離が容易になる。
(5)上記転写方法において、転写シート10を被転写体上に配置する前に、支持基材12に吸液させる液状体を被転写体に対して供給することにより、支持基材12における薄膜層11と接する面内で均一に吸液が進みやすいため、支持基材12の薄膜層11からの剥離がより容易になる。
D…繊維径、Fi…繊維、Sk…被転写体、10…転写シート、11…薄膜層、11F…第1面、11R…第2面、12…支持基材、13…保護層。

Claims (5)

  1. 薄膜層と、
    前記薄膜層を支持する支持基材であって、繊維材料から構成されて吸液性を有する前記支持基材と、を備える転写シートであって、
    前記支持基材を構成する繊維の平均繊維径の大きさは、前記支持基材の吸液後において、吸液前の105%以上である
    転写シート。
  2. 前記支持基材を構成する繊維の平均繊維径の大きさは、前記支持基材の吸液後において、吸液前の140%以下である
    請求項1に記載の転写シート。
  3. 前記支持基材は不織布である
    請求項1または2に記載の転写シート。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の転写シートを用いた薄膜層の転写方法であって、
    前記薄膜層における前記支持基材に接する面とは反対側の面を被転写体に接触させることと、
    前記被転写体上に配置された前記支持基材に吸液させることと、
    前記支持基材が吸液した状態で、前記薄膜層から前記支持基材を剥離することと、
    を含む薄膜層の転写方法。
  5. 前記転写シートを前記被転写体上に配置する前に、前記支持基材に吸液させる液状体を、前記被転写体に対して供給する
    請求項4に記載の薄膜層の転写方法。
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Title
浦畑俊博, 繊維の乾燥機構, vol. 20, no. 1, JPN6022048852, 1967, JP, ISSN: 0005051018 *

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