JP7293316B2 - 赤外光透過型組成物 - Google Patents
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Description
なお、本明細書において、「可視光」とは波長380nm~750nmの光をいう。また、「赤外光」とは波長750nm~1000μmの光をいい、その中でも、「近赤外光」とは波長750nm~2500nmの光をいう。
このため、見栄えを良くするため等の目的で、可視光を遮断し、赤外光を透過するフィルム、インキ、塗料等により、対象物をカバーするべく、様々な組成物が開発されている。
このため、可視光領域の遮光性が十分で、かつ、近赤外領域の光の透過率が高くなる赤外光透過型組成物の開発が切望されていた。
本発明の赤外光透過型組成物は、色材として、少なくとも、赤色色材、青色色材及び黄色色材を含有する。
本発明の赤外光透過型組成物は、分散剤として、後述の特定の分散剤を含有する。該分散剤を含有することにより、本発明の赤外光透過型組成物は、近赤外領域における透過率が大幅に向上する。
本発明の赤外光透過型組成物は、色材として、少なくとも、赤色色材、青色色材及び黄色色材を含有する。他に、本発明の効果を妨げない範囲で、本発明の赤外光透過型組成物は、緑色色材、紫色色材、オレンジ色材、黒色色材等を含有していてもよい。
赤色、青色、黄色、緑色、紫色、オレンジ色、黒色等の有機顔料が種々市販されており、本発明の赤外光透過型組成物に含有される色材として、使用することができる。有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、本発明の赤外光透過型組成物に含有される色材として、好ましい。以下に、有機顔料の具体例をピグメントナンバーで示すが、「C.I.」は、カラーインデックスを意味する。
赤色色材(赤色顔料)としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
一般式(5)において、X1及びX2が塩素原子であるものは、C.I.ピグメントレッド254である。
一般式(5)において、X1及びX2がフェニル基であるものは、C.I.ピグメントレッド264である。
青色色材(青色顔料)としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
黄色色材(黄色顔料)としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75、81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、213等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
一般式(6)で表されるアゾ化合物並びにその互変異性構造のアゾ化合物のモノ、ジ、トリ及びテトラアニオンからなる群から選択される少なくとも1種のアニオンと、
Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Ni,Cu及びMnからなる群から選択される少なくとも2種の金属のイオンと、
下記一般式(7)で表される化合物とを含む黄色色材。
本発明の赤外光透過型組成物が赤色、青色、黄色の各色材以外に含有していてもよい色材としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58、59等の緑色色材(緑色顔料);C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等の紫色色材(紫色顔料);C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79等のオレンジ色材(オレンジ顔料);カーボンブラック等の黒色色材;等が挙げられる。
本発明の各色の色材としては、公知のレーキ化(造塩化)手法を用いて、染料を不溶化させたレーキ顔料を使用することもでき、前述の各色の色材として使用することができる。
なお、目安として、10gの溶剤(又は混合溶剤)に対して、レーキ顔料の溶解量が10mg以下であれば、当該溶剤(又は混合溶剤)において、当該レーキ顔料(染料)が分散可能であると判定することができる。
これらのうち、レーキ顔料の原料となる染料としては、耐熱性が高い点からキサンテン系染料が好ましく、その中でも、ローダミン系染料が特に好ましい。
無機顔料も、本発明の赤外光透過型組成物に含有させる各色の色材として使用することができる。
無機顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。また、前記の有機顔料や後記の染料と組み合わせて使用してもよい。
染料も、分散可能であれば、本発明の赤外光透過型組成物に含有させる各色の色材として使用することができる。目安として、10gの溶剤(又は混合溶剤)に対して、染料の溶解量が10mg以下であれば、当該溶剤(又は混合溶剤)において、当該染料は分散可能である。
染料の具体例としては、前記の「レーキ顔料の原料となる染料」と同様のものを使用することができる。
本発明の赤外光透過型組成物に含有される色材は、色素誘導体を含有しているのが好ましい。
「色素誘導体」とは、色材の表面を改質し、色材の分散性、分散安定性、分散液の貯蔵安定性等を向上させるために用いられるものである。色素誘導体は、色素の分子に、分散剤との酸性基や塩基性基を導入したものである。
酸性色素誘導体の酸性基としては、スルホ基、スルホンアミド基、カルボキシ基や、これらの官能基の金属塩やアンモニウム塩が例示できる。
式(9)で表される化合物は、赤色色材であるC.I.ピグメントレッド177との併用に適した色素誘導体である。
式(10)で表されるアニオンと式(11)で表されるカチオンからなる長鎖アルキルアミノスルホン酸塩は、青色色材であるC.I.ピグメントブルー15:6との併用に適した色素誘導体である。
上記下限値以上とすることで、安定分散や微分散を可能になりやすい。また、上記上限値以下とすることで色素誘導体の過剰による色度の変化を抑制することができる。
例えば、本発明の赤外光透過型組成物に含有させる赤色色材としてC.I.ピグメントレッド254を、青色色材としてC.I.ピグメントブルー15:6を使用する場合、「式(8)で表される化合物」及び「式(10)で表されるアニオンと式(11)で表されるカチオンからなる長鎖アルキルアミノスルホン酸塩」を、色素誘導体として使用するのが好ましい。
また、再沈法において良溶媒又は貧溶媒に添加しておくこともでき、顔料粒子の析出後、又は、その後に濃縮若しくは再分散をするときに添加しておくこともできる。
本発明の赤外光透過型組成物は、赤色色材100質量部に対して、青色色材を10質量部以上含有するのが好ましく、20質量部以上含有するのがより好ましく、50質量部以上含有するのが特に好ましく、80質量部以上含有するのが最も好ましい。また、赤色色材100質量部に対して、青色色材を300質量部以下含有するのが好ましく、200質量部以下含有するのがより好ましく、150質量部以下含有するのが特に好ましく、120質量部以下含有するのが最も好ましい。
上記範囲内であると、可視光領域における透過率が低く、近赤外領域における透過率を高くしやすくなる。
上記範囲内であると、可視光領域における透過率が低く、近赤外領域における透過率を高くしやすくなる。
色材の平均一次粒径は、特に限定はないが、30nm~500nmが好ましく、40nm~300nmがより好ましく、50nm~200nmが特に好ましい。
平均一次粒径が小さ過ぎると、分散性が低下し、また、粉による汚染等により作業性が低下する場合がある。
本発明の赤外光透過型組成物は、下記一般式(1)で表される構成単位を含む分散剤(以下、「本発明の分散剤」という場合がある。)を含有する。
本発明の分散剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
「塩基性ブロック型分散剤である本発明の分散剤」は、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アミド基;それらの塩;トリアルキルアンモニウム基;等の塩基性基を有し、一般式(1)で表される構成単位を与えるモノマー(以下、「aモノマー」と略記する)と、aモノマーとは異なる他のモノマー(以下、「bモノマー」と略記する)とのブロック共重合体よりなる分散剤であり、2元共重合体でもよく、3元以上の共重合体でもよい。なお、「aモノマー」には、上記「アルキル」を、「アリール」、「アラルキル」、「アルケニル」等と言い換えたものも含まれる。
一般式(3)中のXが、カウンターアニオン(X-)となり塩を形成する。
更には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルアルキルエーテル等のアリル基含有化合物;等が挙げられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、(メタ)アクリル酸ダイマー等が挙げられる。
また、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体と、無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物等のような環状無水物との付加反応物;ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等も挙げられる。
また、該カルボキシ基の前駆体として、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の酸無水物を用いたカルボキシ基含有モノマーも挙げられる。
中でも、共重合性、コスト、溶解性等の点から、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
上記範囲内であることにより、「色材を均一に分散させる濡れ性」と分散安定性とを両立させることが可能となる。また、本願の色材分散剤を赤外光透過型組成物の成分として用いる場合には、上限が上記値以下であると、分散液の粘度が高くなり過ぎない。一方、下限が上記値以上であると十分な分散性が得られる。
塩基性ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)等の測定は、東ソー(株)製のHLC-8120GPCを用い、溶出溶剤を0.01モル/Lの臭化リチウムを添加したN-メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、20650、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS-2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK-GEL ALPHA-M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
アミン価が小さ過ぎると十分な分散安定性が得られず、大き過ぎると溶剤への溶解性が低下する。
上記アミン価はJIS-K7237:1995により求めることができる。
「塩基性グラフト型分散剤」とは、主鎖に対して側鎖として繰り返し単位が結合した(共)重合体よりなる塩基性の分散剤をいう。
具体的には、先に側鎖を合成しておき、それを(共)重合したもの、すなわち、片末端に重合不飽和基を有するマクロモノマー(片末端に重合性不飽和基を有し繰り返し単位を有するオリゴマー)等を重合成分とする(共)重合体よりなる分散剤が挙げられる。
また、先に主鎖を合成しておいてから、その主鎖に対して、ところどころに側鎖としてペンダントに(枝のように)繰り返し単位を結合させた(共)重合体よりなる分散剤が挙げられる。
共重合させる塩基性のモノマーとしては特に限定はないが、具体的には、例えば、前記<<塩基性ブロック型分散剤>>の項で記載した前記「aモノマー」が挙げられる。
かかるマクロモノマーにおける繰り返し単位を構成する重合成分としては、特に限定はないが、具体的には、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルアルキルエーテル等のアリル基含有化合物;等が挙げられる。本発明におけるマクロモノマーとしては、上記重合成分が重合した単位を有するものであることが好ましい。
かかる「他の重合性モノマー」としては、特に限定はないが、具体的には、例えば、前記「塩基性ブロック型分散剤」の項で記載した前記「bモノマー」等が挙げられる。
上記範囲であると、分散されやすく、「色材分散液を調製する際の最終分散工程」で微分散化が可能となったり、分散時間の短縮が可能となったりする。その結果、該色材分散液を用いて得られた赤外光透過型組成物は、可視光領域における透過率が低く、近赤外領域における透過率を高くなりやすい。
本発明の赤外光透過型組成物に含有される溶剤としては特に限定はなく、公知のものが用いられる。
具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のアルキレングリコールエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のジアルキレングリコールエーテル類;トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル等のトリアルキレングリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のトリアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシ酢酸ブチル、3-メチル-3-メトキシ酢酸ブチル(3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート)、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシプロパン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸イソアミル等のエステル類;等が挙げられる。
これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
第2溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、ジアセトンアルコール、乳酸エチル等のアルコール性水酸基を持つ溶剤;ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート(3-メトキシ酢酸ブチル)等の沸点150℃以上の溶剤が好ましい。
アルコール系溶剤の例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点121℃)、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(沸点174℃)、ジアセトンアルコール(沸点166℃)、乳酸エチル(沸点151℃)等が挙げられる。
本発明の赤外光透過型組成物は、樹脂を含有していてもよい。樹脂は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与する機能を有する。樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂は、塗膜に充分な硬度を付与するために、硬化性樹脂であることが好ましい。
カラーフィルタ用途等、パターニングが必要な場合は、紫外線照射等の際にマスキングすることにより、未露光部をアルカリ水溶液で容易に除去することができる点から、本発明の赤外光透過型組成物が含有する樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂を使用するのが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂として、特に限定はなく、アルカリ性の現像液で好適に現像できるものであれば使用可能である。アルカリ可溶性樹脂としては、好ましくは、酸基を有するモノマーを共重合成分とする共重合体である。また、重合体に後から酸基を導入したものであってもよい。
ラジカル重合性二重結合を導入するには、例えば、(共)重合後にラジカル重合性二重結合を導入し得るモノマーを(共)重合した後に、後述するような「ラジカル重合性二重結合の導入に用いられる化合物」を反応させて、ラジカル重合性二重結合を側鎖に導入する。
かかる「重合後にラジカル重合性二重結合を導入し得るモノマー」としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシ基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー;等が挙げられる。
このうち、「エポキシ基とラジカル重合性二重結合」を有する化合物が、保存安定性の点から好ましい。
酸価は、上限が上記値以下だと基板との十分な密着性が得られ、下限が上記値以上だと十分なアルカリ現像性が得られる。
重量平均分子量(Mw)は、上限が上記値以下だと他の構成成分との相溶性が向上し、現像性が良くなり、また粘度が高くなり過ぎない。一方、下限が上記値以上だと、基板との密着性が向上する。
このような炭化水素環としては、置換基を有していてもよい環状の脂肪族炭化水素環、置換基を有していてもよい芳香族環、及びこれらの組み合わせが挙げられ、炭化水素環がカルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、アミド基等の置換基を有していてもよい。
また、前記一般式(12)に示されるカルド構造を含む場合には、着色層の硬化性が向上し、耐溶剤性(NMP膨潤抑制)が向上する点から特に好ましい。
架橋環式脂肪族基の具体例としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基、トリシクロペンタニル基、トリシクロペンタジエン基、ジシクロペンタジエン基;これらの基の一部が置換基によって置換された基が挙げられる。
上記置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヒドロキシル基、ケトン基、ニトロ基、アミン基、ハロゲン原子等が挙げられる。
カルボキシルを有する構成単位と、上記炭化水素環とを有するアクリル系共重合体は、前述の“共重合可能なその他のモノマー”として炭化水素環を有するエチレン性不飽和モノマーを用いることにより調製することができる。
炭化水素環を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられ、塗膜の皺の発生の抑制効果に優れる点から、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、N-フェニルマレイミドが好ましく、特にスチレンが好ましい。
本発明の赤外光透過型組成物がアルカリ可溶性樹脂を含有する場合、アルカリ可溶性樹脂の重合性官能基だけが重合してもよいが、赤外光透過型組成物には、更に重合性多官能化合物が含有されていることも好ましい。
重合性多官能化合物としては、特に限定はなく、公知の重合性多官能化合物が用いられる。「重合性多官能化合物」は、1分子中に2個以上の重合性官能基を有するものであれば、特に限定はなく、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリル化合物;等が挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の直鎖アルカンジオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#200ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の3価以上のアルコールの部分(メタ)アクリル酸エステル;ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール系ジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
本発明の赤外光透過型組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、熱重合開始剤や光重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
・1-ペンタノン,1-[4-[[4-(2-ベンゾフラニルカルボキシ)フェニル]チオ]フェニル]-4-メチル,1-(O-アセチルオキシム)
・2-(ベンゾイルオキシイミノ)-1-[4(フェニルチオ)フェニル]-1-オクタノン
・エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)
・エタノン,1-[9-エチル-6-(1,3-ジオキソラン,4-(2-メトキシフェノキシ))-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)
・プロパノン,2-シクロペンチル-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)
・メタノン,[8-[[(アセチルオキシ)イミノ][2-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)フェニル]メチル]-11-(2-エチルヘキシル)-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-5-イル](2,4,6-トリメチルフェニル)
・メタノン,(9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル)[4-(2-メトキシ-1-メチルエトキシ)-2-メチルフェニル]-,O-アセチルオキシム
・1,2-ブタンジオン,1-[4-[[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]チオ]フェニル]-,2-(O-アセチルオキシム)
赤外光透過型組成物を硬化し、塗膜を調製する際には、表面のみ硬化が進行し、下部の硬化が不十分である場合があり、熱工程を経る等により、塗膜表面に皺が発生する場合がある。本発明の赤外光透過型組成物に、オキシムエステル開始剤を含有させることにより、塗膜表面の皺の発生を抑制しやすくなる。
2種以上を併用すると、それぞれのオキシムエステル開始剤の吸収波長が異なるため、露光時の紫外光をそれぞれの吸収波長において効果的に使えるためと推定される。
なお、本発明において、固形分とは、上述した溶剤以外のもの全てであり、液状の多官能モノマー等も含まれる。
メルカプト化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記範囲内であると、塗膜の皺の発生を効果的に抑制することができる。
本発明の赤外光透過型組成物における、アルカリ可溶性樹脂と重合性多官能化合物との含有割合は、特に限定はないが、感度、解像度及び現像性の観点から、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、重合性多官能化合物0~500質量部が好ましく、10~300質量部がより好ましく、20~200質量部が特に好ましい。
赤外光透過型組成物の固形分合計量に対して、アルカリ可溶性樹脂は5~80質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。また、該固形分全量に対して、重合性多官能化合物は5~60質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。
この範囲であると、前記した本発明の効果を奏しやすい。
上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
本発明の赤外光透過型組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、レベリング剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、密着促進剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤、重合停止剤、連鎖移動剤等を含有させることができる。
本発明の赤外光透過型組成物は、赤色、青色及び黄色の色材、分散剤並びに溶剤を含有し、必要に応じて前記した各成分を含有する。
本発明の赤外光透過型組成物を調製する場合、調製の手順に特に限定は無く、例えば、全ての成分を一度に混合して調製してもよいし、色材、分散剤、溶剤等を混合して色材分散液をまず調製し、重合性多官能化合物や重合開始剤等を、追加の溶剤と共に該色材分散液に後から添加してもよい。
後者の方法(予め色材分散液を調製する方法)は、色材の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得るため好ましい。
また、後者の方法の場合、例えば、赤色、青色及び黄色それぞれの色材分散液を別々に調製してもよいし、全ての色材を含有する色材分散液を調製してもよい。
本発明の赤外光透過型組成物を使用して作製される赤外光透過材は、可視光領域においてほとんど光を透過せず、近赤外領域における透過率が高い。
本発明の赤外光透過型組成物を使用して作製される赤外光透過材は、可視光領域(380nm~750nm)における最大透過率として、8%以下にするのが好ましく、5%以下にするのがより好ましく、3%以下にするのが、遮蔽性を高くし、特に好ましい。
以下の作用原理が当てはまる範囲に本発明が限定されるわけではないが、一般式(1)で表される構成単位を含む分散剤を使用した本発明の赤外光透過型組成物が、近赤外領域における透過率を改善させる作用原理は、以下のように推定される。
本発明は、該赤外光透過型組成物を硬化したものであることを特徴とする硬化物にも関する。
例えば、中心波長850nmのLEDは、一部可視光領域にも裾野が広がっている。本発明の赤外光透過型組成物を使用した赤外光透過材は、裾野である可視光領域を遮光しつつ、中心波長付近の近赤外光に対しては、高感度になる。
<分散剤A(分散剤溶液A)の調製>
<<ブロック共重合体Aの合成>>
500mLの4口セパラブルフラスコを減圧して乾燥後、内部をアルゴン(Ar)で置換した。
アルゴンフローしながら、脱水テトラヒドロフラン(THF)100g、メチルトリメチルシリルジメチルケテンアセタール2.0g、テトラブチルアンモニウム-3-クロロベンゾエート(TBACB)の1Mアセトニトリル溶液0.15mL、及び、メシチレン0.2gを加え撹拌して混合した。
そこに、滴下ロートを用いて、メチルメタクリレート36.7gを45分かけて滴下した。反応が進むと発熱するため、氷冷することにより、温度を40℃未満に保った。1時間後、前記「aモノマー」として、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)13.3gを15分かけて滴下した。1時間反応させた後、メタノール5gを加えて反応を停止させた。
GPC測定(NMP、LiBr10mM)により求めた質量平均分子量は、6000であった。また、アミン価は95mgKOH/gであった。
得られたブロック共重合体Aを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解させ、60質量%のブロック共重合体溶液を作製した。
次に、100mL丸底フラスコ中で、PGMEAの23.76質量部に、上記で得られたブロック共重合体溶液を5.0質量部混合し、塩形成成分であるフェニルホスホン酸(東京化成(株)社製)を0.94質量部(ブロック共重合体のDMAEMAユニットに対し、0.5モル当量)加え、反応温度40℃で2時間撹拌することにより、「分散剤A」とし、更に、適宜PGMEAで希釈して、固形分20質量%の「分散剤溶液A」を調製した。
<(2-1)樹脂1の合成>
BzMAを40質量部、MMAを15質量部、MAAを25質量部、及び、AIBNを3質量部の混合液を、PGMEAを150質量部入れた重合槽中に、窒素気流下、100℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に100℃で3時間加熱し、重合体溶液を得た。
この重合体溶液中の重合体の重量平均分子量は、7000であった。
反応中は、GMAの重合を防ぐために、反応溶液中に空気をバブリングさせた。反応は溶液の酸価を測定することで追跡した。
BzMA ベンジルメタクリレート
MMA メチルメタクリレート
MAA メタクリル酸
GMA グリシジルメタクリレート
AIBN アゾビスイソブチロニトリル
PGMEA プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
上記(2-1)で、GMAの代わりに、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いた以外は上記(2-1)と同様にして樹脂2を得た。
得られた樹脂2は、固形分40質量%、酸価70mgKOH/g、重量平均分子量11000であった。
<(3-1)色素誘導体1の合成>
下記式(13)で表されるナフトールアゾ色素30質量部を、20%発煙硫酸300質量部に添加し、その後、40℃で4時間反応させた。冷却後、反応混合物を3000質量部の氷水中に析出させ、濾過及び水洗し、水ペーストを得た。この水ペーストを乾燥させることによりナフトールアゾスルホン酸である色素誘導体1を得た。
アントラキノン系色材(C.I.ピグメントレッド177、商品名Chromofine Red 6605、大日精化工業(株)製)30質量部を、20%発煙硫酸300質量部に添加し、その後、40℃で4時間反応させた。冷却後、反応混合物を3,000質量部の氷水中に析出させ、濾過及び水洗し、水ペーストを得た。この水ペーストを乾燥させることによりC.I.ピグメントレッド177のスルホン化物である色素誘導体2を得た。
<(4-1)色材分散液R1の調製>
調製例2で得られた「樹脂1」(BzMA/MMA/MAA/GMA=40/15/25/20(質量比)、重量平均分子量12000)の固形分40質量%PGMEA溶液14.2質量部、分散剤溶液A10.0質量部、PGMEA60.8質量部を、ディゾルバーで撹拌混合して均一に溶解させた。
この溶液に、ピグメントレッド254(Hostaperm Red D2B-COFLV3781、CLARIANT製)14.3質量部と、調製例(3-1)で得られた「色素誘導体1」0.8質量部とを加え、粒径2.0mmジルコニアビーズ100質量部をマヨネーズビンに入れ、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)にて1時間振盪した。
次いで、粒径2.0mmジルコニアビーズを取り出し、粒径0.1mmのジルコニアビーズ200質量部を加えて、同様に、本解砕としてペイントシェーカーにて4時間分散を行い、赤色の色材分散液R1を調製した。
上記(4-1)において、色素誘導体1を使用せず、その分だけピグメントレッド254の量を増やした以外は、上記(4-1)と同様にして、赤色の色材分散液R2を調製した。
上記(4-2)において、樹脂1の代わりに樹脂2を使用した以外は、上記(4-2)と同様にして、赤色の色材分散液R2’を調製した。
上記(4-3)において、分散剤A(分散剤溶液A)の代わりに、日本ルーブリゾール(株)製のソルスパース24000を、固形分換算で分散剤Aと同一質量となるようにして使用した以外は、上記(4-3)と同様にして、赤色の色材分散液r2’を調製した。
上記(4-1)において、ピグメントレッド254ではなく、同じ量のピグメントレッド255(Cromophtal Coral Red C、BASF社製)を使用した以外は、上記(4-1)と同様にして、赤色の色材分散液R3を調製した。
上記(4-1)において、ピグメントレッド254ではなく、同じ量のBr-DPP(Irgaphor RED S 3621CF、BASF社製)を使用した以外は、上記(4-1)と同様にして、赤色の色材分散液R4を調製した。
上記(4-1)において、ピグメントレッド254ではなく、同じ量のピグメントレッド264(Irgazin DPP Red Ultra Opaque、BASF社製)を使用した以外は、上記(4-1)と同様にして、赤色の色材分散液R5を調製した。
上記(4-1)において、ピグメントレッド254ではなく、同じ量のピグメントレッド177(Chromofine Red 6605、大日精化工業(株)製)を使用した点、及び、色素誘導体1ではなく、調製例(3-2)で得られた色素誘導体2を使用した点以外は、上記(4-1)と同様にして、赤色の色材分散液R6を調製した。
上記(4-8)において、色素誘導体2を使用せず、その分だけピグメントレッド177の量を増やした以外は、上記(4-8)と同様にして、赤色の色材分散液R7を調製した。
上記(4-1)において、ピグメントレッド254ではなく、同じ量のピグメントブルー15:6(Chromofine Blue 5201A、大日精化工業(株)製)を使用した点、及び、色素誘導体1ではなく、ソルスパース12000(日本ルーブリゾール(株)製、フタロシアニン系誘導体)を使用した点以外は、上記(4-1)と同様にして、青色の色材分散液B1を調製した。
上記(4-10)において、ソルスパース12000を使用せず、その分だけピグメントブルー15:6の量を増やした以外は、上記(4-10)と同様にして、青色の色材分散液B2を調製した。
上記(4-11)において、樹脂1の代わりに樹脂2を使用した以外は、上記(4-11)と同様にして、青色の色材分散液B2’を調製した。
上記(4-12)において、分散剤A(分散剤溶液A)の代わりに、日本ルーブリゾール(株)製のソルスパース24000を、固形分換算で分散剤Aと同一質量となるようにして使用した以外は、上記(4-12)と同様にして、青色の色材分散液b2’を調製した。
上記(4-2)において、ピグメントレッド254ではなく、同じ量のピグメントイエロー139(Irgaphor Yellow 2R-CF、BASF社製)を使用した以外は、上記(4-2)と同様にして、黄色の色材分散液Y1を調製した。
上記(4-14)において、樹脂1の代わりに樹脂2を使用した以外は、上記(4-14)と同様にして、黄色の色材分散液Y1’を調製した。
上記(4-15)において、分散剤A(分散剤溶液A)の代わりに、日本ルーブリゾール(株)製のソルスパース24000を、固形分換算で分散剤Aと同一質量となるようにして使用した以外は、上記(4-15)と同様にして、黄色の色材分散液y1’を調製した。
上記(4-2)において、ピグメントレッド254ではなく、同じ量のピグメントイエロー150(E-4GN、Lanxess社製)を使用した以外は、上記(4-2)と同様にして、黄色の色材分散液Y2を調製した。
表1に示す赤色、青色及び黄色の各色の色材分散液と、以下に示す各成分を混合し、赤外光透過型組成物1~13、101を調製した。各色の色材分散液の比率は、表1に示す組成となるようにした。また、以下に示す各成分の含有量は、各色の色材分散液の合計量を100質量部とした場合の含有量である。
・重合性多官能化合物(東亞合成社製、アロニックスM-520、酸変性光硬化性多官能単量体):12.1質量部
・光重合開始剤:3.5質量部
・界面活性剤(DIC(株)製、メガファックF-559):0.1質量部
・PGMEA:121.1質量部
・シランカップリング剤(信越シリコーン社製、KBM-503):0.9質量部
透過型組成物調製例13では、光重合開始剤として、TR-PBG-3057(常州強力電子新材料社製。表1では「PBG3057」と略記。)と、NCI-930(ADEKA社製、表1では「NCI930」と略記。)を、PBG3057:NCI930=1:1(質量比)で使用した。
本発明の赤外光透過型組成物を使用することで得られる光フィルタの一例として、以下のようにして、基材と、基材上に形成されたブラックマトリクスと、光フィルタ部と、赤色着色部と、緑色着色部と、青色着色部とを有するカラーフィルタを作製した。
各赤外光透過型組成物を使用して作製したカラーフィルタについて得られた光フィルタ部の380nm~500nmの波長域での最大透過率、並びに、850nm、860nm及び940nmにおける透過率を表1に示す。また、赤外光透過型組成物12及び101を使用して作製したカラーフィルタについて得られた光フィルタ部の透過率を図1に示す。
各赤外光透過型組成物を、ガラス基板(NHテクノグラス(株)社製、「NA35」)上に、スピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートを用いて80℃で3分間乾燥し、超高圧水銀灯を用いて60mJ/cm2の紫外線で露光することにより、ガラス基板上に厚さ2.0μmの着色層を形成した。
次いで、0.05wt%カリウム(KOH)を現像液としてスピン現像し後、230℃で30分間焼成し、光フィルタを得た。
AA:皺が観察されなかった。
A:一部で皺が観察された。
B:全体で皺が観察された。
赤外光透過型組成物7と赤外光透過型組成物12の比較から、アルカリ可溶性樹脂が、エポキシ基とラジカル重合性二重結合を有する化合物によりラジカル重合性二重結合が側鎖に導入されたものである場合、近赤外領域における透過率が向上することがわかる。
赤外光透過型組成物1、赤外光透過型組成物5、赤外光透過型組成物6、赤外光透過型組成物7の比較から、各色材に適した色素誘導体を併用すると、近赤外領域における透過率(特に、近赤外領域において比較的短波長側の850nm~860nm付近の透過率)が向上することがわかる。
Claims (8)
- 色材、分散剤、溶剤、重合開始剤及び樹脂を含有する赤外光透過型組成物であって、該色材として、少なくとも、赤色色材、青色色材及び黄色色材を含有し、該分散剤が、下記一般式(1)で表される構成単位を含む塩基性ブロック型分散剤のみであり、該分散剤は、該一般式(1)で表される構成単位のうちの少なくとも一部に、該構成単位の窒素がカチオンとなるように、下記一般式(4)で表される化合物が結合して、塩を形成してなる分散剤であり、重量平均分子量が1000~30000であり、且つアミン価が30~150mgKOH/gであり、該樹脂が、ラジカル重合性二重結合が側鎖に導入されたものであり、該ラジカル重合性二重結合の導入に用いられる化合物が、エポキシ基とラジカル重合性二重結合を有する化合物であることを特徴とする赤外光透過型組成物。
- 上記樹脂が、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとの共重合体の側鎖にラジカル重合性二重結合が導入されたものであり、該ラジカル重合性二重結合の導入に用いられる化合物が、エポキシ基とラジカル重合性二重結合を有する化合物である請求項1に記載の赤外光透過型組成物。
- 上記赤色色材が、アントラキノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料及びアゾ系顔料からなる群より選択される1種以上の色材であり、上記青色色材が、フタロシアニン系顔料及びトリアリールメタン系顔料からなる群より選択される1種以上の色材であり、上記黄色色材が、アゾ系顔料、イソインドリン系顔料及びキノフタロン系顔料からなる群より選択される1種以上の色材である請求項1又は請求項2に記載の赤外光透過型組成物。
- 上記赤色色材が、C.I.ピグメントレッド177及び下記一般式(5)で表されるジケトピロロピロール系顔料からなる群より選択される1種以上の色材であり、
上記青色色材が、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4及びトリアリールメタン系レーキ顔料からなる群より選択される1種以上の色材であり、
上記黄色色材が、C.I.ピグメントイエロー150、下記黄色色材Y、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー185及びC.I.ピグメントイエロー138からなる群より選択される1種以上の色材である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の赤外光透過型組成物。
(黄色色材Y)
一般式(6)で表されるアゾ化合物並びにその互変異性構造のアゾ化合物のモノ、ジ、トリ及びテトラアニオンからなる群から選択される少なくとも1種のアニオンと、
Cd,Co,Al,Cr,Sn,Pb,Zn,Fe,Ni,Cu及びMnからなる群から選択される少なくとも2種の金属のイオンと、
下記一般式(7)で表される化合物とを含む黄色色材。
- 上記樹脂が、炭化水素環を有するものである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の赤外光透過型組成物。
- 上記色材が、酸性色素誘導体を含有する請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の赤外光透過型組成物。
- 上記色材が、2種以上の酸性色素誘導体を含有する請求項6に記載の赤外光透過型組成物。
- 請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の赤外光透過型組成物を硬化したものであることを特徴とする硬化物。
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