JP7293193B2 - 吸水性スクラブ剤、その製造方法、及び化粧料 - Google Patents
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Description
項1. 純水吸水倍率が、30倍以上であり、かつ、吸水して30質量倍に膨潤した状態における圧縮破断応力が、0.14~1.40Nである、吸水性スクラブ剤。
項2. 第1のポリマー粒子に第2のポリマーが浸透した構造を有する、項1に記載の吸水性スクラブ剤。
項3. 前記第1のポリマー粒子が、単量体A及びその塩のうち少なくとも一方を含む第1の単量体成分の重合体を含み、
前記第2のポリマーが、単量体B及びその塩のうち少なくとも一方を含む第2の単量体成分の重合体を含み、
前記単量体Aの酸解離指数が、前記単量体Bの酸解離指数よりも小さい、項1又は2に記載の吸水性スクラブ剤。
項4. 前記単量体Bの酸解離指数と前記単量体Aの酸解離指数の差(ΔpKa)が、1.5以上である、項3に記載の吸水性スクラブ剤。
項5. 前記単量体Aが、不飽和スルホン酸系単量体であり、
前記単量体Bが、水溶性エチレン性不飽和単量体である、項4に記載の吸水性スクラブ剤。
項6. 顆粒状、略球状、または略球状の粒子が凝集した形状である、項1~5のいずれかに記載の吸水性スクラブ剤。
項7. 第1のポリマー粒子を用意する工程と、
前記第1のポリマー粒子に、第2のポリマーを形成する、単量体B及びその塩のうち少なくとも一方を含む第2の単量体成分を浸透させる工程と、
前記第1のポリマー粒子中に浸透した前記第2の単量体成分を重合させて、前記第1のポリマー粒子に前記第2のポリマーが浸透した構造を形成する工程と、を備える、吸水性スクラブ剤の製造方法。
項8. 請求項1~6のいずれかに記載の吸水性スクラブ剤を含む、化粧料。
本発明の吸水性スクラブ剤は、粒子状の吸水性樹脂である。吸水性スクラブ剤(粒子状の吸水性樹脂)は、第1のポリマー粒子に第2のポリマーが浸透した構造を有していることが好ましい。第1のポリマー粒子に第2のポリマーが浸透した構造とは、第1のポリマー粒子の表面から内側にかけて第2のポリマーが存在していることを意味しており、例えば後述のような吸水性スクラブ剤の製造方法によって形成される構造である。
吸水性スクラブ剤の純水吸水倍率は、実施例に記載の方法により測定される値である。
なお、吸水性スクラブ剤の圧縮破断応力は、純水を吸水して30質量倍に膨潤した状態における測定値である。
吸水性スクラブ剤の圧縮破断応力は、実施例に記載の方法により測定される。
吸水性スクラブ剤の中位粒子径は、JIS標準篩を用いて測定され、具体的には、実施例に記載の方法により測定される値である。
単量体Bの酸解離指数と単量体Aの酸解離指数との差(ΔpKa)が上記範囲内であれば、第1のポリマー粒子の浸透圧が高くなり、且つ、第2の単量体成分に含まれる単量体B及び/又はその塩がイオン化し難くなることにより、第1のポリマー粒子に第2の単量体成分が良好に浸透すると考えられる。
なお、単量体A及びBの酸解離指数(pKa)は、実施例に記載の方法により測定される値である。
吸水性スクラブ剤の製造方法においては、まず、第1のポリマー粒子を用意する。次に、第1のポリマー粒子に、第2のポリマーを形成する、単量体B及びその塩のうち少なくとも一方を含む第2の単量体成分を浸透させる。さらに、第1のポリマー粒子中に浸透した第2の単量体成分を重合させて、第1のポリマー粒子に第2のポリマーが浸透した構造を有する吸水性スクラブ剤を得る。以下、これらの工程について詳述する。
[第1の単量体成分]
第1のポリマー粒子を形成する第1の単量体成分は、単量体Aのみを含んでいてもよいし、単量体Aの塩のみを含んでいてもよいし、単量体A及びその塩のみを含んでいてもよいし、単量体A及び/又はその塩に加えて単量体Xを含んでいてもよい。
また、単量体Aを2種以上組み合わせて用いる場合、単量体Bとの酸解離指数の差(ΔpKa)を求める際に基準となる単量体Aは、2種以上の単量体Aのうち最も酸解離指数の大きなものである。
炭化水素分散媒としては、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,3-ジメチルペンタン、3-エチルペンタン、n-オクタン等の炭素数6~8の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、trans-1,2-ジメチルシクロペンタン、cis-1,3-ジメチルシクロペンタン、trans-1,3-ジメチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの炭化水素分散媒の中でも、特に、工業的に入手が容易であり、品質が安定しており且つ安価である点で、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサンが好適に用いられる。これらの炭化水素分散媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせた混合物を用いてもよい。なお、炭化水素分散媒の混合物の例としては、エクソールヘプタン(エクソンモービル社製:ヘプタン及びその異性体の炭化水素75~85質量%含有)等の市販品が挙げられる。
逆相懸濁重合においては、第1の単量体成分の炭化水素分散媒中での分散安定性を向上させるために、分散安定剤を用いてもよい。
分散安定剤としては、界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、N-アルキルグルコンアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルのリン酸エステル等を用いることができる。これらの界面活性剤の中でも、特に、単量体の分散安定性の面から、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルを用いることが好ましい。これらの界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、分散安定剤は、前述した界面活性剤と共に、高分子系分散剤を併せて用いてもよい。高分子系分散剤としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー)、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・ブタジエン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。これらの高分子系分散剤の中でも、特に、単量体の分散安定性の面から、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体を用いることが好ましい。これらの高分子系分散剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
内部架橋剤としては、例えば、(ポリ)エチレングリコール〔「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合を意味する。以下同様〕、(ポリ)プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、(ポリ)グリセリン等のポリオール類のジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類;前記のポリオールとマレイン酸、フマル酸等の不飽和酸とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N-メチレンビスアクリルアミド等のビスアクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸エステル類又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類;トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類;アリル化澱粉、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、N,N’,N’’-トリアリルイソシアネート、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和基を2個以上有する化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等のジグリシジル化合物、トリグリシジル化合物等のポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α-メチルエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリン化合物;2,4-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物等の反応性官能基を2個以上有する化合物;3-メチル-3-オキセタンメタノール、3-エチル-3-オキセタンメタノール、3-ブチル-3-オキセタンメタノール、3-メチル-3-オキセタンエタノール、3-エチル-3-オキセタンエタノール、3-ブチル-3-オキセタンエタノール等のオキセタン化合物等が挙げられる。これらの内部架橋剤の中でも、ポリグリシジル化合物を用いることが好ましく、ジグリシジルエーテル化合物を用いることがより好ましく、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテルを用いることが好ましい。これらの内部架橋剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
第1のポリマー粒子の製造において、第1の単量体成分は、ラジカル重合開始剤を用いることで重合する。ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ系化合物及び過酸化物を列挙することができる。また、アゾ系化合物と過酸化物を併用することもできる。ラジカル重合開始剤の形態は、粉体であってもよいし、水溶液であってもよい。
アゾ系化合物としては、例えば、1-{(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ}ホルムアミド、2,2’-アゾビス[2-(N-フェニルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[N-(4-クロロフェニル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[N-(4-ヒドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(N-ベンジルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(N-アリルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[N-(2-ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミド)二塩酸塩、4,4’-アゾビス-4-シアノバレイン酸、2,2’-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]四水和物、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ化合物が挙げられる。これらの中でも、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]四水和物が好ましい。これらアゾ系化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
過酸化物としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレート、過酸化水素等の過酸化物類が挙げられる。これらの過酸化物の中でも、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素を用いることが好ましく、さらに、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムを用いることがより好ましい。これらの過酸化物は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
第1のポリマー粒子の製造では、所望により添加剤を、第1の単量体成分に添加して逆相懸濁重合を行うようにしてもよい。添加剤としては、例えば、連鎖移動剤、増粘剤等が挙げられる。
例えば、連鎖移動剤の存在下に第1の単量体成分の重合を行うようにしてもよい。
また、第1の単量体成分を含む水溶液に対して増粘剤を添加して逆相懸濁重合を行うようにしてもよい。このように増粘剤を添加して水溶液粘度を調整することによって、逆相懸濁重合において得られる中位粒子径を制御することも可能である。
逆相懸濁重合を行うにあたっては、例えば、分散安定剤の存在下に、第1の単量体成分を含む水溶液を、炭化水素分散媒に分散させる。このとき、重合反応を開始する前であれば、分散安定剤(界面活性剤や高分子系分散剤)の添加時期は、第1の単量体成分の水溶液を炭化水素分散媒に分散させる前後どちらであってもよい。
次に、第1のポリマー粒子に、第2のポリマーを形成する、単量体B及びその塩のうち少なくとも一方を含む第2の単量体成分を浸透させる。第2の単量体成分は、単量体Bのみを含んでいてもよいし、単量体Bの塩のみを含んでいてもよいし、単量体B及びその塩のみを含んでいてもよいし、単量体B及び/又はその塩に加えて単量体B及びその塩以外の単量体(以下、単量体Yと称する)を含んでいてもよい。
また、単量体Bを2種以上組み合わせて用いる場合、単量体Aとの酸解離指数の差(ΔpKa)を求める際に基準となる単量体Bは、2種以上の単量体Bのうち最も酸解離指数の小さなものである。
次に、第1のポリマー粒子中に浸透した第2の単量体成分を重合させて、第1のポリマー粒子に第2のポリマーが浸透した構造を有する吸水性スクラブ剤を得る。
吸水性スクラブ剤の製造方法においては、前記の方法によって得られた、第1のポリマー粒子に第2のポリマーが浸透した構造を有する吸水性スクラブ剤の含水ゲル状物に対して、後架橋剤で後架橋する(後架橋反応)こともできる。この後架橋反応は、第2の単量体成分の重合後以降に後架橋剤の存在下に行うことが好ましい。このように、重合後以降に、吸水性スクラブ剤の含水ゲル状物に対して後架橋反応を施すことによって、吸水性スクラブ剤の表面近傍の架橋密度を高めて、その硬さをマッサージ効果に優れたより適度な範囲に調整することができる。
吸水性スクラブ剤の製造方法は、第2の単量体成分の重合を行った後、乾燥工程を含んでいてもよい。乾燥工程は、例えば、第2の単量体成分の重合を行った後、系に熱等のエネルギーを外部から加えることで、水、炭化水素分散媒等を蒸留により系(反応が行われる容器をいう)から除去する工程である。重合後の含水ゲルから脱水を行う場合、炭化水素分散媒中に含水ゲルが分散している系を加熱することで、水と炭化水素分散媒を共沸蒸留により系外に一旦留去する。このとき、留去した炭化水素分散媒のみを系内へ返送すると、連続的な共沸蒸留が可能である。その場合、乾燥中の系内の温度が、炭化水素分散媒との共沸温度以下に維持されるため、樹脂が劣化しにくい。引き続き、水及び炭化水素分散媒を留去することにより、吸水性スクラブ剤が得られる。
本発明の化粧料は、前述の本発明の吸水性スクラブ剤を含む。
本発明の吸水性スクラブ剤は、単体(単粒子)のまま用いてもよいし、複数(単粒子の集合体)を用いてもよいが、通常、その複数を化粧料に配合して用いられる。なお、本発明の化粧料には、本発明の吸水性スクラブ剤以外のスクラブ剤が含まれていてもよい。本発明の化粧料に含まれる、スクラブ剤の総量は、例えば0.1~10質量%、好ましくは0.3~7.0質量%、より好ましくは0.5~5.0質量%である。また、化粧料に含まれるスクラブ剤のうち、50質量%以上が本発明の吸水性スクラブ剤であることが好ましく、80質量%以上が本発明の吸水性スクラブ剤であることがより好ましく、100質量%が本発明の吸水性スクラブ剤であることがさらに好ましい。
化粧料が含み得る、本発明の吸水性スクラブ剤以外のスクラブ剤としては、例えば、活性炭の粒子、タルクの粉砕品、ポリエチレンなどの合成樹脂粒子、球状多孔質シリカなどが挙げられる。
作製した吸水性スクラブ剤を目開き250μmのJIS標準篩を通過し、目開き150μmのJIS標準篩の上に残る粒子に分級した。500mL容のビーカーに、純水500gをはかりとり、マグネチックスターラーバー(8mmφ×30mmのリングなし)で攪拌回転数600rpmにて攪拌しながら、150μmから250μmに分級した吸水性スクラブ剤0.25±0.0002gを、ままこが発生しないように分散させた。攪拌した状態で30分間放置し、吸水性スクラブ剤を十分に膨潤させた。その後、あらかじめ目開き75μmのJIS標準篩の質量Wa(g)を測定しておき、これを用いて、前記ビーカーの内容物をろ過し、篩を水平に対して約30度の傾斜角となるように傾けた状態で、30分間放置することにより余剰の水分をろ別した。吸水ゲルの入った篩の質量Wb(g)を測定し、以下の式により、純水吸水倍率を求めた。
純水吸水倍率(g/g)=[Wb-Wa](g)/吸水性スクラブ剤の質量(g)
作製した吸水性スクラブ剤を目開き250μmのJIS標準篩を通過し、目開き150μmのJIS標準篩上に残る粒子に分級した。10mL容のビーカーに、純水3.0gをはかりとり、マグネチックスターラーバー(4mmφ×11mmのリングなし)で攪拌しながら、分級した吸水性スクラブ剤0.10±0.0002gを添加した。攪拌した状態で2分間放置した後、攪拌を停止させ、さらに30分間放置し吸水性スクラブ剤を30質量倍に膨潤にさせて、吸水ゲルを得た。小型圧縮・引張試験機(島津製作所製「Eztest/CE」)を用いて、以下に示す操作および条件に基づいて、吸水ゲルの1粒の破断に必要となる荷重の測定を行った。吸水ゲル1粒を測定台の中央に置き、吸水ゲルの上方から圧子を下記条件に示す一定の速度(変位速度)で降下させ、圧子の移動距離に対する荷重のグラフを表示させながら、荷重の変動を記録した。圧子が吸水ゲルと接触すると吸水ゲルの反発力で荷重が増加する。一方、吸水ゲルが破断すると反発力が低下するため、荷重が減少する。このことから、降下に伴う荷重の増加が止まり、その後減少するまで圧子を移動させた(実施例1、2、3、および比較例2)。荷重が減少しなかったものは、条件に基づいて荷重がロードセルの負荷限界に達するまで圧子を降下させた(比較例1)。荷重の減少が起こる直前の最大の荷重を測定し、吸水ゲルの降伏荷重とみなした。この降伏荷重を吸水ゲルの破断に必要な荷重と判断した。降伏荷重の測定は、ロードセルAもしくはロードセルB(比較例1はロードセルAを使用し、実施例1~3および比較例2はロードセルBを使用)を用いて計3粒の吸水ゲルにおいて実施し、その平均値から圧縮破断応力(N)を求めた。なお、圧縮破断応力の値は、架橋重合体の強度を示す指標の一つであり、圧縮破断応力が高いほど、吸水ゲルが壊されにくい傾向がある。
ロードセルAの定量上限値及び定量下限値:20(N)及び0.4(N)
ロードセルBの定量上限値及び定量下限値:2(N)及び0.04(N)
変位速度:0.5(mm/min)
測定条件として設定したロードセルAの負荷限界(上限):15.0(N)
測定条件として設定したロードセルBの負荷限界(上限):1.5(N)
圧子:15(mmφ)
pKaの測定対象である単量体20.4gに対し、イオン交換水29.6gを100mLのガラスビーカーに量り取り、マグネチックスターラーバー(8mmφ×30mmのリングなし)で攪拌しながら5分間混ぜて40.8質量%の水溶液を作製した。この水溶液2.4gと生理食塩水50.0gを100mLのガラスビーカーに量り取り、マグネチックスターラーバー(8mmφ×30mmのリングなし)で攪拌し、測定用水溶液を作製した。測定用水溶液は測定直前まで17℃に調節した。酸解離指数の測定は、平沼産業株式会社の自動滴定装置(COM-1600)を用いて行った。測定用水溶液を攪拌しながら、10秒ごとに0.1Mの水酸化ナトリウムを0.025mLずつ滴下し、滴下ごとに測定用水溶液のpHの測定を行った。測定用水溶液の濃度と水酸化ナトリウムの滴下量および測定したpHからHenderson-Hasselbalch式を用いて単量体の酸解離指数pKaを求めた。
スクラブ剤を用いて化粧料を調製した。具体的には、スクラブ剤を目開き250μmのJIS標準篩を通過し、目開き150μmのJIS標準篩上に残る粒子を分級した。次に、下記の組成となるようにして、まず、成分1~2を混合し、70℃に加熱して攪拌、均一な混合液とした。次に、得られた混合液に対して、下記成分3~6を加え、攪拌して乳化型の化粧料(クリーム)を調製した。
成分1.ポリソルベート60 3g
成分2.精製水 66g
成分3.鉱油 10g
成分4.ミリスチン酸イソプロピル 10g
成分5.カプリル/カプリック ドリグリセリド 10g
成分6.スクラブ剤 1g
1 スクラブ剤の触感を感じず、マッサージ効果が低い
2 スクラブ剤の触感をやや感じるが、マッサージ効果はやや低い
3 スクラブ剤の触感を感じ、マッサージ効果は普通程度である
4 スクラブ剤の触感を好適に感じ、マッサージ効果がやや高い
5 スクラブ剤の触感を特に好適に感じ、マッサージ効果が高い
1 スクラブ剤の硬さによる刺激が強すぎる
2 スクラブ剤の硬さによる刺激が強い
3 スクラブ剤の硬さによる刺激がやや強い
4 スクラブ剤の硬さによる刺激はやや弱い
5 スクラブ剤の硬さによる刺激は弱い
還流冷却器、窒素ガス導入管、並びに、攪拌機として、翼径50mmの4枚傾斜パドル翼を2段有する攪拌翼を備えた内径110mm、2L容の丸底円筒型セパラブルフラスコを準備した。このフラスコに、炭化水素分散剤として、n-ヘプタン293gをとり、高分子分散剤として無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(三井化学株式会社、ハイワックス1105A)0.74gを添加し、攪拌しつつ加温溶解した後、58℃まで冷却した。
実施例1において、第1のポリマー粒子の内部架橋剤である3質量%のN,N’-メチレンビスアクリルアミド水溶液の添加量を3.38gに変更した以外は、実施例1と同様にして吸水性スクラブ剤を作製した。
続いて、作製した吸水性スクラブ剤の純水吸水倍率及び圧縮破断応力を、上述の方法により測定し、パネラーによる評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、第1のポリマー粒子の内部架橋剤である3質量%のN,N’-メチレンビスアクリルアミドの添加量を3.60gに変更した以外は、実施例1と同様にして吸水性スクラブ剤を作製した。
続いて、作製した吸水性スクラブ剤の純水吸水倍率及び圧縮破断応力を、上述の方法により測定し、パネラーによる評価を行った。その結果を表1に示す。
住友精化株式会社製の低密度ポリエチレン微粒子(フロービーズCL8007、低密度ポリエチレンの球状粒、粒子径0.6mm)を用意し、これを比較例1のスクラブ剤とした。
続いて、用意したスクラブ剤の純水吸水倍率及び圧縮破断応力を、上述の方法により測定し、パネラーによる評価を行った。なお、パネラーによる評価を行う際、低密度ポリエチレン微粒子は吸水により粒子径が増大しないため、低密度ポリエチレン微粒子は分級せずに、化粧料を作製した。その結果を表1に示す。
住友精化株式会社製の吸水性樹脂粒子(アクアキープSA50II、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物、粒子径256μm)を用意し、これを比較例1の吸水性スクラブ剤とした。
続いて、用意した吸水性スクラブ剤の純水吸水倍率及び圧縮破断応力を、上述の方法により測定し、パネラーによる評価を行った。その結果を表1に示す。
Claims (6)
- 純水吸水倍率が、30倍以上であり、かつ、吸水して30質量倍に膨潤した状態における圧縮破断応力が、0.14~1.40Nであり、
第1のポリマー粒子に第2のポリマーが浸透した構造を有する、吸水性スクラブ剤。 - 前記第1のポリマー粒子が、単量体A及びその塩のうち少なくとも一方の重合体であり、
前記単量体Aは、不飽和スルホン酸系単量体であり、
前記第2のポリマーが、単量体B及びその塩のうち少なくとも一方の重合体であり、
前記単量体Bは、水溶性エチレン性不飽和単量体であり、
前記単量体Aの酸解離指数が、前記単量体Bの酸解離指数よりも小さい、請求項1に記載の吸水性スクラブ剤。 - 前記単量体Bの酸解離指数と前記単量体Aの酸解離指数の差(ΔpKa)が、1.5以上である、請求項2に記載の吸水性スクラブ剤。
- 顆粒状、略球状、または略球状の粒子が凝集した形状である、請求項1~3のいずれかに記載の吸水性スクラブ剤。
- 第1のポリマー粒子を用意する工程と、
前記第1のポリマー粒子に、第2のポリマーを形成する、単量体B及びその塩のうち少なくとも一方を含む第2の単量体成分を浸透させる工程と、
前記第1のポリマー粒子中に浸透した前記第2の単量体成分を重合させて、前記第1のポリマー粒子に前記第2のポリマーが浸透した構造を形成する工程と、を備え、
前記第1のポリマー粒子が、単量体A及びその塩のうち少なくとも一方の重合体であり、
前記単量体Aは、不飽和スルホン酸系単量体であり、
前記第2のポリマーが、単量体B及びその塩のうち少なくとも一方の重合体であり、
前記単量体Bは、水溶性エチレン性不飽和単量体である、吸水性スクラブ剤の製造方法。 - 請求項1~5のいずれかに記載の吸水性スクラブ剤を含む、化粧料。
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