添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる傾き確認方法が用いられるレーザー加工装置2の構成例を示す斜視図である。なお、図1では、レーザー加工装置2の一部の構成要素を機能ブロックで示している。また、以下の説明で用いられるX軸方向(加工送り方向)、Y軸方向(割り出し送り方向)、及びZ軸方向(高さ方向)は、互いに垂直である。
図1に示すように、レーザー加工装置2は、各構成要素を支持する基台4を備えている。基台4の上面には、水平移動機構(加工送り機構、割り出し送り機構)6が配置されている。水平移動機構6は、基台4の上面に固定されY軸方向に対して概ね平行な一対のY軸ガイドレール8を備えている。Y軸ガイドレール8には、Y軸移動テーブル10がスライド可能に取り付けられている。
Y軸移動テーブル10の下面側には、ナット部(不図示)が設けられている。このY軸移動テーブル10のナット部には、Y軸ガイドレール8に対して概ね平行なY軸ボールネジ12が螺合されている。Y軸ボールネジ12の一端部には、Y軸パルスモータ14が連結されている。Y軸パルスモータ14でY軸ボールネジ12を回転させれば、Y軸移動テーブル10は、Y軸ガイドレール8に沿ってY軸方向に移動する。
Y軸移動テーブル10の上面には、X軸方向に対して概ね平行な一対のX軸ガイドレール16が設けられている。X軸ガイドレール16には、X軸移動テーブル18がスライド可能に取り付けられている。X軸移動テーブル18の下面側には、ナット部(不図示)が設けられている。
このX軸移動テーブル18のナット部には、X軸ガイドレール16に対して概ね平行なX軸ボールネジ20が螺合されている。X軸ボールネジ20の一端部には、X軸パルスモータ22が連結されている。X軸パルスモータ22でX軸ボールネジ20を回転させれば、X軸移動テーブル18は、X軸ガイドレール16に沿ってX軸方向に移動する。
X軸移動テーブル18の上面側には、円柱状のテーブル基台24が配置されている。また、テーブル基台24の上部には、被加工物11(図2参照)の保持に使用されるチャックテーブル(保持テーブル)26が配置されている。テーブル基台24の下部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。
この回転駆動源から発生する力によって、チャックテーブル26は、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、テーブル基台24及びチャックテーブル26は、上述した水平移動機構6によって、X軸方向及びY軸方向に移動する(加工送り、割り出し送り)。
図2は、被加工物11等の構成例を示す斜視図である。本実施形態で用いられる被加工物11は、例えば、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハである。図2に示すように、この被加工物11は、概ね平坦で互いに平行な上面11a及び下面11bを有している。
被加工物11の下面11bには、被加工物11よりも径の大きい粘着テープ(ダイシングテープ)13を貼付する。また、粘着テープ13の外周部分には、環状のフレーム15を固定する。すなわち、被加工物11は、粘着テープ13を介してフレーム15に支持される。
なお、本実施形態では、シリコン等の半導体材料でなる円盤状のウェーハを被加工物11としているが、被加工物11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる任意の形状の基板を被加工物11として用いることもできる。また、チャックテーブル26によって被加工物11を適切に保持できるようであれば、被加工物11の下面11bには、必ずしも粘着テープ13を貼付しなくて良い。
チャックテーブル26の上面の一部は、例えば、多孔質材で構成されており、被加工物11を保持するための保持面26aになる。この保持面26aは、X軸方向及びY軸方向に対して概ね平行に形成されており、チャックテーブル26の内部に設けられた吸引路(不図示)等を介して吸引源(不図示)に接続されている。また、チャックテーブル26の周囲には、被加工物11を支持する環状のフレーム15を固定する4個のクランプ28が設けられている。
水平移動機構6のY軸方向の一方側の領域には、X軸方向に対して概ね垂直な側面を持つ柱状の支持構造30が設けられている。この支持構造30の側面には、鉛直移動機構(高さ調整機構)32が配置されている。鉛直移動機構32は、支持構造30の側面に固定されZ軸方向に対して概ね平行な一対のZ軸ガイドレール34を備えている。Z軸ガイドレール34には、Z軸移動テーブル36がスライド可能に取り付けられている。
Z軸移動テーブル36の裏面側(Z軸ガイドレール34側)には、ナット部(不図示)が設けられている。このZ軸移動テーブル36のナット部には、Z軸ガイドレール34に対して概ね平行なZ軸ボールネジ(不図示)が螺合されている。Z軸ボールネジの一端部には、Z軸パルスモータ38が連結されている。Z軸パルスモータ38でZ軸ボールネジを回転させれば、Z軸移動テーブル36は、Z軸ガイドレール34に沿ってZ軸方向に移動する。
Z軸移動テーブル36の表面側には、支持具40が固定されており、この支持具40には、レーザービーム照射ユニット42の一部が支持されている。レーザービーム照射ユニット42は、例えば、基台4に固定されたレーザー発振器(不図示)と、支持具40に支持された筒状のハウジング44と、ハウジング44のY軸方向の端部に設けられた照射ヘッド46と、を含む。
レーザー発振器は、例えば、レーザー発振に適したNd:YAG等のレーザー媒質を含んでおり、被加工物11に吸収される波長のレーザービームを生成してハウジング44側に放射する。ハウジング44は、レーザービーム照射ユニット42を構成する光学系の一部を収容しており、レーザー発振器から放射されたレーザービームを照射ヘッド46へと導く。なお、この光学系は、主に、ミラーやレンズ等の光学部品によって構成される。
照射ヘッド46には、レーザービーム照射ユニット42を構成する光学系の別の一部が設けられている。例えば、この照射ヘッド46は、ハウジング44から導かれたレーザービームの進路をミラー(不図示)等で下向きに変え、集光用のレンズ46a(図3(A)等参照)で所定の高さに集光する。
照射ヘッド46のX軸方向の一方側の領域には、レーザービーム照射ユニット42のハウジング44に固定された撮像ユニット48が配置されている。撮像ユニット48は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等を含み、チャックテーブル26によって保持された被加工物11の上面11a側を撮像する際に用いられる。
基台4の上部は、各構成要素を収容できるカバー(不図示)によって覆われている。このカバーの側面には、ユーザーインターフェースとなるタッチパネル式のディスプレイ(入出力ユニット)50が配置されている。例えば、被加工物11を加工する際に適用される種々の条件は、このディスプレイ50を介してレーザー加工装置2に入力される。また、撮像ユニット48で生成された画像は、ディスプレイ50に表示される。
水平移動機構6、鉛直移動機構32、レーザービーム照射ユニット42、撮像ユニット48、ディスプレイ50等の構成要素は、それぞれ、制御部(制御ユニット)52に接続されている。制御部52は、被加工物11の加工に必要な一連の工程に合わせて、上述した各構成要素を制御する。
制御部52は、代表的には、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置や、フラッシュメモリ等の記憶装置を含むコンピュータによって構成される。記憶装置に記憶されたソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御部52の機能が実現される。
レーザー加工装置2を用いて被加工物11を加工する際には、まず、下面11bに貼付された粘着テープ13を介して被加工物11をチャックテーブル26に載せ、吸引源の負圧を保持面26aに作用させる。これにより、被加工物11はチャックテーブル26に保持され、その上面11aが露出する。なお、フレーム15は、4個のクランプ28によって固定される。
被加工物11をチャックテーブル26で保持した後には、図2に示すように、水平移動機構6でチャックテーブル26をX軸方向に移動させながら、レーザービーム照射ユニット42の照射ヘッド46から下方にレーザービーム21を照射する。照射ヘッド46のZ軸方向の位置(高さ)は、例えば、被加工物11の上面11a等にレーザービーム21が集光するように調整される。
これにより、チャックテーブル26の移動の経路に沿って被加工物11にレーザービーム21を照射し、このレーザービーム21によって被加工物11の上面11a側を加工できる(アブレーション加工)。本実施形態では、被加工物11と照射ヘッド46とがX軸方向に沿って相対的に移動するので、図2に示すように、X軸方向に沿う直線状の溝11cが被加工物11の上面11a側に形成される。
上述のように、撮像ユニット48は、レーザービーム照射ユニット42のハウジング44に固定されており、照射ヘッド46に対してX軸方向の一方側の領域に配置される。よって、例えば、被加工物11に溝11cを形成した後、チャックテーブル26をX軸方向に移動させれば、この溝11cを撮像ユニット48によって撮像できる。
次に、本実施形態の傾き確認方法について詳述する。図3(A)は、被加工物11の上面11aにレーザービーム21が集光するように照射ヘッド46の高さを調整した状態で、被加工物11にレーザービーム21が照射される様子を示す側面図である。図3(B)は、図3(A)の条件で被加工物11に形成される溝11dを撮像ユニット48で撮像して得られる画像31aの例を示す図である。
本実施形態のレーザービーム照射ユニット42が備える光学系は、例えば、被加工物11の上面11aにレーザービーム21を集光させた際に、このレーザービーム21がY軸方向で基準となる所定の位置17に集光するように調整されている。そのため、レーザービーム21の集光点23が被加工物11の上面11aに位置付けられる図3(A)の条件では、この基準となる位置17に溝11dが形成される。なお、図3(B)の画像31a内には、図3(A)の位置17に対応する位置17aが一点鎖線で示されている。
本実施形態の傾き確認方法では、まず、被加工物11の上面11aを基準とする第1高さの位置にレーザービーム21を集光させて、この被加工物11に第1溝を形成する(第1加工ステップ)。図4(A)は、被加工物11の上面11aを基準とする第1高さh1の位置にレーザービーム21が集光するように照射ヘッド46の高さを調整した状態で、被加工物11にレーザービーム21が照射される様子を示す側面図である。
具体的には、図4(A)に示すように、被加工物11の上面11aを基準とする第1高さh1の位置にレーザービーム21が集光するように、鉛直移動機構32で照射ヘッド46の高さを調整する。そして、この状態で、照射ヘッド46から下方にレーザービーム21を照射しながら、被加工物11を保持しているチャックテーブル26を水平移動機構6でX軸方向に移動させる。
つまり、被加工物11の上面11aを基準とする第1高さh1の位置にレーザービーム21を集光させながら、被加工物11と照射ヘッド46とを被加工物11の上面11aに沿う方向に相対的に移動させる。その結果、被加工物11に照射されるレーザービーム21によって、X軸方向に沿う直線状の第1溝11e(図4(B)参照)が被加工物11の上面11a側に形成される。
本実施形態では、被加工物11の上面11aより下方にレーザービーム21が集光するように、被加工物11の上面11aを基準とする第1高さh1を設定している。つまり、本実施形態の第1高さh1は、負の値になる。ただし、第1高さh1の値に特段の制限はない。例えば、第1高さh1は、正の値又はゼロとなるように設定されても良い。
被加工物11に第1溝11eを形成した後には、第1溝11eを上方から撮像して画像を得る(第1画像取得ステップ)。図4(B)は、第1溝11eを撮像ユニット48で撮像して得られる画像(第1画像)31bの例を示す図である。なお、図4(B)の画像31b内には、図4(A)の位置17に対応する位置17bが一点鎖線で示されている。
具体的には、例えば、被加工物11に第1溝11eを形成した後に、チャックテーブル26をX軸方向に移動させて、撮像ユニット48の下方に第1溝11eを位置付ける。そして、この撮像ユニット48で下方の第1溝11eを撮像する。撮像ユニット48によって得られた画像31bは、例えば、制御部52に記憶され、必要に応じてディスプレイ50に表示される。
上述のように、本実施形態のレーザービーム照射ユニット42の光学系は、被加工物11の上面11aにレーザービーム21を集光させた際に、このレーザービーム21がY軸方向で基準となる所定の位置17に集光するように調整されている。そのため、被加工物11に照射されるレーザービーム21の中心線21aが傾いた状態で、このレーザービーム21の集光点23を被加工物11の上面11aより下方に位置付けると、図4(A)に示すように、上面11aと中心線21aとの交点は、基準となる位置17からずれる。
なお、被加工物11に照射されるレーザービーム21の中心線21aが傾く理由は、様々である。本実施形態では、レンズ46aの中心軸(光軸)46bに対して非対称なレーザービーム21がレンズ46aに入射することで被加工物11に照射されるレーザービーム21の中心線21aが傾いた場合を例示している。その他にも、中心軸46bに対して非平行なレーザービーム21がレンズ46aに入射する場合等には、被加工物11に照射されるレーザービーム21の中心線21aが傾く。
第1溝11eの幅方向(Y軸方向)の中央の位置は、上面11aと中心線21aとの交点に概ね一致するので、この第1溝11eの幅方向の中央の位置も、基準となる位置17からずれることになる。よって、第1溝11eを撮像ユニット48で上方から撮像すると、図4(B)に示すような画像31bが得られる。
被加工物11に照射されるレーザービーム21の中心線21aは、被加工物11に対するレーザービーム21の入射方向21bに対して概ね平行なので、入射方向21bの傾きは、中心線21aの傾きに概ね等しくなる。なお、画像31bのx軸方向及びy軸方向は、それぞれ、レーザー加工装置2のX軸方向及びY軸方向に対応している。
画像31bを得た後には、第1高さh1とは異なる第2高さの位置にレーザービーム21を集光させて、この被加工物11に第2溝を形成する(第2加工ステップ)。図5(A)は、被加工物11の上面11aを基準とする第2高さh2の位置にレーザービーム21が集光するように照射ヘッド46の高さを調整した状態で、被加工物11にレーザービーム21が照射される様子を示す側面図である。
具体的には、水平移動機構6でチャックテーブル26をY軸方向に移動させて、被加工物11の第1溝11eが形成されていない領域を照射ヘッド46の下方に位置付ける。ただし、第1溝11eと重ならない位置に第2溝を形成できるようであれば、この動作は省略されても良い。
また、図5(A)に示すように、被加工物11の上面11aを基準とする第2高さh2の位置にレーザービーム21が集光するように、鉛直移動機構32で照射ヘッド46の高さを調整する。そして、この状態で、照射ヘッド46から下方にレーザービーム21を照射しながら、被加工物11を保持しているチャックテーブル26を水平移動機構6でX軸方向に移動させる。
つまり、被加工物11の上面11aを基準とする第1高さh1とは異なる第2高さh2の位置にレーザービーム21を集光させながら、被加工物11と照射ヘッド46とを被加工物11の上面11aに沿う方向に相対的に移動させる。その結果、被加工物11に照射されるレーザービーム21によって、X軸方向に沿う直線状の第2溝11f(図5(B)参照)が被加工物11の上面11a側に形成される。
本実施形態では、被加工物11の上面11aより上方にレーザービーム21が集光するように、被加工物11の上面11aを基準とする第2高さh2を設定している。つまり、本実施形態の第2高さh2は、正の値になる。ただし、第1高さh1の値と第2高さh2の値とが異なる限りは、第2高さh2の値に特段の制限はない。例えば、第2高さh2は、負の値又はゼロとなるように設定されても良い。
被加工物11に第2溝11fを形成した後には、第2溝11fを上方から撮像して画像を得る(第2画像取得ステップ)。図5(B)は、第2溝11fを撮像ユニット48で撮像して得られる画像(第2画像)31cの例を示す図である。なお、図5(B)の画像31c内には、図5(A)の位置17に対応する位置17cが一点鎖線で示されている。
具体的には、例えば、被加工物11に第2溝11fを形成した後に、チャックテーブル26をX軸方向に移動させて、撮像ユニット48の下方に第2溝11fを位置付ける。そして、この撮像ユニット48で下方の第2溝11fを撮像する。撮像ユニット48によって得られた画像31cは、例えば、制御部52に記憶され、必要に応じてディスプレイ50に表示される。
上述のように、本実施形態のレーザービーム照射ユニット42の光学系は、被加工物11の上面11aにレーザービーム21を集光させた際に、このレーザービーム21がY軸方向で基準となる所定の位置17に集光するように調整されている。そのため、被加工物11に照射されるレーザービーム21の中心線21aが傾いた状態で、このレーザービーム21の集光点23を被加工物11の上面11aより上方に位置付けると、図5(A)に示すように、上面11aと中心線21aとの交点は、基準となる位置17からずれる。
第2溝11fの幅方向(Y軸方向)の中央の位置は、上面11aと中心線21aとの交点に概ね一致するので、この第2溝11fの幅方向の中央の位置も、基準となる位置17からずれることになる。よって、第2溝11fを撮像ユニット48で上方から撮像すると、図5(B)に示すような画像31cが得られる。
被加工物11に照射されるレーザービーム21の中心線21aは、被加工物11に対するレーザービーム21の入射方向21bに対して概ね平行なので、入射方向21bの傾きは、中心線21aの傾きに概ね等しくなる。なお、画像31cのx軸方向及びy軸方向は、それぞれ、レーザー加工装置2のX軸方向及びY軸方向に対応している。
第1溝11eを撮像して画像31bを得た後には、この画像31bに基づき、画像31b内の基準となる位置17bと第1溝11eとの距離に相当する第1ずれ量、つまり、画像31b内の基準となる位置17bに対する第1溝11eの位置を表す第1ずれ量を算出する(第1ずれ量算出ステップ)。図6(A)は、第1ずれ量y1と画像31bとの関係を模式的に示す図である。
具体的には、例えば、制御部52が画像31bに対してエッジ検出等の処理を行い、第1溝11eが有する2つのエッジのy座標の値をそれぞれ算出する。そして、第1溝11eの2つのエッジのy座標の値から、この第1溝11eの幅方向(y軸方向)の中央の位置33bのy座標の値を算出する。算出された位置33bのy座標の値は、制御部52に記憶される。
その後、制御部52は、位置33bのy座標の値と、画像31b内の基準となる位置17bのy座標の値と、から、第1ずれ量y1を算出する。つまり、本実施形態では、位置33bのy座標の値と、位置17bのy座標の値と、の差を第1ずれ量y1としている。算出された第1ずれ量y1の値は、制御部52に記憶される。
同様に、第2溝11fを撮像して画像31cを得た後には、この画像31cに基づき、画像31c内の基準となる位置17cと第2溝11fとの距離に相当する第2ずれ量、つまり、画像31c内の基準となる位置17cに対する第2溝11fの位置を表す第2ずれ量を算出する(第2ずれ量算出ステップ)。図6(B)は、第2ずれ量y2と画像31cとの関係を模式的に示す図である。
具体的には、例えば、制御部52が画像31cに対してエッジ検出等の処理を行い、第2溝11fが有する2つのエッジのy座標の値をそれぞれ算出する。そして、第2溝11fの2つのエッジのy座標の値から、この第2溝11fの幅方向(y軸方向)の中央の位置33cのy座標の値を算出する。算出された位置33cのy座標の値は、制御部52に記憶される。
その後、制御部52は、位置33cのy座標の値と、画像31c内の基準となる位置17cのy座標の値と、から、第2ずれ量y2を算出する。つまり、本実施形態では、位置33cのy座標の値と、位置17cのy座標の値と、の差を第2ずれ量y2としている。算出された第2ずれ量y2の値は、制御部52に記憶される。
なお、上述のように、照射ヘッド46の位置と撮像ユニット48の位置との関係は一定であり、変わることがない。つまり、上述のような手順で得られる画像31b内の位置17bのy座標の値と、画像31c内の位置17cのy座標の値と、は、実質的に等しくなる。
したがって、位置17bのy座標の値と、位置17cのy座標の値と、を取得するために、制御部52が何らかの処理を行う必要はない。また、本実施形態では、撮像ユニット48によって取得される画像内に基準となる位置を表示しているが、画像内には、必ずしも基準となる位置を表示しなくて良い。
第1ずれ量y1と第2ずれ量y2とを算出した後には、この第1ずれ量y1と第2ずれ量y2とに基づいて、被加工物11の上面11aに対する入射方向21bの傾きを確認する(傾き確認ステップ)。上述のように、被加工物11に対する照射ヘッド46の高さが異なる条件で、この被加工物11に溝を形成すると、入射方向21bが傾いている場合(つまり、中心線21aが傾いている場合)には、各溝の幅方向(Y軸方向)の中央の位置がずれることになる。
より具体的には、入射方向21bの傾きが大きいと、第1ずれ量y1と第2ずれ量y2との差も大きくなり、入射方向21bの傾きが小さいと、第1ずれ量y1と第2ずれ量y2との差も小さくなる。つまり、第1ずれ量y1と第2ずれ量y2との差は、レーザービーム21の入射方向21bの傾きに応じた値をとる。そのため、例えば、第1ずれ量y1と第2ずれ量y2との差に基づいて、入射方向21bの上面11aに対する傾きを確認できる。
この入射方向21bの傾きの確認は、例えば、オペレータによって行われる。もちろん、制御部52の演算処理等によって入射方向21bの傾きが確認されても良い。また、具体的な確認の方法にも特段の制限はない。例えば、第1ずれ量y1と第2ずれ量y2と第1高さh1と第2高さh2とに基づいて入射方向21bの傾きの角度を算出することもできる。
以上のように、本実施形態にかかる傾き確認方法では、第1高さh1の位置にレーザービーム21を集光させて被加工物11に第1溝11eを形成し、この第1溝11eを上方から撮像して得られる画像(第1画像)31bに基づいて、画像31b内の基準となる位置17bと第1溝11eの幅方向の中央の位置33bとの距離に相当する第1ずれ量y1を算出する。
同様に、第2高さh2の位置にレーザービーム21を集光させて被加工物11に第2溝11fを形成し、この第2溝11fを上方から撮像して得られる画像(第2画像)31cに基づいて、画像31c内の基準となる位置17cと第2溝11fの幅方向の中央の位置33cとの距離に相当する第2ずれ量y2を算出する。
第1溝11eと第2溝11fとは、それぞれ被加工物11の上面11aのレーザービーム21が照射された位置に形成されるので、第1ずれ量y1は、被加工物11の上面11aの所定の位置17からの第1溝11eのずれを表し、第2ずれ量y2は、被加工物11の上面11aの所定の位置17からの第2溝11fのずれを表すことになる。よって、第1ずれ量y1と第2ずれ量y2とに基づいて、レーザービーム21の入射方向21bの被加工物11に対する傾きを精度良く確認できる。
なお、本発明は、上述した実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。例えば、上述した実施形態の手順でレーザービーム21の入射方向21bの傾きを確認した後には、レーザービーム照射ユニット42の照射ヘッド46等(光学系)を調整する必要があるか否かを更に判定しても良い(判定ステップ)。
この場合には、例えば、入射方向21bの傾きに相当する第1ずれ量y1と第2ずれ量y2との差が許容される範囲内であれば、照射ヘッド46等を調整する必要がないと判定する。また、第1ずれ量y1と第2ずれ量y2との差が許容される範囲外であれば、照射ヘッド46等を調整する必要があると判定する。許容される範囲は、例えば、実際の長さに換算して、-5μm以上+5μm以下、好ましくは、-3μm以上+3μm以下である。
すなわち、確認された入射方向21bの傾きが許容される範囲内であれば、照射ヘッド46等を調整する必要がないと判定し、確認された入射方向21bの傾きが許容される範囲外であれば、照射ヘッド46等を調整する必要があると判定することになる。なお、この判定は、制御部52によって行われても良いし、オペレータによって行われても良い。
また、上述した実施形態では、図4(A)及び図5(A)に示すように、YZ平面内での入射方向21bの傾きを確認しているが、同様の手順でXZ平面内での入射方向21bの傾きを確認しても良い。具体的には、上述した実施形態のX軸方向(y軸方向)とY軸方向(y軸方向)との関係を入れ替えることで、XZ平面内での入射方向21bの傾きを確認できる。
また、上述した実施形態では、被加工物11に対して第1溝11eを形成した後に画像31bを取得し、また、被加工物11に対して第2溝11fを形成した後に画像31cを取得しているが、この手順は、矛盾を生じない範囲で任意に変更できる。例えば、被加工物11に対して第1溝11e及び第1溝11eを形成した後に、画像31b及び画像31cを取得しても良い。同様に、その他の手順も矛盾を生じない範囲で任意に変更できる。
また、上述した実施形態では、異なる条件で形成される2つの溝に対応する2つのずれ量に基づいて入射方向21bの傾きを確認しているが、異なる条件で形成される3つ以上の溝に対応する3つ以上のずれ量を算出し、これら3つ以上のずれ量に基づいて入射方向21bの傾きを確認しても良い。この場合には、入射方向21bの傾きをより高い精度で確認できるようになる。
また、上述した実施形態では、各溝の幅方向(y軸方向)の中央の位置のy座標の値に基づいてずれ量を算出しているが、このずれ量は、基準となる位置と各溝との距離に相当するものであれば良い。例えば、異なる条件で形成される複数の溝の幅に大きな違いがない場合には、各溝のエッジのy座標の値に基づいてずれ量を算出することもできる。すなわち、基準となる位置のy座標の値と、各溝のエッジのy座標の値と、の差を、ずれ量とすることもできる。
また、上述した実施形態では、被加工物11の上面11aにレーザービーム21を集光させた際に、このレーザービーム21が集光するY軸方向(y軸方向)の位置を、基準となる位置17に設定しているが、この基準となる位置は任意に設定される。例えば、取得される画像の端部に相当する位置を、基準となる位置に設定することもできる。
また、上述した実施形態のレーザービーム照射ユニット42の光学系は、被加工物11の上面11aにレーザービーム21を集光させる際に、レーザービーム21がY軸方向で基準となる所定の位置17に集光するように調整されているが、このような調整は、必ずしも行われていなくても良い。更に、上述した実施形態では、制御部52が第1ずれ量y1及び第2ずれ量y2を算出しているが、オペレータがずれ量を算出しても良い。また、第1溝11eと第2溝11fとは、別の被加工物11に形成されても良い。
その他、上述した実施形態や変形例にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。