以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
[1.車両の構成]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る車両1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る車両1の構成を示す概略図である。
なお、本実施形態では、車両1が動力源としてエンジンのみを備えた車両である例について説明する。しかし、本発明は、かかる例に限定されず、動力源としてエンジンおよびモータの双方を備えたハイブリッド車両などにも適用可能である。
図1に示すように、車両1は、エンジン10と、トランスミッション20と、フィルタ装置(例えば、GPF30)と、カバー50(上部カバー52、アンダーカバー54)と、フロアパネル56と、冷却機構70と、制御部80とを備える。なお、車両1は、これらの装置以外にも、ディファレンシャルギヤ、ドライブシャフト、駆動輪などの駆動機構や、操作装置、ラジエータ、オイルポンプ、各種センサ、補器(例えば、空調機器または音響機器)など、車両に搭載される種々の装置若しくは部品を備えるが、図1では図示を省略してある。
エンジン10は、ガソリンまたは軽油などの燃料を燃焼させて、車両1を走行させるための動力を生成する内燃機関である。エンジン10から出力される動力は、例えば、車両1の駆動輪の駆動に用いられる。エンジン10は、車両1の前部に設けられるエンジンルーム3内に配置されている。エンジンルーム3は、車両1内の空間のうち車室2よりも前側の空間である。車室2とエンジンルーム3は、トーボード(図示せず。)等の構造部材によって区画されている。また、車室2の下部側はフロアパネル56により区画されている。
トランスミッション20は、エンジン10から伝達される回転動力のトルクや回転数等を変換し、当該変換された回転動力を出力軸へと伝達する。トランスミッション20は、例えば、多段の減速機構でもよく、または無段変速機構(CVT;Continuously Variable Transmission)でもよい。トランスミッション20は、減速された回転動力を、例えば、不図示のディファレンシャルギヤおよびドライブシャフト等を介して駆動輪に伝達する。このようにして、エンジン10が発生させた駆動力により、車両1が走行する。
GPF30は、フィルタ装置の一例であり、ガソリンを燃料とする車両1に搭載される。GPF30等のフィルタ装置は、エンジン10から排出される排気ガスを浄化するための処理装置であり、エンジン10から排出される排気ガスに含まれる粒子状物質を、捕捉して除去する機能を有する。
エンジン10の燃焼室で燃料が燃焼されることにより生じた排気ガスは、排気路32を通じて、エンジン10の後段に配置される排気系統に排出される。排気ガスには、炭化水素(HC:Hydro Carbon)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM:Particulate Matter)が含まれるため、これらを除去する必要がある。そこで、排気路32の途中に三元触媒およびフィルタ装置を設置し、三元触媒により、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物を除去し、フィルタ装置により粒子状物質を除去する。
三元触媒(Three-Way Catalyst)は、排気路32内に設けられる触媒である。三元触媒は、例えば、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)を担持した担体で構成され、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物を除去する。フィルタ装置は、排気路32における三元触媒の下流側に設けられ、排気ガス中の粒子状物質を濾過して捕捉する。粒子状物質は、例えば、エンジン10で燃え残った燃料(例えば炭化物)の煤(Soot)や、オイル由来のアッシュなどの微粒子である。
本実施形態に係るGPF30は、当該三元触媒とフィルタ装置が一体化された処理装置で構成され、三元触媒の浄化機能が付加されている。しかし、かかる例に限定されず、三元触媒とフィルタ装置を分離した別の装置で構成してもよい。
GPF30は、例えば、ウォールフロー型フィルタ装置で構成される。ウォールフロー型フィルタ装置は、排気ガスを通過させる細孔が複数形成されたフィルタ壁で区画された複数のセルを有し、排気ガス中の粒子状物質をフィルタ壁の微細な細孔構造で捕集する。
GPF30は、エンジン10から排出された排気ガスを車外に排出するための排気路32の途中に設けられる。排気路32は、エンジン10の排気ポートと、排気ガスを車外に排出するマフラー(図示せず。)とを接続する排気管で構成される。エンジン10から排出された排気ガスは、排気路32を通じてGPF30に導入され、GPF30の上記触媒機能およびフィルタ機能により浄化される。さらに、GPF30により浄化された排気ガスは、排気路32を通じて下流側のマフラーに導入され、車外に排出される。
ところで、GPF30により捕集された粒子状物質は、時間と共にフィルタ壁の細孔内に堆積していく。このため、フィルタの目詰まりや、粒子状物質の捕集性能の低下、排気ガスの圧力損失などの不具合が生じる。
このため、GPF30内の温度を高温にして、GPF30のフィルタ壁に堆積した粒子状物質を、高温で燃焼させて除去する再生処理を行うことが必要になる。再生処理は、排気路32に外気を供給して、GPF30内のフィルタ部分を強制的に昇温し、GPF30のフィルタ壁に捕捉されて堆積した粒子状物質(煤およびアッシュ)のうち、主に煤を燃焼させて除去する処理(強制昇温処理)である。かかる再生処理を行うことにより、煤により目詰まりしたフィルタ壁を再生できるので、GPF30は、再び粒子状物質を好適に捕集できるようになる。
次に、図1を参照して、本実施形態に係る車両1に設けられるカプセル構造について説明する。
カプセル構造は、車両1に設けられるパワーユニット(例えば、エンジン10、トランスミッション20、およびGPF30等)の周囲を覆うための構造である。このカプセル構造は、主として、パワーユニットから発生する音を遮断する防音機能と、パワーユニットを冷却若しくは保温等する温度制御機能とを有するが、それ以外にも、パワーユニットを保護する機能、防塵機能または防水機能などを有してもよい。
パワーユニットは、その動作に伴って発熱する装置であり、冷却対象となる装置である。本実施形態では、パワーユニットが、例えば、エンジン10、トランスミッション20、およびGPF30等の排気ガス処理装置である例について説明する。しかし、かかる例に限定されず、パワーユニットは、防音または温度制御が求められる装置、もしくは当該装置に付随して設けられる装置であれば、車両1に搭載される任意の装置であってよい。
図1に示すように、本実施形態に係るカプセル構造は、上部カバー52とアンダーカバー54を含むカバー50で構成される。上部カバー52は、エンジンルーム3の上部側に設けられ、パワーユニットの少なくとも上面側を覆うカバー部材である。本実施形態に係る上部カバー52は、パワーユニットの上面側だけでなく、左右両側面、前面、後面側の一部若しくは全部を覆う構造である。
上部カバー52の素材としては、アルミニウム、チタン、スチール等の金属、または合成樹脂などを用いることができる。上部カバー52の防音性を向上させるために、上部カバー52を、防音性を有する材料で形成してもよいし、上部カバー52の内側に、吸音材で形成された吸音部材を取り付けてもよい。吸音材としては、例えば、グラスウール、ロックウール、ウレタンフォーム、フェルト、石綿板、木毛板など、音が通り抜けるときに音のエネルギーを減衰させる各種の材料を用いることができる。
なお、上部カバー52は1つのカバー部材で構成されてもよいし、複数のカバー部材を組み合わせて構成されもよい。また、上部カバー52は、エンジンルーム3に設置されるエンジンカバーであってもよいし、エンジンカバーとは別途に設置されるカバー部材であってもよい。また、フロアパネル56の前方部分を延長して、上部カバー52として利用してもよい。このようにフロアパネル56と上部カバー52を一体に構成してもよいし、図1に示すように、両者を別部材として構成してもよい、
アンダーカバー54は、車両1の底部を覆うカバー部材である。このアンダーカバー54により、パワーユニットの底面側が覆われる。アンダーカバー54の素材としては、アルミニウム、チタン、スチール等の金属、または合成樹脂などを用いることができる。
このように、本実施形態のカプセル構造では、上下2つのカバー(上部カバー52とアンダーカバー54)を組み合わせることにより、パワーユニットのほぼ全周を覆う構造である。このため、エンジン10、トランスミッション20およびGPF30等の排気系統の周囲がカバー50で覆われて、ほぼ密閉される。したがって、これら装置から発生する音をカバー50により遮断できるので、防音性を向上することができる。
なお、カバー50の形状は、パワーユニットのうちの必要部品の周囲を覆うことができる形状であれば、任意の形状であってよい。また、密閉性と防音性の向上の観点からは、カプセル構造のカバー50に開口部をできるだけ設けない方が好ましいが、カバー50の一部に、通気用または装置連結用の開口部が形成されていてもよい。また、カプセル構造の1面または複数面が開口していてもよい。さらに、車両1を構成する他の部材(例えば構造部材)とカバー50とを連結することによって、パワーユニットを覆う構造であってもよい。
冷却機構70は、カバー50外の空気(例えば、車両1外の外気)をフィルタ装置(GPF30)の周辺に送ることにより、フィルタ装置を冷却する。上記のようにパワーユニットはカプセル構造化されており、カバー50により覆われているので、パワーユニットの設置空間の温度を制御することが望ましい。このため、冷却機構70は、カバー50の内部空間(例えば、エンジンルーム3)に配置されたパワーユニットの周辺に外気を導入して、当該パワーユニットやその周辺部品を空冷する。この冷却機構70の構成の詳細については後述する。
制御部80は、車両1に設けられる各装置を制御する。制御部80は、例えば、プロセッサ、記憶素子等が搭載された半導体集積回路で構成される。制御部80は、物理的に1つの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)で構成されてもよい。あるいは、制御部80は、複数のECU(例えば、エンジンECU、モータECU、トランスミッションECU等)で構成されて、制御部80の制御機能が複数のECUに分担されてもよい。ECUは、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、CPUによる演算処理において適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)等を備えてもよい。制御部80は、車両1に搭載される制御対象の各装置を制御するために、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて、各装置と通信することができる。
本実施形態に係る制御部80は、フィルタ装置(例えばGPF30)および冷却機構70の動作を制御する。特に、制御部80は、フィルタ装置の動作モードの切替タイミングに基づいて、冷却機構70による冷却動作を制御することを特徴としている。この制御方法の詳細については後述する。
[2.冷却機構の構成と冷却動作]
次に、図1を参照して、本実施形態に係るカプセル構造の冷却機構の構成について、より詳細に説明する。
上述したように、GPF30内のフィルタ部分の目詰まりを解消してフィルタを再生させるために、GPF30内を強制的に昇温させて、フィルタに堆積した煤の微粒子を燃焼させて除去する再生処理が実行される。この再生処理時には、触媒は例えば900℃程度の高温になるため、GPF30の周辺部品への熱害が問題になる。ここで、GPF30による熱害を受けやすい周辺部品は、例えば、電動オイルポンプ(EOP:Electrically operated Oil Pump)、上部カバー52等の防音カバー、トランスミッション20等の各種装置のマウント部分(ゴム製部分)などである。
特に、本実施形態に係る車両1は、エンジン10、トランスミッション20、GPF30等の発熱装置が、カバー50(上部カバー52およびアンダーカバー54)で覆われたカプセル構造を有する。このため、カバー50の内部空間(エンジンルーム3等)にこれら発熱装置の熱がこもりやすいので、GPF30の周辺部品の熱害が生じやすい。したがって、カバー50の内部空間を冷却する冷却機構を設け、GPF30やその周辺部品を冷却して、当該周辺部品の熱害を抑制することが好ましい。この冷却機構としては、装置構成の簡素化やコスト低減の観点から、カバー50に通気口となる開口部を設け、この開口部から外気をカバー50内に導入して、カバー50内の装置を空冷する機構が好ましい。
一方、カバー50に多数の開口部を形成したり、その開口面積を増加させたりすると、カプセル構造の防音性が低下してしまう。したがって、カバー50内の空間を、常時冷却するのではなく、必要に応じて適切なタイミングで間欠的に冷却することが好ましい。これにより、カバー50内におけるGPF30の周辺部品の熱害対策と、カプセル構造による防音性の確保とを両立させることができる。
そこで、本実施形態では、図1に示すように、カプセル構造のカバー50の開口を開閉することにより、カバー50内の装置を必要に応じて空冷することが可能な冷却機構70が設けられている。
冷却機構70は、車両1の外部の空間と、カバー50の内部空間とを連通する開口部(例えば、開口72、73、グリルシャッタ60の開口)と、開口部を開閉する開閉装置(例えば、弁76、79、グリルシャッタ60)と、開口部から流入する外気をGPF30の周辺に誘導する外気流路71と、を備える。
外気流路71は、車両1の外部の空気(即ち、外気)を、カバー50の内部空間に配置されたパワーユニットに沿って流通させるための流路である。外気流路71は、車両1の前後方向に延びるように配置され、車両前方から車両1内に導入された外気を、車両後方に向けて誘導する。図1に示すように、本実施形態に係る外気流路71は、エンジン10、GPF30とアンダーカバー54との隙間、およびフロアパネル56とアンダーカバー54との隙間に配置されている。かかる外気流路71により、外気をGPF30の周辺に誘導することができる。
外気流路71内を流れる外気は、カバー50内の冷却対象装置を空冷するための冷媒として機能する。当該空冷時の熱交換により昇温した空気は、外気流路71内を車両後方に向けて流れて、外気流路71の後端開口から排出される。車両1の走行に伴い車両前方から車両1内に流入する走行風を用いて、外気流路71内に外気を流通させてもよい。あるいは、ファン等により強制的に発生させた空気流を用いて、外気流路71内に外気を流通させてもよい。
外気流路71に外気を導入するための手段として、まず、グリルシャッタ60について説明する。グリルシャッタ60は、車両1のフロント(前面部分)に配置され、当該フロントに形成された開口から外気(走行風)を車両1内に取り込んだり、遮断したりする。グリルシャッタ60は、所定間隔で相互に平行に配置された複数の回動軸61および複数のルーバー62と、回動軸61を中心にルーバー62を回動させるアクチュエータ等の駆動部(図示せず。)とを備える。
グリルシャッタ60の複数のルーバー62を開方向に回動させることで、複数のルーバー62間に開口が形成される。この開口は、外気をグリルシャッタ60を通じて外気流路71に導入するための開口部(給気口)として機能する。一方、複数のルーバー62を閉方向に回動させることで、当該開口がルーバー62により閉鎖される。この場合、外気はグリルシャッタ60を通じて外気流路71に導入されない。
次に、外気流路71に外気を導入するための別の手段として、アンダーカバー54に設けられた開口72、73と、その開閉機構について説明する。開口72、73は、アンダーカバー54に形成された開口部であり、通気口として機能する。開口72(給気口)は、アンダーカバー54における、GPF30よりも車両前方側に形成される。この開口72は、車両1の外部から内部への外気の流入口として機能する。一方、開口73(排気口)は、アンダーカバー54における、GPF30よりも車両後方側に形成される。この開口73は、車両1の内部から外部への外気の流出口として機能する。
開口72(給気口)の周辺には、外気を車内に円滑に流入させるためのダクト74、75(給気用ダクト)が設けられている。ダクト74は、アンダーカバー54の下側において、開口72から前方に向けて延びるように配置されている。ダクト74の前端に流入口74aが形成されている。一方、ダクト75は、アンダーカバー54の上側の外気流路71において、開口72から後方に向けて延びるように配置されている。ダクト75の後端に流出口75aが形成されている。
さらに、ダクト74の前端の流入口74aには、当該流入口74aを開閉する回動式の弁76(給気弁)が設けられている。弁76は、回動軸76aを中心に回動可能に設けられている。アクチュエータ等の駆動部(図示せず。)により、回動軸76aを中心に弁76を回動させることで、弁76によりダクト74の流入口74aが開閉する。弁76は、ダクト74の流入口74aを開閉することにより、アンダーカバー54の開口72(給気口)を間接的に開閉する開閉装置として機能する。
弁76により流入口74aを開放したときには、外気(走行風)が、流入口74aからダクト74内に流入し、開口72およびダクト75を通じて外気流路71に誘導される。一方、弁76により流入口74aを閉鎖したときには、外気(走行風)は、ダクト74内に流入しない。
一方、開口73(排気口)の周辺には、外気流路71内を流れる空気を車外に円滑に流出させるためのダクト77、78(排気用ダクト)が設けられている。ダクト77は、アンダーカバー54の下側において、開口73から後方に向けて延びるように配置されている。ダクト77の後端に流出口77aが形成されている。一方、ダクト78は、アンダーカバー54の上側の外気流路71において、開口73から前方に向けて延びるように配置されている。ダクト78の前端に流入口78aが形成されている。
さらに、ダクト77の後端の流出口77aには、当該流出口77aを開閉する回動式の弁79(排気弁)が設けられている。弁79は、回動軸79aを中心に回動可能に設けられている。アクチュエータ等の駆動部(図示せず。)により、回動軸79aを中心に弁79を回動させることで、弁79によりダクト77の流出口77aが開閉する。弁79は、ダクト77の流出口77aを開閉することにより、アンダーカバー54の開口73(排気口)を間接的に開閉する開閉装置として機能する。
弁79により流出口77aを開放したときには、外気流路71内を流れる空気が、流入口78aからダクト78内に流入し、開口73およびダクト77を通じて車外に流出する。一方、弁79により流出口77aを閉鎖したときには、外気流路71内の空気は、ダクト78内に流入せず、車外に流出しない。
なお、本実施形態では、開閉装置として、回動式の弁76、79を用いたが、開口72、73を開閉可能であれば、スライド式の弁、フラップ、シャッタなどの各種の開閉装置を用いてもよい。また、ダクト74、75、77、78を設けずに、アンダーカバー54の開口72、73を開閉装置で直接的に開閉してもよい。
以上、本実施形態に係る冷却機構70の構成について説明した。次に、冷却機構70によりGPF30の周辺空間を空冷する動作について説明する。
本実施形態に係る冷却機構70は、開口部からカバー50内に外気を導入し、当該外気を外気流路71を通じてGPF30の周辺に誘導することにより、GPF30を含むパワーユニットの周辺空間を空冷する。制御部80は、かかる冷却機構70による冷却動作を制御する。外気を外気流路71に導入する経路としては、上述したアンダーカバー54の開口72(給気口)を通じた経路と、グリルシャッタ60を通じた経路の2つがある。この2つの経路の双方を併用してもよいし、いずれか一方の経路のみを使用してもよい。
まず、アンダーカバー54の開口72(給気口)を通じた経路を用いた冷却動作について説明する。
車両1の走行時に、カバー50内のGPF30が高温状態になり、GPF30の周辺空間を空冷する必要がある場合、制御部80は、弁76、79を開状態にして、アンダーカバー54の開口72、73を開放する。これにより、走行風が車内に取り込まれて、外気がダクト74、開口72(給気口)、ダクト75を通じて外気流路71に導入され、GPF30の周辺空間に誘導される。これにより、低温の外気と、GPF30の周辺の高温の空気との熱交換により、GPF30の周辺が冷却される。熱交換後の空気は、ダクト78、開口73(排気口)、ダクト77を通じて車外に排出される。
このようにして、開口72(給気口)、外気流路71および開口73(排気口)を通じて、GPF30の周辺に大量の外気を円滑に流動させる。これにより、高温状態のGPF30およびその周辺部品を効果的に冷却して、GPF30の輻射熱による熱害を抑制できる。
一方、GPF30の周辺空間を空冷する必要がない場合、制御部80は、弁76、79を閉状態にして、アンダーカバー54の開口72、73を閉鎖する。この場合、走行風が車内に取り込まれず、外気がアンダーカバー54の開口72(給気口)から外気流路71に流入しない。これにより、比較的低温のGPF30およびその周辺部品を冷却せずに保温できる。また、開口72、73が閉鎖されているので、カバー50内の音が開口72、73を通じて車外に漏れることがないので、カプセル構造による防音効果も高い。
次に、グリルシャッタ60を通じた経路を用いた冷却動作について説明する。
車両1の走行時に、高温状態のGPF30の周辺空間を空冷する必要がある場合、制御部80は、グリルシャッタ60のルーバー62を開状態にして、グリルシャッタ60の開口を開放する。これにより、車両前方から後方に向かう走行風が、車両1のフロントのグリルシャッタ60から車内に取り込まれて、外気が外気流路71に導入され、GPF30の周辺空間に誘導される。これにより、上記と同様の熱交換により、GPF30の周辺空間が冷却される。熱交換後の空気は、外気流路71を車両後方に向けて流動し、外気流路71の後端の開口(例えば、アンダーカバー54の後部に形成された隙間等)から車外に排出される。
このようにして、グリルシャッタ60を通じてGPF30の周辺に外気を流動させることによっても、高温状態のGPF30およびその周辺部品を効果的に冷却して、熱害を抑制できる。なお、グリルシャッタ60から外気を取り込む場合にも、上記弁79によりアンダーカバー54の開口73(排気口)を開放して、外気流路71内の空気を当該開口73を通じて車外に排出してもよい。
一方、GPF30の周辺空間を空冷する必要がない場合、制御部80は、グリルシャッタ60のルーバー62を閉状態にして、グリルシャッタ60の開口を閉鎖する。この場合、走行風がグリルシャッタ60から車内に取り込まれず、外気が外気流路71に流入しない。これにより、GPF30およびその周辺部品を冷却せずに保温でき、カプセル構造による防音効果も高い。
[3.フィルタ装置の動作モードの切替に応じた冷却動作の制御]
次に、本実施形態に係る制御部80により、GPF30の動作モードに基づいて、冷却機構70の冷却動作を制御する方法について説明する。
上述したように、本実施形態に係る車両1は、カプセル構造を有し、エンジン10、トランスミッション20、GPF30などのパワーユニットがカバー50により覆われている(図1参照。)。このため、GPF30などの排気系統の周囲もカバー50により覆われており、排気系統の周辺空間はほぼ密閉空間となっているため、熱がこもりやすい。しかも、GPF30がフィルタの再生処理を行っているときには、GPF30は燃焼熱により高温(例えば600℃以上)になる。この再生処理を行う動作モードを、再生モードと称する。再生モード時には、高温のGPF30からの輻射熱により、GPF30の周辺部品に熱害が生じやすいので、上記冷却機構70によりGPF30の周辺を冷却することが望ましい。
一方、GPF30は、再生処理を行わない通常動作時には、通常の排気ガス浄化処理を行う。この通常の排気ガス浄化処理を行う動作モードを、通常モードと称する。通常モード時には、GPF30は、再生モード時よりも低温で動作する。このため、GPF30の周辺装置に熱害が発生しにくいので、冷却機構70によりGPF30の周辺を必ずしも冷却しなくてもよい。このため、冷却を要しない場合には、上記冷却機構70の開口部(例えば、図1に示すアンダーカバー54の開口72、73、グリルシャッタ60の開口)を閉鎖し、カプセル構造の防音性を確保することが好ましい。
ここで、冷却機構70による冷却動作の制御方法としては、上記特許文献2、3に記載のように排気系統の触媒温度または周辺温度等の実測温度をトリガとして、冷却動作の開始を制御する方法が考えられる。しかし、かかる実測温度をトリガとした制御方法であると、実際にGPF30の周辺温度が上昇してから、冷却動作を開始するので、GPF30の温度上昇に対してその周辺空間の冷却動作が間に合わずに、遅延してしまう。このように冷却動作の開始タイミングに遅延が生じてしまうと、GPF30の周辺温度が許容温度以上に上昇してしまい、フィルタ装置の周辺部品が熱害を受けるおそれもある。
そこで、本実施形態では、かかる遅延の問題を解決すべく、制御部80は、GPF30の動作モードが再生モードまたは通常モードのいずれであるかに基づいて、冷却機構70により冷却動作を実行するか否かを制御する。具体的には、GPF30の動作モードが再生モードであるときには、制御部80は、冷却機構70による冷却動作を実行させる。一方、GPF30の動作モードが通常モードであるときには、制御部80は、冷却機構70による冷却動作を停止させる。
さらに、本実施形態によれば、制御部80は、GPF30の動作モードの切替タイミングに基づいて、冷却機構70による冷却動作の開始と終了を制御することを特徴としている。例えば、制御部80は、GPF30の動作モードを通常モードから再生モードに切り替えるタイミング(つまり、再生モードの開始タイミング)に応じて、冷却機構70による冷却動作を開始させる。さらに、制御部80は、GPF30の動作モードを再生モードから通常モードに切り替えるタイミング(つまり、再生モードの終了タイミング)に応じて、冷却機構70による冷却動作を終了させる。
ここで、図2を参照して、GPF30の動作モードの切替タイミングと、冷却動作の制御タイミングの具体例について詳細に説明する。図2は、本実施形態に係るGPF30の動作モードの切替タイミングと、冷却機構70による開口部の開閉タイミングを示すタイミングチャートである。
図2に示すGPF前後差圧Pは、GPF30に導入される排気ガスと、GPF30から排出される排気ガスとの間の圧力差である。この差圧Pは、GPF30における排気ガスの圧力損失に相当し、GPF30内で粒子状物質によりフィルタの目詰まりが生じている度合いを表す。目詰まりの度合いが高いほど、差圧P(圧力損失)は大きくなる。また、図2に示す再生フラグ信号は、GPF30の動作モードを切り替えるためのモード制御信号である。再生フラグ信号がHIGHであれば、再生モードが実行され、再生フラグ信号がLOWであれば、通常モードが実行される。
制御部80は、上記差圧Pに基づいて、GPF30の動作モードを切り替える。例えば、制御部80は、通常モード中に差圧Pが所定の上限値P1にまで上昇したことをトリガとして、GPF30の動作モードを通常モードから再生モードに切り替える(t1、t6)。この再生モードへの切替に応じて、制御部80は、再生フラグ信号(HIGH)をGPF30に出力する。この結果、GPF30において、フィルタの再生処理が開始される。
一方、制御部80は、再生モード中に差圧Pが所定の下限値P2にまで低下したことをトリガとして、GPF30の動作モードを再生モードから通常モードに切り替える(t5)。この通常モードへの切替に応じて、制御部80は、再生フラグ信号(LOW)をGPF30に出力する。この結果、GPF30において、フィルタの再生処理が終了され、通常の排気ガス浄化処理が再開される。
このようにして、差圧Pに基づいてGPF30の動作モードを切り替えることにより、GPF30のフィルタの目詰まりの度合いに応じた適切なタイミングで、GPF30の再生処理を開始および終了できる。よって、GPF30による排気ガスの浄化処理を安定的に継続できる。
次に、本実施形態に係るGPF30の動作モードの切替制御と、冷却機構70による冷却動作のオン/オフ制御との関係について説明する。
図2に示す開口部の開閉信号は、上述した開口部(例えば、図1に示すアンダーカバー54の開口72、73、グリルシャッタ60の開口)の開閉を制御するための信号である。この開閉信号は、冷却機構70による冷却動作のオン/オフを表している。開閉信号がHIGHであれば、開口部が開放されて、冷却機構70による冷却動作が実行される。開閉信号がLOWであれば、開口部が閉鎖されて、冷却機構70による冷却動作が停止される。
ここで、図2に示すように、上記再生フラグ信号と開閉信号は、遅延なく同期している。このことは、GPF30の動作モードの切替制御と、冷却機構70による冷却動作のオン/オフ制御が同期していることを表す。制御部80は、GPF30の動作モードを再生モードに切り替えたときには、開口部を開放させて、冷却機構70による冷却動作を開始させる(t1、t6)。また、制御部80は、GPF30の動作モードを通常モードに切り替えたときには、開口部を閉鎖させて、冷却機構70による冷却動作を停止させる(t5)。
このように、本実施形態では、GPF30の動作モードの切替制御と、冷却機構70による冷却動作のオン/オフ制御とが同期している。つまり、GPF30の動作モードの切替をトリガとして、冷却機構70による冷却動作を開始/終了させる。これにより、上記特許文献2、3に記載のように触媒温度等の実測温度をトリガとして冷却動作を制御する方法において生じる、冷却動作の開始タイミングの遅延の問題を解決できる。
つまり、本実施形態では、GPF30が通常モードから再生モードに切り替わったときに即座に、冷却機構70による冷却動作を開始する。これにより、再生モードの開始と同時にGPF30の周辺空間を冷却開始して、GPF30の周辺温度Tの上昇を早期に抑制できる。したがって、再生モード中であっても、当該周辺温度Tを、熱害を抑制できる所定の許容温度Tmax以下に維持することができる。
ここで、図2を参照して、本実施形態においてGPF30の動作モードの切替をトリガとして冷却動作を制御したときの、GPF30の周辺温度Tの変化の具体例について説明する。図2中の実線は、本実施形態に係る再生フラグ信号をトリガとして制御した場合の温度変化を示し、破線は、従来技術(例えば、特許文献2、3)に係る温度をトリガとして制御した場合の温度変化を示している。
図2に示すように、GPF30の動作モードが通常モードであり、冷却機構70による冷却動作を行っていない通常状態では(~t1)、GPF30の周辺温度Tは、ほぼ一定の温度T1であり、低位安定している。この通常モード中に、差圧Pが所定の上限値P1にまで上昇したときには、GPF30の動作モードが通常モードから再生モードに切り替えられる(t1)。この切替時(t1)以降は、再生処理を行うGPF30の温度上昇に伴い、GPF30の周辺温度TもT1から徐々に上昇する。
ここで、従来技術に係る制御によれば、排気系統の実測温度(触媒温度、周辺温度等)をトリガとして冷却動作を開始する。このため、再生モードへの切替時点(t1)から所定時間が経過した後、実際の周辺温度Tが所定の閾値T2まで上昇した時点(t2)でようやく、冷却動作が開始される。この結果、周辺温度Tを低下させるための冷却動作が遅延する。このため、図2の破線で示すように、再生モード中(t1~t5)に周辺温度Tは大幅に上昇し、その最高到達温度T4が許容温度Tmaxを超えてしまう(t4)。したがって、従来技術に係る制御によれば、周辺装置に熱害が生じうる。
これに対し、本実施形態に係る制御によれば、GPF30の動作モードの制御信号(例えば再生フラグ信号)をトリガとして冷却動作を開始する。これにより、再生モードへの切替と同時に、冷却機構70の開口部を開放して、冷却動作が即座に開始される(t1)。これにより、GPF30の周辺温度Tの上昇が、早い段階で抑制される。したがって、図2の実線で示すように、本実施形態では、再生モード中(t1~t5)にGPF30の周辺温度Tが上昇したとしても、その最高到達温度T3が所定の許容温度Tmaxを超えることがない(t3)。よって、本実施形態によれば、GPF30の周辺装置の熱害を抑制できる。
次いで、再生モード中(t1~t5)に、GPF30のフィルタの再生処理が進行して、差圧Pが所定の下限値P2にまで低下したときには、GPF30の動作モードが再生モードから通常モードに切り替えられる(t5)。さらに、この通常モードへの切替に合わせて、冷却機構70の開口部を閉鎖して、冷却動作が即座に終了される(t5)。その後の通常モード中(t5~t6)は、上記と同様に、低温のGPF30は通常の排気ガス浄化処理を行いつつ、冷却機構70による冷却動作は停止しているので、GPF30の周辺温度Tは、ほぼ一定の温度T1に維持される。
以上のように、本実施形態に係る冷却動作の制御によれば、GPF30の動作モードの切替タイミングと、冷却機構70による冷却動作の開始/終了タイミングを同期させる。これにより、GPF30が再生処理を行って高温になる期間にだけ、冷却機構70により冷却動作を行う。したがって、冷却が必要なタイミングでGPF30の周辺空間を効率的に冷却して、周辺装置の熱害を抑制できる。
[4.第2の実施形態の制御]
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施形態に係る冷却動作の制御について説明する。図3は、第2の実施形態に係るGPF30の動作モードの切替タイミングと、冷却機構70による開口部の開閉タイミングを示すタイミングチャートである。
上述した第1の実施形態に係る制御例(図2)では、再生モードから通常モードへの切替をトリガとして、冷却機構70による冷却動作を終了させていた。しかし、本発明はかかる例に限定されない。例えば、フィルタ装置(例えばGPF30)の動作に関連する温度に基づいて、冷却機構70による冷却動作を終了させてもよい。
ここで、GPF30の動作に関連する温度とは、GPF30の動作に伴って変動する温度であれば、例えば、GPF30の周辺温度T、GPF30から排出される排気ガスの温度、またはGPF30の内部の触媒温度など、各種の温度であってよい。以下に説明する第2の実施形態では、GPF30の周辺温度Tをトリガとして、冷却機構70による冷却動作を終了させる例について説明する。
図3に示すように、第2の実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、通常モードから再生モードへの切替タイミング(t1、t6)に合わせて、冷却機構70の開口部を開放して、冷却動作を開始する。一方、第2の実施形態では、上記第1の実施形態とは異なり、再生モードから通常モードへの切替タイミング(t5)に合わせて、冷却動作を終了させずに、周辺温度Tが所定の閾値(例えば、温度T1)にまで低下したタイミング(t7)に合わせて、冷却機構70の開口部を閉鎖して、冷却動作を終了させる。
このように、第2の実施形態では、GPF30の周辺温度T等の低下をトリガとして、冷却機構70による冷却動作を終了させる。これにより、GPF30の周辺温度Tを十分に低下させてから、冷却動作を終了させることができるので、周辺装置の熱害をより確実に抑制できる。
なお、図3の例では、再生モードの終了タイミング(t5)に対して、冷却動作の終了タイミング(t7)が遅延している。これは、再生モードの終了後であっても、しばらくの間(t5~t7)は、冷却動作を継続することを意味する。このように再生モードの終了後に冷却動作を継続しても、GPF30の周辺部品に対して悪影響がない。一方、再生モードの開始タイミング(t1、t6)に対して、冷却動作の開始タイミングが遅延すると、上述した周辺装置の熱害の問題が生じるので、好ましくない。このため、第2の実施形態でも、再生モードの開始タイミング(t1、t6)と、冷却動作の開始タイミング、即ち開口部の開放タイミング(t1、t6)は、同期している。
[5.まとめ]
以上、本実施形態に係る車両1について、詳細に説明した。本実施形態によれば、フィルタ装置(例えば、GPF30)の動作モードの切替タイミングに基づいて、冷却機構70による冷却動作を制御する。特に、GPF30の動作モードを他モードから再生モードに切り替えるタイミングに応じて、冷却機構70の開口部を開放し、GPF30の周辺に外気を導入して冷却動作を開始する。
これにより、GPF30による再生処理の開始タイミングに合わせて遅延なく、GPF30の周辺を冷却開始できる。したがって、再生モード中の早い段階でGPF30の周辺を適切に冷却できるので、再生モード中にGPF30が高温になったとしても、GPF30の周辺温度Tを許容温度Tmax以下で低位安定化できる。したがって、GPF30の動作モードの切替時において、冷却開始タイミングの遅延を抑制し、GPF30からの輻射熱による周辺部品の熱害を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、パワーユニットをカバー50で覆うカプセル構造に適した冷却機構70が設置される。この冷却機構70においては、例えば、車両1のアンダーカバー54またはフロントグリルに、外気(走行風)を取り込むための開口部(例えば、開口72、73、グリルシャッタ60の開口)と開閉装置(例えば、弁76、79、グリルシャッタ60)が設けられる。また、開口部から流入する外気をGPF30の周辺に誘導する外気流路71が設けられる。かかる構造により、空冷が必要なときだけ、開口部を開けてGPF30の周辺を空冷し、空冷が不要なときは、開口部を閉めてカプセル構造の密閉性を維持できる。よって、カプセル構造による防音効果と、GPF30の熱害対策とを両立させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施形態では、カバー50内のエンジン10、トランスミッション20、GPF30等の底面側に、1つの外気流路71が設けられる例について説明したが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、外気流路71は、エンジン10等の左側面、右側面または上面側に設けられてもよい。また、複数の外気流路71がエンジン10等の周辺に設けられてもよい。
また、上記実施形態では、エンジン10等の上部側が上部カバー52によって覆われ、エンジン10等の下部側が車両1の構造部材(アンダーカバー54)によって覆われていたが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、エンジン10の下部側が車両1の構造部材とは異なる部材である下部カバーによって覆われていてもよい。その場合、上部カバー52と下部カバーによってエンジン10等の周囲が覆われるカプセル構造が形成され得る。
また、上記実施形態では、エンジン10から排出される排気ガスに含まれる粒子状物質を捕捉するフィルタ装置として、GPF30の例を挙げたが、本発明は、かかる例に限定されない。軽油を燃料とする車両である場合には、フィルタ装置は、例えば、DPF(Diesel Particulate Filter)であってもよい。
上記実施形態では、制御部80は、GPF30の前後の排気ガスの差圧Pに基づいて、GPF30の目詰まりの度合いを検出し、目詰まりが発生しているときにのみ、不定期に再生処理を実行させていた。しかし、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、制御部80は、所定の走行距離ごとに定期的に、GPF30に再生処理を実行させてもよい。また、再生処理の処理時間は、一定であってもよいし、フィルタの目詰まりの度合い等に応じて変動させてもよい。
また、上記実施形態では、GPF30における再生モードへの切替タイミングと、冷却機構70の冷却動作の開始タイミングを同期させたが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、再生モードへの切替タイミングに対して冷却動作の開始タイミングを、多少遅らせたり、早めたりしてもよい。