JP7290309B2 - マーキング用インキ - Google Patents
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Description
例えば特許文献1の実施例に記載のスタンプ台用インキをタイヤマーキング用インキとして使用した場合、タイヤに塗布した膜厚12μmの塗膜を20℃×65%の条件下で1時間放置した際、塗膜にはクラックが発生していた。
前記課題を解決する為に特許文献2には、特許文献1記載のスタンプ台用インキに、樹脂を軟化させる作用を有するアルキルスルホン酸フェニルエステル又はポリオキシエチレンラウリルアミンを配合する事でクラックの発生を防止したタイヤマーキング用インキの開示がある。しかし、本配合インキは塗膜の乾燥過程で発生するクラックは防止できているものの、塗布面(タイヤのサイドウォール)の湾曲により塗膜に応力が加わり発生するクラックには効果が無かった。ここで、タイヤのサイドウォールの湾曲とは、タイヤに空気を充填する過程で発生するタイヤ表面の湾曲を意味する。
上記のロジン系樹脂を単独または2種以上混合して用いることができ、その配合量は、インキ全量に対し5~70重量%、好ましくは10~50重量%である。
また、前記ロジン系樹脂以外に他の油溶性樹脂を配合することができ、アクリル樹脂、エステル樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、ポリブチルブチラール、ケトンホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノール樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂などを少量配合してもよい。
また、着色剤として染料を配合することを許容する。染料としては、モノアゾ系、ジスアゾ系、金属錯塩型モノアゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリアリルメタン系など従来公知の油溶性染料を特に制限されることなく使用することができる。
上記染料及び顔料は単独或いは混合して任意に使用することができ、その配合量はインキ全量に対して1~40重量%が好ましい。
ヒマシ油脂肪酸誘導体としては、アルキレンオキサイドによりヒマシ油を変性したヒマシ油脂肪酸多価アルコールエーテルや、1価アルコールによりヒマシ油を変性したヒマシ油脂肪酸アルキルエステル、2価アルコールによりヒマシ油を変性したヒマシ油脂肪酸アルキレングリコールエステルなどのヒマシ油脂肪酸誘導体であって、通常市販されているものを用いることができる。
アルキレンオキサイドによりヒマシ油を変性したヒマシ油脂肪酸多価アルコールエーテルとは、プロピレンオキサイドやエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドによりヒマシ油の一部又は全部を変性して得られるヒマシ油脂肪酸多価アルコールエーテルをいい、変性度10~100%のものが好ましく用いられる。ヒマシ油の主成分がリシノール酸であるのでヒマシ油脂肪酸多価アルコールエーテルの大部分は、リシノール酸多価アルコールエーテルである。
1価アルコールによりヒマシ油を変性したヒマシ油脂肪酸アルキルエステルとは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1価及び2価のアルコールによりヒマシ油の一部又は全部を変性したヒマシ油脂肪酸アルキルエステルをいい、変性度10~100%のものが好ましく用いられる。ヒマシ油脂肪酸アルキルエステルの大部分は、リシノール酸アルキルエステルである。具体的には、CO-FAブチルエステル(伊藤製油(株)製)が挙げられる。
2価アルコールによりヒマシ油を変性したヒマシ油脂肪酸アルキレングリコールエステルとは、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコールによりヒマシ油の一部又は全部を変性したヒマシ油脂肪酸アルキレングリコールエステルをいい、変性度10~100%のものが好ましく用いられる。ヒマシ油脂肪酸アルキレングリコールエステルの大部分は、リシノール酸アルキレングリコールエステルである。具体的には、MINERASOL S-74(伊藤製油(株)製)が挙げられる。
また詳細は非開示であるが、ヒマシ油脂肪酸エステルとして、リックサイザーC-88(伊藤製油(株)製)等が挙げられる。
これらのクラック防止剤は1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用でき、その配合量は、耐クラック性・乾燥性の観点からインキ全量に対して2.0~8.0重量%が好ましく、より好ましくは、3.0~5.0重量%である。
酸化チタンの配合量は、インキ全量に対し0.1~80重量%、好ましくは5~40重量%である。
本発明では、上記の分散剤を単独または2種以上混合して用いることができ、その配合量は、インキ全量に対し0.01~10重量%、好ましくは0.1~5重量%である。
本発明のマーキング用インキは、有機溶剤、前記溶剤に可溶な樹脂、酸化チタン、着色剤、ひまし油脂肪酸誘導体、必要に応じて各種添加剤を投入、撹拌して調整する。
表中のひまし油脂肪酸誘導体Aは、MINERASOL S-74(伊藤製油(株)製)、ひまし油脂肪酸誘導体Bは、CO-FAブチルエステル(伊藤製油(株)製)である。
・耐クラック性試験
(試験方法)
作製したインキについて、タイヤ片にハンドコーターNo.0(膜厚4μm)、No.1(膜厚6μm)、No.2(膜厚12μm)、No.8(膜厚100μm)、No.500(膜厚500μm)(以上、松尾産業(株)製)を用いて各所定膜厚となるように均一塗布したものを、20℃×65%の条件下で1時間放置した。次に、前記タイヤ片を半径20mmの円柱体に巻きつけて湾曲させ、塗膜に応力を加えた後、元の状態に戻す。この作業を10回繰り返した後、表面にクラックが発生していないか目視で確認した。クラックが発生していない場合は「○」、クラックが発生した場合は「×」として耐クラック性を評価した。
・塗膜乾燥性試験
(試験方法)
耐クラック性試験と同様に、各所定膜厚でインキ塗布したタイヤ片を20℃×65%の条件下で1時間放置した。その後、塗膜の乾燥性を確認する為、塗膜を指で擦った際にインキが付着するかどうかを確認し、インキが付着しない場合は「○」、インキが付着する場合は「×」として塗膜の乾燥性を評価した。
実施例4、5より、ひまし油脂肪酸誘導体の配合量が2.0~8.0重量%の範囲では塗膜乾燥性は良好である。一方で、比較例3よりひまし油脂肪酸誘導体の配合量を9.0重量%まで増加させると、実施例2、4、5と同じ膜厚であるにも関わらず、塗膜乾燥性が著しく低下する。更に、比較例2より、ひまし油脂肪酸誘導体の配合量を1.0重量%まで減少させると、塗膜乾燥後の時点でクラックが発生していた。以上より、クラック防止剤の配合量は2.0~8.0重量%が好ましい。
Claims (3)
- 有機溶剤、前記溶剤に可溶な樹脂、顔料、ひまし油脂肪酸誘導体を少なくとも含み、前記ひまし油脂肪酸誘導体の配合量が2.0~8.0重量%であることを特徴とするタイヤ用に使用するマーキング用インキ。
- 前記顔料を酸化チタンとしたことを特徴とする請求項1に記載のマーキング用インキ。
- 塗布した際の膜厚が1μm~100μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のマーキング用インキ。
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