JP7290040B2 - アミン化合物の製造方法およびアミン組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
アミン化合物の1種として、ベンゼン等の芳香環にアミノメチル基を2つ以上有する化合物である芳香族ジアミン化合物が知られている。芳香族ジアミン化合物としては、例えば、メタキシリレンジアミン等が挙げられる。
<1>芳香環と、前記芳香環に結合しているアルキル基を有し、前記芳香環に結合しているアルキル基のα位の炭素原子にアミノ基が結合している化合物(X-1)の製造方法であって、芳香環と、前記芳香環に結合している基であって、式(1-1)で表される基および式(1-2)で表される基からなる群から選択される基を少なくとも1つ有する化合物(X-2)に、塩基の存在下で、エチレンを充填し、アルキル化することを含み、前記エチレン充填時の反応液の温度が0~10℃、エチレンの充填圧力が1.5~2.3MPaである、化合物(X-1)の製造方法。
<2>前記塩基が、炭酸ルビジウム、水酸化ルビジウム、炭酸セシウム、および、水酸化セシウムからなる群より選択される1種以上のアルカリ金属含有化合物(A)と、金属ナトリウム(B)と、を含有する塩基組成物である、<1>に記載の製造方法。
<3>前記塩基を、2回以上に分割して反応系中に導入することを含む、<1>または<2>に記載の製造方法。
<4>前記化合物(X-2)が、式(3)で表される化合物を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の製造方法。
<5>前記化合物(X-2)が、一分子中に、式(1-1)で表される基および式(1-2)で表される基を合計で1~3つ有する化合物を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の製造方法。
<6>前記化合物(X-2)が、ベンジルアミン、α-メチルベンゼンメタンアミン、α-エチルベンゼンメタンアミン、o-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、1,2,3-ベンゼントリメタンアミン、1,2,4-ベンゼントリメタンアミンおよび1,2,4,5-ベンゼンテトラメタンアミンからなる群より選択される1種以上の化合物を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の製造方法。
<7>前記化合物(X-2)が、m-キシリレンジアミンを含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の製造方法。
<8>前記化合物(X-1)が式(1)で表される化合物を含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載の製造方法。
<9>式(1)中、RA~RDのうち少なくとも3つは、エチル基であり、それら以外のRA~RDは、水素原子である、<8>に記載の製造方法。
<10>芳香環と、前記芳香環に結合しているアルキル基を有し、前記芳香環に結合しているアルキル基のα位の炭素原子にアミノ基が結合している化合物(X-1)を含むアミン組成物の製造方法であって、芳香環と、前記芳香環に結合している基であって、式(1-1)で表される基および式(1-2)で表される基からなる群から選択される基を少なくとも1つ有する化合物(X-2)に、塩基の存在下で、エチレンを充填してアルキル化することを含み、前記エチレン充填時の反応液の温度が0~10℃、エチレンの充填圧力が1.5~2.3MPaである、化合物(X-1)を含むアミン組成物の製造方法。
このように、塩基存在下、低温かつ所定の圧力でエチレンを充填してアルキル化することにより、容易にエチレン付加体が得られる。特に、芳香環に結合している式(1-1)または式(1-2)で表される基の水素原子を高い割合でエチレンに置換することが可能になる。
本発明の製造方法では、エチレン充填時の反応液の温度が0~10℃であり、エチレンの充填圧力が1.5~2.3MPaである。エチレン充填時の反応液の温度を10℃以下とすることにより、反応初期に発生する活性種を安定に取り扱うことが可能になる。そして、エチレンの充填圧力を2.3MPa以下とすることにより、エチレンの付加反応が進行しやすくなる。また、エチレン充填時の反応液の温度を0℃以上とすることにより、反応温度までの昇温にかかる時間を短くでき、反応成績を向上させることができる。また、エチレンの充填圧力を1.5MPa以上とすることにより、エチレン付加反応を効果的に促進させることができる。
本発明の製造方法では、通常、エチレンガスを充填する。
エチレン充填時の反応液の温度は、下限値が、1℃以上であることが好ましく、2℃以上であることがより好ましい。また、前記反応液の温度は、上限値が8℃以下であることが好ましく、6℃以下であることがより好ましく、5℃以下であることがさらに好ましく、4℃以下であることが一層好ましい。
本発明における反応液の温度とは、エチレンガスを充填する際の反応液の液温を意味する。
エチレン充填時の圧力(エチレンの充填圧力)は、下限値が、1.7MPa以上であることが好ましく、1.8MPa以上であることがより好ましく、1.9MPa以上であることがさらに好ましい。エチレン充填時の圧力の上限は、2.2MPa以下であることが好ましく、2.1MPa以下であることがさらに好ましい。
本発明の製造方法では、エチレンによって、アルキル化(エチレン付加)が進行する。
エチレン充填後の反応系の温度は、下限値が、10℃超であることが好ましく、12℃以上であることがより好ましく、14℃以上であることがさらに好ましく、16℃以上であることが一層好ましく、18℃以上であることがより一層好ましい。また、エチレン充填後の反応系の温度は、上限値が、35℃以下であることが好ましく、30℃以下であることがより好ましく、25℃以下であることが一層好ましい。
本発明の製造方法では、エチレン充填時とその後の反応系の温度の差が10℃以上であることが好ましく、10~20℃であることがより好ましい。このような構成とすることにより、エチレン付加反応がより効果的に進行する。
エチレン付加反応の時間は、1時間~100時間であることが好ましく、10~60時間であることがより好ましい。詳細を後述するとおり、塩基を2回以上に分割して反応系に導入する場合は、合計が上記範囲となることが好ましい。
上記有機反応で溶媒を用いる場合、得られた反応液を必要に応じて濃縮した後、残渣をそのまま化合物(X-1)として用いてもよく、適宜な後処理を行った後に、化合物(X-1)として用いてもよい。後処理の具体的な方法としては、蒸留、クロマトグラフィー等の公知の精製方法を挙げることができる。
本発明の製造方法で製造される化合物(X-1)は、芳香環と、前記芳香環に結合しているアルキル基を有し、前記芳香環に結合しているアルキル基のα位の炭素原子にアミノ基が結合している化合物である。
前記芳香環に結合しているアルキル基は、(R)x(H)2-X(NH2)C-で表される基であることが好ましい。ここで、Rはアルキル基であり、少なくとも1つはエチル基である。Xは1または2であり、2が好ましい。前記芳香環は、(R)x(H)2-X(NH2)C-で表される基を1~3つ有することが好ましく、1つまたは2つ有することがより好ましく、2つ有することがさらに好ましい。前記アルキル基であるRのうち、エチル基以外の基としては、炭素数1~10の(好ましくは炭素数1~5の、より好ましくは炭素数1~3の)直鎖または分岐のアルキル基が例示され、直鎖アルキル基が好ましい。
より好ましくは、式(1)中、RA~RDのうち少なくとも3つは、エチル基であり、それら以外のRA~RDは、水素原子である。
より好ましくは、式(2)中、RA~RDのうち3つまたは4つ(さらに好ましくは4つ)は、エチル基であり、それら以外のRA~RDは、水素原子である。
本発明の製造方法では、芳香環と、前記芳香環に結合している基であって、式(1-1)で表される基および式(1-2)で表される基からなる群から選択される基を少なくとも1つ有する化合物(X-2)に、エチレンを付加してアルキル化することを含む。
化合物(X-2)の一実施形態は、式(1-2)で表される基を含むことである。
R2はそれぞれ独立に、水素原子、アミノメチル基、炭素数1~6のアルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、フェニル基、ナフチル基およびビフェニル基からなる群から選択される基であり、水素原子またはアミノメチル基が好ましく、アミノメチル基がより好ましい。アミノメチル基は、上記式(1-1)で表される基または式(1-2)で表される基が好ましい。具体的には、式(1-2)で表される基を用いる形態が例示される。
化合物(X-2)は1種のみ用いても、2種以上用いてもよい。2種以上用いた場合、得られる化合物(X-1)も混合物となる。
本発明の製造方法では、化合物(X-2)のアルキル化は、塩基の存在下で行う。
塩基は、エチレン付加反応において、触媒として作用する一方で不可逆的な反応開始剤としても機能する。したがって、エチレン付加反応の進行に伴って、塩基の系内での量は減少していく。そこで、本発明の製造方法では、塩基を2回以上に分割して反応系中に導入することが好ましい。塩基の添加の回数の上限は特にないが、10回以下であることが実際的である。このように塩基を分割して添加することにより、式(2)で表される化合物に対し、RA~RDの3つ以上、さらには3つまたは4つに、特には、4つに、エチレンを付加させることが容易になる。
塩基を2回以上に分割して反応系中に導入する場合、エチレンガスの充填およびアルキル化も、都度行うことが好ましい。すなわち、塩基の存在下で、エチレンを充填し、アルキル化することを2回以上繰り返すことが好ましい。
また、塩基を一定速度で連続的あるいは断続的に反応液中に投入してもよい。また、投入する速度は一定であってもよいし、経時で変化させてもよい。
アルカリ土類金属含有化合物(C)(好ましくはマグネシウム化合物)の含有量は、アルカリ金属含有化合物(A)および金属ナトリウム(B)の総量を100質量部としたとき、好ましくは30質量部以上であり、より好ましくは40質量部以上であり、さらに好ましくは50質量部以上であり、60質量部以上であってもよい。上限値としては、好ましくは150質量部以下であり、より好ましくは130質量部以下であり、さらに好ましくは100質量部以下である。アルカリ土類金属化合物(C)の含有量が30質量部以上であることにより、塩基組成物のべたつきを抑えられる傾向にある。また、アルカリ土類金属化合物(C)の含有量が150質量部以下であることにより、塩基組成物の触媒としての活性に影響せず、反応を進行させる傾向にある。
不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム、窒素、アルゴン等を挙げることができる。
塩基組成物の調製における温度は、好ましくは98℃~500℃であり、より好ましくは110℃~300℃であり、さらに好ましくは120℃~280℃である。温度が、98℃~500℃であることにより、金属ナトリウムが融解するために、分散混合しやすく、且つ、十分に焼成され、活性の高い触媒となる傾向にある。
塩基組成物の調製における加熱時間は、好ましくは10分~5時間であり、より好ましくは30分~3時間であり、さらに好ましくは30分~2時間である。加熱時間が、10分~5時間であることにより、十分に焼成され、活性の高い触媒となる傾向にある。
熱処理の温度を200℃~500℃とすることにより、化合物中の水分を十分に取り除くことができ、活性の高い触媒となる傾向にある。調製前の熱処理の時間は、好ましくは10分~5時間であり、より好ましくは30分~3時間であり、さらに好ましくは30分~2時間である。加熱時間が、10分~5時間であることにより、十分に水分を取り除くことができ、活性の高い触媒となる傾向にある。
化合物(X-1)製造方法では、化合物(X-1)は、精製して単独化合物として用いてもよいし、化合物(X-1)の1種または2種以上を含むアミン組成物であってもよい。
上記アミン組成物の製造方法における好ましい範囲は、上記化合物(X-1)の製造方法の好ましい範囲と同じである。
また、本実施形態では、式(2)で表される化合物であって、RA~RDのうち、3つまたは4つがエチル基である化合物の合計割合が、式(2)で表される化合物の合計量の80質量%以上(好ましくは90質量%以上)であるアミン組成物が例示される。
さらには、本実施形態では、式(2)で表される化合物であって、RA~RDのうち、4つがエチル基である化合物の合計割合が、式(2)で表される化合物の合計量の80質量%以上(好ましくは90質量%以上)であるアミン組成物が例示される。
本発明の製造方法で得られる化合物(X-1)およびアミン組成物は、化合物の中間原料、工業材料、医薬品、香料等の分野において好ましく用いられる。
特に、エポキシ樹脂の硬化剤、ウレタンプレポリマーを硬化させる硬化剤等として好ましく用いられる。
化合物(X-1)をエポキシ樹脂の硬化剤として用いる場合の詳細は、国際公開第2017/175741号の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
(1)ガスクロマトグラフィー(GC分析)
装置:株式会社島津製作所製、GC-2025
カラム:アジレント・テクノロジー株式会社製、CP-Sil 8 CB for Amines (0.25μm×0.25mm×30m)
カラム温度:80℃で2分間保持し、8℃/分の速度で昇温し、150℃で5分間保持し、15℃/分の速度で昇温し、300℃で5分間保持した。
装置:日本電子株式会社製、AccuTOF GCX
イオン化手法;FI+
BRUKER社製、核磁気共鳴装置AVANCEII600MHzを用いて、重水素置換クロロホルム溶媒中で測定を行った。尚、後述のδ(ppm)は次式で表される化学シフトを示す。
δ(ppm)=106×(νS-νR)/νR
νS:試料の共鳴周波数(Hz)
νR:標準物質のトリメチルシラン(TMS)の共鳴周波数(Hz)
磁気撹拌子を備えた200mLのナスフラスコにアルゴン雰囲気下で、炭酸セシウム(Cs2CO3、富士フイルム和光純薬社製)4.25g、金属ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)0.3g、酸化マグネシウム(MgO、富士フイルム和光純薬社製)3.2gを仕込んだ。このナスフラスコをアルミブロックヒータースターラーに設置して、250℃で、1時間加熱撹拌した後に、アルミブロックヒータースターラーから取り外した。上記ナスフラスコを空冷で室温まで冷却して、塩基組成物を得た。
30mLオートクレーブにアルゴン雰囲気下で、マグネチックスターラーバー、上記塩基組成物の調製にて調製した塩基組成物1.16g、および、MXDA(東京化成工業社製)0.80g、テトラヒドロフラン(富士フイルム和光純薬社製、超脱水、安定剤不含グレード)5.57gを入れフタをした。オートクレーブを1℃の水浴に入れ、700rpmで15分間撹拌して反応液温を3℃とした。水浴中での撹拌を継続しながら、エチレンガスボンベに接続し、エチレンガス(ジャパンファインプロダクツ社製、エチレン純度:99.9vol.%超)を2.0MPaの圧力で充填した。水浴の温度を20℃に変更し、700rpmで24時間反応を行った。反応液に4mLのイソプロピルアルコールを加えて反応を停止し、シリンジフィルター(孔径0.45μm、PTFE社製)を用いて、塩基組成物を取り除き、ガスクロマトグラフィー分析を行った。結果を表1に示す。
30mLオートクレーブにアルゴン雰囲気下で、マグネチックスターラーバー、上記塩基組成物にて調製した塩基組成物1.16g、および、MXDA0.80g、テトラヒドロフラン5.57gを入れフタをした。オートクレーブを1℃の水浴に入れ、700rpmで15分間撹拌して反応液温を3℃とした。水浴中での撹拌を継続しながら、エチレンガスボンベに接続し、エチレンガスを2.0MPaの圧力で充填した。水浴の温度を20℃に変更し、700rpmで24時間撹拌をおこなった。24時間経過後に撹拌を一時停止して塩基組成物1.16gを追加した。塩基組成物の追加後、再度オートクレーブを1℃の水浴に入れ、700rpmで15分間撹拌、反応液温を3℃とし、水浴中での撹拌を継続しながらエチレンガスを2.0MPaの圧力で充填した。エチレンガス充填後24時間反応を行った。反応液に4mLのイソプロピルアルコールを加えて反応を停止し、シリンジフィルター(孔径0.45μm、PTFE社製)を用いて、塩基組成物を取り除き、ガスクロマトグラフィー分析を行った。結果を表1に示す。
30mLオートクレーブにアルゴン雰囲気下で、マグネチックスターラーバー、上記塩基組成物にて調製した塩基組成物1.16g、および、MXDA0.80g、テトラヒドロフラン5.57gを入れフタをした。オートクレーブを20℃の水浴に入れ、700rpmで撹拌して反応液温を20℃に調整し、エチレンガスボンベに接続し、エチレンガスを0.99MPaの圧力で充填した。24時間、エチレンガスを吹き込みながら撹拌を継続した。反応液に4mLのイソプロピルアルコールを加えて反応を停止し、シリンジフィルター(孔径0.45μm、PTFE社製)を用いて、塩基組成物を取り除き、ガスクロマトグラフィー分析を行った。結果を表1に示す。
30mLオートクレーブにアルゴン雰囲気下で、マグネチックスターラーバー、上記塩基組成物にて調製した塩基組成物1.16g、および、MXDA0.80g、テトラヒドロフラン5.57gを入れフタをした。オートクレーブを20℃の水浴に入れ、700rpmで撹拌して反応液温を20℃に調整し、エチレンガスボンベに接続し、エチレンガスを0.99MPaの圧力で充填した。24時間、エチレンガスを吹き込みながら撹拌を継続した。24時間経過後にエチレンボンベからのガス供給、および撹拌を一時停止して塩基組成物1.16gを追加した。塩基組成物の追加後、再度エチレンの供給と撹拌を開始し、さらに24時間反応を行った。反応液に4mLのイソプロピルアルコールを加えて反応を停止し、シリンジフィルター(孔径0.45μm、PTFE社製)を用いて、塩基組成物を取り除き、ガスクロマトグラフィー分析を行った。結果を表1に示す。
30mLオートクレーブにアルゴン雰囲気下で、マグネチックスターラーバー、上記塩基組成物にて調製した塩基組成物1.16g、および、MXDA(東京化成工業社製)0.80g、テトラヒドロフラン(富士フイルム和光純薬社製、超脱水、安定剤不含グレード)5.57gを入れフタをした。オートクレーブを20℃の水浴に入れ、700rpmで撹拌して反応液温を20℃に調整し、エチレンガスボンベに接続し、エチレンガス(ジャパンファインプロダクツ社製、エチレン純度:99.9vol.%超)を2.0MPaの圧力で充填した。エチレン充填後700rpmで24時間反応を行った。反応液に4mLのイソプロピルアルコールを加えて反応を停止し、シリンジフィルター(孔径0.45μm、PTFE社製)を用いて、塩基組成物を取り除き、ガスクロマトグラフィー分析を行った。結果を表1に示す。
30mLオートクレーブにアルゴン雰囲気下で、マグネチックスターラーバー、上記塩基組成物にて調製した塩基組成物1.16g、および、MXDA(東京化成工業社製)0.80g、テトラヒドロフラン(富士フイルム和光純薬社製、超脱水、安定剤不含グレード)5.57gを入れフタをした。オートクレーブを1℃の水浴に入れ、700rpmで15分間撹拌して反応液温を3℃とした。水浴中での撹拌を継続しながら、エチレンガスボンベに接続し、エチレンガス(ジャパンファインプロダクツ社製、エチレン純度:99.9vol.%超)を0.99MPaの圧力で充填した。水浴の温度を20℃に変更し、700rpmで24時間反応を行った。反応液に4mLのイソプロピルアルコールを加えて反応を停止し、シリンジフィルター(孔径0.45μm、PTFE社製)を用いて、塩基組成物を取り除き、ガスクロマトグラフィー分析を行った。結果を表1に示す。
1H NMR(CDCl3、テトラメチルシラン) δ(ppm):0.702、0.717、0.732(6H、t、Ar-C(NH2)-CH2-CH3におけるCH3の水素)、0.837、0.851、0.866(3H、t、Ar-CH(NH2)-CH2-CH3におけるCH3の水素)、1.623~1.751(4H、m、Ar-C(NH2)-CH2-CH3におけるCH2の水素)、1.808~1.882(2H、m、Ar-CH(NH2)-CH2-CH3におけるCH2の水素)、3.792、3.806、3.820(1H、t、Ar-CH(NH2)-CH2-CH3におけるCHの水素)7.140、7.143、7.146、7.154、7.157、7.160(1H、Ar)7.244~7.301(2H、Ar)、7.313~7.320(1H、Ar)。
13C NMR(CDCl3、テトラメチルシラン) δ(ppm):8.1(×2)、11.0、32.6、36.1(×2)、58.0、58.2、123.7、124.1、124.5、128.0、146.0、146.8。
TOFMS分析:m/eの理論値(C14H25N2+H)+として221.20123、実測値221.199。
1H NMR(CDCl3、テトラメチルシラン) δ(ppm):0.689、0.704、0.719(12H、t、Ar-C(NH2)-CH2-CH3におけるCH3の水素)、1.639~1.711(4H、m、Ar-C(NH2)-CH2-CH3におけるCH2の水素)、1.817~1.890(4H、m、Ar-C(NH2)-CH2-CH3におけるCH2の水素)、7.214~7.235(2H、Ar)、7.267~7.298(1H、Ar)、7.396~7.403(1H、Ar)。
13C NMR(CDCl3、テトラメチルシラン) δ(ppm):8.1(×2)、36.2(×2)、58.2、123.4、123.5、127.6、146.1。
TOFMS分析:m/eの理論値(C16H28N2+H)+として249.2285、実測値249.231。
これに対し、本発明の範囲を満たさない場合、エチレン3分子付加体やエチレン4分子付加体などの、エチレンが高い比率で付加された化合物が得られる割合が低かった(参考例1~4)。
Claims (8)
- 式(1)で表される化合物の製造方法であって、
芳香環と、前記芳香環に結合している基であって、式(1-1)で表される基および式(1-2)で表される基からなる群から選択される基を少なくとも1つ有し、一分子中に、式(1-1)で表される基および式(1-2)で表される基を合計で2つ有する化合物(X-2)に、塩基の存在下で、エチレンを充填し、化合物(X-2)において、式(1-1)で表される基および式(1-2)で表される基が有する水素原子(-NH 2 に結合している水素原子を除く)の少なくとも1つをアルキル化することを含み、前記エチレン充填時の反応液の温度が0~10℃、エチレンの充填圧力が1.5~2.3MPaである、
式(1)で表される化合物の製造方法。
- 前記塩基が、炭酸ルビジウム、水酸化ルビジウム、炭酸セシウム、および、水酸化セシウムからなる群より選択される1種以上のアルカリ金属含有化合物(A)と、金属ナトリウム(B)と、を含有する塩基組成物である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記塩基を、2回以上に分割して反応系中に導入することを含む、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記化合物(X-2)が、o-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、および、p-キシリレンジアミンからなる群より選択される1種以上の化合物を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記化合物(X-2)が、m-キシリレンジアミンを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 式(1)中、RA~RDのうち少なくとも3つは、エチル基であり、それら以外のRA~RDは、水素原子である、請求項6に記載の製造方法。
- 式(1)で表される化合物を含むアミン組成物の製造方法であって、
芳香環と、該芳香環に結合している基であって、式(1-1)で表される基および式(1-2)で表される基からなる群から選択される基を少なくとも1つ有し、一分子中に、式(1-1)で表される基および式(1-2)で表される基を合計で2つ有する化合物(X-2)に、塩基の存在下で、エチレンを充填し、化合物(X-2)において、式(1-1)で表される基および式(1-2)で表される基が有する水素原子(-NH 2 に結合している水素原子を除く)の少なくとも1つをアルキル化することを含み、
前記エチレン充填時の反応液の温度が0~10℃、エチレンの充填圧力が1.5~2.3MPaである、式(1)で表される化合物を含むアミン組成物の製造方法。
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