JP7272008B2 - アミン組成物、アミン化合物、製造方法およびその応用 - Google Patents
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Description
そこで本発明は、新規なアミン組成物、これに含まれるアミン化合物、およびそれらの製造方法、前記アミン組成物等を用いたエポキシ樹脂硬化剤、エポキシ樹脂組成物、その硬化物、ポリウレタンプレポリマー硬化剤、ポリウレタンウレア樹脂組成物、その硬化物、ポリアミドワニス、ポリアミドを提供することを目的とする。
<2>式(1)中のAがノルボルナンジイル基である、<1>に記載のアミン組成物。
<3>式(1)中のBおよびCがいずれもフェニル基を含む、<1>または<2>に記載のアミン組成物。
<4>さらに、式(2)で表される化合物を含有する、<1>~<3>のいずれか1つに記載のアミン組成物。
<5>式(2)中の、Dがノルボルネニル基であり、Eがフェニル基を含む、<4>に記載のアミン組成物。
<6>さらに、式(3)で表される化合物を含有する、<1>~<5>のいずれか1つに記載のアミン組成物。
<7>式(3)中のFがフェニル基を含む、<6>に記載のアミン組成物。
<8>式(1)で表される化合物または式(1)で表される化合物を含むアミン組成物の製造方法であって、塩基組成物存在下、環状アルカジエンと式(3)で表される化合物とを反応させることを含む、製造方法。
<9>式(1)で表される化合物または式(1)で表される化合物を含むアミン組成物の製造方法であって、塩基組成物存在下、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物を反応させることを含む、製造方法。
<10>さらに、塩基組成物存在下、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物を反応させることを含む、<8>に記載の製造方法。
<11>前記塩基組成物が、炭酸セシウムおよび水酸化セシウムから選ばれるセシウム含有化合物(a)と、金属ナトリウム(b)とを含有する、<8>~<10>のいずれか1つに記載の製造方法。
<12>前記式(1)で表される化合物または式(1)で表される化合物を含む組成物を製造する際の合成反応において、前記塩基組成物を2回以上に分割して添加する、<8>~<11>のいずれか1つに記載の製造方法。
<13>式(1)で表される、アミン化合物。
<14>式(1)中のAが、ノルボルナンジイル基である、<13>に記載のアミン化合物。
<15>前記式(1)中のBおよびCが、いずれもフェニル基を含む、<13>または<14>に記載のアミン化合物。
<16>式(2)で表される、アミン化合物。
<17>前記式(2)中のDがノルボルネニル基である、<16>に記載のアミン化合物。
<18>前記式(2)中のEがフェニル基を含む、<16>または<17>に記載のアミン化合物。
<19><1>~<7>のいずれか1つに記載のアミン組成物、あるいは<13>~<15>のいずれか1つに記載のアミン化合物を含有する、エポキシ樹脂硬化剤。
<20><19>に記載のエポキシ樹脂硬化剤およびエポキシ樹脂を含有する、エポキシ樹脂組成物。
<21><20>に記載のエポキシ樹脂組成物から形成された、硬化物。
<22><1>~<7>のいずれか1つに記載のアミン組成物、あるいは<13>~<15>のいずれか1つに記載のアミン化合物を含有する、ウレタンプレポリマー硬化剤。
<23><22>に記載のウレタンプレポリマー硬化剤とウレタンプレポリマーとを含有する、ポリウレタンウレア樹脂組成物。
<24><23>に記載のポリウレタンウレア樹脂組成物から形成された、硬化物。
<25><1>~<7>のいずれか1つに記載のアミン組成物、あるいは<13>~<15>のいずれか1つに記載のアミン化合物と、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物とを含有する、ポリアミドワニス。
<26><25>に記載のポリアミドワニスの重縮合物である、ポリアミド。
本実施形態に係るアミン組成物は、式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。
ここでの環状アルキレン基は置換基を有していてもよい。しかしながら、環状アルキレン基は無置換であることが好ましい。
具体的にはAは、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルナンジイル基、シクロオクタンジイル基等が挙げられ、中でもノルボルナンジイル基であることが特に好ましい。ノルボルナンジイル基としては、式(N1)または(N2)で表されるものが好ましい。式中の*は結合位置を表す。
ここでのアリール基またはヘテロアリール基はアミノメチル基などの置換基を有していても、連結基を介して式中のメチン基(CH)に置換していてもよい。しかしながら、アリール基またはヘテロアリール基は無置換であることが好ましい。また、アリール基またはヘテロアリール基は連結基を介さずに式中のメチン基(CH)に結合していることが好ましい。
なお、本明細書において「アリール基」は置換または無置換の芳香族炭化水素基を意味し、「ヘテロアリール基」が含まれない意味である。
アリール基としては、炭素数6~22のものが好ましく、6~18がより好ましく、6~10がさらに好ましい。アリール基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ビフェニリル基、フルオレニル基が挙げられ、中でもフェニル基が好ましい。
ヘテロアリール基としては、炭素数1~24が好ましく、2~12がより好ましく、3~6がさらに好ましい。ヘテロアリール基として具体的には、チエニル基、フリル基、ピリジル基、オキサゾリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、インドリル基、トリアジニル基が挙げられる。
環状アルケニル基は置換基を有していてもよい。しかしながら、環状アルケニル基は無置換であることが好ましい。
ここでの環状アルケニル基は、炭素数3~10の環状アルキレン基であることが好ましく、炭素数5~8の環状アルキレン基であることがより好ましい。また、架橋構造を有する環状アルキレン基であることが好ましい。
環状アルケニル基に含まれる二重結合の数は1つまたは2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。具体的にDは、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基、シクロオクテニル基が挙げられ、中でもノルボルネニル基であることが特に好ましい。ノルボルネル基としては、式(N3)または(N4)で表されるものが好ましい。式中の*は結合位置を表す。
なお、詳細は後述するが、式(2)で表される化合物は式(1)で表される化合物の原料化合物あるいは合成中間化合物(中間体)となる。
Fは、式(1)におけるBと同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(3)で表される化合物としては、ベンジルアミンが例示される。
本発明における合成反応では、アミン類とアルカリ金属を同時に使用する場合があり、Benkeser還元によって式(1)で表される化合物や式(2)で表される化合物におけるアリール基またはヘテロアリール基の芳香環が、例えば1,3-シクロヘキサジエン環や1,4-シクロヘキサジエン環などに還元された化合物が副生物として含まれる可能性がある。また、本反応では、式(1)~(3)の化合物における2つのアミノ基間で脱アンモニア型や脱水素型の縮合反応が起こり、イミン化合物やα,β-ジアミノ化合物が副生物として含まれる可能性がある。
式(1)で表される化合物およびアミン組成物は、塩基組成物存在下、環状アルカジエンと式(3)で表される化合物とを反応させることによって得られる。
また、式(1)で表される化合物およびアミン組成物は、塩基組成物存在下、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物を反応させることによっても得られる。
さらに、式(1)で表される化合物およびアミン組成物は、塩基組成物存在下、環状アルカジエンと式(3)で表される化合物とを反応させること、および、塩基組成物存在下、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物を反応させることによっても得られる。
環状アルカジエンとしては、3~8員環の環状アルカジエンであることが好ましく、5員環または6員環の環状アルカジエンであることがより好ましく、6員環の環状アルカジエンであることがさらに好ましい。環状アルカジエンの具体例としては、シクロブタジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン、シクロオクタジエン等が挙げられ、中でもノルボルナジエンであることが好ましい。
環状アルカジエン、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物は、それぞれ、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
塩基組成物としては、アルカリ金属含有化合物(周期表第1元素含有化合物)(a)の少なくとも1種と、金属ナトリウム(b)とを含有する塩基組成物が挙げられる。好ましくは、アルカリ金属含有化合物(周期表第1元素含有化合物)(a)の少なくとも1種と、アルカリ土類金属含有化合物(周期表第2元素含有化合物)(c)の少なくとも1種と、金属ナトリウム(b)とを含有する組成物が挙げられる。アルカリ土類金属含有化合物(c)を含有することにより、塩基組成物のべたつきを抑え、ハンドリング性を向上することができる。
アルカリ金属含有化合物(a)は、カリウム含有化合物、ルビジウム含有化合物、セシウム含有化合物、フランシウム含有化合物が例示され、カリウム含有化合物、セシウム含有化合物が好ましく、セシウム含有化合物がより好ましい。アルカリ金属含有化合物(a)は、MaOH、Ma 2CO3(Maはアルカリ金属)が好ましい。
アルカリ土類金属含有化合物(c)は、カルシウム含有化合物、マグネシウム含有化合物が好ましく、マグネシウム含有化合物がより好ましい。アルカリ金属土類含有化合物(c)は、Mc(OH)2、McCO3、McO(Mcはアルカリ土類金属)が好ましい。
本発明で用いる塩基組成物の具体例としては、炭酸セシウムおよび水酸化セシウムから選ばれるセシウム含有化合物と、金属ナトリウムとを含有する組成物が挙げられる。また、特開平10-259147号公報に記載の組成物も挙げられる。
アルカリ土類金属含有化合物(c)は、1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム、窒素、アルゴン等を挙げることができる。
塩基組成物の調製における温度は、好ましくは100℃~500℃であり、より好ましくは110℃~300℃であり、さらに好ましくは120℃~280℃である。温度が、100℃~500℃であることにより、金属ナトリウムが融解するために、分散混合しやすく、かつ、十分に焼成され、活性の高い触媒となる傾向にある。
塩基組成物の調製における加熱時間は、好ましくは10分~5時間であり、より好ましくは30分~3時間であり、さらに好ましくは30分~2時間である。加熱時間が、10分~5時間であることにより、十分に焼成され、活性の高い触媒となる傾向にある。
熱処理の温度を200℃~500℃とすることにより、化合物中の水分を十分に取り除くことができ、活性の高い触媒となる傾向にある。調製前の熱処理の時間は、好ましくは10分~5時間であり、より好ましくは30分~3時間であり、さらに好ましくは30分~2時間である。加熱時間が、10分~5時間であることにより、十分に水分を取り除くことができ、活性の高い触媒となる傾向にある。
反応終了後における反応液と塩基組成物とは、分沈降、遠心分離、濾過等の一般的な方法により分離できる。
また、塩基組成物を一定速度で連続的あるいは断続的に反応液中に投入してもよい。投入に要する時間は、例えば、0.1~36時間、好ましくは0.5~6時間、より好ましくは2~5時間である。また、投入する速度は一定であってもよいし、経時で変化させてもよい。
合成反応は、アルゴン雰囲気下で行うことが好ましい。
溶媒は反応温度や反応物等によって適宜選択される。合成反応で溶媒を用いる場合、得られた反応溶液を必要に応じて濃縮した後、残渣をそのまま式(1)で表される化合物またはアミン組成物として用いてもよく、適宜な後処理を行った後に、式(1)で表される化合物またはアミン組成物として用いてもよい。後処理の具体的な方法としては、蒸留、クロマトグラフィー等の公知の精製を挙げることができる。
反応終了後の塩基組成物を除去するために、ろ過助剤を使用してもよい。ろ過助剤としては、珪藻土、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素などがある。好ましくは、キョーワード600(協和化学工業社製)、セライト503、セライトハイフロスーパーセル、セライトスタンダードスーパーセル、より好ましくはセライトスタンダードスーパーセルである。
式(1)で表される化合物およびアミン組成物は、これをエポキシ樹脂の硬化剤として用いることができる。すなわち、本実施形態に係るエポキシ樹脂硬化剤は、本実施形態に係るアミン化合物またはアミン組成物を含有することが好ましい。また、本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂硬化剤およびエポキシ樹脂を含有することが好ましい。
エポキシ樹脂は1種を用いても複数のものを用いてもよい。複数のものを用いる場合はその合計量が上記の範囲となる。
式(1)で表されるアミン化合物およびアミン組成物は、ウレタンプレポリマーを硬化させる硬化剤として用いることができる。また、本実施形態のポリウレタンウレア樹脂組成物は、上記ウレタンプレポリマー硬化剤とウレタンプレポリマーとを含有することが好ましい。
本実施形態に係る硬化物は、ポリウレタンウレア樹脂組成物から形成される。
式(1)で表される化合物およびアミン組成物は、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物を含有するポリアミドワニスとすることができる。このポリアミドワニスを重縮合させたポリアミドを得ることができる。カルボキシル基を有する化合物としては、2つのカルボキシル基を有するジカルボン酸が好ましい。
(1)ガスクロマトグラフィー(GC)分析
アミン組成物中の各成分の含有量比の測定は、GC分析により以下の方法により行った。
装置:島津製作所社製GC-2025
カラム:アジレント・テクノロジー社製CP-Sil8CBforAmines (0.25μm×0.25 mm×30 m)
カラム温度:80℃で2分間保持し、8℃/分の速度で昇温し、150℃で5分間保持し、15℃/分の速度で昇温し、300℃で5分間保持した。
溶媒:2-プロパノール
(2)ガスクロマトグラフ質量(GC-MS)分析
得られたアミン化合物およびアミン組成物中に含まれる各成分の質量分析による構造同定はGC-MS分析により以下の方法により行った。
EI+モード
装置:アジレント・テクノロジー社製GC7890A
カラム:アジレント・テクノロジー社製DB-1MS(0.25μm×0.25mm×30m)
キャリア-ガス:ヘリウム
カラム温度:50℃で2分間保持し、20℃/分の速度で昇温し、320℃で10分間保持した。
質量分析計:日本電子社製AccuTOF GCX
イオン化手法:電子イオン化法(EI+)
イオン化エネルギー:70eV
イオン源温度:250℃
装置:アジレント・テクノロジー社製GC7890A
カラム:アジレント・テクノロジー社製DB-1MS(0.25μm×0.25mm×30m)
カラム温度:50℃で2分間保持し、20℃/分の速度で昇温し、320℃で10分間保持した。
質量分析計:日本電子社製AccuTOF GCX
イオン化手:電界イオン化法(FI+)
磁気撹拌子を備えた200mLのナスフラスコにアルゴン雰囲気下で、300℃で減圧乾燥させた炭酸セシウム(Cs2CO3,富士フイルム和光純薬社製)23.375g、金属ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)1.65g、300℃で減圧乾燥させた酸化マグネシウム(MgO,富士フイルム和光純薬社製)17.6gを仕込んだ。このナスフラスコをアルミブロックヒータースターラーにて250℃、1時間加熱撹拌した後に、アルミブロックヒータースターラーから取り外し、空冷で室温まで冷却することにより塩基組成物を得た。
200mLナスフラスコにアルゴン雰囲気下で、磁気撹拌子、ベンジルアミン10.716g、ノルボルナジエン2.304gを入れた後に、塩基組成物0.996gを加え、アルゴン雰囲気下、25℃、500rpmで反応を開始した。反応開始から60分、120分、180分、240分経過後に追加の塩基組成物をアルゴン雰囲気下で各々0.996g加えた。反応開始から360分経過後に、イソプロピルアルコール16mLを加えて反応を停止させた。
得られた懸濁液にクロロホルム50mL、セライトスタンダードスーパーセル(純正化学社製)40cm3を加え、ろ紙No.5C(桐山製作所社製)および桐山ろうとSB-60(桐山製作所社製、60mmφ)を用いて吸引ろ過した。ろ液に対して0.5MのHClとクロロホルムを加えて分液操作を行い、水相を回収した。次いで1M水酸化ナトリウムとクロロホルムを加えて再度分液操作後有機相を回収し、減圧下でクロロホルムを留去することでアミン組成物を得た。
得られたアミン組成物について、GC-MS分析を行ったところ、式(1-1)または(1-2)で表される組成式C21H26N2のアミン化合物a~f、式(2-1)で表される組成式C14H17Nのアミン化合物gおよびh、およびベンジルアミンを含む組成物であることが分かった。GC分析により、ベンジルアミンの転化率は47%、ノルボルナジエンの転化率は99%以上、gおよびhのノルボルナジエンを基準とした収率は49%、a~fのノルボルナジエンを基準とした収率は19%であった。得られたクロマトグラムより、a~hおよびベンジルアミンの保持時間および溶媒を除いた面積比率は以下の通りであった。
アミン化合物a(保持時間25.08分):1.1%
アミン化合物b(保持時間25.51分):2.4%
アミン化合物c(保持時間25.87分):1.9%
アミン化合物d(保持時間26.10分):1.7%
アミン化合物e(保持時間26.17分):3.5%
アミン化合物f(保持時間26.23分):1.8%
アミン化合物g(保持時間17.28分):10.6%
アミン化合物h(保持時間17.56分):10.7%
実施例1で得られたアミン組成物を真空度0.25kPaで蒸留し、ベンジルアミンを留去した後、式(2-1)で表されるアミン化合物gおよびhを主成分とするアミン組成物を留分として回収した。そして未留出の蒸留塔底として、式(1-1)または(1-2)で表されるアミン化合物a~fを主成分とするアミン組成物を得た。
実施例1で得られたアミン組成物を真空度0.008kPaで蒸留し、ベンジルアミンおよび式(2-1)で表されるアミン化合物(gおよびh)を留去した後、蒸留塔底を220~250℃に加温することにより、式(1-1)または(1-2)で表されるアミン化合物a~fを主成分とするアミン組成物(アミン組成物Xと称する)を留出液として得た。
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル製、商品名:JER828 、エポキシ当量:186g/eq、以下、DGEBAと略する。)(0.329g)と蒸留精製により得たアミン組成物X(0.135g)を混合しエポキシ樹脂組成物を調製した。
示差走査熱量分析(以下、DSCと略する)用アルミパンに上記で調製したエポキシ樹脂組成物を10mg充填した。窒素雰囲気下、DSC装置内で5℃/分の昇温速度で30℃から280℃まで昇温し、280℃で5分間保持した後、20℃/分の昇温速度で急冷させた。以上のとおりにして、エポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。
上記で得たエポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度(以下、Tgと略する)について、示差走査熱量計「DSC6220」(セイコーインスツルメント社製)を用いて、5℃/分の昇温速度で30~250℃まで示差走査熱量分析を行うことにより求めた。
エポキシ樹脂硬化物のTg:178.1℃
<環状アミノアルケンからのアミン合成>
試験管型反応器にアルゴン雰囲気下で、磁気撹拌子、蒸留により回収した式(2-1)で表されるアミン化合物gおよびhを主成分とするアミン組成物Y(0.997g)、ベンジルアミン(1.072g)を入れた後に、塩基組成物(0.996g)を加え、アルゴン雰囲気下、25℃、500rpmで反応を開始した。反応開始から60分、120分、180分、240分経過後に追加の塩基組成物をアルゴン雰囲気下で各々0.996g加えた。反応開始から360分経過後に、イソプロピルアルコール16mLを加えて反応を停止させた。
得られた懸濁液にクロロホルム20mL、セライトスタンダードスーパーセル(純正化学(株)製)10cm3を加え、ろ紙No.5C((株)桐山製作所社製)および桐山ろうとSB-25((株)桐山製作所社製、25mmφ)を用いて吸引ろ過した。ろ液に対して0.5MHClとクロロホルムを加えて分液操作を行い、水相を回収した。次いで1M水酸化ナトリウムとクロロホルムを加えて再度分液操作後有機相を回収し、減圧下でクロロホルムを留去することでアミン組成物Zを得た。
得られたアミン組成物Zについて、GC-MS分析を行ったところ、式(1-1)または(1-2)で表される組成式C21H26N2のアミン化合物a~f、式(2-1)で表される組成式C14H17Nのアミン化合物gおよびh、およびベンジルアミンを含む組成物であることが分かった。GC分析により、ベンジルアミン転化率32%、gおよびhの転化率は64%、a~fの収率は18%であった。得られたクロマトグラムより、a~hおよびベンジルアミンの保持時間および溶媒を除いた面積比率は以下のとおりであった 。
ベンジルアミン(保持時間4.5分):38.5%
アミン化合物a(保持時間25.08分):1.3%
アミン化合物b(保持時間25.51分):2.9%
アミン化合物c(保持時間25.87分):2.3%
アミン化合物d(保持時間26.10分):2.1%
アミン化合物e(保持時間26.17分):4.1%
アミン化合物f(保持時間26.23分):2.1%
アミン化合物g(保持時間17.28分):9.4%
アミン化合物h(保持時間17.56分):9.6%
Claims (25)
- 式(1)中のAがノルボルナンジイル基である、請求項1に記載のアミン組成物。
- 式(1)中のBおよびCがいずれも無置換のフェニル基である、請求項1または2に記載のアミン組成物。
- 式(2)中の、Dがノルボルネニル基であり、Eが無置換のフェニル基である、請求項4に記載のアミン組成物。
- 式(3)中のFが無置換のフェニル基である、請求項6に記載のアミン組成物。
- 前記塩基組成物が、炭酸セシウムおよび水酸化セシウムから選ばれるセシウム含有化合物(a)と、金属ナトリウム(b)とを含有する、請求項8~10のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記式(1)で表される化合物または式(1)で表される化合物を含む組成物を製造する際の合成反応において、前記塩基組成物を2回以上に分割して添加する、請求項8~11のいずれか1項に記載の製造方法。
- 式(1)中のAが、ノルボルナンジイル基である、請求項13に記載のアミン化合物。
- 前記式(1)中のBおよびCが、いずれも無置換のフェニル基である、請求項13または14に記載のアミン化合物。
- 前記式(2)中のEが無置換のフェニル基である、請求項16に記載のアミン化合物。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載のアミン組成物、あるいは請求項13~15のいずれか1項に記載のアミン化合物を含有する、エポキシ樹脂硬化剤。
- 請求項18に記載のエポキシ樹脂硬化剤およびエポキシ樹脂を含有する、エポキシ樹脂組成物。
- 請求項19に記載のエポキシ樹脂組成物から形成された、硬化物。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載のアミン組成物、あるいは請求項13~15のいずれか1項に記載のアミン化合物を含有する、ウレタンプレポリマー硬化剤。
- 請求項21に記載のウレタンプレポリマー硬化剤とウレタンプレポリマーとを含有する、ポリウレタンウレア樹脂組成物。
- 請求項22に記載のポリウレタンウレア樹脂組成物から形成された、硬化物。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載のアミン組成物、あるいは請求項13~15のいずれか1項に記載のアミン化合物と、少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物とを含有する、ポリアミドワニス。
- 請求項24に記載のポリアミドワニスの重縮合物である、ポリアミド。
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