添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1は、切削装置(加工装置)2を左側面側から見た斜視図である。なお、図1では構成要素の一部をブロック図で示す。切削装置2は、後述する被加工物をフルオート(完全自動)で加工するフルオートダイサーの一例である。
切削装置2は、各構造を支持する基台4を備える。基台4の上方には、基台4を覆うカバー6が設けられている。カバー6の内側には、空間が形成されている。この空間には、被加工物11を切削(加工)するための切削ユニット(加工ユニット)8が収容されている。
切削ユニット8は、切削ユニット移動機構(不図示)によって前後方向(Y軸方向、割り出し送り方向)及び上下方向(Z軸方向、切り込み送り方向)に移動可能である。切削ユニット8は、スピンドルハウジングを有する。
スピンドルハウジング内には、回転可能な態様でスピンドル(不図示)が収容されている。スピンドルの一端にはモーター(不図示)が連結されており、スピンドルの他端には切削ブレードが装着されている。モーターで高速に回転させた切削ブレードを被加工物11に切り込むことにより、被加工物11は切削(加工)される。
切削ユニット8には、直方体形状のカメラ収容部8aが固定されている。カメラ収容部8aにはカメラ付き顕微鏡(カメラユニット8b(図3参照))が設けられている。カメラユニット8bは、例えば、被加工物11の表面を撮像する。カメラユニット8bで撮像された画像は、被加工物11のアライメント、カーフチェック等に利用される。
カメラ収容部8aの下方には、基台4の上面に形成された開口4aが設けられている。開口4aは、上面視で矩形形状を有し、Y軸及びZ軸と直交するX軸方向(加工送り方向)に沿う長辺を有する。開口4aには、被加工物11を保持するためのチャックテーブル(保持テーブル)10が設けられている。
チャックテーブル10の下方には、チャックテーブル移動機構(不図示)及び回転機構(不図示)が設けられている。チャックテーブル10は、チャックテーブル移動機構によってX軸方向(加工送り方向)に移動可能であり、回転機構によってZ軸方向に平行な回転軸の周りに回転可能である。
チャックテーブル10は、金属で形成された略円盤状の枠体を有する。枠体には、円盤状の空間から成る凹部が形成されている。凹部の底面には、枠体の底面に達する吸引路(不図示)が形成されており、この吸引路にはエジェクタ等の吸引源(不図示)が接続されている。
枠体の凹部には、多孔質部材で形成されたポーラス板が設けられている。吸引源を動作させると、吸引路を通じてポーラス板の表面には負圧が生じるので、ポーラス板の表面は、被加工物11を吸引して保持する保持面10aとして機能する。
チャックテーブル10の側方には、複数のクランプ10bが設けられている。本実施形態では、チャックテーブル10の周方向の異なる4箇所の各々に、1つのクランプ10bが固定されている。
被加工物11は、例えば、シリコン等の半導体で形成された基板を有する円盤状のウェーハである。この被加工物11の表面は、例えば、格子状に配列された分割予定ライン(ストリート)で複数の領域に区画されており、各領域には、IC(Integrated Circuit)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等のデバイスが形成されている。
なお、被加工物11を構成する基板の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、被加工物11は、他の半導体、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる基板を有してもよい。同様に、デバイスの種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。被加工物11には、デバイスが形成されていなくてもよい。
被加工物11は、例えば、樹脂製のダイシングテープ13を介して金属製の環状フレーム15と一体化された被加工物ユニット17の状態で加工される。被加工物ユニット17は、例えば、環状フレーム15の開口部に被加工物11を配置した状態で、環状フレーム15の開口部を塞ぐ様に環状フレーム15の一面と被加工物11の裏面とにダイシングテープ13を貼り付けることで形成される。
1以上の被加工物ユニット17は、カセット12aに収容されて、切削装置2へ搬送される。カバー6の前面6a側から見て基台4の前方右側の角部には、カセット12aを載置するためのカセット支持台12が設けられている。カセット支持台12の高さ(Z軸方向の位置)は、被加工物11を適切に搬出、搬入できるように昇降機構(不図示)等によって制御される。
カバー6の前面6aには、ユーザインタフェースとなるタッチパネル式のモニタ(入力部)14が設けられている。このモニタ14は、上述した切削ユニット8、切削ユニット移動機構、チャックテーブル10、チャックテーブル移動機構、回転機構、カセット支持台12、昇降機構等と共に、切削装置2の各部を制御する制御部16に接続されている。
オペレータは、モニタ14を介して、切削ユニット8等の動作を制御するための情報を制御部16に入力できる。制御部16は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置や、フラッシュメモリ等の記憶装置を含むコンピュータによって構成される。記憶装置に記憶されるプログラム等のソフトウェアに従い処理装置を動作させることによって、制御部16は、ソフトウェアと処理装置(ハードウェア資源)とが協働した具体的手段として機能する。
モニタ14の上方には、切削装置2の稼動状況を表示する表示ランプ18が設けられている。表示ランプ18は、例えば、切削装置2が正常に稼働しているときには緑色で点灯し、切削装置2に故障や異常が生じた場合には赤色で点滅する。表示ランプ18の赤色の点滅は、オペレータに対して切削装置2の異常等を知らせる警告となる。
切削装置2には、表示ランプ18に加えて、スピーカー(不図示)が設けられてもよい。スピーカーは、例えば、切削装置2に故障や異常が生じた場合に所定の音を発する。つまり、所定の音は、切削装置2の異常等を知らせる警告となる。
なお、モニタ14は、切削装置2に故障や異常が生じた場合に、所定の文字、画像等を表示してもよい。モニタ14に表示される所定の文字、画像等も、切削装置2の異常等を知らせる警告となる。この様に、表示ランプ18等は、警告を発する警告部として機能する。
図2は、切削装置2を右側面側から見た斜視図である。図2は、カバー6の前面6a側から見て、カバー6の右側が取り外された状態を示す。なお、図2では、チャックテーブル10が、モニタ14の後方の位置(図1参照)からカセット支持台12の後方の位置に移動した状態が示されている。
基台4上には、切削装置2の内部に設けられた複数の構成要素を支持するための支持構造(不図示)が設けられている。支持構造の一側面には、プッシュプルアーム移動機構20が設けられている。
プッシュプルアーム移動機構20は、Y軸方向に概ね平行な一対のY軸ガイドレール(不図示)を含む。一対のY軸ガイドレールには、移動プレート22aがスライド可能に取り付けられている。移動プレート22aは、所定形状の細長い板部材である。
移動プレート22aの一端部の裏面側には、ナット部(不図示)が設けられている。このナット部には、一対のY軸ガイドレールの間でY軸方向に沿って設けられたY軸ボールネジ(不図示)が、回転可能な態様で連結している。
Y軸ボールネジの一端部には、Y軸パルスモーター(不図示)が連結されており、Y軸パルスモーターでY軸ボールネジを回転させれば、移動プレート22aは、Y軸ガイドレールに沿ってY軸方向に移動する。
移動プレート22aの他端部には、X-Y平面方向に略平行な平板状のアーム部22bが固定されている。移動プレート22aとは反対側に位置するアーム部22bの先端部には、直方体形状のヘッド部22cが固定されている。
ヘッド部22cは、被加工物ユニット17の環状フレーム15を挟持するための嘴部22dを有する。この嘴部22dは、ヘッド部22cの前面の下部に設けられている。なお、ヘッド部22cの前面のうち、嘴部22dとアーム部22bとの間の領域は、環状フレーム15を押し出すための押し当て部22eとして機能する。
開口4aの上方において、カセット支持台12とY軸方向に隣接する位置には、被加工物11を仮置きするするための一対のガイドレール24が設けられている。一対のガイドレール24は、被加工物ユニット17の環状フレーム15をX軸方向で挟み込むことにより、被加工物ユニット17のX軸方向の位置を所定の位置に合わせる。
支持構造の一側面のうち、プッシュプルアーム移動機構20の上方には、アッパーアーム移動機構(不図示)が設けられている。アッパーアーム移動機構は、Y軸方向に概ね平行な一対のY軸ガイドレール(不図示)を含む。
一対のY軸ガイドレールには、アッパーアーム30を構成する移動プレート30aがスライド可能に取り付けられている。移動プレート30aの裏面側には、ナット部(不図示)が設けられている。
このナット部には、一対のY軸ガイドレールの間でY軸方向に沿って設けられたY軸ボールネジ(不図示)が、回転可能な態様で連結している。Y軸ボールネジの一端部には、Y軸パルスモーター(不図示)が連結されており、Y軸パルスモーターでY軸ボールネジを回転させれば、移動プレート30aはY軸ガイドレールに沿ってY軸方向に移動する。
移動プレート30aの表面側には、直方体形状のエアシリンダ部30bが固定されている。エアシリンダ部30b内の円筒形状のシリンダチューブ(不図示)には、ピストンロッド30cが嵌入している。エアシリンダ部30bから露出したピストンロッド30cの一端部には、直方体形状のアーム部30dが固定されている。
ピストンロッド30cとは反対側のアーム部30dの先端部には、ハンド部30eが固定されている。ハンド部30eは上面視でH字形状であり、4つの自由端部を有する。各自由端部の下面側には、被加工物ユニット17の環状フレーム15を真空吸着により吸着するための吸着部30fが設けられている。
なお、図2では省略されているが、支持構造の一側面のうち、プッシュプルアーム移動機構20とアッパーアーム移動機構との間に位置する領域には、ロアアーム移動機構(不図示)が設けられている。ロアアーム移動機構は、プッシュプルアーム移動機構20と略同じ構造を有する。
また、ロアアーム移動機構には、Y軸方向に移動可能な態様でロアアーム(不図示)が連結されている。ロアアームは、アッパーアーム30と略同じ機構を有するので、説明を省略する。なお、開口4aに対してカセット支持台12とは反対側に設けられている洗浄ユニット(不図示)が設けられている。
次に、被加工物11を切削するための切削手順を説明する。まず、カセット12a中の被加工物ユニット17の環状フレーム15を嘴部22dで挟持した状態で、移動プレート22aをカセット12aから離れる向きに移動させる。これにより、被加工物ユニット17をガイドレール24に引き出す。
次に、ガイドレール24に引き出された被加工物ユニット17を、ロアアームでチャックテーブル10に搬送する。そして、吸引源を動作させて、被加工物11の裏面側をチャックテーブル10の保持面10aで保持する。この状態で、チャックテーブル10をX軸方向に移動させ、切削ユニット8の下方に位置付ける。
次に、カメラユニット8b(図3参照)で被加工物11の表面側を撮像し、撮像により得られた画像に基づいて、被加工物11のアライメントを行う。アライメント後、切削ユニット8を用いて被加工物11を切削(加工)する。
切削後、チャックテーブル10をX軸方向に移動させ、アッパーアーム30の下方に位置付ける。そして、アッパーアーム30で被加工物ユニット17を洗浄ユニットへ搬送し、洗浄ユニットで被加工物ユニット17を洗浄する。
洗浄後、ロアアームで、被加工物ユニット17をガイドレール24に搬送する。そして、環状フレーム15の外周の一部を押し当て部22eに接触させた状態で、移動プレート22aをカセット12aに近づく向きに移動させる。これにより、被加工物ユニット17をガイドレール24からカセット12aへ押し込む。
次に、カメラ収容部8a、カメラユニット8b等について説明する。図3は、カメラ収容部8a等の一部断面側面図である。なお、図3では、カメラ収容部8aのみ断面で示す。また、構成要素の一部をブロック図で示す。
カメラ収容部8aの下面のうち、カメラユニット8bの下方に対応する位置には、円形の開口32aが設けられている。また、カメラ収容部8aの上面には、カメラユニット8bの構成要素を貫通させるための円形の開口32b及び32cが設けられている。
更に、カメラ収容部8aの上面のうち開口32b及び開口32cと異なる位置には、カメラ収容部8a内にエアーAを供給するための円筒形状の供給口32dが設けられている。供給口32dには、電磁弁34を介して、エアー供給源36が接続されている。エアー供給源36は、例えば、コンプレッサーで圧縮されたエアー(空気)から不純物や水分が除去された圧縮エアーが充填されたエアータンクである。
電磁弁34を開状態にすると、カメラ収容部8a内にはエアーAが供給され、カメラ収容部8a内はエアーAで充填される。電磁弁34を閉状態にすると、カメラ収容部8a内へのエアーAの供給が停止される。なお、電磁弁34の開閉は、例えば、制御部16により制御される。
カメラ収容部8a内には、カメラユニット8bが収容されている。カメラユニット8bは、レンズホルダ38を有する。レンズホルダ38には、対物レンズ38aが固定されている。レンズホルダ38及び対物レンズ38aは、カメラ収容部8a内の開口32a上に位置する。
対物レンズ38aの上方には、略円柱状の固定部材40が設けられている。固定部材40は、上述の開口32bを貫通する様に設けられている。固定部材40の底部には、LED光源40aが固定されている。
また、対物レンズ38aの上方には、円筒形状の撮像素子固定部材42が設けられている。撮像素子固定部材42は、上述の開口32cを貫通する様に設けられている。撮像素子固定部材42内には、撮像素子42aが固定されている。
撮像素子42aは、例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等である。LED光源40a及び撮像素子42aと対物レンズ38aとの間には、ミラー44a及び半透過ミラー44bが設けられている。
LED光源40aが発した光は、ミラー44aで反射された後、半透過ミラー44bに入射する。半透過ミラー44bに入射した光の一部は、半透過ミラー44bで反射されて、対物レンズ38aに入射する。
対物レンズ38aを透過した光は、被加工物11等に照射される。被加工物11等からの反射光は、対物レンズ38a及び半透過ミラー44bを透過し、撮像素子42aで受光される。
カメラ収容部8a内において、カメラユニット8bとは異なる位置には、カバー板移動機構46が設けられている。カバー板移動機構46は、略円筒形状のエアシリンダ(アクチュエータ)48を有する。エアシリンダ48は、低透磁率の金属(例えば、非磁性ステンレス鋼)で形成されている。
エアシリンダ48には、給気機構及び排気機構(いずれも不図示)が接続されている。エアシリンダ48の給気機構及び排気機構には、例えば、エアー供給源36からエアーAが供給される。なお、給気機構及び排気機構は、例えば、制御部16により制御される。
エアシリンダ48のシリンダチューブ内には、ロッド50の一端側が収容されている。ロッド50の他端側には、カバー板(可動部)52が取り付けられている。カバー板52の位置は、エアシリンダ48のシリンダチューブ内に給気するか、シリンダチューブから排気するかにより制御される。
シリンダチューブ内に給気された場合、ロッド50が押し出される。図3は、ロッド50が押し出された状態を示す。このときカバー板52は、対物レンズ38aと開口32aとの間の位置(第1位置)にある。
カバー板52が第1位置にあるとき、カバー板52と開口32aとの間には、環状の隙間Bが形成される。また、このとき、固定部材40と開口32bとの間には環状の隙間Cが形成され、撮像素子固定部材42と開口32cとの間には環状の隙間Dが形成される。
この状態で、電磁弁34を開状態にすると、隙間B、C及びDには、カメラ収容部8aの内側から外側へエアーAの流れ(矢印を参照)が生じるので、カメラ収容部8aの外部から、コンタミネーション、ミスト等が入り込むことを防止できる。それゆえ、コンタミネーション、ミスト等による、カメラユニット8bの劣化を防止できる。
エアシリンダ48からエアーAが排気された場合、ロッド50はエアシリンダ48内に引き込まれる。これにより、(第1位置)から退避して、エアシリンダ48近傍の位置(第2位置)に移動する。
例えば、被加工物11の加工前のアライメントや、加工中のカーフチェック時には、被加工物11を撮像するために、カバー板52を第2位置へ移動させる。これにより、対物レンズ38aは、開口32aを通じて外部に露出される。
なお、再び、エアシリンダ48内にエアーAを充填させると、カバー板52は、対物レンズ38aと開口32aとの間の位置(第1位置)に移動する。この様に、給気及び排気により、カバー板52は、第1位置と第2位置との間で移動する。
図4(A)は、カバー板52が第1位置P1にある場合のカバー板移動機構46等の側面図である。図4(B)はカバー板52が第2位置P2にある場合のカバー板移動機構46等の側面図である。
カバー板52とは反対側のロッド50の端部には、円盤状のピストン54が設けられている。ピストン54の外周の一部には、永久磁石56が設けられている。また、エアシリンダ48の上部側には、センサ部58が設けられている。
センサ部58は、各々ホール素子、フラックス・ゲートセンサ等である、第1の磁気センサ58a及び第2の磁気センサ58bを有する。第1の磁気センサ58aと第2の磁気センサ58bとは、エアシリンダ48の上部側の表面に固定されている。
第1の磁気センサ58aは、カバー板52が位置P1にある場合の永久磁石56の上方に位置する。カバー板52が位置P1にある場合、第1の磁気センサ58aは、永久磁石56からの磁束を検出して検出信号を生成する。
これに対して、第2の磁気センサ58bは、カバー板52が位置P2にある場合の永久磁石56の上方に位置する。カバー板52が位置P2にある場合、第2の磁気センサ58bは、永久磁石56からの磁束を検出して検出信号を生成する。
この様にして、センサ部58は、カバー板52が位置P1(第1位置)及び位置P2(第2位置)のどちらに位置しているか検出できる。センサ部58で生成された検出信号は、例えば、制御部16へ送られる。
切削装置2でのフルオート加工の開始前、カバー板52は、通常、位置P1にある。本実施形態では、フルオート加工の開始前に、エアシリンダ48が正常に動作するか否かの動作確認を行う。具体的には、オペレータがモニタ14を使用して、制御部16からエアシリンダ48へ駆動信号を送る。
エアシリンダ48が正常に動作すると、カバー板52は位置P2に移動し、第2の磁気センサ58bから制御部16へ検出信号が送られる。本実施形態の制御部16は、第2の磁気センサ58bから検出信号を受信する場合、表示ランプ18等の警告部を動作させない。
これに対して、制御部16からエアシリンダ48へ駆動信号を送り、エアシリンダ48を動作させようとしてもカバー板52が位置P2へ移動しない場合、カバー板52が位置P1(第1位置)に位置していることを第1の磁気センサ58aが検出する。そして、第1の磁気センサ58aは、制御部16へ検出信号を送る。
この場合、制御部16は、エアシリンダ48が故障している又は異常であると判断し、表示ランプ18等の警告部を動作させる。表示ランプ18等の警告部が警告を発することで、オペレータは、エアシリンダ48が故障状態又は異常状態であることが分かる。
これにより、被加工物11の加工前に、エアシリンダ48が正常に動作するか否かを確認できる。それゆえ、被加工物11の加工中にエアシリンダ48が動作しなくなる可能性を低減できる。
図5は、モニタ14の表示の一例を示す図である。モニタ14が起動状態であるとき、モニタ14には、アイコン、文字等で構成された複数のボタンが表示されている。動作確認ボタン(動作指示部)14aは、フルオート加工の開始前に、エアシリンダ48の動作確認を行うためのボタンである。
オペレータが、動作確認ボタン14aを押下又はタッチ(使用)すると、制御部16は、エアシリンダ48を動作させてカバー板52を位置P1から位置P2へと移動させる様に、エアシリンダ48へ駆動信号を送る。なお、クリアボタン14bは、表示ランプ18等の警告部が発した警告を停止させるためのボタンである。
イニシャルボタン14cは、切削装置2の起動時に、切削装置2に設けられているボールネジの動作確認を行うためのボタンである。イニシャルボタン14cを押下又はタッチすると、ナット部が原点位置へ移動するまで、ボールネジが回転する。
フルオート開始ボタン14dは、切削装置2においてフルオート加工を開始させるためのボタンである。フルオート開始ボタン14dが押下又はタッチすると、上述の切削手順に従い、被加工物11が切削される。
エンターボタン14eは、モニタ14に表示された他のボタン(不図示)を用いて、空欄(不図示)に入力した内容を決定するためのボタンである。また、リターンボタン14fは、空欄(不図示)に入力した内容を削除又は修正するためのボタンである。
次に、切削装置2を用いて被加工物11を加工する加工方法について説明する。図6は、加工方法を示すフロー図である。まず、切削装置2が起動していない場合には、電源ボタン(不図示)を押下して、切削装置2を起動させる。
そして、モニタ14のイニシャルボタン14cを押下又はタッチして、ボールネジの動作確認を行う。なお、切削装置2が既に起動している場合は、ボールネジの動作確認を省略する。
次に、切削装置2を用いたフルオート加工の開始前に、モニタ14の動作確認ボタン14aを押下又はタッチ(使用)して、制御部16からエアシリンダ48へ駆動信号を送る(動作確認開始ステップ(S2))。
そして、センサ部58を用いて、エアシリンダ48と一体となっているカバー板52の位置を、制御部16が判定することで、エアシリンダ48等が正常に動作するか否かを確認する(確認ステップ(S4))。なお、本実施形態では、動作確認開始ステップ(S2)と、確認ステップ(S4)とを合わせて、事前確認ステップ(S10)と称する。
S4で、カバー板52が位置P2に位置していることをセンサ部58が検出し、表示ランプ18等の警告部が警告を発しなかった場合には(S4でYES)、加工ステップ(S20)が行われる。加工ステップ(S20)では、上述の切削手順に従い、複数の被加工物11がフルオートで加工される。
しかし、位置P1にカバー板52が位置していることをセンサ部58が検出し、表示ランプ18等の警告部が警告を発した場合には(S4でNO)、メンテナンスステップ(S30)が行われる。
メンテナンスステップ(S30)では、例えば、オペレータがエアシリンダ48のメンテナンスを行う。例えば、オペレータは、エアシリンダ48の修理、交換等を行う。そして、メンテナンスステップ(S30)の後、再び、S2及びS4が行われる。S4でYESの場合、加工ステップ(S20)が行われるが、S4でNOの場合、再び、メンテナンスステップ(S30)が行われる。
本実施形態では、フルオート加工の開始前の事前確認ステップ(S10)で、エアシリンダ48が正常に動作するか否かを確認できる。それゆえ、被加工物11の加工中にエアシリンダ48が動作しなくなる可能性を低減できる。
次に、アクチュエータの他の実施形態について説明する。図7(A)及び図7(B)を用いて、プッシュプルアーム22内に設けられたエアシリンダ(アクチュエータ)60の動作を説明する。
図7(A)は、嘴部22dが開状態である場合のヘッド部22cの側面図であり、図7(B)は、嘴部22dが閉状態である場合のヘッド部22cの側面図である。なお、ヘッド部22cは、低透磁率の金属(例えば、非磁性ステンレス鋼)で形成されている。
嘴部22dは、一対の板部(第1の板部62a及び第2の板部62b)を有する。第1の板部62a及び第2の板部62bの一端側は、ヘッド部22cの前面側の側面に露出しているが、第1の板部62a及び第2の板部62bの他端側は、ヘッド部22c内に収容されている。なお、第1の板部62aの位置は、ヘッド部22cに対して固定されている。
ヘッド部22c内には、略円筒形状のエアシリンダ60が設けられており、エアシリンダ60のシリンダチューブ(不図示)には、ロッド62が嵌入している。第1の板部62aとは反対側の第2の板部62bの一面には、エアシリンダ60のロッド62が固定されており、第2の板部(可動部)62bは、第1の板部62aに対して相対的に移動できる。
第2の板部62bとは反対側のロッド62の端部には、円盤状のピストン64が設けられている。ピストン64の外周の一部(例えば、ヘッド部22cの後面側)には、永久磁石66が設けられている。
エアシリンダ60の後面側の側面には、センサ部68が設けられている。なお、センサ部68も、エアシリンダ60と同様に、ヘッド部22c内に設けられている。センサ部68は、第1の磁気センサ68aと、第1の磁気センサ68aよりもヘッド部22cの底面側に位置する第2の磁気センサ68bとを有する。
嘴部22dが開状態である場合、第2の板部62bは、第1の板部62aから比較的離れた位置P1(第1位置)にある。この場合、第1の磁気センサ68aは、永久磁石66の側方に位置するので、永久磁石66からの磁束を検出して検出信号を生成する。
これに対して、嘴部22dが閉状態である場合、第2の板部62bは、第1の板部62aに比較的近い位置P2(第2位置)にある。この場合、第2の磁気センサ68bは、永久磁石66の側方に位置するので、永久磁石66からの磁束を検出して検出信号を生成する。それゆえ、センサ部68により、第2の板部62bが位置P1(第1位置)及び位置P2(第2位置)のどちらに位置しているか検出できる。
上述の事前確認ステップ(S10)で、エアシリンダ60が正常に動作するか否かを確認する場合、エアシリンダ60が正常に動作すると、第2の板部62bが位置P2に移動し、第2の磁気センサ68bから制御部16へ検出信号が送られる。この場合、制御部16は、表示ランプ18等の警告部を動作させない。
これに対して、エアシリンダ60を動作させようとしても第2の板部62bが位置P2へ移動しない場合、第1の磁気センサ68aは、第2の板部62bが位置P1(第1位置)に位置していることを検出し、制御部16へ検出信号を送る。
制御部16が第1の磁気センサ68aから検出信号を受信した場合、制御部16は、エアシリンダ60が故障している又は異常であると判断し、表示ランプ18等の警告部を動作させる。表示ランプ18等の警告部が警告を発することで、オペレータは、エアシリンダ60が故障状態又は異常状態であることが分かる。
これにより、被加工物11の加工前に、エアシリンダ60が正常に動作するか否かを確認できる。それゆえ、被加工物11の加工中にエアシリンダ60が動作しなくなる可能性を低減できる。
なお、位置P1(第1位置)及び位置P2(第2位置)は、上述の例に限定されるものではない。例えば、嘴部22dが開状態である場合(図7(A))の第2の板部62bの位置を位置P2(第2位置)と見なし、嘴部22dが閉状態である場合(図7(B))の第2の板部62bの位置を位置P1(第1位置)と見なしてもよい。
次に、アクチュエータの更なる他の実施形態について説明する。本実施形態のアクチュエータは、アッパーアーム30の昇降機構である。図8(A)及び図8(B)は、アッパーアーム30に設けられたエアシリンダ部(アクチュエータ)30bの動作を示す。図8(A)は、収縮状態のアッパーアーム30の側面の部分拡大図であり、図8(B)は、延伸状態のアッパーアーム30の側面の部分拡大図である。
ピストンロッド30cの一端部にはアーム部(可動部)30dが固定されている。ピストンロッド30cの他端部には、円盤状のピストン74が設けられている。ピストン74の外周の一部(例えば、エアシリンダ部30bの後面側)には、永久磁石76が設けられている。
エアシリンダ部30bは、低透磁率の金属(例えば、非磁性ステンレス鋼)で形成されており、エアシリンダ部30bの後面側の側面には、センサ部78が設けられている。センサ部78は、第1の磁気センサ78aと、第1の磁気センサ78aよりも下方に位置する第2の磁気センサ78bとを有する。
アッパーアーム30が収縮状態である場合、アーム部30dは、位置P1(第1位置)にある。この場合、第1の磁気センサ78aは、永久磁石76の側方に位置するので、永久磁石66からの磁束を検出して検出信号を生成する。
これに対して、アッパーアーム30が延伸状態である場合、アーム部30dは、位置P1よりも下方の位置P2(第2位置)にある。この場合、第2の磁気センサ78bは、永久磁石76の側方に位置するので、永久磁石76からの磁束を検出して検出信号を生成する。それゆえ、センサ部78は、アーム部30dが位置P1(第1位置)及び位置P2(第2位置)のどちらに位置しているか検出できる。
上述の事前確認ステップ(S10)で、エアシリンダ部30bが正常に動作するか否かを確認する場合、エアシリンダ部30bが正常に動作すると、アーム部30dが位置P2に移動し、第2の磁気センサ78bから制御部16へ検出信号が送られる。この場合、制御部16は、表示ランプ18等の警告部を動作させない。
これに対して、エアシリンダ部30bを動作させようとしてもアーム部30dが位置P2へ移動しない場合、第1の磁気センサ78aは、アーム部30dが位置P1(第1位置)に位置していることを検出し、制御部16へ検出信号を送る。
制御部16が第1の磁気センサ78aから検出信号を受信した場合、制御部16は、エアシリンダ部30bが故障している又は異常であると判断し、表示ランプ18等の警告部を動作させる。表示ランプ18等の警告部が警告を発することで、オペレータは、エアシリンダ部30bが故障状態又は異常状態であることが分かる。
これにより、被加工物11の加工前に、エアシリンダ部30bが正常に動作するか否かを確認できる。それゆえ、被加工物11の加工中にエアシリンダ部30bが動作しなくなる可能性を低減できる。
なお、位置P1(第1位置)及び位置P2(第2位置)は、上述の例に限定されるものではない。例えば、アッパーアーム30が収縮状態である場合(図8(A))のアーム部30dの位置を位置P2(第2位置)と見なし、アッパーアーム30が延伸状態である場合(図8(B))のアーム部30dの位置を位置P1(第1位置)と見なしてもよい。
次に、アクチュエータの更なる他の実施形態について説明する。図9(A)は、開状態のクランプ10bの斜視図であり、図9(B)は開状態のクランプ10bの側面図である。クランプ10bは、環状フレーム15が載置されるフレーム支持部材80を有する。
フレーム支持部材80は、直方体形状の第1部材80aを含む。また、第1部材80aの長辺の両端には、この長辺に直交する態様で、略直方体形状の第2部材80bがそれぞれ設けられている。第1部材80a及び第2部材80bは、低透磁率の金属(例えば、非磁性ステンレス鋼)で形成されている。
フレーム支持部材80の一部(例えば、第1部材80a)に固定される態様で、一対の第2部材80bの間には、略円柱状の駆動部(アクチュエータ)82が設けられている。駆動部82内には、回転軸82aと、回転軸82aに固定されたベーン(不図示)とが設けられている。
駆動部82は、エアーによりベーンを回転させるエアーアクチュエータである。駆動部82内には、ベーンの移動範囲を所定範囲に留めるためのストッパ(不図示)が設けられている。更に、駆動部82には、2つの給気孔(不図示)が設けられている。
第1の給気孔から駆動部82内に給気し、第2の給気孔からは給気しないことで、ベーン及び回転軸82aは、例えば、時計回りに回転する。これに対して、第2の給気孔から駆動部82内に給気し、第1の給気孔からは給気しないことで、ベーン及び回転軸82aは、例えば、反時計回りに回転する。
回転軸82aは、駆動部82の円形の両側面から突出しており、この突出部分には、一対のアーム部84aの一端部が固定されている。回転軸82aとは反対側の各アーム部84aの他端部には、平板状のフレーム押さえ部84bが接続している。一対のアーム部84aと、フレーム押さえ部84bとは、フレーム固定部材(可動部)84を構成する。
クランプ10bが開状態であるとき、アーム部84aは第1部材80aの上面と略平行な位置P1(第1位置)にあり、フレーム押さえ部84bは第1部材80aの上面から退避した位置にある。
アーム部84aの一端部と他端部との間には、永久磁石86が設けられている。永久磁石86は、回転軸82aと平行な方向で、1つの第2部材80bの内側側面に対向している。
当該1つの第2部材80bの外側側面には、第1の磁気センサ88aが設けられている。第1の磁気センサ88aは、クランプ10bが開状態であるとき、第2部材80bを介して、回転軸82aと平行な方向で永久磁石86と対向する。このとき、第1の磁気センサ88aは、永久磁石86からの磁束を検出して検出信号を生成する。
図10(A)は閉状態のクランプ10bの斜視図であり、図10(B)は閉状態のクランプ10bの側面図である。クランプ10bが閉状態であるとき、アーム部84aは第1部材80aの上面と略直交する位置P2(第2位置)にあり、フレーム押さえ部84bは第1部材80aの上面を覆う位置にある。
上述の1つの第2部材80bの外側側面において、第1の磁気センサ88aと異なる位置には、第2の磁気センサ88bが設けられている。なお、第1の磁気センサ88a及び第2の磁気センサ88bは、センサ部88を構成する。
第2の磁気センサ88bは、クランプ10bが閉状態であるとき、第2部材80bを介して、回転軸82aと平行な方向で永久磁石86と対向する。このとき、第2の磁気センサ88bは、永久磁石86からの磁束を検出して検出信号を生成する。それゆえ、センサ部88は、アーム部84aが位置P1(第1位置)及び位置P2(第2位置)のどちらに位置しているか検出できる。
上述の事前確認ステップ(S10)で、駆動部82の動作確認を行う場合、駆動部82が正常に動作すると、フレーム固定部材84が位置P2に移動し、第2の磁気センサ88bから制御部16へ検出信号が送られる。この場合、制御部16は、表示ランプ18等の警告部を動作させない。
これに対して、駆動部82を動作させようとしてもフレーム固定部材84が位置P2へ移動しない場合、第1の磁気センサ88aは、フレーム固定部材84が位置P1(第1位置)に位置していることを検出し、制御部16へ検出信号を送る。
制御部16が第1の磁気センサ88aから検出信号を受信した場合、制御部16は、駆動部82が故障している又は異常であると判断し、表示ランプ18等の警告部を動作させる。
表示ランプ18等の警告部が警告を発することで、オペレータは、駆動部82が故障状態又は異常状態であることが分かる。これにより、被加工物11の加工前に、駆動部82が正常に動作するか否かを確認できるので、被加工物11の加工中に駆動部82が動作しなくなる可能性を低減できる。
なお、位置P1(第1位置)及び位置P2(第2位置)は、上述の例に限定されるものではない。例えば、クランプ10bが開状態である場合(図9(A)及び図9(B))のフレーム固定部材84の位置を位置P2(第2位置)と見なし、クランプ10bが閉状態である場合(図10(A)及び図10(B))のフレーム固定部材84の位置を位置P1(第1位置)と見なしてもよい。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。例えば、事前確認ステップ(S10)では、1つのアクチュエータに限らず、複数のアクチュエータの動作を確認してもよい。
また、モニタ14の画面構成は上述の例に限定されない。モニタ14の画面において、動作確認ボタン14aは省略してもよい。この場合、フルオート開始ボタン14dを使用(押下又はタッチ)すると、まず、事前確認ステップ(S10)が行われる。