JP7288398B2 - ゴムウエットマスターバッチの製造方法、およびゴム組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明のゴムウエットマスターバッチの製造方法は、カーボンブラックが水に分散したカーボンブラック含有スラリー水溶液に、ゴムラテックス溶液を、前記スラリー水溶液が攪拌されていない状態で投入して、未混合水溶液を準備する工程(I)と、得られた前記未混合水溶液に凝固剤を添加しながら混合して、カーボンブラック含有ゴム凝固物を製造する工程(II)と、得られたカーボンブラック含有ゴム凝固物を脱水・乾燥してゴムウエットマスターバッチを製造する工程(III)を含む。
本発明の工程(I)は、カーボンブラックが水に分散したカーボンブラック含有スラリー水溶液に、ゴムラテックス溶液を、前記スラリー水溶液が攪拌されていない状態で投入して、未混合水溶液を準備する。ここで、「攪拌されていない状態」とは、後述する分散機や混合機などによって溶液を人為的に攪拌しないことを意味する。また、前記未混合溶液は、前記スラリー水溶液を、前記ゴムラテックス溶液が攪拌されていない状態で投入して、準備してもよい。
前記カーボンブラック含有スラリー水溶液は、通常、原料として、カーボンブラックおよび水を混合することによって得られる。
前記ゴムラテックス溶液としては、天然ゴムラテックス溶液および合成ゴムラテックス溶液を使用することができる。
本発明の工程(II)は、上記で得られた未混合水溶液に凝固剤を添加しながら混合して、カーボンブラック含有ゴム凝固物を製造する。前記凝固剤としては、ゴムラテックス溶液の凝固用として通常使用される、ギ酸、硫酸などの酸;塩化ナトリウムなどの塩などを使用することができる。
本発明の工程(III)は、上記で得られたカーボンブラック含有ゴム凝固物を脱水・乾燥して、ゴムウエットマスターバッチを製造する。前記脱水・乾燥の方法としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、オーブン、コンベアー式乾燥機、真空乾燥機、エアードライヤーなどの各種脱水・乾燥装置を使用することができる。なお、工程(III)の前に、必要に応じて、カーボンブラック含有ゴム凝固物が含む水分量を適度に低減するなどの目的として、例えば、遠心分離工程や振動スクリーンを使用した固液分離工程を設けてもよく、あるいは、洗浄を目的として、水洗法などの洗浄工程などを設けてもよい。
本発明のゴム組成物の製造方法は、上記で得られたゴムウエットマスターバッチを用いて、乾式混合する工程(IV)を含む。
a)天然ゴムラテックス溶液:「NRフィールドラテックス」(Golden Hope社製)(DRC=31.2%)
b)カーボンブラック:「シーストKH」(東洋カーボン社製)
c)酸化亜鉛:「酸化亜鉛1号」(三井金属鉱業社製)
d)ステアリン酸:「ルナックS20」(花王社製)
e)老化防止剤:「ノクラック6C」(大内新興化学工業社製)
f)ワックス:「OZOACE0355」(日本精蝋社製)
g)硫黄:「5%油入微粉末硫黄」(鶴見化学工業社製)
h)加硫促進剤:「ノクセラーNS-P」(大内新興化学社製)
<工程(I):未混合水溶液の準備>
天然ゴムラテックス溶液「NRフィールドラテックス」に水を常温下で加え、濃度が25質量%のゴムラテックス溶液を調製した。一方、水にカーボンブラックを添加し、これにSILVERSON社製「ハイシアーミキサー」(条件:9000rpm、30分)を使用してカーボンブラックを分散させることにより、カーボンブラック濃度が6質量%のカーボンブラック含有スラリー水溶液を調製した。次いで、当該カーボンブラック含有スラリー水溶液に、上記のゴムラテックス溶液(25質量%)を、常温下で、当該スラリー水溶液が攪拌されていない状態で、カーボンブラック50質量部に対して、固形分(ゴム成分)が100質量部となるように投入し、未混合水溶液を準備した。
次いで、上記の工程(I)で準備した未混合水溶液(90℃)に、凝固剤として、ギ酸(10%溶液)を、前記未混合水溶液中に含まれるゴム成分100gに対して、9.1×10-4(mmol/min)の添加速度で溶液全体がpH4となるまで添加しながら、攪拌羽根の周速が10m/sの条件にて攪拌し、カーボンブラック含有ゴム凝固物と凝固液を含む混合物を製造した。なお、前記凝固剤の添加速度は、ギ酸(100%)として算出される値である。得られたカーボンブラック含有ゴム凝固物の大きさについて、以下の式にて算出したところ、2mmであった。
式:カーボンブラック含有ゴム凝固物の大きさ(mm)=(R1×V1+R2×V2+・・・+Rk×Vk)[Rkは各カーボンブラック含有ゴム凝固物の円相当径(mm);Vkは各サイズのカーボンブラック含有ゴム凝固物の体積割合(%);を示す。]
例えば、円相当径が5mmで割合が20vol%、円相当径が15mmで割合が30vol%、円相当径が25mmで割合が40vol%、円相当径が35mmで割合が10vol%であるカーボンブラック含有ゴム凝固物が採取された場合、19(mm){=(5×20+15×30+25×40+35×10)/100)}となる。
上記の工程(II)で製造したカーボンブラック含有ゴム凝固物と凝固液を含む混合物を、混合機から40meshのフィルターに排出することで固液分離処理をした後、スクイザー式1軸押出脱水機(スエヒロEPM社製、スクリュープレスV-02型)で脱水および乾燥することにより、ゴムウエットマスターバッチを製造した。また、ゴムウエットマスターバッチの収率(%)について、以下の式にて算出したところ、97%であった。式:ゴムウエットマスターバッチの収率(%)=ゴムウエットマスターバッチの回収質量/固体の仕込み質量。
上記で得られたゴムウエットマスターバッチと、表1に記載の各原料(硫黄と加硫促進剤を除く成分)を、バンバリーミキサーを用いて乾式混合(混練時間:3分、排出温度:150℃)することにより、ゴム組成物を製造した。次いで、得られたゴム組成物に、表1に記載の硫黄、および加硫促進剤を加え、バンバリーミキサーを用いて乾式混合(混練時間:1分、排出温度:90℃)することにより、未加硫ゴム組成物を製造した。なお、表1中の配合比率は、ゴム組成物に含まれるゴム成分の全量を100質量部としたときの質量部(phr)で示す。
実施例1の<工程(II):カーボンブラック含有ゴム凝固物の製造>において、凝固剤の添加速度(mmol/min)および攪拌羽根の周速(m/s)を表1に示す値に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2~8のゴムウエットマスターバッチ、ゴム組成物および未加硫ゴム組成物を製造した。各実施例におけるカーボンブラック含有ゴム凝固物の大きさ(mm)およびゴムウエットマスターバッチの収率(%)についての結果は表1に示す。
実施例1の<工程(II):カーボンブラック含有ゴム凝固物の製造>において、未混合水溶液を一定時間混合した後、凝固剤として、ギ酸(10%溶液)を一定速度で添加せずに、一括投入したこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1のゴムウエットマスターバッチ、ゴム組成物および未加硫ゴム組成物を製造した。カーボンブラック含有ゴム凝固物の大きさ(mm)およびゴムウエットマスターバッチの収率(%)についての結果は表1に示す。
実施例1の<工程(II):カーボンブラック含有ゴム凝固物の製造>において、未混合水溶液を一定時間混合した後、凝固剤として、ギ酸(10%溶液)を一定速度で添加せずに、一括投入し、攪拌羽根の周速(m/s)を表1に示す値に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例2のゴムウエットマスターバッチ、ゴム組成物および未加硫ゴム組成物を製造した。カーボンブラック含有ゴム凝固物の大きさ(mm)およびゴムウエットマスターバッチの収率(%)についての結果は表1に示す。
抗張積の評価は、得られた加硫ゴムをダンベル状3号形で打ち抜いたサンプルを、JIS K6251に準拠した引張試験を行い、破断特性としての抗張積(TB(引張強さ)×EB(破断時伸び))を求め、比較例1の値を100として指数で表示した。数値が大きいほど、抗張積に優れることを示す。
Claims (2)
- ゴムウエットマスターバッチの製造方法であって、
カーボンブラックが水に分散したカーボンブラック含有スラリー水溶液に、ゴムラテックス溶液を、前記スラリー水溶液が攪拌されていない状態で投入して、未混合水溶液を準備する工程(I)と、
得られた前記未混合水溶液に凝固剤を添加しながら混合して、カーボンブラック含有ゴム凝固物を製造する工程(II)と、
得られたカーボンブラック含有ゴム凝固物を脱水・乾燥してゴムウエットマスターバッチを製造する工程(III)を含み、
前記工程(II)において、前記凝固剤の添加速度が、前記未混合水溶液中に含まれるゴム成分100gに対して、1.5×10-2(mmol/min)以下であることを特徴とするゴムウエットマスターバッチの製造方法。 - 請求項1記載のゴムウエットマスターバッチの製造方法で得られたゴムウエットマスターバッチを用いて、乾式混合する工程(IV)を含むことを特徴とするゴム組成物の製造方法。
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