JP7125325B2 - ゴムウエットマスターバッチの製造方法、およびゴム組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明のゴムウエットマスターバッチの製造方法は、カーボンブラックが水に分散したカーボンブラック含有スラリー水溶液に、ゴムラテックス溶液を、前記スラリー水溶液が攪拌されていない状態で投入して、未混合水溶液を準備する工程(I)と、得られた前記未混合水溶液を混合して、カーボンブラック含有ゴムラテックス水溶液を製造する工程(II)と、得られたカーボンブラック含有ゴムラテックス水溶液を凝固して、カーボンブラック含有ゴム凝固物を製造する工程(III)と、得られたカーボンブラック含有ゴム凝固物を脱水・乾燥してゴムウエットマスターバッチを製造する工程(IV)を含む。
本発明の工程(I)は、カーボンブラックが水に分散したカーボンブラック含有スラリー水溶液に、ゴムラテックス溶液を、前記スラリー水溶液が攪拌されていない状態で投入して、未混合水溶液を準備する。ここで、「攪拌されていない状態」とは、後述する分散機や混合機などによって溶液を人為的に攪拌しないことを意味する。また、前記未混合溶液は、前記スラリー水溶液を、前記ゴムラテックス溶液が攪拌されていない状態で投入して、準備してもよい。
前記カーボンブラック含有スラリー水溶液は、通常、原料として、カーボンブラックおよび水を混合することによって得られる。
前記ゴムラテックス溶液としては、天然ゴムラテックス溶液および合成ゴムラテックス溶液を使用することができる。
本発明の工程(II)は、上記で得られた未混合水溶液を混合して、カーボンブラック含有ゴムラテックス水溶液を製造する。
本発明の工程(III)は、上記で得られたカーボンブラック含有ゴムラテックス水溶液を凝固して、カーボンブラック含有ゴム凝固物を製造する。
本発明の工程(IV)は、上記で得られたカーボンブラック含有ゴム凝固物を脱水・乾燥して、ゴムウエットマスターバッチを製造する。前記脱水・乾燥の方法としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、オーブン、コンベアー式乾燥機、真空乾燥機、エアードライヤーなどの各種脱水・乾燥装置を使用することができる。なお、工程(IV)の前に、必要に応じて、カーボンブラック含有ゴム凝固物が含む水分量を適度に低減する目的として、例えば、遠心分離工程や振動スクリーンを使用した固液分離工程を設けてもよく、あるいは、洗浄を目的として、水洗法などの洗浄工程などを設けてもよい。
本発明のゴム組成物の製造方法は、上記で得られたゴムウエットマスターバッチを用いて、乾式混合する工程(V)を含む。
a)天然ゴムラテックス溶液:「NRフィールドラテックス」(Golden Hope社製)(DRC=31.2%)
b)天然ゴム濃縮ラテックス溶液(レヂテックス社製)(DRC=60重量%)
c)カーボンブラック:「シースト7HM」(東洋カーボン社製)
d)酸化亜鉛:「酸化亜鉛2種」(三井金属鉱業社製)
e)ステアリン酸:「ルナックS20」(花王社製)
f)老化防止剤(A):「ノクラック6C」(大内新興化学工業社製)
g)老化防止剤(B):「ノクラック224」(大内新興化学工業社製)
h)硫黄:「5%油入微粉末硫黄」(鶴見化学工業社製)
i)加硫促進剤(A):「サンセラーCM」(三新化学工業社製)
j)加硫促進剤(B):「ノクセラーD」(大内新興化学社製)
k)天然ゴム:「RSS#3」
<工程(I):未混合水溶液の準備>
天然ゴムラテックス溶液「NRフィールドラテックス」に水を常温下で加え、濃度が25重量%のゴムラテックス溶液を調製した。一方、水にカーボンブラックを添加し、これにSILVERSON社製「ハイシアーミキサー」(条件:9000rpm、30分)を使用してカーボンブラックを分散させることにより、カーボンブラック濃度が6重量%のカーボンブラック含有スラリー水溶液を調製した。得られたカーボンブラック含有スラリー水溶液は、pH11.0であった。次いで、当該カーボンブラック含有スラリー水溶液に、上記のゴムラテックス溶液(25重量%)と老化防止剤(A)を、常温下で、当該スラリー水溶液が攪拌されていない状態で、カーボンブラック30重量部に対して、固形分(ゴム成分)が100重量部(老化防止剤(A)は3重量部)となるように投入し、未混合水溶液を準備した。なお、pHは、東亜ディーケーケー(株)製、「ポータブルpH計HM-30P」を用いて測定した。以下のpHも同様に測定した。
次いで、上記の工程(I)で準備した未混合水溶液を、45℃下で、SANYO社製家庭用ミキサーSM-L56型を使用して混合し(ミキサー条件:75rpm、33分)、カーボンブラック含有ゴムラテックス水溶液を製造した。得られたカーボンブラック含有ゴムラテックス水溶液は、pHが10.5であった。
続いて、上記の工程(II)で製造したカーボンブラック含有ゴムラテックス水溶液(90℃)に、上記のSANYO社製家庭用ミキサーSM-L56型を使用して混合しながら、凝固剤として、ギ酸(10%溶液)を溶液全体がpH4となるまで添加して、カーボンブラック含有ゴム凝固物を製造した。得られたカーボンブラック含有ゴム凝固物について、凝固クラムサイズを以下の式にて算出したところ、60mmであった。
式:凝固クラムサイズ(mm)=(R1×V1+R2×V2+・・・+Rk×Vk)[Rkは各凝固クラムの円相当径(mm);Vkは各サイズの凝固クラムの体積割合(%);を示す。]
例えば、円相当径が5mmで割合が20vol%、円相当径が15mmで割合が30vol%、円相当径が25mmで割合が40vol%、円相当径が35mmで割合が10vol%である凝固クラムが採取された場合、19(mm){=(5×20+15×30+25×40+35×10)/100)}となる。
上記の工程(III)で製造したカーボンブラック含有ゴム凝固物を、スクイザー式1軸押出脱水機(スエヒロEPM社製、スクリュープレスV-02型)で脱水および乾燥することにより、ゴムウエットマスターバッチを製造した。
上記で得られたゴムウエットマスターバッチと、表1に記載の各原料(硫黄と加硫促進剤を除く成分)を、バンバリーミキサーを用いて乾式混合(混練時間:3分、排出温度:150℃)することにより、ゴム組成物を製造した。次いで、得られたゴム組成物に、表1に記載の硫黄、および加硫促進剤を加え、バンバリーミキサーを用いて乾式混合(混練時間:1分、排出温度:90℃)することにより、未加硫ゴム組成物を製造した。なお、表1中の配合比率は、ゴム組成物に含まれるゴム成分の全量を100重量部としたときの重量部(phr)で示す。
実施例1の<工程(I):未混合水溶液の準備>において、使用するカーボンブラック含有スラリー水溶液を、ギ酸を用いて、表1に示すpHに調整したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2~3のゴムウエットマスターバッチ、ゴム組成物および未加硫ゴム組成物を製造した。
実施例1の<工程(I):未混合水溶液の準備>において、天然ゴム濃縮ラテックス溶液(レヂテックス社製)(DRC=60重量%)に、水を常温下で加え、濃度が30重量%のゴムラテックス溶液を調製したこと、および使用するカーボンブラック含有スラリー水溶液を、ギ酸を用いて、表1に示すpHに調整したこと以外は、実施例1と同様の方法により、実施例4のゴムウエットマスターバッチ、ゴム組成物および未加硫ゴム組成物を製造した。
表1に記載の各原料(硫黄と加硫促進剤を除く成分)を、バンバリーミキサーを用いて乾式混合(混練時間:3分、排出温度:150℃)することにより、ゴム組成物を製造した。次いで、得られたゴム組成物に、表1に記載の硫黄、加硫促進剤を加え、バンバリーミキサーを用いて乾式混合(混練時間:1分、排出温度:90℃)して、未加硫ゴム組成物を製造した。
天然ゴムラテックス溶液に水を常温下で加え、濃度が25重量%のゴムラテックス溶液を調製した。一方、水にカーボンブラックを添加し、これにSILVERSON社製「ハイシアーミキサー」(条件:9000rpm、30分)を使用してカーボンブラックを分散させることにより、カーボンブラック濃度が6重量%のカーボンブラック含有スラリー水溶液を調製した。得られたカーボンブラック含有スラリー水溶液は、pHが11.0であった。次いで、当該カーボンブラック含有スラリー水溶液に、上記のゴムラテックス溶液(25重量%)と老化防止剤(A)を、常温下で、SANYO社製家庭用ミキサーSM-L56型を用いて、当該スラリー水溶液が攪拌されている状態(60rpm)で、カーボンブラック30重量部に対して、固形分(ゴム成分)が100重量部(老化防止剤(A)は3重量部)となるように投入した後、75rpmで33分間攪拌して、カーボンブラック含有ゴムラテックス水溶液を製造した。得られたカーボンブラック含有ゴムラテックス水溶液は、pHが9.5であった。
得られたカーボンブラック含有ゴムラテックス水溶液を用い、実施例1と同様の方法により、比較例2のゴムウエットマスターバッチ、ゴム組成物および未加硫ゴム組成物を製造した。
比較例2において、使用するカーボンブラック含有スラリー水溶液を、ギ酸を用いて、表1に示すpHに調整したこと以外は、比較例2と同様の方法により、比較例3~4のゴムウエットマスターバッチ、ゴム組成物および未加硫ゴム組成物を製造した。
比較例2において、天然ゴム濃縮ラテックス溶液(レヂテックス社製)(DRC=60重量%)に、水を常温下で加え、濃度が30重量%のゴムラテックス溶液を調製したこと、および使用するカーボンブラック含有スラリー水溶液を、ギ酸を用いて、表1に示すpHに調整したこと以外は、比較例2と同様の方法により、比較例5のゴムウエットマスターバッチ、ゴム組成物および未加硫ゴム組成物を製造した。
発熱性の評価は、東洋精機(株)製の粘弾性試験機を使用し、周波数10Hz、静歪10%、動歪1%、温度60℃で損失係数tanδを測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほど、発熱し難く、低発熱性に優れるため、タイヤとしての低燃費性能に優れることを示す。
Claims (4)
- ゴムウエットマスターバッチの製造方法であって、
カーボンブラックが水に分散したカーボンブラック含有スラリー水溶液(但し、ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラックを含有するスラリー溶液を除く。)に、ゴムラテックス溶液を、前記スラリー水溶液が攪拌されていない状態で投入して、未混合水溶液を準備する工程(I)と、
得られた前記未混合水溶液を混合して、カーボンブラック含有ゴムラテックス水溶液を製造する工程(II)と、
得られたカーボンブラック含有ゴムラテックス水溶液を凝固して、カーボンブラック含有ゴム凝固物を製造する工程(III)と、
得られたカーボンブラック含有ゴム凝固物を脱水・乾燥してゴムウエットマスターバッチを製造する工程(IV)を含むことを特徴とするゴムウエットマスターバッチの製造方法。 - 前記カーボンブラック含有スラリー水溶液は、pHが7以上11.5以下であることを特徴とする請求項1記載のゴムウエットマスターバッチの製造方法。
- 前記カーボンブラック含有ゴムラテックス水溶液は、pHが7以上11以下であることを特徴とする請求項1または2記載のゴムウエットマスターバッチの製造方法。
- 請求項1~3のいずれかに記載のゴムウエットマスターバッチの製造方法で得られたゴムウエットマスターバッチを用いて、乾式混合する工程(V)を含むことを特徴とするゴム組成物の製造方法。
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