JP2014500378A - 液相中でのマスターバッチの製造方法 - Google Patents
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Abstract
・安定でかつ均質な水性分散液(C)を、1種以上のジエンエラストマーラテックス(A)を1種以上の充填剤の1種以上の安定な水性分散液(B)と混合することによって調製する段階;
・上記水性分散液(C)を均質化する段階;
・上記水性分散液(C)中で、上記1種以上のジエンエラストマーラテックスを、前記1種以上の充填剤と一緒に、機械的エネルギーを供給することによって凝固させる段階;
・凝固物を回収する段階;
・回収した凝固物を乾燥させて前記マスターバッチを得る段階。
Description
用語“マスターバッチ”は、1種以上の充填剤と任意構成成分としての他の添加剤を導入しているエラストマー系複合体を意味するものと理解されたい。
さらにまた、均質化および凝固段階をより良好に管理し、実際には統御すらし得て、充填剤の凝固物中での分布に影響を与え得るようにすることが有利であろう。
有利なことに、本発明に従う方法は、凝固剤の使用を必要としない。
・安定でかつ均質な水性分散液(C)を、1種以上のジエンエラストマーラテックス(A)を1種以上の充填剤の1種以上の安定な水性分散液(B)と混合することによって調製する段階;
・上記水性分散液(C)を均質化する段階;
・上記水性分散液(C)中で、上記1種以上のジエンエラストマーラテックスを、上記充填剤と一緒に、機械的エネルギーを供給することによって凝固させる段階;
・凝固物を回収する段階;
・回収した凝固物を乾燥させて前記マスターバッチを得る段階。
本発明のもう1つの主題は、上述の方法に従って製造したジエンエラストマーと充填剤との少なくとも1種のマスターバッチをベースとするゴム組成物、上記で定義したような組成物を含む最終物品または半製品および上記で定義したような組成物を含むタイヤトレッドである。
最後に、本発明の主題は、上記で定義したような少なくとも1種のゴム組成物を含むタイヤまたは半製品である。
所望の目的は、一般に凝集物として知られるマスターバッチ中の充填剤分散のポケットの形成を回避することである。
量の単位“phr”は、エラストマー100質量部当りの質量部を意味する。
本発明に従う方法の第1段階は、安定で且つ均質な水性分散液C)を1種以上のエラストマーラテックス(A)と充填剤の1種以上の水性分散液(B)から調製することからなる。
さらに詳細には、安定な分散液は、巨視的レベルにおいて、カーボンブラックと天然ゴムラテックスの混合から生じる自然凝固と比較して経時的に変化しない。
ラテックス形のエラストマーは、本発明の意味の範囲内において、水中に分散させたエラストマー粒子の形で提供されるエラストマーを意味するものと理解されたい。
本発明は、ジエンエラストマーラテックスに関する;ジエンエラストマーは、下記のように定義する:
“ジエン”エラストマーまたはゴムは、知られている通り、ジエンモノマー(共役型であってもまたはなくてもよい2個の炭素‐炭素二重結合を担持するモノマー)に少なくとも一部由来するエラストマー(即ち、ホモポリマーまたはコポリマー)を意味するものと理解すべきである。
天然ゴム(NR)は、本発明において特に適しており、"Latex concentrates: properties and composition", by K.F. Gaseley, A.D.T. Gordon and T.D. Pendle, in "Natural Rubber Science and Technology", A.D. Roberts, Oxford University Press, 1988の第3章に詳細に説明されているように、種々の形で存在する。
上記ラテックスは直接使用してもよく、或いは、前以って水中に希釈してその使用を容易にすることもできる。
(a) 4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーを重合させることによって得られる任意のホモポリマー;
(b) 1種以上の共役ジエンを他のジエンまたは8〜20個の炭素原子を有する1種以上のビニル芳香族化合物と共重合させることによって得られる任意のコポリマー;
(c) エチレンおよび3〜6個の炭素原子を含有するα‐オレフィンを、6〜12個の炭素原子を含有する非共役ジエンモノマーと共重合させることによって得られる3成分コポリマー、例えば、上記タイプの非共役ジエンモノマー、例えば、特に、1,4‐ヘキサジエン、エチリデンノルボルネンまたはジシクロペンタジエンと一緒のエチレンおよびプロピレンから得られるエラストマー;および、
(d) イソブテンとイソプレンのコポリマー(ブチルゴム)、さらにまた、このタイプのコポリマーのハロゲン化形、特に、塩素化または臭素化形。
上記水性分散液(A)中の天然ゴムの濃度は、該分散液の総質量に対して、10〜65質量%、好ましくは30〜65質量%、特に40〜65質量%の範囲である。
水性分散液(C)について上記で定義したような安定な水性分散液とは、この分散液の構成成分、即ち、充填剤が、少なくとも巨視的レベルにおいて、凝固していない、凝集していない、凝集物を含んでいない、さらに、沈析していない、即ち、その状態が、周囲温度および大気圧下において、所定の時間に亘って変化しない分散液を意味するものと理解されたい。
好ましくは、本発明に従う充填剤は、ジエンエラストマーと一緒に自然凝固する。
例えば、2つのタイプの異なる充填剤のブレンド、特に、カーボンブラックと変性無機充填剤とのブレンドを使用することも可能である。
第1の実施態様によれば、充填剤は、有機充填剤である。
本発明に従う水性分散液(B)において使用することのできる有機充填剤は、好ましくは、カーボンブラックである。
タイヤにおいて通常使用する全ての既知のカーボンブラック類、特に、HAF、ISAFまたはSAFタイプのブラック類(“タイヤ級”ブラック類)が、カーボンブラックとして適している。さらに詳細には、後者のうちでは、例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347またはN375ブラックのような100、200または300シリーズの補強用カーボンブラック類(ASTM級)が挙げられる。
変性していない無機充填剤
本発明に従う“補強用無機充填剤”とは、本特許出願においては、定義によれば、カーボンブラックと対比して、“白色充填剤”、“透明充填剤”としても、または実際には“非黒色充填剤”としてさえも知られており、それ自体単独で、中間カップリング剤以外の手段によることなく、タイヤの製造を意図するゴム組成物を補強し得る、換言すれば、その補強役割において、通常のタイヤ級カーボンブラックと置換わり得る任意の無機または鉱質充填剤(その色合およびその由来(天然または合成)の如何にかかわらない)を意味するものと理解すべきである;本発明の関連においては、そのような充填剤は、その親水性に、即ち、一般に、知られている通り、その表面でのヒドロキシル(‐OH)基の存在に特徴を有する。
そのように、補強用無機充填剤を表面変性して充填剤粒子とエラストマー粒子間に必要な親和性を創出することが必要である。エラストマーと一緒に凝固する充填剤の能力は、その表面特性に由来する。
実際に、驚くべきことに、水性分散液(B)中の疎水性補強用無機充填剤の存在は水性分散液(C)の凝固を可能にすることを見出した。
疎水性を本発明に従う変性していない補強用無機充填剤に付与するためには、その粒子に、下記の式(I)を有する1種以上の疎水化剤をグラフトさせる:
En‐F (式I)
(式中、
・nは、1または2に等しい整数であり;
・nが値1の場合、Fは、1価の基であり;
・nが値2の場合、Fは、2価の基であり;
・Eは、上記充填剤に物理的および/または化学的に結合し得且つ、その構造内に、基Eに疎水性を付与する1〜18個の炭素原子を含む少なくとも1本のアルキルまたはアルキレン鎖を含む官能基を示し;
・Fは、ジエンエラストマーに物理的および/または化学的に結合し得るまたは結合し得ない基を示す)。
[G(3-m)(L‐K)mSi‐L‐]n‐F (II)
(式中、nが値1の場合、Fは、以下で定義するK基を示し、mは0〜2の範囲にあり;そして、nが値2である場合、Fは、アミノ基、ポリスルフィド(Sx)基またはエポキシ基を示し、mは0〜2のj範囲にあり;
G基は、互いに無関係に、水素原子;線状、枝分れまたは環状のアルキル基、アラルキル基、アルキルアリール基およびアリール基、例えば、フェニル、ベンジル、シクロペンチル、シクロヘキシルから選ばれるC1〜C18炭化水素基;アルコキシ(R1O)‐基 (式中、R1は、例えば、メチル、エチルおよびイソプロピル基、好ましくは少なくとも1個のメチルおよびエチル基のような飽和C1〜C8アルキル基を示す);フッ素、塩素、臭素およびヨウ素のようなハロゲン原子;および、ヒドロキシル基から選ばれ;
但し、少なくとも1個のG基は、アルコキシ基、塩素原子またはヒドロキシル基から選ばれることを条件とし;
Lは、必要に応じて酸素原子を含む、例えば、メチレン、エチレン、イソプロピレン、n‐ブチレン、オクタデシレン、フェニレン、シクロペンチレンおよびシクロヘキシレン基のような飽和または不飽和で線状、枝分れまたは環状の、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するC1〜C18アルキレン基を示し;
Kは、水素原子;フッ素、塩素、臭素およびヨウ素のようなハロゲン原子;または、アミノ基、ポリアミノアルキル基、メルカプト基、エポキシ基、ヒドロキシル基、ビニル基、アクリルオキシ基、メタクリルオキシ基、‐SCN基またはR(CO)S‐基 (Rは、C1〜C18アルキル基である)から選ばれる官能基を示し;
好ましくは、m = 0である)。
G3Si‐L‐K (III)
(式中、G、LおよびKは、上記で定義したとおりである)。
[G3Si‐L‐]2‐F (IV)
(式中、G、LおよびFは、上記で定義したとおりである)。
本発明の好ましい実施態様によれば、上記疎水化剤は、オクテニルジメチルクロロシラン、ビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドおよびこれらの混合物から選択する。
有利には、充填剤は疎水化シリカである。
好ましくは、上記疎水化剤は、補強用無機充填剤に一旦結合すると、多くとも30個の炭素原子、特に1〜25個の炭素原子を含む。
好ましくは、上記疎水化充填剤は、充填剤表面積のnm2当り、充填剤に結合した時点の疎水化剤によって0.29個以上の炭素原子が担持されるという疎水化度に特徴を有する。
好ましくは、上記疎水化度は、0.29〜0.73個の炭素原子数/表面積のnm2の範囲にある。
上記充填剤を含む水性分散液(B)中の充填剤の濃度は、水性充填剤分散液(B)中に存在する水に対して、好ましくは0.1質量%と20質量%の間、好ましくは1質量%と15質量%の間である。
また、ジエンエラストマーラテックス(A)も、1種以上の界面活性剤を含み得る。
従って、水性充填剤分散液(B)は、1種以上の界面活性剤を含んで、特にこの分散液を安定にする。
この界面活性剤は、アニオン性、ノニオン性、カチオン性または両性であり得る。
好ましくは、上記両性または両性イオン界面活性剤のうちでは、ココベタインのような(C8〜C20アルキル)ベタイン、ココアミドプロピルベタインのような(C8〜C20アルキル)アミド(C3〜C8アルキル)ベタイン、およびこれらの混合物を使用する。さらに好ましくは、両性または両性イオン界面活性剤(1種以上)は、ココアミドプロピルベタインおよびココベタインから選択する。
好ましくは、アニオン界面活性剤、特に、硫酸アルキルを使用する。特に好ましい界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウムである。
本発明に従う充填剤(1種以上)、特に、少なくとも1種の界面活性剤と一緒のカーボンブラックは、その後、水中に分散させて、好ましくは、容易に取扱いし得るに十分な粘度を有する分散液を得るようにする。
有利には、上記分散液は、超音波に供して、水中での凝集物の安定性を得るのを可能にし、この安定性は、引続き製造するマスターバッチ中の水性充填剤分散液の分散性を改良することを可能にする。
本発明の第4の実施態様によれば、使用するジエンエラストマーは天然ゴムであり、使用する有機充填剤はカーボンブラックである。この実施態様は好ましい。
ジエンエラストマーのラテックス(A)と安定な充填剤分散液(B)を接触させる。充填剤スラリーを、エラストマーラテックス中に、撹拌しながら、好ましくはゆっくり撹拌しながら、ゆっくり注ぎ込み、またはその逆を行って、媒質の良好な均質化を確保する。また、分散液(A)と(B)の混合は同時に実施し得、管理された流量による一方から他方への混合も意図し得る。
従って、本発明に従う方法は、媒質の凝固を管理する、実際には支配すらすることを可能にする。上記ラテックスとスラリーの均質化段階の時間の管理は、媒質および最終のマスターバッチの均質性に直接影響を与えることを可能にする。
均質段階が有効であるほど、凝固物中での充填剤の分布は均質である。
均質化を実施した時点で、凝固段階に達する。
凝固は、系に、機械的エネルギーの十分な供給を行うことによってもたらし得る。例えば、有意に上昇した剪断速度を媒質に適用し得る。他の実施態様によれば、系を圧搾することも可能である。機械的エネルギーのこの供給は、全容積を同時に不安定化し、媒質の凝固をもたらす。
従って、界面活性剤がもはや分散液(C)を安定化するのを可能としなくなった時点で、分散液(C)は凝固する傾向を有する。
液相中の2つの成分の“有効”な混合を可能にする任意のタイプの装置を使用することが可能である;従って、Noritake Co. Limited社、米国のTAH社、米国のKoflo社、またはTokushu Kika Kogyo Co. Ltd社から販売されているミキサーのような静的ミキサー、或いはTokushu Kika Kogyo Co. Ltd社、ドイツのPUC社、ドイツのCavitron社または英国のSilverson社から販売されているミキサーのような、高剪断を発生させるミキサーを使用することが可能であろう。
充填剤の水性分散液(B)の容量は、製造するマスターバッチにおいて目標とする充填剤含有量、ジエンエラストマーラテックス(A)の容量およびそれら成分それぞれの濃度に依存する。
従って、上記容量は、結果として、調整されるであろう。
従って、系に加える機械的エネルギーの量および水性分散液(C)中に存在する界面活性剤の含有量が、均質化および凝固段階の動力学の管理を可能にする2つのパラメーターである。
単数または複数の固形物は、例えば、濾過または遠心分離によって回収する。何故ならば、濾過篩いを使用して実施し得る濾過操作は、凝固物が無数の小固形成分の形で存在する場合、不適切であること判明する可能性があるからである。そのような場合、好ましくは、さらなる遠心分離操作を実施する。
本発明に従う方法は、連続およびバッチ方式の双方で実施し得る。
また、本発明に従うジエンエラストマーラテックス(A)および本発明に従う水性充填剤分散液(B)は、例えば、可塑剤または増量剤オイル(後者は、性質的に芳香族系または非芳香族系のいずれかである);顔料;オゾン劣化防止ワックス、化学オゾン劣化防止剤、酸化防止剤のような保護剤;疲労防止剤;補強用樹脂;例えば、出願WO 02/10269号に記載されているような、メチレン受容体(例えば、フェノールノボラック樹脂)またはメチレン供与体(例えば、HMTまたはH3M);イオウまたはイオウ供与体および/または過酸化物および/またはビスマレイミドのいずれかをベースとする架橋系;加硫促進剤;または、加硫活性化剤(勿論、亜鉛系活性化剤を除く、または組成物中で最大0.5phr、好ましくは0.3phr未満の亜鉛に従う)のような、タイヤ、特に、トレッドの製造を意図するエラストマー組成物において一般的に使用する通常の添加剤の全部または1部も含み得る。
また、本発明は、上述の方法に従って製造したジエンエラストマーと充填剤のマスターバッチにも関する。
本発明のもう1つの主題は、上述の方法に従って製造したジエンエラストマーと充填剤の少なくとも1種のマスターバッチをベースとするゴム組成物である。
また、本発明は、上記で定義したような組成物を含む最終物品または半製品にも関する。
また、本発明は、上記で定義したような組成物を含むタイヤトレッドにも関する。
最後に、本発明の主題は、上記で定義した少なくとも1種のゴム組成物によって提供されるタイヤまたは半製品である。
使用する装置
・500Wの出力を有し、その最高出力の60%で使用するモデルVCX500 Vibracell超音波発生器(標章:Fischer W75042);
・10mlと250mlの間の容量の超音波処理に適する、13mmの直径を有する標準超音波処理プローブ(標章:Fischer W75482);
錐体/プレート形状を有し且つ50mmの直径を有する制御剪断速度レオメーター(Rheometrix RFSII) (プレートはステンレススチールRFSII-ES-SP50製であり、錐体はRFSIITC50.04製である)、45μmのローターとステータ間距離およびおよそ3mlのサンプル容量。温度は、測定中、一定温度の水浴内で23±2℃に維持する。溶媒シールを使用して水の蒸発を最低限にする(液体ペトロラタム VWR24679.921);
・1基の磁力撹拌機+1本の磁性棒;
・ガラス製品:15ml (標章:VWRN 15 ml 213‐3916)および50ml (標章:VWR 50 ml 212‐9301)のサイズを有するビーカー。
タイ国のTrang Latex Co. Ltd社から得られる、60質量%の天然ゴムを含む高アンモニア濃縮天然ゴムラテックス;
カーボンブラックN234粉末;
乳鉢で粉砕したシリカ粉末、160 m2/gのBET比表面積を有するZeosilシリカ (Rhodia社からのZ 1165MP);
蒸留水;
Aldrich社からのドデシル硫酸ナトリウム (SDS)。
天然ゴムラテックスの調製:ラテックス(A)
天然ゴムラテックスをガラスビーカー内に秤量する。磁性棒をビーカーに入れる。引続き、天然ゴムラテックスを、蒸留水中に、40質量%の天然ゴム濃度まで希釈する。
上記ブラック、水および界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム、SDSで示す)を秤量した後、これらの反応物を、50mlのガラスビーカー(低形状)内で接触させる。
その後、混ぜ合せた混合物を、超音波プローブを使用して、2分間で2回均質化する。2分間の終りにプローブ上に凝集したカーボンブラックを、スパチュラを使用して、混合物中に混入する。
水性分散液(B)を、分散液(A)との混合前に、穏やかに撹拌して充填剤の可能性ある沈降作用を最低限にする。一定容量の水性分散液(B)を、同一容量の水性分散液(A)に、スパチュラを使用して手で撹拌しながらゆっくり注ぎ入れて、上記の表中に示す水性分散液(C) 1を得る。
サンプルを上記レオメーター内に入れ、その後、上記錐体をサンプル上に注意深く手で置いて、測定前に剪断力を誘発させないようにする。
特性時間τは、以下の方法に従って測定する。粘度の経時的変化を、サンプルにおいて、所定の剪断速度において、例えば、図1における500s-1において、80秒間隔と交互に起きる10秒の間隔に亘って測定し、その間に、動的特性を、0.2%の最高歪み度および1Hzの周波数において測定した。
図1は、粘度の経時的変化を示す。特性時間τは、凝固中の初期粘度プラトーおよび急激上昇双方の線形外挿によって算出する。特性時間τは、図1に示すように、これら2つの外挿曲線の交差点において判定する。
水性分散液(C)1を、レオメーター内に入れる。凝固前の特性時間τの1連の測定を、分散液1を使用して、複数の剪断速度、即ち、200、300、400および500s-1において実施する。得られた値は、標準偏差の評価も考慮して、図2に示している。
図2は、剪断速度の関数としての特性時間τを示す。媒質に、従って、結果に影響を与え得るカーボンブラックと天然ゴムの凝集体の可能性ある再配列(rearrangement)を回避するために、全ての測定を、混合後数秒で実施した。
これらの結果は、分散液(C)に適用した剪断速度が高いほど、特性時間τの値は低下していることを示している。
従って、これらの試験は、機械的エネルギーの供給が、凝固段階前の均質化段階の時間に直接影響していることを示している。
製造したマスターバッチ
マスターバッチを製造するのに使用した反応物は、下記の表に示している。反応物の含有量は、g%で表している。
マスターバッチ2〜4は、本発明に従う方法によって、上記のプロトコールに従って製造する。
これらの結果は、水性分散液(C)中に存在する界面活性剤の量が多いほど、特性時間τの値は高く、従って、媒質の凝固の遅延をもたらしていることを示している。
従って、これらの実施例は、凝固段階前の均質化段階の時間は、水性分散液(C)中に存在する界面活性剤の量によって、さらに、水性分散液(C)中に加える機械的エネルギーによって管理し得ることを示している。
また、凝固段階の開始も、機械的エネルギーのさらなる供給によって管理し得る。
疎水化シリカの調製
シリカを、乳棒と乳鉢を使用して粉砕して微細粉末を得る。シリカの疎水性を、その表面積のオクテニルジメチルクロロシラン(ODCS)によるシラン処理によって調整する。
0.08gのODCSをトルエンに溶解する。媒質を、磁力撹拌機を使用して撹拌する。粉砕シリカ粉末を媒質に加え、分散液を2分間撹拌に委ねる。組成物をペトリ皿(18.5cmの直径を有する)内に入れ、70℃の温度に1時間置いて、トルエンの蒸発を可能にする。得られた粉末を、2分間の超音波処理後に、蒸留水中に分散させる。
天然ゴムラテックスをガラスビーカー中に秤量し、磁性棒をビーカーに入れ、引続き、ラテックスを60質量%天然ゴム濃度まで蒸留水中に希釈する。
上記で調製したような2.32gの疎水化シリカを、20mlの水中に分散させる。その後、混ぜ合せた混合物を、超音波プローブを使用して2分間均質化する。2分間の終りにプローブ上に凝集したカーボンブラックを、スパチュラを使用して、混合物中に混入する。
3.3gの水性分散液(B)を、磁力撹拌機を備えた15mlのビーカーに導入する。適量のドデシル硫酸ナトリウムをビーカーに加える。媒質を、磁性棒を使用して700rpmで30秒間撹拌し、分散液(B)を均質化する。その後、3.3gの水性分散液(A)を媒質に添加する。この操作を、組成物5〜6の異なる量のドデシル硫酸ナトリウムにおいて実施する。
これらの結果は、水性分散液(C)中に存在する界面活性剤の量が多いほど、特性時間τの値は高く、従って、媒質の凝固の遅延をもたらしていることを示している。
従って、これらの実施例は、凝固段階前の均質化段階の時間は、水性分散液(C)中に存在する界面活性剤の量によって、さらに、水性分散液(C)中に加える機械的エネルギーによって管理し得ることを示している。
Claims (17)
- 下記の連続する段階を含むことを特徴とする、1種以上のジエンエラストマーラテックスと1種以上の充填剤とをベースとする液相中でのマスターバッチの製造方法:
・安定でかつ均質な水性分散液(C)を、1種以上のジエンエラストマーラテックス(A)を1種以上の充填剤の1種以上の安定な水性分散液(B)と混合することによって調製する段階;
・前記水性分散液(C)を均質化する段階;
・前記水性分散液(C)中で、前記1種以上のジエンエラストマーラテックスを、前記1種以上の充填剤と一緒に、機械的エネルギーを供給することによって凝固させる段階;
・凝固物を回収する段階;
・回収した凝固物を乾燥させて前記マスターバッチを得る段階。 - 前記凝固物の回収段階を、濾過操作によって実施する、請求項1記載の方法。
- 前記凝固物の回収段階を、遠心分離操作によって実施する、請求項1記載の方法。
- 前記ジエンエラストマーラテックスが、天然ゴムラテックスである、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
- 前記ジエンエラストマーラテックスが、濃縮天然ゴムラテックスである、請求項4記載の方法。
- 前記充填剤が、前記1種以上のジエンエラストマーラテックスと一緒に自然に凝固する、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
- 前記充填剤が、カーボンブラックである、請求項6記載の方法。
- 前記充填剤が、疎水化シリカである、請求項6記載の方法。
- 前記水性分散液(B)が、1種以上の界面活性剤を含む、請求項6〜8のいずれか1項記載の方法。
- 前記界面活性剤が、アニオン界面活性剤である、請求項9記載の方法。
- 前記界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウムである、請求項10記載の方法。
- 前記水性分散液(B)中の界面活性剤の濃度が、前記水性分散液(B)の総質量に対して厳格に0.01質量%よりも多い、請求項9〜11のいずれか1項記載の方法。
- 請求項1〜12のいずれか1項記載の方法によって製造したジエンエラストマーと充填剤とのマスターバッチ。
- 請求項1〜12のいずれか1項記載の方法によって製造したジエンエラストマーと充填剤との少なくとも1種のマスターバッチをベースとするゴム組成物。
- 請求項14記載の組成物を含む最終物品または半製品。
- 請求項14記載の組成物を含むタイヤトレッド。
- 請求項14記載の少なくとも1種のゴム組成物を含むタイヤまたは半製品。
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