JP7287130B2 - 扉 - Google Patents

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Description

本発明は、扉に関する。
建築物の室間に設けられる扉として、例えば、ペーパーハニカムなどの芯材と、芯材の外周を覆うように設けられた金属製(例えば鋼製)の表面材とを備えた扉(所謂不燃扉)が知られている。また、このような扉として窓が設けられたものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
不燃扉では、避難安全性の観点から火炎の噴出や漏煙量を抑制するなど、一定の防火性能を担保する必要がある。
特開2015-140533号公報
火災が発生すると、扉の表面材や窓の窓縁は、火災の熱によって面外方向に向かって変形する(熱伸びする)。この変形によって、表面材と窓縁との間に隙間が発生して、漏煙量が増大するおそれがある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、熱伸びによる隙間の発生を抑制し、漏煙量を低減することにある。
上記目的を達成するための主たる発明は、
芯材と、前記芯材の厚さ方向の両面を覆う金属製の一対の表面材と、を有する扉本体と、
前記扉本体の周縁よりも内側に設けられた窓と、
を備えた扉であって、
前記扉の加熱時の熱伸びによる前記表面材と前記窓の窓縁の変形に伴って、前記表面材と前記窓縁との間に隙間が発生することを防止する隙間防止機構を備え、
前記窓縁は、前記厚さ方向に前記表面材と重なる重なり部を有し、
前記隙間防止機構は、前記重なり部の前記厚さ方向と直交する直交方向の長さを、前記変形に伴う前記表面材の前記直交方向への投影長さの短縮分以上とした、
ことを特徴とする扉である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、漏煙量を低減することができる。
扉10の配置例を示す図である。 扉10の正面図である。 図2のX-X断面図である。 図2のY-Y断面図(比較例)である。 図4において、表面材22が熱伸びした状態を示す図である。 第1実施形態の窓縁32周辺の構成を示す概略図である。 第2実施形態の窓縁32周辺の構成を示す概略図である。 第3実施形態の窓縁32周辺の構成を示す概略である。 第4実施形態の窓縁32周辺の構成を示す概略図である。 扉10の加熱前の高さLと加熱による水平変位量σとの関係を示す概念図である。 水平変位量σの算出結果を示す図である。 扉10が加熱によって水平方向に変形した状態を上からみた概念図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
芯材と、前記芯材の厚さ方向の両面を覆う金属製の一対の表面材と、を有する扉本体と、前記扉本体の周縁よりも内側に設けられた窓と、を備えた扉であって、前記扉の加熱時の熱伸びによる前記表面材と前記窓の窓縁の変形に伴って、前記表面材と前記窓縁との間に隙間が発生することを防止する隙間防止機構を備える、ことを特徴とする扉が明らかとなる。
このような扉によれば、漏煙量を低減することができる。
かかる扉であって、前記隙間防止機構は、前記表面材と前記窓縁を締結する締結材を備えていてもよい。
このような扉によれば、表面材と窓縁との間に隙間を発生し難くできる。よって漏煙量を低減することができる。
かかる扉であって、前記窓縁は、前記厚さ方向に前記表面材と重なる重なり部を有し、前記隙間防止機構は、前記重なり部の前記厚さ方向と直交する直交方向の長さを、前記変形に伴う前記表面材の前記直交方向への投影長さの短縮分以上としたものでもよい。
このような扉によれば、表面材と窓縁との間に隙間を発生し難くできる。よって漏煙量を低減することができる。
かかる扉であって、前記扉本体には、前記窓を設けるための窓開口部が前記厚さ方向に貫通して形成されており、前記隙間防止機構は、前記窓開口部における前記芯材の小口面を塞ぐ小口面材と、前記窓縁に固定され、前記表面材と接触するとともに、前記小口面材に向かって延出する延出材と、を備え、前記延出材の前記厚さ方向と直交する直交方向の長さを、前記変形に伴う前記表面材の前記直交方向への投影長さの短縮分以上としたものでもよい。
このような扉によれば、窓縁に固定された延出材と表面材の間に隙間を発生し難くできる。よって漏煙量を低減することができる。
かかる扉であって、前記延出材は、一対の前記表面材の対向する各内面にそれぞれ面接触する一対の板材であってもよい。
このような扉によれば、延出材と表面材の間に隙間が発生し難い。よって漏煙量を低減することができる。
かかる扉であって、前記延出材は、一方の前記表面材の端部から前記小口面の前記厚さ方向の中心部に向かって傾斜する第1傾斜面と、他方の前記表面材の端部から前記小口面の前記厚さ方向の中心部に向かって傾斜する第2傾斜面と、を有していてもよい。
このような扉によれば、延出材の傾斜面(第1傾斜面、第2傾斜面)と表面材との間に隙間が発生し難い。よって漏煙量を低減することができる。
かかる扉であって、前記表面材の厚さは0.8mm未満であることが望ましい。
このような扉によれば、不燃扉において、漏煙量を低減することができる。
かかる扉であって、前記芯材はペーパーハニカムコアであることが望ましい。
このような扉によれば、軽量化を図るとともに強度を高めることができる。
===実施形態===
<扉の構成について>
図1は、扉10の配置例を示す図である。また、図2は、扉10の正面図であり、図3は、図2のX-X断面図である。なお、図2では表面材22の一部を切り欠いて芯材21を示している。
扉10は、図1に示すように、建築物の室1と室2とを区画する壁3に設けられている。図1では室1で火災が発生しており、図の灰色で示す部分は煙を示している。また、室2は、例えば廊下であり、避難者が避難している。
図2に示すように、扉10は、壁3に設けられた枠体3Aと床4とによって形成される開口に開閉(回動)自在に設けられている。なお、図2において、扉10の幅方向の左側は回動の軸となる吊元側であり、幅方向の右側は戸先側である。
枠体3Aは、例えば鋼等の金属製の枠部材により形成されており、水平方向(幅方向)において互いに間隔を隔てて床4に立設された2本の縦枠材と、2本の縦枠材の上端部間に架け渡された横枠材とが接合されて形成されている。枠体3Aと床4とによって形成される矩形状の開口は、回動可能に支持された扉10により閉止可能である。
なお、扉10は、防火区画などの開口部に設ける防火扉ではなく、不燃材(本実施形態では鋼)で形成された所謂不燃扉であり、扉の表面に設けられる鋼板(後述する表面材22)の厚さは、0.8mm未満である(防火扉の場合は、鉄(鋼)製で厚さ0.8mm以上必要:建設省告示第1360号)。
このような扉10(不燃扉)においても、避難安全性の観点から火災時に一定の防火性能を担保する必要がある。ここで、一定の防火性能とは、火炎の噴出を抑制する(例えば、図1において室1から室2側に火炎を噴出させない)、燃えない、隙間が一定値以下、などである。
図2及び図3に示すように、扉10は、扉本体20と、窓30と、ラッチ機構部40とを備えている。
扉本体20は、扉10の本体部分を構成する部位であり、芯材21と一対の表面材22と小口面材23を備えている。
芯材21は、一対の表面材22の間に介在されて、その間隔を確保する部材であり、所定の厚さ(一対の表面材22の面の間隔と同じ長さ)でパネル状に形成されている。芯材21は、扉10のうち窓30及びラッチ機構40を除く部分に設けられている。この例において芯材21は、ペーパーハニカムコアで構成されている。なお、ハニカムコアとは(厚さ方向から見て)蜂の巣状の構造体(図2参照)であり、これを紙材料で作ったものをペーパーハニカムコアという。芯材21としてパーパーハニカムコアを用いると、軽量化を図るとともに強度(厚さ方向からの耐圧や曲げ強度)を高めることができる。
表面材22は、金属製の板材(例えば鋼板)であり、芯材21の厚さ方向の両側の面(表裏面)に一対設けられている。一対の表面材22は、互いに間隔を隔てて対面するとともに、それぞれ芯材21と接着されており、芯材21の厚さ方向の両面を覆っている。また、一対の表面材22周端部には、互いに対面する側に延出された周端壁部22aが周方向に沿って設けられている。2つの表面材22の周端壁部22aは、互いの先端同士が突き合わされている。これにより、一対の表面材22の内部に空間が形成されており、当該空間に芯材21が収容されている。換言すると、パネル状の芯材21の外周が表面材22により覆われている。また、前述したように、扉10は不燃扉であり、表面材22の厚さは0.8mm以下である。
小口面材23は、扉本体20の窓開口部の芯材21の小口面を塞ぐように設けられた断面コの字状の金属である。小口面材23を設けていることによって、窓30(窓縁32)が外れた場合に芯材21(ペーパーハニカムコア)が露出することを防止できる。
窓30は、上下方向(鉛直方向)に細長い窓であり、扉本体20の周縁よりも内側に設けられている。より具体的には、扉本体20の周縁よりも内側には、厚さ方向に貫通する窓開口部が形成されており、当該窓開口部に窓縁32を介して板ガラス31が設けられている。窓部30は、扉10の水平方向(幅方向)の中央よりも戸先側、且つ、扉10の上下方向(鉛直方向)の中央よりも上(ここでは、ラッチ機構部40よりも上側)の領域に設けられている。
板ガラス31は、平面形状が矩形の板状のガラスである。なお、防火扉の場合には、ガラスに金網(ワイヤー)を封入した網入りガラスを用いることが必要である(建設省告示第1360号参照)が、本実施形態の扉10は不燃扉であるため、網入りガラスでなくてもよい。
窓縁32は、板ガラス31を扉10の扉本体20に取り付けるための部材であり、板ガラス31の周囲(四辺)に沿って設けられている。窓縁32の構成については後述する。
ラッチ機構部40は、扉10の開閉状態を制御するための金属製の部材であり、扉10の戸先側において、扉10の上下方向(鉛直方向)の略中央部分に設けられている。
本実施形態のラッチ機構部40は、レバーハンドル41と、軸部42と、ケーシング43と、ラッチボルト44を有している。
レバーハンドル41は、ラッチボルト44の没入および突出を操作する部位であり、扉10の厚さ方向の両側(表側及び裏側)に一対設けられている。
軸部42は、一対のレバーハンドル41の回転の軸(回転軸)となる部位であり、ケーシング43を介して、扉10を貫通している。
ケーシング43は、軸部42などのラッチ機構を構成する部材を収容する部位である。ケーシング43は、芯材21の切り欠かれた空間に配置されており、一対(2つ)の表面材22に芯材21とともに接着されている。
ラッチボルト44は、ケーシング43の戸先側において没入可能に突出している。そして、ラッチボルト44は、レバーハンドル41の操作に応じて没入する。なお、ラッチボルト44がケーシング43から突出して、枠体3Aにおける戸先側の縦枠材に設けられた係止部(不図示)に係止されると、扉10の閉止状態が維持される。そして、レバーハンドル41の操作によってラッチボルト44が没入されると、扉10を開くことが可能になる。なお、本実施形態では、レバーハンドル41の操作によってラッチボルト44を没入させているが、これには限られず、例えば、ドアノブ等を回動させることで操作するようにしてもよい。また、ラッチ機構部40に施錠の機構等が設けられていても良い。
<比較例>
図4は、図2のY-Y断面図(比較例)である。また、図5は、図4において、表面材22が熱伸びした状態を示す図である。
図4に示すように、この比較例では、窓縁32´が設けられている。窓縁32´は、板ガラス31を支持する支持部321と、一対の突出部322(重なり部に相当)を有している。
突出部322は、支持部321から扉本体20の側(板ガラス21とは反対側)に突出して設けられている。また、突出部322は、支持部321の厚さ方向の両端に一対設けられている。そして、窓縁32の一対の突出部322を扉本体20の一対の表面材22の外側に嵌め込むことにより、窓縁32が扉本体20に固定されることになる。図に示すように突出部322は表面材22と厚さ方向に重なっており、この例の窓縁32´の突出部322の突出長さL(換言すると突出部322と表面材22との重なり部の長さ)は、10~20mmである。
図1に示すように、室1で火災が発生すると、扉10が加熱される。これにより、一対の表面材22は、面外方向(室2側)に変形する。扉10は鉛直方向に長い矩形状であるので、扉10の鉛直方向の中央部分で変形量(面外方向への変形量)が大きくなる(図10参照)。この変形が大きくなると、図5に示すように、窓縁32´の突出部322が扉本体20(表面材22)から外れて、表面材22と窓縁32´との間に、隙間が発生するおそれがある。特に、変形量の大きい中央部分の窓30(窓縁32´)と扉本体20(表面材22)との間で隙間が発生しやすい。このような隙間が発生すると、室1から室2への漏煙量が増大し、避難安全性が低下するおそれがある。
そこで、本実施形態では、後述するように、扉10の表面材22などが熱伸びした場合においても、隙間の発生を防止する隙間防止機構を設けている。これにより、漏煙量を低減させるようにしている。
<第1実施形態>
図6は、第1実施形態の窓縁32周辺の構成を示す概略図である。第1実施形態の扉10は、窓縁32とビス33を備えている。
窓縁32は、比較例の窓縁32´とほぼ同一の構成である。但し、窓縁32の突出部322(及び、表面材22)には、ビス33と螺合する孔が複数形成されている。
ビス33(締結部材および隙間防止機構に相当)は、窓縁32の突出部322と表面材22を締結している。なお、図では、ビス33は、突出部322と、表面材22と、小口面材23を締結しているが、少なくとも、突出部322と、表面材22を締結していればよい。ビス33は、一対の突出部322に対してそれぞれ(扉10の厚さ方向の両側に)設けられており、また、窓縁32の全周に亘って複数設けられている。
このように、第1実施形態の扉10は、隙間防止機構としてビス33を備えており、表面材22と、窓縁32の突出部322とを、ビス33で締結させている。これにより、窓縁32はビス33によって表面材22に固定されるため、比較例の場合(図4)と比べて、表面材22が熱伸びしても隙間が発生しにくい。よって、漏煙量を低減することができる。
なお、本実施形態では、ビス33を用いて表面材22と窓縁32(突出部322)とを締結させているが、ビス33には限られず、他の締結部材(例えば、リベット)を用いてもよい。
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態の窓縁32周辺の構成を示す概略図である。第2実施形態の窓縁32は、比較例の窓縁32´と同様の構成であるが、一対の突出部322(重なり部に相当)の突出長さがLとなっており、比較例の長さLよりも長い(L>L)。つまり、第2実施形態では、隙間防止機構として、窓縁32の表面材22へのかかり代(突出部322と表面材22との重なり部分の長さ)を長く設定している。
このように、窓縁32の表面材22へのかかり代を所定値(L)以上とすることで隙間の発生を防止することができ、漏煙量を低減することができる。なお、Lの算出方法については後述する。
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態の窓縁32周辺の構成を示す概略図である。第3実施形態の窓縁32は、一対の突出部322と、一対の延出部323を備えている。また、第3実施形態では、上記の実施形態と比べて、小口面材23が扉本体10の窓開口部の奥側(窓30から離間する側)に配置されている。
突出部322は、比較例(図4)と同じく突出長さがLであり、表面材22の外側に重なって配置されている(表面材22の外面に接触している)。
一対の延出部323(延出材に相当)は、一対の突出部322よりも内側に設けられた板状部材である。図8に示すように、一対の延出部323は、窓縁32の端面から小口面材23に向かって突出(延出)しており、それぞれ、対応する表面材22の内面に接触(面接触)している。延出部323は、窓縁32の全周に亘って設けられており、その突出長さ(厚さ方向と直交する方向の長さ)は第2実施形態と同じLである。このような構成においても、窓縁32(延出部323)と扉本体20(表面材22)の間に隙間が発生することを防止でき、漏煙量を低減することができる。なお、Lの算出方法については後述する。
<第4実施形態>
図9A及び図9Bは、第4実施形態の窓縁32周辺の構成を示す概略図である。なお、図9Aは加熱前、図9Bは加熱後(変形後)の状態をそれぞれ示している。
この第4実施形態では、図9Aに示すように、窓縁32は一対の突出部322と、延出部323a、323bを備えている。延出部323a、323b(延出材に相当)は、窓縁32の端面から小口面材23に向かって突出(延出)した板状の部材である。
延出部323aは、一対の表面材22のうちの一方(図では上側)の端部と接触しており、当該端部から、小口面材23の厚さ方向の中心部に向かって斜めに配置されている。すなわち、延出部323aの外面(第1傾斜面に相当)は、上側の表面材22の端部から、小口面の厚さ方向の中心部に向かって傾斜している。
延出部323bは、一対の表面材22のうちの他方(図では下側)の端部と接触しており、当該端部から、小口面材23の厚さ方向の中心部に向かって斜めに配置されている。すなわち、延出部323bの外面(第2傾斜面に相当)は、下側の表面材22の端部から、小口面の厚さ方向の中心部に向かって傾斜している。
なお、延出部323a、323bの突出長さ(厚さ方向と直交する方向の長さ)は、前述の第2及び第3実施形態と同じLである。
このような構成とすることで、加熱によって図9Bのように窓縁32が扉本体20(表面材22)から外れても、表面材22(端部)と延出部の外面(図では延出部323bの外面)とが接触するため隙間が発生しない。よって、漏煙量を低減することができる。
なお、本実施形態では、窓縁32に板状の延出部323a、323bを設けていたが、これには限られず、一対の表面材22の各端部から、それぞれ、小口面の厚さ方向の中心部に向かって傾斜する傾斜面が設けられていればよい。例えば、断面が三角形(二等辺三角形)の形状の延出部(延出材)を設けても良い。
<長さLの算出方法について>
表面材22(鋼板)の線膨張係数をε(/℃)、扉10の高さ寸法をL(mm)、10分加熱後の鋼板の表面上昇温度をΔT(℃)とするとき、鋼板の熱伸び量は式(1)で与えられる。
ΔL=εLΔT ・・・・・(1)
次に、図10のとおり円弧と弦弧の長さの関係から水平方向(面外方向)の変形量σを算出する。なお、図10は、扉10の加熱前の高さLと加熱による水平変位量σとの関係を示す概念図である。図のように扉10は加熱により円弧状に変形する。これにより、扉10は水平方向にσ変位している。なお、図に示すように、扉10の高さ方向(鉛直方向)の中央部で最も水平方向の変位が大きくなる。
図11は、水平変位量σの算出結果を示す図である。図11では、式(1)を用いて、ε=11.7×10-6(/℃)、L=1800~3000(mm)、ΔT=500(℃)としたときの水平変位量σの算出結果をしている。図11の横軸は扉高さL(mm)であり、縦軸は水平変位量σ(mm)である。図11より、水平変位量σは式(2)で回帰できる。
σ=0.04643L+3.8352 ・・・・(2)
次に、水平方向にσ変形したときに隙間を発生させないための窓縁の長さLについて考える。
図12は、扉10の表面材22が加熱によって水平方向に変形した状態を上からみた概念図である。図12に示すように、表面材22が加熱によって変形すると、厚さ方向と直交する方向へ扉の投影長さが、加熱前よりも短くなる。この短くなる分(短縮分)だけ補えれば、隙間が発生しないことになる。このとき、表面材22の端部(窓30とは反対側の端部)から窓縁32までの長さをB[mm]とするとき、水平方向の熱伸びを無視すると、以下の2つの関係が成り立つ。
σ=Bsinθ ・・・・・・(3)
=B(1-cosθ) ・・・・・・(4)
なお、式(3)、式(4)では表面材22の厚さを無視しているが、本来は表面材22の厚さ(厚さtとする)の影響を考慮する必要がある。そこで、以下の式(3)´、式(4)´では厚さtの半分を組み込んでいる。
σ=(B+t/2)sinθ ・・・・・・(3)´
=(B+t/2)(1-cosθ) ・・・・・・(4)´
この式(3)´と式(4)´を解くことによりLを求めることができる。
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
前述の実施形態では、表面材22は鋼製(鋼板)であったが、これには限られない。例えば、ステンレスやアルミニウム等の不燃性の金属などで構成しても良い。
また、前述の実施形態では、芯材21はペーパーハニカムコアで構成されていたが、ペーパーハニカムコアには限られない。また、ハニカムコアでなくてもよい。例えば、円柱状の筒をパネル状に並べたロールコアでもよいし、他の形状の芯材でもよい。すなわち、一対の表面材22の間に介在されて、その間隔を確保し維持可能な部材であればよい。
また、前述の実施形態では、扉10にラッチ機構部40が設けられていたが、ラッチ機構部40は無くても良い。
1 室、2 室、
3 壁、3A 枠体、
4 床、
10 扉、
20 扉本体、21 芯材、
22 表面材、22a 周端壁部、
23 小口面材、
30 窓、31 窓本体、
32 窓縁、32´ 窓縁、
40 ラッチ機構部
41 レバーハンドル、42 軸部、
43 ケーシング、44 ラッチボルト、
321 支持部、322 突出部、
323 延出部、323a 延出部、323b 延出部

Claims (6)

  1. 芯材と、前記芯材の厚さ方向の両面を覆う金属製の一対の表面材と、を有する扉本体と、
    前記扉本体の周縁よりも内側に設けられた窓と、
    を備えた扉であって、
    前記扉の加熱時の熱伸びによる前記表面材と前記窓の窓縁の変形に伴って、前記表面材と前記窓縁との間に隙間が発生することを防止する隙間防止機構を備え、
    前記窓縁は、前記厚さ方向に前記表面材と重なる重なり部を有し、
    前記隙間防止機構は、前記重なり部の前記厚さ方向と直交する直交方向の長さを、前記変形に伴う前記表面材の前記直交方向への投影長さの短縮分以上とした、
    ことを特徴とする扉。
  2. 芯材と、前記芯材の厚さ方向の両面を覆う金属製の一対の表面材と、を有する扉本体と、
    前記扉本体の周縁よりも内側に設けられた窓と、
    を備えた扉であって、
    前記扉の加熱時の熱伸びによる前記表面材と前記窓の窓縁の変形に伴って、前記表面材と前記窓縁との間に隙間が発生することを防止する隙間防止機構を備え、
    前記扉本体には、前記窓を設けるための窓開口部が前記厚さ方向に貫通して形成されており、
    前記隙間防止機構は、
    前記窓開口部における前記芯材の小口面を塞ぐ小口面材と、
    前記窓縁に固定され、前記表面材と接触するとともに、前記小口面材に向かって延出する延出材と、
    を備え、
    前記延出材の前記厚さ方向と直交する直交方向の長さを、前記変形に伴う前記表面材の前記直交方向への投影長さの短縮分以上とした、
    ことを特徴とする扉。
  3. 請求項2に記載の扉であって、
    前記延出材は、一対の前記表面材の対向する各内面にそれぞれ面接触する一対の板材である、
    ことを特徴とする扉。
  4. 請求項2に記載の扉であって、
    前記延出材は、
    一方の前記表面材の端部から前記小口面の前記厚さ方向の中心部に向かって傾斜する第1傾斜面と、
    他方の前記表面材の端部から前記小口面の前記厚さ方向の中心部に向かって傾斜する第2傾斜面と、
    を有することを特徴とする扉。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の扉であって、
    前記表面材の厚さは0.8mm未満である、
    ことを特徴とする扉。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の扉であって、
    前記芯材はペーパーハニカムコアである、
    ことを特徴とする扉。
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