JP7286435B2 - 蓄熱材組成物 - Google Patents

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Description

本発明は蓄熱材組成物に関する。
病院等の医療機関で取り扱われる医薬品及び検体、並びにスーパーマーケット等で取り扱われる食品等のなかには、その品質を保持するため、輸送時に所定の温度範囲内に保冷又は保温される必要があるものがある。
従来、この種の医薬品、検体又は食品等の物品を保冷又は保温する方法として、断熱性を有する輸送容器内に、予め融解又は凝固させた蓄熱材を配置し、この蓄熱材の潜熱を利用して、輸送容器内に収容した物品を保冷又は保温する方法が知られている。保冷又は保温の対象となる物品(以下、「温度管理対象物品」と称する場合がある。)を、所定の温度(以下、「管理温度」と称する場合がある。)範囲内に長時間維持するためには、所定の温度範囲内に融解温度および/または凝固温度を有し、且つ、大きな潜熱量を持つ蓄熱材を用いることが好ましいとされている。
温度管理対象物品の中には、1℃~10℃の温度管理下で輸送することが必要となる物品がある。管理温度が1℃~10℃である温度管理対象物品の具体例としては、血液や血漿等、検体および医薬品が挙げられる。検体の配送における管理温度は、一般的に4℃~6℃が好ましいとされ、医薬品の配送における管理温度は、一般的に2℃~8℃が好ましいとされる。
従来、多くの蓄熱材組成物が開発されている。例えば、特許文献1には、潜熱蓄熱剤と界面活性剤を含む分散体と、水および多価アルコールを含む分散媒と、カルボン酸ユニット及びカルボン酸塩ユニット(解離ユニット)を含むゲル形成ポリマーと二価及び/または三価の金属カチオンを有する架橋剤を含むゲル形成成分を有する、蓄熱用ゲル体が開示されている。
特開2009-292993
しかしながら、上述した従来の蓄熱材組成物では、依然として改善の余地が存在していた。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、1℃~10℃の範囲内の様々な管理温度領域で、温度管理対象物品を温度保持可能であり、かつ非危険物とみなされる蓋然性が高い、新規の蓄熱材組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ラウリン酸メチル(A)、12-ヒドロキシステアリン酸(B)およびソルビタン脂肪酸エステル(C)を各々特定量含む蓄熱材組成物であれば、前記課題を解決できる、という新規知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の一実施形態は、以下の構成を含むものである。
〔1〕ラウリン酸メチル(A)、12-ヒドロキシステアリン酸(B)およびソルビタン脂肪酸エステル(C)を含み、前記ラウリン酸メチル(A)と前記12-ヒドロキシステアリン酸(B)との重量比率(B/A)は、0.005~0.200の範囲内であり、
前記ラウリン酸メチル(A)と前記ソルビタン脂肪酸エステル(C)との重量比率(C/A)は、0.001~0.100の範囲内であり、1℃~10℃の範囲内に融解温度を有する、蓄熱材組成物。
〔2〕前記ソルビタン脂肪酸エステル(C)は、ソルビタンモノ脂肪酸エステルまたはソルビタンセスキ脂肪酸エステルである、〔1〕に記載の蓄熱材組成物。
〔3〕前記ソルビタン脂肪酸エステル(C)は、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキオレエートおよびソルビタンモノステアレートからなる群より選択される少なくとも1種である、〔1〕または〔2〕に記載の蓄熱材組成物。
〔4〕前記蓄熱材組成物は、熱安定性を有するゲルである、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の蓄熱材組成物。
本発明の一実施形態によれば、1℃~10℃の範囲内の様々な管理温度領域で、温度管理対象物品を温度保持可能であり、かつ非危険物とみなされる蓋然性が高い、という効果を奏する。
恒温槽内に、本発明の一実施形態に係る凝固状態の蓄熱材組成物を設置した後、恒温槽の温度を、低温から一定の昇温速度で温度上昇させた場合の、蓄熱材組成物の温度を時間に対してプロットしたグラフである。 恒温槽内に、本発明の一実施形態に係る融解状態の蓄熱材組成物を設置した後、恒温槽の温度を、高温から一定の降温速度で温度下降させた場合の、蓄熱材組成物の温度を時間に対してプロットしたグラフである。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
〔1.本発明の一実施形態の技術的思想〕
上述した特許文献1には、実施例として融点18℃であるn-ヘキサデカンを使用した潜熱蓄熱材が開示されている。上述したように、温度管理対象物品の中には、1℃~10℃の温度管理下で輸送することが必要となる物品があり、1℃~10℃の範囲内の様々な管理温度領域で、温度管理対象物品を温度保持可能である蓄熱材組成物が必要とされていた。そこで、本発明者は、1℃~10℃の範囲内の様々な管理温度領域で、温度管理対象物品を温度保持可能であり、かつ安全である蓄熱材組成物を得るために鋭意検討を行った。
従来、蓄熱材組成物の主剤としては、パラフィン、脂肪酸エステルおよび無機水和物が知られていた。本発明者は、(a)パラフィンは蓄熱材組成物のパッケージ包装フィルムを劣化させる虞があり、(b)無機水和物は管理温度領域における長期安定性に欠ける虞があることから、脂肪酸エステルについて検討を重ねた。その結果、数ある脂肪酸エステルの中でも、前記課題を達成するためには、ラウリン酸メチルが最も適していることを独自に見出した。
さらに、本発明者は、蓄熱材組成物の安全性を高めるため、具体的には、蓄熱材組成物を保管、または車両、航空機、船舶等の輸送手段によって輸送する場合に、非危険物とみなされるために、ラウリン酸メチルを含む蓄熱材組成物のゲル化について鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、(a)数あるゲル化剤の中でも、12-ヒドロキシステアリン酸が、ラウリン酸メチルのゲル化に最も適しており、かつ、(b)ゲル化補助剤としてソルビタン脂肪酸エステルを使用することにより、ラウリン酸メチルのゲルをより安定化できる、換言すれば当該ゲルに熱安定性を付与できることを初めて見出し、本発明を完成させるに至った。
〔2.蓄熱材組成物〕
本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物は、ラウリン酸メチル(A)、12-ヒドロキシステアリン酸(B)およびソルビタン脂肪酸エステル(C)を含み、前記ラウリン酸メチル(A)と前記12-ヒドロキシステアリン酸(B)との重量比率(B/A)は、0.005~0.200の範囲内であり、前記ラウリン酸メチル(A)と前記ソルビタン脂肪酸エステル(C)との重量比率(C/A)は、0.001~0.100の範囲内であり、1℃~10℃の範囲内に融解温度を有する。
本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物を「本蓄熱材組成物」とも称する。本蓄熱材組成物は、前記構成を有するため、下記(1)~(3)の利点を有する:
利点(1)再現性良く、かつ安定的に、蓄熱材組成物の融解温度を1℃~10℃に調整することが可能であるため、1℃~10℃の範囲の様々な管理温度領域で、長時間、安定的に、温度管理対象物品を温度保持し、当該温度管理対象物品の保管または輸送を可能とすること;
利点(2)パッケージ包装フィルムを劣化させる虞がないこと;
利点(3)熱安定性を有するゲルであるため、非危険物とみなされる蓋然性が高く、安全であり、その結果、取り扱いが容易であること。
前記利点(3)について、具体的に説明する。ラウリン酸メチルを主剤とする蓄熱材組成物が液体(液状)である場合、当該蓄熱材組成物は、保管、または車両、航空機、船舶等の輸送手段によって輸送するときに危険物である、とみなされる虞がある。一方、ラウリン酸メチルを主剤とする蓄熱材組成物が液体ではない場合、当該蓄熱材組成物は、保管または輸送するときに非危険物である、とみなされる蓋然性が高い。そのため、ラウリン酸メチルを主剤とする蓄熱材組成物を熱安定性を有するゲル(液体ではない)とすることにより、当該蓄熱材組成物は、保管、または車両、航空機、船舶等の輸送手段による輸送に特段の制限がかけられることがなく、保管および輸送などの取り扱いが容易となる。
本蓄熱材組成物は、蓄熱材組成物が凝固状態(固体)から溶融状態(ゲル状)に相転移する間(換言すれば、融解する間)に熱エネルギーを吸収することによって、潜熱型の蓄熱材として利用できるものである。本蓄熱材組成物は、「融解型潜熱蓄熱材組成物」、ともいえる。また、本蓄熱材組成物は、蓄熱材組成物が溶融状態(ゲル状)からに凝固状態(固体)相転移する間(換言すれば、凝固する間)に熱エネルギーを放出することによって、潜熱型の蓄熱材として利用できるものである。本蓄熱材組成物は、「凝固型潜熱蓄熱材組成物」、ともいえる。
以下では、まず、本蓄熱材組成物に含まれる成分について説明し、次いで、本蓄熱材組成物の物性(例えば、融解温度)および製造方法について説明する。
〔2-1.成分〕
(ラウリン酸メチル(A))
本蓄熱材組成物は、ラウリン酸メチルを主剤として含むことが好ましい。換言すれば、本蓄熱材組成物におけるラウリン酸メチルの含有量は、蓄熱材組成物100重量%中、50重量%以上が好ましく、65重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましく、90重量%以上であることが特に好ましい。
本蓄熱材組成物は、主剤としてラウリン酸メチルを含むため、パラフィンを主剤として使用する蓄熱材組成物と比較して、パッケージ包装フィルムを劣化させる虞が少ないという利点を有する。
本蓄熱材組成物は、主剤としてラウリン酸メチルを含むため、無機水和物を主剤として使用する蓄熱材組成物と比較して、1℃~10℃の範囲内の管理温度領域にて、より長時間、より安定的に、温度管理対象物品を温度保持できるという利点を有する。
(12-ヒドロキシステアリン酸(B))
12-ヒドロキシステアリン酸は、ゲル化剤として機能し、「ゲル化剤」ともいえる。換言すれば、12-ヒドロキシステアリン酸は、蓄熱材組成物の粘度を上昇させる機能を有する。用語「ゲル化剤」は、「増粘剤」ともいえる。
本蓄熱材組成物における12-ヒドロキシステアリン酸の含有量は、特に限定されない。本蓄熱材組成物における12-ヒドロキシステアリン酸の含有量は、蓄熱材組成物100重量%中、0.5重量%~20重量%が好ましく、1重量%~15重量%がより好ましく、2重量%~10重量%がさらに好ましく、3重量%~6重量%が特に好ましい。当該構成によると、1℃~10℃の範囲内にて温度管理対象物品をより安定的に温度保持できるという利点を有する。
ラウリン酸メチル(A)と12-ヒドロキシステアリン酸(B)との重量比率(B/A)は、0.005~0.200の範囲内であり、好ましくは0.010~0.160の範囲内であり、より好ましくは0.020~0.120の範囲内であり、さらに好ましくは0.030~0.090の範囲内であり、特に好ましくは0.040~0.055の範囲内である。当該構成によると、1℃~10℃の範囲内にて温度管理対象物品をより安定的に温度保持できるという利点を有する。
(ソルビタン脂肪酸エステル(C))
ソルビタン脂肪酸エステルは、ゲル化補助剤として機能し、「ゲル化補助剤」といえる。用語「ゲル化補助剤」は、「増粘補助剤」ともいえる。
本蓄熱材組成物は、ラウリン酸メチルを主剤とし、かつ12-ヒドロキシステアリン酸(B)およびソルビタン脂肪酸エステル(C)を含むことにより、ラウリン酸メチルを主剤とする蓄熱材組成物を、熱安定性を有するゲルとすることができる。本蓄熱材組成物は、ラウリン酸メチルを主剤とし、かつ12-ヒドロキシステアリン酸(B)およびソルビタン脂肪酸エステル(C)を含むことにより、より具体的には、45℃で20分間加熱した後も、ゲル状態を保つことができる、という利点を有する。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、特に限定されない。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノカプリレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンジカプリレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジミリステート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタンジベヘネート、ソルビタントリカプリレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリミリステート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリベヘネート、ソルビタンセスキカプリレート、ソルビタンセスキラウレート、ソルビタンセスキミリステート、ソルビタンセスキパルミテート、ソルビタンセスキステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンセスキベヘネート、等が挙げられる。
なかでも、ソルビタンに1つの脂肪酸がエステル結合したソルビタンモノ脂肪酸エステル、またはソルビタン2分子に脂肪酸が3分子結合したソルビタンセスキ脂肪酸エステルであることがより好ましい。また、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキオレエートおよびソルビタンモノステアレートからなる群より選択される少なくとも1種であることがさらに好ましく、ソルビタンモノオレエートおよびソルビタンセスキオレエートからなる群より選択される少なくとも1種であることが特に好ましい。
また、ソルビタンと脂肪酸とからなるエステル結合を有する限り、ソルビタン脂肪酸エステルは他の構造、例えばポリオキシエチレン(poly(oxyethylene)、POEとも称する。)の構造(構造式;-[OCHCH-(nは、任意の数))、を有していてもよい。ポリオキシエチレンの構造を有するソルビタン脂肪酸エステルを、POEソルビタン脂肪酸エステル、またはPOE(X)ソルビタン脂肪酸エステルと称する場合もある。上記Xは、オキシエチレンの繰り返し単位の数を表し、上記構造式中におけるnの値を表す。
POEソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、POE(20)ソルビタンモノラウレート、POE(6)ソルビタンモノラウレート、POE(20)ソルビタンモノパルミテート、POE(20)ソルビタンモノステアレート、POE(6)ソルビタンモノステアレート、POE(20)ソルビタントリステアレート、POE(20)ソルビタンモノオレエート、POE(6)ソルビタンモノオレエート、POE(20)ソルビタントリオレエート、POE(160)ソルビタントリイソステアレート、などが挙げられるが、これらに限定されない。
ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンモノ脂肪酸エステルまたはソルビタンセスキ脂肪酸エステルであることが好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキオレエートおよびソルビタンモノステアレートからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。当該構成によると、得られる蓄熱材組成物の凝固開始温度は1℃~10℃となり得る。その結果、1℃~10℃の範囲内であり、かつ所望の管理温度にて温度管理対象物品をより安定的にかつより精度高く温度保持できるという利点を有する。
本蓄熱材組成物におけるソルビタン脂肪酸エステル(C)の含有量は、特に限定されない。本蓄熱材組成物におけるソルビタン脂肪酸エステル(C)の含有量は、蓄熱材組成物100重量%中、0.1重量%~10.0重量%が好ましく、0.2重量%~5.0重量%がより好ましく、0.3重量%~3.0重量%がさらに好ましく、0.4重量%~1.0重量%が特に好ましい。当該構成によると、1℃~10℃の範囲内にて温度管理対象物品をより安定的に温度保持できるという利点を有する。
ラウリン酸メチル(A)とソルビタン脂肪酸エステル(C)との重量比率(C/A)は、0.001~0.100の範囲内であり、好ましくは0.002~0.080の範囲内であり、より好ましくは0.003~0.060の範囲内であり、さらに好ましくは0.005~0.030の範囲内であり、特に好ましくは0.006~0.010の範囲内である。当該構成によると、1℃~10℃の範囲内にて温度管理対象物品をより安定的に温度保持できるという利点を有する。
本蓄熱材組成物は、ゲル化補助剤としてソルビタン脂肪酸エステル(C)に加えて、ソルビタン脂肪酸エステル(C)以外の物質をさらに含んでいてもよい。ソルビタン脂肪酸エステル(C)以外のゲル化補助剤としては、(a)ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレートおよびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムなどのソルビタン脂肪酸エステル以外のノニオン性界面活性剤、(b)ステアリン酸ナトリウムおよびラウリン酸ナトリウムなどの金属石鹸、(c)カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびベヘン酸などの脂肪酸またはそれら脂肪酸の混合物、(d)フュームドシリカなどのシリカ、並びに(e)ヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシセルロースなどの吸水性樹脂、などが挙げられる。
(その他成分)
本蓄熱材組成物は、上記成分の他に、結晶核剤、相分離防止剤(例えば、オレイン酸、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、メタリン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、またはイソステアリン酸カリウム)、香料、着色剤、抗菌剤、高分子ポリマー、その他の有機化合物、または、その他の無機化合物、等のその他成分を必要に応じて含有することができる。
本蓄熱材組成物は、1℃~10℃の範囲内に融解温度を有する限り、軽金属および重金属などの金属、並びに、軽金属イオンおよび重金属イオン、などを含んでいてもよい。軽金属としては、アルミニウム、マグネシウム、ベリリウムおよびチタンなどが挙げられる。重金属としては、鉄、鉛、金、白金、銀、銅、クロム、カドミウム、水銀、亜鉛、ヒ素、マンガン、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、錫、ビスマス、ウランおよびプルトニウムなどが挙げられる。本蓄熱材組成物の製造において使用する原料(ラウリン酸メチル、12-ヒドロキシステアリン酸およびソルビタン脂肪酸エステルなど)は、上述した金属および金属イオンを含んでいる場合がある。
〔2-2.物性〕
(融解温度、凝固開始温度)
本蓄熱材組成物は、1℃~10℃の範囲内に融解温度を有する。換言すれば、本蓄熱材組成物の融解温度は、1℃~10℃である。本明細書において蓄熱材組成物の「融解温度」とは、「固体状の蓄熱材組成物が融解してゲル化する間に、当該蓄熱材組成物が呈する温度」のことを意図する。前記「融解温度」について、より具体的に、図1を用いて説明する。図1は、恒温槽内に、本発明の一実施形態に係る凝固状態の蓄熱材組成物を設置した後、恒温槽の温度を、低温(例えば-50℃)から一定の昇温速度で温度上昇させた場合の、蓄熱材組成物の温度を時間に対してプロットしたグラフである。図1は、固体状の蓄熱材組成物に単位時間当たり一定量の熱量を供給し続けたときの、蓄熱材組成物の経時的な温度変化の概略を模式的に示すグラフ、ともいえる。一定速度で上昇していく恒温槽の温度と比較して、図1に示すように、蓄熱材組成物の温度は、次の(1)~(3)の順で変化する:(1)一定速度で上昇する;(2)温度Tにおいて蓄熱材組成物の潜熱によりほとんど変化しなくなり、温度Tから温度Tまで、定温を保持する;(3)温度Tを境に、上昇を再開する。本明細書において、温度Tを「融解開始温度」と称し、温度Tを「融解終了温度」と称する。温度Tと温度Tとの中点の温度Tを、本明細書において「融解温度」と定義する。
本蓄熱材組成物の融解温度は、1℃~9℃が好ましく、2℃~8℃がより好ましく、2℃~7℃がさらに好ましく、3℃~5℃が特に好ましい。当該構成によると、温度管理対象物品を所望の管理温度にてより精度高く保温できるという利点を有する。
本蓄熱材組成物の融解開始温度は、特に限定されないが、1℃~10℃が好ましく、1℃~8℃がより好ましく、1℃~6℃がさらに好ましく、2℃~4℃が特に好ましい。当該構成によると、温度管理対象物品を所望の管理温度にてより精度高く温度保持できるという利点を有する。
本蓄熱材組成物の融解終了温度は、特に限定されないが、1℃~10℃が好ましく、2℃~9℃がより好ましく、2℃~7℃がさらに好ましく、3℃~6℃が特に好ましい。当該構成によると、温度管理対象物品を所望の管理温度にてより精度高く温度保持できるという利点を有する。
本蓄熱材組成物の融解開始温度と融解終了温度との差(温度T-温度T)の絶対値は、特に限定されないが、0~10が好ましく、0~8がより好ましく、0~5がより好ましく、0~4がより好ましく、0~3がさらに好ましく、0~2が特に好ましい。当該構成によると、温度管理対象物品を所望の管理温度にてより精度高く温度保持できるという利点を有する。
本蓄熱材組成物は、-2℃~10℃の範囲内に凝固開始温度を有することが好ましい。換言すれば、本蓄熱材組成物の凝固開始温度は、-2℃~10℃が好ましい。本明細書において蓄熱材組成物の「凝固開始温度」とは、「ゲル状の蓄熱材組成物が凝固し始めるとき、換言すれば固化し始めるときに、当該蓄熱材組成物が呈する温度」のことを意図する。前記「凝固開始温度」について、より具体的に、図2を用いて説明する。図2は、恒温槽内に、本発明の一実施形態に係る融解状態の蓄熱材組成物を設置した後、恒温槽の温度を、高温(例えば50℃)から一定の降温速度で温度下降させた場合の、蓄熱材組成物の温度を時間に対してプロットしたグラフである。図2は、ゲル状の蓄熱材組成物から単位時間当たり一定量の熱量を奪い続けたときの、蓄熱材組成物の経時的な温度変化の概略を模式的に示すグラフ、ともいえる。一定速度で下降していく恒温槽の温度と比較して、図2に示すように、蓄熱材組成物の温度は、次の(1)~(3)の順で変化する:(1)温度Tまで一定速度で温度下降する;(2)温度Tから温度Tまでわずかに上昇した後、温度Tにおいて蓄熱材組成物の潜熱によりほとんど変化しなくなり、温度Tから温度Tまで、定温を保持する;(3)温度Tを境に、下降を再開する。本明細書において、温度Tを「凝固開始温度」と称し、温度Tを「凝固終了温度」と称する。また、本明細書において、温度Tを「凝固時最高温度」と称する。
本蓄熱材組成物の凝固開始温度は、-2℃~10℃がより好ましく、-1℃~10℃がより好ましく、0℃~10℃がより好ましく、1℃~10℃がより好ましく、1℃~7℃がさらに好ましく、2℃~5℃が特に好ましい。当該構成によると、温度管理対象物品を所望の管理温度にてより精度高く温度保持できるという利点を有する。
本蓄熱材組成物の凝固終了温度は、特に限定されないが、-5℃~10℃が好ましく、-3℃~8℃がより好ましく、-2℃~7℃がより好ましく、-1℃~7℃がより好ましく、0℃~7℃がより好ましく、1℃~7℃がさらに好ましく、2℃~5℃が特に好ましい。当該構成によると、温度管理対象物品を所望の管理温度にてより精度高く温度保持できるという利点を有する。
本蓄熱材組成物の凝固開始温度と凝固終了温度との差(温度T-温度T)の絶対値は、特に限定されないが、0~10が好ましく、0~8がより好ましく、0~5がより好ましく、0~4がより好ましく、0~3がさらに好ましく、0~2が特に好ましい。当該構成によると、温度管理対象物品を所望の管理温度にてより精度高く温度保持できるという利点を有する。
本蓄熱材組成物において、凝固時最高温度と凝固終了温度との差(温度T-温度T)の絶対値は、特に限定されないが、0~10が好ましく、0~8がより好ましく、0~5がより好ましく、0~4がより好ましく、0~3がさらに好ましく、0~2が特に好ましい。当該構成によると、温度管理対象物品を所望の管理温度にてより精度高く温度保持できるという利点を有する。
本蓄熱材組成物の融解開始温度と凝固開始温度との差(温度T-温度T)の絶対値は、特に限定されないが、0~10が好ましく、0~8がより好ましく、0~5がより好ましく、0~4がより好ましく、0~3がさらに好ましく、0~2が特に好ましい。当該構成によると、温度管理対象物品を所望の管理温度にてより精度高く温度保持できるという利点を有する。
本蓄熱材組成物の融解開始温度、融解終了温度、融解温度、凝固開始温度、凝固終了温度および凝固時最高温度は、市販の温度コントロールユニットを備えた恒温槽中に熱電対を含む測定試料を入れ、恒温槽温度を一定の割合で上昇又は下降させ、その間の試料温度を、熱電対を用いてモニターすることにより測定することができる。
(熱安定性)
本蓄熱材組成物が安全であるとは、本蓄熱材組成物が熱安定性を有するゲルである、ことを意味する。本明細書において、「熱安定性を有するゲルである」とは、以下の条件で得られた結果に基づき判定される。
(1)蓄熱材組成物を、直径2.5cm~3.5cmのガラス製、平底円筒型の容器に、底から2.5cm~3.5cmの高さまで充填する;
(2)得られた容器を、45℃のウォーターバス内に20分静置する;
(3)その後、容器を恒温槽から取り出し、直ちに90°横倒しにする;
(4)30秒経過後、容器の底面の全面における蓄熱材組成物の有無、および、ゲル状の蓄熱材組成物の量を観察する。これらの観察の方法は、特に限定されず、目視であってもよい。
前記観察の結果、容器の底面の全面において蓄熱材組成物が存在し、かつ、ゲル状の蓄熱材組成物が、蓄熱材組成物全量の90重量%以上であるとき、「熱安定性を有するゲルである」と判定する。
上述したように、ラウリン酸メチルを主剤とする蓄熱材組成物が液体ではない場合、当該蓄熱材組成物は、保管または輸送するときに非危険物である、とみなされる蓋然性が高い。例えば、日本では、ラウリン酸メチルは消防法上、第4類の危険物に分類される。しかしながら、ラウリン酸メチルを含む混合物が、40℃で液体ではない場合は、消防法上の危険物第4類から除外される。消防法上の危険物第4類から除外される物質(混合物)は、非危険物とみなされる蓋然性が高い。ラウリン酸メチルを含む混合物が、40℃で液体であるか否かは、40℃液状確認試験により、判定される。40℃液状確認試験は、以下の手順で行われる。
(1)内径30mm、高さ120mmの平底円筒型透明ガラス管中に、底から55mmの高さまで試料を挿入する。なお、ガラス管には、底から85mmに標線が設けられている。
(2)40℃に調整した恒温水槽中で、ガラス管を直立させた状態で10分間放置。
(3)10分後、ガラス管を恒温水槽から取り出し、水平に倒す。
(4)水平に倒してから、試料が85mmの標線を超えるまでの時間を測定。
(5)得られた時間が90秒以内であれば、液体と判定する。すなわち、危険物第4類に分類されるとみなす。
上述したように、40℃液状確認試験では、試料を40℃で10分間放置する。一方、本明細書で規定する熱安定性の判定試験では、蓄熱材組成物は、45℃で20分間静置される。従って、本明細書で規定する熱安定性の判定に基づき、蓄熱材組成物が熱安定性を有するゲルであると判定される場合、当該蓄熱材組成物は日本の消防法上で危険物第4類に該当しない蓋然性が高く、すなわち非危険物とみなされる蓋然性が高い。従って、本蓄熱材組成物は熱安定性を有するゲルであるため安全であり、その結果、保管、または車両、航空機、船舶等の輸送手段による輸送に特段の制限がかけられることがなく、保管および輸送などの取り扱いが容易であるという利点を有する。
〔2-3.蓄熱材組成物の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物を調製する方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、特定量のラウリン酸メチル(A)、12-ヒドロキシステアリン酸(B)およびソルビタン脂肪酸エステル(C)を、タンブラー、またはリボンブレンダー等を用いて混合し、ラウリン酸メチル(A)中に、12-ヒドロキシステアリン酸(B)およびソルビタン脂肪酸エステル(C)を溶解することにより、蓄熱材組成物を調製することができる。ラウリン酸メチル(A)、12-ヒドロキシステアリン酸(B)およびソルビタン脂肪酸エステル(C)を混合する順序は特に限定されない。例えば、(a)ラウリン酸メチル(A)および12-ヒドロキシステアリン酸(B)を混合した後、得られた混合物とソルビタン脂肪酸エステル(C)とを混合してもよく、ラウリン酸メチル(A)およびソルビタン脂肪酸エステル(C)を混合した後、得られた混合物と12-ヒドロキシステアリン酸(B)とを混合してもよく、ラウリン酸メチル(A)および12-ヒドロキシステアリン酸(B)を混合して得られた混合物と、ラウリン酸メチル(A)およびソルビタン脂肪酸エステル(C)を混合して得られた混合物とを混合してもよい。また、ラウリン酸メチル(A)中に、12-ヒドロキシステアリン酸(B)およびソルビタン脂肪酸エステル(C)を十分に溶解させるために、ラウリン酸メチル(A)を加熱してもよい。
〔3.変形例〕
本発明の別の一実施形態に係る蓄熱材組成物では、ゲル化補助剤としてカルボキシメチルセルロースを使用することができる。すなわち、本発明の別の一実施形態に係る蓄熱材組成物は、ラウリン酸メチル(A)、12-ヒドロキシステアリン酸(B)およびカルボキシメチルセルロース(C)を含み、前記ラウリン酸メチル(A)と前記12-ヒドロキシステアリン酸(B)との重量比率(B/A)は、0.005~0.200の範囲内であり、前記ラウリン酸メチル(A)と前記カルボキシメチルセルロース(C)との重量比率(C/A)は、0.001~0.100の範囲内であり、1℃~10℃の範囲内に融解温度を有する。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例および比較例で使用した原料は、以下のとおりである。
<主剤>
・ラウリン酸メチル(日油社製、ラウリン酸メチル95)
<ゲル化剤>
・12-ヒドロキシステアリン酸(日油社製、ヒマシ硬化脂肪酸)
・2-エチルヘキサン酸アルミニウム(ホープ製薬社製、オクトープアルミA)
<ゲル化補助剤>
・ソルビタンモノオレエート(花王社製、レオドールAO-10V)
・ソルビタンモノラウレート(花王社製、レオドールSP-L10)
・ソルビタンセスキオレエート(花王社製、レオドールAO-15V)
・ソルビタンモノステアレート(花王社製、レオドールSP-S10V)
・ポリオキシエチレンセチルエーテル(日油社製、ノニオンP-208)
・ポリオキシエチレンオレイルエーテル(日油社製、ノニオンE-202)
・ポリエチレングリコールモノラウレート(花王社製、エマノーン1112)
・ステアリン酸ナトリウム(日東化成社製、NA-ST)
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(花王社製、ラテムルE-118B)
・ラウリン酸ナトリウム(日東化成社製、NS-3A)
・フュームドシリカ(トクヤマ社製、レオロシールMT-10C)
・ステアリン酸(日油社製、NAA-176)
・C14-18とC16-C18との不飽和脂肪酸混合物(ホープ製薬社製、ゲル化補助剤Nsp)。
<蓄熱材組成物の製造>
(実施例1~4、比較例1~10)
表1~3に示す各成分を混合し、蓄熱剤組成物を作製した。得られた各実施例および比較例の蓄熱材組成物について、後述する方法にてゲル化補助剤の分散性および熱安定性を評価し、さらに、融解温度および凝固開始温度を測定した。得られた結果を、表1~3に示す。
<融解温度の測定方法>
実施例1~4および比較例10にて製造された各蓄熱材組成物を容積2mlのクライオバイアルに、熱電対と共に、充填した。当該クライオバイアルを、-50℃の恒温槽内に静置し、-50℃~50℃の温度範囲内で、1℃/分の昇温速度にて、温度上昇を行った。この間、恒温槽の温度上昇過程において、恒温槽内の蓄熱材組成物の温度を熱電対にてモニターし、得られた結果(温度)を時間に対してプロットした。実施例1~4および比較例10の蓄熱材組成物では、図1に示すようなグラフが得られた。すなわち、実施例1~4および比較例10の蓄熱材組成物では、図1に示すように、一定速度で上昇する恒温槽の温度と比較して、蓄熱材組成物の温度は、次の(1)~(3)の順で変化した:(1)一定速度で上昇した;(2)温度Tにおいて蓄熱材組成物の潜熱によりほとんど変化しなくなり、温度Tから温度Tまで、定温を保持した;(3)温度Tを境に、上昇を再開した。温度Tと温度Tとの中点の温度Tを、蓄熱材組成物における「融解温度」とした。
<凝固開始温度の測定方法>
実施例1~4並びに比較例9および10にて製造された各蓄熱材組成物を容積2mlのクライオバイアルに、熱電対と共に、充填した。当該クライオバイアルを、50℃の恒温槽内に静置し、50℃~-50℃の温度範囲内で、1℃/分の降温速度にて、温度下降を行った。この間、恒温槽の温度下降過程において、恒温槽内の蓄熱材組成物の温度を熱電対にてモニターし、得られた結果(温度)を時間に対してプロットした。実施例1~4並びに比較例9および10の蓄熱材組成物では、図2に示すようなグラフが得られた。すなわち、実施例1~4並びに比較例9および10の蓄熱材組成物では、図2に示すように、一定速度で下降する恒温槽の温度と比較して、蓄熱材組成物の温度は、次の(1)~(3)の順で変化した:(1)温度Tまで一定速度で温度下降した;(2)温度Tから温度Tまでわずかに上昇した後、温度Tにおいて蓄熱材組成物の潜熱によりほとんど変化しなくなり、温度Tから温度Tまで、定温を保持した;(3)温度Tを境に、下降を再開した。温度Tを、蓄熱材組成物における「凝固開始温度」とした。
融解温度および凝固開始温度の測定では、恒温槽として、サイニクス社製、超低温アルミブロック恒温槽 クライオポーター(登録商標)CS-80CPを使用した。
(分散性の評価方法)
分散性の評価は、具体的には、ラウリン酸メチル(A)および12-ヒドロキシステアリン酸(B)の混合溶液(約50℃~約60℃)中で、使用したゲル化補助剤が分散しているか否かを評価することで行った。手順は以下の通りである。
(1)ラウリン酸メチル(A)および12-ヒドロキシステアリン酸(B)の混合溶液(約50℃~約60℃)中にゲル化補助剤を添加して撹拌した後、容器に充填し、室温(約20℃~約30℃)下で1分間静置した。
(2)静置後、ゲル化補助剤の添加量に対する、容器底面に沈降したゲル化補助剤の量を測定し、次の基準で分散性を判定した。
○(良好):容器の底面に沈降したゲル化補助剤の量は、ゲル化補助剤の添加量の10重量%以下である。
×(劣る):容器の底面に沈降したゲル化補助剤の量は、ゲル化補助剤の添加量の10重量%を超える。
(熱安定性の評価方法)
以下の手順で熱安定性を評価した。具体的には、蓄熱材組成物が熱安定性を有するゲルであるか否かを評価した。
(1)蓄熱材組成物を、直径2.5cm~3.5cmのガラス製、平底円筒型の容器に、底から2.5cm~3.5cmの高さまで充填した;
(2)得られた容器を、45℃のウォーターバス内に20分静置した;
(3)その後、容器を恒温槽から取り出し、直ちに90°横倒しにする;
(4)30秒経過後、容器の底面の全面における蓄熱材組成物の有無、および、ゲル状の蓄熱材組成物の量を目視で観察し、以下の基準で熱安定性を評価した。
前記観察の結果、容器の底面の全面において蓄熱材組成物が存在し、かつ、ゲル状の蓄熱材組成物が、蓄熱材組成物全量の90重量%以上であるとき、「熱安定性を有するゲルである」と判定した。
○(良好):容器の底面の全面において蓄熱材組成物が存在し、かつ、ゲル状の蓄熱材組成物が、蓄熱材組成物全量の90重量%以上である。
△(不良):容器の底面の全面において蓄熱材組成物が存在せず、かつ、ゲル状の蓄熱材組成物が、蓄熱材組成物全量の60重量%以上90%未満である。
×(非常に劣る):容器の底面の全面において蓄熱材組成物が存在せず、かつ、ゲル状の蓄熱材組成物が、蓄熱材組成物全量の60%未満である。
熱安定性の評価では、ウォーターバスとして、アズワン社製、ウォーターバススターラーWBS-80Mを使用した。
Figure 0007286435000001
Figure 0007286435000002
Figure 0007286435000003
本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物は、管理温度が1℃~10℃の範囲である温度管理対象物品を、特定の環境下において、それぞれの温度管理対象物品の管理温度内で保管または輸送することを可能とする。また、本発明の一実施形態に係る蓄熱材組成物は、非危険物とみなされる蓋然性が高い。従って、本発明の一実施形態は、例えば医薬品、医療機器、細胞、検体、臓器、化学物質もしくは食品等の各種物品の保管および輸送に好適に利用できる。

Claims (3)

  1. ラウリン酸メチル(A)、12-ヒドロキシステアリン酸(B)およびソルビタン脂肪酸エステル(C)を含み、
    前記ラウリン酸メチル(A)と前記12-ヒドロキシステアリン酸(B)との重量比率(B/A)は、0.005~0.200の範囲内であり、
    前記ラウリン酸メチル(A)と前記ソルビタン脂肪酸エステル(C)との重量比率(C/A)は、0.001~0.100の範囲内であり、
    1℃~10℃の範囲内に融解温度を有し、
    熱安定性を有するゲルである、蓄熱材組成物。
  2. 前記ソルビタン脂肪酸エステル(C)は、ソルビタンモノ脂肪酸エステルまたはソルビタンセスキ脂肪酸エステルである、請求項1に記載の蓄熱材組成物。
  3. 前記ソルビタン脂肪酸エステル(C)は、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキオレエートおよびソルビタンモノステアレートからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の蓄熱材組成物。
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