JP7286085B2 - リチウムイオン電池からのリチウムの回収方法 - Google Patents

リチウムイオン電池からのリチウムの回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン電池からのリチウムの回収方法に関する。
近年、携帯電話、家庭用電気製品、自動車等の産業分野でリチウムイオン電池の需要が増大している。しかしながら、そこに含まれるリチウムは高価な有価金属であるため、資源の有効活用の観点から、不良品又は使用済のリチウムイオン電池からリチウムを回収する方法が検討されている。
例えば、リチウムイオン電池を400℃以下の温度で予備焙焼して得られた粉状品を400℃以上の温度で酸化焙焼し、その後、400~750℃の温度で還元焙焼して還元焙焼品を生成し、アルカリ土類金属の水酸化物を懸濁させた水溶液に還元焙焼品を浸漬させて還元焙焼品中のリチウムを水に溶出させ、リチウムを回収する方法が提案されている(特許文献1)。また、リチウムイオン電池を焙焼し焙焼物を破砕して篩分けし、粒径を制御した粉粒体を、特定金属のハロゲン化物、硝酸塩又は酢酸塩を含む水溶液に添加し、それを水熱処理してリチウムを回収する方法も提案されている(特許文献2)。
特開2012-229481号公報 特開2017-52997号公報
特許文献1に記載された回収方法は、リチウムイオン電池に含まれるコバルト、ニッケル、マンガン、リチウム等の有価金属を段階的に分別回収するため、操作が複雑であり、効率的でなく、また浸漬後の水溶液中に還元焙焼品から溶出したリチウムは濃度が低いため、回収コストの点で不利である。また、特許文献2に記載された回収方法は、80%前後の高い収率でリチウムを回収することが可能であるが、そのためには高温かつ長時間の水熱処理を要するため、回収効率の観点から改善の余地がある。
本発明の課題は、リチウムイオン電池からリチウムを効率的に回収する方法を提供することにある。
本発明者らは、リン含有量が特定値以下に制御された、リチウムイオン電池の焙焼体の破砕物を水又は特定添加剤を含む水溶液に添加し、それを比較的低い温度で、短時間水熱処理することにより、リチウムイオン電池中のリチウムを高い収率で効率よく回収できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔8〕を提供するものである。
〔1〕下記の(1)又は(2)を水熱処理する工程を含む、リチウムイオン電池からのリチウムの回収方法。
(1)リチウムイオン電池の焙焼体の破砕物であって、リン含有量が20mg/g以下である破砕物を添加した水
(2)リチウムイオン電池の焙焼体の破砕物であって、リン含有量が20mg/g以下である破砕物を添加した、周期表第2族元素の水酸化物及び酸化物から選択される1種又は2種以上の添加剤を含む水溶液
〔2〕周期表第2族元素の水酸化物が、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム及び水酸化バリウムから選択される1種又は2種以上である、前記〔1〕記載の回収方法。
〔3〕周期表第2族元素の酸化物が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化バリウムから選択される1種又は2種以上である、前記〔1〕又は〔2〕記載の回収方法。
〔4〕添加剤の使用量が、破砕物に含まれるリンに対する周期表第2族元素のモル比として0.2~3.5である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一に記載の回収方法。
〔5〕水熱処理の温度が100~200℃である、〔1〕~〔4〕のいずれか一に記載の回収方法。
〔6〕水熱処理の処理時間が0.5~24時間である、〔1〕~〔5〕のいずれか一に記載の回収方法。
〔7〕(A)破砕物と、(B)水又は添加剤を含む水溶液との固液比[(A)/(B)]が2.0~20g/Lである、〔1〕~〔6〕のいずれか一に記載の回収方法。
〔8〕破砕物の粒径が1.0mm以下である、〔1〕~〔7〕のいずれか一に記載の回収方法。
本発明によれば、短時間で効率よくリチウムを高収率にて回収することができる。また、本発明の回収方法は、リチウムイオン電池に含まれる正極材、負極材、電解液、セパレータ等を分離処理することなく、リチウムイオン電池中のリチウムを効率的に回収できるため、リチウムの回収コストを低減することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のリチウムの回収方法は、リチウムイオン電池の焙焼体の破砕物であって、リン含有量が20mg/g以下である破砕物を、水又は特定添加剤を含む水溶液に添加し、それを水熱処理に供する工程を含むものである。
本発明においては、先ずリチウムイオン電池を焙焼して焙焼体を得、次いで焙焼体を破砕して、リチウムイオン電池の焙焼体の破砕物を準備する。
〔リチウムイオン電池〕
本発明で対象とするリチウムイオン電池は、携帯電話その他の種々の電子機器等で使用され得るリチウムイオン電池であって、製品寿命、製造不良又はその他の理由によって廃棄されるものである。このような廃棄リチウムイオン電池からリチウムを回収することは、資源の有効活用の観点から好ましい。なお、リチウムイオン電池は、1種又は2種以上使用することができる。
リチウムイオン電池は、本発明の効果を享受しやすい点で、正極材がリンを含まないものが好ましく、例えば、リン酸鉄系(LiFePO4)以外のものを挙げることができる。具体的には、例えば、コバルト系(LiCoO2)、ニッケル系(LiNiO2)、マンガン系(LiMn24)、三元系(Li(Ni-Mn-Co)O2)等が挙げられる。ここで、本明細書において「三元系」とは、コバルト酸リチウムのコバルトの一部をニッケルとマンガンで置換したものをいう。なお、正極材は、例えば、ポリフッ化ビニリデン等の有機バインダー等によって固着されたアルミニウム箔(正極集電体)を含んでいてもよい。また、負極材は、カーボン等を挙げることができる。電解液は特に限定されず、例えば、電解質として有機溶媒にリチウム塩を溶解させた有機電解液を挙げることができる。セパレータは、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を挙げることができる。
リチウムイオン電池の周囲を包み込む外装として、アルミニウムのみからなる筐体や、アルミニウム及び鉄、あるいはアルミラミネート等を含む筐体を有してもよい。また、リチウムイオン電池中には、銅、鉄等の他の金属が含まれていても構わない。
〔焙焼〕
リチウムイオン電池の焙焼は、リチウムイオン電池中の電解液、セパレータ、バインダー等の比較的低温度で熱分解する有機物質をガス化燃焼し、系外に除去する目的で行う。なお、リチウムイオン電池は、筐体を取り外して電池本体を取り出すことを要さず、そのまま焙焼しても構わない。
焙焼は、300~650℃の温度で1~8時間行うことが好ましい。このような条件で焙焼とすることで、リチウムイオン電池中の電解液等に含まれる有機物質が容易に熱分解し、系外へ除去しやすくなる。また、焙焼物である焙焼灰を塊状に形成することができるため、ハンドリング性や加工性が向上し、リチウムの回収率を高めることができる。
焙焼は、一般的な焙焼炉を使用することができる。例えば、電気炉、トンネル炉、ロータリーキルン等が挙げられる。炉の雰囲気としては、大気雰囲気、CO、H2等の還元ガス種を含む還元雰囲気、N2、Ar等の不活性ガスからなる不活性雰囲気、真空雰囲気を含む非酸化雰囲気が挙げられる。リチウムイオン電池の筐体が樹脂製の場合、樹脂の着火による熱上昇を抑えるために、還元雰囲気又は不活性雰囲気が好ましい。
〔破砕〕
リチウムイオン電池の焙焼体の破砕は、リチウムイオン電池の筺体を破壊して筺体から正極材及び負極材を取り出し、正極材を分離する目的で行う。なお、ここでいう「破砕」とは、焙焼物を破砕することだけでなく、焙焼物を解体することも包含する概念である。
破砕は、剪断力、衝突、圧縮等による衝撃を加えて破砕することができれば、一般的な破砕機を使用することができる。例えば、サンプルミル、ハンマーミル、ピンミル、ウィングミル、トルネードミル、ハンマークラッシャ等を挙げることができる。
また、本発明においては、破砕物を篩分けし、破砕物の粒径を制御してもよい。篩分けした破砕物は、粒径が1.0mm以下であることが好ましい。このような粒径とすることで、後述の水熱処理において破砕物からのリチウムの溶出量が増加するため、リチウムの回収率をより一層向上させることができる。また、比重選別、磁力選別等の公知の分別操作により、銅、アルミニウム、鉄等を回収することもできる。
リチウムイオン電池の焙焼体の破砕物は、リン含有量が20mg/g以下であるが、リチウムの回収率向上の観点から、15mg/g以下が好ましく、12mg/g以下が更に好まい。このようなリン含有量とするには、例えば、正極材がリンを含まず、負極材がチタン酸リチウム以外のものであるリチウムイオン電池を使用すればよい。
〔水熱処理〕
水熱処理は、破砕物を添加した、水又は特定添加剤を含む水溶液を圧力容器に投入し、加熱して行う。これにより、破砕物からのリチウムの溶出量が増加し、水又は水溶液中のリチウム濃度が高められ、リチウムを高い収率で回収することができる。ここで、本明細書において「水熱処理」とは、破砕物を添加した、水又は特定の添加剤を含む水溶液を密閉状態の圧力容器内で加熱することをいう。
水としては、例えば、水道水、工業用水、蒸留水、精製水、イオン交換水、純水、超純水等が挙げられる。水は、1種又は2種以上使用することができる。水溶液は、これら水のうち1以上を選択し、それに特定添加剤を添加して調製すればよい。中でも、リチウムの回収率向上の観点から、特定添加剤を含む水溶液が好ましい。
特定添加剤は、周期表第2族元素の水酸化物及び酸化物から選択される1種又は2種以上である。周期表第2族元素としては、リチウムの回収率向上の観点から、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが好ましく、マグネシウム、カルシウムがより好ましく、カルシウムが更に好ましい。
周期表第2族元素の水酸化物しては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム及び水酸化バリウムから選択される1種又は2種以上を挙げることができるが、リチウムの回収率向上の観点から、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムから選択される1種以上が好ましく、水酸化カルシウムが更に好ましい。
周期表第2族元素の酸化物としいては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化バリウムから選択される1種又は2種以上を挙げることができるが、リチウムの回収率向上の観点から、酸化カルシウムが好ましい。
粉砕物と水との混合順序は特に限定されず、任意の順序で添加して混合しても、両者を同時に添加して混合してもよい。
また、粉砕物、水及び添加剤の混合順序も特に限定されず、任意の順序で添加して混合しても、3者を同時に添加して混合してもよく、また予め調製した添加剤を含む水溶液に粉粒体を添加して混合してもよい。
特定添加剤の使用量は、破砕物に含まれるリンに対する周期表第2族元素のモル比(周期表2族元素/破砕物中のリン)として0.2~3.5が好ましく、0.5~3.0がより好ましく、1.0~2.5が更に好ましい。このようなモル比とすることで、短時間でリチウムを収率よく回収することができる。
また、(A)破砕物と、(B)水又は添加剤を含む水溶液との固液比[(A)/(B)]は、2.0~20g/Lが好ましく、2.5~15g/Lがより好ましく、3.3~10g/Lが更に好ましい。このような固液比とすることで、破砕物からのリチウムの溶出量が増加し、水又は水溶液中のリチウム濃度が高められ、リチウムを高い収率で回収することができる。
水熱処理は、100~200℃が好ましい。このような温度範囲であれば、破砕物からリチウムが十分溶出されるため、水又は水溶液中のリチウム濃度が高められ、リチウムを高い収率で回収することができる。
特定添加剤を含む水溶液に破砕物を添加する場合、水熱処理の温度は、リチウムの回収率向上の観点から、100~180℃が好ましく、100~160℃がより好ましく、100~140℃が更に好ましい。
水に破砕物を添加する場合、水熱処理の温度は、リチウムの回収率向上の観点から、100℃以上が好ましく、そして200℃以下が好ましい。また、かかる水熱処理の温度を、好ましくは120~200℃、より好ましくは140~200℃、更に好ましくは160~200℃とすることもできる。
水熱処理の処理時間は、0.5~24時間が好ましい。このような処理時間であれば、破砕物からリチウムが十分溶出されるため、水又は水溶液中のリチウム濃度が高められ、リチウムを高い収率で回収することができる。
特定添加剤を含む水溶液に破砕物を添加する場合、水熱処理の処理時間は、リチウムの回収率向上の観点から、0.5~10時間が好ましく、1~7時間がより好ましく、2~4時間が更に好ましい。
水に破砕物を添加する場合、水熱処理の処理時間は、リチウムの回収率向上の観点から、0.5以上が好ましく、そして24時間以下が好ましい。また、かかる水熱処理の時間を、好ましくは5~24時間、より好ましくは10~24時間、更に好ましくは15~24時間とすることもできる。
〔回収〕
水熱処理の加熱を停止した後、圧力容器内の水又は特定添加剤を含む水溶液を冷却する。冷却後の水又は添加剤を含む水溶液をろ過し、ろ液中のリチウムを回収する。ろ過により、水に対して溶解度の高いリチウム塩をろ液側に移行させることができる。そして、ろ液に、炭酸ガスを吹き込む方法、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩を添加する方法等の公知の方法を用いた炭酸化反応により、炭酸リチウムとしてリチウムを高収率で回収することができる。また、ろ液のpHを調整することにより、水酸化リチウムとしてリチウムを回収することもできる。更に、単にろ液中の水分を蒸発させ、ろ液から塩化リチウムや硝酸リチウム等のリチウム塩としてリチウムを回収してもよい。
また、本発明によれば、高価な薬剤を必要とせず、複雑な設備及び操作を必要としないので、リチウムの回収コストの低減することができる。また、ろ過により得られた固形分から、固形分中に含まれる鉄等の金属を、磁力選別、酸処理及びアルカリ処理により水酸化物沈殿、金属製錬等を用いて回収することもできる。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
(製造例1)
自動車用の廃棄リチウムイオン電池(アルミ箔型、正極材:三元系、負極材:カーボン)を窒素雰囲気で450℃の温度で6時間焙焼した後、剪断破砕機を用いて焙焼体を破砕した。次いで、分級機を用いて破砕物を篩分けし、粒径1.0mm以下の破砕物を得た。かかる破砕物を「破砕物I」とし、その組成比率を表1に示す。
(製造例2)
自動車用の廃棄リチウムイオン電池(アルミ箔型、正極材:マンガン系、負極材:カーボン)を用いたこと以外は、製造例1と同様の操作により、粒径1.0mm以下の破砕物を得た。かかる破砕物を「破砕物II」とし、その組成比率を表1に示す。
(製造例3)
自動車用の廃棄リチウムイオン電池(アルミ箔型、正極材:リン酸鉄系、負極材:カーボン)を用いたこと以外は、製造例1と同様の操作により、粒径1.0mm以下の破砕物を得た。かかる破砕物を「破砕物III」とし、その組成比率を表1に示す。
(製造例4)
自動車用の廃棄リチウムイオン電池(ラミネート型、正極材:リン酸鉄系、負極材:カーボン)を用いたこと以外は、製造例1と同様の操作により、粒径1.0mm以下の破砕物を得た。かかる破砕物を「破砕物IV」とし、その組成比率を表1に示す。
Figure 0007286085000001
(実施例1)
(A)破砕物と(B)水酸化カルシウム水溶液との固液比[(A)/(B)]が3.3g/Lとなるように破砕物Iを添加して分散させた後、圧力容器を密封した。なお、破砕物I中のリン量に対するカルシウム量は、モル比で1.5であった。圧力容器の内部の温度(処理温度)を200℃、圧力(処理圧力)を1.55MPaで24時間保持して水熱処理を行った後、破砕物Iが添加された水酸化カルシウム水溶液を30℃以下に冷却した。
冷却後、圧力容器内の水溶液をろ過し、ろ液中の成分測定を行った。破砕物Iからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を、以下の計算式にしたがって求めた。その結果を表2に示す。なお、リチウム量及びリン量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置を用いて分析した。
リチウム回収率(%)=X/Y×100
〔式中、Xはろ液中に溶解しているリチウムの質量(mg)を示し、Yは破砕物中のリチウムの質量(mg)を示す。〕
リン回収率(%)=V/W×100
〔式中、Vはろ液中に溶解しているリンの質量(mg)を示し、Wは破砕物中のリンの質量(mg)を示す。〕
(実施例2)
(A)破砕物と(B)水酸化カルシウム水溶液との固液比[(A)/(B)]が10g/Lとなるように破砕物Iを添加したこと以外は、実施例1と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物Iからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
(実施例3)
水熱処理の温度を120℃、処理時間を1時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物Iからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
(実施例4)
水熱処理の温度を120℃、処理時間を2時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物Iからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
(実施例5)
水熱処理の温度を120℃、処理時間を3時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物Iからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
(実施例6)
水熱処理の温度を100℃、処理時間を1時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物Iからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
(実施例7)
水熱処理の温度を100℃、処理時間を2時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物Iからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
(実施例8)
水熱処理の温度を100℃、処理時間を3時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物Iからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
(実施例9)
破砕物Iの代わりに、破砕物IIを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物IIからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
(実施例10)
破砕物Iの代わりに、破砕物IIを用いたこと以外は、実施例2と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物IIからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
(実施例11)
破砕物Iの代わりに、破砕物IIを用いたこと以外は、実施例5と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物IIからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
(実施例12)
破砕物Iの代わりに、破砕物IIを用いたこと以外は、実施例8と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物IIからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
(実施例13)
水酸化カルシウム水溶液の代わりに、水を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物Iからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
(実施例14)
水酸化カルシウム水溶液の代わりに、水を用いたこと以外は、実施例2と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物Iからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
(比較例1)
破砕物Iの代わりに、破砕物IIIを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物IIIからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
(比較例2)
破砕物Iの代わりに、破砕物IIIを用いたこと以外は、実施例2と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物IIIからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
(比較例3)
破砕物Iの代わりに、破砕物IVを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により水熱処理を行い、ろ液中の成分測定を行った。そして、破砕物IVからのリチウム回収率(%)、リン回収率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 0007286085000002
表2の実施例1~14に示されるように、リチウムイオン電池の焙焼体の破砕物のリン含有量を20mg/g以下に制御した破砕物を、水又は特定添加剤を含む水溶液に添加し、これを水熱処理することで、リチウムイオン電池中のリチウムを高い収率で回収できることがわかる。とりわけ、実施例3~8に示されるように、破砕物を特定添加剤を含む水溶液に添加した場合には、100℃程度の比較的低い温度で数時間水熱処理するだけで、リチウムイオン電池中のリチウムを高い収率で効率よく回収できることがわかる。
一方、比較例1~3に示されるように、リチウムイオン電池の焙焼体の破砕物のリン含有量を20mg/g以下に制御しないと、リチウムの回収率が著しく低下することがわかる。

Claims (8)

  1. 下記の(1)又は(2)を水熱処理する工程を含む、リチウムイオン電池からのリチウムの回収方法。
    (1)リチウムイオン電池の焙焼体の破砕物であって、リン含有量が20mg/g以下である破砕物を添加した水
    (2)リチウムイオン電池の焙焼体の破砕物であって、リン含有量が20mg/g以下である破砕物を添加した、周期表第2族元素の水酸化物及び酸化物から選択される1種又は2種以上の添加剤を含む水溶液
  2. 周期表第2族元素の水酸化物が、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム及び水酸化バリウムから選択される1種又は2種以上である、請求項1記載の回収方法。
  3. 周期表第2族元素の酸化物が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化バリウムから選択される1種又は2種以上である、請求項1又は2記載の回収方法。
  4. 添加剤の使用量が、破砕物に含まれるリンに対する周期表第2族元素のモル比として0.2~3.5である、請求項1~3のいずれか1項に記載の回収方法。
  5. 水熱処理の温度が100~200℃である、請求項1~4のいずれか1項に記載の回収方法。
  6. 水熱処理の処理時間が0.5~24時間である、請求項1~5のいずれか1項に記載の回収方法。
  7. (A)破砕物と、(B)水又は添加剤を含む水溶液との固液比[(A)/(B)]が2.0~20g/Lである、請求項1~6のいずれか1項に記載の回収方法。
  8. 破砕物の粒径が1.0mm以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の回収方法。
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