JP7285559B2 - 3次元造形装置及び3次元造形装置用の造形ステージ - Google Patents

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本発明は、3次元造形装置及び3次元造形装置用の造形ステージに関し、特に熱溶解積層法を用いた3次元造形装置及び3次元造形装置用の造形ステージに関する。
近年、コンピュータを利用して3次元造形装置(3次元プリンタ)により立体造形物(3次元造形物)を製造することが盛んに行われている。このような立体造形物を製造する造形方法としては、融解した造形材料を吐出ヘッド(ノズル)の先端から、吐出される融解物よりも低温とされた造形ステージ(造形用テーブル)上に吐出させ、造形ステージ又は造形物上に固溶密着し順次固化させつつ順次積層して造形する熱溶解(熱融解)積層法(FDM、FFF)が知られている。
融解した状態の造形材料が吐出積層され固化する際、吐出融解物と造形ステージとの間の温度差があまりに大きいと、造形ステージの積層面から造形物が剥がれて反りを生じたり、積層間の接着性が不十分になり層間剥離を生じたりして、造形ができなかったり造形物の不良につながる虞がある。そこで、造形ステージに加熱部を設け、造形ステージを所望の温度に加熱することで、安定した造形物の形成を図ることが知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に開示されている3次元造形装置においては、造形ステージを加熱する複数のヒータが、造形ステージの複数の加熱箇所(領域)のそれぞれに対応して、造形ステージの造形物が載置される面と反対側の面に、すなわち造形ステージの下面に設けられている。造形ステージの各加熱箇所の温度は、温度センサなどの個別温度検知手段によって検知され、その検知される温度に応じて制御部が個別のヒータの加熱タイミング、加熱時間、加熱温度などを制御するように構成されている。しかしながら、上述の特許文献1に示されているような3次元造形装置は、不要なエネルギー消費を抑えたり、複数種類の材料を用いたりする場合に、造形ステージ上の一部の領域の加熱を行なわずに必要な領域だけを加熱したり、ステージ上の領域で加熱温度を異ならしたりするために、複数に分割された加熱箇所ごとに温度検知手段を設け、加熱箇所ごとに設けられる個別のヒータの加熱量の制御をしているだけである。
特開2017-217791号公報
ところで、上述したように、吐出ヘッドから吐出される融解物は、造形ステージや造形物上に積層され固化する過程で熱が下層等に放熱されるため、吐出する部分は、そこから離れた部分よりも高温になり、造形物全体として温度ムラが生じてしまう。つまり、吐出ヘッドから融解状態の造形材料が吐出され硬化する部分では多くの熱量が造形ステージ上の造形物に伝わり、放熱、拡散する過程で造形物に局部的な温度ムラが生じてしまう。例えば、造形材料に高温材料であるPEEKを用いた場合、吐出ヘッドから吐出される融解状態の造形材料の温度は約425℃とされ、この造形時の造形ステージの温度は吐出される造形材料の温度よりも低い約175℃に加熱される。一般的に造形面積は最初大きく、上部(上層)になるほど面積が小さくなるが、上記のように造形ステージの温度よりも吐出され積層される造形材料の温度が高いために、造形ステージに一定の加熱を行っていると、吐出積層されていく部分近傍の温度が高く、そこから離れた部分の温度が低くなってしまい、造形物中に温度ムラが生じ、最終的に造形物を造形ステージから切り離したときに内部歪みによって、造形物に歪み、変形、色ムラが生じる恐れがある。つまり、造形物の形状や大きさにも関係するが、造形物の融解状態の造形材料を吐出している下部は温度が上がり気味になり、造形物の吐出が無い部分は温度が低くなり、造形物中に温度の高い部分と低い部分が生じてしまう。その結果、冷却される過程で造形材料の収縮速度が局部的に異なる部分が生じることで、造形物に強度低下、歪み、変形、ムラが生じる恐れがある。
上記特許文献1に開示されているような従来の造形ステージの温度管理では、所定の領域毎に温度を変えているだけであるので、所定の領域でみれば全体均一加熱でしかなく、造形物中に温度ムラが生じるという課題を解決することができない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、FDM(FFF)方式を用いた3次元造形において、融解した造形材料が吐出積層されることなどに起因する造形物中の局部的な温度の変動を軽減できる3次元造形装置、及び3次元造形装置用の造形ステージを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、造形ステージの加熱手段として、温度が高くなると電気抵抗値が正の数の係数だけ変化する特性、すなわち正温度係数(Positive Temperature Coefficient)を有する抵抗素子(PCT抵抗素子)を複数用いることで、そのPCT抵抗素子の自己温度制御機能によって、造形ステージ上の造形物の温度ムラを軽減することが可能であることを見出した。
すなわち本発明は、造形ステージ上に3次元造形物を造形する3次元造形装置であって、前記造形ステージは、加熱手段を有し、前記加熱手段は、複数の抵抗素子、該複数の抵抗素子のそれぞれの一方の端部に接続される第1の端子、及び前記複数の抵抗素子のそれぞれの他方の端部に接続される第2の端子を有し、前記抵抗素子は、正温度係数を有することを特徴とする。
前記複数の抵抗素子は、格子状又は線状に配置されるとともに、並列接続され得る。また、前記複数の抵抗素子は、厚膜素子又は薄膜素子であり得る。なお、本発明において加熱手段とは、1つの基板に1つ又は複数の抵抗マトリックス又は抵抗アレイが形成されているものをも含む。また、本発明において厚膜素子及び薄膜素子とは、基板上に形成されるもののほか、基板上に搭載されるチップタイプの抵抗素子をも含む。
前記造形ステージは、前記加熱手段を複数有し得る。前記第1の端子及び/又は前記第2の端子は、前記抵抗素子毎に電流値を測定できるように、複数の端子に分割されていてもよい。なお、本発明において複数の加熱手段を用いる場合、例えば、格子状(市松模様を含む)等に配置され得る。また、抵抗素子の抵抗体の形状としては、例えば、直線型、ジグザグ型、ミアンダ型(アール曲線)等とすることができる。さらに、抵抗素子中に複数の抵抗体を配置してもよく、例えば、複数の帯状の抵抗体の端部を導体で交互に接続してジグザグ状(蛇腹状)に配置してもよい。
また、本発明の3次元造形装置用の造形ステージは、加熱手段を有し、前記加熱手段は、複数の抵抗素子、該複数の抵抗素子のそれぞれの一方の端部に接続される第1の端子、及び前記複数の抵抗素子のそれぞれの他方の端部に接続される第2の端子を有し、前記抵抗素子は、正温度係数を有することを特徴とする。
前記第1の端子及び/又は前記第2の端子は、前記抵抗素子毎に電流値を測定できるように、複数の端子に分割され得る。
本発明によれば、造形ステージの加熱手段として、複数のPTC抵抗素子を用いることで、複数のPCT抵抗素子に所望の温度になる抵抗値に合わせて電圧を印加し、造形ステージの造形領域全体を加熱しPCT特性のため一定温度に自己制御された温度に保て、仮に融解した造形材料の吐出部の下部周辺の温度が他の部分よりも高温になると、その真下のPCT抵抗素子は自己の温度の上昇に応じて加熱量を減らすように自己制御が働き、他の部分よりも高温になった造形物の温度が下がりやすくなり、従来の全体均一加熱よりも、造形物の内部温度分布をより均一に近づけることができる。つまり、積層などに起因して生じる造形ステージ上の造形物の局部的な温度のムラ、バラツキが生じたとしても、その直下にあるPCT抵抗素子は温度上昇に応じ抵抗値が上がり電流が減り温度は下がり平均化され、その結果、造形ステージ上の造形物の局部的な温度のムラ、バラツキを軽減できる自己温度制御型の造形ステージ、及びこのステージを備えた3次元造形装置を提供することができる。
(A)本発明の一実施形態である造形ステージを備える3次元造形装置の一例を示す説明図である。(B)本発明の一実施形態である造形ステージの一例を示す概略側面図である。 造形ステージ上での立体造形物の造形動作を説明する側面図である。 造形ステージが備える加熱手段の上面図である。 造形ステージが備える加熱手段の配線の一例を示す等価回路図である。 造形ステージが備える加熱手段の配線の他の例を示す等価回路図である。 造形ステージが備える加熱手段の配線のさらに他の例を示す等価回路図である。
以下に、図面を参照しながら、本発明の造形ステージを備える3次元造形装置について説明する。なお、以下、図1及び図2を参照して、熱融解積層法による3次元造形装置について説明するが、本発明の造形ステージが適用される3次元造形装置は、熱融解積層法に限定されない。造形ステージ上に立体造形物が形成されるものであれば、他の造形方式も適用され得る。
図1(A)は、本発明の一実施形態である造形ステージを備える3次元造形装置の一例を示す説明図であり、熱溶解積層方式の3次元造形装置の構成の一例を模式的に示している。図示される3次元造形装置10においては、Y軸方向に可動な造形ステージ100に、ノズル(吐出ヘッド)101から吐出される融解した造形材料が積層されて、立体造形物が形成される。
図1(B)に示すように、造形ステージ100は、ベースプレート109、複数の加熱手段200及び上層110を有する。ベースプレート109上には複数の加熱手段200が隙間なく配置され、その上を上層110が、表面が平滑となるように覆っている。加熱手段200は、例えばセラミック基板などの絶縁基板上にPCT抵抗素子を、例えば厚膜もしくは薄膜形成したもの(加熱板)で、当該PCT抵抗素子を形成した面をベースプレート109の上面側にして化学的或いは機械的に張り合わされている。加熱手段200のPCT抵抗素子が形成されていない側の面には、上層110が貼着されている。上層110としては、例えば、ポリイミドシート、ステンレスプレートなどを用いることができる。加熱手段200は、上層110を一様に加熱し得、ベースプレート109の上面に4枚設けられており、図1(A)においては破線で示されている。なお、造形時には、上層110の表面に、フィラメントの種類に応じた離型層(離型シート又は離型層)120が貼着又は塗布され、この上に積層造形されていく。また、加熱手段(加熱板)200のPCT抵抗素子が形成された方とは反対側の面を上面とすることで、PCT抵抗素子が形成されていない部分があっても、当該反対側の面の加熱温度にムラが生じるのを防止することができるので、上層110を薄くすることができる。
ノズル101の上側には、エクストルーダーが内蔵されたヘッド部103が取り付けられている。ヘッド部103は、X軸方向に可動なX軸ベルト104によって、ノズル101とともにX軸方向における任意の位置に移動可能とされている。X軸ベルト104が設置されているX軸フレーム105は、2本のZ軸移動機構106によってZ軸方向に移動可能とされている。造形ステージ100(ベースプレート109)にはY軸方向に移動可能とするY軸ベルト107が取り付けられ、造形ステージ100はY軸方向における任意の位置に移動可能とされている。これにより、ノズル101と造形ステージ100との相対的な位置関係が3次元で調整され得る。
ヘッド部103が備えるエクストルーダーにはフィラメントリール108からフィラメント状の造形材料(フィラメント)が供給され、エクストルーダーは、その内部に備えるローラの駆動によって、フィラメントをノズル101の流路内へと送り出す。ノズル101の流路内へと送り込まれたフィラメントは、ノズル101に取り付けられているヒータ(加熱ヘッド)から与えられる熱によって融解される。なお、ノズル101のヒータが取り付けられた部分を覆うようにカバー102が設けられている。
造形ステージ100及びノズル101(ヘッド部103)を駆動するY軸ベルト107、X軸ベルト104、及びZ軸移動機構106は、例えばステッピングモーターである駆動手段によって動力を与えられ、その動作は、制御部300からの制御信号によって制御される。ヘッド部103が備えるエクストルーダーの内部に配置されている送りローラ(図示せず)のフィラメント送り動作も制御部300からの制御信号によって制御される。フィラメントの送り動作の開始、停止、送り速度、及びノズル101から吐出される融解された造形材料の吐出量(吐出速度)は、送りローラの回転数に調整され得る。
吐出ヘッド101の流路内で融解した造形材料は、図2に示されるように、吐出ヘッド101の先端に形成されている吐出口から造形ステージ100(離型層120)上に吐出され、冷却されて固化する。固化した造形途中の立体造形物112の表面にはさらに吐出ヘッド101から吐出される融解した造形材料111が積層される。このとき、造形ステージ100に備えられている複数の加熱手段200により、造形ステージ100の、造形物が造形される面(上層110の上面)は均一に近い温度に加熱されている。従って、造形ステージ100上に形成されている立体造形物112の内部温度も均一に近い加熱状態にされる。そして、積層が上層へと進むにつれて、積層される部分の面積が小さくなっていき、積層されない部分の面積が増えていき、積層されなくなった部分の造形物の温度は造形ステージ100の加熱設定温度に近づくように冷却されていき、積層されている部分の下部近傍の温度より低くなり、積層されなくなった部分と積層されている部分とで、冷却速度が異なり、造形物112内に内部歪みが生じるところ、本発明では融解した造形材料111が積層され続けている部分、すなわち最上部の温度が高くなり、その真下の加熱手段200のPCT抵抗素子210の温度も高くなると、当該PCT抵抗素子の自己温度制御によってこの部分の加熱量を減らすことができ(造形ステージ100の上層110上の造形物112の部分的な温度変化に応じて、加熱手段200は加熱量を造形物112全体の温度が均一に近づくように制御でき)、その結果、造形物112の内部温度が局部的に高くなるのを防止できて、造形物に内部歪みが生じることを軽減できて、造形が終了し造形物112を造形ステージ100から切り離したときに生じる造形物112の歪みや反りを軽減することができる。
造形ステージ100が備える加熱手段200は、造形ステージ100上に造形される立体造形物の温度ムラを軽減しつつ加熱することが可能である。この加熱手段200としては、詳しくは後述するPTC特性(正温度係数:Positive Temperature Coefficient)を有する抵抗素子(PTC抵抗素子)を複数有する加熱ユニットが用いられる。PTC特性を有する抵抗素子が用いられることで、造形物112の温度が部分的に高くなり、造形ステージ100の加熱ユニットの複数のPTC抵抗素子の温度にばらつきが生じた場合に、各PTC抵抗素子はそのPTC特性に基づきそれぞれ加熱量の調整を図り、造形物112の内部温度を安定させることが可能となる。つまり、造形ステージの加熱温度の制御部を設ける必要なく、PCT抵抗素子の自己温度制御によって、造形物112の内部の温度ムラを軽減することができる。
なお、図1(A)に示されている3次元造形装置10では、ノズル101がX軸方向及びZ軸方向で移動し、造形ステージ100がY軸方向で移動するが、本発明の加熱手段を備えた造形ステージが適用される3次元造形装置は、ノズルがX軸、Y軸、及びZ軸方向で3次元に移動し、造形ステージが固定されている、例えばデルタ式の3次元プリンタであってもよい。
FDM(FFF)方式による3次元造形物の形成においては、ノズル101から吐出される融解された造形材料の温度のほうが造形ステージ100の加熱温度よりも高いために、吐出積層した部分は温度が上昇して高くなり、この部分から遠ざかるにつれて温度が低くなる。そこで本発明では、加熱手段200に正温度係数を有するPTC抵抗素子を複数用いることで、造形物が局部的に温度上昇し、その真下の造形ステージ100のPCT抵抗素子の温度が上昇した場合に、当該PTC抵抗素子は自己の温度上昇に応じて抵抗値が上がり電流が減り温度を下げることで造形物を所望の設定温度に近づけようと自己温度制御機能を働かせる。
次いで、本発明の一実施形態である造形ステージ100が備える、加熱手段(加熱ユニット)200について説明する。図3には、抵抗素子210が複数用いられた加熱手段である加熱ユニット200をベースプレート109に面する側から見た平面図が示されている。図示の例では、縦方向4.0~5.0cm、横方向4.0cm~5.0cm程度の絶縁基板220上に、9つの抵抗素子210が3行×3列の格子状に配置されている。抵抗素子210は、帯状の発熱抵抗体がミアンダパターンの電流経路を構成するように設けられている。
複数の抵抗素子210それぞれの一方の端部211は、外部の電力供給源(図示せず)と接続される接続用導体213に接続されており、他方の端部212は接続用導体214に接続されている。抵抗素子210及び接続用導体213、214は、絶縁基板220上に、例えばペースト状の導電材料をスクリーン印刷することによって形成される。抵抗素子210には、正の温度係数、すなわち、温度の上昇に伴って抵抗値が上昇するPTC特性を有する材料が用いられる。絶縁基板220は、例えば、電気絶縁性を有する樹脂材料又はセラミックスからなる基板である。抵抗素子210は印刷による厚膜素子として形成されてよく、又は、スパッタリングや蒸着などにより薄膜素子として形成されてもよい。また、抵抗素子210として、チップタイプの抵抗素子をマウントして用いてもよい。
PTC特性を有する抵抗素子210は、端部211と端部212との間に電圧が印加されることによって発熱する。抵抗素子210を所望の温度に発熱させるために、端部211と端部212との間に印加される電圧値、抵抗素子210のサイズ(厚さ、幅、及び長さ)、抵抗素子210に使用する材料の正温度係数などが適切に選定される。これらの条件により、所望の抵抗素子210の発熱温度が決定される。各抵抗素子210への電圧は、接続用導体213、214を介して接続される電力源(図示せず)から供給される。複数の抵抗素子210は、詳しくは図4~6を参照して後述するように、接続用導体213、214を介した任意の配線により、電力源と接続される。
加熱ユニット200は、造形ステージ100の立体造形物が載置される面(上層110)全体をムラなく加熱し得るよう、複数配置する場合は隙間なく配置される。図1においては、造形ステージ100に4つの加熱ユニット200が設けられる構成とされているが、造形ステージ100のサイズ、及び、形成される立体造形物が載置される領域等に応じて、必要な数の加熱ユニット200を必要な位置に設ければよい。
加熱ユニット200を構成する抵抗素子210のそれぞれには、同電位が印加されて一様な温度に発熱し、造形ステージ100(上層110)の表面を加熱する。加熱ユニット200による造形ステージ表面の加熱温度は、造形ステージ上に形成される立体造形物の材料、サイズ、形状、などに応じて適宜決定され得る。例えば、造形材料として、融点が343℃であるスーパーエンジニアリングプラスチックのPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が使用される場合には、例えば、抵抗素子210には正温度係数が3300ppm/℃程度のものが使用され、抵抗素子210は設定温度175℃程度に加熱される。
造形材料にPEEKを使用する例において、造形中の立体造形物上部に、ノズル101から425℃程度の融解した状態の造形材料が吐出されて積層されると、融解状態の造形材料の熱により、立体造形物の表面温度が局所的に上昇する。この局所的な温度上昇をもたらす熱は立体造形物を介して造形ステージ100に伝達し、吐出位置から近い真下の加熱ユニット200を構成する複数の抵抗素子210のうちのいずれかもしくはいくつかの温度を上昇させる。温度が上昇した抵抗素子210は上昇した温度に応じてその抵抗値が上昇し、抵抗素子210に流れる電流は減少し発熱量が低下して温度を下降しようとする。温度が175℃程度に下降するにしたがって抵抗値は回復し、抵抗素子210の温度は設定温度175℃程度に近づくことになる。
接続用導体213、214は、例えば銀ペーストなどの、良導電体を使用した導電性ペーストの印刷により形成され得る。図示の例では、接続導体213、214が絶縁基板220の表面に直接形成され、その上に抵抗素子210が形成されているが、抵抗素子210を絶縁基板202の表面に直接形成し、その上から、抵抗素子210の端部211、212を被覆するように、接続導体213、214が形成されてもよい。
なお、絶縁基板220上に形成される複数の抵抗素子210は、絶縁性の保護膜によって被覆され得る。図3に2点鎖線により囲まれて示されている領域Cに、厚さ20μm程度の電気絶縁性の膜が形成され得る。
なお、加熱ユニット200に用いられる抵抗素子210の数は9つに限定されず、その配置も図示の3行×3列の格子状に限定されない。任意のn行×m列(n≧2、m≧2)の任意の格子状の配置とすることが可能である。また、複数の抵抗素子210が市松模様状に配置されてもよく、線状(直線型、ジグザグ型、ミアンダ型(アール曲線)等)に配置されてもよい。
次いで、図4~図6に示される等価回路図を参照して、加熱ユニット200における、抵抗素子210に電力を供給する配線に関して説明する。なお、以下、図4~図6を参照した説明においては、加熱ユニット200が有する抵抗素子210の数は9つで、図3に示される配置とされている例での配線について説明する。
図4に示される等価回路図では、図3における、3行×3列の格子状に配置された9つの抵抗素子210の、1つの行(図面における横方向)を構成する3つの抵抗素子210のそれぞれの一方の端部211が、共通の配線を介して、端子201a、202b、又は201cへ接続され、端子201a、201b、及び201cは、9つの抵抗素子210に共通の第1の端子201に接続されている。1つの列(図面における縦方向)を構成する3つの抵抗素子210のそれぞれの他方の端部212は、共通の配線を介して、端子202a、202b、又は202cに接続され、端子202a、202b、及び202cは、9つの抵抗素子210に共通の第2の端子202に接続されている。
加熱手段(加熱ユニット)200が図4のマトリクス状の回路構成とされる場合には、第1の端子201と第2の端子202との間に一定の電圧が印加されることで、各抵抗素子210が発熱する。9つの抵抗素子210はマトリクス状の回路によって電気的に並列に接続されているため、それぞれに均一な電圧が印加され一様に発熱する。第1及び第2の端子201、202間に印加される電圧は、直流電圧であってよく、またパルス電圧であってもよい。パルス電圧の場合、デューティー比による実効電圧の調整によって、抵抗素子210の発熱量が調整され得る。
なお、図4に示される等価回路図においては、1つの行をなす3つの抵抗素子210の一方の端部211を接続する配線は、図3における接続用導体213に対応しており、端子201a、201b、及び201cは、接続用導体213の一方の端部に対応している。そして、1つの列をなす3つの抵抗素子210の他方の端部212を接続する配線は、1つの列をなす3つの接続用導体214を接続する、図3には示されていない配線であり、その配線の一方の端部に端子202a、202b、及び202cが形成される。
加熱ユニット200の複数の抵抗素子210に電力を供給する回路の構成は、図4に示されるようなマトリックス状の構成とされずともよく、図5に示されるように、アレイ状の構成とされてもよい。図5に示されている等価回路図では、1つの行をなす3つの抵抗素子210の一方の端部211が共通の端子201A、201B、又は201Cに接続され、他方の端部212が端子202A、202B、又は202Cに接続されている。すなわち、並列に接続された3つの抵抗素子210からなる1つの行が、3行のアレイ状に構成されている。
端子201A、201B、及び201Cは、共通の端子である第1の端子201に接続され、端子202A、202B、及び202Cは共通の第2の端子202に接続される。第1の端子201と第2の端子202との間に電圧が印加されることで、各抵抗素子210には同電位が印加され、加熱ユニット200は原則一様に発熱する。なお、第1の端子201、及び、第2の端子202から、外部の電力供給源に接続される配線は、造形ステージ100のベースプレート109に形成され得る貫通孔から、造形ステージ100の外側、すなわちベースプレート109の加熱手段200が配置される側と反対側に引き出され、外部の電力供給源と接続され得る。
図5に示される例の等価回路図においては、1つの行をなす3つの抵抗素子210の一方の端部211を接続する配線は、図3における接続用導体213に対応しており、端子201A、201B、及び201Cは、接続用導体213の方の端部に対応している。そして、1つの行をなす3つの抵抗素子210の他方の端部212を接続する配線は、1つの行をなす3つの抵抗素子210それぞれの端部212に接続された接続用導体214を、図3には示されていない配線によって接続したものに対応しており、その配線の一方の端部に端子201A、201B、及び201Cが形成される。
図4に示されているマトリクス状の回路構成における第1の端子201及び第2の端子202はそれぞれ複数の端子に分割されてもよい。すなわち、図6に示されるように、端子201a、201b、及び201cは共通の第1の端子201に接続されず、それぞれ独立の端子とされ、端子202a、202b、及び202cも共通の第2の端子202に接続されず、それぞれ独立の端子とされる構成としてもよい。このような構成とすることで、任意の抵抗素子210毎に電流値を測定しその抵抗値を検出することが可能となる。すなわち、任意の抵抗素子210の温度をモニターすることが可能となる。
本発明によれば、自己温度制御機能を有する抵抗素子210を造形ステージ100の加熱手段(加熱ユニット)200に用いているので、別途温度検知手段や制御手段を設けずとも、造形物の内部温度のムラを軽減する制御が可能である。具体的には、抵抗素子210が複数並べられて配置されていることで、各抵抗素子は、それぞれ自己の温度が高くなれば加熱量を減らす自己温度制御を行うので、例えば、融解した造形材料の熱が吐出した近傍に伝わって造形物の温度が部分的に高くなったとしても、その直下の抵抗素子は自己の温度上昇とともに加熱量を低減し、結果的に、造形物の温度ムラを軽減することができる。従って、造形物の内部温度分布がより適正となり内部歪みの発生が抑制され、造形物を造形ステージから切り離したときに造形物に生じる反りや歪みを抑制することができ、良好な立体造形物の製造が可能である。
実施形態の造形ステージ100が備える加熱ユニット200は、各図面に例示される構造や、本明細書において例示された構造や材料を備えるものに限定されない。抵抗素子210の数、サイズ、正温度係数、抵抗値は上述のものに限定されず、所望の加熱温度等に応じて適宜選択され得る。PCT特性を有する発熱抵抗体によって構成される抵抗素子210それぞれに異なる電力源から電力供給が可能なように、抵抗素子210毎に第1の端子201及び第2の端子202が設けられてもよい。抵抗素子210は必ずしもミアンダパターンに形成されている必要はなく、鋸歯状(ジグザグ状)、直線状など任意の形状に形成され得る。
10 3次元造形装置
100 造形ステージ
101 ノズル(吐出ヘッド)
102 カバー
104 X軸ベルト
105 X軸フレーム
106 Z軸移動機構
107 Y軸ベルト
108 フィラメントリール
109 ベースプレート
110 上層
120 離型層
111 融解した造形材料
112 造形物(立体造形物)
200 加熱手段(加熱ユニット)
210 抵抗素子(PTC抵抗素子)
211、212 端部
201 第1の端子
201a、201b、201c、201A、201B、201C 端子
202 第2の端子
202a、202b、202c、202A、202B、202C 端子
213、214 接続用導体
220 絶縁基板
300 制御部

Claims (5)

  1. 造形ステージ上に3次元造形物を造形する3次元造形装置であって、
    前記造形ステージは、加熱手段を有し、
    前記加熱手段は、複数の抵抗素子、該複数の抵抗素子のそれぞれの一方の端部に接続される第1の端子、及び前記複数の抵抗素子のそれぞれの他方の端部に接続される第2の端子を有し、
    前記抵抗素子は、正温度係数を有することを特徴とする3次元造形装置。
  2. 前記複数の抵抗素子は、格子状又は線状に配置されるとともに、並列接続されていることを特徴とする請求項1に記載の3次元造形装置。
  3. 前記複数の抵抗素子は、厚膜素子又は薄膜素子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の3次元造形装置。
  4. 前記造形ステージは、前記加熱手段を複数有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の3次元造形装置。
  5. 3次元造形装置用の造形ステージであって、
    前記造形ステージは、加熱手段を有し、
    前記加熱手段は、複数の抵抗素子、該複数の抵抗素子のそれぞれの一方の端部に接続される第1の端子、及び前記複数の抵抗素子のそれぞれの他方の端部に接続される第2の端子を有し、
    前記抵抗素子は、正温度係数を有することを特徴とする造形ステージ。
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