JP7284372B2 - 容器用鋼板 - Google Patents
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Description
上記着想に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
(2)前記Niめっき層における前記金属Al量は、片面当たり0.3~2.5質量%である、(1)に記載の容器用鋼板。
(3)前記クロメート皮膜は、金属Cr量で片面当たり1~40mg/m2のCrを含有する、(1)又は(2)に記載の容器用鋼板。
(4)前記Zr皮膜は、金属Zr量で片面当たり1~40mg/m2のZrを含有する、(1)又は(2)に記載の容器用鋼板。
本発明の実施形態に係る容器用鋼板は、耐硫化黒変性、耐食性、密着性、及び、溶接性に優れる容器用鋼板である。そして、本実施形態に係る容器用鋼板は、例えば、2ピース缶及び3ピース缶に使用可能なものである。以下では、本実施形態に係る容器用鋼板について、詳細に説明する。
本実施形態に係る容器用鋼板において、母材として使用されるめっき原板の鋼板は、特に限定されるものではない。めっき原板として使用される鋼板として、通常の鋼片製造工程から、通常の鋼板製造工程(熱間圧延、酸先、冷間圧延、焼鈍、調質圧延等)を経て製造された公知の各種の鋼板が使用可能である。
本実施形態に係る容器用鋼板は、より優れた耐硫化黒変性、耐食性、加工性、密着性及び溶接性を実現するために、上記のめっき原板の片面又は両面に対して、酸化アルミニウム粒子を含有したNiめっきが施され、Niめっき層が形成される。Niは、耐食性、加工性、密着性、及び、溶接性を併せ持つ金属である。そして、めっき原板としての鋼板に施したNiめっき層は、Niめっき量が、片面当たりの金属Ni量として0.3g/m2以上となることで、実用的な耐食性、加工性、密着性及び溶接性を発揮する。従って、本実施形態に係る容器用鋼板において、Niめっき量は、片面当たりの金属Ni量として、0.3g/m2以上とする。また、Niめっき量が0.3g/m2から更に増加すると、Niめっき量の増加に伴い耐食性、加工性、密着性、及び溶接性がより向上する。そのため、本実施形態に係る容器用鋼板において、Niめっき量は、好ましくは、片面当たりの金属Ni量として、0.5g/m2以上である。一方、Niめっき量が、片面当たりの金属Ni量として3g/m2を超えると、耐食性、加工性、密着性、及び溶接性の向上効果が飽和する。そのため、過剰のNiめっき量は工業的には不利益である。従って、Niめっき量は、片面当たりの金属Ni量で、3g/m2以下とする。Niめっき量は、好ましくは、片面当たりの金属Ni量で、2.5g/m2以下であり、更に好ましくは、1.5g/m2以下である。なお、金属Ni量は、金属Ni換算量を表す。
本実施形態に係る容器用鋼板は、優れた耐食性及び密着性(特に二次塗料密着性)を確保するために、上記のNiめっき層の上層に、クロメート処理が施されることで、クロメート皮膜が形成される。かかるクロメート処理により、例えば、(a)水和酸化Crを含有する単層構造のクロメート皮膜、又は、(b)下層(Niめっき層側の層)に金属Crを含有し、上層(容器用鋼板の表層側の層)に水和酸化Crを含有する複層構造のクロメート皮膜が、Niめっき層の上層に付与される。
本実施形態に係る容器用鋼板は、上記のNiめっき層の上層に、上記のクロメート皮膜に代えて、ジルコニウム化合物を含有するZr皮膜が形成されていてもよい。Zr皮膜は、Zr化合物(酸化Zr、リン酸Zr等)を含有する皮膜のことである。Zr皮膜は、上記のクロメート皮膜と同じ機構により、密着性及び耐食性の飛躍的な向上が認められる。実用上、十分な耐食性及び密着性を発揮させるには、Zr皮膜量は、金属Zr量で、片面当たり1mg/m2以上とすることが好ましい。Zr皮膜量は、より好ましくは、金属Zr量で、片面当たり3mg/m2以上である。一方、Zr皮膜は、電気的に絶縁体であることから電気抵抗が非常に高いため、溶接性を劣化させる要因となる。Zr皮膜量は、金属Zr量で、片面当たり40mg/m2を超えると、上記のような溶接性の劣化が顕著となり、また、外観性が劣化する。従って、Zr皮膜量は、金属Zr量で、片面当たり40mg/m2以下とすることが好ましい。Zr皮膜量は、より好ましくは、金属Zr量で、片面当たり20mg/m2以下である。なお、金属Zr量は、金属Zr換算量を表す。
なお、以上述べたNiめっき量、酸化アルミニウム粒子の含有率、クロメート皮膜量、及び、Zr皮膜量は、例えば蛍光X線による検量線法で測定することが可能である。
まず、付与された金属Ni量が既知である複数の試験片を準備する。次に、各試験片について、市販の蛍光X線装置により、Niめっき層の表面から、Niに由来する蛍光X線の強度を事前に測定する。そして、測定した蛍光X線の強度と金属Ni量との関係を示した検量線を準備しておく。その上で、着目している容器用鋼板について、容器用鋼板表面のクロメート皮膜又はZr皮膜を除去し、Niめっき層を露出させた試験片を準備する。このNiめっき層を露出させた表面を、蛍光X線装置により、Niに由来する蛍光X線の強度を測定する。得られた蛍光X線強度と予め準備した検量線とを利用することで、片面当たりのNiめっき量を、金属Ni換算量として、特定することができる。
(1A)めっき原板:板厚0.2mm、テンパーグレード3(T-3)の冷延鋼板を、めっき原板(母材鋼板)として使用した。
(2A)耐硫化黒変性
(1)で作製した試験材に対し、エポキシ-フェノール樹脂を、片面当たり70mg/dm2塗布し、200℃で30分焼付けた後、液温が130℃に保持された0.6%システイン塩酸塩溶液に2時間浸漬した(耐硫化黒変性1)。
また、エポキシ-フェノール樹脂を、片面当たり70mg/dm2塗布して上記条件で焼付けた後、液温が130℃に保持された0.6%システイン塩酸塩溶液に2時間浸漬し、かかる浸漬を2回行った(耐硫化黒変性2)。
B:黒変部の面積率0%超1%以下
C:黒変部の面積率1%超5%以下
D:黒変部の面積率5%超
(1)で作製した試験材に対し、エポキシ-フェノール樹脂を、片面当たり80mg/dm2塗布し、200℃で30分焼付けた後、地鉄に達する深さのクロスカットを入れた。かかる試験材を、濃度1.5質量%のクエン酸-濃度1.5質量%の食塩混合液からなる45℃の試験液に72時間浸漬した。
B:塗膜下腐食幅0.2mm以上0.3mm未満、かつ、平板部の腐食面積率0%超1%以下
C:塗膜下腐食幅0.3mm以上0.45mm未満、かつ、平板部の腐食面積率1%超5%以下
D:塗膜下腐食幅0.45mm以上、又は、平板部の腐食面積率5%超
(1)で作製した試験材の両面に対し、厚さ20μmのPETフィルムを200℃でラミネートし、ラミネートした試験材を直径150mmに打ち抜いた。その後、フィルム側を内面に、絞り加工及びしごき加工による製缶加工を行い、直径66mm、高さ120mmのDI缶を作製した。
A:フィルムの疵、浮き、剥離が全くない
B:フィルムの疵、浮き、剥離の面積率が0%超0.5%以下
C:フィルムの疵、浮き、剥離の面積率が0.5%超15%以下
D:フィルムの疵、浮き、剥離の面積率が15%超、又は、破断し加工不能
ワイヤーシーム溶接機を用い、溶接ワイヤースピード80m/分の条件で電流を変更して、(1)で作製した試験材を溶接した。
A:二次側電流の適正電流範囲:1500A以上
B:二次側電流の適正電流範囲:800A以上1500A未満
C:二次側電流の適正電流範囲:100A以上800A未満
D:二次側電流の適正電流範囲:100A未満
(1)で作製した試験材に対し、エポキシ-フェノール樹脂を、片面当たり70mg/dm2塗布し、200℃、30分の条件で焼付けた後、1mm間隔で地鉄に達する深さのクロスカットを入れた。その後、粘着テープ(商品名:セロハンテープ(登録商標))を用いて塗膜を剥離し、剥離状況を観察した。
A:剥離面積率:0%
B:剥離面積率:0%超5%以下
C:剥離面積率:5%超30%以下
D:剥離面積率:30%超
(1)で作製した試験材に対し、エポキシ-フェノール樹脂を、片面当たり70mg/dm2塗布し、200℃、30分の条件で焼付けた後、1mm間隔で地鉄に達する深さのクロスカットを入れた。その後、125℃、30分の条件で、加熱水蒸気雰囲気による処理(レトルト処理)を行った。乾燥後、粘着テープ(商品名:セロハンテープ(登録商標))を用いて塗膜を剥離し、剥離状況を観察した。
A:剥離面積率:0%
B:剥離面積率:0%超5%以下
C:剥離面積率:5%超30%以下
D:剥離面積率:30%超
(1)で作製した試験材の両面に対し、厚さ20μmのPETフィルムを200℃でラミネートし、ラミネートした試験材を直径150mmに打ち抜いた。その後、フィルム側を内面に絞りしごき加工を行って、直径66mm、高さ120mmのDI缶を作製した。その後、125℃、30分の条件でレトルト処理を行い、フィルムの剥離状況を観察した。
A:剥離面積率:0%
B:剥離面積率:0%超2%以下
C:剥離面積率:2%超10%以下
D:剥離面積率:10%超
以下の表1に、Niめっき層、皮膜の状態、及び、特性評価をそれぞれ示す。
Claims (4)
- 鋼板と、
前記鋼板の少なくとも片面に位置し、付着量が金属Ni量で片面当たり0.3~3g/m2の範囲内であるNiめっき層と、
前記Niめっき層上に位置するクロメート皮膜又はZr皮膜と、
を備え、
前記Niめっき層は、金属Al量で片面当たり0.1~3質量%の酸化アルミニウム粒子を含有し、
前記酸化アルミニウム粒子のBET法による平均粒径は、7~14nmである、容器用鋼板。 - 前記Niめっき層における前記金属Al量は、片面当たり0.3~2.5質量%である、請求項1に記載の容器用鋼板。
- 前記クロメート皮膜は、金属Cr量で片面当たり1~40mg/m2のCrを含有する、請求項1又は2に記載の容器用鋼板。
- 前記Zr皮膜は、金属Zr量で片面当たり1~40mg/m2のZrを含有する、請求項1又は2に記載の容器用鋼板。
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JP2006233089A (ja) | 2005-02-25 | 2006-09-07 | Sakuranomiya Kagaku Kk | 浅絞り缶または再絞り缶被覆用塗料およびそれらの製造方法 |
JP2006272872A (ja) | 2005-03-30 | 2006-10-12 | Dainippon Printing Co Ltd | 保護層熱転写シート |
WO2017204267A1 (ja) | 2016-05-24 | 2017-11-30 | 新日鐵住金株式会社 | 容器用鋼板 |
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