JP7284033B2 - 液晶ポリエステル樹脂 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性および機械強度に優れた液晶ポリエステル樹脂に関する。
液晶ポリエステル樹脂は、耐熱性、剛性等の機械物性、耐薬品性、低吸水性、寸法精度等に優れているため、成形品用途のみならず、繊維やフィルムといった各種用途にその使用が拡大しつつある。特にパーソナル・コンピューターやスマートフォン等の情報・通信分野においては、部品の高集積度化、小型化、薄肉化、低背化等が一層求められるようになっており、液晶ポリエステル樹脂の優れた成形性、すなわち、流動性が良好であり、かつバリが出ないという他のポリマーにない特徴を活かして、その使用量が大幅に拡大している。
しかしながら、近年、はんだの鉛フリー化により、コネクターなどの電子部品用途において、リフロー温度が高温化しており、液晶ポリエステル樹脂の成形品においても高温でのリフロー処理により生じるブリスターと呼ばれる成形品表面の膨れの発生が問題となっている。
かかるブリスターの発生は、金型ないしホッパー内に存在する空気や、樹脂に内包される分解ガス、空気ないし水分が原因であると考えられている。
また、リフロー温度が高温化した場合には、液晶ポリエステル樹脂の成形品に反りが生じやすくなる問題があり、反りの発生を抑制するために液晶ポリエステル樹脂にタルクなどの充填材を配合することが知られている。
しかし、タルクは微量の水分を含有しているために、タルクを含有する液晶ポリエステル樹脂組成物においては、成形品の反りの発生は抑制されるものの、ブリスターの発生がより増加しやすくなる問題を有するものである。
このような、液晶ポリエステル樹脂の成形品のブリスター発生の問題を解消するために、特定の構成単位からなる全芳香族液晶ポリエステル樹脂が提案されている(特許文献1)。
特開2017-137438号公報
しかしながら、特許文献1に記載された全芳香族液晶ポリエステルは、部品の小型化、薄肉化、さらには複雑形状化などに関する近年の高度な要求に対して耐熱性および機械強度が十分でなく、電気・電子部品などの用途に適さない場合があった。
本発明の目的は、流動性、耐熱性および機械強度に優れた液晶ポリエステル樹脂を提供することにある。
本発明者等は、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、特定の繰返し単位を与える単量体を所定の割合で縮重合することにより、流動性を損なうことなく、耐熱性および機械強度に優れた液晶ポリエステル樹脂が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕式(I)~(V)
Figure 0007284033000001
[式中、
p、q、r、sおよびtは、それぞれ、液晶ポリエステル樹脂中での各繰返し単位の組成比(モル%)であり、以下の条件を満たす:
51≦p≦69、
1≦q≦5.5、
7≦r≦19、
5≦s≦11、
12≦t≦24、
r≧s]
で表される繰返し単位から構成される液晶ポリエステル樹脂。
〔2〕pおよびqは、12<p/q<19を満たす、〔1〕に記載の液晶ポリエステル樹脂。
〔3〕rおよびsは、0.5≦r/(r+s)<0.6を満たす、〔1〕または〔2〕に記載の液晶ポリエステル樹脂。
〔4〕結晶融解温度は320~360℃である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂。
〔5〕荷重たわみ温度は220℃以上である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂。
〔6〕〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂100質量部に対し、繊維状、板状または粉末状の充填材0.1~200質量部を含む、液晶ポリエステル樹脂組成物。
〔7〕〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂あるいは〔6〕に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物から構成される成形品。
本発明によれば、流動性、耐熱性および機械強度に優れた液晶ポリエステル樹脂を提供することができる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、当業者にサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂と呼ばれる、異方性溶融相を形成するポリエステル樹脂である。
異方性溶融相の性質は、直交偏向子を利用した慣用の偏光検査法により確認することができる。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージに載せた試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施できる。本発明の液晶ポリエステル樹脂は光学的に異方性を示すもの、すなわち、直交偏光子の間で検査したときに光を透過させるものである。試料が光学的に異方性であると、たとえ静止状態であっても偏光は透過する。
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、式(I)~(V)
Figure 0007284033000002
[式中、p、q、r、sおよびtは、それぞれ、液晶ポリエステル樹脂中での各繰返し単位の組成比(モル%)であり、以下の条件を満たす:
51≦p≦69、
1≦q≦5.5、
7≦r≦19、
5≦s≦11、
12≦t≦24、
r≧s]
で表される繰返し単位から構成される。
式(I)で表される繰返し単位の組成比pは、53~67モル%が好ましく、55~65モル%がより好ましい。
式(II)で表される繰返し単位の組成比qは、2~5.3モル%が好ましく、3~5モル%がより好ましい。
ここで、pとqは、12<p/q<19を満たすのが好ましく、13<p/q<16を満たすのがより好ましい。
式(III)で表される繰返し単位の組成比rは、7.5~17モル%が好ましく、8~12モル%がより好ましい。
式(IV)で表される繰返し単位の組成比sは、6~10.5モル%が好ましく、7~10モル%がより好ましい。
ここで、rとsは、0.5≦r/(r+s)<0.6を満たすのが好ましい。
式(V)で表される繰返し単位の組成比tは、13~23モル%が好ましく、15~21モル%がより好ましい。
なお、p+q+r+s+t=100であることが好ましい。
また、r+s=tであることが好ましい。
式(I)で表される繰返し単位を与える単量体としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸、ならびにこのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
式(II)で表される繰返し単位を与える単量体としては、例えば、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ならびにこのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
式(III)で表される繰返し単位を与える単量体としては、例えば、ハイドロキノン、およびこのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
式(IV)で表される繰返し単位を与える単量体としては、例えば、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、およびこのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
式(V)で表される繰返し単位を与える単量体としては、例えば、テレフタル酸、およびこのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、上述した通り、式(I)~(V)で表される繰返し単位により構成される液晶ポリエステル樹脂に関し、[p+q+r+s+t=100]であるのが好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲において、他の繰返し単位をさらに含有してもよい。
他の繰返し単位を与える単量体としては、他の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシジカルボン酸、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族メルカプトカルボン酸、芳香族ジチオール、芳香族メルカプトフェノールおよびこれらの組合せなどが挙げられる。
これらの他の繰り返し単位を与える単量体は、式(I)~(V)で表される繰返し単位を与える単量体の合計に対し、10モル%以下であるのが好ましい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂の製造方法には特に限定はなく、上記単量体成分間にエステル結合を形成させる公知のポリエステルの重縮合法、たとえば溶融アシドリシス法、スラリー重合法などを用いることができる。
溶融アシドリシス法とは、最初に単量体を加熱して反応物質の溶融溶液を形成し、続いて反応を続けて溶融ポリマーを得るものである。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(たとえば酢酸、水など)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。この方法は、本発明において特に好適に用いられる。
スラリー重合法とは、熱交換流体の存在下で反応させる方法であって、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁した状態で得られる。
溶融アシドリシス法およびスラリー重合法のいずれの場合においても、液晶ポリエステル樹脂を製造する際に使用する重合性単量体成分は、ヒドロキシル基をエステル化した変性形態、すなわち低級アシルエステルとして反応に供することもできる。低級アシル基は炭素原子数2~5のものが好ましく、炭素原子数2または3のものがより好ましい。特に好ましくは前記単量体成分の酢酸エステルを反応に用いる方法が挙げられる。
単量体の低級アシルエステルは、別途アシル化して予め合成したものを用いてもよいし、液晶ポリエステル樹脂の製造時にモノマーに無水酢酸等のアシル化剤を加えて反応系内で生成せしめることもできる。
溶融アシドリシス法またはスラリー重合法のいずれにおいても、必要に応じて触媒を用いてもよい。
触媒の具体例としては、ジアルキルスズオキシド(たとえばジブチルスズオキシド)、ジアリールスズオキシドなどの有機スズ化合物;二酸化チタンなどの金属酸化物;三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物;アルコキシチタンシリケート、チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物;カルボン酸のアルカリおよびアルカリ土類金属塩(たとえば酢酸カリウム);ルイス酸(たとえば三フッ化硼素)、ハロゲン化水素(たとえば塩化水素)などの気体状酸触媒などが挙げられる。
触媒の使用割合は、通常モノマー全量に対し1~1000ppm、好ましくは2~100ppmである。
このようにして得られる本発明の液晶ポリエステル樹脂は、示差走査熱量計(DSC)により測定される結晶融解温度が、好ましくは320~360℃、より好ましくは330~350℃であり、さらに好ましくは335~345℃である。
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、後述する方法で測定される溶融粘度が、好ましくは12~25Pa・s、より好ましくは13~23Pa・s、さらに好ましくは14~22Pa・sである。
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、後述する方法で測定される荷重たわみ温度が、好ましくは220℃以上、より好ましくは230℃以上、さらに好ましくは240℃以上であり、通常は300℃以下である。
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、これから構成される成形品について、後述する方法で測定される引張強度が、好ましくは200MPa以上、より好ましくは205MPa以上、さらに好ましくは210MPa以上であり、通常は280MPa以下である。
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、これから構成される成形品について、後述する方法で測定される曲げ強度が、好ましくは125MPa以上、より好ましくは130MPa以上、さらに好ましくは135MPa以上であり、通常は250MPa以下である。
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、これから構成される成形品について、後述する方法で測定される曲げ弾性率が、好ましくは10GPa以上、より好ましくは10.5GPa以上、さらに好ましくは11GPa以上であり、通常は15GPa以下である。
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、これから構成される成形品について、後述する方法で測定されるIzod衝撃強度が、好ましくは500J/m以上、より好ましくは510J/m以上、さらに好ましくは520J/m以上であり、通常は1000J/m以下である。
本発明はさらに、本発明の液晶ポリエステル樹脂に繊維状、板状または粉状の充填剤の1種または2種以上を配合せしめて得られる液晶ポリエステル樹脂組成物を提供する。充填剤としては、樹脂組成物に用いられることが知られている物質から、液晶ポリエステル樹脂組成物の使用目的、用途等に応じて適宜選択すればよい。
繊維状の充填剤としては、例えばガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、などが挙げられる。これらの中では、ガラス繊維が物性とコストのバランスが優れている点から好ましい。
板状あるいは粉状の充填剤としては、例えばタルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、ドロマイト、クレイ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、硫酸バリウム、酸化チタンなどが挙げられる。これらの中では、タルクが物性とコストのバランスが優れている点から好ましい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物において、充填剤はその合計配合量が、液晶ポリエステル樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~200質量部、特に10~100質量部であるのが好ましい。充填剤の配合量が200質量部を超える場合、樹脂組成物の成形加工性が低下したり、成形機のシリンダーや金型の磨耗が大きくなる傾向がある。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲でさらに、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、ポリシロキサン、フッ素樹脂などの離型剤;染料、顔料などの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤などの、樹脂組成物に用いられることが知られている添加剤を、樹脂組成物の目的及び用途に応じて1種または2種以上を組み合わせて添加してもよい。
高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等の外部滑剤効果を有するものについては、成形に際して予めペレットに付着せしめて用いてもよい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、充填剤および添加剤などの全ての成分をポリエステル樹脂中へ添加し、バンバリーミキサー、ニーダー、一軸もしくは二軸押出機などを用いて、液晶ポリエステル樹脂の結晶融解温度近傍から結晶融解温度+50℃の温度下で溶融混練して調製することができる。
このようにして得られた本発明の液晶ポリエステル樹脂および液晶ポリエステル樹脂組成物は、従来公知の射出成形、圧縮成形、押出成形、ブローなどの成形法によって、射出成形品、フィルム、シートおよび不織布などの成形品に加工することができる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂および液晶ポリエステル樹脂組成物は、流動性、耐熱性および機械強度に優れることから、アンテナ、コネクター、基板などの電気・電子部品、カメラモジュール等の機械機構部品、自動車部品等として好適に使用される。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例中の結晶融解温度、溶融粘度、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率およびIzod衝撃強度は、以下に記載の方法で測定した。
〈結晶融解温度〉
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製Exstar6000)を用いて、試料を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)を測定した後、Tm1より20~50℃高い温度で10分間保持した。次いで、20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却し、さらに再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を結晶融解温度(Tm)とした。
〈溶融粘度〉
溶融粘度測定装置(東洋精機(株)製キャピログラフ1D)により、0.7mmφ×10mmのキャピラリーを用いて、剪断速度1000sec-1の条件下、350℃での溶融粘度をそれぞれ測定した。
〈荷重たわみ温度〉
射出成形機(日精樹脂工業(株)製UH1000-110)を用いて結晶融解温度+10~30℃のシリンダー温度、金型温度70℃で射出成形し、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ3.2mmの短冊状試験片を成形し、これを用いてASTM D648に準拠し、荷重1.82MPa、昇温速度2℃/分で所定たわみ量(2.54mm)になる温度を測定した。
〈引張強度〉
型締め圧15tの射出成形機(住友重機械工業(株)製MINIMATM26/15)を用いて結晶融解温度+10~30℃のシリンダー温度、金型温度80℃で射出成形し、ダンベル状引張試験片を作製した。INSTRON5567(インストロンジャパンカンパニイリミテッド社製万能試験機)を用いて、スパン間距離25.4mm、引張速度5mm/分で測定した。
〈曲げ強度、曲げ弾性率〉
型締め圧15tの射出成形機(住友重機械工業(株)製 MINIMAT M26/15)を用いて結晶融解温度+10~30℃のシリンダー温度、金型温度80℃で射出成形し、短冊状曲げ試験片(長さ65mm×幅12.7mm×厚さ2.0mm)を作製した。曲げ試験は、3点曲げ試験をINSTRON5567(インストロンジャパンカンパニイリミティッド社製万能試験機)を用いて、スパン間距離40.0mm、圧縮速度1.3mm/分で行った。
〈Izod衝撃強度〉
曲げ強度測定に用いた試験片と同じ試験片を用いて、ASTM D256に準拠して測定した。
実施例において、下記の略号は以下の化合物を示す。
POB:4-ヒドロキシ安息香酸
BON6:6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸
HQ:ハイドロキノン
BP:4,4'-ジヒドロキシビフェニル
TPA:テレフタル酸
実施例1
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器に、POB、BON6、HQ、BPおよびTPAを表1に示す組成比にて、総量6.5molとなるように仕込み、さらに全モノマーの水酸基量(モル)に対して1.03倍モルの無水酢酸を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
窒素ガス雰囲気下に室温から145℃まで1時間で昇温し、同温度にて30分間保持した。次いで、副生する酢酸を留去させつつ350℃まで5.5時間かけ昇温した後、80分かけて5mmHgにまで減圧した。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了し、反応容器内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリエステル樹脂のペレットを得た。重合時の留出酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。
得られた液晶ポリエステル樹脂の示差走査熱量計により測定された結晶融解温度は343℃であった。この液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率およびIzod衝撃強度の測定結果を表2に示す。
実施例2~3(実施例3は参考例)および比較例1~2
反応容器に仕込むモノマーの組成比を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして液晶ポリエステル樹脂を得た。得られた液晶ポリエステル樹脂の結晶融解温度、溶融粘度、荷重たわみ温度、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率およびIzod衝撃強度の評価結果を表2に示す。
Figure 0007284033000003
Figure 0007284033000004
実施例1~の液晶ポリエステル樹脂は、結晶融解温度が343℃、溶融粘度が15.4~20.8Pa・sと流動性に優れるものであった。また、荷重たわみ温度が、24~250℃と耐熱性に優れ、さらに、引張強度が218~225MPa、曲げ強度が142~144MPa、曲げ弾性率が12~13GPa、Izod衝撃強度が540~670J/Mであり、機械強度に優れるものであった。
一方、比較例1~2の液晶ポリエステル樹脂は、優れた流動性は示すものの、耐熱性および機械強度に劣るものであった。

本発明の好ましい態様は以下を包含する。
〔1〕式(I)~(V)
[化1]
Figure 0007284033000005
[式中、
p、q、r、sおよびtは、それぞれ、液晶ポリエステル樹脂中での各繰返し単位の組成比(モル%)であり、以下の条件を満たす:
51≦p≦69、
1≦q≦5.5、
7≦r≦19、
5≦s≦11、
12≦t≦24、
r≧s]
で表される繰返し単位から構成される液晶ポリエステル樹脂。
〔2〕pおよびqは、12<p/q<19を満たす、〔1〕に記載の液晶ポリエステル樹脂。
〔3〕rおよびsは、0.5≦r/(r+s)<0.6を満たす、〔1〕または〔2〕に記載の液晶ポリエステル樹脂。
〔4〕結晶融解温度は320~360℃である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂。
〔5〕荷重たわみ温度は220℃以上である、〔1〕~〔4〕いずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂。
〔6〕〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂100質量部に対し、繊維状、板状または粉末状の充填材0.1~200質量部を含む、液晶ポリエステル樹脂組成物。
〔7〕〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂あるいは〔6〕に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物から構成される成形品。

Claims (7)

  1. 式(I)~(V)
    Figure 0007284033000006
    [式中、
    p、q、r、sおよびtは、それぞれ、液晶ポリエステル樹脂中での各繰返し単位の組成比(モル%)であり、以下の条件を満たす:
    51≦p≦69、
    1≦q≦5.5、
    7≦r≦19、
    5≦s≦11、
    12≦t≦24、
    r>s]
    で表される繰返し単位から構成される液晶ポリエステル樹脂。
  2. pおよびqは、pおよびqは、13<p/q<19を満たす、請求項1に記載の液晶ポリエステル樹脂。
  3. rおよびsは、0.5<r/(r+s)<0.6を満たす、請求項1または2に記載の液晶ポリエステル樹脂。
  4. 結晶融解温度は343~360℃である、請求項1~3のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂。
  5. 荷重たわみ温度は248℃以上であり、Izod衝撃強度は540J/M以上である、請求項1~4いずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂100質量部に対し、繊維状、板状または粉末状の充填材0.1~200質量部を含む、液晶ポリエステル樹脂組成物。
  7. 請求項1~5のいずれかに記載の液晶ポリエステル樹脂あるいは請求項6に記載の液晶ポリエステル樹脂組成物から構成される成形品。
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