JP7282457B2 - 動力伝達装置 - Google Patents
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Description
特許文献2には、クラッチとギアとで異なる種類のオイルを用いることが好適であることが開示されている。
さらに特許文献2においては、2つのオイルポンプを用いており、この点でもコスト増加につながる。
そこで、コストが増加しがちな2種類の油を用いる場合において、コストを極力抑制することが求められている。
モータと、
前記モータの下流に接続され摩擦締結要素を有する変速機構と、
前記変速機構の下流に接続されたギアと、
前記変速機構が収容される第1室と、
前記ギアが収容される第2室と、を有し、
前記第1室は、第1オイルがオイルポンプにより供給されるポンプ式潤滑方式であり、
前記第2室は、第2オイルを貯留する油浴式潤滑方式であり、
前記ギアはデファレンシャルギアであり、
前記変速機構の下流で且つ前記デファレンシャルギアの上流に遊星減速ギアが配置されており、
前記遊星減速ギアが前記第1オイルにより潤滑される構成の動力伝達装置とした。
以下、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態にかかる動力伝達装置1を説明する図である。
図2の(a)は、動力伝達装置1の要部拡大図であって、モータ2からカウンタギア5までの範囲の拡大図である。図2の(b)は、オイルポンプOPから供給されるオイルOLの供給先を説明する図である。
モータ2の出力回転は、変速機構3で変速されたのち、カウンタギア5で減速されて差動装置6に伝達される。差動装置6では、伝達された回転が、ドライブシャフト8(8A、8B)を介して、動力伝達装置1が搭載された車両の左右の駆動輪(図示せず)に伝達される。図1では、ドライブシャフト8Aが、動力伝達装置1を搭載した車両の左輪に回転伝達可能に接続されていると共に、ドライブシャフト8Bが、右輪に回転伝達可能に接続されている。
そして、モータハウジング10と、外側カバー11と、内側カバー12で、モータ2のケース(第1ケース部材)を構成している。
外側ケース13と内側ケース14で、変速機構3とカウンタギア5と差動装置6を収容するケース(第2ケース部材)を構成している。
モータシャフト20の挿通孔200は、長手方向の一端20a側の連結部201と、他端20b側の被支持部202が、回転軸X方向における連結部201と被支持部202との間の中間領域203よりも大きい内径で形成されている。
この状態において、モータシャフト20は、ドライブシャフト8Bに対して相対回転可能に設けられている。
モータシャフト20の一端20a側は、ベアリングB1を介して、内側カバー12の内径側に位置するモータ支持部121で支持されている。
モータシャフト20の他端20b側は、ベアリングB1を介して、外側カバー11の内径側に位置するモータ支持部111で支持されている。
モータハウジング10の他端10bは、当該他端10bに設けたシールリングSLにより、外側カバー11の環状の接合部110に隙間なく接合されている。
そして、外側カバー11側のモータ支持部111は、後記するコイルエンド253bの内径側で、ロータコア21の他端部21bに、回転軸X方向の隙間をあけて対向して配置される。
モータシャフト20の回転軸X方向から見て、珪素鋼板はリング状を成しており、珪素鋼板の外周側では、図示しないN極とS極の磁石が、回転軸X周りの周方向に交互に設けられている。
本実施形態では、巻線253を、複数のティース部252に跨がって分布巻きした構成のステータコア25を採用しており、ステータコア25は、回転軸X方向に突出するコイルエンド253a、253bの分だけ、ロータコア21よりも回転軸X方向の長さが長くなっている。
流路102は、回転軸X方向に間隔をあけて複数(本実施形態では、3つ)設けられている。流路102の各々は、回転軸X周りの周方向の全周に亘って設けられている。
リップシールRSは、モータ支持部121の内周と、モータシャフト20の外周との隙間を封止している。
リップシールRSは、モータハウジング10の内径側のモータ室Saと、内側ケース14の内径側の第1ギア室Scと、を区画して、第1ギア室Sc側からモータ室Sa内へのオイルOLの進入を阻止するために設けられている。
第1ギア室Sc内には、変速機構3が配置されている。
変速機構3は、遊星歯車組4と、クラッチ47と、バンドブレーキ49と、を有している。
遊星歯車組4は、サンギア41と、リングギア42と、ピニオンギア43と、ピニオン軸44と、キャリア45と、を有している。
遊星歯車組4の構成要素(サンギア41、リングギア42、ピニオンギア43、ピニオン軸44、キャリア45)は、クラッチドラム48の外壁部481の内径側に設けられている。
クラッチ47は、リングギア42の外周にスプライン嵌合したドライブプレート471(内径側摩擦板)と、クラッチドラム48の外壁部481の内周にスプライン嵌合したドリブンプレート472(外径側摩擦板)と、回転軸方向に移動可能に設けられたピストン475と、を有している。
外壁部481は、回転軸Xを所定間隔で囲む筒状を成している。円板部480は、外壁部481の差動装置6側(図中、右側)の端部から内径側に延びている。円板部480の内径側の領域は、遊星歯車組4から離れる方向に窪んだ凹部480aとなっている。
連結部483は、前記したモータシャフト20の連結部201の延長上を、モータ2に近づく方向(図中、左方向)に直線状に延びている。連結部483の先端483bは、外壁部481よりもモータ2側に位置している。
連結部423は、回転軸Xを所定間隔で囲むリング状を成しており、連結部423の内周には、モータシャフト20の一端20a側の連結部201がスプライン嵌合している。
ピニオンギア43は、リングギア42の周壁部421の内周と、サンギア41の外周に噛合している。
側板部451、452は、軸線X3方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。
連結部453は、モータシャフト20の連結部201よりも回転軸X側(内径側)を、回転軸Xに沿ってモータ2から離れる方向に延びている。
リングギア42の周壁部421と、クラッチドラム48の外壁部481との間では、ドライブプレート471とドリブンプレート472とが交互に設けられている。
ピストン475は、スプリングSpから作用する付勢力で差動装置6側に付勢されている。
突出部484の内部には、第1支持部141側から供給されるオイルOLを、クラッチドラム48の凹部480a内に導くための油路484aが設けられている。
ピストン475がモータ2側に変位すると、クラッチ47のドライブプレート471とドリブンプレート472とが、ピストン475の押圧部475aとリテーニングプレート473との間で把持される。
これにより、ドライブプレート471がスプライン嵌合したリングギア42と、ドリブンプレート472がスプライン嵌合したクラッチドラム48との相対回転が、供給されるオイルOLの圧力に応じて規制されて、最終的に相対回転が規制される。
側壁143は、仕切壁142の延長上を回転軸Xの径方向外側に延びており、側壁143の外径側の端部は、カウンタギア5の外周を所定間隔で囲む周壁部144に連絡している。
(a)バンドブレーキ49:作動、クラッチ47:解放
(b)バンドブレーキ49:非作動、クラッチ47:締結
ここで、変速機構3は、二段変速機構であり、低速段、高速段は同一回転方向(前進段又は後進段)である。モータ2の正逆転により前後進の切替えが可能である。
連結部501の外周は、クラッチドラム48の内壁部482との間に介在するニードルベアリングNBで支持されている。
一端50a側のベアリングB3は、後記する支持部材15(図1参照)の第1支持部151で支持されており、他端50b側のベアリングB3は、内側ケース14の第1支持部141で支持されている。
中空軸50の連結部501側では、連結部501とベアリングB3と間の領域の外周に、リップシールRSの図示しないリップ部が弾発的に接触しており、第1支持部141の内周と、中空軸50の外周との隙間が、リップシールRSで封止されている。
第1支持部141の内周の供給路141bは、リップシールRSと連結部501との間の領域で、第1ギア室Sc側に開口している。
中空軸部51では、大径歯車52から見て一端部51a側(図中、左側)に隣接して、パークギア53が設けられている。
そのため、モータ2の出力回転がカウンタギア5に入力されると、パークギア53と小径歯車部511とが、大径歯車52と共に軸線X1回りに回転する。
そして、カウンタギア5では、大径歯車52が、モータ2側から伝達される回転の入力部となっており、小径歯車部511が、伝達された回転の出力部となっている。
そうすると、カウンタギア5に入力された回転は、大きく減速されたのちに、デフケース60に出力される。
図4に示すように、デフケース60は、シャフト61と、かさ歯車62A、62Bと、サイドギア63A、63Bとを、内部に収納する中空状に形成されている。
デフケース60では、回転軸X方向(図中、左右方向)の両側部に、筒状の支持部601、602が設けられている。支持部601、602は、シャフト61から離れる方向に、回転軸Xに沿って延出している。
支持部602には、外側ケース13の開口部130を貫通したドライブシャフト8Aが、回転軸X方向から挿入されており、ドライブシャフト8Aは、支持部602で回転可能に支持されている。
開口部130の内周には、リップシールRSが固定されており、リップシールRSの図示しないリップ部が、ドライブシャフト8Aの外周に弾発的に接触することで、ドライブシャフト8Aの外周と開口部130の内周との隙間が封止されている。
図1に示すように、支持部材15は、第1支持部151の外周から、モータ2側(図中、左側)に延びる筒状部152と、筒状部152の先端側の開口を全周に亘って囲むフランジ部153とを有している。支持部材15のフランジ部153は、当該フランジ部153を貫通したボルトBにより、内側ケース14の第1支持部141に固定されている。
ドライブシャフト8Bは、モータ2のモータシャフト20と、遊星歯車組4と、中空軸50の内径側を、回転軸X方向に横切って設けられており、ドライブシャフト8Bの先端側が、支持部601で回転可能に支持されている。
軸孔60a、60bは、回転軸Xに直交する軸線Y上に位置しており、軸孔60a、60bには、シャフト61が挿入されている。
シャフト61は、デフケース60内において、サイドギア63A、63Bの間に位置しており、軸線Yに沿って配置されている。
かさ歯車62A、62Bは、シャフト61の長手方向(軸線Yの軸方向)で間隔を空けて2つ設けられており、かさ歯車62A、62Bは、互いの歯部を対向させた状態で配置されている。
サイドギア63A、63Bは、互いの歯部を対向させた状態で、回転軸X方向に間隔を空けて2つ設けられており、かさ歯車62A、62Bとサイドギア63A、63Bとは、互いの歯部を噛合させた状態で組み付けられている。
具体的には、図2の(b)に示すように、動力伝達装置1に付設されたオイルポンプOPから、クラッチ47の油室Rmに供給されるオイルOLの一部が、供給路141bから変速機構3の内径側に供給される。
図1に示すように、動力伝達装置1では、モータ2の出力回転の伝達経路に沿って、変速機構3と、カウンタギア5と、差動装置6と、ドライブシャフト8(8A、8B)と、が設けられている。
変速機構3では、遊星歯車組4のリングギア42が回転の入力部、キャリア45が入力された回転の出力部となっている。
そのため、カウンタギア5に入力された回転は、大きく減速されたのちに、小径歯車部511が噛合するファイナルギアFGを介して、デフケース60(差動装置6)に出力される。
そして、第1支持部141の内周に開口する供給路141bから、クラッチドラム48の内壁部482および連結部483と、キャリア45の連結部453および中空軸50の連結部501との間に冷却用のオイルOL(第1オイルOL)が供給される。これにより、変速機構3の内径側に供給されたオイルOLが、回転による遠心力で外径側に移動する際に、変速機構3を冷却する。
(1)動力伝達装置1は、
モータ2と、
モータ2の下流に接続されていると共に、クラッチ47(摩擦締結要素)を有する変速機構3と、
変速機構3の下流に接続されたギア(カウンタギア5、差動装置6)と、
変速機構3が収容される第1ギア室Sc(第1室)と、
ギアが収容される第2ギア室Sb(第2室)と、を有する。
第1ギア室Scの冷却方式は、オイルポンプOPから供給されるオイルOL(第1オイルOL)で冷却されるポンプ式潤滑方式である。
第2ギア室Sbの冷却方式は、貯留されたオイルOL(第2オイルOL)で冷却する油浴式潤滑方式である。
(2)変速機構3のクラッチ47は、オイルポンプOPから供給されるオイルOL(第1オイルOL)により作動する。
モータ2の冷却を、クラッチ47の作動用のオイルOL(第1オイルOL)を用いて行うようにしても良い。
この場合において、以下のような冷却方法を例示できる。
・図2の(b)に点線で示すように、オイルポンプOPから吐出されるオイルOLの一部を、モータ2を収容するモータ室Sa内に供給して、モータ2を直接冷却する。
・図2の(b)に点線で示すように、オイルポンプOPから吐出されるオイルOLの一部を、モータハウジング10内の流路102に供給して、モータ2を間接的に冷却する。
・図2の(a)においてモータ支持部121の内周のリップシールRSを省略して、第1ギア室Sc内のオイルOLが、モータ室Sa内に供給されるようにする。
(3)モータ2が、オイルポンプOPから供給されるオイルOL(第1オイルOL)により冷却される油冷方式の冷却方式を採用しても良い。
また、ひとつのオイルポンプOPを、クラッチ47の作動、潤滑に加えて、モータ2の冷却にも用いることで、コストを減らすことができる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
以下の説明においては、前記した第1実施形態と共通する部分については、同一の符号を付して示すと共に、可能な限り説明を省略する。
図5は、第2実施形態にかかる動力伝達装置1Aを説明する図である。
図6は、動力伝達装置1Aの要部拡大図である。
図7の(a)は、動力伝達装置1Aの変速機構3A周りの拡大図である。図7の(b)は、オイルポンプOPから供給されるオイルOLの供給先を説明する図である。
モータ2の出力回転は、カウンタギア5で減速されたのち、変速機構3Aで変速されて差動装置6に伝達される。差動装置6では、伝達された回転が、ドライブシャフト8(8A、8B)を介して、動力伝達装置1Aが搭載された車両の左右の駆動輪(図示せず)に伝達される。
そして、モータハウジング10と、外側カバー11と、内側カバー12で、モータ2のケース(第1ケース部材)を構成している。
外側ケース13と内側ケース14で、カウンタギア5と、変速機構3Aと、差動装置6を収容するケース(第2ケース部材)を構成している。
外側ケース13と内側ケース14の間に形成される空間は、内側ケース14に設けた支持部材15により、差動装置6を収容する空間(第2ギア室Sb:第2室)と、変速機構3を収容する空間(第1ギア室Sc:第1室)とに区画されている。
モータシャフト20の連結部201は、ベアリングB1を介して、内側カバー12の内径側に位置するモータ支持部121で、回転可能に支持されている。
モータシャフト20の被支持部202は、ベアリングB1を介して、外側カバー11の内径側に位置するモータ支持部111で、回転可能に支持されている。
本実施形態では、巻線253を、複数のティース部252に跨がって分布巻きした構成のステータコア25を採用している。
モータ支持部121の内周には、リップシールRSが設置されている。
リップシールRSは、モータ支持部121の内周と、モータシャフト20の外周との隙間を封止している。
この状態において、カウンタギア5の中空軸部51は、回転軸Xに平行な軸線X1に沿う向きで設けられている。
変速機構3Aは、支持部材15を内側ケース14にボルトBで固定して形成した空間(第1ギア室Sc)内に配置されている。
変速機構3Aは、遊星歯車組4と、クラッチ47と、バンドブレーキ49と、を有している。
遊星歯車組4は、サンギア41と、リングギア42と、ピニオンギア43と、ピニオン軸44と、キャリア45と、を有している。
遊星歯車組4の構成要素(サンギア41、リングギア42、ピニオンギア43、ピニオン軸44、キャリア45)は、クラッチドラム48の外壁部481の内径側に設けられている。
クラッチ47は、リングギア42の外周にスプライン嵌合したドライブプレート471(内径側摩擦板)と、クラッチドラム48の外壁部481の内周にスプライン嵌合したドリブンプレート472(外径側摩擦板)と、回転軸X(軸線X1)方向に移動可能に設けられたピストン475と、を有している。
外壁部481は、軸線X1を所定間隔で囲む筒状を成している。円板部480は、外壁部481の差動装置6側(図中、右側)の端部から内径側に延びている。円板部480の内径側の領域は、遊星歯車組4から離れる方向に窪んだ凹部480aとなっている。
連結部483は、モータ2に近づく方向(図中、左方向)に直線状に延びている。連結部483の先端483bは、外壁部481よりもモータ2側(図中、左側)に位置している。
連結部423は、軸線X1を所定間隔で囲むリング状を成しており、連結部423の内周には、カウンタギア5の小径歯車部511がスプライン嵌合している。
ピニオンギア43は、リングギア42の周壁部421の内周と、サンギア41の外周に噛合している。
側板部451、452は、軸線X3方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。
連結部453は、クラッチドラム48の連結部483よりも軸線X1側(内径側)を、軸線X1に沿ってモータ2から離れる方向に延びている。
リングギア42の周壁部421と、クラッチドラム48の外壁部481との間では、ドライブプレート471とドリブンプレート472とが交互に設けられている。
ピストン475は、スプリングSpから作用する付勢力で差動装置6側に付勢されている。
突出部484では、供給路153aに対向する領域の外周に、油路484aが開口している。油路484aは、供給路153aから供給されるオイルOLを、クラッチドラム48内の油室Rmに導くために設けられている。
油室RmにオイルOLが供給されると、ピストン475が、油室Rm内の油圧により押されてモータ2側(図中、左側)に変位する。
ピストン475がモータ2側に変位すると、クラッチ47のドライブプレート471とドリブンプレート472とが、ピストン475の押圧部475aとリテーニングプレート473との間で把持される。
これにより、ドライブプレート471がスプライン嵌合したリングギア42と、ドリブンプレート472がクラッチドラム48との相対回転が、油室Rmに供給されるオイルOLの圧力に応じて規制されて、最終的に相対回転が規制される。
(a)バンドブレーキ49:作動、クラッチ47:解放
(b)バンドブレーキ49:非作動、クラッチ47:締結
ここで、変速機構3Aは、二段変速機構であり、低速段、高速段は同一回転方向(前進段又は後進段)である。モータ2の正逆転により前後進の切替えが可能である。
伝達軸55では、軸線X3方向の一端55a側が、ベアリングB4を介して、外側ケース13の第2支持部135で回転可能に支持されている。
図7に示すように、連結部56の外周は、クラッチドラム48の内壁部482との間に介在するニードルベアリングNBで支持されている。連結部56の内周は、キャリア45側の連結部453の外周にスプライン嵌合している。
ギア部57には、差動装置6のデフケース60に固定されたファイナルギアFGが回転伝達可能に噛合している。
デフケース60では、回転軸X方向(図中、左右方向)の両側部に、筒状の支持部601、602が設けられている。支持部601、602は、シャフト61から離れる方向に、回転軸Xに沿って延出している。
支持部602には、外側ケース13の開口部130を貫通したドライブシャフト8Aが、回転軸X方向から挿入されており、ドライブシャフト8Aは、支持部602で回転可能に支持されている。
開口部130の内周には、リップシールRSが固定されており、リップシールRSの図示しないリップ部が、ドライブシャフト8Aの外周に弾発的に接触することで、ドライブシャフト8Aの外周と開口部130の内周との隙間が封止されている。
第1支持部151は、回転軸Xに直交する向きで配置された筒状部材である。筒状部152は、第1支持部151の外周からモータ2側(図中、左側)に延びており、筒状部152の先端に設けられたフランジ部153は、当該フランジ部153を貫通するボルトBにより、内側ケース14の第1支持部141に固定されている。
中空軸50は、ドライブシャフト8Bに外挿された状態で、ドライブシャフト8Bに対して相対回転可能に設けられている。
ドライブシャフト8Bは、第1支持部151の内周を回転軸X方向に貫通している。第1支持部151の内側には、デフケース60の支持部601が挿入されている。第1支持部151の内周には、支持部601外挿されたベアリングB5が支持されている。
ドライブシャフト8Bおよびデフケース60は、ベアリングB5を介して、支持部材15の第1支持部151で支持されている。
仕切壁部156は、回転軸Xに直交する向きで設けられており、仕切壁部156の外周部は、ボルトBで内側ケース14の内周に固定されている。
図7に示すように、仕切壁部156では、前記したカウンタギア5の中空軸部51と交差する領域に、貫通孔156aが形成されている。
ドライブシャフト8Bは、モータ2のモータシャフト20と中空軸50の内径側を、回転軸X方向に横切って設けられており、ドライブシャフト8Bの先端側が、支持部601で回転可能に支持されている。
図5に示すように、動力伝達装置1Aでは、モータ2の出力回転の伝達経路に沿って、カウンタギア5と、変速機構3Aと、差動装置6と、ドライブシャフト8(8A、8B)と、が設けられている。
カウンタギア5では、小径歯車部511が、大径歯車52の外径R1よりも小さい外径R2で形成されている。カウンタギア5に入力された回転は、大きく減速されたのちに、小径歯車部511に噛合する変速機構3Aのリングギア42に出力される。
そのため、変速機構3に入力された回転は、変速された後にキャリア45の連結部453から伝達軸55に出力される。そして、伝達軸55に入力された回転は、伝達軸55のギア部57に噛合したファイナルギアFGを介して、差動装置6のデフケース60に伝達される。
そして、仕切壁部156に設けた供給路153bから、クラッチドラム48の内壁部482および連結部483と、キャリア45の連結部453および伝達軸55の連結部56との間に冷却用のオイルOL(第1オイルOL)が供給される。これにより、変速機構3の内径側に供給されたオイルOLが、回転による遠心力で外径側に移動する際に、変速機構3を冷却する。
(4)動力伝達装置1Aは、
モータ2と、
モータ2の下流に接続されていると共に、クラッチ47(摩擦締結要素)を有する変速機構3Aと、
変速機構3Aの下流に接続されたギア(差動装置6)と、
変速機構3Aが収容される第1ギア室Sc(第1室)と、
ギアが収容される第2ギア室Sb(第2室)と、を有する。
第1ギア室Scの冷却方式は、オイルポンプOPから供給されるオイルOL(第1オイルOL)で冷却されるポンプ式潤滑方式である。
第2ギア室Sbの冷却方式は、貯留されたオイルOL(第2オイルOL)で冷却する油浴式潤滑方式である。
(5)変速機構3Aのクラッチ47は、オイルポンプOPから供給されるオイルOL(第1オイルOL)により作動する。
(6)動力伝達装置1Aは、モータ2の下流で、且つ変速機構3Aの上流に接続されたカウンタギア5(減速ギア)を有する。
差動装置6(ギア)は、カウンタギア5の下流に接続されている。
モータ2は変速機構3Aと回転軸X方向においてオフセットしている。
カウンタギア5を収容する第2ギア室Sbと、差動装置6を収容する第1ギア室Scとを区切る仕切壁部156(隔壁)を設けると共に、カウンタギア5が第1オイルOLにより潤滑される。
モータ2の冷却を、クラッチ47の作動用のオイルOL(第1オイルOL)を用いて行うようにしても良い。
この場合において、以下のような冷却方法を例示できる。
・図7の(b)に点線で示すように、オイルポンプOPから吐出されるオイルOLの一部を、モータ2を収容するモータ室Sa内に供給して、モータ2を直接冷却する。
・図7の(b)に点線で示すように、オイルポンプOPから吐出されるオイルOLの一部を、モータハウジング10内の流路102に供給して、モータ2を間接的に冷却する。
・図6においてモータ支持部121の内周のリップシールRSを省略して、第1ギア室Sc内のオイルOLが、モータ室Sa内に供給されるようにする。
図8は、第3実施形態にかかる動力伝達装置1Bを説明する図である。
図9の(a)は、動力伝達装置1Bの要部拡大図である。図9の(b)は、オイルポンプOPから供給されるオイルOLの供給先を説明する図である。
第3実施形態にかかる動力伝達装置1Bは、変速機構3Bの下流側に、段付きピニオンギア73を有する遊星減速ギア7が設けられているという点において、前記した第1実施形態にかかる動力伝達装置1と相違する。
以下の説明においては、前記した第1実施形態と共通する部分については、同一の符号を付して示すと共に、可能な限り説明を省略する。
モータ2の出力回転は、変速機構3Bで変速されたのち、遊星減速ギア7で減速されて差動装置6に伝達される。差動装置6では、伝達された回転が、ドライブシャフト8(8A、8B)を介して、動力伝達装置1が搭載された車両の左右の駆動輪(図示せず)に伝達される。
そして、モータハウジング10と、外側カバー11と、内側カバー12で、モータ2のケース(第1ケース部材)を構成している。
外側ケース13と内側ケース14で、変速機構3Bとカウンタギア5と差動装置6を収容するケース(第2ケース部材)を構成している。
図9に示すように、変速機構3Bは、遊星歯車組4と、クラッチ47と、バンドブレーキ49と、を有している。遊星歯車組4は、サンギア41と、リングギア42と、ピニオンギア43と、ピニオン軸44と、キャリア45と、を有している。
(a)バンドブレーキ49:作動、クラッチ47:解放
(b)バンドブレーキ49:非作動、クラッチ47:締結
ここで、変速機構3Bは、二段変速機構であり、低速段、高速段は同一回転方向(前進段又は後進段)である。モータ2の正逆転により前後進の切替えが可能である。
サンギア71の差動装置6側の端部71aは、デフケース60の円筒状の支持部601に回転軸X方向の隙間を空けて対向しており、端部71aと支持部601との間には、ニードルベアリングNBが介在している。
リップシールRSは、第1支持部141の内周とサンギア71の連結部711側の領域の外周との隙間を封止している。
第1支持部141の内周の供給路141bは、リップシールRSと連結部711との間の領域で、第1ギア室Sc側に開口している。
段付きピニオンギア73は、サンギア71に噛合する大径歯車部731と、大径歯車部731よりも小径の小径歯車部732とを有している。
段付きピニオンギア73は、大径歯車部731と小径歯車部732が、回転軸Xに平行な軸線X1方向で並んで、一体に設けられたギア部品である。
段付きピニオンギア73は、貫通孔730を貫通したピニオン軸74の外周で、ニードルベアリングNBを介して回転可能に支持されている。
側板部651、751の間では、複数の段付きピニオンギア73が回転軸X周りの周方向に所定間隔で複数(例えば、3つ)設けられている。
そのため、遊星減速ギア7のキャリア75(側板部651、751、ピニオン軸74)は、デフケース60と実質的に一体に形成されている。
デフケース60では、回転軸X方向(図中、左右方向)の両側部に、筒状の支持部601、602が設けられている。支持部601、602は、シャフト61から離れる方向に、回転軸Xに沿って延出している。
デフケース60の支持部601には、外側カバー11の開口部114を貫通したドライブシャフト8Bが、回転軸X方向から挿入されている。
図8に示すように、動力伝達装置1Bでは、モータ2の出力回転の伝達経路に沿って、変速機構3Bと、遊星減速ギア7と、差動装置6と、ドライブシャフト8(8A、8B)と、が設けられている。
そのため、変速機構3に入力された回転は、変速された後にキャリア45の連結部453から、遊星減速ギア7のサンギア71に出力される。
ここで、段付きピニオンギア73の小径歯車部732は、外側ケース13の内周に固定されたリングギア72に噛合している。そのため、段付きピニオンギア73は、軸線X1回りに自転しながら、回転軸X周りに回転する。
これにより、段付きピニオンギア73を支持するキャリア75(側板部651、751)が、変速機構3B側から入力された回転よりも低い回転速度で回転軸X回りに回転する。
そのため、遊星減速ギア7のサンギア71に入力された回転は、段付きピニオンギア73により、大きく減速されたのちに、キャリア75の側板部651が一体に形成されたデフケース60(差動装置6)に出力される。
(7)動力伝達装置1Bは、
モータ2と、
モータ2の下流に接続されていると共に、クラッチ47(摩擦締結要素)を有する変速機構3Bと、
変速機構3Bの下流に接続されたギア(遊星減速ギア7、差動装置6)と、
変速機構3Bが収容される第1ギア室Sc(第1室)と、
ギアが収容される第2ギア室Sb(第2室)と、を有する。
第1ギア室Scの冷却方式は、オイルポンプOPから供給されるオイルOL(第1オイルOL)で冷却されるポンプ式潤滑方式である。
第2ギア室Sbの冷却方式は、貯留されたオイルOL(第2オイルOL)で冷却する油浴式潤滑方式である。
(8)変速機構3Bのクラッチ47は、オイルポンプOPから供給されるオイルOL(第1オイルOL)により作動する。
この場合には、ベアリングB1の第1支持部141に段付きピニオンギア73側にオイルを供給する供給路を設けることで実現可能である。
(9)ギアは、差動装置6が備えるギア(かさ歯車62A、62B、サイドギア63A、63B)である。
変速機構3Bの下流で、かつ差動装置6の上流に遊星減速ギア7が配置されている。
遊星減速ギア7は、第1オイルOLにより潤滑される。
モータ2の冷却を、クラッチ47の作動用のオイルOL(第1オイルOL)を用いて行うようにしても良い。
この場合において、以下のような冷却方法を例示できる。
・図9の(b)に点線で示すように、オイルポンプOPから吐出されるオイルOLの一部を、モータ2を収容するモータ室Sa内に供給して、モータ2を直接冷却する。
・図9の(b)に点線で示すように、オイルポンプOPから吐出されるオイルOLの一部を、モータハウジング10内の流路102に供給して、モータ2を間接的に冷却する。
・図9においてモータ支持部121の内周のリップシールRSを省略して、第1ギア室Sc内のオイルOLが、モータ室Sa内に供給されるようにする。
図10は、第4実施形態にかかる動力伝達装置1Cを説明する図である。
図11の(a)は、動力伝達装置1Cの要部拡大図である。図11の(b)は、オイルポンプOPから供給されるオイルOLの供給先を説明する図である。
図12は、動力伝達装置1Cの要部拡大図である。
モータ2の出力回転は、変速機構3Cで変速されたのち、カウンタギア5で減速されて差動装置6に伝達される。差動装置6では、伝達された回転が、ドライブシャフト8(8A、8B)を介して、動力伝達装置1Cが搭載された車両の左右の駆動輪(図示せず)に伝達される。
動力伝達装置1Cは、回転の伝達に関与する回転軸Xa、Xb、Xcが、互い平行となるように配置された、いわゆる3軸タイプの動力伝達装置である。
そして、モータハウジング10と、外側カバー11と、内側カバー12で、モータ2のケース(第1ケース部材)を構成している。
外側ケース13と内側ケース14で、変速機構3Cと、カウンタギア5と、差動装置6と、を収容するケース(第2ケース部材)を構成している。
第3支持部148の内周には、連結部423に外挿されたベアリングB2が支持されている。第3支持部148では、ベアリングB2から見てモータ2側に隣接した位置に、リップシールRSが設けられている。リップシールRSは、第3支持部148の内周と、連結部423の外周との隙間を封止している。
遊星歯車組4は、サンギア41と、リングギア42と、ピニオンギア43と、ピニオン軸44と、キャリア45と、を有している。
遊星歯車組4の構成要素(サンギア41、リングギア42、ピニオンギア43、ピニオン軸44、キャリア45)は、クラッチドラム48の外壁部481の内径側に設けられている。
クラッチ47は、リングギア42の外周にスプライン嵌合したドライブプレート471(内径側摩擦板)と、クラッチドラム48の外壁部481の内周にスプライン嵌合したドリブンプレート472(外径側摩擦板)と、回転軸Xa方向に移動可能に設けられたピストン475と、を有している。
外壁部481は、回転軸Xaを所定間隔で囲む筒状を成している。円板部480は、外壁部481のモータ2とは反対側(図中、左側)の端部から内径側に延びている。円板部480の内径側の端部には、内壁部482が設けられている。
連結部483は、モータ2に近づく方向(図中、右方向)に直線状に延びている。
支持軸30は、小径部301と大径部302とが、回転軸Xa方向に並んで一体に形成された軸状部材であり、回転軸Xaに沿う向きで配置されている。
支持軸30は、モータシャフト20と同軸に配置されている。
遊星歯車組4では、サンギア41の外径側にリングギア42が位置している。リングギア42は、サンギア41の外周を所定間隔で囲む周壁部421と、周壁部421のモータ2側の端部から内径側に延びる円板部422と、円板部422の内径側からモータ2側に延びる連結部423と、円板部422の内径側の端部からモータ2とは反対側に延びる軸部424と、を有している。
ピニオンギア43は、リングギア42の周壁部421の内周と、サンギア41の外周に噛合している。
側板部451、452は、軸線X3方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。
リングギア42の周壁部421と、クラッチドラム48の外壁部481との間では、ドライブプレート471とドリブンプレート472とが交互に設けられている。
スリット475dには、クラッチドラム48の円板部480からモータ2側に延びるガイド片480bが挿入されている。
ピストン475は、スプリングSpから作用する付勢力でクラッチドラム48の円板部480側(図中、左側)に付勢されている。
突出部484の内部には、第1支持部151側から供給されるオイルOLを、クラッチドラム48の円板部480とピストン475の基部475bとの間の油室Rmに導くための油路484aが設けられている。
これにより、ドライブプレート471がスプライン嵌合したリングギア42と、ドリブンプレート472がスプライン嵌合したクラッチドラム48との相対回転が、供給されるオイルOLの圧力に応じて規制されて、最終的に相対回転が規制される。
(a)バンドブレーキ49:作動、クラッチ47:解放
(b)バンドブレーキ49:非作動、クラッチ47:締結
ここで、変速機構3Cは、二段変速機構であり、低速段、高速段は同一回転方向(前進段又は後進段)である。モータ2の正逆転により前後進の切替えが可能である。
中空軸31では、回転軸Xa方向の両側に、ベアリングB2、B2が外挿されている。
中空軸31は、ベアリングB2、B2を介して、外側ケース13側の第3支持部138と、支持部材15の第1支持部151で支持されている。
リップシールRSは、第1支持部151の内周と、中空軸31の外周との隙間を封止している。リップシールRSは、第2ギア室Sbと第1ギア室Scとの間でのオイルOLの移動を阻止するために設けられている。
第1支持部151の内周には、供給路151bが開口している。供給路151bは、第1ギア室Sc側に開口しており、第1ギア室Scに連絡している。
ギア部311の外周には、カウンタギア5の大径歯車52が、回転伝達可能に噛合している。
中空軸部51の長手方向の一端部51aは、ベアリングB3を介して、外側ケース13の第2支持部135で回転可能に支持されている。
中空軸部51の他端部51bは、ベアリングB3を介して、内側ケース14の第2支持部145で回転可能に支持されている。
中空軸部51では、大径歯車52から見て他端部51b側(図中、右側)に隣接して、小径歯車部511が設けられている。小径歯車部511は、中空軸部51と一体に形成されていると共に、大径歯車52の外径R1よりも小さい外径R2で形成されている(R1>R2)。
デフケース60では、回転軸Xc方向(図中、左右方向)の両側部に、筒状の支持部601、602が設けられている。
支持部602は、ベアリングB4を介して、外側ケース13のリング状の第1支持部131で回転可能に支持されている。
支持部601は、ベアリングB4を介して、内側ケース14のリング状の第1支持部141で回転可能に支持されている。
図10に示すように、動力伝達装置1Cでは、モータ2の出力回転の伝達経路に沿って、変速機構3Cと、カウンタギア5と、差動装置6と、ドライブシャフト8(8A、8B)と、が設けられている。
変速機構3Cでは、遊星歯車組4のリングギア42が回転の入力部、キャリア45が入力された回転の出力部となっている。
そのため、変速機構3Cに入力された回転は、変速された後にキャリア45の連結部453から中空軸31に出力される。そして、中空軸31に入力された回転は、中空軸31のギア部311に噛合した大径歯車52を介して、カウンタギア5に入力される。
そのため、カウンタギア5に入力された回転は、大きく減速されたのちに、小径歯車部511が噛合するファイナルギアFGを介して、デフケース60(差動装置6)に出力される。
そして、支持部材15の第1支持部151の内周に設けた供給路151bから、クラッチドラム48の内壁部482および連結部483と、支持軸30との間に冷却用のオイルOL(第1オイルOL)が供給される。これにより、変速機構3Cの内径側に供給されたオイルOLが、回転による遠心力で外径側に移動する際に、変速機構3Cを冷却する。
(10)動力伝達装置1Cは、
モータ2と、
モータ2の下流に接続されていると共に、クラッチ47(摩擦締結要素)を有する変速機構3Cと、
変速機構3Cの下流に接続されたギア(カウンタギア5、差動装置6)と、
変速機構3Cが収容される第1ギア室Sc(第1室)と、
ギアが収容される第2ギア室Sb(第2室)と、を有する。
第1ギア室Scの冷却方式は、オイルポンプOPから供給されるオイルOL(第1オイルOL)で冷却されるポンプ式潤滑方式である。
第2ギア室Sbの冷却方式は、貯留されたオイルOL(第2オイルOL)で冷却する油浴式潤滑方式である。
(11)変速機構3Cのクラッチ47は、オイルポンプOPから供給されるオイルOL(第1オイルOL)により作動する。
モータ2の冷却を、クラッチ47の作動用のオイルOL(第1オイルOL)を用いて行うようにしても良い。
この場合において、以下のような冷却方法を例示できる。
・図11の(b)に点線で示すように、オイルポンプOPから吐出されるオイルOLの一部を、モータ2を収容するモータ室Sa内に供給して、モータ2を直接冷却する。
・図11の(b)に点線で示すように、オイルポンプOPから吐出されるオイルOLの一部を、モータハウジング10内の流路102に供給して、モータ2を間接的に冷却する。
・図11の(a)において第3支持部148の内周のリップシールRSを省略して、第1ギア室Sc内のオイルOLが、モータ室Sa内に供給されるようにする。
図13の(b)から図16は、変速機構の変形例を説明するスケルトン図である。
なお、以下の説明では、符号「S」が、遊星歯車組4のサンギア41を意味し、符号「R」が、リングギア42を意味し、符号「C」が、キャリア45を意味している。
また、符号「BB」が、バンドブレーキ49を意味し、符号「CL」が、クラッチ47を意味し、符号「P」が、ピストン475を意味し、符号「DR」が、クラッチドラム48を意味し、符号「HB」が、ハブを意味している。また、符号「P」が、ピストン475を意味している。
前記した変速機構3、3A、3Bでは、遊星歯車組4が、ひとつのピニオンギア43を有するシングルピニオンである場合を例示した。
この変速機構3、3A、3Bでは、遊星歯車組4のリングギア42(R)が、回転の入力部、キャリア45が出力部である。そして、クラッチ47(C)が、リングギア42(R)とサンギア(S)とを相対回転不能に締結し、バンドブレーキ49(BB)が、クラッチドラム48(DR)に連結されたサンギア41(S)を固定する。
以下に、適用可能な変速機構の態様を、図13の(b)から図16を用いて列挙する。
図13の(b)の態様では、遊星歯車組のリングギアRが回転の入力部であり、キャリアCが出力部であり、バンドブレーキBBが、クラッチドラムDRに連結されたサンギアSを固定する。クラッチCLが、クラッチドラムDRに連結されたサンギアSと、ハブHBに連結されたキャリアCとを相対回転不能に締結する。
図14の(a)の態様では、遊星歯車組のサンギアSが回転の入力部であり、リングギアRが出力部であり、バンドブレーキBBが、ハブHBに連結されたキャリアCを固定する。クラッチCLが、サンギアSと、クラッチドラムDRに連結されたリングギアRとを相対回転不能に締結する。
図14の(c)の態様では、遊星歯車組のサンギアSが回転の入力部であり、リングギアRが出力部であり、バンドブレーキBBが、クラッチドラムDRに連結されたキャリアCを固定する。クラッチCLが、クラッチドラムDRに連結されたキャリアCと、リングギアRとを相対回転不能に締結する。
図14の(d)の態様では、遊星歯車組のサンギアSが回転の入力部であり、キャリアCが出力部であり、バンドブレーキBBが、リングギアRを固定する。クラッチCLが、サンギアSと、クラッチドラムDRに連結されたリングギアRとを相対回転不能に締結する。
図14の(f)の態様では、遊星歯車組のサンギアSが回転の入力部であり、キャリアCが出力部であり、バンドブレーキBBが、リングギアRを固定する。クラッチCLが、クラッチドラムDRに連結されたリングギアRと、ハブHBに連結されたキャリアCとを相対回転不能に締結する。
図15の(a)、(b)、(c)に示す態様でも良い。
図15の(a)の態様では、遊星歯車組のキャリアCが回転の入力部であり、リングギアRが出力部であり、バンドブレーキBBが、クラッチドラムDRに連結されたサンギアSを固定する。クラッチCLが、リングギアRと、クラッチドラムDRに連結されたサンギアSとを相対回転不能に締結する。
図15の(c)の態様では、遊星歯車組のキャリアCが回転の入力部であり、リングギアRが出力部であり、バンドブレーキBBが、ハブHBに連結されたサンギアSを固定する。クラッチCLが、クラッチドラムDRに連結されたキャリアCと、リングギアRとを相対回転不能に締結する。
図15の(d)の態様では、遊星歯車組のサンギアSが回転の入力部であり、リングギアRが出力部であり、バンドブレーキBBが、ハブHBに連結されたキャリアCを固定する。クラッチCLが、サンギアSと、クラッチドラムDRに連結されたリングギアRとを相対回転不能に締結する。
図15の(f)の態様では、遊星歯車組のサンギアSが回転の入力部であり、リングギアRが出力部であり、バンドブレーキBBが、クラッチドラムDRに連結されたキャリアCを固定する。クラッチCLが、クラッチドラムDRに連結されたキャリアCと、リングギアRとを相対回転不能に締結する。
図16の(a)の態様では、遊星歯車組のサンギアSが回転の入力部であり、キャリアCが出力部であり、バンドブレーキBBが、リングギアRを固定する。クラッチCLが、サンギアSと、クラッチドラムDRに連結されたリングギアRとを相対回転不能に締結する。
図16の(c)の態様では、遊星歯車組のサンギアSが回転の入力部であり、キャリアCが出力部であり、バンドブレーキBBが、リングギアRを固定する。クラッチCLが、ハブHBに連結されたキャリアCと、クラッチドラムDRに連結されたリングギアRとを相対回転不能に締結する。
これら全18パターンのうち、図13に示す態様、図14の(e)に示す態様、図15の(a)に示す態様、図15の(f)に示す態様では、モータ2の出力回転を正回転方向に維持したままで、低速段と高速段との切り替えが可能である。
そして、図13に示す態様、図15の(a)~(c)の態様は、クラッチドラムDRの外径が最も大きくなるので、クラッチCLを、余裕を持って締結状態にできる。
例えば、図13の(a)~(c)、図14の(c)に示す態様のように、バンドブレーキBBとリングギアRの間に、クラッチCLを設けても良い。
このように、クラッチCLは、リングギアRの外径側と、サンギアSの内径側の何れに設けても良い。
図15の(a)、(b)、(c)、(f)に示すように、リングギアRの外径側にクラッチCLを設けても良い。
図15の(d)、(e)、図16の(a)、(b)、(c)に示すように、サンギアSの内径側にクラッチCLを設けても良い。
なお、図16の(c)に示す態様と、図16の(b)に示す態様では、低速段と高速段の切り替えにあたり、モータ2の出力回転の方向を逆転させる必要がある。
例えば、モータ2の下流に接続された変速機構3という場合は、モータ2から変速機構3へと動力が伝達されることを意味する。
また、本明細書における用語「直接接続」とは、他の減速機構、増速機構、変速機構などの減速比が変換される部材を介さずに部材同士が動力伝達可能に接続されていることを意味する。
変速機構3Cとモータ2の回転軸が同心に配置されていると共に、モータ2の回転軸と、カウンタギア5の回転軸と、ドライブシャフト8(8A、8B)の回転軸が並列に並んだ、いわゆる3軸タイプの動力伝達装置1C(図10参照)。
モータ2と変速機構3とドライブシャフト8(8A、8B)の回転軸が同心に配置されていると共に、モータ2の回転軸と、カウンタギア5の回転軸が並列に並んだ、いわゆる2軸タイプの動力伝達装置1(図1参照)。
モータ2と変速機構3Bとドライブシャフト8(8A、8B)の回転軸が同心に配置された、いわゆる1軸タイプの動力伝達装置1B(図8参照)。
これら3タイプの動力伝達装置のうち、カウンタギア5の外径が大きい(径方向の面積が大きい)2軸タイプの動力伝達装置1は、最もスペースが空く(領域Rxを広く取ることができる)ので好ましい。
2 モータ
20 モータシャフト
201 連結部
202 被支持部
21 ロータコア
25 ステータコア
251 ヨーク部
252 ティース部
253 巻線
253a、253b コイルエンド
3、3A、3B、3C 変速機構
30 支持軸
301 小径部
302 大径部
303 フランジ部
31 中空軸
311 ギア部
4 遊星歯車組
41、S サンギア
42、R リングギア
421 周壁部
422 円板部
423 連結部
424 軸部
43 ピニオンギア
44 ピニオン軸
45、C キャリア
451、452 側板部
453 連結部
47、CL クラッチ
471 ドライブプレート
472 ドリブンプレート
475 ピストン
476 スプリングリテーナ
48、DR クラッチドラム
480 円板部
481 外壁部
482 内壁部
483 連結部
484 突出部
484a 油路
49、BB バンドブレーキ
HB ハブ
5 カウンタギア
50 中空軸
501 連結部
502 ギア部
51 中空軸部
511 小径歯車部
52 大径歯車
53 パークギア
55 伝達軸
55a 一端
55b 他端
56 連結部
57 ギア部
6 差動装置
60 デフケース
601、602 支持部
651 側板部
61 シャフト
62A、62B かさ歯車
63A、63B サイドギア
7 遊星減速ギア
71 サンギア
711 連結部
712 歯部
72 リングギア
73 段付きピニオンギア
730 貫通孔
731 大径歯車部
732 小径歯車部
751 側板部
752 筒状部
74 ピニオン軸
75 キャリア
8(8A、8B) ドライブシャフト
9 本体ケース
10 モータハウジング
101 周壁部
102 流路
11 外側カバー
111 モータ支持部
12 内側カバー
121 モータ支持部
13 外側ケース
131 第1支持部
135 第2支持部
138 第3支持部
14 内側ケース
141 第1支持部
141a 供給路
141b 供給路
142 仕切壁
143 側壁
144 周壁部
145 第2支持部
147 外周壁
148 第3支持部
15 支持部材
151 第1支持部
151a 供給路
151b 供給路
152 筒状部
153 フランジ部
153a 供給路
153b 供給路
155 第2支持部
156 仕切壁部
156a 貫通孔
156b 供給路
B ボルト
B1、B2、B3、B4、B5 ベアリング
FG ファイナルギア
NB ニードルベアリング
OL 第1オイル、第2オイル、オイル
OP オイルポンプ
Rm 油室
RS リップシール
Sa モータ室
Sb 第2ギア室
Sc 第1ギア室
SL シールリング
Sp スプリング
X、Xa、Xb、Xc 回転軸
X1、X3、Y 軸線
Claims (4)
- モータと、
前記モータの下流に接続され摩擦締結要素を有する変速機構と、
前記変速機構の下流に接続されたギアと、
前記変速機構が収容される第1室と、
前記ギアが収容される第2室と、を有し、
前記第1室は、第1オイルがオイルポンプにより供給されるポンプ式潤滑方式であり、
前記第2室は、第2オイルを貯留する油浴式潤滑方式であり、
前記ギアはデファレンシャルギアであり、
前記変速機構の下流で且つ前記デファレンシャルギアの上流に遊星減速ギアが配置されており、
前記遊星減速ギアが前記第1オイルにより潤滑されることを特徴とする動力伝達装置。 - モータと、
前記モータの下流に接続され摩擦締結要素を有する変速機構と、
前記変速機構の下流に接続されたギアと、
前記変速機構が収容される第1室と、
前記ギアが収容される第2室と、を有し、
前記第1室は、第1オイルがオイルポンプにより供給されるポンプ式潤滑方式であり、
前記第2室は、第2オイルを貯留する油浴式潤滑方式であり、
前記モータの下流で且つ前記変速機構の上流に接続された減速ギアを有し、
前記ギアは、前記減速ギアの下流に接続されており、
前記モータは前記変速機構と軸方向においてオフセットしており、
前記減速ギアと前記ギアとを区切る隔壁とを設けると共に、前記減速ギアが前記第1オイルにより潤滑されることを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1又は請求項2において、
前記摩擦締結要素は、前記オイルポンプにより作動することを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記モータが前記第1オイルにより冷却されることを特徴とする動力伝達装置。
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