JP7210108B2 - 動力伝達装置 - Google Patents
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Description
また、軸受の潤滑方式として、ギア等の潤滑油を利用した潤滑油方式と、軸受近辺にグリスを封入すると共にシール等を設けて潤滑油から隔離したグリス封入方式がある。
ここで、油冷方式と潤滑油方式とを組み合わせることが考えられるが、その場合、軸受、モータ等のコンタミネーションを抑制したいという要請がある。
モータ室に設けられたモータと、
ギア室に設けられ、前記モータの下流に配置された減速ギアと、
前記モータ室と前記ギア室とを区切る壁部と、
前記モータの出力軸と前記壁部に径方向において挟まれた軸受と、
前記軸受を支持すると共に前記モータ室側に設けられたリテーナプレートと、
前記リテーナプレートに設けられたフィルタ部と、を有し、
前記軸受及び前記フィルタ部を介して潤滑油が前記モータ室に流入する構成の動力伝達装置とした。
図2は、動力伝達装置1の減速機構3(第1遊星減速ギア4、第2遊星減速ギア5)周りの拡大図である。
図3は、図2におけるA領域の拡大図である。
モータ2の出力回転は、減速機構3で減速されて差動装置6に入力された後、ドライブシャフト8(8A、8B)を介して、動力伝達装置1が搭載された車両の左右の駆動輪(図示せず)に伝達される。図1では、ドライブシャフト8Aが、動力伝達装置1を搭載した車両の左輪に回転伝達可能に接続されていると共に、ドライブシャフト8Bが、右輪に回転伝達可能に接続されている。
モータシャフト20では、長手方向の一端20a側と他端20b側の外周に、ベアリングB1、B1が外挿されて固定されている。
モータシャフト20の一端20a側は、ベアリングB1を介して、中間ケース12の円筒状のモータ支持部121で回転可能に支持されている。
モータシャフト20の他端20b側は、ベアリングB1を介して、カバー11の円筒状のモータ支持部111で回転可能に支持されている。
モータハウジング10の他端10bは、当該他端10bに設けたシールリングSにより、カバー11の環状の接合部110に隙間なく接合されている。
本実施形態では、中間ケース12をモータハウジング10の一端10aに固定すると、モータ支持部121が、モータハウジング10の内側に挿入されるようになっている。
そして、基部120とモータ支持部121とを接続する接続部123は、コイルエンド253aと後記する側板部452との接触を避けて設けられている。
モータ支持部121と接続部123は、モータハウジング10の内径側の空間Sa(モータ室)と、中間ケース12の内径側の空間Sb(ギア室)とを区画している。
ベアリングリテーナ125は、回転軸X方向から見てリング状を成している。ベアリングリテーナ125は、モータ支持部121からのベアリングB1の脱落を阻止している。
本実施形態では、カバー11をモータハウジング10の他端10bに固定すると、モータ支持部111が、モータハウジング10の内側に挿入されるようになっている。
そして、接合部110と、カバー11の側壁部113とを接続する接続部115は、コイルエンド253bと後記する支持筒112との接触を避けて設けられている。
モータシャフト20の回転軸X方向から見て、珪素鋼板はリング状を成しており、珪素鋼板の外周側では、図示しないN極とS極の磁石が、回転軸X周りの周方向に交互に設けられている。
本実施形態では、巻線253を、複数のティース部252に跨がって分布巻きした構成のステータコア25を採用しており、ステータコア25は、回転軸X方向に突出するコイルエンド253a、253bの分だけ、ロータコア21よりも回転軸方向の長さが長くなっている。
図3に示すように、ベアリングB1のインナレースB1aは、回転軸X方向の一方の側面が、モータシャフト20の外周に設けた段部204に当接している。インナレースB1aは、他方の側面に、モータシャフト20の外周に圧入されたリング状のストッパ205が当接している。ストッパ205の外径D1は、インナレースB1aの外径D2より僅かに大きい(D1>D2:図3参照)。
ストッパ205によりベアリングB1は、インナレースB1aを、段部204に当接させた位置で位置決めされている。
円筒壁122は、モータ支持部121から差動装置6側に突出しており、円筒壁122の先端122aは、第1遊星減速ギア4のサンギア41の側面41aに間隔をあけて対向している。
隙間CLは、ベアリングB1とフィルタ部Fとを介した状態で、空間Saと空間Sbとを連絡している。
この一端20a側の領域202の内側には、サンギア41の円筒状の連結部411が挿入されている。この状態において、モータシャフト20の一端20a側の領域202と、サンギア41の連結部411とが、相対回転不能にスプライン嵌合している。
サンギア41は、貫通孔410を貫通したドライブシャフト8Bの外周で回転可能に支持されている。
側板部451、452の間では、複数のピニオンギア43が回転軸X周りの周方向に所定間隔で複数(例えば、4つ)設けられている。
側板部451において連結部453は、回転軸Xに対して同心に配置されていると共に、回転軸Xに沿って、差動装置6に近づく方向(図中、左方向)に突出している。
側板部451の内径側に設けられた連結部453は、中間カバー14の中央の開口140を、モータ2側から差動装置6側の左方に貫通している。
連結部453の先端453aは、中間カバー14に取り付けられたケース13内に位置している。回転軸X方向において連結部453の先端453aは、第2遊星減速ギア5のサンギア51の側面51aに、間隔をあけて対向している。
サンギア51は、貫通孔510を貫通したドライブシャフト8Bの外周で回転可能に支持されている。
段付きピニオンギア53は、大径歯車部531と小径歯車部532が、回転軸Xに平行な軸線X2方向で並んで、一体に設けられたギア部品である。
段付きピニオンギア53は、貫通孔530を貫通したピニオンシャフト54の外周で、ニードルベアリングNBを介して回転可能に支持されている。
ピニオンシャフト54の長手方向の一端と他端は、デフケース60と一体に形成された側板部651と、この側板部に間隔をあけて配置された側板部551で支持されている。
側板部651、551の間では、複数の段付きピニオンギア53が回転軸X周りの周方向に所定間隔で複数(例えば、3つ)設けられている。
サンギア51に入力された出力回転は、サンギア51に噛合する大径歯車部531を介して、段付きピニオンギア53に入力されて、段付きピニオンギア53が軸線X2回りに回転する。
ここで、小径歯車部532は、ケース13の内周に固定されたリングギア52に噛合している。そのため、小径歯車部532が軸線X2回りに回転すると、段付きピニオンギア53は、軸線X2回りに自転しながら、回転軸X周りに回転する。
そして、第2遊星減速ギア5では、サンギア51が、モータの出力回転の入力部となっており、段付きピニオンギア53を支持するキャリア55が、入力された回転の出力部となっている。
そうすると、第2遊星減速ギア5のサンギア51に入力された回転は、段付きピニオンギア53により大きく減速されたのちに、キャリア55の側板部651が一体に形成されたデフケース60に出力される。
デフケース60では、回転軸X方向(図中、左右方向)の両側部に、筒状の支持部601、602が設けられている。支持部601、602は、シャフト61から離れる方向に、回転軸Xに沿って延出している。
ベアリングB2のアウタレースB2bは、ケース13のリング状の支持部131で保持されており、デフケース60の支持部602は、ベアリングB2を介して、ケース13で回転可能に支持されている。
開口部130の内周には、リップシールRSが固定されており、リップシールRSの図示しないリップ部が、ドライブシャフト8Aの外周に弾発的に接触することで、ドライブシャフト8Aの外周と開口部130の内周との隙間が封止されている。
ドライブシャフト8Bは、モータ2のモータシャフト20と、第1遊星減速ギア4のサンギア41と、第2遊星減速ギア5のサンギア51の内径側を回転軸X方向に横切って設けられており、ドライブシャフト8Bの先端側が、支持部601で回転可能に支持されている。
軸孔60a、60bは、回転軸Xに直交する軸線Y上に位置しており、シャフト61の一端61a側および他端61b側が挿入されている。
デフケース60の下部側は、ケース13内の潤滑油OLに浸っている。
本実施形態では、シャフト61の一端61aまたは他端61bが最も下部側に位置した際に、シャフト61の一端61aまたは他端61bが少なくとも潤滑油OL内に位置する高さまで、ケース13内の空間Scに潤滑油OLが貯留されている(図1における破線参照)。空間Scは空間Sbと連絡しており、空間Sbにも潤滑油OLが貯留されている。
かさ歯車62A、62Bは、シャフト61の長手方向(軸線Yの軸方向)で間隔を空けて2つ設けられており、かさ歯車62A、62Bは、互いの歯部を対向させた状態で配置されている。シャフト61においてかさ歯車62A、62Bは、当該かさ歯車62A、62Bの軸心を、シャフト61の軸心と一致させて設けられている。
サイドギア63A、63Bは、互いの歯部を対向させた状態で、回転軸Xの軸方向に間隔を空けて2つ設けられており、かさ歯車62A、62Bとサイドギア63A、63Bとは、互いの歯部を噛合させた状態で組み付けられている。
モータ2の出力回転は、モータシャフト20を介して、第1遊星減速ギア4のサンギア41に入力される。これにより、サンギア41は、回転軸X回りに回転する。リングギア42は中間ケース12に固定されているので、サンギア41が回転すると、ピニオンギア43が軸線X1回りに自転しながら、回転軸X周りに回転する。
第1遊星減速ギア4から第2遊星減速ギア5に入力された回転は、さらに減速されたのち、差動装置6に入力される。
さらに、第1遊星減速ギア4のピニオンギア43およびキャリア45も、回転軸X回りに回転して、空間Sb内の潤滑油OLを掻き上げる。
掻き上げられた潤滑油OLの一部は隙間CL内に流入する。そして、フィルタ部Fを通って空間Sa側に移動する(図3における矢印参照)。
本実施形態では、モータ支持部121の内部空間(隙間CL)における潤滑油OLの通流経路上にフィルタ部Fが設けられている。
これにより、潤滑油OLが空間Sb側から隙間CLを通って空間Sa側へ移動する際に、潤滑油OL内に含まれる金属の摩耗粉がフィルタ部Fによって除去される。よって、空間Sa側に金属の摩耗粉が入り込むことが抑制されている。
(1)空間Sa(モータ室)に設けられたモータ2と、
空間Sb(ギア室)に設けられ、モータ2の下流に配置された第1遊星減速ギア4(減速ギア)と、
空間Saと空間Sbとを区切る中間ケース12(壁部)と、
モータ2のモータシャフト20(出力軸)と中間ケース12に径方向において挟まれたベアリングB1(軸受)と、
ベアリングB1を支持すると共に空間Sa側に設けられたリング状のベアリングリテーナ125(リテーナプレート)と、を有する。
ベアリングリテーナ125の内周には、フィルタ部Fが設けられている。
これにより、モータ2とベアリングB1の相互間を潤滑油OLが行き交うことができるので、モータ油冷用の潤滑油とベアリングB1用の潤滑油を共通化できる。そして、フィルタ部Fが存在するため、空間Sb(ギア室)と空間Sa(モータ室)の相互間のコンタミネーションを抑制することができる。
(2)ベアリングリテーナ125の一部をメッシュ形状として、メッシュ形状をフィルタ部Fとする。
図4は、変形例にかかる動力伝達装置1Aを説明する図である。
なお、以下の説明では、本実施形態にかかる動力伝達装置1との相違点のみ説明する。
フィルタ部Faは、円筒壁122の内周に隙間無く接しており、回転軸Xの径方向において円筒壁122とストッパ205の外周との隙間がフィルタ部Fで封止されている。フィルタ部Fは、ストッパ205とは別体であり、不織布や金属製のメッシュ材が用いられている。回転軸X方向におけるフィルタ部Faの全長T1は、ストッパ205の全長T2よりも短い(T1<T2)。
空間Sa(モータ室)は、フィルタ部F、Faを介して、空間Sb(ギア室)と連通している。
この場合であっても、潤滑油OLの通流方向におけるベアリングB1より上流にフィルタ部Fが位置するので、潤滑油OLは、ベアリングB1を通過する前に金属の摩耗粉がフィルタ部Fによって除去される。よって、ベアリングB1へのコンタミネーション侵入を好適に防止することが出来る。さらに、2重フィルタ構造によって、空間Sb(ギア室)側へのコンタミネーション侵入が、より好適に抑制される。
(3)ベアリングB1と空間Sb(ギア室)との間に、フィルタ部Fとは別のフィルタ部Faが配置されている。
例えば、モータ2の下流に接続された第1遊星減速ギア4という場合は、モータ2から第1遊星減速ギア4へと動力が伝達されることを意味する。
また、本明細書における用語「直接接続」とは、他の減速機構、増速機構、変速機構などの減速比が変換される部材を介さずに部材同士が動力伝達可能に接続されていることを意味する。
2 モータ
3 減速機構
4 第1遊星減速ギア
5 第2遊星減速ギア
6 差動装置
8 ドライブシャフト
10 モータハウジング
11 カバー
12 中間ケース
120 基部
121 モータ支持部
122 円筒壁
123 接続部
125 ベアリングリテーナ
13 ケース
14 中間カバー
20 モータシャフト
203 大径部
205 ストッパ
21 ロータコア
25 ステータコア
253 巻線
253a コイルエンド
41 サンギア
42 リングギア
43 ピニオンギア
44 ピニオン軸
45 キャリア
51 サンギア
52 リングギア
53 段付きピニオンギア
531 大径歯車部
532 小径歯車部
54 ピニオン軸
55 キャリア
60 デフケース
61 シャフト
62A、62B かさ歯車
63A、63B サイドギア
B1 ベアリング
B1a インナレース
B1b アウタレース
B2 ベアリング
CL 隙間
F フィルタ部
Fa フィルタ部
NB ニードルベアリング
OL 潤滑油
Sa 空間(モータ室)
Sb 空間(ギア室)
Sc 空間
X 回転軸
X1 軸線
X2 軸線
Y 軸線
Claims (3)
- モータ室に設けられたモータと、
ギア室に設けられ、前記モータの下流に配置された減速ギアと、
前記モータ室と前記ギア室とを区切る壁部と、
前記モータの出力軸と前記壁部に径方向において挟まれた軸受と、
前記軸受を支持すると共に前記モータ室側に設けられたリテーナプレートと、
前記リテーナプレートに設けられたフィルタ部と、を有し、
前記軸受及び前記フィルタ部を介して潤滑油が前記モータ室に流入することを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1において、
前記リテーナプレートの一部をメッシュ形状として、前記メッシュ形状を前記フィルタ部とすることを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1又は請求項2において、
前記軸受と前記ギア室との間に、前記フィルタ部とは別のフィルタ部が配置されていることを特徴とする動力伝達装置。
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