JP2017190867A - 転がり軸受ユニット - Google Patents

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Shota TOHO
翔太 東穂
直太 山本
Naota Yamamoto
直太 山本
宙史 内村
Hiroshi Uchimura
宙史 内村
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Abstract

【課題】転がり軸受の軸受空間の側方開口を閉じるシール部材を外輪に対してしっかりと固定できるようにする。【解決手段】ハウジング11内に固定される外輪1と、外輪1に対向する内輪2と、外輪1と内輪2との間の軸受空間の側方開口Dを覆う円環状のシール部材40と、ハウジング11の内径面と外輪1の外径面との間に軸方向に沿って配置される潤滑油用の油路12と、外輪1の軸方向他端側に隣接して配置される間座6と、油路12内に入り込みシール部材40を外輪1に固定する連結片80と、連結片80に設けられて外輪1と間座6との間に形成された抜け止め凹部50に入り込む内径側突出部83と、連結片80に設けられて油路12の内壁に当接する第一の外径側突出部84とを備え、第一の外径側突出部84は、内径側突出部83が当接する抜け止め凹部50の軸方向他端側の端面6aよりもさらに軸方向他端側に位置する転がり軸受とした。【選択図】図1

Description

この発明は、オイル潤滑される転がり軸受に関し、特に、潤滑用のオイルに含まれる異物の捕捉する機能を備えた転がり軸受ユニットに関するものである。
輸送機器や産業機械、その他各種機器の可動部には、転がり軸受が組み込まれている。このような機器の中には、油潤滑される転がり軸受以外に潤滑が必要な作動機構部を有し、その作動機構部と転がり軸受とが、共通のオイルで潤滑される構造となっているものがある。作動機構部としては、例えば、ギヤ同士の噛み合い部分や部材同士の摺接部分等が挙げられる。
例えば、オイルポンプ等は、機器の内部に転がり軸受と作動機構部とを有している。また、特に、オイルポンプは、その転がり軸受と作動機構部とを備えた機器の外部にある他の作動機構部に向かって、内部の潤滑油を送り出す機能を備えている。
ところで、転がり軸受の軸受空間からは、摩耗粉(鉄粉等)等の異物が発生することがある。この異物が、潤滑油の循環経路の途中にある作動機構部に侵入すると、異物の噛み込みによって、機器の耐久性を低下させる場合がある。また、場合によっては、機器の動作不良・故障・破損に繋がることもある。
そこで、例えば、特許文献1には、鉄粉等からなる異物が循環経路内に流通する潤滑油に混入した場合に、その異物をセンサが備える磁石に吸着させ、吸着した異物が堆積していくことにより金属製のケーシングと磁石とが電気的に導通した場合に、警報を発信する潤滑油の鉄粉汚濁検知方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2には、転がり軸受の内外輪間に位置する軸受空間の端部を閉じるシールリングに、異物を捕捉するフィルタを設けた技術が開示されている。
特開平7−280180号公報 特開2012−102767号公報
上記のように、転がり軸受から発生する摩耗粉(鉄粉等)等の異物が、潤滑油の循環経路の途中にある作動機構部に侵入することは好ましくない。特に、オイルポンプ用の転がり軸受ユニットにおいて、軸受から発生する大きな剥離片は、そのオイルポンプ自身の作動機構部や、そのオイルポンプによって送り出される潤滑油の循環経路内にある他の作動機構部の部品に対して、動作不良・故障・破損の原因となる。このため、特許文献2に示すような、フィルタ付きの円環状のシール部材を設置することで、転がり軸受内から作動機構部への異物の流出防止が必要となる。
ところで、シール部材を外輪側に固定した場合、そのシール部材は外輪にしっかりと固定されている必要がある。シール部材が外輪にしっかりと固定されていないと、シール部材と外輪との間に隙間を生じ、軸受空間内から軸受空間外へ異物が流出してしまう事態にもつながる。
そこで、この発明の課題は、転がり軸受の軸受空間の側方開口を閉じるシール部材を、外輪に対してしっかりと固定できるようにすることである。
上記の課題を解決するために、この発明は、ハウジング内に固定される外輪と、前記外輪に対向する内輪と、前記外輪と前記内輪との間の軸受空間に配置される転動体と、前記外輪の軸方向一端側に取り付けられて前記軸受空間の側方開口を覆う円環状のシール部材と、前記ハウジングの内径面と前記外輪の外径面との間に軸方向に沿って配置される潤滑油用の油路と、前記油路内に入り込み前記シール部材を前記外輪に固定する連結片と、前記連結片に設けられて前記外輪又は前記外輪の軸方向他端側に配置される隣接部材若しくは前記外輪と前記隣接部材との間に形成された抜け止め凹部に入り込む内径側突出部と、前記連結片に設けられて前記油路の内壁に当接する第一の外径側突出部と、を備え、前記第一の外径側突出部は、前記内径側突出部が当接する前記抜け止め凹部の軸方向他端側の内壁よりもさらに軸方向他端側に位置する転がり軸受を採用した。
また、前記連結片の前記第一の外径側突出部よりも軸方向一端側に前記油路の内壁に当接する第二の外径側突出部を備える構成を採用することができる。
ここで、前記外輪の軸方向他端側に隣接して配置される隣接部材を間座とすることができる。間座は、軸方向に隣り合う転がり軸受の軌道輪同士を、軸方向に位置決めする機能を有する
また、前記内径側突出部が当接する前記抜け止め凹部の軸方向一端側の内壁は、軸方向一端側から軸方向他端へ向かって内径側へ傾斜している構成を採用することができる。
また、前記内径側突出部が当接する前記抜け止め凹部の軸方向一端側の内壁は、前記外輪の外径面と軸方向他端側の端面との間の稜線部に設けられた面取り部又はアール部である構成を採用することができる。
これらの各態様において、前記第一の外径側突出部と前記隣接部材とは、その軸方向位置が重複して配置されている構成を採用することができる。また、前記第一の外径側突出部と前記内径側突出部とは、その軸方向位置が重複して配置されている構成を採用することができる。
また、これらの各態様において、前記シール部材は周方向に沿って分割された複数の分割シール部材が前記連結片によって接続されて円環状の連結体となっている構成を採用することができる。
このとき、前記シール部材は、前記外輪の端面に当接する円筒部と、前記円筒部の筒軸方向一端部から内径側に向かって立ち上がる壁部とを備え、前記連結片は前記円筒部の外径面又は前記円筒部の軸方向一端側の端面に固定される構成を採用することができる。
これらの各態様において、前記第一の外径側突出部及び前記第二の外径側突出部、又はそのいずれかにおける外径面の表面粗さを、連結片と接触する前記外輪の外径面の表面粗さよりも小さく設定している構成を採用することができる。
また、これらの各態様において、前記連結片は、前記シール部材に当接する基部と、前記基部から軸方向他端側へ伸びる軸方向部材とを備え、前記内径側突出部が、前記基部及び前記軸方向部材の幅よりも大きく設定されている構成を採用することができる。
この発明は、ハウジングの内径面と外輪の外径面との間に軸方向に沿って配置される潤滑油用の油路と、油路内に入り込みシール部材を外輪に固定する連結片と、連結片に設けられて外輪又は外輪の軸方向他端側に隣接して配置される隣接部材若しくは外輪と隣接部材との間に形成された抜け止め凹部に入り込む内径側突出部と、連結片に設けられて油路の内壁に当接する第一の外径側突出部とを備え、第一の外径側突出部は、内径側突出部が当接する抜け止め凹部の軸方向他端側の内壁よりもさらに軸方向他端側に位置する構成としたので、転がり軸受の軸受空間の側方開口を閉じるシール部材を、外輪に対してしっかりと固定できるようになる。
この発明の第一の実施形態を示し、(a)は転がり軸受を複数備えた軸受ユニットの側面図、(b)は縦断面図 (a)はシール部材を備えた転がり軸受の要部平面図、(b)はその斜視図 (a)はシール部材を備えた転がり軸受の側面図、(b)は正面図 シール部材の分解斜視図 分割シール部材同士を接続する連結片を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の正面図、(c)は(a)の右側面図 分割シール部材同士の接続部を示す(a)(b)は要部拡大図、(c)は断面図 連結片の変形例を示し、(a)(b)は径を大きくした状態を示す平面図及び断面図、(c)(d)は径を小さくした状態を示す平面図及び断面図 (a)(b)はそれぞれ変形例を示す平面図、(c)(d)はさらなる変形例を示す平面図及び断面図 (a)は連結片付近の詳細を示す断面図、(b)はシール部材の要部拡大斜視図、(c)は(b)の要部断面図 シールリングに作用する荷重とそれに対する部材の変形を示す説明図 連結片の変形例を示す分解斜視図 (a)(b)はそれぞれ連結片付近の詳細を示す断面図、(c)は(b)の拡大図、(d)は連結片のさらなる変形例を示す斜視図 この発明の第二の実施形態を示し、(a)は転がり軸受を複数備えた軸受ユニットの側面図、(b)は縦断面図 (a)はシール部材を備えた転がり軸受の要部平面図、(b)はその斜視図 (a)はシール部材を備えた転がり軸受の側面図、(b)は正面図 分割シール部材同士を接続する連結片を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の正面図、(c)は(a)の右側面図 (a)(b)は分割シール部材同士の接続部を示す要部拡大図 連結片の変形例を示す分解斜視図 (a)(b)はそれぞれ連結片付近の詳細を示す断面図、(c)は(b)の拡大図、(d)は連結片のさらなる変形例を示す斜視図 (a)(b)は連結片の比較例を示す断面図
この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。図1〜図12に、この発明の第一の実施形態を示す。この実施形態は、シール部材40を取り付けた軸受ユニット20を備えたオイルポンプ装置10である。
オイルポンプ装置10は、機器の内部に転がり軸受を複数備えた軸受ユニット20と、オイルポンプ60の作動機構部30とを有している。
軸受ユニット20は、ハウジング11の内部に、油潤滑される3つの転がり軸受21,22,23を並列して備えている。これらの転がり軸受21,22,23によって、オイルポンプ60の作動機構部30に通じる軸部材32を、固定のハウジング11に対して軸周り回転自在に支持している。
各転がり軸受21,22,23は、外側軌道輪1と内側軌道輪2の各軌道面1a,2aの間に、転動体3が組み込まれている。転動体3は、保持器4によって周方向に保持されている。以下、外側軌道輪1を外輪1と、内側軌道輪2を内輪2と称する。
外輪1はハウジング11の内径面に圧入されて、そのハウジング11に対して相対回転不能に固定されている。内輪2は、軸部材32の外周に圧入されて、その軸部材32に対して相対回転不能に固定されている。
この実施形態では、転がり軸受21,22,23として、転動体3として円すいころを用いた円すいころ軸受を採用しているが、円すいころ軸受以外の転がり軸受を採用してもよく、また、その転がり軸受21,22,23の並列数は、装置の仕様に応じて自由に設定できる。
オイルポンプ60の作動機構部30は、ポンプケーシング内に互いに相対回転することにより潤滑油を循環経路へ送り出すポンプ用ロータ(図示せず)を備える。ポンプ用ロータは、軸部材32の端部に設けた接続部材31に接続され、これにより、軸部材32の軸周りに回転可能な状態である。ロータへの駆動力は、図示しない駆動源から別途のルートで入力される。
図1に示すように、並列する転がり軸受21,22,23のうち軸方向一方側、すなわち、作動機構部30寄りの2つの転がり軸受21,22は、円すいころの小径側端面同士が軸方向に沿って同じ側、すなわち、作動機構部30の反対側になるように配置されている。
また、並列する転がり軸受21,22,23のうち軸方向他方側、すなわち、作動機構部30から最も遠い転がり軸受23は、円すいころの小径側端面が作動機構部30側になるように配置されている。すなわち、転がり軸受21,22と転がり軸受23とは、円すいころの小径側端面同士が背面合わせになるように配置されている。このため、内側軌道輪2の軌道面2aと外側軌道輪1の軌道面1aとは、3列の転がり軸受21,22,23のうち一方側の二つは、軸方向一方側から他方側へ向かって互いの距離が狭まるように設けられ、他方側の一つは、軸方向一方側から他方側へ向かって互いの距離が拡がるように設けられている。
図1に示すように、軸方向に隣り合う転がり軸受21,22,23同士の間には、間座5,6,7が配置されている。
並列する転がり軸受21,22,23のうち軸方向一方側の2つの転がり軸受21,22の間には、内径側に、両側の内輪2,2の端面に当接する間座5が、外径側に、両側の外輪1,1の端面に当接する間座6が配置されている。
また、並列する転がり軸受21,22,23のうち軸方向他方側の2つの転がり軸受22,23の間には、内径側に、両側の内輪2,2の端面に当接する間座が、外径側に、両側の外輪1,1の端面に当接する間座7が配置されている。図1では、転がり軸受22,23の間における内径側の間座は図示していないが、転がり軸受22,23の周方向に沿って、潤滑油の循環経路13bの外径側の開口部以外の部分に、間座が配置されている。
並列する転がり軸受21,22,23の両端は、軸方向一方側では、軸部材32の端部に設けたフランジ状の接続部材31の端面によって、また、軸方向他方側では、押え部材8の端面によって、軸部材32に対して軸方向へ動かないように固定されている。これらの接続部材31と押え部材8との固定によって、各転がり軸受には予圧が付与されている。
転がり軸受21,22,23によってハウジング11に支持された軸部材32は、オイルを送り出すためのポンプ本体に相当するオイルポンプ60内の回転部材である作動機構部30に接続されている。オイルポンプ60は、その駆動によって、外部にある他の作動機構部70に向かって、内部の潤滑油を送り出す機能を備えている。送り出した潤滑油は、潤滑油の経路に沿って流れて各部の作動機構部70を潤滑した後、やがてオイルポンプ60に戻ってくる。
また、このオイルポンプ60においては、ポンプ本体内の作動機構部30と、その作動機構部30に通じる軸部材32を支える軸受ユニット20とが、共通の潤滑用のオイルで潤滑されるようになっている。オイルポンプ60側の作動機構部30と軸受ユニット20側の軸受空間とは、軸方向一方側の転がり軸受21の軸方向一端側の軸受空間の側方開口D、及び、潤滑油の循環経路12,13を通じて連通している。また、その潤滑油は、ポンプ外の作動機構部70にも送り出される。
この実施形態において、循環経路13は、オイルポンプ側から軸部材32の軸心と同心となるように軸心方向に沿って設けられた軸方向潤滑経路13aと、その潤滑経路13aの端部から半径方向外側へ伸びて、軸部材32の外周面に開口する径方向潤滑経路13bを備える。径方向潤滑経路13bは、転がり軸受22,23の間に挟まれた環状空間Cに開口しているので、この環状空間Cを介して、循環経路13は、軸方向一方側(図中左側)へは転がり軸受21,22の各軸受空間に連通し、軸方向他方側(図中右側)へは転がり軸受23の軸受空間に連通している。
環状空間Cを経て、転がり軸受23の軸受空間を通過した潤滑油は、転がり軸受23の軸方向他端側の軸受空間の開口を通じて、転がり軸受23の軸方向他端側に設けられたハウジング端部空間Bに入り込む。その後、ハウジング11内の外径寄りの部分に形成された潤滑油の循環経路12によって、オイルポンプ60の作動機構部30側へと戻っていく。
循環経路12は、ハウジング端部空間Bから半径方向外側へ伸びる径方向潤滑経路12bと、その径方向潤滑経路12bから軸部材32の軸心方向に沿って設けられた軸方向潤滑経路12aとを備える。
また、環状空間Cを経て、転がり軸受22,21の軸受空間を通過した潤滑油は、転がり軸受21の軸方向一端側の軸受空間の側方開口Dを通じて、オイルポンプ60の作動機構部30側へと戻っていく。
これにより、オイルポンプの作動機構部30と、軸受ユニット20の転がり軸受21,22,23が、共通の潤滑油によって潤滑される。
ところで、転がり軸受21,22,23の軸受空間からは、摩耗粉(鉄粉等)等の異物が発生することがある。この異物が、オイルポンプ60の作動機構部30や、ポンプ外の循環経路途中にある他の作動機構部70に侵入することは好ましくない。そこで、転がり軸受21の軸方向一端側の軸受空間の側方開口D、及び、循環経路12の軸方向一端側の開口12c、すなわち、軸方向潤滑経路12aの開口12cにシール部材40(以下、実施形態では、円環状のシール部材40を用いているので、これをシールリング40と称する)が取付られている。
シールリング40は、転がり軸受21の軸方向一端側の軸受空間の側方開口D、及び、循環経路12の軸方向一端側の開口12cを覆うように、ハウジング11及び外輪1に取付けられる。転がり軸受21の軸方向一端側の軸受空間の側方開口Dは、外輪1と内輪2の軌道面1a,2aに沿って環状に形成されているので、それを覆うシールリング40も環状を成すものとなっている。
図1に示すように、シールリング40が転がり軸受21の端面に当接した状態とされ、他の転がり軸受22,23や間座5,6,7等とともにハウジング11内に収容される。
シールリング40は、図9に示すように、その筒軸方向端面41が、外輪1の軸方向一端側の端面1dに当接する円筒状部材からなる円筒部42と、円筒部42の筒軸方向一端部から内径側に向かって立ち上がる壁部43とを備える。
壁部43には、フィルタ46が設けられている。フィルタ46は、貫通穴からなるフィルタ孔46aの集合によって、転がり軸受21,22の軸受空間からの異物の通過を阻止し、潤滑油の通過は許容されるものである。このとき、フィルタ孔46aの内径は、少量あれば、作動機構部30側へ侵入しても影響がない程度の異物の通過は許容されるよう、適宜の寸法に設定される。
この実施形態では、シールリング40は合成樹脂の成形品からなるものとしている。また、シールリング40は、転がり軸受21の軸受空間の側方開口Dに沿う円環状を成し、その円環の周方向に沿って分割された複数の分割シール部材40’が、連結片80によって円環状に接続された連結体である。周方向に隣り合う分割シール部材40’同士は、連結片80により接続される。連結片80も、合成樹脂の成形品からなるものとしている。
この実施形態では、中心角180°を成す2つの分割シール部材40’で円環状のシールリング40を構成しているので、連結片80は、シールリング40の上部と下部の2箇所に位置している。
さらに、シールリング40が、中心角180°の分割シール部材40’を二つ用いた2分割構成だけでなく、例えば、中心角90°の分割シール部材40’を四つ用いることで円環状のシールリング40を構成してもよいし、中心角60°の分割シール部材40’を六つ用いることで円環状のシールリング40を構成してもよい。
また、この実施形態では、シールリング40は、壁部43のフィルタ46を、シールリング40の本体に一体に形成しているが、壁部43のフィルタ46を、シールリング40の本体の部材とは別部材として、その別部材をシールリング40の本体に、嵌め込み固定、埋め込み固定、接着等の種々の手段で固定するようにしてもよい。
シールリング40や連結片80の素材としては、樹脂以外にも、金属、ゴム等の他の素材を採用してもよい。フィルタ46をシールリング40とは別部材とする場合も、フィルタ46の素材として、樹脂、金属、ゴム等の他の素材を用いることができる。
また、連結片80には、シールリング40の円筒部42の外周面に当接する基部81から、転がり軸受21側へ向かって軸方向へ伸びる軸方向部材82が設けられている。
軸方向部材82は、ハウジング11の内径面と外輪1の外径面との間を通って転がり軸受21側へ伸びて、その軸方向部材82が軌道輪や間座等の軸受部材に係合することにより、シールリング40はハウジング11及び外輪1に固定される。
この実施形態では、軸方向部材82は、循環経路12の軸方向潤滑経路12a内を通って軸方向一端側から他端側へ向かって伸びており、その軸方向部材82の先端82aは先細りの形状となっている。このため、ハウジング11内への挿入がスムーズである。また、軸方向部材82の先端寄りには、内径側へ向かって伸びる内径側突出部83を備えている。軸方向潤滑経路12aは、ハウジング11の内径面と外輪1の外径面との間に軸方向に沿って配置される潤滑油用の油路である。
軸方向部材82は、外輪1の外径面に接触しつつ、内径側突出部83が軸受の軌道輪や間座に設けた抜け止め凹部50に入り込むことで、シールリング40の軸方向への移動が規制される。この実施形態では、抜け止め凹部50は、間座6の一端側端面6aと、転がり軸受21の外輪1の肩部、すなわち、外輪1の外径面と軸方向他端側の端面1bとの間の稜線部に形成された曲面状のアール部1cや面取り部とによって構成されている。
間座6は、外輪1の軸方向他端側に隣接して配置される隣接部材である。この隣接部材である間座6は、軸方向に隣り合う転がり軸受21,22の外輪1同士を、軸方向に位置決めする機能を有している。
また、軸方向潤滑経路12aの軸方向一端側の開口12cは、側面視円環状を成す転がり軸受21の軸受空間の側方開口Dよりも外径側に位置する。この実施形態では、循環経路12の軸方向潤滑経路12aは2本設けられており、周方向に沿って180°の間隔をおいて2箇所に開口12cを有しているが、この開口12cの数は、必要に応じて増減してもよい。
連結片80は、循環経路12側へ突出し、循環経路12の内壁に当接する第一の外径側突出部84を備える。第一の外径側突出部84は、軸方向部材82の外面から外径側へ向かって立ち上がり、その外径面に凸部84aと凹部84b、及び、通油孔84cを備える。凸部84aは、循環経路12の内壁に当接して連結片80を支持し、凹部84bと循環経路12内面との隙間、及び、通油孔84cは、循環経路12から軸受空間外への潤滑油の通路となる。凹部84bと循環経路12の内面との隙間、通油孔84cの内径は、同じく、フィルタ46のメッシュサイズと同じか、そのメッシュサイズ以下に設定される。第一の外径側突出部84に複数の貫通孔やスリットを設けて、異物を捕捉するためのフィルタとすることもできる。
また、連結片80は、第一の外径側突出部84よりも軸方向一端側に、同じく循環経路12側へ突出し、循環経路12の内壁に当接する第二の外径側突出部90を備える。第二の外径側突出部90は、軸方向部材82の外面から外径側へ向かって立ち上がり、その外径面に凸部90aと凹部90b、及び、通油孔90cを備える。凸部90aは、循環経路12の内壁に当接して連結片80を支持し、凹部90bと循環経路12内面との隙間、及び、通油孔90cは、循環経路12から軸受空間外への潤滑油の通路となる。凹部90bと循環経路12の内面との隙間、通油孔90cの内径は、同じく、フィルタ46のメッシュサイズと同じか、そのメッシュサイズ以下に設定される。第二の外径側突出部90に複数の貫通孔やスリットを設けて、異物を捕捉するためのフィルタとすることもできる。
また、軸方向部材82、第一の外径側突出部84及び第二の外径側突出部90は、循環経路12内に入り込んで連結片80ががたつきなく固定されるよう、その幅(転がり軸受の周方向への幅)は循環経路12の幅(同じく転がり軸受の周方向への幅)と合致している。これにより、シールリング40は、ハウジング11及び外輪1に対して回り止めされる。すなわち、軸方向部材82、第一の外径側突出部84及び第二の外径側突出部90は、シールリング40の回り止め手段として機能している。
連結片80には、図5に示すように、基部81から周方向両側へ伸びる対の支え部85が設けられている。支え部85は、シールリング40の外径面に沿う円筒面状の部材である。各支え部85には、内径側へ突出する係止凸部88が設けられている。この係止凸部88が、周方向に隣り合う分割シール部材40’の端部にそれぞれ設けられた係止孔48に入り込むことで、連結片80は、周方向に隣り合う分割シール部材40’の端部同士を接続する。これにより、分割シール部材40’は円環状の連結体に構成される。
また、分割シール部材40’の端部同士は、図6に示すように、壁部43に設けられ互いに対向するカギ状部47a,47bが噛み合っているので、その接続がより強固となっている。
また、シールリング40の壁部43の内径側端部は、内輪2の大つば外径面にわずかな隙間wを介して対向して、壁部43と内輪2との間に隙間(最後すきま)wを有するラビリンスシール構造を形成している。この隙間では、潤滑油は通過が許容されるが、その隙間wの寸法を超える異物の通過は阻止される。壁部43の内径側端部と内輪2の大つば外径面との隙間wは、フィルタ46のメッシュサイズと同じか、そのメッシュサイズ以下に設定される。隙間wは、図4に示すように、シールリング40の内径面に設けた凸部44によって、所定の隙間w1よりも縮小しないように設定されている。図中の符号w2は、シールリング40の軸方向に対する凸部44の幅、符号w3は、シールリング40の周方向に対する凸部44の幅である。
この実施形態では、連結片80と分割シール部材40’は、周方向に隣り合う分割シール部材40’同士の接続部の屈曲(折れ点の発生)を規制する折れ防止手段を備えている。分割シール部材40’同士の接続部が屈曲すると、それぞれの分割シール部材40’の軸方向端面の面方向が互いに異なる方向となり、シールリング40の端面と外輪1の端面1dとの間に隙間を生じるので、このような折れ防止手段が有効である。
図6(a)(b)に示す例では、折れ防止手段として、周方向に隣り合う分割シール部材40’のそれぞれと連結片80とが、互いに、複数の係止凸部88(88a、88a;88b、88b)とそれに対応する数の係止孔48(48a、48a;48b、48b)とが係止することで接続されている。ここでは、並列する二つの係止凸部88が、対応する二つの係止孔48にそれぞれぴったりと入り込んで、連結片80と分割シール部材40’との間に相対回転やがたつき等が生じにくい状態となっている。特に、周方向に沿って複数の係止凸部88と、それに対応する複数の係止孔48を設けたことにより、分割シール部材40’同士の接続が、強固なものとなって、接続部の屈曲を防止している。このとき、係止凸部88の幅(シールリング40の軸方向に対する幅)と、係止孔48の幅(シールリング40の軸方向に対する幅)とは等しいことが望ましい。
なお、複数の係止凸部88と、それに対応する複数の係止孔48は、それぞれ軸方向に並列するように配置することもできる。
また、図6(a)(b)に示す例では、係止凸部88及び係止孔48は、それぞれ断面円形であるが、これらを非円形の断面を有するものとしてもよい。
また、折れ防止手段は、周方向に隣り合う分割シール部材40’のうち少なくとも一方と連結片80との間に設けられていれば、シールリング40の軸方向端面と外輪1の端面1dとの間の隙間発生の防止に寄与し得るが、周方向に隣り合う分割シール部材40’のそれぞれと、連結片80との間に設けられていることが望ましい。
図6(c)に示すように、係止凸部88の先端には、抜け止め凸部88cが設けられている。抜け止め凸部88cは係止孔48の縁に係合して、係止凸部88が係止孔48から抜け出すことを防止する抜け止め機能を発揮している。
また、分割シール部材40’と連結片80との接続位置を周方向に沿って可変とすることにより、複数の分割シール部材40’の接続によって構成されるシールリング40の径を、調整可能とできる。図7の例では、係止凸部88が入り込む係止孔48を、周方向に沿って設定された複数の箇所から任意に選択できるようにしている。
図7(a)(b)の例では、分割シール部材40’の端部から遠い側の係止孔48を利用することにより隙間w1を大きくし、相対的にシーリング40の径を大きく設定しており、図7(c)(d)の例では、分割シール部材40’の端部に近い側の係止孔48を利用することにより隙間w2を小さくし、相対的にシールリング40の径を小さく設定している。
また、この図7に示す例では、係止孔48を周方向に伸びる長孔とすることによって、係止凸部88が、係止孔48内で長孔の長さ方向に沿って移動できるようになっている。具体的には、係止凸部88が断面円形であるのに対し、係止孔48の形状は、シールリング40の周方向に沿って等幅で伸びて、その両端の閉塞縁を半円状とした長孔形状となっている。このため、係止凸部88が係止孔48内を長孔の長手方向に沿って移動することで、連結片80は、周方向に隣り合う分割シール部材40’の端部同士を周方向へスライド自在に接続することができる。これにより、温度上昇によってシールリング40が熱膨張した際に、あるいは、温度下降によりシールリング40が収縮した際に、連結片80で接続された分割シール部材40’の端部間の距離が変化して、その膨張、収縮に対応することができる。
図8(a)に示す例では、前述の例と同じく、周方向に隣り合う分割シール部材40’のそれぞれと連結片80とが、互いに、複数の係止凸部88が、それに対応する数の係止孔48に係止することで接続されて、折れ防止手段を構成している。
ここでは、分割シール部材40’と連結片80との接続に関わる二つの係止凸部88のうち、分割シール部材40’の端部から遠い側の係止凸部88は、係止孔48の外輪1側の内壁に当接し、その反対側の内壁との間には隙間を介在している。また、分割シール部材40’の端部に近い側の係止凸部88は、係止孔48の外輪1側の内壁との間に隙間を介在し、その反対側の内壁には当接している。このような構成により、係止凸部88の幅(シールリング40の軸方向に対する幅)を、係止孔48の幅(シールリング40の軸方向に対する幅)よりも小さくして、両者の円滑な係止及び係止の解除を確保しつつ、且つ、図中に矢印xで示す方向へのシールリング40の屈曲を防止できる。
つまり、分割シール部材40’同士の接続部付近は、連結片80の抜け止め機能によって、外輪1に拘束されているので、連結片80から周方向に沿って離れた部分が、図8(a)に矢印xに示すように、外輪1の端面1dから離脱することを防止することが有効である。
図8(b)に示す例では、周方向に隣り合う分割シール部材40’のそれぞれと連結片80とが、互いに、一つの係止凸部88とそれに対応する一つの係止孔48とが係止することで接続されている。ここで、係止凸部88と係止孔48の断面形状を非円形とすることにより折れ防止手段を構成し、図8(b)に矢印xで示す方向へのシールリング40の屈曲を防止している。ここでは、係止凸部88と係止孔48の断面形状を四角形としているが、五角形、六角形、楕円形など、種々の形状を採用できる。
図8(c)(d)は、図7の例における長孔状の係止孔48の長さを、シールリング40の周方向に沿って長くしたものである。このため、一つの長孔状の係止孔48に、周方向に並列する複数の係止凸部88が入り込んで係止された態様となっている。
以上のように、係止凸部88は、周方向に隣り合う分割シール部材40’のそれぞれに対して少なくとも一つあればよいが、これを二つ、あるいは三つ以上の複数としてもよい。このとき、折れ防止手段は、分割シール部材40’のそれぞれに対して係止凸部88が二つ以上あれば、接続部における屈曲を防止する効果を発揮できる。また、折れ防止手段は、分割シール部材40’のそれぞれに対して係止凸部88が一つであれば、その係止凸部88の断面形状を非円形とし、係止孔48の断面形状も係止凸部88がぴったりと嵌る同形状とすることにより、分割シール部材40’と連結片80との相対回転を規制し、接続部における屈曲を防止する効果を発揮できる。
図9に示す例では、図9(a)は、連結片80が存在する方位におけるシールリング40等の縦断面を示している。連結片80は、周方向に沿って複数(この例では、180°ごとに合計2箇所)備えられている。そして、周方向に隣り合う連結片80間において、シールリング40には、図9(b)に示すように、外輪1に対するシールリング40の外径側への移動を規制する外輪係止凸部45が備えられている。外輪係止凸部45は、隣り合う連結片80間の中央に設けられることが望ましい。外輪係止凸部45は、図9(c)に示すように、外輪1の軌道面1aと端面1dとの間のあご部に係止されて、シールリング40の外径側への移動を規制する。
図10に示すように、ハウジング11の鉛直方向上方側と鉛直方向下方側に連結片80が位置している。ここで、部材の温度上昇により、シールリング40が外径方向に熱膨張しようとした際を想定する。この外径方向での熱膨張は、図中に矢印Pで示すように、鉛直方向上方側と下方側から拘束される。連結片80の第一の外径側突出部84、第二の外径側突出部90が、ハウジング11に当接しているからである。すなわち、連結片80は、ハウジング11に対するシールリング40の外径側への移動を規制している。
このため、シールリング40の熱膨張は、図10の矢印Rの方向へ周方向に作用していく。したがって、周方向に隣り合う連結片80間では、矢印Qに示すように、シールリング40が外径方向へ拡がろうとする力が作用する。このとき、外輪係止凸部45は、ハウジング11に対するシールリング40の外径側への移動を規制することができる。これにより、シールリング40の内径側に設定された隙間wが適正に確保される。
図11は、連結片80の変形例を示すものである。この変形例の連結片80は、円筒部42の外径面に当接する基部81の軸方向一端に、内径側へ突出する係止片89を備えている。係止片89が円筒部42の軸方向一端側の端面に当接して、連結片80はシールリング40に固定される。このため支え部85の設置は省略されている。また、シールリング40は、一体の部材として円環状に成形されたものである。
ここで、連結片80の抜け止め構造について説明する。図12は、支え部85を省略して係止片89を備えた図11の連結片80を例に、この発明の作用を説明しているが、連結片80は、図1〜図6に示すような支え部85を備えた態様であっても、同様の効果を発揮できる。
図12(a)に示すように、連結片80は、軸方向部材82に設けられる外径側突出部84が、内径側突出部83が当接する抜け止め凹部50の軸方向他端側の端面6aよりも、さらに軸方向他端側に位置している。すなわち、外径側突出部84は、外輪1の外径面と端面1bとの間の稜線部に形成された曲面状のアール部1cよりも、さらに軸方向他端側に位置している。
これにより、シールリング40と一体の連結片80を軸方向潤滑経路12a内に挿入する際には、軸方向部材82は、外径側突出部84の軸方向他端側の縁、すなわち、外径側突出部84の外径面84bと他端側の端面84aとの間の稜線部に設けた面取り部84cが、ハウジング11の端面11aの内径側縁に当たることによって、図12(a)の矢印aに示すように、ハウジング11側から内径側へ向かって押圧される。内径側突出部83と外径側突出部84とは軸方向に重複した範囲に設定されているので、この矢印aの押圧により、内径側突出部83は、アール部1cの傾斜面に沿ってスムーズに凹部50へ誘導される。
つづいて、シールリング40と連結片80とを軸方向他端側へ押し込むと、図12(b)に矢印cで示すように、連結片80は、ハウジング11側から内径側への押圧により、内径側突出部83が抜け止め凹部50内に深く入り込む。
このとき、外径側突出部84がアール部1cよりも軸方向他端側にあるので、内径側突出部83は、アール部1cの傾斜面を下るように軸方向他端側へ引っ張られる(図12(b)の矢印b参照)。内径側突出部83の軸方向一端側に向く面83b、及び、その内径側突出部83が当接する抜け止め凹部50の軸方向一端側の内壁(前記アール部1c)が、軸方向一端側から軸方向他端側へ向かって内径側へ傾斜しているので、このような作用が期待できる。
また、内径側突出部83が、アール部1cの傾斜面を下るように軸方向他端側へ引っ張られる(図12(b)の矢印b参照)ことにより、内径側突出部83の軸方向他端側の端面83aは、抜け止め凹部50の軸方向他端側の端面6aに面接触する。内径側突出部83の軸方向他端側の端面83aと、抜け止め凹部50の軸方向他端側の端面6aは、軸方向に直交する面方向を有する。これにより、連結片80は、抜け止め凹部50の軸方向他端側の端面6aによって軸方向へ位置決めされ、よりしっかりと固定されることになる。
この外輪1の稜線部に設けられる曲面状のアール部1cによる効果は、外輪1の稜線部をこのアール部1cに代えて、稜線部の角を落とした面取り部とした場合にも、同様に発揮することができる。すなわち、内径側突出部83が当接する抜け止め凹部50の軸方向一端側の内壁は、軸方向一端側から軸方向他端側に向かって内径側へ傾斜していることが望ましい。
この点について、仮に、外径側突出部84が、抜け止め凹部50の軸方向他端側の端面6aよりも軸方向一端側にあると、図20(a)に矢印eで示すように、連結片80は、軸方向一端側へ引っ張られてしまうことになる。このため、外径側突出部84は、抜け止め凹部50の軸方向他端側の端面6aよりも軸方向他端側にあることが望ましい。
さらに、図12(c)に示すように、外径側突出部84と間座6とは、その軸方向位置が、図中の軸方向幅Lの範囲で重複して配置されている。間座6は、図中の符号Wの軸方向幅となっている。このため、外径側突出部84がハウジング11側から内径側へ向かって押圧される際に、その押圧力が、抜け止め凹部50に入り込む内径側突出部83に伝達されやすい。
この点について、仮に、外径側突出部84と間座6との軸方向位置が重複していないと、図20(b)に示すように、外径側突出部84がハウジング11側から内径側へ向かって押圧される際に、その押圧力が、軸方向部材82の先端82aが内径側へ傾く力になって逃げてしまい、内径側突出部83は、矢印fに示すように、抜け止め凹部50から抜け出してしまう。このため、外径側突出部84と間座6との軸方向位置は重複していることが望ましい。
また、外径側突出部84と内径側間座5との軸方向位置も、重複していることが望ましい。外径側突出部84がハウジング11側から内径側へ向かって押圧される際に、その押圧力が、抜け止め凹部50に入り込む内径側突出部83に伝達されやすいからである。
このような構成としたことにより、転がり軸受21,22,23の軸受空間からの潤滑油は、シールリング40に設けたフィルタ46の孔46aや、循環経路12内の孔や隙間、あるいは、壁部43の内径側端部と内輪2の大つば外径面との隙間を通過して、軸受空間外へ流出する。このため、作動機構部30、70の動作に影響が出るような大きな異物(金属からなる摩耗粉の他、特に剥離片等)は、作動機構部30、70側へは侵入しない。また、連結片80によって、シールリング40が外輪1にしっかりと固定されているので、シールリング40と外輪1等との間に、異物を流出させるような隙間が生じることを防止できる。
なお、上記の実施形態では、抜け止め凹部50は、外輪1と間座6(隣接部材)との間に形成したが、この抜け止め凹部50を、外輪1の外径面や間座6の外径面に形成してもよい。また、転がり軸受21に隣接する別の転がり軸受22の外輪1を隣接部材として、その隣接部材の外径面に抜け止め凹部50を形成してもよい。
また、連結片80の第一の外径側突出部84や第二の外径側突出部90における外径面84b,90bの表面粗さは、基部81や軸方向部材82の内径面82b、すなわち、連結片80と接触する外輪1の外径面1dの表面粗さよりも小さく(滑らかに)なっている。これにより、連結片80が抜けにくくなるという効果が期待できる。
ここで、表面粗さを比較する基準として、例えば、JIS(日本工業規格)等に規定される中心線平均粗さ(算術平均粗さRa:表面の山すべてを均した中心線で示される数値)や、最大高さ粗さ(Rmax:表面の計測範囲内でもっとも高い山の高さ)、十点平均高さ(Rz:表面の計測範囲内で高い山から10点を抽出しその平均値を取った値)等の各種の基準、測定方法を採用することができる。
また、例えば、図12(d)に示すように、連結片80の内径側突出部83の幅A+αが、基部81や軸方向部材82の幅Aよりも大きいものを採用することができる。すなわち、この変形例では、内径側突出部83の両端83c,83dは、基部81や軸方向部材82の幅方向両端縁82c,82dよりも外側に突出している。これにより、連結片80は周方向突出する凸部形状を有することとなり、その結果、軸方向潤滑経路12aの開口12cの幅よりも対向する周方向突出する凸部間の幅が大きくなり、軸受挿入時に、周方向突出する凸部がハウジング11の軸方向潤滑経路12でない部分に入り込むため、ハウジング11に内径側突出部83が入ったときより、軸連結片80は軸方向、また、径方向に動きが規制され、運転時に外れることがなくなる。
また、上記の各実施形態において、シールリング40に設けられるフィルタ46の孔46a周辺に、金属粉等の異物の付着を検出するセンサ部を備えてもよい。センサ部としては、例えば、対の電極間に異物が介在することにより、その異物が電極間を短絡した際の電気的出力の変化によって、異物の存在を検知する電気式センサを採用することができる。
例えば、対の電極間に、フィルタ46の孔46aを通過できない大きさの金属からなる異物が付着することに伴って、その対の電極からケーブルを通じて接続された出力検出装置は、対の電極間の異物を介した導通によって、電気回路の電気的出力の変化を検出し、潤滑油に含まれる金属からなる異物の状態(含有量)を検知することができる。対の電極に接続されたケーブルは、基板を経由してハウジング11外に引き出されて、そのケーブルに接続された出力検出装置がいずれかの部分に設けられる。シールリング40外にケーブルを引き出すためのセンサ孔は、シールリング40の円筒部42や壁部43等に設けることができる。
図13〜図19に、この発明の第二の実施形態を示す。この実施形態は、前述の第一の実施形態における連結片80の第二の外径側突出部90を省略したものである。また、連結片80が備える係止凸部88を、一つの分割シール部材40’に対して一つとしている点で異なっている。
このように、連結片80の外径側突出部を一つ、すなわち、外径側突出部を第一の外径側突出部84のみとした場合も、連結片80は、同じくシールリング40の回り止め機能、抜け止め機能、外径側への移動防止機能を発揮することができる。
第一の実施形態における図1は、第二の実施形態の図13に対応する。以下、図2は図14に対応し、図3は図15に対応する。図4は、第二の外径側突出部90の有無に関する以外は、第一の実施形態と第二の実施形態とで共通である。図5は図16に対応し、図6は図17に対応し、図11は図18に対応する。図12と図19は、第二の外径側突出部90の有無に関する以外は、第一の実施形態と第二の実施形態とで共通の内容である。このため、詳細な説明は省略する。
これらの実施形態では、係止凸部88を連結片80に、係止孔48を分割シール部材40’に設けたが、これを逆にして、係止凸部88を分割シール部材40’に、係止孔48を連結片80に設けてもよい。
上記の実施形態では、シールリング40にフィルタ46を設けたが、フィルタ46を備えないシールリング40においても、この発明の内容を適用できる。また、分割シール部材40’や連結片80を用いた分割型のシールリング40以外にも、分割型ではない一体型の円環状のシールリング40においても、この発明の内容を適用できる。
この発明のシール部材は、実施形態以外の各種の転がり軸受ユニットにも適用できる。さらに、そのシール部材を備えた転がり軸受ユニットは、オイルポンプ60以外の各種装置にも適用できる。特に、この発明の転がり軸受は、転がり軸受から発生する摩耗粉(鉄粉等)等の異物が、潤滑油の循環経路の途中にある作動機構部70に侵入することを防ぐ必要がある種々の装置に適用できる。
1 外輪(外側軌道輪)
1b 端面
1c アール部
2 内輪(内側軌道輪)
3 転動体
4 保持器
5,6,7 間座
6a 端面
8 押え部材
10 オイルポンプ装置
11 ハウジング
12,13 循環経路
20 軸受ユニット
21,22,23 転がり軸受
30 作動機構部
31 接続部材
32 軸部材
40 シールリング(シール部材)
40’ 分割シール部材
44 凸部
45 外輪係止凸部
46 フィルタ
50 抜け止め凹部
60 オイルポンプ
70 作動機構部
80 連結片
81 基部
82 軸方向部材
83 内径側突出部
84 外径側突出部
85 支え部

Claims (10)

  1. ハウジング内に固定される外輪と、
    前記外輪に対向する内輪と、
    前記外輪と前記内輪との間の軸受空間に配置される転動体と、
    前記外輪の軸方向一端側に取り付けられて前記軸受空間の側方開口を覆う円環状のシール部材と、
    前記ハウジングの内径面と前記外輪の外径面との間に軸方向に沿って配置される潤滑油用の油路と、
    前記油路内に入り込み前記シール部材を前記外輪に固定する連結片と、
    前記連結片に設けられて前記外輪又は前記外輪の軸方向他端側に配置される隣接部材若しくは前記外輪と前記隣接部材との間に形成された抜け止め凹部に入り込む内径側突出部と、
    前記連結片に設けられて前記油路の内壁に当接する第一の外径側突出部と、
    を備え、
    前記第一の外径側突出部は、前記内径側突出部が当接する前記抜け止め凹部の軸方向他端側の内壁よりもさらに軸方向他端側に位置する
    転がり軸受ユニット。
  2. 前記連結片の前記第一の外径側突出部よりも軸方向一端側に前記油路の内壁に当接する第二の外径側突出部
    を備える請求項1に記載の転がり軸受ユニット。
  3. 前記内径側突出部が当接する前記抜け止め凹部の軸方向一端側の内壁は、軸方向一端側から軸方向他端へ向かって内径側へ傾斜している
    請求項1又は2に記載の転がり軸受ユニット。
  4. 前記内径側突出部が当接する前記抜け止め凹部の軸方向一端側の内壁は、前記外輪の外径面と軸方向他端側の端面との間の稜線部に設けられた面取り部又はアール部である
    請求項3に記載の転がり軸受ユニット。
  5. 前記第一の外径側突出部と前記隣接部材とは、その軸方向位置が重複して配置されている
    請求項1〜4のいずれか一つに記載の転がり軸受ユニット。
  6. 前記第一の外径側突出部と前記内径側突出部とは、その軸方向位置が重複して配置されている
    請求項1〜5のいずれか一つに記載の転がり軸受ユニット。
  7. 前記シール部材は周方向に沿って分割された複数の分割シール部材が前記連結片によって接続されて円環状の連結体となっている
    請求項1〜6のいずれか一つに記載の転がり軸受ユニット。
  8. 前記シール部材は、前記外輪の端面に当接する円筒部と、前記円筒部の筒軸方向一端部から内径側に向かって立ち上がる壁部とを備え、
    前記連結片は前記円筒部の外径面又は前記円筒部の軸方向一端側の端面に固定される
    請求項7に記載の転がり軸受ユニット。
  9. 前記第一の外径側突出部及び前記第二の外径側突出部、又はそのいずれかにおける外径面の表面粗さを、連結片と接触する前記外輪の外径面の表面粗さよりも小さく設定している
    請求項1〜8のいずれか一つに記載の転がり軸受ユニット。
  10. 前記連結片は、前記シール部材に当接する基部と、前記基部から軸方向他端側へ伸びる軸方向部材とを備え、
    前記内径側突出部が、前記基部及び前記軸方向部材の幅よりも大きく設定されている
    請求項1〜9のいずれか一つに記載の転がり軸受ユニット。
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