発明の詳細な説明
特に定義されない限り、本明細書で使用される総ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等のいずれの方法および材料も、本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料を説明する。本発明の目的のために、以下の用語を下記に定義する。
冠詞「a」および「an」は、その冠詞の文法的目的語の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために、本明細書において使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
本明細書全体を通じて、文脈上特に必要でない限り、用語「含んでなる(comprise、comprisesおよびcomprising)」は、言及した工程もしくは要素または工程もしくは要素の群を含むが、いずれの他の工程もしくは要素または工程もしくは要素の群も排除しないことを意味すると理解される。
治療の方法
本発明は、式(I)(配列番号1)のペプチドは、侵害受容性疼痛に対する鎮痛効果をほとんどまたは全く示さずに、神経障害性疼痛を軽減することができるという点で、有利な鎮痛特性を有するという本発明者らの意外な発見に、少なくとも部分的に基づいて予測される。したがって、本明細書に開示される一側面において、対象における神経障害性疼痛を治療する方法であって、治療上有効な量の式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩:
R1-CRSVEGSCG-R2 (I)(配列番号1)
[式中、
R1は、YLRIVQ、LRIVQ、RIVQ、IVQ、VQ、およびQからなる群から選択されるか、またはR1は存在せず;かつ
R2はF(フェニルアラニン)であるか、またはR2は存在しない。]
を対象に投与することを含んでなる方法が提供される。
好ましい実施形態において、ペプチドはYLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)である。配列番号2(本明細書では互換的にLAT8881またはAOD9604という)は、ペプチドのN末端のさらなるチロシン残基とともに、ヒト成長ホルモン(hGH)のアミノ酸残基178~192に及ぶhGHのC末端断片である(例えば、GenBank受託番号AAA72260.1、AML27053.1およびADE06645.1参照)。
本発明者らはまた、神経障害性疼痛に対する治療効果は、配列番号2のペプチドのより小さな断片において保持されることを意外にも見出した。例えば、本発明者らは、配列番号4(CRSVEGSCG;本明細書ではLAT9991ともいう)は、in vivoにおいて神経障害性疼痛に対する治療上有効な鎮痛効果を有することを意外にも見出した。さらに、本発明者らは、配列番号5(CRSVEGSCGF;本明細書ではLAT9991Fともいう)も、in vivoにおいて神経障害性疼痛に対する治療上有効な鎮痛効果を有することを意外にも見出した。したがって、本明細書に開示される一実施形態において、R1は存在しない。別の実施形態において、R2は存在しない。さらに別の実施形態において、R1およびR2は存在しない。
本明細書に開示される一実施形態において、式(I)のペプチドは、9~16アミノ酸残基長、好ましくは、9、10、11、12、13、14、15または16アミノ酸残基長である。式(I)のペプチドは、一般に、2つのシステイン(C)残基間にジスルフィド結合を含んでなり、それにより、2つのシステイン残基間に環状ペプチドを形成する。
一実施形態において、ペプチドは、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)、LRIVQCRSVEGSCGF(配列番号3)、CRSVEGSCG(配列番号4)およびCRSVEGSCGF(配列番号5)からなる群から選択される。
好ましい実施形態において、ペプチドはCRSVEGSCG(配列番号4)である。別の好ましい実施形態において、ペプチドはCRSVEGSCGF(配列番号5)である。
本発明者らはまた、式(I)のペプチドの非ヒトバリアントは、それらのヒト対応物と類似した鎮痛特性を有することを意外にも見出した。好適な式(I)のペプチドの非ヒトバリアントは、当業者によく知られ、その例示的な例はWO2013/082667に開示されており、その内容は引用することにより本明細書の一部とされる。本明細書に開示される一側面において、対象における神経障害性疼痛を治療する方法であって、治療上有効な量の式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩:
R1-CRRFVESSC-R2 (II)(配列番号6)
[式中、
R1は、YLRVMK、LRVMK、RVMK、VMK、MK、およびKからなる群から選択されるか、またはR1は存在せず;かつ
R2は、A(アラニン)およびAF(アラニン-フェニルアラニン)からなる群から選択されるか、またはR2は存在しない。]
を対象に投与することを含んでなる方法が提供される。
一実施形態において、ペプチドは、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)、LRVMKCRRFVESSCAF(配列番号8)、CRRFVESSCAF(配列番号9)およびCRRFVESSCA(配列番号10)からなる群から選択される。
式(II)のペプチドは、9~17アミノ酸残基長、好ましくは、9、10、11、12、13、14、15、16または17アミノ酸残基長である。式(II)のペプチドは、一般に、2つのシステイン(C)残基間にジスルフィド結合を含んでなり、それにより、2つのシステイン残基間に環状ペプチドを形成する。一実施形態において、ペプチドは、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)、LRVMKCRRFVESSCAF(配列番号8)、CRRFVESSCAF(配列番号9)およびCRRFVESSCA(配列番号10)からなる群から選択される。一実施形態において、ペプチドはYLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)である。別の実施形態において、ペプチドはCRRFVESSCAF(配列番号9)である。別の実施形態において、ペプチドはCRRFVESSCA(配列番号10)である。
一実施形態において、ペプチドは、薬学上許容可能な塩として形成される。薬学上許容可能でない塩は、薬学上許容可能な塩の調製における中間体として有用であり得るか、または保存もしくは輸送中に有用であり得るため、薬学上許容可能でない塩も想定されると理解されるべきである。好適な薬学上許容可能な塩は、当業者によく知られ、その例示的な例としては、薬学上許容可能な無機酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、および臭化水素酸の塩、または薬学上許容可能な有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチルスルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸および吉草酸の塩が挙げられる。好適な塩基塩の例示的な例としては、薬学上許容可能な陽イオン、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびアルキルアンモニウムで形成されるものが挙げられる。塩基性窒素含有基は、低級ハロゲン化アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物;硫酸ジメチルおよび硫酸ジエチルのような硫酸ジアルキル;などの剤で四級化され得る。
式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩を含んでなるプロドラッグも、本明細書に開示される。本明細書で使用する場合、「プロドラッグ」は一般に、in vivoで代謝されて、式(I)もしくは(II)の活性ペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩をもたらし得る化合物を指す。いくつかの実施形態において、プロドラッグ自体も、本明細書において他所に記載されるように、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩と同じまたは実質的に同じ鎮痛活性を共有する。
いくつかの実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、C末端キャッピング基をさらに含んでなってもよい。用語「C末端キャッピング基」は、本明細書で使用する場合、C末端カルボン酸の反応性を遮断する基を指す。好適なC末端キャッピング基は、C末端カルボン酸と反応してアミド基またはエステルを形成し、例えば、C末端キャッピング基は、-C(O)NHRaまたは-C(O)ORbを形成し、式中、C(O)はC末端カルボン酸基由来であり、Raは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはアリールであり、Rbは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはアリールである。特定の複数の実施形態において、C末端キャッピング基は-NH2であり、-C(O)NH2を形成する。いくつかの実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、C末端ポリエチレングリコール(PEG)を含んでなる。一実施形態において、PEGは、220~5500Da、好ましくは220~2500Da、より好ましくは570~1100Daの範囲の分子量を有する。
いくつかの実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、N末端キャッピング基をさらに含んでなってもよい。用語「N末端キャッピング基」は、本明細書で使用する場合、N末端アミノ基の反応性を遮断する基を指す。好適なN末端キャッピング基は、N末端アミノ基と反応してアミド基を形成するアシル基であり、例えば、N末端キャッピング基は-NHC(O)Raを形成し、式中、NHはN末端アミノ基由来であり、Raは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはアリールである。特定の複数の実施形態において、N末端キャッピング基は-C(O)CH3(アシル)であり、-NHC(O)CH3を形成する。
いくつかの実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、本明細書に記載のC末端キャッピング基およびN末端キャッピング基を含んでなってもよい。
本明細書に記載の式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、当業者に公知のいずれかの方法で作製することができる。好適な方法の例示的な例としては、FmocまたはBoc保護アミノ酸残基を用いた液相または固相合成、微生物培養、遺伝子組換え微生物、植物を用いた組換え技術および組換えDNA技術が挙げられる(例えば、Sambrook and Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第3版), 2001, CSHL Press参照)。
本明細書において他所に記載されるように、本発明者らは、式(I)(配列番号1)のペプチドは、侵害受容性疼痛に対する鎮痛効果をほとんどまたは全く示さずに、神経障害性疼痛を軽減することができるという点で、有利な鎮痛特性を有することを、初めて意外にも見出した。したがって、式(I)のペプチドは、神経障害性疼痛の1以上の症状を含め、対象における神経障害性疼痛の発症を治療、予防、軽減するか、またはそうでなければ遅延させるために好適に使用することができる。本発明者らはまた、式(I)のペプチドの非ヒトバリアントは、それらのヒト対応物と類似した鎮痛特性を有することを意外にも見出した。本発明者らはまた、式(I)のペプチドの非ヒトバリアントは、それらのヒト対応物と類似した鎮痛特性を有することを意外にも見出した。
したがって、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、神経障害性疼痛の1以上の症状を含め、対象における神経障害性疼痛の発症を治療、予防、軽減するか、またはそうでなければ遅延させるために好適に使用することができる。
用語「治療する」、「治療」などは、神経障害性疼痛の1以上の症状、例えば、アロディニアまたは痛覚過敏を含め、神経障害性疼痛を緩和、低減、軽減、寛解するか、またはそうでなければ阻害することを意味するために、本明細書において互換的に使用される。用語「治療する」、「治療」などは、神経障害性疼痛を発症しやすい、またはそのリスクにあり得るが、それを有するとまだ診断されていない対象における神経障害性疼痛の発症またはその後の進行の発生または遅延から神経障害性疼痛を予防することを意味するためにも、本明細書において互換的に使用される。その文脈において、用語「治療する」、「治療」などは、「予防」、「予防的(prophylactic)」および「予防的(preventative)」などの用語と互換的に使用される。
用語「治療する」、「治療」などはまた、疼痛の作用を少なくとも一定期間緩和、予防、低減、軽減、寛解するか、またはそうでなければ阻害することを含む。用語「治療する」、「治療」などは、神経障害性疼痛またはその症状が、永久的に緩和、低減、軽減、寛解されるか、またはそうでなければ阻害されることを意味するものではなく、したがって、神経障害性疼痛またはその症状の一時的な緩和、低減、軽減、寛解またはそうでなければ阻害も包含するとも理解されるべきである。
理論または特定の適用様式に拘束されることなく、神経障害性疼痛は一般に、神経組織もしくはニューロンそれ自体に対する傷害もしくは疾患による損傷、または神経組織内の機能不全の結果生じる疼痛として特徴付けられる。疼痛は、末梢性、中枢性またはその組合せであってもよく、言い換えれば、用語「神経障害性疼痛」は一般に、原発巣または末梢もしくは中枢神経系における機能不全により惹起されるまたは生じるいずれかの疼痛症候群を指す。神経障害性疼痛は、オピオイドなどの一般的な鎮痛薬による治療に対して効果的に反応しないという点でも識別可能である。対照的に、侵害受容性疼痛は、組織に対する損傷または傷害を生じ得る侵害刺激または潜在的に有害な刺激による侵害受容器の刺激の結果生じる疼痛として特徴付けられる。侵害受容性疼痛は一般に、オピオイドなどの一般的な鎮痛薬に反応性である。
用語「鎮痛」は、痛覚の欠損を含む疼痛知覚の低下の状態、および侵害刺激に対する感受性の低下または欠損の状態を説明するために、本明細書において使用される。このような疼痛知覚の低下または欠損の状態は一般に、当技術分野で一般に理解されているように、1つまたは複数の疼痛管理剤の投与により誘発され、意識消失を伴わずに生じる。化合物が鎮痛効果を提供することができるかどうかを決定する好適な方法は、当業者によく知られ、その例示的な例としては、神経障害性疼痛、例えば、慢性絞扼損傷、脊髄神経結紮および部分的坐骨神経結紮の動物モデル(Bennett et al. (2003); Curr. Protoc. Neurosci.,第9章,第9.14部参照)ならびに侵害受容性疼痛、例えば、ホルマリン、カラゲナンまたは完全フロイントアジュバント(CFA)誘発炎症性疼痛の動物モデルの使用が挙げられる。疼痛の他の好適なモデルは、Gregoryら(2013, J. Pain.; 14(11); “:An overview of animal models of pain: disease models and outcome measures”)において考察されている。
当業者には公知であるように、ニューロパチーおよび神経障害性疼痛の可能性のある原因は多く存在する。したがって、原因を問わず、神経障害性疼痛の治療または予防が本明細書において企図されると理解されるべきである。いくつかの実施形態において、神経障害性疼痛は、神経に影響を及ぼす疾患もしくは病態(原発性ニューロパチー)および/または全身性疾患により生じるニューロパチー(続発性ニューロパチー)の結果であり、その例示的な例としては、糖尿病性ニューロパチー;帯状疱疹(Herpes Zoster(shingle))関連ニューロパチー;線維筋痛;多発性硬化症、脳卒中、脊髄損傷;慢性術後疼痛、幻肢痛、パーキンソン病;尿毒症関連ニューロパチー;アミロイドーシスニューロパチー;HIV感覚性ニューロパチー;遺伝性運動感覚性ニューロパチー(HMSN);遺伝性感覚性ニューロパチー(HSN);遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー;潰瘍断節を伴う遺伝性ニューロパチー;ニトロフラントインニューロパチー;ソーセージ様ニューロパチー;栄養欠乏により引き起こされるニューロパチー、腎不全により引き起こされるニューロパチーおよび複合性局所疼痛症候群が挙げられる。神経障害性疼痛を生じ得る病態の他の例示的な例としては、反復活動、例えば、タイピングまたは組立ラインでの作業、末梢神経障害を生じることで知られる薬剤、例えば、いくつかの抗レトロウイルス薬ddC(ザルシタビン)およびddI(ジダノシン)、抗生物質(メトロニダゾール、クローン病に使用される抗生物質、結核に使用されるイソニアジド)、金化合物(関節リウマチに使用される)、いくつかの化学療法薬(例えば、ビンクリスチンなど)などが挙げられる。アルコール、鉛、ヒ素、水銀および有機リン農薬を含む化合物も、末梢神経障害を生じることで知られる。いくつかの末梢神経障害は、感染過程と関連している(例えば、ギラン・バレー症候群)。神経障害性疼痛の他の例示的な例としては、熱的痛覚過敏または機械的痛覚過敏、熱的アロディニアまたは機械的アロディニア、糖尿病性疼痛、口腔に影響を及ぼす神経障害性疼痛(例えば、三叉神経障害性疼痛、非定型歯痛(幻歯痛)、口腔灼熱症候群)、線維筋痛および絞扼痛が挙げられる。
本明細書に開示される一実施形態において、神経障害性疼痛は、糖尿病性ニューロパチー;帯状疱疹(Herpes Zoster(shingle))関連ニューロパチー;線維筋痛;多発性硬化症、脳卒中、脊髄損傷;慢性術後疼痛、幻肢痛、パーキンソン病;尿毒症関連ニューロパチー;アミロイドーシスニューロパチー;HIV感覚性ニューロパチー;遺伝性運動感覚性ニューロパチー(HMSN);遺伝性感覚性ニューロパチー(HSN);遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー;潰瘍断節を伴う遺伝性ニューロパチー;ニトロフラントインニューロパチー;ソーセージ様ニューロパチー;栄養欠乏により引き起こされるニューロパチー、腎不全により引き起こされるニューロパチー、三叉神経障害性疼痛、非定型歯痛(幻歯痛)、口腔灼熱症候群、複合性局所疼痛症候群、反復性緊張外傷、薬剤性末梢神経障害、感染症に関連した末梢神経障害、アロディニア、知覚過敏、痛覚過敏、灼熱痛および電撃痛からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、神経障害性疼痛は、しびれ、脱力および反射消失を伴い得る。疼痛は、重度および身体障害性であり得る。「痛覚過敏」とは、通常有痛性である刺激に対する反応の増加を意味する。痛覚過敏状態は、通常有痛性ではない刺激により引き起こされる疼痛と関連した状態である。用語「知覚過敏」は、特に皮膚の過剰な物理的感受性を指す。用語「アロディニア」は、本明細書で使用する場合、非侵害刺激の結果生じる疼痛、すなわち、通常疼痛を誘発しない刺激に起因する疼痛を指す。アロディニアの例示的な例としては、熱的アロディニア(寒冷または温暖刺激に起因する疼痛)、接触性アロディニア(軽い圧力または接触に起因する疼痛)、機械的アロディニア(強い圧力または針刺しに起因する疼痛)などが挙げられる。
神経障害性疼痛は、急性または慢性であり得、本文脈においては、ニューロパチーの時間的経過はその根本原因に基づいて変わり得ると理解されるべきである。例えば、外傷では、神経障害性疼痛または神経障害性疼痛の症状の発症は、急性または突発性であり得る。しかしながら、ほとんどの重度の症状は、経時的に発症し得、数年間持続し得る。数週間~数ヵ月にわたる慢性の時間的経過は通常、中毒性または代謝性ニューロパチーを示す。慢性の緩徐進行性のニューロパチー、例えば、有痛性糖尿病性ニューロパチーまたはほとんどの遺伝性ニューロパチーまたは慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)と呼ばれる病態とともに生じるものは、数年間にわたる時間的経過をたどり得る。再発および寛解する症状を伴う神経障害性病態としては、ギラン・バレー症候群が挙げられる。
いくつかの実施形態において、神経障害性疼痛は、神経過敏症を特徴とする病態、例えば、線維筋痛または過敏性腸症候群の結果生じる。
他の複数の実施形態において、神経障害性疼痛は、神経過敏症に至る異常な神経再生と関連した障害の結果生じる。このような障害としては、乳房痛、間質性膀胱炎、外陰部痛および癌化学療法誘発ニューロパチーが挙げられる。
いくつかの実施形態において、神経障害性疼痛は、手術、術前疼痛および術後疼痛、特に術後神経障害性疼痛と関連している。
用語「対象」は、本明細書で使用する場合、神経障害性疼痛の治療または予防が望まれる哺乳動物対象を指す。好適な対象の例示的な例としては、霊長類、特にヒト、コンパニオン動物、例えば、ネコおよびイヌなど、使役動物、例えば、ウマ、ロバなど、家畜動物、例えば、ヒツジ、雌ウシ、ヤギ、ブタなど、実験動物、例えば、ウサギ、マウス、ラット、モルモット、ハムスターなどおよび捕獲野生動物、例えば、動物園および野生動物公園における動物、シカ、ディンゴなどが挙げられる。一実施形態において、対象はヒトである。別の実施形態において、対象は、イヌ、ネコおよびウマからなる群から選択される。
本明細書における対象への言及は、対象が神経障害性疼痛またはその症状を有することを意味するものではないが、神経障害性疼痛またはその症状を発症するリスクにある対象も含むものと理解されるべきである。一実施形態において、対象は、神経障害性疼痛またはその症状を有する(すなわち、経験している)。別の実施形態において、対象は、治療の時点で神経障害性疼痛またはその症状を経験していないが、神経障害性疼痛またはその症状を発症するリスクにある。ある例示的な例において、対象は、神経障害性疼痛を発症するリスクに対象を置く疾患または病態、例えば、糖尿病性ニューロパチーに至り得る管理不十分な糖尿病を有する。別の実施形態において、対象は、神経障害性疼痛に至る可能性がある疾患または病態、例えば、帯状疱疹後神経痛に至り得る帯状疱疹(herpes zoster(shingle))を有している。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に投与することを含んでなる。好ましい実施形態において、非ヒト対象は、イヌ、ネコまたはウマからなる群から選択される。他の複数の実施形態において、本明細書に開示される方法は、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩をヒト対象に投与することを含んでなる。他の複数の実施形態において、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、非ヒト対象、例えば、イヌ、ネコまたはウマに投与される。
式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、治療上有効な量で投与されるべきである。語句「治療上有効な量」は一般に、所望の反応を達成するため、または治療される神経障害性疼痛の発症を遅延させるもしくは進行を阻害する、または発症もしくは進行をまとめて停止するために必要な量を意味する。治療上有効な量のペプチドはいくつかの因子に応じて変わることは、当業者により理解され、その例示的な例としては、治療される対象の健康および身体的状態、治療される対象の分類群、治療される神経障害性疼痛の重症度、式(I)もしくは式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を含んでなる組成物の調合(formulation)、投与経路、および前述のいずれかの組合せが挙げられる。
治療上有効な量は一般に、当業者による慣例的な試行を通じて決定され得る比較的広い範囲内に収まる。ヒト対象に投与するための式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩の好適な治療上有効な量の例示的な例としては、約0.001mg/kg体重~約1g/kg体重、好ましくは、約0.001mg/kg体重~約50g/kg体重、より好ましくは、約0.01mg/kg体重~約1.0mg/kg体重が挙げられる。本明細書に開示される一実施形態において、式(I)もしくは式(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩の治療上有効な量は、用量あたり約0.001mg/kg体重~約1g/kg体重(例えば、0.001mg/kg、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.15mg/kg、0.2mg/kg、0.25mg/kg、0.3mg/kg、0.35mg/kg、0.4mg/kg、0.45mg/kg、0.5mg/kg、0.5mg/kg、0.55mg/kg、0.6mg/kg、0.65mg/kg、0.7mg/kg、0.75mg/kg、0.8mg/kg、0.85mg/kg、0.9mg/kg、0.95mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、4.5mg/kg、5mg/kg、5.5mg/kg、6mg/kg、6.5mg/kg、7mg/kg、7.5mg/kg、8mg/kg、8.5mg/kg、9mg/kg、9.5mg/kg、10mg/kg、10.5mg/kg、11mg/kg、11.5mg/kg、12mg/kg、12.5mg/kg、13mg/kg、13.5mg/kg、14mg/kg、14.5mg/kg、15mg/kg、15.5mg/kg、16mg/kg、16.5mg/kg、17mg/kg、17.5mg/kg、18mg/kg、18.5mg/kg、19mg/kg、19.5mg/kg、20mg/kg、20.5mg/kg、21mg/kg、21.5mg/kg、22mg/kg、22.5mg/kg、23mg/kg、23.5mg/kg、24mg/kg、24.5mg/kg、25mg/kg、25.5mg/kg、26mg/kg、26.5mg/kg、27mg/kg、27.5mg/kg、28mg/kg、28.5mg/kg、29mg/kg、29.5mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg、105mg/kg、110mg/kg体重、など)である。一実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩の治療上有効な量は、約0.001mg~約50mg/kg体重である。一実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩の治療上有効な量は、約0.01mg~約1.0mg/kg体重である。投与計画は、最適な治療反応を提供するように調整してもよい。例えば、いくつかの分割した用量を毎日、毎週、毎月または他の好適な時間間隔で投与してもよく、または用量は、病態の緊急性に応じて比例的に低減してもよい。
本明細書において他所に記載されるように、本発明者らは、式(I)のペプチドは、有利な鎮痛特性を有し、それにより、侵害受容性疼痛に対する鎮痛効果が最小限であるかまたは全くない状態で、対象における神経障害性疼痛を軽減することができることを、意外にも見出した。したがって、本明細書に開示される一実施形態において、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、侵害受容性疼痛に対する治療上有効な鎮痛効果の非存在下で、対象における神経障害性疼痛を軽減する治療上有効な量で、対象に投与される。本発明者らはまた、式(I)のペプチドの非ヒトバリアントは、それらのヒト対応物と類似した鎮痛特性を有することを意外にも見出した。したがって、本明細書に開示される一実施形態において、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、侵害受容性疼痛に対する治療上有効な鎮痛効果の非存在下で、対象における神経障害性疼痛を軽減する治療上有効な量で、対象に投与される。
「侵害受容性疼痛に対する治療上有効な鎮痛効果」とは、対象の侵害受容性疼痛の知覚の部分的または完全な低減を意味する。したがって、侵害受容性疼痛に対する治療上有効な鎮痛効果の非存在は、一実施形態において、神経障害性疼痛の低減にもかかわらず、対象が式(I)もしくは式(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩を投与されていない場合と同じかまたは実質的に同じ程度まで、対象が侵害受容性疼痛の刺激を知覚できる能力を保持することを特徴とし得る。一実施形態において、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、神経障害性疼痛を治療するのに好適な用量での侵害受容性疼痛の治療に治療上有効ではない。一実施形態において、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、神経障害性疼痛を治療するのに好適な用量での侵害受容性疼痛の治療に治療上有効ではない。
他の複数の実施形態において、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、侵害受容性疼痛に対するいくつかの、そうでなければ治療上有効な鎮痛効果で、対象における神経障害性疼痛を軽減する治療上有効な量で、対象に投与される。別の実施形態において、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、侵害受容性疼痛に対するいくつかの、そうでなければ治療上有効な鎮痛効果で、対象における神経障害性疼痛を軽減する治療上有効な量で、対象に投与される。用語「侵害受容性疼痛に対する治療上有効でない鎮痛効果」は、侵害受容性疼痛に対する識別可能な鎮痛効果はないか、または侵害受容性疼痛に対する部分的な鎮痛効果がある、のいずれかであるが、対象は依然として侵害受容性疼痛の刺激を知覚できることを意味する。
配列番号2(YLRIVQCRSVEGSCGF;本明細書では互換的にAOD9604またはLAT8881という)のペプチドは、肥満(WO99/12969およびWO01/033977参照)および骨障害(WO2005/105132参照)などの病態の治療に有用であることが以前に示されている。このペプチドはまた、軟骨細胞、プロテオグリカン、コラーゲンおよび軟骨組織の産生、ならびに筋肉、靱帯および腱の量、形態、修復および機能の促進に少なくとも部分的に起因する、筋肉または結合組織の炎症性、外傷性または遺伝性疾患の治療に有用であることも、以前に示されている(WO2013/082667参照)。しかしながら、これらの初期の試験は、神経障害性疼痛に対する鎮痛効果を例示していない。
Coxら(2015; Drug Test. Analysis.; 7:31-38)は、ヒト血清および尿の存在下でのAOD9604(配列番号2)の分解産物に関して以前に報告している。この著者らは、単一の(最短の)代謝産物を同定し、これは、彼らの論文を通じて時々CRSVEGSCGまたはCRSVEGSCGFのアミノ酸配列を有すると多様に記載されている。彼らの報告からは、どの代謝産物が対象とされるのかが不明であり、CRSVEGSCGが表1および4において同定されている一方で、CRSVEGSCGFが本文中の様々な節で同定されていることに留意されたい。いずれにせよ、Coxらによる報告は、この代謝産物(CRSVEGSCGまたはCRSVEGSCGFを問わず)がいずれかの生物活性を保持することを示唆するものは何も提供しておらず、この著者らの試験の意図は、薬物試験のためにAOD9604の代謝産物を同定することであったことに留意されたい。本発明者らは、これらの代謝産物は、生物活性であるだけでなく、親ペプチドである配列番号2と比較して同等のレベルの生物活性を保持することを、今回初めて示している。このことは、例えば、神経障害性疼痛の神経絞扼モデルに由来するデータから明らかである(図9~16および19参照)。そのデータから確認できるように、AOD9604(配列番号2)の断片は、神経障害性鎮痛の大きさおよび期間の両方の点で、親ペプチドと同等の活性を示した。したがって、本明細書に開示される別の側面において、対象における病態を治療する方法であって、治療上有効な量のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を対象に投与することを含んでなり、ペプチドは、アミノ酸配列CRSVEGSCG(配列番号4)またはアミノ酸配列CRSVEGSCGF(配列番号5)からなるか、または実質的になり、病態は、サルコペニア、耐糖能障害、糖尿病、肥満、代謝疾患および肥満関連病態、神経障害性疼痛、変形性関節症、筋肉の障害、消耗病、悪液質、食欲不振、AIDS消耗症候群、筋ジストロフィー、神経筋疾患、運動ニューロン疾患、神経筋接合部疾患、炎症性ミオパチー、熱傷、傷害または外傷、LDLコレステロール上昇に関連した病態、軟骨細胞、プロテオグリカンまたはコラーゲンの産生または質の低下に関連した病態、軟骨組織の形成または質の低下に関連した病態、筋肉、靱帯または腱の量、形態または機能の低下に関連した病態、炎症、外傷または筋肉もしくは結合組織に影響を及ぼす遺伝子異常に関連した病態、ならびに骨障害からなる群から選択される方法が提供される。
投与経路
式(I)および(II)のペプチドならびにそれらの薬学上許容可能な塩は、本明細書に記載の治療上有効な量で対象へのペプチドの送達を可能にするいずれかの好適な経路によって、対象に投与してもよい。好適な投与経路は、当業者に公知であり、その例示的な例としては、経腸投与経路(例えば、経口および直腸)、非経口投与経路、一般に注射またはマイクロインジェクション(例えば、筋肉内、皮下、静脈内、硬膜外、関節内、腹腔内、槽内またはくも膜下腔内)および局所(経皮または経粘膜)投与経路(例えば、頬側、舌下、膣内、鼻腔内または吸入)が挙げられる。式(I)および(II)のペプチドならびにそれらの薬学上許容可能な塩はまた、長時間にわたり有効薬剤の徐放を提供するための徐放性投与形態(dosage form)として対象に好適に投与してもよい。用語「徐放」は一般に、ある期間にわたり(例えば、約8時間~約12時間まで、約14時間まで、約16時間まで、約18時間まで、約20時間まで、1日まで、1週まで、1ヵ月まで、または1ヵ月超)対象における有効薬剤の一定または実質的に一定の濃度を提供するための有効薬剤の放出を意味する。有効薬剤の徐放は、必要に応じて、投与後数分以内、または投与後遅延期間(ラグ時間)の満了後に開始し得る。好適な徐放性投与形態は、当業者に公知であり、その例示的な例は、Anal, A. K. (2010; Controlled-Release Dosage Forms. Pharmaceutical Sciences Encyclopedia. 11:1-46)に記載されている。
理論または特定の適用様式に拘束されることなく、神経障害性疼痛が限局性か全身性かに基づいて、投与経路を選択することが望まれ得る。例えば、神経障害性疼痛が限局性の場合、患部またはそれに直接隣接した領域にペプチドを投与することが望まれ得る。例えば、神経障害性疼痛が関節内(例えば、頸部、膝、肘、肩、股関節など)である場合、ペプチドは、対象に対して罹患関節内に関節内投与することができる。あるいは、またはさらに、ペプチドは、罹患関節にまたはそれに実質的に隣接して投与することができる。別の例示的な例として、神経障害性疼痛が口腔内(例えば、三叉神経障害性疼痛、非定型歯痛(幻歯痛)または口腔灼熱症候群)である場合、ペプチドは、口腔粘膜を介した(例えば、頬側および/または舌下投与による)投与のために調合(formulate)することができる。逆に、神経障害性疼痛が対象の複数の解剖学的部位に及ぶ全身性または散在性である場合、ペプチドは、神経障害性疼痛により冒された複数の解剖学的部位に活性ペプチドを分布させる目的で、いずれかの部位に局所、経腸および/または非経口投与してもよい。本明細書に開示される一実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、対象に経腸投与される。本明細書に開示される一実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、対象に経口投与される。本明細書に開示される一実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、対象に非経口投与される。本明細書に開示される別の実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、対象に局所投与される。本明細書において他所に記載されるように、「局所」投与は一般に、好適には、クリーム、ローション、泡沫、ゲル、軟膏、点鼻薬、点眼薬、点耳薬、経皮パッチ、経皮フィルム(例えば、舌下フィルム)などの形態での、身体の表面、例えば、皮膚または粘膜への有効薬剤の適用を意味する。局所投与はまた、吸入または吹送による気道の粘膜を介した投与も包含する。本明細書に開示される一実施形態において、局所投与は、経皮投与および経粘膜投与からなる群から選択される。一実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、対象に経皮投与される。
一実施形態において、方法は、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩をヒトに経口投与することを含んでなる。別の実施形態において、方法は、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に経口投与することを含んでなる。さらに別の実施形態において、方法は、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与することを含んでなる。
一実施形態において、方法は、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩をヒトに経口投与することを含んでなる。別の実施形態において、方法は、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に経口投与することを含んでなる。さらに別の実施形態において、方法は、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与することを含んでなる。
一実施形態において、方法は、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩をヒトに局所投与することを含んでなる。別の実施形態において、方法は、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に局所投与することを含んでなる。さらに別の実施形態において、方法は、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に局所投与することを含んでなる。
一実施形態において、方法は、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩をヒトに局所投与することを含んでなる。別の実施形態において、方法は、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に局所投与することを含んでなる。さらに別の実施形態において、方法は、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に局所投与することを含んでなる。
別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩をヒトに経口投与することを含んでなる。別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に経口投与することを含んでなる。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与することを含んでなる。
別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩をヒトに局所投与することを含んでなる。別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に局所投与することを含んでなる。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に局所投与することを含んでなる。
別の実施形態において、方法は、配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に経口投与することを含んでなる。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与することを含んでなる。
別の実施形態において、方法は、配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に局所投与することを含んでなる。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に局所投与することを含んでなる。
局所投与の例示的な例は、本明細書において他所に記載される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
本明細書に開示される一実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、徐放性投与形態として対象に投与され、その例示的な例は、本明細書において他所に記載される。一実施形態において、方法は、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を徐放性投与形態としてヒトに投与することを含んでなる。別の実施形態において、方法は、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を徐放性投与形態として非ヒト対象に投与することを含んでなる。さらに別の実施形態において、方法は、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を徐放性投与形態として、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含んでなる。
別の実施形態において、方法は、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を徐放性投与形態としてヒトに投与することを含んでなる。別の実施形態において、方法は、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を徐放性投与形態として非ヒト対象に投与することを含んでなる。さらに別の実施形態において、方法は、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を徐放性投与形態として、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含んでなる。
別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を徐放性投与形態としてヒトに投与することを含んでなる。別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を徐放性投与形態として非ヒト対象に投与することを含んでなる。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を徐放性投与形態として、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含んでなる。
別の実施形態において、方法は、配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を徐放性投与形態として非ヒト対象に投与することを含んでなる。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を徐放性投与形態として、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含んでなる。一実施形態において、徐放性投与形態は、対象に非経口投与され、その好適な例は、本明細書において他所に記載される。
本明細書において他所に記載されるように、いくつかの(すなわち、複数の)分割した用量を毎日、毎週、毎月または他の好適な時間間隔で投与してもよく、または用量は、病態の緊急性に応じて比例的に低減してもよい。複数の用量の過程が必要であるか、またはそうでなければ望まれる場合、本明細書に開示されるペプチドを、2つ以上の経路を介して投与することが有益であり得る。例えば、第1の用量を非経口(例えば、筋肉内、静脈内;皮下、硬膜外、関節内、腹腔内、槽内またはくも膜下腔内投与経路を介して)投与して、対象において急速またはそうでなければ急性の鎮痛効果を誘導し、次いで、引き続く(例えば、第2、第3、第4、第5などの)用量を経腸(例えば、経口または直腸)および/または局所(例えば、経皮または経粘膜投与経路を介して)投与して、治療の急性期に続く長期間にわたり有効薬剤の継続した有効性を提供することが望まれ得る。あるいは、用量を経腸(例えば、経口または直腸)投与し、次いで、引き続く(例えば、第2、第3、第4、第5などの)用量を非経口(例えば、筋肉内、静脈内;皮下、硬膜外、関節内、腹腔内、槽内またはくも膜下腔内投与経路を介して)および/または局所(例えば、経皮または経粘膜投与経路を介して)投与することが望まれ得る。あるいは、用量を局所(例えば、経皮または経粘膜投与経路を介して)投与し、次いで、引き続く(例えば、第2、第3、第4、第5などの)用量を非経口(例えば、筋肉内、静脈内;皮下、硬膜外、関節内、腹腔内、槽内またはくも膜下腔内投与経路を介して)および/または経腸(例えば、経口または直腸)投与することが望まれ得る。
投与経路は、本明細書において他所に考察されるように、神経障害性疼痛が局所性か全身性かに基づいて、好適に選択され得る。あるいは、またはさらに、投与経路は、対象の全身健康状態、年齢、体重および特定の投与経路に対する耐性(またはその欠如)などの因子を考慮して、好適に選択され得る(例えば、針恐怖症がある場合、経腸および/または局所などの代替の投与経路を選択してもよい)。
複数の投与経路が望まれる場合、2つ以上の投与経路の任意の組合せを、本明細書に開示される方法に従って使用してよいことも理解されるべきである。好適な組合せの例示的な例としては、限定されるものではないが、(投与順で)(a)非経口-経腸;(b)非経口-局所;(c)非経口-経腸-局所;(d)非経口-局所-経腸;(e)経腸-非経口;(f)経腸-局所;(g)経腸-局所-非経口;(h)経腸-非経口-局所;(i)局所-非経口;(j)局所-経腸;(k)局所-非経口-経腸;(l)局所-経腸-非経口;(m)非経口-経腸-局所-非経口;(n)非経口-経腸-局所-経腸;などが挙げられる。
一実施形態において、方法は、(i)本明細書に開示されるペプチドまたは組成物を対象に非経口投与すること、および(ii)本明細書に開示されるペプチドまたは組成物を対象に非経口投与以外で投与(すなわち、経腸投与または局所投与)することを含んでなり、非経口投与以外の投与(経腸投与または局所投与)は、非経口投与の後に行われる。一実施形態において、非経口投与は、筋肉内投与、皮下投与および静脈内投与からなる群から選択される。さらなる実施形態において、非経口投与は皮下投与である。一実施形態において、非経口投与以外の投与は経口投与である。
一実施形態において、本明細書に開示される方法は、(i)式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩をヒト対象に非経口投与すること、および(ii)式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩をヒト対象に経口投与することを含んでなり、経口投与は、非経口投与の後に行われる。別の実施形態において、本明細書に開示される方法は、(i)配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩をヒト対象に非経口投与すること、および(ii)配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩をヒト対象に経口投与することを含んでなり、経口投与は、非経口投与の後に行われる。一実施形態において、非経口投与は皮下である。別の実施形態において、非経口投与はくも膜下腔内である。
一実施形態において、本明細書に開示される方法は、(i)式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に非経口投与すること、および(ii)式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に経口投与することを含んでなり、経口投与は、非経口投与の後に行われる。さらなる実施形態において、本明細書に開示される方法は、(i)配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に非経口投与すること、および(ii)配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に経口投与することを含んでなり、経口投与は、非経口投与の後に行われる。一実施形態において、非ヒト対象は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される。一実施形態において、非経口投与は皮下である。別の実施形態において、非経口投与はくも膜下腔内である。
さらなる実施形態において、本明細書に開示される方法は、(i)式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩をヒト対象に非経口投与すること、および(ii)式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩をヒト対象に局所投与することを含んでなり、局所投与は、非経口投与の後に行われる。さらなる実施形態において、本明細書に開示される方法は、(i)配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩をヒト対象に非経口投与すること、および(ii)配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩をヒト対象に局所投与することを含んでなり、局所投与は、非経口投与の後に行われる。
さらなる実施形態において、本明細書に開示される方法は、(i)式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に非経口投与すること、および(ii)式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に局所投与することを含んでなり、局所投与は、非経口投与の後に行われる。さらなる実施形態において、本明細書に開示される方法は、(i)配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に非経口投与すること、および(ii)配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を非ヒト対象に局所投与することを含んでなり、局所投与は、非経口投与の後に行われる。
一実施形態において、非ヒト対象は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される。一実施形態において、非経口投与経路は皮下である。別の実施形態において、局所投与経路は経皮である。別の実施形態において、非経口投与は皮下であり、局所投与は経皮である。
あるいは、またはさらに、本明細書に記載のペプチドおよび組成物は、徐放性投与形態として好適に投与され得る。したがって、一実施形態において、方法は、(i)本明細書に開示されるペプチドまたは組成物を対象に非経口投与すること、および(ii)本明細書に開示されるペプチドまたは組成物を徐放性投与形態として対象に投与することを含んでなり、徐放性投与形態は、非経口投与の後に投与される。別の実施形態において、方法は、(i)本明細書に開示されるペプチドまたは組成物を対象に非経口投与以外で投与(経腸投与または局所投与)すること、および(ii)本明細書に開示されるペプチドまたは組成物を徐放性投与形態として対象に投与することを含んでなり、徐放性投与形態は、非経口投与以外の投与の後に対象に投与される。さらに別の実施形態において、方法は、(i)本明細書に開示されるペプチドまたは組成物を対象に経腸投与すること、および(ii)本明細書に開示されるペプチドまたは組成物を徐放性投与形態として対象に投与することを含んでなり、徐放性投与形態は、経腸投与の後に対象に投与される。さらに別の実施形態において、方法は、(i)本明細書に開示されるペプチドまたは組成物を対象に局所投与すること、および(ii)本明細書に開示されるペプチドまたは組成物を徐放性投与形態として対象に投与することを含んでなり、徐放性投与形態は、局所投与の後に対象に投与される。好ましい実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
補助療法
式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、1以上の別の有効薬剤と逐次的にまたは組み合わせて(例えば、混合物として)のいずれかで、好適にともに投与され得る。他の有効薬剤の性質は治療または予防される病態に依存することは、当業者により理解されるであろう。例えば、対象が癌を有する場合、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、1以上の化学療法剤と逐次的にまたは組み合わせて(例えば、混合物として)のいずれかで、対象にともに投与され得、その例示的な例は、当業者によく知られる。この性質の組合せ治療は、いくつかの化学療法剤としばしば関連する神経障害性疼痛を軽減することにより有利であり得、その例示的な例としては、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ビンクリスチン、ドセタキセル、パクリタキセル、イクサベピロン(izbepilone)、ボルテゾミブ、サリドマイドおよびレナリドミド(lenalinomide)が挙げられる。したがって、一実施形態において、本明細書に開示される方法は、治療上有効な量の化学療法剤を対象に投与することをさらに含んでなる。
式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩はまた、対象における疼痛を軽減することができる1以上の他の鎮痛剤(すなわち、式(I)および(II)のペプチドならびにそれらの薬学上許容可能な塩以外)と逐次的にまたは組み合わせて(例えば、混合物として)のいずれかで、対象に好適にともに投与され得る。好適な鎮痛剤は、当業者によく知られ、その例示的な例としては、侵害受容性疼痛を軽減することができる鎮痛剤、神経障害性疼痛を軽減することができる剤、またはその任意の組合せが挙げられる。したがって、一実施形態において、本明細書に開示される方法は、対象における疼痛を軽減することができる治療上有効な量の第2の剤を対象に投与することをさらに含んでなり、第2の剤は、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩ではない。
別の実施形態において、本明細書に開示される方法は、対象における疼痛を軽減することができる治療上有効な量の第2の剤を対象に投与することをさらに含んでなり、第2の剤は、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩ではない。
一実施形態において、第2の剤は、対象における侵害受容性疼痛を軽減することができる。別の実施形態において、第2の剤は、対象における神経障害性疼痛を軽減することができる。
侵害受容性疼痛を軽減することができる好適な剤は、当業者によく知られ、その例示的な例としては、アヘン剤、例えば、モルヒネ、コデイン、ジヒドロコデイン、ヒドロコドン、アセチルジヒドロコデイン、オキシコドン、オキシモルフォンおよびブプレノルフィン、ならびに非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、アセトアミノフェン、ジフルニサル、サルサラート、フェナセチン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、ナブメトン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、セレコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ(lumaricoxib)、エトリコキシブ、フィロコキシブ、ニメスリド(rimesulide)およびリコフェロンが挙げられる。一実施形態において、侵害受容性疼痛を軽減することができる第2の剤は、オピオイドである。
本明細書に開示される他の複数の実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、神経障害性疼痛または神経障害性疼痛を引き起こしている基礎病態を治療または軽減するための別の療法と逐次的にまたは組み合わせて(例えば、混合物として)のいずれかで、ともに投与される。場合によっては、投与が式(I)もしくは式(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩とともに行われる場合、第2の神経障害性鎮痛剤の量を低減してもよい。神経障害性疼痛を治療することができる好適な剤の例示的な例としては、デュロキセチン、プレガバリン、ガバペンチン、フェニトイン、メラトニン、カルバマゼピン、レボカルニチン、カプサイシン、三環系抗うつ薬、例えば、アミトリプチリン(amitryptiline)およびナトリウムチャネル遮断薬、例えば、リドカインが挙げられる。
医薬組成物
式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、純化学物質として対象に投与するために調合(formulate)され得る。しかしながら、特定の複数の実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩を、獣医学的組成物を含む医薬組成物として調合することが好まれ得る。したがって、本明細書に開示される別の側面において、本明細書に記載の式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩:
R1-CRSVEGSCG-R2 (I)(配列番号1)
[式中、
R1は、YLRIVQ、LRIVQ、RIVQ、IVQ、VQ、およびQからなる群から選択されるか、またはR1は存在せず;かつ
R2は、F(フェニルアラニン)であるか、またはR2は存在しない。]
を含んでなる、対象における神経障害性疼痛の治療に使用するための医薬組成物が提供される。
一実施形態において、ペプチドは、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)、LRIVQCRSVEGSCGF(配列番号3)、CRSVEGSCG(配列番号4)およびCRSVEGSCGF(配列番号5)からなる群から選択される。
一実施形態において、ペプチドはYLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)である。一実施形態において、ペプチドはCRSVEGSCG(配列番号4)である。一実施形態において、ペプチドはCRSVEGSCGF(配列番号5)である。
一実施形態において、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、対象に投与された場合、本明細書において他所に記載されるように、侵害受容性疼痛に対する治療上有効な鎮痛効果の非存在下で、対象における神経障害性疼痛を軽減する治療上有効な量で存在する。
一実施形態において、組成物は、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩ではない、対象における疼痛を軽減することができる第2の剤をさらに含んでなる。一実施形態において、第2の剤は、対象における侵害受容性疼痛を軽減することができ、その例示的な例は、本明細書において他所に記載される。別の実施形態において、第2の剤は、対象における神経障害性疼痛を軽減することができ、その例示的な例も、本明細書において他所に記載される。一実施形態において、第2の剤はオピオイドである。
本明細書に開示される別の側面において、対象における神経障害性疼痛の治療のための薬剤の製造における、本明細書に記載の式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩:
R1-CRSVEGSCG-R2 (I)(配列番号1)
[式中、
R1は、YLRIVQ、LRIVQ、RIVQ、IVQ、VQ、およびQからなる群から選択されるか、またはR1は存在せず;かつ
R2は、F(フェニルアラニン)であるか、またはR2は存在しない。]
の使用が提供される。
一実施形態において、ペプチドは、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)、LRIVQCRSVEGSCGF(配列番号3)、CRSVEGSCG(配列番号4)およびCRSVEGSCGF(配列番号5)からなる群から選択される。一実施形態において、ペプチドはYLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)である。一実施形態において、ペプチドはCRSVEGSCG(配列番号4)である。一実施形態において、ペプチドはCRSVEGSCGF(配列番号5)である。
一実施形態において、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、本明細書において他所に記載されるように、侵害受容性疼痛に対する治療上有効な鎮痛効果の非存在下で、対象における神経障害性疼痛を軽減する治療上有効な量で、対象に投与するために調合される。
一実施形態において、ペプチドは、対象における疼痛を軽減することができる第2の剤との逐次投与または併用投与のために調合され、第2の剤は、本明細書において他所に記載されるように、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩ではない。一実施形態において、第2の剤は、対象における侵害受容性疼痛を軽減することができ、その例示的な例は、本明細書において他所に記載される。別の実施形態において、第2の剤は、対象における神経障害性疼痛を軽減することができ、その例示的な例も、本明細書において他所に記載される。一実施形態において、第2の剤はオピオイドである。
本明細書に開示される別の側面において、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩:
R1-CRRFVESSC-R2 (II)(配列番号6)
[式中、
R1は、YLRVMK、LRVMK、RVMK、VMK、MK、およびKからなる群から選択されるか、またはR1は存在せず;かつ
R2は、A(アラニン)およびAF(アラニン-フェニルアラニン)からなる群から選択されるか、またはR2は存在しない。]
を含んでなる、対象における神経障害性疼痛の治療に使用するための医薬組成物が提供される。
一実施形態において、ペプチドは、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)、LRVMKCRRFVESSCAF(配列番号8)、CRRFVESSCAF(配列番号9)およびCRRFVESSCA(配列番号10)からなる群から選択される。
一実施形態において、ペプチドはYLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)である。一実施形態において、ペプチドはCRRFVESSCAF(配列番号9)である。一実施形態において、ペプチドはCRRFVESSCA(配列番号10)である。
一実施形態において、ペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、対象に投与された場合、本明細書において他所に記載されるように、侵害受容性疼痛に対する治療上有効な鎮痛効果の非存在下で、対象における神経障害性疼痛を軽減する治療上有効な量で存在する。
一実施形態において、組成物は、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩ではない、対象における疼痛を軽減することができる第2の剤をさらに含んでなる。一実施形態において、第2の剤は、対象における侵害受容性疼痛を軽減することができ、その例示的な例は、本明細書において他所に記載される。別の実施形態において、第2の剤は、対象における神経障害性疼痛を軽減することができ、その例示的な例も、本明細書において他所に記載される。一実施形態において、第2の剤はオピオイドである。
本明細書に開示される別の側面において、対象における神経障害性疼痛の治療のための薬剤の製造における、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩:
R1-CRRFVESSC-R2 (II)(配列番号6)
[式中、
R1は、YLRVMK、LRVMK、RVMK、VMK、MK、およびKからなる群から選択されるか、またはR1は存在せず;かつ
R2は、A(アラニン)およびAF(アラニン-フェニルアラニン)からなる群から選択されるか、またはR2は存在しない。]
の使用が提供される。
一実施形態において、ペプチドは、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)、LRVMKCRRFVESSCAF(配列番号8)、CRRFVESSCAF(配列番号9)およびCRRFVESSCA(配列番号10)からなる群から選択される。一実施形態において、ペプチドはYLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)である。一実施形態において、ペプチドはCRRFVESSCAF(配列番号9)である。一実施形態において、ペプチドはCRRFVESSCA(配列番号10)である。一実施形態において、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、本明細書において他所に記載されるように、侵害受容性疼痛に対する治療上有効な鎮痛効果の非存在下で、対象における神経障害性疼痛を軽減する治療上有効な量で、対象に投与するために調合される。
一実施形態において、ペプチドは、対象における疼痛を軽減することができる第2の剤との逐次投与または併用投与のために調合され、第2の剤は、本明細書において他所に記載されるように、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩ではない。一実施形態において、第2の剤は、対象における侵害受容性疼痛を軽減することができ、その例示的な例は、本明細書において他所に記載される。別の実施形態において、第2の剤は、対象における神経障害性疼痛を軽減することができ、その例示的な例も、本明細書において他所に記載される。一実施形態において、第2の剤はオピオイドである。
本明細書において他所に記載されるように、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、治療される病態に依存する可能性が高い1以上の別の有効薬剤と逐次的にまたは組み合わせて(例えば、混合物として)のいずれかで、ともに投与され得る。例えば、対象が癌を有する場合、本明細書に開示される組成物は、1以上の化学療法剤と逐次的にまたは組み合わせて(例えば、混合物として)のいずれかで、ともに調合され得、その例示的な例は、当業者によく知られる。この性質の組合せ治療は、いくつかの化学療法剤としばしば関連する神経障害性疼痛を軽減することにより有利であり得、その例示的な例としては、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ビンクリスチン、ドセタキセル、パクリタキセル、イクサベピロン(izbepilone)、ボルテゾミブ、サリドマイドおよびレナリドミド(lenalinomide)が挙げられる。
本明細書に開示される組成物はまた、本明細書において他所に記載されるように、対象における疼痛を軽減することができる1以上の他の鎮痛剤(すなわち、式(I)および(II)のペプチドならびにそれらの薬学上許容可能な塩以外)と逐次的にまたは組み合わせて(例えば、混合物として)のいずれかで、対象に好適にともに投与するために、好適に調合され得る。一実施形態において、本明細書に開示される組成物は、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩ではない、対象における疼痛を軽減することができる第2の剤をさらに含んでなる。
別の実施形態において、本明細書に開示される組成物は、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩ではない、対象における疼痛を軽減することができる第2の剤をさらに含んでなる。
一実施形態において、第2の剤は、対象における侵害受容性疼痛を軽減することができる。別の実施形態において、第2の剤は、対象における神経障害性疼痛を軽減することができる。
侵害受容性疼痛を軽減することができる好適な剤は、当業者によく知られ、その例示的な例としては、アヘン剤、例えば、モルヒネ、コデイン、ジヒドロコデイン、ヒドロコドン、アセチルジヒドロコデイン、オキシコドン、オキシモルフォンおよびブプレノルフィン、ならびに非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、アセトアミノフェン、ジフルニサル、サルサラート、フェナセチン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、ナブメトン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、セレコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ(lumaricoxib)、エトリコキシブ、フィロコキシブ、ニメスリド(rimesulide)およびリコフェロンが挙げられる。一実施形態において、侵害受容性疼痛を軽減することができる第2の剤は、オピオイドである。
本明細書に開示される他の複数の実施形態において、本明細書に開示される組成物は、神経障害性疼痛または神経障害性疼痛を引き起こしている基礎病態を治療または軽減するための別の療法と逐次的にまたは組み合わせて(例えば、混合物として)のいずれかで、ともに投与するために調合される。場合によっては、投与が式(I)もしくは式(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩とともに行われる場合、第2の神経障害性鎮痛剤の量を低減してもよい。神経障害性疼痛を治療することができる好適な剤の例示的な例としては、デュロキセチン、プレガバリン、ガバペンチン、フェニトイン、メラトニン、カルバマゼピン、レボカルニチン、カプサイシン、三環系抗うつ薬、例えば、アミトリプチリン(amitryptiline)およびナトリウムチャネル遮断薬、例えば、リドカインが挙げられる。
本明細書に開示される別の側面において、
(i)本明細書に記載の式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩:
R1-CRSVEGSCG-R2 (I)(配列番号1)
[式中、
R1は、YLRIVQ、LRIVQ、RIVQ、IVQ、VQ、およびQからなる群から選択されるか、またはR1は存在せず;かつ
R2は、F(フェニルアラニン)であるか、またはR2は存在しない。]、および
(ii)本明細書に記載の式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩ではない、対象における疼痛を軽減することができる第2の剤
を含んでなる医薬組成物が提供される。一実施形態において、第2の剤は、対象における侵害受容性疼痛を軽減することができ、その例示的な例は、本明細書において他所に記載される。別の実施形態において、第2の剤は、対象における神経障害性疼痛を軽減することができ、その例示的な例も、本明細書において他所に記載される。一実施形態において、第2の剤はオピオイドである。
本明細書に開示される一実施形態において、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、薬学上許容可能な担体、賦形剤または希釈剤を含んでなる組成物として調合される。担体、賦形剤または希釈剤は、組成物の他の成分と適合し、レシピエントにおいて有害作用をほとんどまたは全く生じない場合、一般に「許容可能である」とみなされる。
本明細書に開示される別の側面において、本明細書に記載の式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩:
R1-CRSVEGSCG-R2 (I)(配列番号1)
[式中、
R1は、YLRIVQ、LRIVQ、RIVQ、IVQ、VQ、およびQからなる群から選択されるか、またはR1は存在せず;かつ
R2は、F(フェニルアラニン)であるか、またはR2は存在しない。]
を含んでなる鎮痛組成物が提供される。
一実施形態において、ペプチドは、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)、LRIVQCRSVEGSCGF(配列番号3)、CRSVEGSCG(配列番号4)およびCRSVEGSCGF(配列番号5)からなる群から選択される。
一実施形態において、ペプチドはYLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)である。一実施形態において、ペプチドはCRSVEGSCG(配列番号4)である。一実施形態において、ペプチドはCRSVEGSCGF(配列番号5)である。一実施形態において、鎮痛組成物は、式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩ではない、本明細書において他所に記載されるような、対象における疼痛を軽減することができる第2の剤をさらに含んでなる。一実施形態において、第2の剤は、対象における侵害受容性疼痛を軽減することができ、その例示的な例は、本明細書において他所に記載される。別の実施形態において、第2の剤は、対象における神経障害性疼痛を軽減することができ、その例示的な例も、本明細書において他所に記載される。一実施形態において、第2の剤はオピオイドである。
本明細書に開示される別の側面において、
(i)本明細書に記載の式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩:
R1-CRRFVESSC-R2 (II)(配列番号6)
[式中、
R1は、YLRVMK、LRVMK、RVMK、VMK、MK、およびKからなる群から選択されるか、またはR1は存在せず;かつ
R2は、A(アラニン)およびAF(アラニン-フェニルアラニン)からなる群から選択されるか、またはR2は存在しない。]、および
(ii)本明細書に記載の式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩ではない、対象における疼痛を軽減することができる第2の剤
を含んでなる医薬組成物が提供される。一実施形態において、第2の剤は、対象における侵害受容性疼痛を軽減することができ、その例示的な例は、本明細書において他所に記載される。別の実施形態において、第2の剤は、対象における神経障害性疼痛を軽減することができ、その例示的な例も、本明細書において他所に記載される。一実施形態において、第2の剤はオピオイドである。
本明細書に開示される一実施形態において、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、薬学上許容可能な担体、賦形剤または希釈剤を含んでなる組成物として調合される。担体、賦形剤または希釈剤は、組成物の他の成分と適合し、レシピエントにおいて有害作用をほとんどまたは全く生じない場合、一般に「許容可能である」とみなされる。
本明細書に開示される別の側面において、本明細書に記載の式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩:
R1-CRRFVESSC-R2 (II)(配列番号6)
[式中、
R1は、YLRVMK、LRVMK、RVMK、VMK、MK、およびKからなる群から選択されるか、またはR1は存在せず;かつ
R2は、A(アラニン)およびAF(アラニン-フェニルアラニン)からなる群から選択されるか、またはR2は存在しない。]
を含んでなる鎮痛組成物が提供される。
一実施形態において、ペプチドは、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)、LRVMKCRRFVESSCAF(配列番号8)、CRRFVESSCAF(配列番号9)およびCRRFVESSCA(配列番号10)からなる群から選択される。
一実施形態において、ペプチドはYLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)である。一実施形態において、ペプチドはCRRFVESSCAF(配列番号9)である。一実施形態において、ペプチドはCRRFVESSCA(配列番号10)である。一実施形態において、鎮痛組成物は、式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩ではない、本明細書において他所に記載されるような、対象における疼痛を軽減することができる第2の剤をさらに含んでなる。一実施形態において、第2の剤は、対象における侵害受容性疼痛を軽減することができ、その例示的な例は、本明細書において他所に記載される。別の実施形態において、第2の剤は、対象における神経障害性疼痛を軽減することができ、その例示的な例も、本明細書において他所に記載される。一実施形態において、第2の剤はオピオイドである。
本明細書に開示される別の側面において、治療上有効な量のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を含んでなる組成物であって、ペプチドは、アミノ酸配列CRSVEGSCG(配列番号4)またはアミノ酸配列CRSVEGSCGF(配列番号5)からなるか、または実質的になる組成物が提供される。
本明細書に開示される別の側面において、治療上有効な量のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を含んでなる組成物であって、ペプチドは、アミノ酸配列CRRFVESSCAF(配列番号9)またはCRRFVESSCA(配列番号10)からなるか、または実質的になる組成物が提供される。
一実施形態において、組成物は、本明細書において他所に記載されるように、薬学上許容可能な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含んでなる。一実施形態において、組成物は、経口投与のために調合される。
好適な医薬調合物(pharmaceutical formulation)の例示的な例としては、経腸または非経口投与に好適なものが挙げられ、その例示的な例は、本明細書において他所に記載され、経口、直腸、頬側、舌下、膣内、鼻腔、局所(例えば、経皮)、筋肉内、皮下、静脈内、硬膜外、関節内およびくも膜下腔内が挙げられる。
式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、経口使用のための固体(例えば、錠剤もしくは充填カプセル剤)もしくは液体(例えば、液剤、懸濁剤、エマルション、エリキシル剤、もしくはそれを充填したカプセル剤)として用いられる医薬組成物およびその単位用量の形態、直腸投与のための軟膏剤、坐剤もしくは浣腸剤の形態、非経口使用(例えば、筋肉内、皮下、静脈内、硬膜外、関節内およびくも膜下腔内投与)のための無菌注射用液剤の形態;または非経口(例えば、局所、頬側、舌下、膣内)投与のための軟膏剤、ローション、クリーム、ゲル、パッチ、舌下ストリップもしくはフィルムなどの形態に好適にされ得る。一実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、局所(例えば、経皮)送達のために調合される。好適な経皮送達システムは、当業者によく知られ、その例示的な例はPrausnitzおよびLanger(2008; Nature Biotechnol. 26(11):1261-1268)により記載され、その内容は引用することにより本明細書の一部とされる。別の実施形態において、式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、舌下または頬側送達のために調合される。好適な舌下および頬側送達システムは、当業者によく知られ、その例示的な例としては、Balaら(2013; Int. J. Pharm. Investig. 3(2):67-76)により記載される溶解性ストリップまたはフィルムが挙げられ、その内容は引用することにより本明細書の一部とされる。
好適な医薬組成物およびその単位投与形は、さらなる有効化合物または成分を有するまたは有さない、従来の割合での従来の成分を含んでなってもよく、このような単位投与形は、用いられる意図する一日用量範囲と釣り合った任意の好適な有効量の有効成分を含み得る。本明細書に記載の式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、多様な経腸、局所および/または非経口投与形での投与のために調合され得る。好適な投与形は、有効成分として、本明細書に記載の、式(I)のペプチド、式(II)のペプチド、それらの薬学上許容可能な塩、または前述のいずれかの組合せのいずれかを含んでなってもよい。
本明細書において他所に記載されるように、神経障害性疼痛が限局性か全身性かに基づいて、投与経路を選択することが望まれ得る。例えば、神経障害性疼痛が限局性の場合、患部またはそれに直接隣接した領域に投与するために、本明細書に開示される組成物を調合することが望まれ得る。例えば、神経障害性疼痛が関節内(例えば、頸部、膝、肘、肩または股関節)である場合、組成物は、罹患関節内に関節内投与するために調合することができる。あるいは、またはさらに、組成物は、罹患関節にまたはそれに実質的に隣接して投与するために調合することができる。別の例示的な例として、神経障害性疼痛が口腔内(例えば、三叉神経障害性疼痛、非定型歯痛(幻歯痛)または口腔灼熱症候群)である場合、組成物は、口腔粘膜を介した(例えば、頬側および/または舌下投与による)投与のために調合することができる。
逆に、神経障害性疼痛が対象の複数の解剖学的部位に及ぶ全身性または散在性である場合、神経障害性疼痛により冒された複数の解剖学的部位に有効薬剤を分布させる目的で、本明細書において他所に記載されるように、経腸、局所および/または非経口投与経路のために組成物を調合することが好都合であり得る。
一実施形態において、組成物は、ヒトに対する経口投与のために調合される。別の実施形態において、組成物は、非ヒト対象に経口投与するために調合される。さらに別の実施形態において、組成物は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与するために調合される。
別の実施形態において、組成物は、ヒトに対する非経口投与のために調合される。別の実施形態において、組成物は、非ヒト対象に非経口投与するために調合される。さらに別の実施形態において、組成物は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に非経口投与するために調合される。一実施形態において、非経口投与は皮下投与である。
別の実施形態において、組成物は、ヒトに対する局所投与のために調合される。別の実施形態において、組成物は、非ヒト対象に局所投与するために調合される。さらに別の実施形態において、組成物は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に局所投与するために調合される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
別の実施形態において、組成物は、ヒトに投与される徐放性投与形態として調合される。別の実施形態において、組成物は、非ヒト対象に投与される徐放性投与形態として調合される。さらに別の実施形態において、組成物は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与される徐放性投与形態として調合される。好適な徐放性投与形態の例示的な例は、本明細書において他所に記載される。
式(I)および(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩の医薬組成物を調製するために、薬学上許容可能な担体は、固体または液体のいずれかであり得る。固体形態調製物の例示的な例としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒剤が挙げられる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、または封入材料としても作用し得る1以上の物質であり得る。散剤において、担体は、微細有効成分との混合物である微細固体であり得る。錠剤において、有効成分は、好適な割合で必要な結合能を有する担体と混合してもよく、所望の形状および大きさに圧縮してもよい。
いくつかの実施形態において、散剤および錠剤は、5または10~約70パーセントの有効化合物を含有する。好適な担体の例示的な例としては、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂などが挙げられる。用語「調製」は、担体を有するまたは有さない有効成分が、担体に囲まれているカプセル剤を提供する、封入材料を有する有効化合物の調合を含むものとする。同様に、カシェ剤およびロゼンジも、本明細書において想定される。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、およびロゼンジは、経口投与に好適な固体形態として使用され得る。
坐剤を調製するために、低融点ワックス、例えば、脂肪酸グリセリドまたはカカオ脂の混合物を、最初に融解し、有効成分を撹拌によってその中で均一に分散させる。次に、融解した均一な混合物を、好都合な大きさの鋳型に注ぎ、放冷し、それにより固化させる。
膣内投与に好適な調合物は、有効成分に加えて、当技術分野で適当であると知られるような担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、パスタ剤、泡沫または噴霧剤として提示され得る。
液体形態調製物としては、液剤、懸濁剤、およびエマルション、例えば、水または水-プロピレングリコール溶液が挙げられる。例えば、非経口注射液調製物は、水性ポリエチレングリコール溶液中の液剤として調合することができる。
本明細書に記載の式(I)および(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、非経口投与(例えば、注射、例えば、ボーラス注射または持続注入による)のために調合され得、アンプル、プレフィルドシリンジ、小容量注入液または保存剤が添加された多用量容器の単位投与形で提示され得る。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤、またはエマルションなどの形態をとり得、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの配合剤を含有し得る。あるいは、有効化合物は、使用前に好適なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質不含水で構成するための、無菌固体の無菌単離または液剤からの凍結乾燥により得られる粉末形態であり得る。
経口使用に好適な水溶液は、有効成分を水に溶解し、所望により、好適な着色剤、香味剤、安定剤および増粘剤を加えることにより、調製することができる。
経口使用に好適な水性懸濁剤は、微細有効成分を、粘稠材料、例えば、天然もしくは合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、または他の周知の懸濁化剤とともに水に分散させることにより、作製することができる。
使用直前に、経口投与のための液体形態調製物に変換されることを意図した固体形態調製物も、本明細書において企図される。このような液体形態としては、液剤、懸濁剤、およびエマルションが挙げられる。これらの調製物は、有効成分に加えて、着色剤、香味剤、安定剤、緩衝剤、人工および天然甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有し得る。
表皮に対する局所投与のために、本明細書に記載の式(I)もしくは(II)のペプチドまたはそれらの薬学上許容可能な塩は、軟膏剤、クリームもしくはローションとして、または経皮パッチとして調合され得る。軟膏剤およびクリームは、例えば、好適な増粘剤および/またはゲル化剤を加えた、水性または油性基剤とともに調合され得る。ローションは、水性または油性基剤とともに調合され得、一般に、1以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、または着色剤も含有するであろう。
口腔内への局所投与に好適な調合物としては、通常、スクロースおよびアラビアガムまたはトラガカントガムなどの香味基剤中に有効薬剤を含んでなるロゼンジ;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアガムなどの不活性基剤中に有効成分を含んでなる香錠;ならびに好適な液体担体中に有効成分を含んでなる口腔洗浄薬が挙げられる。
液剤または懸濁剤は、従来の手段により、例えば、点滴注入器、ピペットまたは噴霧器を用いて、鼻腔に直接適用される。調合物は、単一または多用量形態で提供され得る。点滴注入器またはピペットの後者の場合において、これは、患者に対して適当な所定の容量の液剤または懸濁剤を投与することにより、達成され得る。噴霧器の場合において、これは、例えば、計量噴霧スプレーポンプにより、達成され得る。経鼻送達および保持を改善するために、本発明において使用されるペプチドは、シクロデキストリンによって被包され得るか、または送達および鼻粘膜における保持を亢進することが期待されるそれらの剤とともに調合され得る。
気道に対する投与も、有効成分が、好適な噴射剤、例えば、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、またはジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスを含む加圧包装で提供されるエアロゾル調合物により、達成され得る。エアロゾルは、レシチンなどの界面活性剤も好都合に含有し得る。薬物の用量は、定量弁を提供することにより、制御され得る。
あるいは、またはさらに、有効成分は、ドライパウダー、例えば、ラクトース、デンプン、デンプン誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドン(PVP)などの好適な粉末基剤中の化合物の粉末混合物の形態で提供され得る。好都合には、粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、例えば、例えばゼラチンのカプセル剤もしくはカートリッジ、または粉末がそこから吸入器により投与され得るブリスターパックの単位投与形で提示され得る。
鼻腔内調合物を含む、気道に対する投与を意図した調合物において、ペプチドは一般に、例えば、1~10ミクロン以下の桁の小さな粒子径を有する。このような粒子径は、当技術分野で公知の手段、例えば微粒子化により得ることができる。
所望により、有効成分の制御放出または持続放出をもたらすように適合された調合物が、本明細書において他所に記載されるように使用され得る。
一実施形態において、本明細書に記載の医薬調製物は、好ましくは、単位投与形で存在する。このような形態において、調製物は、適当な量の有効成分を含有する単位用量に細分される。単位投与形は、包装調製物であり得、包装は、分離量の調製物、例えば、小包装錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の散剤を含有する。また、単位投与形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、またはロゼンジ自体であり得、または、包装形態のこれらのいずれかの適当な数であり得る。
本明細書に開示される別の側面において、薬剤としての使用のための、本明細書の記載の配列番号4もしくは配列番号5のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を含んでなる組成物が提供される。
本明細書に開示される別の側面において、薬剤としての使用のための、本明細書の記載の配列番号9もしくは配列番号10のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩を含んでなる組成物が提供される。
一実施形態において、本明細書に開示される組成物は、ヒトに対する経口投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に開示される組成物は、非ヒトに対する経口投与のために調合される。さらなる実施形態において、本明細書に開示される組成物は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒトに対する経口投与のために調合される。
別の実施形態において、本明細書に開示される式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、ヒト対象に経口投与するために調合される。別の実施形態において、本明細書に開示される式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、非ヒト対象に経口投与するために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に開示される式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与するために調合される。
別の実施形態において、本明細書に開示される式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、ヒト対象に局所投与するために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に開示される式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、非ヒト対象に局所投与するために調合される。別の実施形態において、本明細書に開示される式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に局所投与するために調合される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
別の実施形態において、本明細書に開示される式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、徐放性投与形態としてヒト対象に投与するために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に開示される式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与するために調合される。別の実施形態において、本明細書に開示される式(I)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与するために調合され、非ヒト対象は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される。一実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
別の実施形態において、本明細書に開示される式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、非ヒト対象に経口投与するために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に開示される式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与するために調合される。
別の実施形態において、本明細書に開示される式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、非ヒト対象に局所投与するために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に開示される式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に局所投与するために調合される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
別の実施形態において、本明細書に開示される式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、徐放性投与形態としてヒト対象に投与するために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に開示される式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与するために調合される。別の実施形態において、本明細書に開示される式(II)のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与するために調合され、非ヒト対象は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される。一実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
別の実施形態において、配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、ヒトに対する経口投与のために調合される。別の実施形態において、配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、非ヒト対象に経口投与するために調合される。さらに別の実施形態において、配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与するために調合される。
別の実施形態において、本明細書に開示される配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、ヒト対象に局所投与するために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に開示される配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、非ヒト対象に局所投与するために調合される。別の実施形態において、本明細書に開示される配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に局所投与するために調合される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
別の実施形態において、本明細書に開示される配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、徐放性投与形態としてヒト対象に投与するために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に開示される配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与するために調合される。別の実施形態において、本明細書に開示される配列番号2のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与するために調合され、非ヒト対象は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される。一実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
別の実施形態において、配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、非ヒト対象に経口投与するために調合される。さらに別の実施形態において、配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与するために調合される。
別の実施形態において、配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、非ヒト対象に局所投与するために調合される。さらに別の実施形態において、配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される非ヒト対象に局所投与するために調合される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
別の実施形態において、本明細書に開示される配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、徐放性投与形態としてヒト対象に投与するために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に開示される配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与するために調合される。別の実施形態において、本明細書に開示される配列番号7のペプチドまたはその薬学上許容可能な塩は、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与するために調合され、非ヒト対象は、ネコ、イヌおよびウマからなる群から選択される。一実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
本明細書において他所に記載されるように、いくつかの(すなわち、複数の)分割した用量を毎日、毎週、毎月または他の好適な時間間隔で投与してもよく、または用量は、病態の緊急性に応じて比例的に低減してもよい。複数の用量の過程が必要な場合、またはそうでなければ所望により、本明細書に開示される組成物は、複数の経路を介した投与のために好適に調合され得る。例えば、第1の用量を非経口(例えば、筋肉内、静脈内;皮下など)投与して、対象において急速またはそうでなければ急性の鎮痛効果を誘導し、次いで、引き続く(例えば、第2、第3、第4、第5などの)用量を非経口投与以外で投与(例えば、経腸投与および/または局所投与)して、治療の急性期に続く長期間にわたり有効薬剤の継続した有効性を提供することが望まれ得る。したがって、一実施形態において、本明細書に開示されるペプチドおよび組成物は、第1の用量として(すなわち、非経口投与形として)対象に非経口投与するために調合され、第1の用量の後(例えば、経腸および/または局所投与形として)対象に非経口投与以外で投与するために調合される。一実施形態において、非経口投与は、筋肉内投与、皮下投与および静脈内投与からなる群から選択される。さらなる実施形態において、非経口投与は皮下投与である。
別の実施形態において、経腸投与は経口投与である。したがって、一実施形態において、本明細書に開示されるペプチドおよび組成物は、第1の用量として対象に非経口投与するために調合され、第1の用量の後(すなわち、経口投与形として)対象に経口投与するために調合される。
別の実施形態において、経腸投与は局所投与である。したがって、一実施形態において、本明細書に開示されるペプチドおよび組成物は、第1の用量として対象に非経口投与するために調合され、第1の用量の後(すなわち、経口投与形として)対象に局所投与するために調合される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
別の実施形態において、第1の用量を非経口(例えば、筋肉内、静脈内;皮下など)投与して、対象において急速またはそうでなければ急性の鎮痛効果を誘導し、次いで、本明細書において他所に記載される徐放性投与形態の引き続く(例えば、第2、第3、第4、第5などの)投与を行い、治療の急性期に続く長期間にわたり有効薬剤の徐放を提供することが望まれ得る。したがって、別の実施形態において、本明細書に開示されるペプチドおよび組成物は、第1の用量として対象に非経口投与するために調合され、第1の用量の後対象に対して投与される徐放性投与形態として調合される。一実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
第1の用量を経腸(例えば、経口または直腸)投与し、次いで、引き続く(例えば、第2、第3、第4、第5などの)用量を局所(例えば、経皮)投与することも望まれ得る。したがって、一実施形態において、本明細書に開示されるペプチドおよび組成物は、第1の用量として(すなわち、経腸投与形として;経口または直腸)対象に経腸投与するために調合され、第1の用量の後(例えば、経皮または経粘膜投与形として)対象に局所投与するために調合される。別の実施形態において、本明細書に開示されるペプチドおよび組成物は、経皮および経粘膜投与からなる群から選択される局所投与のために調合される。さらなる実施形態において、本明細書に開示されるペプチドおよび組成物は、経皮投与のために調合される。
さらに別の実施形態において、本明細書に開示されるペプチドまたは組成物を第1の用量として経腸(例えば、経口または直腸)投与し、次いで、本明細書において他所に記載される徐放性投与形態として、引き続く(例えば、第2、第3、第4、第5などの)用量を投与することが望まれ得る。したがって、一実施形態において、本明細書に開示されるペプチドおよび組成物は、第1の用量としての経腸投与のために調合され、徐放性投与形態としての投与のために調合され、徐放性投与形態は、第1の用量に続く投与のために調合される。一実施形態において、経腸用量は、経口投与のために調合される。別の実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
一実施形態において、本明細書に開示されるペプチドまたは組成物を第1の用量として局所(例えば、経口または直腸)投与し、次いで、本明細書において他所に記載される徐放性投与形態として、引き続く(例えば、第2、第3、第4、第5などの)用量を投与することが望まれ得る。したがって、一実施形態において、本明細書に開示されるペプチドおよび組成物は、第1の用量としての局所投与のために調合され、徐放性投与形態としての投与のために調合され、徐放性投与形態は、第1の局所用量に続く投与のために調合される。一実施形態において、局所用量は、経皮投与のために調合される。別の実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
ここで本発明を、本発明のいくつかの好ましい側面を説明する以下の実施例を参照して説明する。しかしながら、本発明の以下の説明の詳細は、本発明の前述の説明の一般性に取って代わるものではないと理解されるべきである。
配列番号2および5のアミノ酸配列を含んでなるペプチドは、固相合成およびFmoc保護戦略を用いて、Auspep(ビクトリア、オーストラリア)により合成された。
実施例1:in vitro電気生理学的特性
単一細胞ホールセルパッチクランプ電気生理学的記録法と組み合わせた無傷の後根求心性線維を有するin vitro脊髄切片を使用して、配列番号2のアミノ酸配列を有するペプチドの電気生理学的特性を評価した。実験的調製の概略図を図1に示す。
脊髄切片を、神経障害性疼痛の慢性神経絞扼モデル(Chungモデル)から調製し、配列番号2のペプチドに対して試験した。
脊髄神経結紮モデル(Chungモデル)は、KimおよびChung(1992; Pain, 50(3):355-63)によって最初に報告され、L5脊髄神経の単一の緊密な結紮が関与する。このモデルは、神経障害性疼痛の症状/徴候、例えば、機械的アロディニア、機械的および熱的痛覚過敏ならびに臨床患者において認められる症状/徴候を模倣する自発痛の特徴的な特色を示す。このモデルは、神経障害性疼痛を標的とする新規な化合物の有効性を評価するための「ゴールドスタンダード」として使用されている。
手術時の体重が220~250gの、8~9週齢の成体雄スプラーグドーリーラットを、Charles River UK Ltdから購入した。動物を、12時間明暗周期での空調室に4匹の群で収容した。飼料および水を自由摂取させた。動物を、一段高い金属メッシュに少なくとも40分間放置することにより、実験環境に3日間馴化させた。ベースライン足引っ込め閾値(PWT)を、一連の段階的なvon Frey hairを用いて、手術前3日連続で調べ、手術後6~8日目および薬物投与前の手術後12~14日目に再評価した。各ラットを、酸素(2L/分)と混合した5%イソフルランで麻酔し、次いで、ケタミン90mg/kg+キシラジン10mg/kgの筋肉内(i.m.)注射を行った。背部を剪毛し、ポビドンヨードで滅菌した。動物を腹臥位にさせ、L4~6レベルを覆う皮膚に傍正中(para-medial)切開を行った。L5脊髄神経を慎重に単離し、6/0絹糸縫合で緊密に結紮した。次に、完全止血の後、創傷を層状に閉鎖した。手術後の感染症を予防するために、単一用量の抗生物質(Amoxipen、15mg/ラット、i.p.)を慣例的に投与した。動物を、完全に目覚めるまで温度制御された回復チャンバーに入れ、その後、ホームケージに戻した。
8~12週齢のChungモデルラットを、12時間明暗周期での空調室に収容し、飼料および水を自由摂取させた。ラットを、イソフルランを用いて末端麻酔し、断頭した。脊柱、胸郭および周囲組織を迅速に除去し、127mMスクロース、1.9mM KCl、1.2mM KH2PO4、0.24mM CaCl2、3.9mM MgCl2、26mM NaHCO3、10mM D-グルコースおよび0.5mMアスコルビン酸を含んでなる氷冷(4℃未満)高スクロース含有人工脳脊髄液(aCSF)下でピン留めした。
椎弓切除を行い、脊髄および関連する根を穏やかに解剖し、脊柱および周囲組織から掻き裂いた。引き続き、硬膜および軟膜ならびに前根を微細鉗子で除去し、脊髄を半切除した。脊髄への後根入力が維持されていることを保証するために注意を払った。半切除した脊髄-後根調製物を組織スライサーに固定し、後根が付着した脊髄切片(400~450μm厚)を、Leica VT1000sミクロトームを用いて、冷却(4℃未満)高スクロースaCSF中で切り出した。
切片を、127mM NaCl、1.9mM KCl、1.2mM KH2PO4、1.3mM MgCl2、2.4mM CaCl2、26mM NaHCO3および10mM D-グルコースを含む氷冷aCSFを含有する小さなビーカーに移し、温度制御された水浴中で20分かけて35℃±1℃まで迅速に温めた後、引き続き除去し、電気生理学的記録の前に室温(22℃±2℃)で維持した。127mM NaCl、1.9mM KCl、1.2mM KH2PO4、1.3mM MgCl2、2.4mM CaCl2、26mM NaHCO3および10mM D-グルコースを含んでなるaCSF中で、電気生理学的記録を行った。
Axopatch 1Dおよび/またはMulticlamp 700B増幅器を用いて、また、パッチクランプ法の「ブラインド」バージョンを用いて、脊髄切片の後角における第IまたはII層ニューロンから、ホールセル記録を34~35℃で行った。
細胞内液で満たされた際、3~8MΩの間の抵抗を有する薄肉ホウケイ酸ガラスからパッチピペットを引き抜いた。記録されたニューロンの記録後の同定を可能にするために、ビオシチンをパッチ溶液に含めた。配列番号2(AOD;本明細書ではLAT8881ともいう)のペプチドを、濃度10μMの組織浴中で記録された組織に適用した。
後根求心性線維の刺激後のシナプス後電流に対するAOD9604(配列番号2)の効果は、8分までに検出可能であり、25分においてシナプス後電流をほぼ完全に抑制した(図2参照)。対照的に、ヒト成長ホルモンは、シナプス後電流に対する効果を示さなかった(資料未記載)。
AODによるシナプス後電流の効果は、ウォッシュアウトに対して少なくとも部分的に可逆的であり、AODは神経細胞に対して毒性ではないことが示唆された。
実施例2:in vivo電気生理学的特性
この試験は、上記に概説したように調製された、CCIラットを用いた慢性神経絞扼モデルにおけるWDRニューロンの自発活動に対するLAT8881(配列番号2)の効果を評価するために実施された。簡単に述べれば、行動学的検証の後、ラットを、誘導のためにウレタン1.2g/kg、i.p.で麻酔し、引き続き、必要に応じて、維持のために0.1~0.5g/kg、i.v.で補充した。右頸動脈および頸静脈を、それぞれ血圧をモニタリングし、薬物投与を可能にするために、別々にカニューレ処置した。体温をモニタリングし、熱ブランケットシステムを介して生理学的範囲内に制御した。左および右前足に挿入された一対のステンレス鋼針を介して、心電図(ECG)を慣例的にモニタリングした。
神経腫起源の異所性放電のために、左後肢の外側に切開を行った。解剖顕微鏡下で、坐骨神経結紮領域の下の腓腹神経を露出させ、周囲の結合組織から慎重に単離した。皮膚を金属Oリングに縫い付けてプールを形成し、これを後に、神経を保護するために温かい鉱油で満たした。結紮領域の上の坐骨神経を切開した。次に、神経鞘を慎重に除去した。神経フィラメントの小さな束を、腓腹神経の遠位の切断端から掻き裂き、基準電極が近くの結合組織に接続された状態の単極銀線記録電極に巻き付けた。
DRG起源の異所性放電に関しては、基本的な解剖および記録手順は、神経腫起源のものに関する記録のセットアップと同じであり、唯一の違いは、坐骨神経の記録部位が、DRGの下の結紮領域の上であったことであった。
脊髄後角からのWDRニューロンを記録するために、椎弓切除を行い、T11~L2セグメントを露出させた。切開した背部皮膚をプラスチックフィルムに留めて、油性プールを形成し、脊髄の表面が脱水されることを防いだ。露出した脊髄の上の硬膜を開いた。後角ニューロンの記録のために、炭素繊維微小電極(インピーダンス、1KHzで0.4~0.8MΩ)を、手動式油圧マニピュレーターを用いて脊髄後角へと下げ、ニューロン活動を記録した。記録したニューロンは、L4~L5レベルの深層(脊髄の表面から約500~900μmの第IVまたはV層)に由来するものであった。筋紡錘、関節受容器などを神経支配する固有受容ニューロンは、それらの発火パターンおよび関節運動に対する反応に従って除外した。神経活動を増幅し、標準的な電気生理学的記録法を用いてモニタリングし、CED Spike 5ソフトウェア(Cambridge Electronics Design、CED)を用いたPCに記録した。
電気信号を、Digitimer AC増幅器(NL104)を介して増幅し、50~500Hzに設定した低域フィルターおよび500~5KHzに設定した広域遮断フィルターで選別した。次に、信号を、CED micro-1401インターフェースを介してPCに記録し、オフラインで分析した。
(i)WDRニューロンの同定
後角からのWDRニューロンを同定するために用いた方法は、以前に報告されている(Elmes et al., 2004)。簡単に述べれば、後足における末梢受容野(RF)をマッピングした後、WDRニューロンを同定するために機械刺激の設定プロトコールを用いた:第1に、10秒間の穏やかなブラッシング;第2に、3つの異なる大きさのvon Frey hair(1g、4g、15g)をRFに適用し、1秒オン、1秒オフとし、10回繰り返した(2つのvon Frey Hair適用の間隔は、10秒であった);第3に、一対の小鉗子を用いて、10秒間のつまみ刺激をRFに適用した。典型的なWDRニューロンの反応は、刺激の強度が増すにつれ、増加すると思われる。A.ブラッシング(10秒)2秒 B.von Frey Hair(1秒オン-1秒オフを10回)20秒1g 4g 15g C.つまみ(10秒)2秒 D.ワインドアップおよび後放電3秒。
(ii)ワインドアップおよび後放電の誘導
WDRニューロンを同定した後、一対の細針電極をRFに挿入して、電気刺激を送達した。C線維反応(電気刺激後の潜時90~300ms)の活動電位を惹起するための閾値を、持続時間1msの単一電気パルスを、強度を上げながら送達することにより、決定した。閾値が見出されたら、閾値の2倍の強度の電気パルスの列(5秒で16パルス、持続時間1ms)を、5分に1回送達した。神経活動(自然発火および誘発反応)を、ビヒクルまたは化合物の投与前に少なくとも20分間記録した後、ビヒクルまたは化合物を注射した後さらに40分間記録した。
(iii)自発活動の測定
電気刺激の直前の連続4.5分間にわたる平均自然発火頻度(1分あたりの活動電位の数で表される)を、ビヒクルまたは化合物の注射前および注射後10、20、30、40、50、60分に測定した。
(iv)ワインドアップの測定
Svendsen, et al., 1999により記載された方法に基づいたプロトコールを用いて、ワインドアップを測定した。簡単に述べれば、ワインドアップを、その列における第1の電気パルスにより誘導された活動電位の16倍をマイナスした16個の電気パルス総てに反応したニューロンの誘発活動電位の総数として、算出した。第1に、第1の電気刺激パルス後300ms以内の活動電位の数(A)を計数した。第2に、その5秒内で電気パルスの列全体(16パルス)により誘導された活動電位の総数(B)を計数した。次に、ワインドアップ活動電位の数を以下のように算出した:
(v)ワインドアップ活動電位数=B-(A×16)
化合物の投与直前(0分)および化合物の注射後10分毎のワインドアップ活動電位数を計数した。いくつかの例において、ワインドアップは化合物の投与後に完全に阻害され、ワインドアップ活動電位の数(B)は、対照レベル(A×16)よりも低く、負の読み取り値をもたらした。このような場合は、統計解析を容易にするために、ワインドアップを0(完全阻害)として設定した。
(vi)後放電の測定:
列の最後の電気パルス(すなわち、16番目の電気刺激)後300msから開始して10秒以内に記録された活動電位の総数を、そのニューロンに対する後放電の程度のマーカーまたは指標として使用した。
図3に示されるように、LAT8881は、この慢性神経絞扼モデルにおいて、WDRニューロンにおける自発活動を抑制した。LAT8881はまた、このモデルにおいてWDRニューロンに対するワインドアップを抑制した(図4参照)。静脈内投与した場合、LAT8881はまた、ビヒクルと比較した場合、この慢性神経絞扼モデルにおいてDRG由来放電を抑制した(図5参照)。
実施例3:生体外電気生理学的特性
この試験は、Chungラットからの後角ニューロンにおける電流注入に対するシナプス後膜反応に対するLAT8881(AOD9604;配列番号2)の効果を評価するために実施された。図6に示されるように、LAT8881は、ビヒクル単独(対照)と比較して、およそ-90mVでの傾きの減少およびプロットの交差から明らかなように、内向き整流性カリウム(K)コンダクタンスを活性化する。
実施例4:投与部位におけるin vivo電気生理学
この試験は、CCIラットにおける慢性神経絞扼モデルにおける神経腫起源および後根神経節(DRG)起源の異所性放電に対するLAT8881(配列番号2)の効果を評価するために実施された。LAT8881は、約1mg/kg体重で筋肉内注射(IM)により動物に投与された。
(i)CCIモデルラットにおけるDRG起源の異所性放電の記録:
1.CCIラットを、ウレタン(誘導のために1.2g/kg、ip、必要に応じて、200~400mg/kg ivで補充)で麻酔した。
2.右頸動脈および頸静脈を、それぞれ血圧のモニタリングおよび薬物適用のために、別々にカニューレ処置した。
3.体温をモニタリングし、熱ブランケットシステムを介して生理学的範囲内に制御した。
4.心電図(ECG)を慣例的にモニタリングした。
5.坐骨神経を、後肢の背側切開を介して露出させ、温かい鉱油で被覆した。
6.傷害領域の上の坐骨神経を、周囲の結合組織から慎重に分離し、切開した。
7.神経フィラメントの小さな束を、坐骨神経の近位の切断端から掻き裂き、基準電極が近くの結合組織に接続された状態の単極銀線記録電極に巻き付けた。
8.電気信号を増幅し、慣例的な電気生理学的方法で記録した。
9.自発活動が、対照として少なくとも20間続いており、化合物の投与後40分間続いている線維から、記録を行った。
10.ビヒクルは、1%DMSO+99%PBSであった。ビヒクルおよび試験化合物を静脈内投与した。
(ii)神経腫起源の異所性放電の記録:
調製は、一般に上記と同じであるが、傷害領域とDRGとの間の坐骨神経切開後、傷害領域の下の腓腹神経から記録を行った。
図7および8に示されるように、LAT8881は、DRGのレベルで異所性放電を阻害したが、神経腫のレベルでは阻害しなかった。データはまた、LAT8881は、自発活動およびワインドアップを阻害したが、脊髄後角WDRニューロンにおける後放電をわずかに阻害したことを示している。
実施例5:神経絞扼モデルを用いたin vivoにおける神経障害性疼痛に対するLAT8881の効果
この試験は、Chungラットにおける神経絞扼モデルを用いて、in vivoにおける神経障害性疼痛に対するLAT8881(配列番号2)の鎮痛効果を評価するために実施された。簡単に述べれば、手術時の体重が220~250gの、8~9週齢の成体雄スプラーグドーリーラットを、Charles River UK Ltdから購入した。
動物を、12時間明暗周期での空調室に4匹の群で収容した。飼料および水を自由摂取させた。動物を、一段高い金属メッシュに少なくとも40分間放置することにより、実験環境に3日間馴化させた。ベースライン足引っ込め閾値(PWT)を、一連の段階的なvon Frey hairを用いて、手術前3日連続で調べ、手術後6~8日目および薬物投与前の手術後12~14日目に再評価した。
各ラットを、酸素(2L/分)と混合した5%イソフルランで麻酔し、次いで、ケタミン90mg/kg+キシラジン10mg/kgの筋肉内(i.m.)注射を行った。背部を剪毛し、ポビドンヨードで滅菌した。動物を腹臥位にさせ、L4~6レベルを覆う皮膚に傍正中(para-medial)切開を行った。L5脊髄神経を慎重に単離し、6/0絹糸縫合で緊密に結紮した。次に、完全止血の後、創傷を層状に閉鎖した。手術後の感染症を予防するために、単一用量の抗生物質(Amoxipen、15mg/ラット、i.p.)を慣例的に投与した。動物を、完全に目覚めるまで温度制御された回復チャンバーに入れ、その後、ホームケージに戻した。
ビヒクル(PBS中1%DMSO)およびLAT8881(AOD9604、GL449;Lateral Pharma Pty Ltdにより提供)を、傷害部位と反対側の脚に筋肉内(i.m.)投与した。投与は、第2の実験者により行われた。神経障害性疼痛の状態が確認されたラットを、5つの実験群:1ml/kgビヒクル、0.1、0.5、1および5mg/kg LAT8881に無作為に割り付けた。
各群8匹の動物であった。動物を、一段高い金属メッシュ上の個別のPerspexボックスに、試験前に少なくとも40分間入れた。最低の力(約1g)のフィラメントから開始し、各フィラメントを、6秒間わずかに曲がるまで、足の腹側表面の中心に垂直に適用した。動物が刺激時に足を引っ込めたか、または足を上げた場合、試験したものよりすぐ下の力を有するhairを使用した。反応が認められなかった場合、すぐ上の力を有するhairを試験した。信頼できる反応(5回中3回の試行で陽性)を誘導するのに必要であった最低量の力を、PWTの値として記録した。
薬物試験は、手術後12~14日目に実施された。PWTを、薬物またはビヒクルの投与前、投与後1、2および4時間に評価した。動物を、2つの隣接した試験時点間にホームケージに戻すことにより(約30~60分)、休ませた。LAT8881を、約0.1mg/kg体重~約5mg/kg体重の用量で、同側肢における単回筋肉内注射(IM)により投与した。
図9に示されるように、LAT8881は、LAT8881を投与された動物において、足引っ込め閾値の有意な用量依存的な改善をもたらした。この効果は、LAT8881の投与の1時間以内に認められ、少なくとも4時間持続した。LAT8881は、この試験において、反対側の足には効果を示さなかった。
実施例6:神経絞扼モデルを用いたin vivoにおける神経障害性疼痛に対するLAT9991の効果
この試験は、上記の実施例5に記載の通り、Chungラットにおける神経絞扼モデルを用いて、in vivoにおける神経障害性疼痛に対するLAT9991(配列番号4)の鎮痛効果を評価するために実施された。LAT9991を、約0.1mg/kg体重~約5mg/kg体重の用量で、同側肢における単回筋肉内注射(IM)により投与した。
図10に示されるように、LAT9991は、LAT9991を投与された動物において、足引っ込め閾値の有意な用量依存的な改善をもたらし、これは、LAT8881で認められた効果と同等であった(上記の実施例5参照)。LAT9991の効果は、投与の1時間以内に認められ、少なくとも4時間持続した。LAT9991は、この試験において、反対側の足には効果を示さなかった。データはまた、神経障害性疼痛に対する5mg/kg体重のLAT9991の鎮痛効果は、100mg/kg体重のガバペンチンで認められた鎮痛効果と同等であったことを示している。
実施例7:神経絞扼モデルを用いたin vivoにおける神経障害性疼痛に対する経口投与されたLAT8881の効果
この試験は、ビヒクル(PBS中2%DMSO)、LAT8881(AOD9604、GL449)およびLAT9991を2ml/kgで経口投与したことを除き、上記の実施例5に記載の通り、Chungラットにおける神経絞扼モデルを用いて、in vivoにおける神経障害性疼痛に対する経口投与されたLAT8881(配列番号2)の鎮痛効果を評価するために実施された。Actavis、英国から得た陽性対照としてのガバペンチン(ロット番号GJ29)を、生理食塩水中100mg/2ml/kgで経口投与した。投与は、第2の実験者により行われた。
図11に示されるように、経口投与されたLAT8881は、足引っ込め閾値の有意な用量依存的な改善をもたらした。この効果は、LAT8881の投与の1時間以内に認められ、少なくとも4時間持続した。データは、神経障害性疼痛に対する2mg/kg体重経口および5mg/kg体重経口のLAT8881の鎮痛効果は、100mg/kg体重経口のガバペンチンで認められた鎮痛効果と同等であったことを示している。この試験において、反対側の足の反応に対する効果は認められなかった。これらのデータから、5mg/kg体重の用量を、さらなるin vivo試験のために選択した。
実施例8:神経絞扼モデルを用いたin vivoにおける神経障害性疼痛に対する経口投与されたLAT9991Fの効果
この試験は、上記の実施例5に記載の通り、Chungラットにおける神経絞扼モデルを用いて、in vivoにおける神経障害性疼痛に対する経口投与されたLAT9991F(配列番号5)の鎮痛効果を評価するために実施された。簡単に述べれば、LAT9991Fを、約1mg/kg体重~約5mg/kg体重の用量で経口投与した。
図12に示されるように、経口投与されたLAT9991Fは、足引っ込め閾値の有意な用量依存的な改善をもたらし、これは、LAT8881で認められた効果と同等であった(上記の実施例7参照)。この効果は、LAT9991Fの投与の1時間以内に認められ、少なくとも4時間持続した。データは、5mg/kg体重POのLAT9991Fの鎮痛効果は、100mg/kg体重POのガバペンチンで認められた鎮痛効果と同等であったことを示している。この試験において、反対側の足の反応に対する効果は認められなかった。
実施例9:糖尿病性ニューロパチーに対する経口投与されたLAT8881の効果
この試験は、ストレプトゾトシン誘発糖尿病性ニューロパチーにおける神経障害性疼痛に対する経口投与されたLAT8881(配列番号2)の鎮痛効果を評価するために実施された。簡単に述べれば、体重が220~250gの成体雄スプラーグドーリーラットに対し、ストレプトゾトシン(STZ)50mg/kgの腹腔内注射を行い、糖尿病を誘発した。即時グルコースモニタリングキットAccu plus-Chekを用いて、注射後7日に血糖値を調べた。グルコースレベルが14mmol/L未満であった場合、動物に対しSTZの第2の注射を行った。動物がSTZの2回の注射後に糖尿病を発症しなかった場合、それらの動物は試験から除外した。グルコースレベルが14mmol/L超およびPWTが4g以下(両後肢の平均)のラットを、化合物試験に使用した。糖尿病ラットは、足引っ込め閾値(PWT)を決定するためにVon Freyフィラメントを用いて測定された機械的アロディニアを特徴とする神経障害性疼痛を発症した。LAT8881を、約5mg/kg体重の用量で、動物に経口投与した。
図13に示されるように、経口投与されたLAT8881は、改善された足引っ込め閾値から明らかなように、このモデルにおいて鎮痛効果を示した。この鎮痛効果は、投与の1時間以内に明らかとなり、少なくとも4時間持続した。
実施例10:化学療法後のニューロパチーのオキサリプラチン誘発モデルに対する経口投与されたLAT8881の効果
この試験は、ストレプトゾトシン誘発糖尿病性ニューロパチーにおける神経障害性疼痛に対する経口投与されたLAT8881(配列番号2)の鎮痛効果を評価するために実施された。簡単に述べれば、LAT8881を、約5mg/kg体重の用量で経口投与した。簡単に述べれば、ラットを、酸素(2L/分)と混合した3%イソフルランで麻酔した。オキサリプラチンを、4mg/kgで尾静脈を介して週2回静脈内注射した。有意な機械的アロディニアを特徴とする神経障害性疼痛の発症を、引っ込め反応(足引っ込め閾値、PWT)を誘発するために後足に適用された一連の段階的なvon Frey hairを用いて、モニタリングした。有意な機械的アロディニア(PWT 4.0g以下)を有するラットのみを、さらなる薬物試験のために選択した。
図14に示されるように、経口投与されたLAT8881は、ビヒクルと比較した場合、LAT8881の投与の1時間以内に改善された足引っ込め閾値から明らかなように、有意な鎮痛効果を示した。この鎮痛効果は、少なくとも4時間持続した。
実施例11:線維筋痛のレセルピン誘発モデルに対する経口投与されたLAT8881の効果
この試験は、線維筋痛(線維筋痛症候群)のレセルピン誘発モデルにおける神経障害性疼痛に対する経口投与されたLAT8881(配列番号2)の鎮痛効果を評価するために実施された。簡単に述べれば、体重が220~250gの成体雄スプラーグドーリーラットに対し、レセルピンを1mg/kg、scで3日連続投与した。このモデルは、レセルピンの最終投与後5日の薬物試験のために使用した。LAT8881を、約5mg/kg体重の用量で経口投与した。
図15に示されるように、経口投与されたLAT8881は、ビヒクルと比較した場合、LAT8881の投与の1時間以内に改善された足引っ込め閾値から明らかなように、有意な鎮痛効果を示した。この鎮痛効果は、少なくとも6時間持続した。
実施例12:侵害受容性疼痛に対する経口投与されたLAT8881の効果
この試験は、完全フロイントアジュバント(CFA)誘発炎症性疼痛の動物モデルを用いて、侵害受容性疼痛に対する経口投与されたLAT8881(配列番号2)の鎮痛効果を評価するために実施された。簡単に述べれば、ラットを、97%酸素と混合した3%イソフルランで麻酔した。左足に対し、生理食塩水中0.05ml CFAエマルション(F5881、Sigma-Aldrich)(CFA:生理食塩水=1:1、vol./vol.)を注射した。CFAの注射後、動物をホームケージに戻した。定期的な観察を行い、注射後の動物の病態をモニタリングした。
図16に示されるように、試験した総ての用量での経口投与されたLAT8881は、足引っ込め閾値により決定されたように、CFA誘発侵害受容性疼痛に対する有意な鎮痛効果を示さなかった。このことはモルヒネと対照的であり、モルヒネは、予想通り、投与後1および2時間に侵害受容性疼痛に対する有意な鎮痛効果を示した。
実施例13:ヒトおよびラット全血サンプルにおけるLAT8881の生体外代謝
この試験は、ヒトおよびラット全血におけるLAT8881(配列番号2)の生体外代謝を評価するために実施された。ヒトまたはラット血液をK2EDTAチューブに採取し、およそ2.94mLの血液をポリプロピレンチューブに移し、37℃で水浴中にて保存した。次に、血液サンプルに、LAT8881の20mg/mL溶液およそ60μLを添加した(血液サンプル中のLAT8881の終濃度は、およそ400ng/mLであった)。示した時点において、およそ300μLの添加血液サンプルを、30μLの10倍プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma Aldrich;製品番号P2714)を含有するバイアルに移し、よく混合し、4℃で遠心分離した。次に、血漿画分を回収し、ポリプロピレンチューブに移し、-80℃で保存した。
各血漿サンプルの2組の50μLアリコートに、内部標準の20μL混合物(標識LAT8881/重水素化LAT9991F/重水素化LAT9998;CRSVEGSC(配列番号11))を添加し、200μLのアセトニトリルで1500rpmにて5分間ボルテックス混合した。次に、得られた混合物を14000rpmで5分間遠心分離し、上清を窒素気流下で37℃にて蒸発させ、乾燥させた。残渣を150μLの再構成溶液中で再構成し、およそ150μLの再構成サンプルを、LC-MSシステムへの注入のために、96ウェルプレートに移した。
LAT8881およびLAT9991Fの分析のために、各血漿サンプルの5μLアリコートを、Phenomenex Kinetex C18、2.6μm、100Å、50×2.1mmを備えたShimadzu Nexera UPLCシステムに注入した。移動相は、(a)5%アセトニトリル/0.1%ギ酸含有水、および(b)95%アセトニトリル/0.1%ギ酸含有水であった。移動相の流速は0.4mL/分であり、下表1に要約するように、勾配溶離を用いた。質量分析を用いて溶出ピークを分析した。
LAT9998(配列番号11)の分析のために、各血漿サンプルの5μLアリコートを、Phenomenex Aeris Peptide XB-C18、3.6μm、150×2.1mmを備えたShimadzu Nexera UPLCシステムに注入した。移動相は、(a)5%アセトニトリル/0.1%ギ酸含有水、および(b)95%アセトニトリル/0.1%ギ酸含有水であった。移動相の流速は0.35mL/分であり、下表2に要約するように、勾配溶離を用いた。質量分析を用いて溶出ピークを分析した。
ESIをポジティブモードで用いたAB Sciex QTrap 5500質量分析計を使用して、サンプルを分析した。MRM分析を5500Vのイオンスプレー(IS)を用いて行い、Curtain Gas(CUR)を20に設定した。各分析物に対するマスフィルター設定を最適化し、下表3に要約する。複数のMRMトランジションをモニタリングし、認められたクロマトグラフィーピークが名目上の化合物に由来することを確実にした。結果は、分析物のピーク面積比(正規化対内部標準ピーク面積)として報告する。
結果
ヒトおよびラット血液に関するLAT8881およびLAT9991Fのピーク面積比対内部標準値を、図17および18に示す。ヒトおよびラット血液に関するLAT9998(CRSVEGSCG;配列番号11)のピーク面積比対内部標準値を、下表5示す:
結果は、LAT8881は、およそ3~6分のヒトおよびラット血液における生体外半減期を有し、一方、LAT9991Fは、60分を超える実質的に長い半減期を有することを示している。対照的に、代謝産物LAT9998は、ヒトおよびラット血液において一過性にしか存在しないようである。
実施例14:神経絞扼モデルを用いたin vivoにおける神経障害性疼痛に対する経口投与されたLAT9991の効果
この試験は、上記の実施例5に記載の通り、Chungラットにおける神経絞扼モデルを用いて、in vivoにおける神経障害性疼痛に対する経口投与されたLAT9991(配列番号4)の鎮痛効果を評価するために実施された。簡単に述べれば、LAT9991を、約1mg/kg体重、2mg/kg体重および5mg/kg体重の用量で経口投与した。
図19に示されるように、経口投与されたLAT9991は、足引っ込め閾値の有意な用量依存的な改善をもたらし、これは、LAT8881で認められた効果と同等であった(上記の実施例7参照)。この効果は、LAT9991の投与の1時間以内に認められ、少なくとも4時間持続した。データは、5mg/kg体重の経口投与されたLAT9991の鎮痛効果は、100mg/kg体重の経口投与されたガバペンチンで認められた鎮痛効果と同等であったことを示している。この試験において、反対側の足の反応に対する効果は認められなかった。
実施例15:LATc9991Fのin vitro電気生理学的特性
この試験は、神経障害性疼痛が確認されたChungモデルラットからの脊髄切片における自発的電気活動に対するLATc9991F(配列番号10)の効果を評価するために実施された。LATc9991Fは、WO2013/082667に記載の通り、ヒト成長ホルモンのネコ、イヌおよびウマバリアントに由来するLAT9991Fの非ヒトバリアントである。
簡単に述べれば、神経障害性疼痛の症状が確認されたChungモデルラットから脊髄切片を調製し、自発的電気活動を実施例1のように測定した。図20に示されるように、神経障害性疼痛の状態の特徴的な特色である、脊髄における神経細胞の自発的電気活動(記録における上方偏位)が、LATc9991Fの添加前に容易に認められた。切片へのLATc9991Fの添加の2分以内に、この電気活動はLATc9991Fにより抑制された。この結果は、神経障害性疼痛のこの齧歯類モデルにおける鎮痛作用機序と一致している。
考察
上記の実施例は、LAT8881(AOD9604;配列番号2)は、侵害受容性疼痛に対する識別可能な鎮痛効果をほとんどまたは全く示さずに、神経障害性疼痛を治療することができることを示している。したがって、ペプチドは、侵害受容性疼痛を同時に治療しないことが好ましい条件下において、神経障害性疼痛の治療に有利に用いることができる。本明細書に示されるデータはさらに、配列番号4および5(それぞれLAT9991およびLAT9991F)は、LAT8881と同等または実質的に同等の生物活性を保持することを示している。したがって、LAT8881に帰する有利な鎮痛特性からもたらされる利益は、その代謝産物(例えば、配列番号4および5)の投与によっても達成され得る。実施例13におけるデータはさらに、LAT8881は有意に短い生体外半減期を有すること、およびその代謝産物LAT9998(配列番号11)は、1時間後のヒトおよびラット血液においてかろうじて検出可能であることを示している。これらのデータは、LAT8881の半減期が1分をはるかに下回ることを示す実施例14におけるin vivoデータと一致している。これらの所見は、LAT8881の活性は、親分子からではなく、その代謝産物に由来することを初めて示唆するものである。