JP7280744B2 - 発泡性洗剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、網戸やエアコンフィルター等の洗浄をするにあたり、エアゾールの形態で使用される洗剤組成物であって、噴霧された泡状体が噴霧対象物に付着して優れた洗浄効果を発揮後、その泡状体を消泡せしめることによって噴霧対象物の洗浄効率を高めた発泡性洗剤組成物に関する。
従来、網戸の洗浄には、スポンジやタワシ等で擦り洗いする方法や、市販の洗浄剤を用いて洗浄する方法が行われている。しかし、スポンジ等で擦り洗いする方法では網面を傷めたり、たるみを生じたりする虞がある。そのため、網戸用の洗浄剤としては、擦らなくても汚れが落ちる高い洗浄力を有する洗浄剤が必要であり、また、洗浄剤をエアゾール製剤として網戸に吹き付ける場合には、泡が網面を通過しないように、特に発泡性が重要となる。また、噴霧対象物の洗浄効果において、泡状体の方が液状体よりも有利なことが知られており、例えば、泡の付着率の改善を目的とした網戸用洗浄剤組成物が知られている。更に、付着した泡状体が消泡することで、一層洗浄力を高めることも知られている。更に、網戸、フィルターの洗浄においては、拭き取り性が洗浄力、作業性に影響することを考慮すると、速やかに消泡することは、より一層洗浄効果を高めるといえる。
網戸用の洗浄剤組成物中に消泡剤を配合する提案として、例えば特許文献1には、(A)界面活性剤、(B)油剤、(C)エタノール及び/又はイソプロピルアルコール(IPA)、(D)20℃における水に対する溶解度が7質量%以下であるグリコールエーテル系溶剤、及び(E)水を含有する洗浄液と、(F)噴射剤とをエアゾール容器に充填してなる発泡性洗剤組成物であって、エアゾール容器から噴霧された泡状体を噴霧対象物に付着させた後、30秒以内に消泡せしめることによって噴霧対象物の洗浄効率を高めた発泡性洗剤組成物が開示されている。
特許文献2には、(A-1)発泡成分としての界面活性剤、(B)油剤、(C)エタノール及び/又はイソプロピルアルコール(IPA)、及び(D)水を含有する洗浄液と、(F)噴射剤とをエアゾール容器に充填してなる発泡性洗剤組成物に、(A-2)泡調整剤としてHLBが7.0未満であるノニオン系界面活性剤を配合し、エアゾール容器から噴霧された泡状体を噴霧対象物に付着させた後、30秒以内に消泡せしめることによって噴霧対象物の洗浄効率を高めた発泡性洗剤組成物が開示されている。
上述した特許文献1、2によれば、十分な発泡力を有し噴霧された泡状体の殆どが網戸やフィルターを突き抜けることなく、付着して優れた洗浄効果を発揮後、その泡状体を速やかに消泡せしめることによって噴霧対象物の洗浄効率を高め得る。
特開2013-181153号公報 特開2014-74125号公報
特許文献1、2の発泡性洗剤組成物では、低級アルコールであるエタノール、イソプロピルアルコールを必須の配合成分としている。そのため、発泡性洗剤組成物の引火性が高くなり、キッチン周り等の火を使う場所での使用には注意が必要であった。また、エタノールやイソプロピルアルコールを含む洗剤組成物を樹脂部材に塗布した際に塗装やワックスの剥がれが発生するおそれもあり、アルコールの匂いが苦手な人やアルコールで手が荒れる人にとっては使用し難いという問題点もあった。さらに、換気扇やエアコンのアルミフィン、排水管等の凹凸のある入り組んだ形状の対象物の洗浄に適した発泡性洗剤組成物が無かった。
本発明は、上記問題点に鑑み、噴霧対象物に噴霧したときの発泡性および消泡効果が高く、且つ安全性や使用性にも優れた発泡性洗剤組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、(A)炭素数4~14のアルキル基を有するアルキルグリコシドから選ばれる1種以上、(B)2-フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテルから選ばれる1種以上、(C)D-リモネン、イソパラフィン、ナフテン系炭化水素、ホホバ油、オリーブ油から選ばれる1種以上、及び(D)水を含有する洗浄液と、(E)噴射剤としてLPGと、をエアゾール容器に充填してなる発泡性洗剤組成物であって、前記洗浄液全量に対する前記(A)成分の配合量が0.2~20質量%、前記(B)成分の配合量が0.5~5質量%、前記(C)成分の配合量が0.1~3質量%であり、前記エアゾール容器から噴霧された泡状体を噴霧対象物に付着させた後、30秒以内に消泡せしめることによって前記噴霧対象物の洗浄効率を高めた発泡性洗剤組成物(但し、前記洗浄液が、エタノール及び/又はイソプロピルアルコールを含む場合を除く)である。
また本発明は、上記構成の発泡性洗剤組成物において、前記(A)アルキルグリコシドが、ブチルグリコシド、ヘプチルグリコシド、オクチルグリコシド、デシルグリコシド、ウンデシルグリコシド、ドデシルグリコシド、ミリスチルグリコシドから選ばれる1種以上であるであることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の発泡性洗剤組成物において、前記洗浄液と前記(E)噴射剤の配合比率が50/50容量%~95/5容量%であることを特徴としている。
本発明の第1の構成によれば、(A)炭素数4~14のアルキル基を有するアルキルグリコシドから選ばれる1種以上、(B)2-フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテルから選ばれる1種以上、(C)D-リモネン、イソパラフィン、ナフテン系炭化水素、ホホバ油、オリーブ油から選ばれる1種以上、及び(D)水を含有する洗浄液(但し、エタノール及び/又はイソプロピルアルコールを含む場合を除く)と、(E)噴射剤としてLPGと、をエアゾール容器に充填し、前記洗浄液全量に対する前記(A)成分の配合量が0.2~20質量%、前記(B)成分の配合量が0.5~5質量%、前記(C)成分の配合量が0.1~3質量%とすることにより、噴霧された泡状体が噴霧対象物に付着後、30秒以内に速やかに消泡することで、入り組んだ場所でも洗浄成分が汚れに密着して優れた洗浄効果を発揮することができる。また、エタノールやイソプロピルアルコール等の低級アルコールを配合する必要がなく、使用感や安全性にも優れた発泡性洗剤組成物となる。
また、本発明の第の構成によれば、上記第の構成の発泡性洗剤組成物において、アルキルグリコシドとしてブチルグリコシド、ヘプチルグリコシド、オクチルグリコシド、デシルグリコシド、ウンデシルグリコシド、ドデシルグリコシド、ミリスチルグリコシドから選ばれる1種以上を配合することにより、噴霧された泡状体の噴霧対象物への付着性と、噴霧対象物に付着した泡状体の泡立ち、泡切れ効果を顕著に向上させることができ、安全性にも優れた発泡性洗剤組成物となる。
また、本発明の第の構成によれば、上記第1又は第2の構成の発泡性洗剤組成物において、洗浄液と噴射剤の配合比率を50/50容量%~95/5容量%とすることにより、噴射剤の配合比率を、エアゾール容器から洗浄液を噴霧し、噴霧対象物に泡状体として付着させるために必要十分な配合比率とすることができる。
以下、本発明の発泡性洗剤組成物について詳細に説明する。本発明の発泡性洗剤組成物は、(A)アルキルグリコシド、(B)20℃における水に対する溶解度が7質量%以下である溶剤、(C)油剤、及び(D)水を含有する洗浄液と、(E)噴射剤とをエアゾール容器に充填したものである。
本発明の発泡性洗剤組成物に配合される成分(A)アルキルグリコシドは、下記の一般式(1)
[化1]
1-(O-R2)x-Gy ・・・(1)
(式(1)中、R1は直鎖又は分岐鎖のC8-C18のアルキル基、アルケニル基、又はアルキルフェニル基を表わし、R2はC2-C4のアルキレン基を表わし、GはC5-C6を有する還元糖に由来する残基を表わし、x (平均値) は0~5、y (平均値)は1~5である)で表される。式中、xは、好ましくは0~2、より好ましくは0である。yは、好ましくは1 ~1.5、より好ましくは1~1.4である。
アルキルグリコシドとしては、一般式(1)を満たすものであれば特に限定されず、式(1)のR1が炭素数4~14のアルキル基であるものが好適に用いられる。R1が炭素数4~14のアルキル基であるアルキルグリコシドとしては、R1がC4のアルキル基であるブチルグリコシド、C7のアルキル基であるヘプチルグリコシド、C8のアルキル基であるオクチルグリコシド、C10のアルキル基であるデシルグリコシド、C11のアルキル基であるウンデシルグリコシド、C12のアルキル基であるドデシル(ラウリル)グリコシド、C14のアルキル基であるミリスチルグリコシド等が挙げられる。例えば、高い洗浄性を得る観点からは、C10~C14のアルキル基であるデシルグリコシド、ドデシルグリコシド、ミリスチルグリコシド等が好ましい。アルキルグリコシドは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。アルキルグリコシドは、洗浄液中に0.2~20質量%配合されることが好ましく、この範囲では、噴霧対象物への付着性および発泡性に優れている。
本発明の発泡性洗剤組成物は、発泡成分である(A)アルキルグリコシドを、後述する(B)20℃における水に対する溶解度が7質量%以下である溶剤、(C)油剤と共に洗浄液に配合することで、エアゾール容器から噴霧された泡状体を噴霧対象物に付着させた後、速やかに消泡せしめることを特徴としている。特に、垂直面では付着した泡状体が垂れ落ちる前に消泡することにより、洗浄剤が効率よく対象物に作用して洗浄力が高まるだけでなく、泡状体が速やかに消泡することにより、洗浄作業効率を大いに高めることが可能となることを見出した。
従来、アルキルグリコシドを発泡成分として洗剤組成物に配合することは知られていたが、発泡成分である(A)アルキルグリコシドを、(B)20℃における水に対する溶解度が7質量%以下である溶剤、および(C)油剤と共に洗浄液に配合することにより、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールを配合することなく発泡性洗剤組成物の泡状体の消泡時間を短縮する効果を発現することは、本発明者らによって初めて発見された知見である。
成分(B)の20℃における水に対する溶解度が7質量%以下である溶剤は、泡状体を速やかに消泡せしめる消泡成分として配合される。従来、消泡剤として油剤を配合する製剤は多く報告されているが、単に油剤を配合しただけでは、泡切れが良すぎて泡状体を網戸やフィルターに展着することが難しく、突き抜けが多く発生する。そこで、鋭意研究を行った結果、本発明者らは、(B)20℃における水に対する溶解度が7質量%以下である溶剤を配合することによって、泡状体を網戸やフィルターに十分展着、付着後、速やかに消泡せしめることが可能となり、特に垂直面では、付着した泡状体が垂れ落ちる前に消泡することにより、洗浄剤が効率よく対象物に作用して洗浄力が高まるだけでなく、泡状体が速やかに消泡することにより、洗浄作業効率を大いに高めることが可能となることを見出した。
20℃における水に対する溶解度が7質量%以下である溶剤としては、一般式(2)
[化2]
1-(O-R2)m-OH ・・・(2)
(式2中、R1はC3-C6のアルキル基又は置換してもよいフェニル基を表わし、R2はC2-C3のアルキル基を表わし、mは1~3の整数である。)
で表されるグリコールエーテル系化合物が好適に使用される。
一般式2の化合物としては、フェノキシエタノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルなどがあげられるが、勿論これらに限定されない。これらの中では、溶解性や配合のし易さなどからフェノキシエタノールが最も好ましい。
(B)20℃における水に対する溶解度が7質量%以下である溶剤として用いられる他の化合物としては、ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール等のアルコール系化合物が挙げられる。(B)20℃における水に対する溶解度が7質量%以下である溶剤は、洗浄液中に0.5~5質量%配合されるのが好ましい。0.5質量%未満では消泡性に問題が出る場合があり、一方、5質量%を超えると当初の泡立ちに影響を及ぼす場合がある。
成分(C)の油剤としては、パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン、α-オレフィンオリゴマー、スクワレンなどの炭化水素類、植物油、動物油、脂肪酸エステル、精油、天然および合成香料等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、特にC10-C18のパラフィン系炭化水素が好適に用いられる。C10-C18のパラフィン系炭化水素としては、IPソルベント1620、IPソルベント2028、IPソルベント2835(以上、出光興産社製)、アイソパーA、アイソパーC、アイソパーD、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーK、アイソパーL、アイソパーM(以上、東燃ゼネラル石油社製)、ネオチオゾール等のパラフィン系炭化水素があげられ、これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができるが、なかでもイソパラフィン系炭化水素が好ましく用いられる。
植物油としては、オリーブ油、アーモンド油、ホホバ油、落花生油、ヒマシ油、ヤシ油、パーム油、サフラワー油、ヒマワリ油、綿実油、アボカド油、ツバキ油、トウモロコシ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、カカオ油、ゴマ油、月見草油、紅花油、サザンカ油、大豆油、ナタネ油等が挙げられる。動物油としては、ラノリン、ラノリン誘導体、タートル油、ミンク油、ミツロウ、プリスタン、卵黄油等が挙げられる。脂肪酸エステルとしては、ブチルステアレート、ヘキシルラウレート、イソプロピルミリステート、オクチルドデシルミリステート、イソプロピルパルミテート、ジイソプロピルアジペート、ジイソプロピルセバケート等が挙げられる。精油、天然および合成香料としては、l-メントール、D-リモネン、シネオール、リナロール、ピネン、カンファー等が挙げられる。(B)油剤は洗浄液中に0.1~3質量%配合されるのが好ましい。この範囲では、消泡性や噴霧直後の泡立ち性にも優れている。
本発明の発泡性洗剤組成物の洗浄液に配合される(D)水は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来、発泡性洗剤組成物の製造に使用されている水から、所望の純度の水を適宜選択して使用できる。(D)水の具体例としては、イオン交換水や逆浸透膜水等の精製水や、通常の水道水や工業用水、海洋深層水等が挙げられる。洗浄液中の水の配合量は、前述した他の成分の配合量に応じて適宜変更される。
上記の成分が配合された本発明の発泡性洗剤組成物の洗浄液は、(E)噴射剤と共にエアゾール容器に充填される。(E)噴射剤としては、20℃における圧力が0.23~0.50MPaのLPGを主体としたものがよく、もちろんこれにジメチルエーテル(DME)や圧縮ガス(窒素、炭酸ガスなど)を必要に応じて添加しても構わない。なお、発泡性洗剤組成物における洗浄液と噴射剤の配合比率としては、50/50容量%~95/5容量%が適当である。
本発明で用いられる噴射ボタンとしては、泡を形成するボタンであればいずれであってもよいが、ステムから噴口先端までの距離が5~50mmであることが好ましい。50mmを超えるとボタンの噴口付近に泡がたまるアフタードローが多くなるなど不都合を生じるおそれがある。
更に、本発明の発泡性洗剤組成物には、その他の成分として、必要に応じて、無機抗菌剤、有機抗菌剤、防藻剤、防錆剤、キレート剤、pH調整剤、防錆剤(安息香酸ナトリウムなど)、除菌剤、消臭剤、虫除け剤、香料等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合してもよい。なお、前述したように消泡効果増強剤として有機酸を配合すると洗浄液が酸性になるため、pH調整剤を配合して洗浄液のpHを、6.0~8.0程度に調整して、より安全性の高い発泡性洗剤組成物とすることができる。
こうして得られた本発明の発泡性洗剤組成物を網戸やフィルターにスプレーすることで、噴霧された泡状体の殆どが網戸やフィルターを突き抜けることなく、付着して優れた洗浄効果を発揮後、その泡状体を速やかに消泡せしめることによって噴霧対象物の洗浄効率を高めることができる。
また、本発明の発泡性洗剤組成物を換気扇にスプレーすることで、噴霧された泡状体が換気扇に付着するため噴霧した場所が分かりやすい。このとき、泡状体が消泡しないと凹凸のある洗浄面では汚れ落ちにムラが生じるが、泡状体を速やかに消泡せしめることによって凹凸のある洗浄面にも洗浄液を確実に付着させることができる。
また、本発明の発泡性洗剤組成物をエアコンのアルミフィンにスプレーすることで、噴霧された泡状体アルミフィンに付着するため噴霧した場所が分かりやすい。このとき、泡状体が消泡しないとアルミフィンの表面に泡状体が溜まってゆき、奥まで噴霧できないが、泡状体を速やかに消泡せしめることによってアルミフィンの隙間の奥まで洗浄液を確実に噴霧することができる。
また、本発明の発泡性洗剤組成物を排水管にスプレーすることで、噴霧された泡状体が排水管の内面に付着するため噴霧した場所が分かりやすい。このとき、泡状体が消泡しないと排水管の入り口に泡状体が溜まってゆき、奥まで噴霧できないが、泡状体を速やかに消泡せしめることによって洗浄液を排水管の奥まで確実に付着させることができる。
また、本発明の発泡性洗剤組成物は、(A)アルキルグリコシド、(B)20℃における水に対する溶解度が7質量%以下である溶剤、(C)油剤、を(D)水に配合した洗浄液を、(E)噴射剤と共にエアゾール容器に充填するだけの、非常に単純な組成である。そのため、製造が簡便なうえ、安全性が極めて高いものである。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。以下、実施例により本発明の効果について更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制約されるものではない。
[発泡性洗剤組成物の調製]
ブチルグリコシド(Simulsol SL4)、ヘプチルグリコシド(Simulsol SL7G)、オクチルグリコシド(Simulsol SL8)、デシルグリコシド(Simulsol SL10)、ウンデシルグリコシド(Simulsol SL11W、以上、SEPPIC社製)、ラウリル-ミリスチルグリコシド混合物(Glucopon、BASF社製)、2-フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(以上、富士フイルム和光純薬社製)、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(東京化成工業社製)、D-リモネン(富士フイルム和光純薬社製)、イソパラフィン(IPソルベント1620、出光興産社製)、ナフテン系炭化水素(EXXSOL D110、エクソンモービル社製)、ホホバ油、オリーブ油(以上、富士フイルム和光純薬社製)を表1~表3に示す配合割合(質量%)で配合し、精製水を加えて100質量%として洗浄液を調製した。この洗浄液を、噴射剤としてLPGと共にエアゾール容器に入れ、表1~表3に示す組成の発泡性洗剤組成物(本発明1~24)を調製した。噴射ボタンはメカニカルブレークアップボタン(D94W Be0641N“3”-A、三谷バルブ社製)を使用した。
同様に、上記成分にラウリルジメチルアミンオキシド(カデナックスDM12D-W、ライオン社製)、ヤシ油脂肪酸ナトリウム(ノンサールLN-1、日油社製)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(ブラウノンEL-1505、青木油脂社製)、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトール、プロピレングリコールアセテート、2-ブタノール(以上、富士フイルム和光純薬社製)を加えた各成分を表4に示す配合割合(質量%)で配合し、精製水を加えて100質量%として洗浄液を得た。この洗浄液を、噴射剤としてLPGと共にエアゾール容器に入れ、表4に示す組成の発泡性洗剤組成物(比較例1~11)を調製した。本発明1~24および比較例1~11の発泡性洗剤組成物を用いて下記の泡性能試験、洗浄力試験を行った。
[洗浄力・泡性能の確認試験]
(1)洗浄力試験
屋外に長期間放置した網戸の網面に各種発泡性洗剤組成物をスプレーし、5分間放置後、水洗して、網面の洗浄状態を観察し、以下の基準で評価した。
○:汚れが完全に落ちた
△:汚れが一部残った
×:汚れがほとんど落ちていなかった
(2)泡性能試験
ステンレス板に各種発泡性洗剤組成物をスプレーしたときの、発泡性およびステンレス板上での消泡性を観察し、以下の基準で評価した。
<発泡性>
○:発泡性がよい
△:発泡はするが、十分ではない
×:ほとんど発泡しない
<消泡性>
○:20秒以内にシャープに消泡
△:30秒以内に消泡するが明瞭ではない
×:泡が消えるまでに30秒より長い時間がかかる
試験結果を各成分の配合割合と共に表1~4に示す。
Figure 0007280744000001
Figure 0007280744000002
Figure 0007280744000003
Figure 0007280744000004
※1;(B)、(B′)成分の括弧内の数字は20℃の水に対する溶解度
試験の結果、(A)アルキルグリコシド、(B)20℃における水に対する溶解度が7質量%以下である溶剤、(C)油剤を配合した本発明の発泡性洗剤組成物(本発明1~24)はいずれもステンレス板に噴霧した際の発泡性がよく、更に泡状体は20秒以内にストロボ状にパチパチと消泡することが確認された。また、網戸の洗浄に際して、発泡性がよく、擦ることなく汚れを完全に落とすことが確認された。
これに対し、(A)アルキルグリコシドを配合しなかった場合(比較例1)および(A)アルキルグリコシドに代えて(A′)ラウリルジメチルアミンオキシドを加えた場合(比較例10)では発泡性が悪く洗浄効果がなかった。また、(A)アルキルグリコシドに代えて(A′)ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルを加えた場合(比較例11)では30秒を超える消泡時間を要し、消泡性が劣り洗浄の作業性が劣った。
また、(B)20℃における水に対する溶解度が7質量%以下の溶剤を配合しなかった場合(比較例3)、(C)油剤を配合しなかった場合(比較例2、4)、および(B)20℃における水に対する溶解度が7質量%の溶剤に代えて(B′)20℃における水に対する溶解度が7質量%を超える溶剤を加えた場合(比較例5~9)では30秒を超える消泡時間を要し、消泡性が劣り洗浄の作業性が劣った。
以上の結果より、(A)アルキルグリコシド、(B)20℃における水に対する溶解度が7質量%以下である溶剤、(C)油剤及び(D)水を含有する洗浄液と、(E)噴射剤とをエアゾール容器に充填した本発明の発泡性洗剤組成物は、噴霧された泡状体の発泡性、消泡性の両方に優れていることが確認された。
<換気扇の汚れに対する洗浄効果>
(A)アルキルグリコシドとしてデシルグリコシドを3.0質量%、(B)20℃における水に対する溶解度が7質量%以下である溶剤として2-フェノキシエタノールを2質量%、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルを2.0質量%、(C)油剤としてD-リモネンを2.0質量%、その他成分として水酸化ナトリウムを2.0質量%、残部として(D)水を含有する洗浄液を調製した。この洗浄液のpHは13であった。上記洗浄液80容量%をエアゾール容器に入れ、(E)噴射剤としてのLPGを20容量%加圧充填して本発明の発泡性洗剤組成物を得た。
このときのLPGの圧力は0.20MPa(20℃)であり、噴射ボタンはメカニカルブレークアップボタン(D94W Be0641N“3”-A、三谷バルブ社製)を使用した。
上記の発泡性洗剤組成物を、半年以上洗浄していない換気扇に処理したところ、噴霧された泡状体が換気扇に付着し、付着した泡状体は20秒以内に順次消泡した。発泡性洗剤組成物が泡状体から液状となって汚れに密着するため、泡状体のまま密着するよりも速効的に効率よく汚れを落とすことができ、優れた洗浄効果を発揮した。
<エアコンのアルミフィンの汚れに対する洗浄効果>
(A)アルキルグリコシドとしてラウリルグリコシドを2.0質量%、(B)20℃における水に対する溶解度が7質量%以下である溶剤として2-フェノキシエタノールを1.5質量%、(C)油剤としてイソパラフィンを1.0質量%、その他成分として腐食防止剤を0.1質量%、残部として(D)水を含有する洗浄液を調製した。この洗浄液のpHは6.5であった。上記洗浄液90容量%をエアゾール容器に入れ、(E)噴射剤としてのLPGを10容量%加圧充填して本発明の発泡性洗剤組成物を得た。
このときのLPGの圧力は0.29MPa(20℃)であり、噴射ボタンはカラス口ストレートボタン(D94W Gr0648D“3”-A、三谷バルブ社製)を使用した。
上記の発泡性洗剤組成物を、半年以上洗浄していないエアコンのアルミフィンに処理したところ、噴霧された泡状体がアルミフィンに付着し、付着した泡状体は20秒以内に順次消泡した。発泡性洗剤組成物の泡状体が速やかに消泡することでアルミフィンの入り口付近に滞留せず、狭いアルミフィンの隙間の奥まで洗浄液が到達して優れた洗浄効果を発揮した。
<排水管の汚れに対する洗浄効果>
(A)アルキルグリコシドとしてデシルグリコシドを3.0質量%、(B)20℃における水に対する溶解度が7質量%以下である溶剤としてトリプロピレングリコールモノブチルエーテルを1.0質量%、(C)油剤としてD-リモネンを2.0質量%、その他成分としてモノエタノールアミンを5.0質量%、残部として(D)水を含有する洗浄液を調製した。この洗浄液のpHは10.8であった。上記洗浄液90容量%をエアゾール容器に入れ、(E)噴射剤としてのLPGを10容量%加圧充填して本発明の発泡性洗剤組成物を得た。
このときのLPGの圧力は0.29MPa(20℃)であり、噴射ボタンは樹脂パイプ付ボタン(D94W HCD“3”-A-NP-39-100-NW、三谷バルブ社製)を使用した。
上記の発泡性洗剤組成物を、2ヶ月以上洗浄していない排水管に処理したところ、噴霧された泡状体が排水管の壁面に付着し、付着した泡状体は20秒以内に順次消泡した。発泡性洗剤組成物の泡状体が速やかに消泡することで、排水管の口から泡状体があふれ出ることなく、汚れが多く付着している排水管の奥まで洗浄液が到達して優れた洗浄効果を発揮した。
本発明の発泡性洗剤組成物は、網戸やエアコンフィルターの洗浄に用いられるほか、窓ガラス、換気扇、エアコンのアルミフィン、トイレ、浴槽、排水管、自動車等の洗浄に好適に利用可能である。さらに、泡状にして有効成分を付着させるような製剤、例えば除菌剤、虫除け剤等の分野にも利用可能である。

Claims (3)

  1. (A)炭素数4~14のアルキル基を有するアルキルグリコシドから選ばれる1種以上、(B)2-フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、2-フェニルエタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテルから選ばれる1種以上、(C)D-リモネン、イソパラフィン、ナフテン系炭化水素、ホホバ油、オリーブ油から選ばれる1種以上、及び(D)水を含有する洗浄液と、(E)噴射剤としてLPGと、をエアゾール容器に充填してなる発泡性洗剤組成物であって、
    前記洗浄液全量に対する前記(A)成分の配合量が0.2~20質量%、前記(B)成分の配合量が0.5~5質量%、前記(C)成分の配合量が0.1~3質量%であり、
    前記エアゾール容器から噴霧された泡状体を噴霧対象物に付着させた後、30秒以内に消泡せしめることによって前記噴霧対象物の洗浄効率を高めた発泡性洗剤組成物(但し、前記洗浄液が、エタノール及び/又はイソプロピルアルコールを含む場合を除く)
  2. 前記(A)アルキルグリコシドが、ブチルグリコシド、ヘプチルグリコシド、オクチルグリコシド、デシルグリコシド、ウンデシルグリコシド、ドデシルグリコシド、ミリスチルグリコシドから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性洗剤組成物。
  3. 前記洗浄液と前記(E)噴射剤の配合比率が50/50容量%~95/5容量%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発泡性洗剤組成物。
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