本発明は、ウレタンパッドの表面を覆うシートカバーをウレタンパッドへ取り付ける構造を有する車両用シートにおいて、シートカバーをウレタンパッドへ取り付ける構造部分を、磁性体を保持してウレタンパッドと一体成形され磁性体をウレタンパッドに形成した溝部に露出させている本体側部材と、シートカバーに接続する布部材に固定された樹脂部材と、樹脂部材と係合する樹脂クリップと樹脂クリップと係合する金属カバーとを備えたカバー側部材とを備え、本体側部材に、金属カバーを磁性体に磁気的に結合させた状態で樹脂クリップと係合する樹脂部材の動きを規制するガイド部を設けることにより、本体側部材に保持されている磁性体と磁力で係合した金属カバーに対して、磁性体に対する位置または姿勢がずれるような力が加わった場合でも、磁性体に対する金属カバーの位置のずれを発生させることなく、金属カバーが磁性体から離れてしまうことを防止できるようにして、車両用シートのシートカバーの位置がずれてしまうのを防ぐことができるようにしたものである。
また、本発明は、ウレタンパッドの表面を覆うシートカバーをウレタンパッドへ取り付ける構造を有する車両用シートにおいて、シートカバーをウレタンパッドへ取り付ける構造部分を、磁性体を保持してウレタンパッドと一体成形され磁性体をウレタンパッドに形成した溝部に露出させている本体側部材と、シートカバーに接続する布部材に固定された樹脂部材と、樹脂部材と係合する金属カバーを備えたカバー側部材とを備え、本体側部材に、金属カバーを磁性体に磁気的に結合させた状態で金属カバーと係合する樹脂部材の動きを規制するガイド部を設けることにより、本体側部材に保持されている磁性体と磁力で係合した金属カバーに対して、磁性体に対する位置または姿勢がずれるような力が加わった場合でも、磁性体に対する金属カバーの位置のずれを発生させることなく、金属カバーが磁性体から離れてしまうことを防止できるようにして、車両用シートのシートカバーの位置がずれてしまうのを防ぐことができるようにしたものである。
本実施例に係る車両用シート1の外観を、図1に示す。本実施例に係る車両用シート(以下、シートと記す)1は、搭乗者が着座するシートクッション2、シートクッション2に着座した搭乗者が背をもたれかけるシートバック3、シートクッション2に着座した搭乗者の頭部を支持するヘッドレスト4を備えている。5はシートクッション側のサイドサポート、6はシートバック側のサイドサポートである。シートクッション2は、ウレタンパッド8の表面をシートカバー7で覆って形成されている。シートバック3も同様に、ウレタンパッドの表面を表皮で覆って形成されている。シートカバー7の表面は、天然皮革、人工皮革、合成皮革、布などで形成されている。9はシートカバー7を繋ぎ合わせる縫合部である
縫合部9を含むシートクッション2の部分断面図を図2に示す。縫合部9は、ウレタンパッド8に形成された溝部12の内部で、取付部100により、ウレタンパッド8に固定されている。
取付部100は、ウレタンパッド8側に埋設された本体側部材20と、シートカバー7の縫合部9の側に取り付けられたカバー側部材40とから構成されている。
本体側部材20は、磁性体(磁石)21と、この磁性体21を保持するブラケット22を備えている。本体側部材20は、ブラケット22に磁性体21を装着した状態で、ウレタンパッド8と一体に形成されて、ウレタンパッド8に埋設されている。
一方、カバー側部材40は、シートカバー7の縫合部9でシートカバー7と一緒に縫合された布部材10と、この布部材10と一体成形された樹脂製の端部材11、端部材11に取り付けられた樹脂クリップ41、この樹脂クリップ41の外側で樹脂クリップ41に取り付けられた金属カバー50を備えている。
樹脂クリップ41は、図3に示すように、断面がU字形状をしており、このU字形状の内部に端部材11が密着して収まるような断面形状をしている。樹脂クリップ41は、例えば、ポリアセタールなどによって形成されている。
樹脂クリップ41の下面42の両側から立ち上がって対向している1対の側面部43の上端部付近には、上端係止部44が形成されている。この上端係止部44は、端部材11の側面を対向する1対の側面部43に密着させて装着したときに、端部材11の上面と係合する。このように、上端係止部44を端部材11に係合させることにより、樹脂クリップ41は端部材11に密着する。
また、対向する1対の側面部43の内面部には、互いに対面した一対のビード45が形成されている。ビード45は、互いに対面する側に向けて突出すると共に、上下に長い形状であり、側面部43の内面部のほぼ中央に形成されている。
一方、対向する一対の側面部43の内面部と反対側の面である外面部には、係合突部46及び規制突部48が形成されている。
係合突部46は、側面部43の外面部のほぼ中央に形成され、上側から下側に向かうに従って高さが低くなる突起傾斜面47が形成されている。突起傾斜面47は、図3で下方から上方に向かうに従って突き出ている(側面部43からの突出量が多くなる)ような形状を有している。
規制突部48は、係合突部46の両側に係合突部46と間を開けて形成され、係合突部46と対面する側に規制傾斜面49が形成されている。規制傾斜面49は、図3で下方から上方に向かうにしたがって係合突部46に近付く方向に傾斜している。
図4に示すように、金属カバー50は、薄板状で形成されており、樹脂クリップ41を外側から包み込むようなU字形状をしている。即ち、金属カバー50は、下面部51の両側に一対の側板部52が立ち上がっている形状を有している。金属カバー50は磁性体21と磁気的に接着する材料、例えば、鉄、コバルト、ニッケルなどの金属、または、クロム系ステンレスの合金で形成されている。
金属カバー50の側板部52は、樹脂クリップ41に装着した時に、樹脂クリップ41に形成した規制突部48と干渉しないように、側面から見て台形の形状を有している。樹脂クリップ41の係合突部46に対向する位置に係合孔部54が形成されている。係合孔部54は、係合突部46の外形寸法よりも少し大きい寸法を有し、金属カバー50を樹脂クリップ41に装着した時に、樹脂クリップ41側の係合突部46が金属カバー50側の係合孔部54に嵌め込まれるようになっている。
金属カバー50の一対の側板部52で樹脂クリップ41の一対の側面部43を下側から挟み込んだ状態で金属カバー50を樹脂クリップ41に対して上昇させることにより、金属カバー50を樹脂クリップ41に取り付ける。
このとき、まず、金属カバー50の一対の側板部52は樹脂クリップ41の一対の側面部43に形成された係合突部46の突起傾斜面47に沿って弾性変形して押し広げられる。さらに金属カバー50を樹脂クリップ41に対して上昇させて係合孔部54が係合突部46の全体を覆う位置に達する。
この位置で、側面部43のうちで係合突部46に当る部分が無くなり、弾性変形していた金属カバー50の一対の側板部52は復元力により元に戻り、樹脂クリップ41側の係合突部46が金属カバー50側の係合孔部54に嵌め込まれる。これにより、金属カバー50は樹脂クリップ41と係合して、樹脂クリップ41に取り付けられる。
このようにして樹脂クリップ41の外側に金属カバー50を取り付けた状態のカバー側部材40を、図5に示すように、布部材10と一体成形された樹脂製の端部材11に取り付ける。この場合、先ず、端部材11を樹脂クリップ41の一対のフック状の上端係止部44の間から、この一対の上端係止部44の間を押し広げるようにして一対の側面部43の間に挿入する。更に端部材11を挿入し続けると、端部材11の上面112が樹脂クリップ41の一対のフック状の上端係止部44の間を通り抜けることにより押し広げられていた一対の上端係止部44が復元力によって元に戻る。
このようにして、一対のフック状の上端係止部44により、端部材11の上面112が押さえ込まれて、カバー側部材40が端部材11に取り付けられる。
なお、上記に説明した樹脂クリップ41、金属カバー50、及び端部材11を組み付ける順序は一例であり、これに限るものではない。即ち、最初に端部材11に樹脂クリップ41を取り付けて、その後、樹脂クリップ41に金属カバー50を取り付けるようにしても良い。
図6に、本体側部材20を構成するブラケット22の外観を、図7に磁性体21の外観を、図8にブラケット22に磁性体21を装着した状態の外観を、それぞれ斜視図で示す。
ブラケット22は、図6に示すように、ほぼ長方形のベース部23の四隅に、貫通孔である固定孔24及び固定突起25が形成されている。固定孔24と固定突起25は、ウレタンパッド8と一体成形するときにウレタンパッド8の一部が固定孔24の内部に入り込むと共に、固定突起25がウレタンパッド8の内部に食い込むことにより、ブラケット22がウレタンパッド8に確実に埋設されるようにするためのものである。
ベース部23の上面のほぼ中央に、磁性体21を取り付けるための装着部26が形成されている。装着部26は、ベース部23の長辺の方向に沿って形成された、磁性体21の側面と上面を押さえるための一対の磁性体第一係止片27と、この磁性体第一係止片27の長手方向の一方の端部間を連接する磁性体留片29と、一対の磁性体第一係止片27の長手方向の他方の端部側で一対の磁性体第一係止片27のほぼ中間に形成された磁性体第二係止片30とから構成されている。
これにより、装着部26には、一対の磁性体第一係止片27と磁性体留片29及び磁性体第二係止片30とで囲まれた、磁性体21が収まる大きさの装着領域31が形成される。
一対の磁性体第一係止片27の上端には、図8に示すように、互いに対面する側に向けた一対のフック部28が形成されている。また、一対のフック部28の上面は、互いに対面する側に向かうにしたがって装着領域31に向けて傾斜している案内面となっている。この案内面は、本体側部材20をウレタンパッド8と一緒に発泡成形する際に、本体側部材20を保持する部材のガイド面として使用する。
磁性体第二係止片30は、ベース部23の一部が切り欠かれることにより、ベース部23と同一面上においてベース部23の一部に形成され、上方に向けてフック状に形成されている。
ベース部23の長手方向で装着部26の両側には、それぞれ一対のガイド部32と33とが形成されている。一対のガイド部33は、一対の柱状に伸びた形状を有しており、一対の柱状の部分の間隔D2は、その間に端部材11を出し入れするときに大きな抵抗とならない程度に、端部材11の厚さD1よりも僅かに大きく形成されている。
一方、一対のガイド部32は、その間を磁性体21がスライドして装着領域31への出し入れができるように、磁性体21の幅よりも僅かに大きい間隔で磁性体21の高さよりも高い位置まで下部35が形成されており、その上に、端部材11の厚さD1よりも僅かに大きい間隔D2で、一対の上部36が形成されている。
一対のガイド部32と33とを設けたことにより端部材11の動き(端部材11の幅方向への傾き、及び回転)が規制され、端部材11に取り付けた金属カバー50の磁性体21に対するねじれ(磁性体21に対向する面内での回転)方向や傾き方向の動きが抑制される。これにより、外部から縫合部9に力が加わって磁性体21から金属カバー50が離れてしまい、縫合部9が溝部12からはみ出してしまう、というような事態の発生を防ぐことができる。
図7には、磁性体21の外観を示す。磁性体21は永久磁石で形成されており、直方体形状をしている。磁性体21の平面形状は、ベース部23に形成された装着部26の一対の磁性体第一係止片27と磁性体留片29及び磁性体第二係止片30とで囲まれた装着領域31に収まる形状をしている。また磁性体21の高さは、磁性体21を装着領域31に設置したときに、一対の磁性体第一係止片27の上端に形成した一対のフック部28が、磁性体21の上面に係止するような高さに形成されている。
このような形状をした磁性体21を一対のガイド部32の下部35の間から、ベース部23に沿って装着領域31の方向にスライドさせる。この時、磁性体第二係止片30は磁性体21により押し下げられ、磁性体21は磁性体第二係止片30の上を抵抗無くスライドすることができる。磁性体21を磁性体留片29に突き当たるまでスライドさせると、磁性体21による磁性体第二係止片30の押さえが無くなり、磁性体21の磁性体留片29に突き当った面と反対側の面が磁性体第二係止片30により係止される。同時に、磁性体21の上面が、磁性体第一係止片27に係止される。
この場合、ブラケット22の装着部26は、磁性体21に応じた形状に設計される。ただし、磁力による接合の度合いを強くするために、金属カバー50の下面部51と接触する面積が、可能な限り大きいことが好ましい。なお、金属カバー50を磁性体で形成し、磁性体21を金属で形成しても良い。
上記に説明したように構成された取付部100においては、ウレタンパッド8を覆うシートカバー7の縫合部9に取り付けたカバー側部材40が、ウレタンパッド8に形成した溝部12の内部で、ウレタンパッド8と一体形成してウレタンパッド8に固定されている本体側部材20と磁気的に接合する。この状態で、カバー側部材40はガイド部32と33により本体側部材20に対する位置が規制されているために、金属カバー50を磁性体21に磁気的に接合した状態では、カバー側部材40は容易に本体側部材20から離れることが無くなった。
次に、取付部100の効果を、動作と共に図面に基づいて説明する。図9は、金属カバー50を磁性体21に磁気的に接合した状態におけるカバー側部材40と本体側部材20との関係を示す。
図9に示すように、取付部100において、カバー側部材40の樹脂クリップ41は、本体側部材20に対して角度が変化し、または移動する。即ち、たとえば、搭乗者がシート1に着座し、または荷物がシート1に置かれるなどして、シートクッション2またはシートバック3が押圧された場合、押圧された箇所にシートクッション2またはシートバック3のシートカバー7が引張られると共に、布部材10が引張られる。そのため、カバー側部材40が本体側部材20から離れる方向Y1に負荷がかかる。
ここで、樹脂クリップ41と金属カバー50とは、係合突部46と係合孔部54との間に、係合突部46と係合孔部54との寸法差に相当する隙間X1が空けられ、金属カバー50における上片部53の外縁55と樹脂クリップ41における規制突部48の規制傾斜面49との間に隙間X2が空けられ、金属カバー50の下面部51と樹脂クリップ41の下面42との間に隙間が開けられている。
すなわち、樹脂クリップ41と金属カバー50との間に、いわゆる遊びがあるため、負荷がかかった場合であっても、遊びの許容範囲において、樹脂クリップ41が、係合突部46を軸として、金属カバー50に対して傾き、また、前後上下に移動する。その際、金属カバー50は、磁性体21に磁気的に接合したままである。したがって、シートカバー7がウレタンパッド8から不本意に外れてしまうのを防ぐことができる。
また、図9に示されている通り、樹脂クリップ41が、金属カバー50に対して傾くと、樹脂クリップ41の係合突部46が金属カバー50の係合孔部54において偏って配置され、樹脂クリップ41の規制傾斜面49が、金属カバー50の外縁55と接触する。即ち、金属カバー50に対して傾いた樹脂クリップ41は、規制傾斜面49が金属カバー50の外縁55に当ることで、金属カバー50に対して一定以上の傾斜が規制される。したがって、樹脂クリップ41が金属カバー50から外れるのを防ぐことができる。
更に、図9におけるA-A断面を図10に、B-B断面を図11に示すように、ブラケット22のベース部23に形成した一対のガイド部32と33とで端部材11をガイドして端部材11の位置を規制するので、端部材11にねじれや傾きが発生するのを防止できる。これにより、樹脂クリップ41を介して端部材11に取り付けた金属カバー50が、ブラケット22に装着した磁性体21に対して位置(姿勢)がずれるのを防止でき、磁性体21と金属カバー50との磁気的接合の安定性を維持することができる。
図2に示したように、取付部100において、カバー側部材40は、布部材10の下側に取り付けられた端部材11に係合した樹脂クリップと、この樹脂クリップ41の外側に取り付けられた金属カバー50とから構成されている。すなわち、金属カバー50と係合させるための構成を樹脂クリップ41によって実現することで、端部材11を比較的簡略な構造とすることができる。
また、樹脂クリップ41を介さずに金属カバー50を直接端部材11に取り付けるような構成とした場合と比べると、金属カバー50との接触による端部材11の劣化(損傷)を防止することができる。一方、本実施例のような構成において、樹脂クリップ41が金属カバー50との接触により劣化(損傷)した場合には、樹脂クリップだけを交換すればよいので、簡便に交換することができる。
図3に示すように、樹脂クリップ41の側面部43のうち、内面部は、互いに対面した一対のビード45が形成されている。ビード45は、互いに対面する側に向けて突出すると共に、上下に長い筋状であり、内面部のほぼ中央に形成されている。
この構成により、図5に示されているように、樹脂クリップ41が端部材11に取り付けられると、端部材11と樹脂クリップ41との間において、ビード45が端部材11に食い込んで係止される。したがって、樹脂クリップ41に対して。端部材11がスラスト方向Y2に移動するのを抑えることができる。なお、端部材11が樹脂クリップ41に係止される構成であれば、ビード45の長さ、形状、配置、数は任意である。
本実施例において、金属カバー50は、例えば鉄などの金属によって形成される。一方、樹脂クリップ41は、例えばポリアセタールなどの樹脂によって形成される。このような材料構成で、金属カバー50で樹脂クリップ41を覆うことにより、樹脂クリップ41に大きな外力が加わった場合であっても、樹脂クリップ41が塑性変形してしまうことを防ぐことができる。
図6に示すように、ブラケット22は、ベース部23のほぼ中央に、ベース部23の長手方向から磁性体21をベース部23に沿ってスライドさせて取り付けられる装着部26が形成されている。即ち、磁性体21をブラケット22の上方から一対の磁性体第一係止片27を押し広げて装着部26させる場合と比べて一対の磁性体第一係止片27を剛性の高い構造とすることができ、磁性体21を装着領域31に確実に収納することができる。
又、図6に示すように、ブラケット22には、ベース部23の四隅に、固定孔24及び固定突起25が形成されている。固定突起25は、ベース部23に対してほぼ直角であり、ベース部23から上方に向けて立ち上がっている。固定孔24は、固定突起25の内側近傍においてベース部23を上下に貫通している。この構成により、発泡材料でウレタンパッド8と一体形成するときに、本体側部材20はウレタンパッド8に埋設されて、発泡材料が固定孔24の内部に充填されると共に、固定突起25に密着する。
ここで、固定孔24及び固定突起25の周囲において、硬化したポリウレタン材料は、本体側部材20と広い接触面積で複雑に嵌合するため、本体側部材20は、硬化したポリウレタン材料に固着する。したがって、本体側部材20をウレタンパッド8の側に堅固に固定することができる。これにより、シートカバー7が引張られることにより溝部12の内部において本体側部材20が上方に引張られた場合であっても、本体側部材20をウレタンパッド8の側に堅固に保持することができる。
本実施例によれば、カバー側部材40はガイド部32と33により、ウレタンパッド8の側に堅固に保持されている本体側部材20に対する位置が規制されているために、金属カバー50を磁性体21に磁気的に接合した状態では、カバー側部材40は容易に本体側部材20から離れることが無くなった。
なお、本実施例においては、ガイド部32と33とで端部材11をガイドする構成について説明したが、端部材11に替えて樹脂クリップ41または金属カバー50をガイド部32と33とでガイドする構成としても良い。この場合、ガイド部32と33とでガイドする樹脂クリップ41または金属カバー50を、幅方向に延長させてガイド部32と33とに重なる構造とし、ガイド部32と33とのガイド幅を、ガイドする樹脂クリップ41または金属カバー50の幅寸法に合せて調整する。
次に、端部材11と樹脂クリップ41を一体化した構成、及び、樹脂クリップ41と金属カバー50とで構成されるカバー側部材40の構成の変形例について説明する。
[変形例1]
実施例1の変形例1を、図12に示す。図12に示した本変形例における取付部200は、樹脂クリップと端部材とが一体となって、カバー側第一分材としての突起端部材110が備えられている構成が、実施例1における取付部100と異なる。
即ち、カバー側部材140は、布部材10の下端に取り付けられた突起端部材110と、この突起端部材110の外側に取り付けられたカバー側第二部材としての金属カバー150とから構成されている。なお、本体側部材20は、実施例1で説明したものと同じ構成である。
突起端部材110は、実施例1で説明した端部材11と同様の形状であり、かつ、側面部143に、実施例1における取付部100の樹脂クリップ41に形成された突起と同様の突起が形成されている。すなわち、側面部143の外面部には、係合突部146および規制突部148が形成されている。なお、他の構成は、実施例1における取付部100と同じであり、149は規制突部148の規制傾斜面、153は金属カバー150における上片部、154は金属カバー150に形成された係合孔部、155は金属カバー150の外縁である。
また、図示は省略するが、取付部100の変形例として、突起端部材110に係合孔部が形成され、金属カバー150に係合突部および規制突部が形成されても良い。さらに、突起端部材110に係合突部が形成され、金属カバー150に係合孔部および規制突部が形成されていても良い。また、突起端部材110に係合孔部及び規制突部が形成され、金属カバー150に係合突部が形成されていても良い。
本変形例によれば、より少ない部品点数で、実施例1の場合と同様に、カバー側部材40をガイド部32と33により、ウレタンパッド8の側に堅固に保持されている本体側部材20に対する位置が規制されているために、金属カバー50を磁性体21に磁気的に接合した状態では、カバー側部材40は容易に本体側部材20から離れることが無くなった。
[変形例2]
変形例2として、実施例1におけるカバー側部材40の別な変形例を説明する。図13に本変形例におけるカバー側部材の樹脂クリップ241を、図14に本変形例における金属カバー250を示す。
図13に示すように、カバー側第一分材としての樹脂クリップ241において、実施例1における係合突部46に替えて係合孔部254が形成されている。一方、図14に示すように、カバー側第二部材としての金属カバー250において、実施例1における係合孔部54に替えて係合突部246が形成されている構成が、実施例1におけるカバー側部材40と異なる。
このような構成において、樹脂クリップ241は、下面部242の両側に一対の側面部243が立ち上がっており、側面部243の先端部分には上端係止部244が形成されている形状を有している。側面部243のほぼ中央に、係合孔部254が形成されている。係合孔部254の両側には、規制傾斜面249を有する規制突部248が形成されている。
樹脂クリップ241の係合孔部254は、金属カバー250の係合突部246が挿入された状態で、係合突部246との間に上下方向及び左右方向に隙間が開く大きさに形成されている。また、側面部243のビード245は、係合孔部254の右側または左側に形成されている。
金属カバー250は、下面部251の両側に一対の側板部252が立ち上がっている形状を有している。側板部252の上片部253に、係合突部246が形成されている。係合突部246は、上方から下方に向かうにしたがって、内側に向けて傾斜している。なお、他の部分の構成は、実施例1で説明したカバー側部材40と同じである。
本変形例によっても、実施例1で説明したのと同様に、金属カバー250を磁性体21に磁気的に接合した状態では、樹脂クリップ241と金属カバー250とで構成されるカバー側部材は、容易に本体側部材20から離れることが無くなった。
[変形例3]
変形例3として、実施例1におけるカバー側部材40の更に別な変形例を説明する。図15に本変形例におけるカバー側部材の樹脂クリップ341を、図16に本変形例における金属カバー350を示す。
本変形例においては、図15に示すカバー側第一部材としての樹脂クリップ341に、実施例1で説明した係合突部46に替えて係合孔部354が形成され、実施例1における規制突部48がない。一方、図16に示すカバー側第二部材としての金属カバー350において、実施例1の係合孔部54に変えて係合突部346が形成され、下面部357の両側から立ち上がっている側板部352の両端部に規制突部348が形成されている構成が、実施例1におけるカバー側部材40と異なる。
このような構成において、樹脂クリップ341は、図15に示すように、下面342の両側から立ち上がっている側面部343のほぼ中央に、係合孔部354が形成されている。係合孔部354は、図16に示す金属カバー350の係合突部346が挿入された状態で、係合突部346と上下及び左右方向に隙間が開く大きさに形成されている。また、側面部343のビード345は、係合孔部354の前方または後方に形成されている。
一方、金属カバー350は、図16に示すように、側方から見たときに、側板部352が、ほぼ四角形に形成されている。側板部352は、左右の両端における上部に、規制突部348が形成されている。規制突部348は、互いに対面する側に向けて突出している。
また、側板部352は、上辺部353に、係合突部346が形成されている。係合突部346は、内側に突起傾斜面が形成されている。係合突部346の突起傾斜面は、上方から下方に向かうにしたがって、内側に向けて傾斜している。
金属カバー350と樹脂クリップ341とが係合した状態において、金属カバー350の規制突部348と樹脂クリップ341の上端係止部344の規制突部348と対向する面との間に隙間が空けられる。なお、他の構成は、実施例1で説明したカバー側部材40と同じである。
本変形例によっても、実施例1で説明したのと同様に、金属カバー350を磁性体21に磁気的に接合した状態では、樹脂クリップ341と金属カバー350とで構成されるカバー側部材は、容易に本体側部材20から離れることが無くなった。
[変形例4]
変形例4として、実施例1におけるカバー側部材40の更に別な変形例を説明する。図17に本変形例におけるカバー側部材の樹脂クリップ441を、図18に本変形例における金属カバー450を示す。
本変形例においては、カバー側第一部材としての樹脂クリップ441において、係合突部446の両側に実施例1に示した規制突部48が無く、一方、カバー側第二部材としての金属カバー450において、側板部452の両端部に規制突部448が形成されている構成が、実施例1におけるカバー側部材40と異なる。
係合突部446は、下面部442の両側から立ち上がっている側面部443の外面部のほぼ中央に形成され、上側から下側に向かうに従って高さが低くなる突起傾斜面447が形成されている。突起傾斜面447は、図17で下方から上方に向かうに従って突き出ている(側面部443からの突出量が多くなる)ような形状を有している。側面部443の内面部にはビード445が形成されている。
金属カバー450は、図18に示すように、側方から見たときに、下面部451の両側から立ち上がっている側板部452が、ほぼ四角形に形成されている。側板部452の上片部453には、係合孔部454が形成されている。側板部452は、左右の両端における上部に、規制突部448が形成されている。規制突部448は、互いに対面する側に向けて突出している。金属カバー450と樹脂クリップ441とが係合した状態において、金属カバー450の規制突部448と樹脂クリップ441の上端係止部444の規制突部448と対向する面との間に隙間が空けられる。なお、他の構成は、実施例1で説明したカバー側部材40と同じである。
本変形例によっても、実施例1で説明したのと同様に、金属カバー450を磁性体21に磁気的に接合した状態では、樹脂クリップ441と金属カバー450とで構成されるカバー側部材は、容易に本体側部材20から離れることが無くなった。
本変形例によっても、実施例1で説明したのと同様な効果を得ることができる。
[変形例5]
変形例5として、実施例1における樹脂クリップ41の変形例を、樹脂クリップ541として、図19乃至図22を用いて説明する。本変形例においては、樹脂クリップ541に形成した突起部546を撓ませることが可能な構造にして、樹脂クリップ541の金属カバー550への挿入を容易にした。さらに、樹脂クリップ541を挿入時に、金属カバー550の側を撓ませる必要がなくなったので、金属カバー550の肉厚を厚くすることが可能になり、金属カバー550の耐久性を向上させるようにしたものである。
図19には、本変形例に係る樹脂クリップ541の外観を斜視図で示し、そのE-E断面の矢視図を図20に示す。
本変形例に係る樹脂クリップ541には、下面542の両側から立ち上がって対向している一対の側面部543のそれぞれに、開口部547が形成されている。そして、この一対の開口部547のそれぞれには、図20に示すように先端部分が外側に飛び出している突起部546が形成されている。この突起部546は根元の部分が側面部543と繋がっており、先端の外側に飛び出している部分を内側に撓ませることが可能な可撓性を有する構造となっている。
樹脂クリップ541の下面542の両側から立ち上がって対向している一対の側面部543の上端部付近には、上端係止部544が形成されている。この上端係止部544の機能は、実施例1で説明した上端係止部44と同じ機能を有している。
一方、図21には、図19,20に示した樹脂クリップ541と組み合わせる金属カバー550の外観を示す。金属カバー550は、下面551の両側から立ち上がって対向している一対の側面部552にそれぞれ開口部554が形成されている。この開口部554は、一対の側面部552の間に樹脂クリップ541を挿入したときに、樹脂クリップ541の突起部546が開口部554の内側から外側にはみ出すような位置と大きさに形成されている。
すなわち、金属カバー550に形成された開口部554の幅は、樹脂クリップ541に形成された突起部546の幅寸法よりも大きく形成されている。また、金属カバー550の下面551の上側の面から開口部554の一番上までの寸法は、樹脂クリップ541の下面542の下側の面から突起部546の一番上までの寸法よりも大きく形成されている。さらに、金属カバー550の一対の側面部552の内側の幅は、樹脂クリップ541の一対の側面部543の外側の幅よりも大きく形成されている。
このような構成とすることにより、金属カバー550の一対の側面部552の上端の開口部から樹脂クリップ541を下面542の側から挿入した場合、樹脂クリップ541に形成された一対の突起部546は、金属カバー550の開口部554よりも上の部分に押されて内側に変形するので、強い抵抗を受けることなく金属カバー550に対して樹脂クリップ541を挿入することができる。
金属カバー550に対して樹脂クリップ541をさらに挿入して、樹脂クリップ541に形成された一対の突起部546の先端部分が金属カバー550の開口部554に達すると、樹脂クリップ541の一対の突起部546は外側に開く動きを規制するものがなくなって、金属カバー550の開口部554から外側に突出する。このように、突起部546が金属カバー550の開口部554から外側に突出した状態となることにより、樹脂クリップ541は金属カバー550から外れなくなる。
図22には、このようにして、樹脂クリップ541が金属カバー550に装着された状態のカバー側部材500を示している。図22においては、図5と同様に、布部材10と一体成形された樹脂製の端部材11が樹脂クリップ541に装着されている。このカバー側部材500を取付ける本体側部材は、実施例1において図6で説明したブラケット22に図7で説明した磁性体21を組み込んだものと同じ本体側部材20を用いる。
突起部546の左右方向の動きが金属カバー550の開口部554の幅で規制されるために、端部材11に取り付けた金属カバー50の磁性体21に対するねじれ(磁性体21に対向する面内での回転)方向や傾き方向の動きが抑制される。これにより、外部から縫合部9に力が加わって磁性体21から金属カバー550が離れてしまい、縫合部9が溝部12からはみ出してしまう、というような事態の発生を防ぐことができる。
本変形例によれば、樹脂クリップ541を金属カバー550に装着するときに、樹脂クリップ541の側の部材を撓ませるような構成としたことにより、金属カバーの側を撓ませる場合と比べてより小さい力で樹脂クリップ541を金属カバー550に装着することができるようになった。
また、樹脂クリップ541を金属カバー550に装着するときに、樹脂クリップ541の側の部材を撓ませるような構成としたことにより、金属カバー550を変形させる必要がないので、実施例1の場合と比べて金属カバー550の部材を厚くすることができる。これにより金属カバーの機械的強度を増すことができ、耐久性を向上させることができる。
[変形例6]
本発明の第6の変形例を、図23乃至図26を用いて説明する。
実施例1においては、磁性体21を一対のガイド部32の下部35の間からブラケット22の表側の面に沿って装着領域31の方向に磁性体留片29に突き当たるまでスライドさせて、ブラケット22に装着する構成となっていた。
これに対して、本変形例では、磁性体をブラケットの下面側から挿入させる構成とした。図23に本変形例に係るブラケット622の表側の面の斜視図、図24にブラケット622の裏側の面の斜視図を示す。
図23に示すように、本変形例に係るブラケット622では、ベース部623に形成されたガイド部632と633は、実施例1の場合と異なり、同じ形状を有している。ガイド部632と633との間には、磁性体21を収納するための外壁部634が、その内側に形成された磁性体21を収納する穴部635の周囲を囲むようにして外壁部634成されている。
627は磁性体第一係止片で、外壁部634の外側に対抗して一対形成されている。628は磁性体第一係止片627の上端に形成した一対のフック部で、外壁部634で囲まれた穴部635の内部に収納された磁性体21の上面に係止するような高さに形成されている。
ベース部623の四隅には、固定孔624及び固定突起625が形成されている。固定突起625は、ベース部623に対してほぼ直角であり、ベース部623から上方に向けて立ち上がっている。固定孔24は、固定突起25の内側近傍においてベース部23を上下に貫通している。この構成により、発泡材料でウレタンパッド8と一体形成するときに、本体側部材20はウレタンパッド8に埋設されて、発泡材料が固定孔24の内部に充填されると共に、固定突起25に密着する。
図24に示したブラケット622の裏側の面において、外壁部634で囲まれた穴部6
35の内部には、一対の磁性体第二係止片636と637が形成されている。この一対の磁性体第二係止片636と637のそれぞれの先端部分には、一対のフック部638と639が、外壁部634で囲まれた穴部635の内部に収納された磁性体21の下面に係止するような高さに形成されている。一対の磁性体第二係止片636と637は、それぞれの先端部分に形成された一対のフック部638と639の間隔を押し開く方向の力を受けたときに一対のフック部638と639の間隔が開く方向に変形するような可撓性を有している。
このような構成としたことにより、図24の状態で上方から(ベース部623の裏面の側から)一対のフック部638の間隔よりも長い寸法を有している磁性体21を、一対のフック部638の間隔を押し開くようにして外壁部634で囲まれた穴部635の内部に挿入することができる。これにより、外壁部634で囲まれた穴部635の内部に磁性体21を挿入することができる。穴部635の内部に挿入された磁性体21は、一対の磁性体第一係止片627の上端に形成した一対のフック部628により上面が押さえられ、また、一対の磁性体第二係止片636に形成された一対のフック部638で下面を押さえられて、穴部635の内部から容易に外れない状態になる。
このようにして穴部635の内部に磁性体21を挿入した状態を、ベース部623の表の面の側から見た斜視図を、図25に示す。外壁部634で囲まれた穴部635の内部に収納された磁性体21の上面が、一対の磁性体第一係止片627の先端部分に形成した一対のフック部628で押さえられている。
また、図26には、穴部635の内部に磁性体21を挿入した状態を、ベース部623の裏の面の側から見た斜視図を示す。外壁部634で囲まれた穴部635の内部に収納された磁性体21の下面が、一対の磁性体第二係止片636の先端部分に形成した一対のフック部638で押さえられている。
本変形例で説明したような、磁性体21をベース部623の裏の面の側から着脱可能なブラケット622を、実施例で説明したブラケット22と入れ替えて実施例で説明した構成に用いることができる。
本変形例によれば、磁性体21をブラケット622のベース部623の裏の面の側から着脱可能な構成としたことにより、磁性体21のブラケット622への着脱が比較的容易に行うことができる。
[変形例7]
本発明の第7の変形例を、図27乃至図31を用いて説明する。
実施例1では、図9に示したように、一対のガイド部32と33とで端部材11の動きを規制する構成であった。これに対して本変形例では、図27に示すように、樹脂クリップ641の幅寸法を大きくして、図29及び図30に示すように、一対のガイド部632と633とで樹脂クリップ641の動きを規制するような構成にした。
図27に示した本変形例における樹脂クリップ641の外観において、樹脂クリップ641は、断面がU字形状をしており、このU字形状の内部に、図5で説明したような端部材11が密着して収まるような断面形状をしている。樹脂クリップ641は、例えば、ポリアセタールなどによって形成されている。
樹脂クリップ641の下面642の両側から立ち上がって対向している1対の側面部643の中央部付近には、上端部分で内側に突き出たフック部645を有する上端係止部644が形成されている。対向する一対のフック部645の間隔は、端部材11の幅寸法よりも小さくなるように形成されている。上端係止部644は両側に形成されたスリット648で樹脂クリップ641の側面部643と分離されており、側面部643に対して可撓性を有する構造となっている。
このような構成で、布部材10と一体成形された端部材11を樹脂クリップ641の上方から押し下げると、端部材11の側面により上端係止部644の内側に突き出た一対のフック部645が押し広げる方向の力を受け、上端係止部644が側面部643に対して広がる方向に撓む。これにより一対のフック部645の間隔が広がって、端部材11は樹脂クリップ641の内部に挿入される。
端部材11が完全に樹脂クリップ641の内部に挿入されると、押し広げられていた一対のフック部645が閉じて、一対のフック部645が端部材11の上面112と係合する。このように、上端係止部644のフック部645を端部材11に係合させることにより、端部材11は樹脂クリップ641に装着される。
また、この樹脂クリップ641の側面部643の外側の面には、傾斜して下側から上側に向けて突き出し量が徐々に大きくなっている一対の突起部646と647が形成されている。この一対の突起部646と647とは、図28に示す金属カバー650と組み合わせたときに金属カバー650の側板部652に形成された窓部654に係合するように形成されている。
図28に示した金属カバー650は、薄板状で形成されており、樹脂クリップ641を外側から包み込むようなU字形状をしている。即ち、金属カバー650は、下面部651の両側に一対の側板部652が立ち上がっている形状を有している。金属カバー650は磁性体21と磁気的に接着する材料、例えば、鉄、コバルト、ニッケルなどの金属、または、クロム系ステンレスの合金で形成されている。
金属カバー650の側板部652には、樹脂クリップ641に装着した時に、樹脂クリップ641に形成した一対の突起部646と647と干渉しないように、一対の突起部646と647との幅寸法よりの多少大きい幅寸法を有する窓部654が形成されている。窓部654は、金属カバー650を樹脂クリップ641に装着した時に、樹脂クリップ641側の一対の突起部646と647が金属カバー650側の窓部654に嵌め込まれるようになっている。
端部材11を装着した樹脂クリップ641を、図28の状態で上方から金属カバー650の一対の側板部652の間に挿入すると、樹脂クリップ641の側面部643の外側の面に形成された一対の突起部646と647が金属カバー650の一対の側板部652に当たる。この状態で樹脂クリップ641をさらに押し下げると、突起部646と647の径斜面により金属カバー650の一対の側板部652が撓んで両側に押し広げられて、樹脂クリップ641が下降する。
樹脂クリップ641がさらに下降して突起部646と647とが金属カバー650側の窓部654の位置に達すると、一対の側板部652が両側に押し広げる力が作用しなくなり、金属カバー650の一対の側板部652の撓みがなくなって、一対の側板部652は元の状態に戻る。これにより、樹脂クリップ641側の一対の突起部646と647が金属カバー650側の窓部654に嵌め込まれて、金属カバー650は、端部材11を装着した樹脂クリップ641に装着された状態となる。
この状態において、樹脂クリップ641の上端係止部644は金属カバー650の一対の側板部652の間に挟み込まれているので、上端係止部644は外側への広がりが規制されて、一対のフック部645により係合されている端部材11が、一対のフック部645から外れることはない。
図29には、樹脂クリップ641に金属カバー650を装着した状態で、金属カバー650が、変形例6で説明したブラケット622に装着した磁性体21に吸着されてブラケット622に固定された状態の斜視図を示している。ただし、図29においては、説明を簡単にするために、樹脂クリップ641に装着されるカバー側部材40の端部材11及び布部材10の表示を省略している。
この状態で、樹脂クリップ641は、ブラケット622の一対のガイド部632と633に挟まれた状態となっており、動きが規制されている。また、樹脂クリップ641に装着した金属カバー650は、ブラケット622の一対のガイド部632と633の間に収まるような幅寸法を有している。
図30には、図29の状態の正面図を示す。ただし、図30においては、カバー側部材40の端部材11が樹脂クリップ641に装着された状態を示している。端部材11を装着した樹脂クリップ641は、ブラケット622の一対のガイド部632と633に挟まれて動きが規制されている。
金属カバー650に形成された窓部654に樹脂クリップ641に形成した一対の突起部646と647が入った状態となっており、窓部654に対する一対の突起部646と647との動きが規制される。金属カバー650は、ブラケット622に装着された磁性体21に吸着されてブラケット固定された状態にあるので、金属カバー650に対する樹脂クリップ641の動きが規制される。
図31には、図29の状態のF-Fの側から見た側面図を示す。図31において、布部材10と一体成形された端部材11は樹脂クリップ641に挟まれて、端部材11の上面112が、樹脂クリップ641の上端係止部644に形成されたフック部645で押さえられている。また、樹脂クリップ641は、ブラケット622の一対のガイド部632に挟まれた状態となっており、動きが規制されている。
図32と図33には、図30におけるG-G断面の矢視のうちブラケット622と磁性体21の表示を省略して、カバー側部材40を保持した樹脂クリップ641を金属カバー650に装着した状態を示す。
このうち、図32は、端部材11を挟みこんだ樹脂クリップ641が押し下げられて、金属カバー650の底面に突き当たっている状態を示している。この状態で、樹脂クリップ641に形成された突起部647は金属カバー650に形成された窓部654の内部に突出した状態となっている。
一方、図33は、端部材11を挟みこんだ樹脂クリップ641が持ち上げられて、樹脂クリップ641に形成された突起部647が金属カバー650に形成された窓部654の上面655に突き当たっている状態を示している。樹脂クリップ641に形成された突起部647が金属カバー650の窓部654の上面655に突き当たることにより、上方への動きが規制される。
本変形例によれば、端部材11を樹脂クリップ641に挿入するときに、上端係止部644だけが撓む構造としてことにより、比較的小さい力で挿入することができる。また、シートカバー7が引っ張られることにより端部材11が上方に引っ張られたときには、樹脂クリップ641が上昇して突起部647が金属カバー650に形成された窓部654の上面655に突き当たり、金属カバー650の一対の側板部652で上端係止部644が外側に広がるのを規制する構造とした。これにより、上端係止部644が外側に撓むことがないので、端部材11が樹脂クリップ641から外れることを防止することができる。
上記した変形例1乃至7についても、実施例1の場合と同様な効果を得ることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。