以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。
[第一実施形態]
図1を用いて、本発明の第一実施形態に係る中継装置を備える無線通信システムの構成について説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す模式図である。
図1に示すように、無線通信システム10は、中継局100と、事業者Aの複数の無線端末150-1と、事業者Bの複数の無線端末150-2と、事業者Cの複数の無線端末150-3と、事業者Dの複数の無線端末150-4とを含む。無線端末150-1から無線端末150-4を総称して、無線端末150と呼ぶこともある。
中継局100は、複数の中継装置で構成される。図1に示す例では、中継局100は、第一中継装置110-1と、第二中継装置110-2と、・・・、第n(nは2以上の整数)中継装置110-nとで構成される。第一中継装置110-1から第n中継装置110-nは、それぞれ、IP(Internet Protocol)およびシリアル回線などの通信回線NWを介して互いに接続されている。なお、中継局を構成する中継装置の数は2台以上であれば特に制限はない。第一中継装置110-1から第n中継装置110-nは、例えばラックなどに収容され、一か所に積まれた状態で設置される。また、中継局100には、第一中継装置110-1から第n中継装置110-nを管理するためのオペレータOが常駐していてもよい。第一中継装置110-1から第n中継装置110-nを総称して、中継装置110と呼ぶこともある。
第一中継装置110-1から第n中継装置110-nには、無線端末との間で送信受信するための周波数情報を持ったCH(チャネル)が設定されている。本実施形態では、第一中継装置110-1から第n中継装置110-nには、それぞれ、2つのCHが設定されている。例えば第一中継装置110-1でいえば、CH1と、CH2との2つのCHが設定されている。すなわち、第一中継装置110-1から第n中継装置110-nは、TDMA(Time Division Multiple Access)で通信を行う中継装置である。なお、第一中継装置110-1から第n中継装置110-nに設定されているCHは、1つだけであってもよい。この場合、第一中継装置110-1から第n中継装置110-nは、FDMA(Frequency Division Multiple Access)方式で通信を行う。
第一中継装置110-1から第n中継装置110-nは、それぞれスピーカを内蔵している。第一中継装置110-1はスピーカ130-1を有する。第二中継装置110-2はスピーカ130-2を有する。第n中継装置110-nはスピーカ130-nを有する。スピーカ130-1からスピーカ130-nは、無線端末から受信したアップリンク信号の音声信号を音声として出力する。
第一中継装置110-1から第n中継装置110-nは、ベース運用にも対応しており、外部マイクを接続し無線端末に対して音声を送信することができる。図1に示す例では、第二中継装置110-2に、マイク140が接続されている。第一中継装置110-1から第n中継装置110-nは、タイムスロットを選択する機能(Slot Selection)を有している。例えば、タイムスロット1とタイムスロット2とのいずれでマイク140からの音声を送信するかを選択することができる。タイムスロット1とタイムスロット2とのいずれで送信を行うかについては、PC(Personal Computer)アプリケーションによって予め選択することができる。
本実施形態では、互いに無関係な複数の事業者の無線端末が中継局100を共有することができる。図1に示す例では、事業者Aと、事業者Bと、事業者Cと、事業者Dとの各無線端末が中継局100を共有している。本実施形態では、事業者が中継局100を共有しているものとして説明するが、これは本発明を限定するものではない。本発明では、何らかの属性で区分けされた複数のグループで中継局100を共有している場合にも、適用することができる。
中継局100では、事業者ごとにHome CHの設定を変えて運用することで、互いの事業者の通話が混信しないようにしている。例えば、各無線端末は待ち受け時には、自身に設定されたHome CHを監視する。
図1に示す例では、事業者Aの無線端末150-1は第一中継装置110-1のCH1を監視し、事業者Bの無線端末150-2は第一中継装置110-1のCH2を監視する。この場合、第一中継装置110-1は、無線端末150-1と、無線端末150-2との通常の接続先となる。事業者Cの無線端末150-3は第二中継装置110-2のCH3を、事業者Dの無線端末150-4は第二中継装置110-2のCH4を監視する。この場合、第二中継装置110-2は、無線端末150-3と、無線端末150-4との通常の接続先となる。
無線端末が音声通話を開始する際、Home CHが他の無線端末によって使用されていない状況であれば、Home CHを優先的に使用するが、Home CHが使用されていればシステムから通知された他のCHを使用して(トランクアウトして)音声通話を行う。
図2を用いて、本実施形態に係る無線端末の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る無線端末の構成の一例を示すブロック図である。
無線端末150は、記憶部151と、音声入力部152と、音声出力部153と、操作部154と、表示部155と、無線通信部156と、制御部160とを備える。
記憶部151は、種々のデータを記録する。記憶部151は、例えば、制御部160の各部を実現させるためのプログラムを記憶している。制御部160は、記憶部151に記憶されているプログラムを展開して実行することで、各部の機能を実現する。記憶部151は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、光ディスクなどの記憶装置で実現することができる。
音声入力部152は、種々の音声を受け付ける。音声入力部152は、例えば他の無線端末などに送信するための音声をユーザから受け付け、音声信号として制御部160に出力する。音声入力部152は、例えば通常のマイクロフォンで構成される。
音声出力部153は、種々の音声を出力する。音声出力部153は、例えば他の無線端末などから送信された信号に対応する音声を出力する。音声出力部153は、例えば通常のスピーカで構成される。
操作部154は、無線端末150に対する種々の操作を受け付ける。種々の操作には、例えば無線端末150の各種設定を変更したり、音声の送受信のオンとオフとを切り替えたりする操作が含まれる。操作部154は、例えば、物理的なスイッチや、表示部155に設けられたタッチパネルで実現することができる。操作部154が操作されると、操作に応じた制御信号が、操作制御部163に入力される。
表示部155は、種々の情報を表示する。表示部155は、例えば、無線通信に関する種々の情報を表示する。表示部155は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。
無線通信部156は、他の無線端末150と中継局100の中継装置110を介して音声を含む情報通信を行う。
制御部200は、マイク入力制御部161と、音声出力制御部162と、操作制御部163と、表示制御部164と、無線通信制御部165とを備える。制御部200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびDSP(Digital Signal Processor)を含む電子的な回路で実現することができる。
マイク入力制御部161は、音声入力部152が検出した音声信号を符号化して、無線通信制御部165に出力する。
無線通信制御部165は、符号化された音声信号を所定の通信フォーマットに変換し、
無線通信部156を介して中継装置110に送信する。また、無線通信制御部165は、無線通信部156を介して中継装置110により中継された信号を復号化し、複号化された音声信号と制御信号とを音声出力制御部162に出力する。
音声出力制御部162は、無線通信制御部165で複号化された音声信号を、音声出力部153を介して出力するか、否か(ミュートする)を制御信号に基づき制御する。
操作制御部163は、操作部154からユーザなどからの操作に応じた操作情報を受ける。操作制御部163は、受けた操作情報に従って、制御部160の各部を動作させるための制御信号を各部に出力する。
表示制御部164は、種々の映像を表示部155に表示する。表示制御部164は、例えば無線通信に関する情報を表示部155に表示する。
図3を参照して、本実施形態に係る中継装置の構成の一例について説明する。図3は、本実施形態の中継装置の構成の一例を示すブロック図である。
中継装置110は、記憶部111と、マイク入力端子112と、音声出力部113と、無線通信部114と、操作部115と、表示部116と、中継装置間通信部117と、制御部200とを備える。
マイク入力端子112には、音声入力部としてマイクの端子が接続される。すなわち、中継装置110においては、音声出力部としてのマイクは任意に着脱可能である。マイクは、例えばオペレータOによってマイク入力端子112に着脱される。
音声出力部113は、種々の音声を出力する。音声出力部113は、例えば無線端末などから送信された信号に対応する音声を出力する。音声出力部153は、例えば通常のスピーカで構成される。音声出力部153は、中継装置110に一体に設けられたものであってもよいし、外部から接続されたものであってもよい。
無線通信部114は、中継装置110と外部の情報処理装置との間で情報通信を行う。無線通信部114は、無線端末150と無線端末などとの間で情報通信を行う。
操作部115は、中継装置110に対する種々の操作を受け付ける。種々の操作には、例えば中継装置110の各種設定を変更する操作が含まれる。操作部115は、例えば、物理的なスイッチや、表示部116に設けられたタッチパネルで実現することができる。操作部115が操作されると、操作に応じた制御信号が、操作制御部250に入力される。
表示部116は、種々の情報を表示する。表示部116は、例えば、無線通信に関する種々の情報を表示する。表示部116は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなどを含むディスプレイである。
中継装置間通信部117は、中継装置110と、中継局100を構成する他の中継装置110との間で情報通信を行う。中継装置110と、他の中継装置110とは、通信回線NWで接続されている。中継装置間通信部117は、通信回線NWを介して、中継装置110と、中継局100を構成する他の中継装置110との間で情報通信を行う。情報通信の内容は、例えば、一の中継装置110が他の中継装置110の設定を変更する情報である。また、一の中継装置110が受信した無線端末150からのアップリンク信号そのものもしくはアップリンク信号に含まれる音声信号であってもよい。つまり中継装置110のいずれかが受信したアップリンク信号を他の中継装置110に通信回線NWを解して送ることができる。
記憶部111は、種々のデータを記録する。記憶部111は、例えば、制御部200の各部を実現させるためのプログラムを記憶している。制御部200は、記憶部111に記憶されているプログラムを展開して実行することで、各部の機能を実現する。記憶部111は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、光ディスクなどの記憶装置で実現することができる。
記憶部111は、例えばHome CHごとに、スピーカ出力設定状態を記憶している。記憶部111は、例えばスピーカ出力設定状態をスピーカ出力制御テーブルとして記憶している。
図4を用いて、スピーカ出力制御テーブルについて説明する。図4は、スピーカ出力制御テーブルの一例を示す模式図である。なお、スピーカの出力を制御すること、として記載するが、中継装置が受信した信号に対応する音声、つまり音声データのデコードを行うか否かであってもよく、むろんデコードを行なわない場合はスピーカの出力はミュートされる。つまり音声出力の可否を制御すること、と同意である。
図4に示すように、スピーカ出力制御テーブル300には、Home CHごとに、スピーカ出力設定と、状態管理に関する情報が含まれている。状態管理には、マイク接続と、顧客要求(常時)と、顧客要求(テンポラリ)が含まれている。顧客要求(常時)は、通話の際の顧客の常時の要求である。顧客要求(テンポラリ)は、通話の際の顧客の一時的な要求である。
スピーカ出力設定状態の取り得る値は、「Enable」と「Disable」である。「Enable」の場合スピーカ出力を行うことを意味している。「Disable」の場合スピーカ出力を行わないことを意味している。中継装置110は、この情報に従いスピーカ出力制御を行う。
マイク接続状態の取り得る値は、未接続の「Off」と接続の「On」である。「Off」は、マイクが接続されていないことを意味する。「On」は、マイクが接続されていることを意味する。
顧客要求(常時)の取り得る値は「None」と「Enable」と「Disable」である。「None」は、顧客の要求を受け付けていないことを意味する。「Enable」は、スピーカ出力を顧客が常時許可していることを意味している。「Disable」は、スピーカ出力を顧客が常時許可していないことを意味している。
顧客要求(テンポラリ)の取り得る値は「None」と「Enable」と「Disable」である。「None」は、顧客の要求を受け付けていないことを意味する。「Enable」は、スピーカ出力を顧客が一時的に許可していることを意味している。「Disable」は、スピーカ出力を顧客が一時的に許可していないことを意味している。
制御部200は、マイク着脱検出部210と、マイク入力制御部220と、音声出力制御部230と、無線通信制御部240と、操作制御部250と、表示制御部260と、中継装置間通信制御部270とを備える。制御部200は、例えば、CPUを含む電子的な回路で実現することができる。
マイク着脱検出部210は、マイク入力端子112にマイクが接続されたことを検出する。マイク着脱検出部210は、マイク入力端子112に接続されたマイクが、マイク入力端子112から取り外されたことを検出する。マイク着脱検出部210は、音声出力制御部230に、マイクの接続状態を通知する。
マイク入力制御部220は、マイク着脱検出部210がマイクを接続されたことを検出した場合に、操作制御部163の制御に従って、マイク入力端子112に接続されたマイクを制御する。マイク入力制御部220は、例えば操作制御部163から送信する指示がなされた場合、マイクに入力された音声信号を、無線通信制御部240を介して無線通信部114から送信する。
音声出力制御部230は、音声出力部113を制御する。音声出力制御部230は、例えば音声出力部113のONとOFFとを切り替える。また、音声出力制御部230は、マイク着脱検出部210のマイク接続状態に基づいて、自身の中継装置110または中継局100を構成するその他の中継装置110のいずれかが、自身の中継装置110を通常の接続先とする無線端末からアップリンク信号を受信した場合に、その受信した信号の音声の出力を可能とする。音声出力制御部230は、音声の出力を可能とする中継装置110は自身だけでなく、他の中継装置110も可能とする制御信号、つまり受信したアップリンク信号に対応する音声の音声出力を可能とする制御信号を出力する。また中継装置110を通常の接続先としない無線端末からアップリング信号を受信した場合には、他の中継装置110からの前記した制御信号により、その受信した信号の音声の出力を可能とする場合がある。
無線通信制御部240は、無線通信部114を制御する。無線通信制御部240は、無線通信部114を介して、無線端末などに音声を送信する。無線通信制御部240は、無線通信部114を介して、無線端末から音声を受信する。通常の場合、無線通信制御部240は、無線通信部114が受信した信号を無線通信部114で送信する、つまり中継の制御を行う。また、無線通信制御部240は、マイク着脱検出部210がマイク入力端子112へのマイクの接続を検出した場合に、中継装置110を接続先とする無線端末などに音声の送信を可能とする。
操作制御部250は、操作部115からユーザなどからの操作に応じた操作情報を受ける。操作制御部250は、受けた操作情報に従って、制御部200の各部を動作させるための制御信号を各部に出力する。
表示制御部260は、種々の映像を表示部116に表示する。表示制御部260は、例えば無線通信に関する情報を表示部116に表示する。
中継装置間通信制御部270は、中継装置間通信部117を制御する。中継装置間通信制御部270は、中継装置間通信部117を介して、他の中継装置110との間で情報通信を行う。中継装置間通信制御部270は、音声出力制御部230からの自身を通常の接続先とする無線端末150からのアップリンクを受信した場合に、受信したアップリンク信号に対応する音声の音声出力を可能とする指示を受け、中継装置間通信部117を介して他の中継装置110に伝送する。また、中継装置間通信制御部270は、中継装置間通信部117を介して、他の中継装置110から前記指示を受けた場合に、音声出力制御部230に対して受信したアップリンク信号に対応する音声の音声出力を可能とする指示を伝える。
また、中継装置間通信制御部270は、中継装置間通信部117を介して、他の中継装置110と受信したアップリンク信号に対応する音声の音声信号を送受信してもよい。なお、音声信号は、中継装置間における所定のプロトコルで符号化され送受信される。つまり、前記指示が行なわれている場合、他の中継装置110は、前記指示を行なった中継装置を接続先とする無線端末からのアップリンク信号に対応する音声の音声信号を、中継装置間通信部117を介して送信する。中継装置間通信制御部270は、他の中継装置110から送られた音声信号を、音声出力制御部230を介して音声出力部113に出力する。
図5を用いて、従来技術の課題について説明する。図5は、従来技術の課題を説明するための模式図である。以下の各図において、無線端末とCHとを結ぶ矢印は、無線端末とCHとの間で情報通信を行っていることを意味する。
従来、自社の中継装置(例えば、第一中継装置110-1)において、無線端末からの音声信号を受信した場合、その音声信号の送信元である無線端末がどの事業者のものかを意識することなく、無条件でスピーカ130-1から音声出力を行っていた。具体的には、第一中継装置110-1は、Slot Selectionが「2」に設定されており、CH1で事業者Aの無線端末150-1からのアップリング信号を受信し、CH2で事業者Bの無線端末150-2からのアップリング信号を受信している。ここで、Slot Selectionには「1」と「2」が設定され、「1」の場合には数字の小さい方のCHが受信した音声を出力し、「2」の場合には数値の大きい方のCHが受信したアップリング信号の音声を出力する。このため、第一中継装置110-1のスピーカ130-1からは、CH2で受信した、事業者Bの無線端末150-2からのアップリング信号の音声が出力される。第二中継装置110-2は、Slot Selectionが「1」に設定されており、CH3で事業者Cからの無線端末150-3からのアップリング信号を受信し、CH4で事業者Dの無線端末150-4からのアップリンク信号を受信している。このため、第二中継装置110-2のスピーカ130-2からは、CH3で受信した、事業者Cの無線端末150-3からのアップリング信号の音声が出力される。従来技術では、このような状況で、第一中継装置110-1の傍に管理事業者のオペレータOが存在した場合、会話の内容が聞かれてしまい、セキュリティ/秘匿性に課題があった。また逆に、TDMAシステムの場合に、中継装置で無線端末からの音声を聞きたい場合においても、自社の第一中継装置110-1では、PCアプリケーションによって予め設定したSlot Selectionとは逆のSlotで受信したアップリンク信号の音声をスピーカ出力できなかった。従来は、Slot Selectionの設定を動的に切り替える仕組みも無いため、中継局100の一方のCHのみ受信音声を聞くことができるが、他方のCHの受信音声は聞けないという課題があった。
図6と、図7と、図8とを用いて、本発明の実施形態に係る中継方法の概要について説明する。図6は、中継局において、いずれの中継装置にもマイクが接続されていない場合のスピーカの出力制御を説明するための模式図である。図7は、中継局において、いずれかの中継装置にマイクが接続され、かつ各中継装置のスピーカら音声を出力する場合のスピーカの出力制御を説明するための模式図である。図8は、中継局において、いずれかの中継装置にマイクが接続され、かつマイクが接続された中継装置からまとめて音声を出力する場合のスピーカの出力制御を説明するための模式図である。
図6に示す例は、各中継装置をベース運用で使用しないことを想定した各スピーカの制御である具体的には、図6に示す例では、中継局100を構成するいずれの中継装置にもマイクが接続されていない。このような場合には、本実施形態では、いずれのスピーカからも音声出力を行わない。これにより、本実施形態は、セキュリティの課題を解決する。
図7および図8に示す例は、中継装置をベース運用で使用することを想定した各スピーカの制御処理である。この場合、マイクが接続された中継装置及びSlot Selectionの設定値より通話対象の事業者が決まる。そして、通話対象の事業者からの受信音声のみをスピーカ出力する。図7および図8に示す例では、マイクが第二中継装置110-2に接続され、CH3をHome CHとする事業者Cが通信対象となるものとして説明する。
図7では音声を受信したそれぞれの中継装置で音声出力する方法を示している。図7に示す例では、第一中継装置110-1は、CH1において事業者Aの無線端末150-1のアップリンク信号を受信し、CH2において、事業者Cの一部の無線端末150-3の第一アップリンク信号を受信している。第一中継装置110-1のSlot Selectionは「2」である。第二中継装置110-2は、CH3において事業者Cの一部の無線端末150-3の第二アップリンク信号を受信し、CH4において事業者Dの無線端末150-4のアップリンク信号を受信している。第二中継装置110-2のSlot Selectionは「1」である。この場合、第一中継装置110-1のスピーカ130-1からは、CH2で受信した第一アップリンク信号の第一音声を出力する。また、第二中継装置110-2のスピーカ130-2からは、CH3で受信した第二アップリンク信号の第二音声を出力する。すなわち、図7に示す例では、第二中継装置110-2の通話対象である、事業者Cの音声のみをスピーカから出力する。
図8は、各中継装置が受信したアップリンク信号の音声をマイクが接続された中継装置のスピーカから混合(ミックス)して出力する方法を示している。具体的には、図8では、第二中継装置110-2にマイク140が接続されている。図8に示す例では、第一中継装置110-1は、CH1において事業者Aの無線端末150-1のアップリンク信号を受信し、CH2において、事業者Cの一部の無線端末150-3の第一アップリンク信号を受信している。第一中継装置110-1のSlot Selectionは「2」である。第二中継装置110-2は、CH3において事業者Cの一部の無線端末150-3の第二アップリンク信号を受信し、CH4において事業者Dの無線端末150-4のアップリンク信号を受信している。第二中継装置110-2のSlot Selectionは「1」である。図8に示す例では、第一中継装置110-1は受信した第一アップリンク信号を、中継局100の第二中継装置110-2に送信する。この場合、第二中継装置110-2においては、第一アップリンク信号の第一音声と、第二アップリンク信号の第二音声をミックスしてスピーカ130-2から出力する。図8では、2つの中継装置の音声をミックスする場合を示しているが、本発明はこれらに限定されない。
本実施形態においては、中継装置110におけるいずれの中継装置にマイクが接続された場合には、図7および図8に示したどちらの処理を実行してもよい。
次に、図9から図16を用いて、本実施形態に係る無線通信システム10の処理の詳細について説明する。
図9から図11は、第二中継装置110-2に対するマイクの物理的な接続と切断とをトリガーにスピーカの出力制御を行うシーケンス図を示している。
図9は、第二中継装置110-2でマイクの物理的な接続を検出した場合に、第二中継装置110-2をHome CHとする事業者からの受信音声をスピーカの出力対象とする処理を示すシーケンス図である。
まず、第二中継装置110-2は、マイクが接続されたことを検出する(ステップS11)。次いで、第二中継装置110-2は、自身のSlot Selectionの設定値を参照する(ステップS12)。そして、第二中継装置110-2は、スピーカ出力制御対象の事業者のHome CHがCH3かCH4かを認識する(ステップS13)。ここで、ステップS13では、事業者のHome CHはCH3であるものとする。そのため、ステップS13では、第二中継装置110-2は、事業者のHome CHがCH3であると認識する。
次いで、第二中継装置110-2は、中継局100内の他の中継装置110に対して、スピーカ出力設定通知によりHome CH3でマイク接続がONになったことを通知する(ステップS14)。
次いで、他の各中継装置は、Home CH3でマイク接続がONになったことを認識する(ステップS15)。その後、Home CHがCH3である事業者が第二中継装置110-2を介して行う通信は、第二中継装置110-2のスピーカ130-2から音声が出力される。
次いで、Home CHがCH3である事業者の無線端末150が、第一中継装置110-1で通話を開始する(ステップS16)。第二中継装置110-2のCH3は通信が行なわれているため、この無線端末150は、システムから通知された他のCHを使用して(トランクアウトして)音声通話を行うことを示す。
次いで、第一中継装置110-1は、受信したアップリンク信号の音声をスピーカから出力してよいか否かを判定する(ステップS17)。
図9に示す例ではスピーカ出力可の判断となり、第一中継装置110-1は、スピーカ130-1から音声を出力する(ステップS18)。そして、図9の処理を終了する。なお、音声をミックスして出力する場合には、第一中継装置110-1は、受信したアップリンク信号を、第二中継装置110-2に出力し、第二中継装置110-2のスピーカ130-2から第一中継装置110-1の音声を出力してもよい。
次に、図10を参照して、図9とは異なる処理について説明する。図10は、Home CHがCH3ではない事業者の無線端末150が通話を開始した場合の処理を示すシーケンス図である。
ステップS21からステップS25は、図9に図示のステップS11からステップS15と同様なので説明は省略する。
次いで、通常の接続先が第一中継装置110-1である無線端末150は、第一中継装置110-1で通話を開始する(ステップS26)。
次いで、第一中継装置110-1は、受信したアップリンク信号の音声をスピーカから出力してよいか否かを判定する(ステップS27)。
図10に示す例では、第一中継装置110-1においてスピーカから音声出力を許可されているのは、CH3をHome CHとする事業者であるため、スピーカ出力不可の判断となり、第一中継装置110-1は、スピーカ130-1から音声を出力しない(ステップS28)。そして、図10の処理は終了する。
図11は、第二中継装置110-2でマイクの物理的な切断を検出した場合に、第二中継装置110-2をHome CHとする事業者からの受信音声のスピーカの出力を停止する処理を示すシーケンス図である。
まず、事業者の無線端末から、第一中継装置110-1に通話が開始される(ステップS31)。そして、第一中継装置110-1は、受信音声をスピーカ130-1から出力を開始する(ステップS32)。
次いで、第二中継装置110-2は、マイクの物理的な切断を検出する(ステップS33)。次いで、第二中継装置110-2は、自身のSlot Selectionの設定値を参照する(ステップS34)。そして、第二中継装置110-2は、スピーカ出力制御対象の事業者のHome CHがCH3かCH4かを認識する(ステップS35)。ここで、ステップS35では、第二中継装置110-2は、事業者のHome CHはCH3であると認識する。
次いで、第二中継装置110-2は、中継局100内の他の中継装置110に対して、スピーカ出力設定通知によりHome CH3でマイク接続がOFFになったことを通知する(ステップS36)。
次いで、他の各中継装置は、Home CH3でマイク接続がOFFになったことを認識する(ステップS37)。
そして、第一中継装置110-1は、ステップS37と同時に、スピーカ130-1からの受信音声の出力を停止する(ステップS38)。そして、図11の処理は終了する。
次に、図12から図15を用いて、無線端末からの操作をトリガーにスピーカの出力を制御する処理について説明する。この場合も同じく、スピーカの出力を制御することとして記載するが、中継装置が受信した信号の音声データのデコードを行うか否かであってもよい。
図12と、図13とを用いて、スピーカの出力を常時設定する処理について説明する。
図12を用いて、スピーカの出力を常時禁止にする処理について説明する。図12は、Home CHがCH3である事業者の無線端末が、自身の事業者からの受信音声を中継装置でスピーカ出力を常時禁止にする処理を示すシーケンス図である。
まず、無線端末は、スピーカ出力設定変更要求にHome CHの情報と「スピーカ出力禁止」とを設定し、第一中継装置110-1に送信する(ステップS41)。
次いで、第一中継装置110-1は、Home CH3での受信音声をスピーカ出力対象から外す(Disable)(ステップS42)。すなわち、第一中継装置110-1は、Home CH3での受信音声をスピーカから出力することを禁止する。次いで、第一中継装置110-1は、中継局100内の他の中継装置110に対して、スピーカ出力設定変更要求によりHome CH3での受信音声がスピーカ出力対象から外されたことを通知する(ステップS43)。
次いで、各中継装置110は、Home CH3での受信音声がスピーカ出力対象から外されたことを認識する(ステップS44)。
次いで、Home CHがCH3である事業者の無線端末から、第一中継装置110-1に対し、通話が開始される(ステップS45)。
次いで、第一中継装置110-1は、受信したアップリンク信号の音声をスピーカから出力してよいか否かを判定する(ステップS46)。
図12に示す例ではスピーカ出力不可の判断となり、第一中継装置110-1は、スピーカ130-1から音声を出力しない(ステップS47)。そして、図12の処理は終了する。
次に図13を用いて、スピーカの出力を常時許可する処理について説明する。図13は、Home CHがCH3である事業者の無線端末が、自身の事業者からの受信音声を中継装置でスピーカ出力を許可する処理を示すシーケンス図である。
まず、無線端末は、スピーカ出力設定変更要求にHome CHの情報と「スピーカ出力許可」とを設定し、第一中継装置110-1に送信する(ステップS51)。
次いで、第一中継装置110-1は、Home CH3での受信音声のスピーカ出力を許可された(Enable)ことを認識する(ステップS52)。次いで、第一中継装置110-1は、中継局100内の他の中継装置110に対して、スピーカ出力変更要求によりHome CH3での受信音声のスピーカ出力が許可されたことを通知する(ステップS53)。
次いで、各中継装置は、Home CH3での受信音声のスピーカ出力が許可されたことを認識する(ステップS54)。
次いで、Home CHがCH3である事業者の無線端末から、第一中継装置110-1に対し、通話が開始される(ステップS55)。
次いで、第一中継装置110-1は、受信したアップリンク信号の音声をスピーカから出力してよいか否かを判定する(ステップS56)。むろん、他の事業者の無線端末150からのアップリンク信号であれば否とする。
図13に示す例ではスピーカ出力は、可の判断となり、第一中継装置110-1は、スピーカ130-1から音声を出力する(ステップS57)。
また、図13に示すように第二中継装置110-2が別な無線端末150により通話が開始された場合(ステップS58)、音声出力の可否判定(ステップS59)を行うが、この別な無線端末150が、ステップS55により通話が開始した無線端末150と同じ事業者であれば、スピーカから音声は出力され、ステップS55により通話が開始した無線端末150と異なる事業者であれば、スピーカから音声は出力されない。そして、図13の処理は終了する。
次に、図14と、図15とを用いて、スピーカの出力を一時的に設定(テンポラリ設定)する処理について説明する。図14と、図15とでは、通話要求のあった通話のみのスピーカ出力制御を行う。
図14は、通話開始時のリンク手続きにおいて、その通話限定で、Home CHがCH3である事業者の無線端末が、自身の受信音声のスピーカ出力を禁止にする処理を示すシーケンス図である。
まず、無線端末は、通話要求(Call Request)にHome CHの情報と「スピーカ出力禁止」とを設定し、第一中継装置110-1に送信する(ステップS61)。
次いで、第一中継装置110-1は、Home CHがCH3の事業者の受信音声をスピーカ出力対象から一時的に外す(Disable)(ステップS62)。すなわち、第一中継装置110-1は、Home CHがCH3の事業者の受信音声をスピーカ130-1から出力することを一時的に禁止する。図14の処理では、第一中継装置110-1は、中継局100内の他の中継装置110にスピーカ出力設定変更要求は送信しない。
次いで、第一中継装置110-1は、通話要求の許可応答を無線端末に送信する(ステップS63)。これにより、無線端末と、第一中継装置との間でリンクが確立する。
次いで、事業者の無線端末から、第一中継装置110-1に通話が開始される(ステップS64)。
次いで、第一中継装置110-1は、受信したアップリンク信号の音声をスピーカから出力してよいか否かを判定する(ステップS65)。
図14に示す例ではスピーカ出力不可の判断となり、第一中継装置110-1は、スピーカ130-1から音声を出力しない(ステップS66)。
次いで、無線端末と、第一中継装置110-1との間で通話が終了する(ステップS67)。次いで、無線端末と、第一中継装置110-1との間で通話が終了したタイミングで、第一中継装置110-1は、Home CH3での受信音声のスピーカ出力の一時的な禁止を解除する(ステップS68)。そして、図14の処理は終了する。
図15は、通話開始時のリンク手続きにおいて、その通話限定で、Home CHがCH3である事業者の無線端末が、自身の受信音声を中継装置でスピーカ出力を許可する処理を示すシーケンス図である。
まず、無線端末は、通話要求(Call Request)にHome CHの情報と「スピーカ出力許可」とを設定し、第一中継装置110-1に送信する(ステップS71)。
次いで、第一中継装置110-1は、Home CH3での受信音声のスピーカ出力を一時的に許可する(Enable)(ステップS72)。図15の処理では、第一中継装置110-1は、中継局100内の他の中継装置110にスピーカ出力設定通知は送信しない。
次いで、第一中継装置110-1は、通話要求の許可応答を無線端末に送信する(ステップS73)。これにより、無線端末と、第一中継装置との間でリンクが確立する。
次いで、事業者の無線端末から、第一中継装置110-1に通話が開始される(ステップS74)。
次いで、第一中継装置110-1は、受信したアップリンク信号の音声をスピーカから出力してよいか否かを判定する(ステップS75)。
図15に示す例ではスピーカ出力可の判断となり、第一中継装置110-1は、スピーカ130-1から音声を出力する(ステップS76)。
次いで、無線端末と、第一中継装置110-1との間で通話が終了する(ステップS77)。次いで、無線端末と、第一中継装置110-1との間で通話が終了したタイミングで、第一中継装置110-1は、Home CH3での受信音声のスピーカ出力の一時的な許可を解除する(ステップS78)。そして、図15の処理は終了する。
図16を用いて、中継局100を構成する各中継装置が、無線端末に対してスピーカの設定状態を報知する処理について説明する。図16は、各中継装置が無線端末に対してスピーカの設定状態を報知する処理の一例を示すシーケンス図である。
まず、第一中継装置110-1は、第一中継装置110-1が認識しているHome CH1及び2のスピーカ出力設定状態を、スピーカ設定状態として、無線端末に送信する(ステップS81)。次いで、第二中継装置110-2は、第二中継装置110-2が認識しているHome CH3及び4のスピーカ出力設定状態を、スピーカ設定状態として、無線端末に送信する(ステップS82)。そして、第n中継装置110-nは、第n中継装置110-nが認識しているHome CH2n-1及び2nのスピーカ出力設定状態を、スピーカ設定状態として、無線端末に送信する(ステップS83)。
図16に示す例では、各中継装置は、スピーカ設定状態の通知をT秒周期で周期的に行う。例えば、ステップS81のT秒後、第一中継装置110-1は、第一中継装置110-1が認識しているHome CH1及び2のスピーカ出力設定状態を、スピーカ設定状態として、無線端末に送信する(ステップS84)。次いで、第二中継装置110-2は、第二中継装置110-2が認識しているHome CH3及び4のスピーカ出力設定状態を、スピーカ設定状態として、無線端末に送信する(ステップS85)。そして、第n中継装置110-nは、第n中継装置110-nが認識しているHome CH2n-1及び2nのスピーカ出力設定状態を、スピーカ設定状態として、無線端末に送信する(ステップS86)。
無線端末は、各中継装置から報知される情報を参照し、設定を変えたい場合はユーザ操作で変更することが出来る。
次に図17から図21を用いて、上述したシーケンス図における中継装置の処理の詳細について説明する。
図17を用いて、中継装置110の制御部200の処理について説明する。図17は、制御部200がマイクの物理的な接続または切断を検出した際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、制御部200は、記憶部111からSlot Selectionの設定値を取得する(ステップS101)。次いで、制御部200は、マイク着脱検出に伴うスピーカ出力の制御対象のHome CHを認識する(ステップS102)。
次いで、制御部200は、自身の中継装置にマイクの接続状態を判定する(ステップS103)。マイクが接続されていないと判定された場合(ステップS103のNo)、制御部200は、ステップS106に進む。一方、マイクが接続されていると判定された場合(ステップS103のYes)、制御部200は、ステップS104に進む。
ステップS104では、制御部200は、マイクが接続されたことを検出し(ステップS104)、ステップS105に進む。制御部200は、マイクの接続状態をONに設定する(ステップS105)。そして、制御部200は、ステップS108に進む。
ステップS106では、制御部200は、マイクが接続されていないことを検出し(ステップS106)、ステップS107に進む。制御部200は、マイクの接続状態をOFFに設定する(ステップS107)。そして、制御部200は、ステップS108に進む。
次いで、制御部200は、他の中継装置110に対してスピーカ出力設定通知を送信する(ステップS108)。設定する情報は、対象のHome CHと要因として「マイク接続」とマイク接続の状態である。
次いで、制御部200は、Home CHの事業者からの音声信号を受信中であるか否かを判定する(ステップS109)。音声信号を受信中であると判定されなかった場合(ステップS109のNo)、制御部200は、ステップS111に進む。一方、受信中であると判定された場合(ステップS109のYes)、制御部200は、ステップS110に進む。
制御部200は、現在のスピーカの出力状態と、通知された情報の反映後のスピーカ出力状態とが異なっている場合には、通知された情報反映後のスピーカ出力状態となるように、スピーカの出力開始処理または出力停止処理を行う(ステップS110)。そして、制御部200は、ステップS111に進む。
制御部200は、マイクの接続状態が変化したかを検出する(ステップS111)。マイクの接続状態が変化とは、マイクが接続された状態から外された場合、もしくはマイクが背接続されていない状態から接続された場合、を意味する。マイクの接続状態が変化していない場合(ステップS111のNo)、ステップS109に戻り、現状のスピーカ出力設定通知の状態を維持して受信信号の待ち受けを継続する。マイクの接続状態が変化した場合(ステップS111のYes)、ステップS103に戻り、上述の処理を実行する。
図18を用いて、中継装置110の制御部200の処理について説明する。図18は、制御部200が、他の中継装置110からスピーカ出力設定通知を受信した際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、制御部200は、他の中継装置110からスピーカ出力設定通知を受信したか否かを判定する(ステップS201)。スピーカ出力設定通知を受信したと判定しない場合(ステップS201のNo)、制御部200は、ステップS201の処理を繰り返す。一方、制御部200は、他の中継装置110からスピーカ出力設定通知を受信したと判定した場合(ステップS201のYes)、制御部200は、ステップS202に進む。
次いで、制御部200は、スピーカ出力設定通知が送信された要因がマイク接続に起因するものであるか否かを判定する(ステップS203)。要因がマイク接続であると判定された場合(ステップS202のYes)、制御部200は、ステップS203に進む。一方、要因がマイク接続でないと判定された場合(ステップS202のNo)、制御部200は、ステップS204に進む。要因がマイク接続でない場合とは、例えば顧客の要求である。以下では、要因がマイク接続でない場合は、顧客の要求であるものとして説明する。
ステップS203では、制御部200は、スピーカ出力設定通知に設定されたマイク接続の状態と、スピーカ出力制御テーブルのマイク接続の状態を比較し、状態に変化が有るか否かを判定する(ステップS203)。状態に変化がないと判定された場合(ステップS203のNo)、制御部200は、ステップS201に進み、上述の処理を繰り返す。一方、状態に変化があると判定された場合(ステップS203のYes)、制御部200は、ステップS205に進み、マイク接続状態を通知された状態に更新する(ステップS205)。
ステップS204では、制御部200は、スピーカ出力設定通知に設定された顧客要求の状態と、スピーカ出力制御テーブルの顧客要求の状態を比較し、状態に変化が有るか否かを判定する(ステップS204)。状態に変化がないと判定された場合(ステップS204のNo)、制御部200は、ステップS201に進み、上述の処理を繰り返す。一方、状態に変化があると判定された場合(ステップS204のYes)、制御部200は、ステップS205に進み、顧客要求の状態を通知された状態に更新する(ステップS206)。
ステップS207と、ステップS208は、図17に図示のステップS109と、ステップS110と同じなので説明は省略する。
図19を用いて、中継装置110の制御部200の処理について説明する。図19は、制御部200が、無線端末からスピーカ出力設定変更要求を受信した際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、制御部200は、無線端末からスピーカ出力設定変更要求を受信したか否かを判定する(ステップS301)。スピーカ出力設定変更要求を受信していないと判定された場合(ステップS301のNo)、制御部200は、ステップS301の処理を繰り返す。一方、スピーカ出力設定変更要求を受信した場合(ステップS301のYes)、制御部200は、ステップS302に進む。
次いで、制御部200は、スピーカ出力設定変更要求に設定された「顧客要求の状態」と、スピーカ出力制御テーブルの「顧客要求の状態」とを比較し、状態に変化がある否かを判定する(ステップS302)。状態に変化が無いと判定された場合(ステップS302のNo)、制御部200は、ステップS301に進み、上述の処理を実行する。状態に変化がると判定された場合(ステップS302のYes)、制御部200は、ステップS303に進み、通知された対象CHの顧客要求の状態を通知された状態に更新する(ステップS303)。
次いで、制御部200は、他の中継装置110に対してスピーカ出力設定変更要求を送信する(ステップS304)。ここで、スピーカ出力設定変更要求には、対象のHome CHと要因として「顧客要求」と顧客要求の状態に関する情報が含まれる。そして、制御部200は、ステップS301に進み、上述の処理を実行する。
図20を用いて、中継装置110の制御部200の処理について説明する。図20は、制御部200が、無線端末から一時的なスピーカ出力設定を受信した際の処理の流れの一例を示すフローチャートである。図20の処理は、無線端末からの通常の発呼動作において中継装置とのリンク確立の手続きの中で、その通話に対するスピーカ出力制御を行う事ができるようにする。無線端末はCall Requestの中に自身のHome CHの情報と、スピーカ出力の許可・禁止の情報を設定する。
まず、制御部200は、無線端末からの通話が開始される前、音声受信状態を「未受信」に設定する(ステップS401)。
次いで、制御部200は、音声受信状態が「未受信」であるか否かを判定する(ステップS402)。音声受信状態が「未受信」であると判定された場合(ステップS402のYes)、制御部200は、ステップS403に進む。一方。音声受信状態が「未受信」でないと判定された場合(ステップS402のNo)、制御部200は、ステップS408に進む。
ステップS403では、制御部200は、無線端末からCall Requestを受信したか否かを判定する(ステップS403)。Call Requestを受信していないと判定された場合(ステップS403のNo)、制御部200は、ステップS403の処理を繰り返す。一方、Call Requestを受信したと判定された場合(ステップS403のYes)、制御部200は、ステップS404に進む。
次いで、制御部200は、Call Requestに含まれるHome CHの情報を記憶部111に保存する(ステップS404)。ここでは、制御部200は、スピーカ出力制御テーブルにHome CHの情報を保存する。
次いで、制御部200は、スピーカ出力制御テーブルのHome CHの顧客要求の状態を通知された状態に更新する(ステップS405)。
次いで、制御部200は、無線端末に対してCall Responseを返信する(ステップS406)。
次いで、制御部200は、音声受信状態を「受信開始待ち」に更新する(ステップS407)。そして、制御部200は、ステップS402に進む。
ステップS408では、音声受信状態が「受信開始待ち」であるか否かを判定する(ステップS408)。音声受信状態が「受信開始待ち」であると判定された場合(ステップS408のYes)、制御部200は、ステップS409に進む。一方、音声受信状態が「受信開始待ち」でないと判定された場合(ステップS408のNo)、制御部200は、ステップS414に進む。以下では、ステップS408において、「受信開始待ち」でないと判定される場合の音声状態は「受信中」であるものとして説明する。
ステップS409では、制御部200は、音声フレームを受信したか否かを判定する(ステップS409)。音声フレームを受信していないと判定された場合(ステップS409のNo)、制御部200は、ステップS409の処理を繰り返す。一方、音声フレームを受信したと判定された場合(ステップS409のYes)、制御部200は、ステップS410に進む。
次いで、制御部200は、記憶部111に保存してあるHome CHの情報を取得する(ステップS410)。
次いで制御部200は、ステップS410で取得したHome CHの音声をスピーカ出力するか否かを判定する(ステップS411)。スピーカ出力しないと判定された場合(ステップS411のNo)、制御部200は、ステップS413に進む。一方、スピーカ出力すると判定された場合(ステップS411のYes)、制御部200は、ステップS412に進み、スピーカ出力を開始する(ステップS412)。
次いで、制御部200は、音声受信状態を「受信中」に更新する(ステップS413)。そして、制御部200は、ステップS402に進む。
ステップS414では、制御部200は、音声フレームの終端を検出したか否かを判定する(ステップS414)。音声フレームの終端を検出していないと判定された場合(ステップS414のNo)、制御部200は、ステップS414の処理を繰り返す。一方、音声フレームの終端を検出したと判定された場合(ステップS414のYes)、制御部200は、ステップS415に進む。
次いで、制御部200は、記憶部111に保存しておいたHome CHの情報を取得する(ステップS415)。
次いで、制御部200は、ステップS415で取得したHome CHの顧客要求の状態を「None」に初期化する(ステップS416)。
次いで、制御部200は、スピーカ出力を停止する(ステップS417)。次いで、制御部200は、記憶部111に保存しておいたHome CHの情報を初期化する。
次いで、制御部200は、音声受信状態を「未受信」に更新する(ステップS419)。そして、制御部200は、ステップS402に進む。
図21を用いて、中継装置110の制御部200の処理について説明する。図21は、制御部200が、スピーカ出力を開始または停止する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、制御部200は、自身の中継装置で対象となるHome CHの無線端末からの音声信号を受信中か否か判定する(ステップS501)。音声信号を受信していないと判定された場合(ステップS501のNo)、制御部200は、図21の処理を終了する。一方、制御部200は、音声信号を受信中であると判定された場合(ステップS501のYes)、制御部200は、ステップS502に進む。
次いで、制御部200は、スピーカ出力するか否かを判定する(ステップS502)。スピーカ出力すると判定された場合(ステップS502のYes)、制御部200は、ステップS503に進む。一方、スピーカ出力しないと判定された場合(ステップS502のNo)、制御部200は、ステップS505に進む。
ステップS503では、制御部200は、現在のスピーカ状態はCloseであるか否かを判定する(ステップS503)。スピーカの状態がCloseであると判定された場合(ステップS503のYes)、制御部200は、ステップS504に進み、スピーカ出力を開始する(ステップS504)。そして、制御部200は、図21の処理を終了する。一方、スピーカの状態がOpenであると判定された場合(ステップS503のNo)、制御部200は、図21の処理を終了する。
ステップS505では、制御部200は、現在のスピーカ状態はCloseであるか否かを判定する(ステップS505)。スピーカの状態がOpenであると判定された場合(ステップS505のNo)、制御部200は、ステップS506に進み、スピーカ出力を停止する(ステップS506)。そして、制御部200は、図21の処理を終了する。一方、スピーカの状態がCloseであると判定された場合(ステップS505のYes)、制御部200は、図21の処理を終了する。
図22を用いて、中継装置110の制御部200の処理について説明する。図22は、制御部200が、スピーカ出力の可否を判定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図22では、図4に図示したスピーカ出力制御テーブル300に基づいて、スピーカ出力の可否を判定する。具体的には、制御部200は、スピーカ出力制御テーブル300を参照し、図23に図示の判定テーブル400に基づいて、スピーカ出力の可否を判定する。
まず、制御部200は、対象となるHome CHの情報に基づいて、スピーカ出力制御テーブル300を参照する(ステップS601)。
次いで、制御部200は、顧客状態(テンポラリ)が「Enable」である否かを判定する(ステップS602)。顧客状態(テンポラリ)が「Enable」であると判定された場合(ステップS602のYes)、制御部200は、ステップS603に進み、スピーカ出力を行う(ステップS603)。そして、制御部200は、図22の処理を終了する。一方、顧客状態(テンポラリ)が「Enable」でないと判定された場合(ステップS602のNo)、制御部200は、ステップS604に進む。
ステップS604では、制御部200は、顧客状態(テンポラリ)が「Disable」であるか否かを判定する(ステップS604)。顧客状態(テンポラリ)が「Disable」であると判定された場合(ステップS604のYes)、制御部200は、ステップS605に進み、スピーカ出力を実行しない(ステップS605)。そして、制御部200は、図22の処理を終了する。一歩、顧客状態(テンポラリ)が「None」であると判定された場合(ステップS604のNo)、制御部200は、ステップS606に進む。
ステップS606では、制御部200は、顧客状態(常時)が「Enable」である否かを判定する(ステップS606)。顧客状態(常時)が「Enable」であると判定された場合(ステップS606のYes)、制御部200は、ステップS607に進み、スピーカ出力を行う(ステップS607)。そして、制御部200は、図22の処理を終了する。一方、顧客状態(常時)が「Enable」でないと判定された場合(ステップS606のNo)、制御部200は、ステップS608に進む。
ステップS608では、制御部200は、顧客状態(常時)が「Disable」であるか否かを判定する(ステップS608)。顧客状態(常時)が「Disable」であると判定された場合(ステップS608のYes)、制御部200は、ステップS609に進み、スピーカ出力を実行しない(ステップS609)。そして、制御部200は、図22の処理を終了する。一方、顧客状態(常時)が「None」であると判定された場合、制御部200は、ステップS610に進む。
ステップS610では、制御部200は、マイクの接続状態が「On」であるか否かを判定する(ステップS610)、マイクの接続状態が「On」であると判定された場合(ステップS610のYes)、制御部200は、ステップS611に進み、スピーカ出力を行う(ステップS611)。そして、制御部200は、図22の処理を終了する。一方、マイクの接続状態が「Off」であると判定された場合(ステップS610のNo)、制御部200は、ステップS612に進み、スピーカ出力を実行しない(ステップS612)。そして、制御部200は、図22の処理を終了する。
上述のとおり、本実施形態では、中継局を構成する各中継装置のいずれにもマイクが接続されていない場合には、各中継装置が受信した無線端末からのアップリンク信号の音声が出力されない。これにより、本実施形態は、複数の事業者で共有する中継局において、他の事業者の音声を傍受されてしまうことを防止できる。この結果、本実施形態は、中継局におけるセキュリティを向上させることができる。
本実施形態は、中継局を構成する各中継装置のうち、任意の中継局にマイクが接続された場合に、マイクを接続された中継装置を通常の接続先とする無線端末からの音声を出力することができる。また、本実施形態では、マイクが接続された中継装置が他の中継装置に対して、マイクが接続されたことを示す情報を送信することで、他の中継装置においても、マイクを接続された中継装置を通常の接続先とする無線端末からの音声を出力することができる。これにより、本実施形態は、マイクを接続された中継装置を通常の接続先とする無線端末以外の無線端末の音声の出力を停止することができる。この結果、本実施形態は、自らの事業者の通信のみの聴取を可能とすることができるので、セキュリティをより向上させることができる。
また、上述のとおり、本実施形態における中継局の中継装置は、無線システムを構成する無線端末のいずれかにより、通常の接続先の中継装置の音声出力の制御行うだけでなく、他の中継装置に関しても同一事業者からのアップリンク信号を受信した場合の音声出力に関しても制御を可能とする。この結果、本実施形態は、自らの事業者の通信のみの聴取を可能とさせることができるので、利便性をより向上させることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。